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2026年5月 9日 (土)

連休中に読み終えた書籍

昨年1月年末年始に読み終えた書籍」という記事を「Part2 」にかけて投稿していました。9連休の年末年始だったため5冊ほど読み終え、いつもの「『◯◯◯』を読み終えて」という記事タイトルとせず、それぞれの書籍のサワリのみ紹介しています。今回もそれにならい「連休中に読み終えた書籍」として書き始めています。

最初に読み終えたのは『風と雅の帝』で、著者は荒山徹さんです。書籍を紹介する際、いつもの「『◯◯◯』を読み終えて」と同様、 著作権やネタバレ等に注意しなければなりません。そのため、まずリンク先に掲げられている書籍の紹介文をそのまま転載します。

皇位継承が持明院統と大覚寺統で交互に行なわれていた鎌倉時代後期、量仁(光厳天皇)は持明院統の期待を背負って即位した。しかし、幕府が倒される際、六波羅探題軍とともに京都から逃れるも追い詰められ、目の前で六波羅探題ら四百名以上の武士が自刃。

捕えられた光厳は、前帝・後醍醐によって即位そのものを否定されてしまう。その後、後醍醐と敵対した足利尊氏に擁立されることで、一度は“治天の君”の座につくも、尊氏の裏切りにより、南朝の囚われの身に――。

彼を慕っていた鎌倉武士の死、宿敵・後醍醐との泥沼の闘い、吉野での幽閉の日々……南北朝の動乱の中、「天皇とは何か」を真摯に考え続け、現在の“象徴天皇”にも繋がる生き方を貫いた、“忘れられた天皇”を描く、著者渾身の歴史長編小説。

鎌倉幕府滅亡後、南朝の後醍醐天皇から「お前は天皇ではなかった」と言われた北朝の光厳天皇の視点から語られている物語です。それでも史実を下敷きにしているため、教科書等でしか知らなかった南北朝時代を生きた著名な人物の息づかいを生々しく感じ取れる歴史小説でした。

南北朝時代、平穏な世を願いながら武士たちの争いが絶えないことを憂いていた光厳天皇は、その火種の中心に天皇という御旗が常に掲げられていくことに苦悶していました。天皇はどうあるべきかと悩みながら、武力によって覇権を争う武家政権に雅と祈りで抗った光厳天皇の姿から現在に至る天皇制のあり方を考えさせられます。

以前昭和天皇物語』を紹介したこともあります。絶対的な権力者とされていながら、天皇という権力者の「意思」だけで戦争に突き進む時代の流れを止められなかった昭和天皇の苦悶が描かれています。『風と雅の帝』の最後には、光厳天皇からの流れが「令和の今上陛下へ脈々とつながる」と記されていました。

この言葉に触れた時高市首相、昭和100年祝賀式典で見せた周囲との温度差  昭和ソングの演奏でノリノリの首相に対し、宮内庁職員は一切手拍子なし』という記事が伝える場面を思い浮かべていました。主催者である政府側の判断で、臨席された天皇からのお言葉はありませんでした。

翌日、側近を通じて「過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに平和を守るために必要なことを考え、将来へとつなげる努力を続けることが大切との思いで式典に臨まれた」という所感が発せられたことを紹介した記事の中で伝えています。一方、高市総理の式辞は下記のような言葉から始まり、天皇の所感に込められている基調との相違が明らかでした。

私は、日本と日本人の底力を信じてやみません。日本の誇るべき国柄を、未来を担う次の世代へとしっかりと引き継いでいく。私たちには、その大きな責任があります。今日この日を、昭和の時代を顧み、わが国の伝統や歴史の重みをかみしめながら、将来に思いを致す機会としたいと思います。昭和は、戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曽有の変革を経験した時代でした。

この後「先の大戦の後、昭和天皇は、全国各地を巡幸され…」と続きます。高市総理にとって、戦前、戦中は忘れるべき忌まわしき歴史とされているのではないかと疑ってしまいます。式典を高市総理の望むカラーにしたかったため、あえて天皇からのお言葉を賜らなかったという見方は穿ちすぎでしょうか。

前回記事「平和への願い、届く言葉は?」も同様でしたが、どうしても重い責任と権力を抱かれている高市総理に対する論評が多くなります。さらに私自身の正しいと信じている「答え」と相違しがちな高市総理に対しては、おのずから批判的な言葉が並んでしまいます。

ただ「批判ありき」とせず、必ず具体的な言動を例示しながら批評するように努めています。いずれにしても「答え」の押し付けではなく、このような見方もあったのかという多面的な情報を提供する場として、背伸びしない一つの運動として当ブログの週末更新を重ねています。

このような意味合いから次に紹介するプロパガンダゲーム  偽情報戦』は、たいへん興味深い記述が多々ありました。著者は根本聡一郎さんです。前作の『プロパガンダゲーム』も読んでいましたが、TVドラマは見逃しています。リンク先に掲げられている新作の紹介文は次のとおりです。

2025年TVドラマ化した『プロパガンダゲーム』の著者による、待望の最新作! 新聞記者をしている春名に、日本政府から奇妙な取材依頼が届いた。政府が大手広告代理店の電央堂と組んで、新組織「内閣情報局」を立ち上げるらしい。内閣情報局といえば、戦時下の日本でプロパガンダを主導した組織の名。

きな臭さを感じつつ取材へと向かった春名を待っていたのは、内閣府の採用担当者と、かつて電央堂で行われた曰くつきの採用試験「プロパガンダゲーム」だった!? AIとSNSで無限に拡散される偽情報との戦いを描いた社会派サスペンス!

あくまでもフィクションですが、「瀧内さゆり」という名前の総理大臣が登場し、郵政民営化を争点とした解散総選挙など実際の出来事や人物が重なり合っています。「実在の人物、団体などには一切関係ありません」という但し書きが、建前に近いようなリアリティさを感じながら一気に読み終えていました。

今回のブログ記事ではストーリーの本筋から離れますが、SNSを駆使した「情報戦」において登場人物が発していた言葉や考え方をを中心に紹介していきます。フェイク動画を投稿した後「やっぱり、動画のほうが写真よりも見られますね」「文字より写真が強く、写真より動画が強い」という会話が交わされます。

「日本の識字率は100%と言われていますが、それは嘘です。実際には文字を見ているだけで、文章を理解できない方が大量にいることを覚えていてください」という極端な持論を展開する人物も出てきます。そのまま真に受けるものではありませんが、文字ばかりの当ブログのアクセス数が低迷している昨今を省みてしまう見方だと言えます。

小澄慎一郎総理による郵政解散「劇場型選挙」は300議席に迫る圧勝という設定で描かれています。その勝因について「先の大戦で日本が侵略したアジアには謝罪の姿勢を取るのが当然で、それ以外の態度は許されない状態だった」という見方が示され、小澄総理は「他のアジアに謝らなかったからだ」と説明している場面があります。

信憑性の疑義はありますが、そのような要素があったことを頭から否定できないのかも知れません。このような見方を一定程度受け入れた時、高市内閣の高支持率や2月の総選挙での歴史的勝利を読み解く鍵を手にしていけるのでしょうか。さらに昭和100年の式典に際した高市総理の姿勢に喝采する方々も多いのだろうと思い返しています。

過去の戦争の謝罪は済んでいる、これ以上謝る必要がないという声は確かに少なくありません。しかし「過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに平和を守るために必要なことを考え、将来へとつなげる努力を続けることが大切」という言葉のほうこそ、プラグマティズムな平和への道筋につながり、多くの方々から支持されていくことを切に願っています。

ディリー新潮の『「皇室典範」「憲法」改正に意欲も支持層の“高市離れ”じわじわと…勇ましいアピールのウラで囁かれる「高市早苗首相は本当に“保守政治家”なのか」』という記事も興味深く、高市総理の思惑が伝わってきます。保守政治家かどうかという問いに対しては、最近の記事「真の保守とは何か』を読み終えて」のとおりだと言えます。

5連休の最後の日には高一事変』を読み終えています。著者の松岡圭祐さんの著書は数多く手にしてきました。この『高校事変』シリーズは全作、実在の人物や団体と重ね合わせることはなく、小説として面白く読んでいました。『ヒトラーの試写室』『八月十五日に吹く風』は史実に沿った小説で、リンク先には当ブログの記事を掲げています。

今回の記事で『高一事変』は紹介しませんが、前掲した2作品は知らなかった戦争の実相を取り上げたブログ記事に仕上げています。興味を持たれた方はリンク先を参照いただければ幸いです。「第2次世界大戦中、スイスがドイツからの侵略を免れていた事実関係」や「キスカ島からの日本兵5千人の救出作戦」を書き留めていました。

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