平和を築くためのパレスチナ国家承認
火曜日の臨時国会で自民党の高市早苗総裁が首班指名されました。憲政史上初の女性総理大臣の誕生です。その日の夜、三多摩平和運動センターが主催した「CV22オスプレイの横田基地配備を許さない!10・21三多摩集会」があり、組合の呼びかけに応じて参加しています。
全体で150名が集まり、横田基地公害訴訟原告団や沖縄平和行進参加者らから報告を受けています。主催者や来賓の方々からの挨拶の中では、高市総理の右寄りの政治スタンスを警戒し、安全保障関連3文書の前倒し改定の動きなどを厳しく批判する言葉が目立ちました。
そのような辛辣な言葉や横田基地撤去という訴えに対し、会場に足を運ばれている方々の大半は違和感なく、賛同されていたはずです。ただ今回のような集会やデモを冷ややかに見ている方々から「なるほど」と思ってもらうためには「なぜ、そうすべきなのか」という言葉が必要です。
フルオープンな当ブログのコメント欄を通し、幅広い意見に接してきたため、単刀直入に「戦争反対」と訴えるだけの不充分さを痛感しています。「ブログを始めて20年、平和への思い」という記事で、戦争の悲惨さや実相を知り、絶対起こしてはならないという思いだけで決して戦争を抑止できないという現状の悩ましさも綴っていました。
その記事の中では、れいわ新選組の参院議員の伊勢崎賢治さんの参院予算委員会での質疑内容について触れています。伊勢崎さんは研究者でありながら日本政府特別顧問としてアフガニスタンの武装解除を担当し、東チモールやシエラレオネなどでも国連を通した活動に尽力されてきました。そのような経験を積まれた伊勢崎さんの言葉だからこそ、戦争を防ぐためにはどうすべきなのか、たいへんな重みを感じ取れます。
カタール政府は米軍基地をイラン攻撃の際に使わせませんでした。伊勢崎さんは「このおかげでイランによる報復攻撃はカタールの米軍基地のみにとどまり、カタール自身の国防につながった」とし、「アメリカが始める戦争に在日米軍基地は使わせない」と発信していくことが日本の国防にとって必要な措置ではないかと質問しています。
このような伊勢崎さんの質問に対し、石破前総理は「今でも先生だと思っております」と敬意を表されていましたが、明確な答弁には至っていません。作家の矢部宏治さんが『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』という著書で在日米軍基地の問題を詳述しています。機会を見て次回以降の記事で取り上げていくつもりです。
伊勢崎さんは続いて「パレスチナの国家承認を閣議決定でお願いします」と迫っていました。石破前首相は「これ(ガザ)は人道上の問題だという強い問題意識を持っている。即時停戦、非人道的な問題を一刻も早く解消していくために日本国も最大限の努力をする。今日はこの辺でご容赦いただきたい」とし、やはり歯切れの悪い答弁にとどまっています。
このような日本政府の優柔不断な姿勢に対し、フリージャーナリストの志葉玲さんは『「恥ずかしい」「悔しい」日本の外交をイスラエルが政治利用、SNSで炎上―岩屋外相に批判相次ぐ』という記事で憤りを露わにしています。その記事の中で、パレスチナを国家として承認していくことの意義や必要性が次のように説明されています。
国連のグテーレス事務総長は9月16日の会見で、「可能な限り多くの国がパレスチナを国家承認することが望ましい」と述べました。それは、イスラエルがガザへの猛攻撃を続ける中で、多くの国がパレスチナを国家として承認することは、イスラエルの外交圧力となるからです。また、パレスチナが国家となることで、イスラエルによるガザ等での攻撃やヨルダン川西岸での不法な入植活動に対し、同国の戦争犯罪を法的に追及しやすくなることも重要です。
日本が、パレスチナ国家の承認を見送る決定をした理由について、岩屋外相は19日の会見で米国の圧力を否定。「最も重要なことは、パレスチナが持続可能な形で存在し、イスラエルと共存することであって、我が国は『二国家解決』というゴールに一歩でも近づくような、現実的かつ積極的な役割を果たし続ける」と主張しました。
この「二国家解決」とはオスロ合意(1993年)に基づく中東和平の到達目標で、現在は自治区であるパレスチナが国家に昇格し、イスラエルと平和的に共存していくというもの。日本の外交は長年「二国家解決」を支持し続けてきました。しかし、岩屋外相も会見で認めたように、イスラエルのガザへの猛攻撃や同地区の封鎖による深刻な飢餓、ヨルダン川西岸での不法な土地の奪取は、「二国家解決」を危うくしています。岩屋外相の主張は大いに矛盾していると言えましょう。
また、今、パレスチナを国家として承認することは、「二国家解決」を実現する上での前提であるだけではなく、上述した通り、ガザでの虐殺を止めるためのイスラエルへの外交圧力でもあり、それが故、イギリスやフランスなど、これまでは親イスラエル的な立場をとってきた欧州諸国やカナダ、オーストラリアも今回はパレスチナを国家承認するとしています。これは国際社会においてイスラエルを孤立させる効果がありますが、日本がパレスチナの国家承認を見送るとしたことは、結果的にイスラエルに利することになります。
このような切実さや窮迫さを踏まえ、伊勢崎さんは参院予算委員会で前述した質問を投げかけています。このあたりの経緯や伊勢崎さんの思いを週プレNEWSの記事『伊勢﨑賢治が明かす、石破のアドリブを引き出した「国会質問の舞台裏」と、"戦争ごっこ"ではない「現実的国防論」の展望』が次のように伝えています。
正式に国として認めてすらいないのに「2国家共存を支持」っていうのは絵空事みたいな話で、ガザの戦争を止める有効な手段がない中、ここにきてようやくフランスやイギリス、スペイン、カナダ、オーストラリアなどが「パレスチナの国家承認が必要だ」と言い出した。
日本の国会でも、超党派の人道外交議員連盟を中心にパレスチナの国家承認を求める要望書と署名が200近く集まっていますが、日本政府の動きは依然として鈍い。
そこで、ガザでの一日も早い停戦が求められる中、手続きに時間のかかる国会決議ではなく、石破首相のリーダーシップを生かした「閣議決定」でパレスチナの国家承認を実現してほしいというのが、僕の質問の趣旨でした。
結局のところ伊勢崎さんを師として仰ぐ石破前総理の時にもパレスチナの国家承認の道筋は立てられず、高市新総理に重要な課題として引き継がれています。前回記事「村山元総理の訃報から連立の話」で政治的な選択肢の分かりやすさが広がるため、日本維新の会と自民党との連立を「個人的には歓迎しています」と記していました。
パレスチナ国家承認の問題をはじめ、安保関連3文書の前倒し改定や防衛費増額の是非など、平和を築くためにどう判断していくべきなのか、自維連立政権に対峙した政治的な枠組みができ上がっていくことを願っています。最後に、前掲した記事に掲げられている伊勢崎さんの問題意識や決意を紹介します。
だからこそ、先ほど話した「日米地位協定」の問題が、単に親米とか反米とか右か左かといった話ではなく、自国内に多くの米軍基地を抱える日本にとって深刻かつ現実的な国防の問題だということ、そして、ロシアと国境を接するウクライナでの戦争が、中国や北朝鮮、ロシアと米国の間にある緩衝国家の日本にとっても人ごとではないという理解を国会内でも広く党派を超えて広げていきたい。
勇ましい〝戦争ごっこ〟のような「妄想の安全保障論」ではなく、戦争を起こさない、他国の戦争に巻き込まれない「現実的な国防論」を真剣に議論していく必要がある。僕はそのために国会議員になったのですから、全力で実現したいと思っています。


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