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2025年10月25日 (土)

平和を築くためのパレスチナ国家承認

火曜日の臨時国会で自民党の高市早苗総裁が首班指名されました。憲政史上初の女性総理大臣の誕生です。その日の夜、三多摩平和運動センターが主催した「CV22オスプレイの横田基地配備を許さない!10・21三多摩集会」があり、組合の呼びかけに応じて参加しています。

全体で150名が集まり、横田基地公害訴訟原告団や沖縄平和行進参加者らから報告を受けています。主催者や来賓の方々からの挨拶の中では、高市総理の右寄りの政治スタンスを警戒し、安全保障関連3文書の前倒し改定の動きなどを厳しく批判する言葉が目立ちました。

そのような辛辣な言葉や横田基地撤去という訴えに対し、会場に足を運ばれている方々の大半は違和感なく、賛同されていたはずです。ただ今回のような集会やデモを冷ややかに見ている方々から「なるほど」と思ってもらうためには「なぜ、そうすべきなのか」という言葉が必要です。

フルオープンな当ブログのコメント欄を通し、幅広い意見に接してきたため、単刀直入に「戦争反対」と訴えるだけの不充分さを痛感しています。ブログを始めて20年、平和への思い」という記事で、戦争の悲惨さや実相を知り、絶対起こしてはならないという思いだけで決して戦争を抑止できないという現状の悩ましさも綴っていました。

その記事の中では、れいわ新選組の参院議員の伊勢崎賢治さんの参院予算委員会での質疑内容について触れています。伊勢崎さんは研究者でありながら日本政府特別顧問としてアフガニスタンの武装解除を担当し、東チモールやシエラレオネなどでも国連を通した活動に尽力されてきました。そのような経験を積まれた伊勢崎さんの言葉だからこそ、戦争を防ぐためにはどうすべきなのか、たいへんな重みを感じ取れます。

カタール政府は米軍基地をイラン攻撃の際に使わせませんでした。伊勢崎さんは「このおかげでイランによる報復攻撃はカタールの米軍基地のみにとどまり、カタール自身の国防につながった」とし、「アメリカが始める戦争に在日米軍基地は使わせない」と発信していくことが日本の国防にとって必要な措置ではないかと質問しています。

このような伊勢崎さんの質問に対し、石破前総理は「今でも先生だと思っております」と敬意を表されていましたが、明確な答弁には至っていません。作家の矢部宏治さんが『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』という著書で在日米軍基地の問題を詳述しています。機会を見て次回以降の記事で取り上げていくつもりです。

伊勢崎さんは続いて「パレスチナの国家承認を閣議決定でお願いします」と迫っていました。石破前首相は「これ(ガザ)は人道上の問題だという強い問題意識を持っている。即時停戦、非人道的な問題を一刻も早く解消していくために日本国も最大限の努力をする。今日はこの辺でご容赦いただきたい」とし、やはり歯切れの悪い答弁にとどまっています。

このような日本政府の優柔不断な姿勢に対し、フリージャーナリストの志葉玲さんは『「恥ずかしい」「悔しい」日本の外交をイスラエルが政治利用、SNSで炎上―岩屋外相に批判相次ぐ』という記事で憤りを露わにしています。その記事の中で、パレスチナを国家として承認していくことの意義や必要性が次のように説明されています。

国連のグテーレス事務総長は9月16日の会見で、「可能な限り多くの国がパレスチナを国家承認することが望ましい」と述べました。それは、イスラエルがガザへの猛攻撃を続ける中で、多くの国がパレスチナを国家として承認することは、イスラエルの外交圧力となるからです。また、パレスチナが国家となることで、イスラエルによるガザ等での攻撃やヨルダン川西岸での不法な入植活動に対し、同国の戦争犯罪を法的に追及しやすくなることも重要です。

日本が、パレスチナ国家の承認を見送る決定をした理由について、岩屋外相は19日の会見で米国の圧力を否定。「最も重要なことは、パレスチナが持続可能な形で存在し、イスラエルと共存することであって、我が国は『二国家解決』というゴールに一歩でも近づくような、現実的かつ積極的な役割を果たし続ける」と主張しました。

この「二国家解決」とはオスロ合意(1993年)に基づく中東和平の到達目標で、現在は自治区であるパレスチナが国家に昇格し、イスラエルと平和的に共存していくというもの。日本の外交は長年「二国家解決」を支持し続けてきました。しかし、岩屋外相も会見で認めたように、イスラエルのガザへの猛攻撃や同地区の封鎖による深刻な飢餓、ヨルダン川西岸での不法な土地の奪取は、「二国家解決」を危うくしています。岩屋外相の主張は大いに矛盾していると言えましょう。

また、今、パレスチナを国家として承認することは、「二国家解決」を実現する上での前提であるだけではなく、上述した通り、ガザでの虐殺を止めるためのイスラエルへの外交圧力でもあり、それが故、イギリスやフランスなど、これまでは親イスラエル的な立場をとってきた欧州諸国やカナダ、オーストラリアも今回はパレスチナを国家承認するとしています。これは国際社会においてイスラエルを孤立させる効果がありますが、日本がパレスチナの国家承認を見送るとしたことは、結果的にイスラエルに利することになります。

このような切実さや窮迫さを踏まえ、伊勢崎さんは参院予算委員会で前述した質問を投げかけています。このあたりの経緯や伊勢崎さんの思いを週プレNEWSの記事『伊勢﨑賢治が明かす、石破のアドリブを引き出した「国会質問の舞台裏」と、"戦争ごっこ"ではない「現実的国防論」の展望』が次のように伝えています。

正式に国として認めてすらいないのに「2国家共存を支持」っていうのは絵空事みたいな話で、ガザの戦争を止める有効な手段がない中、ここにきてようやくフランスやイギリス、スペイン、カナダ、オーストラリアなどが「パレスチナの国家承認が必要だ」と言い出した。

日本の国会でも、超党派の人道外交議員連盟を中心にパレスチナの国家承認を求める要望書と署名が200近く集まっていますが、日本政府の動きは依然として鈍い。

そこで、ガザでの一日も早い停戦が求められる中、手続きに時間のかかる国会決議ではなく、石破首相のリーダーシップを生かした「閣議決定」でパレスチナの国家承認を実現してほしいというのが、僕の質問の趣旨でした。

結局のところ伊勢崎さんを師として仰ぐ石破前総理の時にもパレスチナの国家承認の道筋は立てられず、高市新総理に重要な課題として引き継がれています。前回記事「村山元総理の訃報から連立の話」で政治的な選択肢の分かりやすさが広がるため、日本維新の会と自民党との連立を「個人的には歓迎しています」と記していました。

パレスチナ国家承認の問題をはじめ、安保関連3文書の前倒し改定や防衛費増額の是非など、平和を築くためにどう判断していくべきなのか、自維連立政権に対峙した政治的な枠組みができ上がっていくことを願っています。最後に、前掲した記事に掲げられている伊勢崎さんの問題意識や決意を紹介します。

だからこそ、先ほど話した「日米地位協定」の問題が、単に親米とか反米とか右か左かといった話ではなく、自国内に多くの米軍基地を抱える日本にとって深刻かつ現実的な国防の問題だということ、そして、ロシアと国境を接するウクライナでの戦争が、中国や北朝鮮、ロシアと米国の間にある緩衝国家の日本にとっても人ごとではないという理解を国会内でも広く党派を超えて広げていきたい。

勇ましい〝戦争ごっこ〟のような「妄想の安全保障論」ではなく、戦争を起こさない、他国の戦争に巻き込まれない「現実的な国防論」を真剣に議論していく必要がある。僕はそのために国会議員になったのですから、全力で実現したいと思っています。

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2025年10月18日 (土)

村山元総理の訃報から連立の話

村山富市元総理が逝去されました。101歳でした。自治労大分県職労書記から大分市議、大分県議を経て衆院議員となられ、社会党委員長の時、自民党、社会党、新党さきがけによる3党連立政権で総理大臣まで務められました。私が参加した自治労大会に組織内議員だった村山元総理も訪れていました。SPに囲まれた村山元総理のお顔を間近で拝見したことを思い出しています。

村山元総理は、元従軍慰安婦基金の設立、被爆者援護法制定、水俣病の政治解決などに尽力されました。在任中、戦後処理問題の解決に積極的に取り組まれ、戦後50年談話では「国策を誤り、植民地支配と侵略によってアジア諸国の人々に多大の損害と苦痛を与えた」とし、痛切な反省と心からのお詫びを表明しています。

この談話の立場は、以後の歴代内閣が継承し、安倍元総理の戦後70年談話でも言及しています。村山元総理が発した戦後50年談話は、先の大戦を巡り「国策を誤り」「侵略」だったという日本政府の歴史認識を明らかにし、対アジア外交の基盤として引き継がれていく重要な文書となっています。

今回、前回記事「自民党総裁選が終わり、流動化する政治情勢」から続く内容として、自社さ連立政権について触れるつもりでした。そのように予定していた時、村山元総理の訃報に接し、たいへん感慨深い巡り合わせだと思っています。委員長が総理大臣を引き受けたことで、社会党は日米安保の維持、自衛隊合憲など、それまでの基本政策を現実路線に転換しています。

社会党の独自性が薄れ、その後の党勢低迷や衰退を招く一因となったというネガティブな見方があります。一方で、憲法9条を巡る自社の論争が一定決着し、与野党が安全保障政策について現実的な議論を交わす、現在の政治状況の出発点となる判断だったとし、ポジティブに評価する声は少なくありません。

組合役員を務めていた私自身は、自民党との連立や現実路線への転換に対し、驚きとともに戸惑いがあったように記憶しています。それでも強く反発するような思いはなく、自治労出身の村山総理誕生を誇らしく感じていました。もともと以前の記事「憲法9条の論点について」で述べているとおり違憲性への疑問も薄かったからです。

当時は深く認識していなかったはずですが、現在は「約束を踏まえた先に広がる可能性」という問題意識もあります。その記事は、民主党政権が誕生した翌2010年1月に投稿しています。普天間基地移設の問題に際し、アメリカとの約束を優先すれば国内向けの約束を破る結果となります。鳩山元総理らは相反する約束があることを踏まえ、それぞれの関係性を充分配慮しながら対応する必要性が求められていた時期、次のように記していました。

アメリカ政府との関係で言えば、政権交代という非常に大きな国内事情の変更があったことを訴え、まず交渉のテーブルに着いてもらうことが重要でした。その際、「辺野古への移設の約束は白紙」と日本側が先に述べてしまうのは適切ではありません。あくまでもアメリカとの約束は生きている中で、改めて交渉の席に着くことを依頼しているのが日本の立場だからです。

「こちらの事情が変わったので、これまでの約束は白紙です」と一方的に伝える行為は、とても「約束を踏まえた」誠意ある対応ではありません。それこそ信頼関係を損ねる切っかけとなりかねません。「これまでの約束は承知していますが、ぜひ、変更に向けた交渉に応じてください」という姿勢が欠かせないはずです。決してアメリカ相手だからへりくだる話ではなく、どこの国との関係でも当たり前に心がけるべき基本だろうと考えています。

つまり今後、自民党とは政治的な立ち位置の異なる政党による政権交代が実現した際、上記のような継続性のもと信頼関係の構築に力を注ぐ必要性があるという問題意識です。約束を踏まえた先に広がる可能性として、日本国憲法の平和主義を踏まえた関係性をめざすのかどうかだろうと考えています。

国民民主党の玉木雄一郎代表は、立憲民主党とは安全保障やエネルギー政策で隔たりがあるため現在の立民とは組めない。基本政策が違う。これでは政権は担えないし、担うべきではない」と発言しています。この考え方には強い違和感があります。そもそも基本的な立ち位置の異なる自民党と公明党が、これまで26年間も手を携えてきました。

村山元総理の訃報から改めて注目を集めている自社さ連立政権という事例もあります。基本政策が一致するのであれば同じ政党として合流すべき話です。特に前回記事で触れたとおり国民民主党のルーツは政権を担った経験のある同じ民主党です。支援を受ける団体が連合という共通項もあります。

今年4月には連合を交え、両党は外交・安全保障や経済を含む5分野の基本政策で合意しています。両党間で隔たりのある政策に関しては玉虫色の表現が目立つ内容であるため、玉木代表は「原発など大事なところで合意していない。私が求めているものとはレベルが違う。本質から逃げた文章だ」と強調しています。

たいへん残念な発言です。ハナから立憲民主党とは組めないという「結論ありき」の態度であるように見えてしまいます。前回記事では日本維新の会との距離感についても触れていました。日本維新の会は自民党との連立に向けて協議を進めています。政治的な選択肢の分かりやすさが広がるため、このような動きを個人的には歓迎しています。

一方で、国民民主党は公明党と政策実現をめざす立場から接近しているという報道を耳にしています。この協議に立憲民主党も加わり、3党がまとまるようであれば高市政権をめざしている自民党側にとって大きな脅威となるはずです。一気に政権交代が果たせなかったとしても、次回の総選挙戦に向け、この3党の政治的な枠組みを重視し、連携を強めて欲しいものと願っています。

定期更新から遠ざかれている弁護士の澤藤統一郎さんの最近のブログ記事『拝啓 高市早苗様。日本の鹿にだけでなく、マルタの猫にもご配慮を。』をたいへん興味深く読ませていただいています。排外主義を煽るような政治的な方向性に進むのか、多様性を重視した政治をめざすのか、分かりやすい政治的な選択肢が広がることを期待しています。

最後に、このような大事な時期だからこそ立憲民主党の安住淳幹事長は、ご自身の発言に対して注意を払って欲しいものです。『会見で玉木氏を「玉木」と呼び捨てるも言い直す  維新・藤田氏は「君」付け』『メルマガで「玉木くんを弟のように可愛がろうと思う」投稿は「本人に言った」』という話などは政党間の協議においてプラスに働かないのではないでしょうか。

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2025年10月11日 (土)

自民党総裁選が終わり、流動化する政治情勢

前回記事「究極のトップリーダー、トランプ大統領」の冒頭で「自民党総裁選の話題について触れてきました。本日、新総裁が決まり、今月15日に召集される予定の臨時国会で首班指名を受ける見通しです。この話題については、きっと次回以降の新規記事で取り上げることになるのだろうと思っています」と記していました。

臨時国会の召集時期は20日の週の前半に延びています。昨日「公明、連立離脱へ」という衝撃的なニュースが駆け巡り、26年間続いた自民党と公明党との協力関係に終止符が打たれるという激震に見舞われたからです。自民党の高市早苗新総裁が憲政史上初の女性総理に就任できるかどうかも不透明な情勢となっています。

両党の代表と幹事長も同席した会談は1時間半に及びました。会談後の記者会見で、公明党の斉藤鉄夫代表は「このたびの自民の回答は、基本的には、これから検討するという誠に不充分なものだった。極めて残念だ。政治とカネの基本姿勢に意見の相違があった」と語っています。

それに対し、高市総裁は「党内協議のために少なくとも3日間は欲しい」と懇願しながらも拒まれたことを記者団に語り、「一方的に離脱を伝えられた。たいへん残念だ」と不快感を示していました。斉藤代表から「自民総裁選で誰が選ばれても同じだ」と告げられたことも明かしています。

公明党が提示し、最後まで自民党との合意に至らなかった連立条件は「自民派閥パーティー収入不記載事件の真相解明と企業・団体献金の規制強化」でした。この連立条件に対し、自民閣僚経験者は「譲歩のしようがない。公明は最初から破談を狙っていたのではないか」と勘繰る声を漏らしています。

ただ「誰が選ばれても同じ」ではなく、きっと小泉進次郎候補とは、この内容について事前にすり合わせていたのではないでしょうか。下馬評通り小泉候補が勝利していれば連立は維持されていたはずであり、公明党にとって高市総裁の誕生は青天の霹靂だったのではないかと見ています。

産経新聞は『26年目の別れ  公明の「サイン」に鈍感な自民、またも「政治とカネ」につまづき手遅れに』という見出しの記事の中で、生々しい舞台裏を伝えています。高市総裁選出後の4日、公明党は「企業・団体献金の規制強化」「歴史認識と靖国神社参拝」「外国人との共生」という三つの懸念点を示しながら「多くの支持者が心配している。それらの解消なくして連立政権はない」と自民党側に伝えていました。

自民からの回答もない5日のうちに、高市氏が国民民主党の玉木雄一郎代表と東京都内で極秘会談したとの情報が駆け巡った。衆参両院で少数与党となる中、安定した政権運営には一部野党の協力が不可欠だ。とはいえ、公明は自分たちよりも先に自民が国民民主に近づいたことに激怒した。「公明嫌い」で知られる麻生太郎副総裁の影もちらついていた。

上記のとおり自民党は公明党からのサインに鈍感で、むしろ「公明外し」を歓迎する声すら聞こえていたことを産経新聞の記事が伝えています。自民党が事態を収拾しようと重い腰を上げたのは9日午後に入ってからです。高市総裁自ら公明党に太いパイプを持つ菅義偉元総理の国会事務所を訪ねて頭を下げていますが、遅きに失していたようです。

ジャーナリストの鮫島浩さんは『自公連立ついに崩壊 「切られる前に切った」公明党の決断と「連立から追い出した」麻生太郎の大博打』というブログ記事を投稿し、もっと生々しい舞台裏を明かしています。鮫島さんの推測を少し交えた記事であるようですが、興味深い内容ですので後段の箇所をそのまま紹介します。

公明と近い菅義偉、森山裕らも離脱を止めなかった。このままでは麻生独裁体制となり、自分たちが干される。むしろ離脱を後押しすることで、麻生・高市ラインの崩壊を狙った節がある。高市は土壇場で菅に助けを求めたが、応じてもらえなかった。

麻生も同様に「去る者は追わず」。むしろ連立離脱を織り込み済みだった。裏金問題の象徴・萩生田光一を幹事長代行に起用したのも、「公明切り」を加速させるための布石に見える。麻生が強気なのは、国民民主の榛葉幹事長と太いパイプを持つからだ。

立憲が玉木代表を担ぐ「野党連立政権」を呼びかけても、玉木・榛葉コンビが慎重なのは麻生との関係ゆえである。麻生としては、高市政権を成立させた後、タイミングを見計らって解散総選挙で自民単独過半数を奪還する構想だ。まさに、政界の大博打である。

集英社オンラインの『最強の布陣「チーム小泉」はいかに崩壊したか…麻生太郎氏がブチぎれた「決選前夜の祝勝会」でのトンデモ発言』という記事で、小泉嫌いで有名だった麻生元総理も「今回は小泉さんに乗る気なんだろうな」と周囲から見られていたことを伝えています。今年の通常国会における政治改革の議論で、小泉候補の企業・団体献金を死守する姿勢が、麻生元総理の評価を一変させていたようです。

麻生元総理は総裁選で支持すべき候補者の基準として「選挙に勝てる候補」「野党と連携できる候補」の2点をあげていました。その上で「選挙はともかく野党とできるのは小泉だよな。高市に野党との人脈なんてねーだろう」と投開票の数日前に話していました。

ところが、直前になって「世代交代のために麻生さんを切るべきだ」という声が麻生元総理の耳に入り、高市総裁を生み出す立役者になったという顛末が、その記事に掲げられています。小泉陣営の出陣式に集まった92人に横須賀名物のカレーパンをふるまっていながら1回目投票の議員票は80、予想より少ない票数に小泉候補が動揺していたことも記されていました。

前々回記事「問われているトップリーダーの資質 Part3」の中で「序盤の優勢を今回も維持できるのかどうか暗雲が立ち込め始めています」と懸念していましたが、小泉陣営の緩みや油断が勝てなかったことの大きな要因になっているはずです。公明党の連立離脱も、自民党側の油断によって後手に回り、信頼関係を損ねる結果を招いています。

いずれにしても舞台裏を見せられれば見せられるほど自民党の「解党的出直し」という掛け声が空しく響き、「国民のための政治」「政策本位」という言葉からは、かけ離れた旧態依然とした政治が続いているように感じています。自民党総裁選が終わり、流動化する政治情勢の中で、今後の野党の出方が注目されていきます。

以前から立憲民主党と公明党の立ち位置は近いように見ています。国民民主党のルーツは政権を担った経験のある同じ民主党です。支援を受ける団体が連合という共通項もあります。流動化を千載一遇のチャンスとし、立憲民主党が中心となって信頼できる政治の枠組みを築いて欲しいものと願っています。

総理大臣は、衆参両院の記名投票により、過半数の票を得た議員が選ばれます。過半数を得た議員がいない場合は上位2名の決選投票による多数決で決めます。衆参両院で異なる結果となった場合は両院協議会を開いて話し合い、それでも意見が一致しなければ衆院での議決を優先します。

主な政党の衆院での現有議席数は、自民党196、立憲民主党148、日本維新の会35、国民民主党27、公明党24、れいわ新選組9、共産党8、参政党3です。いくつかの野党がまとまれば政権交代は容易に実現できるのでしょうが、基本的な立ち位置が大きく異なるような野合であれば、それはそれで望ましい政治の枠組みから遠ざかっていくように危惧しています。

8月に投稿した記事「『新しいリベラル』を読み終えて」に託しているような問題意識のもとに明確な選択肢が示され、新たな政治的な枠組みができることを望んでいます。その際も、分断や対立ではなく、対話によって、より望ましい政治にアップグレードしていく与野党の関係性になり得ることを切望しています。

石破総理の戦後80年の所感についても触れるつもりでしたが、取りとめのない話が長くなっているため次回以降に送ります。最後に、昨年9月末の記事「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」の中で触れた私自身の問題意識を改めて紹介します。残念ながら国民民主党との距離は広がっている現状であり、今後、下記のような対抗軸のもとに縮まっていくことを期待したいものです。

解散した日に行なわれた総理大臣としての記者会見で語った野田新代表の三つの言葉が強く印象に残っています。一つは連合が力を注いできたテーマを表した「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」であり、あと二つは「2030年代に原発をゼロにする」「強い言葉で外交・安保を語る風潮が強まってきたが、極論の先に解決策はない」という言葉です。

この三つの言葉こそ、今でも他党との明確な対抗軸になっていくものと考えています。このような対抗軸は国民民主党からも支持されていくはずです。長く連合の活動に関わってきた組合役員の一人として、野田新代表のもと立憲民主党と国民民主党が手を携えていけるようになることを願っています。

近いうちに必ず行なわれる総選挙戦では、連合が一体となって応援できる候補者の擁立を待望しています。ただ掲げた対抗軸のもとの結集が重要であり、立憲民主党の立ち位置から程遠い政党との選挙協力には懐疑的です。1+1がプラスとならず、1+1がマイナスに働くような危惧すべき点として日本維新の会との距離感があります。

立憲民主党の理念や軸足と180度違う政党として、自民党以上に日本維新の会を思い浮かべます。所属している議員の中に評価すべき方々も少なくないのかも知れませんが、4月に投稿した記事「新着資料紹介『「維新」政治と民主主義』」に示したような政党としての体質の問題が非常に気になっています。

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2025年10月 4日 (土)

究極のトップリーダー、トランプ大統領

前回記事は「問われているトップリーダーの資質 Part3」とし、時節柄、自民党総裁選の話題について触れてきました。本日、新総裁が決まり、今月15日に召集される予定の臨時国会で首班指名を受ける見通しです。この話題については、きっと次回以降の新規記事で取り上げることになるのだろうと思っています。

今週末に投稿する記事では、前回記事で予告した究極のトップリーダーであるトランプ大統領に絡む話を書き進めます。9月21日の読売新聞朝刊一面に『[地球を読む]トランプ政権、超大国の急速な自己破壊』という論評が掲げられました。評者は米政治哲学者のフランシス・フクヤマさんです。

トランプ氏、ハマスにガザ和平計画受け入れの期限示す…日本時間6日午前7時』という最新の報道にあるとおりトランプ大統領が、パレスチナの地での戦火が消えることに力を注いでいることは確かです。イスラエルによる子どもたちも含めた殺戮が、一刻でも早く停まるのであれば歓迎すべき動きだろうと思っています。

しかし、この期限が「ラストチャンスだ」、ハマスが合意を拒めば「誰も見たことのない地獄が始まる」と警告し、応じない場合はイスラエルの軍事作戦継続に全面的な支持を与えると見られています。つまり決して中立的な立場からの動きではなく、このまま停戦合意に進むのかどうか予断は許されません。

トランプ大統領は「6か月で6つの戦争を終わらせた」とアピールしています。対立している当事者間だけで争いを停めることは難しく、第三者的な立場の国や人物が介入することで停戦に向けた動きを作りやすくなります。そのような意味で、トランプ大統領の行動力は率直に称賛すべきなのかも知れません。

トランプ大統領はノーベル平和賞が大好きで、自ら受賞したいための個人的な動機が前面に出ていたとしても、世界各地の戦争や紛争を終わらせていけるのであれば評価すべきことです。しかしながら前掲したフクヤマさんの論評を目にし、たいへん驚き、トランプ大統領の危うさを改めて痛感していました。

インドが中国とロシアに急接近しています。『モディ氏とプーチン氏、抱擁で関係深化演出-米の批判に共に対抗』という記事のとおりインドのモディ首相は、中国で開催された上海協力機構首脳会議の場でロシアのプーチン大統領と抱擁を交わしました。首脳会談の冒頭では、両国は「特別な」関係を共有していると宣言しています。

インドによるロシア産原油の購入を巡り、アメリカから批判を受ける中、両国の関係深化を改めて印象付けていました。論評の中でフクヤマさんは「世界最大の人口を持つ民主主義大国のインドが突然、中国主導の反民主主義連合に接近したのは、まさにトランプ大統領による一連の決定の直接的な産物だ」と語っています。 

このような接近は中国とロシアを利するだけでなく、日米豪印4か国の協力対話枠組み「クアッド」の一角を失う事態になりかねず、日本の戦略への悪影響も懸念されています。これまでアメリカは、インドが中国の重大なライバルかつ牽制役であるため、インドとの良好な関係構築に努めてきています。

それがトランプ大統領とモディ首相との一本の電話によって、長年培ってきた関係性が壊れてしまったことをフクヤマさんの論評を通して知りました。トランプ大統領は、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で発生した軍事衝突を収めたのは自分の手柄だと主張しています。

さらに「パキスタンは自分をノーベル賞候補に推薦してくれている」と伝え、インドも追随するようほのめかしていました。トランプ大統領の主張に対し、かねてからインドは「外国の助けを借りた」と言われることに敏感であるため、モディ首相は 「停戦合意はパキスタンとの直接交渉によるもので、アメリカの助けなど必要なかった」と言い返していました。

停戦の功績を認めないモディ首相にトランプ大統領は激怒し、インドに対する関税を50%に引き上げています。第1次トランプ政権当時、政府の求めに応じて生産拠点を中国からインドに移したアメリカ企業が多く、それらの企業にさらなる重荷を課したことになります。このような決定に対し、フクヤマさんは次のように語っています。

かくしてトランプ氏は、インドを中国を牽制するためのパートナーに育てようとした数十年間の外交努力を、わずか一瞬で投げ捨てた。予見可能ではあったが、悲しいことにトランプ氏は米国の国益を一切、顧みることなく、完全に自己中心的な動機から行動しているように見える。インドとの軋轢は、トランプ大統領による米国に対する自傷行為の一つにすぎない。

トランプ大統領の資質から派生している暴挙や混乱が立て続いています。究極のトップリーダーだと言えるトランプ大統領の判断は、アメリカ国内にとどまらず、世界中に大きな影響を及ぼします。その判断に至る動機や理由が稚拙であり、個人的な利益を優先しているような様子もうかがえます。

 一連の行動の背後に見えるのは、トランプ氏の個人的利益だ。中東での戦争介入に反対していたはずなのに、イスラエルのネタニヤフ首相が相対的に危険度が低い対イラン爆撃の機会を提供すると飛びついた。暗号資産には懐疑的だったのに、トランプ一族が稼げるチャンスだとみるや態度を一変させた。

このようにフクヤマさんはトランプ大統領の行動原理を分析しています。事実であれば非常に危うい事態であり、国益よりも個人の利益を追求するような人物がトップリーダーになり得る民主主義の仕組みと現状に警鐘を鳴らしていかなければなりません。

フクヤマさんは論評の最後に「日本はもとより、自らの安全と繁栄を米国に依存してきたすべての国にとり、憂慮すべき事態である」と記しています。この新聞記事の内容の紹介に続き、最近手にした『日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか』という書籍の話につなげることを考えていました。

ただ毎週1回更新していくブログでもあり、今回の記事はここで一区切り付けます。次回以降の記事で取り上げる際伊勢﨑賢治が明かす、石破のアドリブを引き出した「国会質問の舞台裏」と、"戦争ごっこ"ではない「現実的国防論」の展望』『「恥ずかしい」「悔しい」日本の外交をイスラエルが政治利用、SNSで炎上―岩屋外相に批判相次ぐ』という話も紹介していくつもりです。

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