2020年9月20日 (日)

新しい立憲民主党に期待したいこと

このブログはプロフィール欄に掲げているとおり管理人名を「OTSU」としながら匿名で発信しています。ただ私どもの組合員の皆さんをはじめ、知り合いの方々にとって匿名ではありません。このような関係性のもとブログに綴る内容は実生活の中で、そのまま発言する場合や記名原稿として周知することが日常化しています。

建前上は匿名のブログだから書ける、逆に実生活で訴えている内容はネット上で不特定多数の方々に伝えられない、そのどちらでもありません。ブログでの発言の重さを踏まえているため、婉曲な言い回しも多く、分かりづらいという指摘も受けがちです。それでも自分の思いを偽ることは一切なく、伝えたい内容をネット上でも実生活でも同じように発しているつもりです。

先週日曜に投稿した前回記事は「自民党総裁選と合流新党」でした。その翌日、立憲民主党の参院議員の江崎孝さんと衆院議員の大河原雅子さんにお会いする機会がありました。江崎さんは自治労組織内というつながりから当ブログでは以前「参院選は、えさきたかしさん」「江崎孝さんを再び国会へ」という記事を投稿していました。

大河原さんは私どもの組合の地元選挙区で立候補する予定の方です。以前の記事「参院選、民主党大躍進」の冒頭で触れているとおり参院東京選挙区で初当選され、現在は衆院議員として活躍されています。新しい立憲民主党ではジェンダー平等推進本部長に就任されたようです。

お二人にお会いした際、国会議員だけの代表選挙にとどまったことの残念さなど前回記事に綴った内容をお伝えしています。名前よりも中味が大事なのでしょうが、今回に限っては党名を変えることでイメージを一新する必要があったのではないかという点について尋ねていました。

支持率が10%以上ある政党であれば認知度を下げてしまうリスクもありますが、5%を割り込む現状であれば党名変更によって心機一転、巻き返すためのチャンスだったのではないでしょうか、このようにお伝えしていました。たいへん僭越で失礼な物言いだったかも知れませんが、頑張って欲しいという率直な気持ちを訴えさせていただいています。

前回記事の最後に国民民主党の連合組織内議員が合流できなかったことを紹介していました。この話題についても私から触れています。この結果に最も残念な思いを強めているのは連合の神津会長ですが、各議員や出身産別との調整が不充分だった責任も神津会長に帰していることも否めません。

民主党時代、2030年代に原発ゼロをめざすという政策を提言していました。合流新党の発足に向け、将来的には原発ゼロという総論的な目標として意思一致をはかって欲しいものと願っていました。連合全体での踏み込んだ原発に関する議論は不足しているのかも知れませんが、昨年、私が所属する連合地区協議会は福島第一原発の現状を視察しています。

東電労組の皆さんと率直な意見を交わす中で、必ずしも原発を積極的に推奨する立場ではないことを伺っています。したがって、脱原発かどうかという二項対立的な図式ではなく、どのようにすれば原発に依存しない社会を築いていけるのかどうかという視点を大事にすべきだろうと考えています。

視察について綴った当ブログの記事の最後に上記のような私自身の思いを残していました。新しい立憲民主党においても基本的な理念として原発ゼロを重視した上、原発に対する幅広い考え方を持つ国会議員も包摂するような対応が欠かせなかったのではないでしょうか。

江崎さんと大河原さんにお会いした際、話題にした内容をもとに書き進めていることには間違いありません。とは言え、それほど長い時間、お二人と意見を交わした訳ではありません。したがって、今回の記事をまとめるにあたって、いろいろ付け加えている内容が多いことも申し添えなければなりません。

そのような点を申し添えた上、もう少し書き進めていきます。自民党を支持している連合の組合員が多く、自治労の組合員にも同様な傾向があるという話題にも触れました。組合役員側の情報発信の問題もあるのかも知れませんが、私からは安倍前首相の巧妙さがあることも指摘させていただきました。

民主党は国家公務員の総人件費20%削減をマニフェストに掲げていましたが、デフレ脱却という方向性のもと自民党政権は公務員賃金の引き下げについて前面に打ち出していません。このような対比がされがちな中、自治労組合員の中に自民党に対する親和性が高まっている現状についてお伝えしています。

そもそも安倍前首相はソーシャルな政策を数多く手がけています。労働政策研究者の濱口桂一郎さんはブログ記事「半分ソーシャルだった安倍政権」の中で「一般的には社会党とか労働党と呼ばれる政党が好み、労働組合が支持するような類の政策も、かなり積極的に行おうとする傾向があります」と解説しています。

つまりソーシャルな政策面では野党側が対立軸を打ち出しづらかったという話につなげていました。しかしながら安全保障面では明確な対立軸を打ち出せるはずであり、最近の記事「憲法9条の論点について」のような問題意識を私自身は抱えています。今回の記事で詳述しませんが、新しい立憲民主党に期待したいことの一つとしてソフトパワーを重視した政党であることを願っています。

余談ですが、このブログでは総理と呼ばず、首相という肩書きを使っています。菅義偉首相に対しては菅総理と記していきます。菅直人元首相との紛らわしさもありますが、今さらながら「首相」よりも「総理」のほうの文字入力の簡単さに気付きました。長い記事になっている中、本当に余計な話で恐縮です。

政権発足当初の支持率としては小泉政権、鳩山政権に続く高さで菅総理の内閣が滑り出しています。ただ菅総理の論戦力は疑問視され、官僚に対する政治姿勢も問題視されがちです。私自身は「国民のために働く内閣を作る」という言葉にも違和感を抱いています。

政権が交代した訳ではなく、まして官房長官を務めていた菅総理が強調する言葉としては如何なものかと思っています。それまでの内閣は「国民のために働いていなかったのか」という疑問が生じがちです。揚げ足取りだと批判を受けてしまうのかも知れず、「よりいっそう」という意味で理解してみようと思っています。

記事の紹介が中心となりますが、ブックマークしているBLOGOSで理学博士の鈴木しんじさんは『菅氏の「自助・共助・公助」はおかしい』という記事を投稿しています。他のサイトでは『「菅義偉さん、やっぱりあなたは間違っている」…“左遷”された総務省元局長が実名告発』という記事を目にしています。

慶応大学名誉教授の小林節さんは『「政治に抵抗する官僚は更迭して当然」という大きな誤解』という論説を展開しています。多様な意見に耳を傾けず、より望ましい「答え」から遠ざかる懸念がある菅総理の政治姿勢だと言えます。その結果、私たち国民に不利益を被るケースが生じていく話となりかねません。

前述したとおりここまで詳しく話した訳ではありませんが、菅総理にはしっかりたださなければならない疑念が多々あることを江崎さんらと認識しあっていました。新しい立憲民主党に期待したいこととして、問題視すべき点については国民から共感を得られる説得力のある言葉で菅総理を追及して欲しいものと願っています。

最後に、新党さきがけの代表だった武村正義さんが枝野代表らに助言した内容を掲げたサイト『「鳩山内閣のような未熟な政治主張をしない」 枝野、前原両氏に元官房長官・武村正義氏が助言』を紹介します。新党さきがけ出身者に対する叱咤激励ですが、対立軸のヒントが隠された興味深い箇所をそのまま紹介させていただきます。

◇武村さんたちが立ち上げた「新党さきがけ」は「小さくともキラリと光る国」「質実国家」を掲げ、地球環境保護も政治理念に盛り込んでいました。今の野党は自公政権に対し、明確な対立軸を打ち出せていないように見えます。

「自民党という巨大政党は『鵺』みたいなもの。いろいろな側面があり、つかみどころがない。野党がいわゆる社会民主主義的な政策、弱者を擁護する姿勢を強調するのは一つの手だが、自民はその政策にすぐに乗ってきたり、それ以上のことを公約したりする。変幻自在なところがあって、それで生き延びてきた。だから、自民との違いを鮮明にするのは簡単ではない。無料化や国民負担を軽減する政策に自民は財政(の持続性)の立場から抵抗すべきなのに、しない。結果、国の借金が返せないほど膨らむという日本特有の政治現象が起きている」

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2020年9月13日 (日)

自民党総裁選と合流新党

インターネット上からは幅広い情報がコストをかけず、素早く手軽に入手できます。インプットした情報を組合役員という立場でアウトプットする機会が少なくありません。さらに当ブログを通し、不特定多数の方々にネット上で発信を続けているため、普段から幅広い情報にアクセスするように努めています。

その際、一面的な情報では正確な事実関係をつかめないケースもあります。最近、ネット上で『つるの剛士が畑泥棒を「近くの工場で働いてる外国人」「あそこ怪しすぎる」とヘイト丸出しツイート』という記事を目にしました。つるのさんが「畑泥棒は外国人だ」と憶測で決め付けていた場合、確かに批判を受けるツイートだったかも知れません。

ただ他のサイト『つるの剛士さんも炎上、なぜ野菜・家畜泥棒で「外国人」が疑われるのか』等にアクセスすると、現行犯で捕まえた犯人は「日本語分かりません」の一点張りだったという事実関係を把握できます。したがって、つるのさんに対する「外国人の犯罪かのように示唆してRTするのは極めて差別的」という非難は的外れだったと言えます。

先に紹介したLITERAの記事はそのような事実関係を踏まえながら、つるのさんのツイートでの発言を批判していました。畑泥棒した外国人がいた事実をもって、他の畑泥棒も外国人が多いと決め付け、外国人の入国を規制すべきという極端な意見であれば批判を免れません。しかし、そのような意図のないツイートの言葉を深読みし、つるのさんを批判するのは行き過ぎだろうと思っています。

記事タイトルに掲げた本題に入る前の話題で4段落を費やしています。前回記事「安倍首相の辞任会見後の話」は途中でタイトルを変えていましたが、今回は旬を外さないためにも「自民党総裁選と合流新党」の話題にここから集中していくつもりです。いずれにしても前置きしたとおり「多面的な情報への思い」のもとに幅広い情報をアウトプットする一つの場になり得ることを願っています。

さて、自民党の総裁選は月曜午後に投開票日を迎えます。菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長が立候補しています。自民党内の国会議員や各県連から党員投票を求める声が強まっていましたが、政治的空白を生じさせないという理由から党本部は両院議員総会での「簡易総裁選」を押し通しました。

小泉進次郎環境相は政治空白について「まったく嘘。首相は職務をこなしていて各閣僚は安倍内閣で仕事をしている。緊急事態宣言下でも全国で国政選挙や自治体選挙はやっている。なぜ全党員投票ができないのか論理的な説明がない」とまで批判していました。プラス1週間で党員投票を実施できるという見方もあり、そもそも党内の反発を受けた党本部は各県連での予備投票を推奨しています。

正式な党員投票の場合、地方票は国会議員票と同数となる394票ですが、両院議員総会での選出の場合は141票となります。結局のところ地方票を多く集めてきた石破候補を意識した党本部の判断だと思われています。「民意が反映されにくい選び方だ」というを耳にしますが、仮に全党員に対する投票を実施した場合でも、その民意はあくまでも自民党内のものでしかありません。

自民党総裁が総理大臣に直結する仕組みである限り、新たな首相に対する民意を問う機会は衆院の解散総選挙となります。勝ち馬に乗る自民党内の各派閥の思惑によって密室の中で選ばれたという声もあり、国民からの民意や正統性を担保するためにも新総裁は支持率が上昇している今、解散総選挙を強く意識しているのではないでしょうか。

総裁選は菅長官の圧勝という構図ですが、それぞれの候補者の政治理念や資質が見極められる機会となっています。ブックマークしているBLOGOSで目にしたChikirinさんのブログ「自民党総裁選 候補者の演説まとめ」で3候補の立ち位置や政策が興味深くまとめられ、「菅さんは全体として非常に上手い(マーケット感覚がある)スピーチでしたね」と評していました。

LITERAでは『官房長官がテレビ討論でもポンコツ露呈!「news23」では失言に加え放送事故寸前の質問』という記事があり、菅長官の資質や能力を厳しく批判していました。菅長官が「石破さんに沖縄の基地問題、特に辺野古の問題についてお尋ねしたいなあと思います」と問いかけ、この後に続く言葉がなかったため、数秒経ってから「え?」という声がスタジオ内に漏れていました。

この場面を映した「news23」を私も見ていましたが、本当に「え?」という間の抜けた瞬間でした。今回の総裁選を通して感じたことですが、菅長官は反射神経を問われるような言葉のやり取りが不得手なタイプであるように見受けられます。今後、間違いなく新首相に就任する菅長官について、いろいろな話題を情報提供していくことになるのだろうと思っています。

自民党総裁選の影に隠れてしまいましたが、立憲民主党と国民民主党などによる合流新党の代表選は先週木曜に行なわれました。立憲民主党の枝野幸男代表が国民民主党の泉健太政調会長を破り、新党の党名は「立憲民主党」に決まりました。衆院106人、参院43人が参加する野党第1党の誕生です。

より望ましい政治の実現のためには国会での的確なチェック機能の発揮が欠かせません。さらに国民から支持されない政策や失態を重ねた場合、政権の座を奪われるという緊張感のある政治的な構図が重要です。一時的に支持率を下げても選挙で負けなければ、問題視された個々の事案も信任されたと思わせてしまうような関係性は絶対好ましいものではありません。

そのためには合流新党が現実的な政権の選択肢として国民の多くから期待されていくことを願っています。合流新党について毎日新聞の調査で「期待は高まった」が24%にとどまったと報じられています。しかし、政党支持率の低さから比べれば、4人に1人が期待しているという前向きな見方もできます。

このような期待を表明した上で、いくつか辛口な指摘があることを添えていかなければなりません。まず合流新党の代表選にあたり、立憲民主党の蓮舫副代表は「派閥が総理を決める政党政治ではなく、国民が主役、国民が選択できる政党に」とツイッターに書き込んでいました。しかしながら新党に移行する過渡期という事情から党員やサポーターには投票権が与えられませんでした。

残念ながら自民党の組織土壌と対比させ、合流新党の清新さをアピールできるチャンスを逃していました。加えて、非公式なネット投票と実際の代表選の結果との乖離が話題になり、音喜多駿衆院議員からは政治家のネットリテラシーについて問題提起されています。

続いて、枝野代表らが立憲民主党という党名に固執していたことは意外でした。結党時からの思い入れが深いことは理解しています。名前ではなく、中味が重要であることも当然ですが、新党を立ち上げるタイミングでの党名変更は心機一転のチャンスだったものと思っていました。もう一つの選択肢が「民主党」だった点も含め、党名に関しては国会議員の皆さんと私自身の感覚にズレが大きかったようです。

新しい立憲民主党に期待したいこと、注文を付けたいことは、まだまだあります。長い記事になっていますので、ここで一区切り付けさせていただきます。最後に、最も残念な結果として下記報道のとおり国民民主党の連合組織内議員が合流できなかったことです。このことも含め、次回以降、私自身の問題意識を改めて書き進めてみるつもりです。

立憲民主、国民民主両党などの合流新党に参加しない玉木雄一郎・国民代表らが結党を目指す新党の参加者は14人となる見通しとなった。合流新党への不参加を決めた六つの産業別労働組合(6産別)の組織内議員(9人)の一部も加わる。合流新党が目指す「連合傘下労組の統一した選挙支援体制」は、実現が困難な情勢となってきた。

14人は7日までに、国民で分党協議の開始を求めている岸本周平選対委員長に対し、玉木氏らの新党への参加を申し出た。「5人以上の国会議員」との政党助成法上の政党要件を満たしたことで、国民執行部は8日の役員会で分党協議の開始を決めるとみられる。

連合傘下の労働組合は、旧民進党が2017年に旧希望の党(後の国民)と立憲民主党の事実上2党に分裂して以降、公務員労組系の自治労や日教組などが立憲、民間労組系の自動車総連や電力総連などが国民を支持・支援してきた。そのため、連合の神津里季生会長らが合流新党結成を後押しし、支援の統一化を目指してきた。

玉木氏らの新党については、菅義偉官房長官に近い日本維新の会との協力・連携も取り沙汰されており、合流新党参加議員は「連合の分裂につながるのではないか」と危惧する。【毎日新聞2020年9月7日

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2020年9月 5日 (土)

安倍首相の辞任会見後の話

前回記事「憲法9条の論点について」の中で安倍首相の辞意表明について取り上げました。健康上の問題での退陣ですので労いの意味合いから下落傾向だった支持率も、ある程度上がるのだろうと見ていました。ただ共同通信社の調査で20ポイント超上昇した結果には驚きました。

リンク先の記事で「反安倍はやめるから上がったと言い、安倍総理支持派はやめて欲しくないから上がったと言う」という声も紹介しています。さらに朝日新聞社の調査で第2次安倍政権の7年8カ月の実績評価を聞くと「大いに」17%、「ある程度」54%を合わせて71%が「評価する」と答えていました。

2007年9月、 第1次政権時に安倍首相が辞任を表明した直後、同じように質問した際は「評価する」が37%で、「評価しない」が60%でした。政権を担った全期間の総合評価の違いですが、辞意を表明した記者会見の持ち方にも大きく明暗を分けた要素があったものと思っています。

流れを変えた記者会見の一つとして、郵政解散直後の小泉元首相の姿を思い出しています。「参院で否決されて、なぜ衆院を解散?」という懐疑的な雰囲気を一蹴した気迫が伝わってきた記者会見でした。シチュエーションが異なりますので気迫云々で比べるものではありませんが、プロンプターは使わずに安倍首相自身の思いが伝わる会見だったと言えます。

前回記事で安倍首相に対する評価の落差が人によって極端に枝分かれしていることを記していました。いみじくも安倍首相の辞意表明の受けとめ方の決定的な落差によって、京都精華大学の白井聡さんがシンガーソングライターの松任谷由実さんを罵倒し、謝罪するという騒動まで起こっていました。

いつも述べているとおり私自身の心構えとして「誰が」に重きを置かず、「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」という論点を重視しています。安倍首相に対しても評価すべき点があれば評価した上で、問題点があれば具体的な政策や言動を示しながら批評するように心がけています。

どちらかと問われれば安倍首相を支持している立場ではありませんが、安倍首相を信奉されている方々が多いことも冷静に受けとめています。当たり前なことですか、安倍首相を支持されている方々を見下すような思いは一切ありません。そのため、安倍首相の会見に涙した松任谷さんを揶揄した白井さんの言葉は極めて不適切だったものと思っています。

安倍首相に限らず、時の最高権力者を支持する自由、もしくは支持しない自由、それぞれを認め合っていける社会が大切です。お互いの考え方や意見が異なっても、相手を全否定し、攻撃し合うことは避けたいものと願っています。ちなみに以前の記事「批判の仕方、その許容範囲」の中で権力者に対する批判のあり方について私見を述べていました。

このブログの場では、いろいろな「答え」を認め合った場として分かり合えなくてもいがみ合わないことの大切さを頻繁に訴え続けてきています。そして、自分自身が正しいと信じている「答え」に対して共感を広げていくためには、異なる立場や意見を持つ方々に届く言葉を探すことの重要性を認識するようになっています。

今、マスメディアからは自民党総裁選の話題が連日伝えられています。立憲民主党と国民民主党が合流するため、同じ時期に新党の代表を決める選挙も行なわれます。完全にかすんでしまいましたが、自民党総裁選のほうは実質的に総理大臣を選ぶ動きであり、やむを得ないことだろうと考えています。

個人的にはそれぞれ関心を寄せる話題だったため、今回の記事は「自民党総裁選と合流新党」というタイトルを付けていました。いつものことながら書き進めるうちに話が広がり、相応の長さとなっていたため途中でタイトルを変えていました。旬を外していなければ次回の記事を「自民党総裁選と合流新党」とするつもりです。

最後に、ブックマークしているBLOGOSで目にした経営コンサルタントの倉本圭造さんの記事「左派の過激化する正義感がむしろトランプ大統領再選を可能にする理由」を紹介します。今回の記事に託している私自身の問題意識につながる内容だったため、興味深く読ませていただいていました。冒頭の箇所のみ掲げますが、興味を持たれた方はリンク先で全文をご参照ください。

今回の記事は、例えば安倍首相が辞任するとなった時に、「安倍氏が支持されていた理由」を直視してそれを包摂しようとすることなく、安倍氏や安倍氏の支持者をリベラル派が罵倒しまくって溜飲を下げているだけだと、結局さらに孤立無援化して「リベラル的でない」政策が通る世界になってしまうのではないか?という話をします。

そして後半では、まさにそれと同じ理由で、アメリカではさすがに今回は米国民主党のバイデン氏の方が勝つだろう・・・と思われていた状況が徐々に逆転しつつある状況にあるという話をします。

この記事を通じて伝えたいメッセージは、リベラルがやるべきことは安倍氏やトランプ氏を罵倒して溜飲を下げることではなく、「リベラルが取りこぼしているもの」をいかに包摂できるか真摯に向き合うこと・・そうしないと選挙に負け続けるぜ!ということです。

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2020年8月29日 (土)

憲法9条の論点について

金曜の夕方、安倍首相が記者会見し、持病の潰瘍性大腸炎の悪化を理由に辞任する意向を表明しました。2週続けて慶応大病院に通い、健康不安説が取り沙汰されていましたが、大半の方は続投されるものと見ていたはずです。周囲が思っていた以上に持病の悪化は深刻なものだったようです。

13年前は持病が悪化しながらも、ぎりぎりまで続ける意思を示した結果、内閣改造後の唐突な退陣となっていました。その時の手痛い失敗を教訓化し、今回、より望ましい辞意表明のタイミングを探られていたとのことです。自分自身への後々の評判を意識した配慮だったとしても、任期途中の辞め方として賢明な判断だったのではないでしょうか。

以前の記事「改めて言葉の重さ」の中で、人によってドレスの色が変わるという話題に接した時、安倍首相のことが頭に思い浮かんだ近況を綴っていました。見る人によって、ドレスの色が白と金に見えたり、黒と青に見えてしまうという話を紹介し、安倍首相に対する評価や見方も人によって本当に大きく変わりがちなことを書き残していました。

これまで安倍首相のことを取り上げた書籍を数多く読んできました。同じ出来事や言動に対する評価が著者によって180度違うため、ますます上記のドレスの色のことが頭に浮かび続けていました。そもそも基本的な立ち位置が安倍首相と同じであれば評価する、相反すれば評価できない、当たり前なことかも知れません。

ただ安倍首相の場合は、その評価の落差が人によって極端に枝分かれしていたように思っています。特に憲法や安全保障に対する価値観に対し、評価の枝分かれが顕著だったものと見ています。これまでの憲法9条を支持している方々にとって安倍首相は警戒すべき「敵」であり、改めるべきものと考えている方々にとって安倍首相は頼もしい「味方」となります。

今月「平和を考える夏、いろいろ思うこと」「平和を考える夏、いろいろ思うこと Part2」という記事を投稿していました。その後の前回記事「例年より遅い人事院勧告」の冒頭でもyamamotoさんからのコメントを受け、憲法9条の解釈を巡る記述を掲げました。その記述に対しては、たろうさんから問いかけがありました。

前回記事のコメント欄で私自身の考え方を補足した上で「周辺国との関係性も踏まえ、どのような憲法が国民にとって望ましいのか、戦争を防ぐため、平和を築くためにどのような憲法や安全保障のあり方が望ましいのか」と記し、論点を明確にする一助になれることを願いながら憲法9条について引き続き取り上げていくことを付け加えていました。

さっそく今回の記事で改めて憲法9条について掘り下げてみます。大前提として安倍首相も、安倍首相を支持されている方々も戦争を防ぐため、平和を築くための方策として改憲の必要性を認識されているものと考えています。護憲派は平和主義者で、改憲派は戦争を肯定しているというような短絡的な二項対立の構図を問題視しています。

以前の記事「改めて安保関連法に対する問題意識」「憲法9条についての補足」などを通して私自身の問題意識を詳述していますが、いつも「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」という論点の提起に心がけています。仮に憲法9条を改め、いざという時に国際社会の中で認められた「普通に戦争ができる国」に近付けることで、より望ましい平和が築けるのであれば改憲の動きを積極的に支持したいものと考えています。

しかし、そのような軍事的な抑止力、いわわる「狭義の国防」やハードパワーを強める方向性よりも、外交関係や経済交流を活発化させるソフトパワーを強めて欲しいものと願っています。攻められたら反撃しても、攻められない限り戦争はしないという専守防衛の原則こそ「安心供与」という「広義の国防」につながっているものと理解しています。

かつて仮想敵国だったソ連、現在のロシアとは友好的な関係を築いています。北方領土の問題は無人島である尖閣諸島とは比べられないほどの主権や元島民の皆さんの強い思いがありながらも、対話を土台にした外交関係を築いています。その結果、ロシアの核ミサイルの射程範囲に日本も入っているはずですが、北朝鮮に対するような脅威が日本政府から煽られることはありません。

残念ながら北方領土の問題は膠着しています。とは言え、安倍首相がプーチン大統領と信頼関係を構築してきたこと自体は評価すべき点だろうと考えています。中国との関係では香港民主派への弾圧問題によって難しい局面を迎えていますが、国賓として招待することで安倍首相が習国家主席との信頼関係を高めようと努力していた姿勢も評価しています。

憲法9条について掘り下げる記事が、時節柄、安倍首相に絡む内容が多くなっています。今回、制定過程や解釈の変遷について改めて整理してみるつもりでした。さらに敵基地攻撃能力に関しても触れられればと思っていました。いろいろ話を広げながら書き進めてきたため、ここまでで相当な長さとなっています。

初めに想定した内容と大きく異なりますが、もともと「雑談放談」をサブタイトルに掲げたブログですのでご容赦ください。ここからは最も提起したかった内容を中心に書き進めていきます。その上で、さらに安倍首相に関わる話が論点として続きます。

  1. 安倍首相らがすすめる憲法9条などの改憲発議に反対します。
  2. 憲法を生かし、平和・人権・民主主義、生活の向上が実現する社会を求めます。

上記は「安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名」の請願事項です。「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」が呼びかけ、自治労も協力団体の一つです。請願事項の2番目は誰もが賛同できる内容ですが、1番目の文章は少し説明を要する気がしています。

改憲議論そのものは必要と考えている方々に対しても「安倍首相らの進める改憲発議は問題が多いため、ともに反対しよう」という意味合いがあるのかも知れません。思いがけない時期に安倍首相は退任してしまいますが、反対する目的や趣旨は変わらないため、すでに集まっている署名自体が無効にはならないはずです。

憲法9条には様々な論点があるため、結果的に1番目の請願事項はシンプルな文章になったのだろうと推察しています。「戦力は、これを保持してはならない」の解釈の妥当性の議論があります。憲法の文言に沿って現状を合わせるべき、もしくは解釈ではなく、現状に合わせて憲法の文言を改めるべき、つまり自衛隊の位置付けの議論です。

どのように憲法を解釈しても集団的自衛権は一切認められない、一方で時代情勢の変化のもと解釈を変えることができ、限定的であれば集団的自衛権も認められる、つまり安保関連法が違憲かどうかという議論もあります。安保関連法が成立する前、個別的自衛権や自衛隊の位置付けを明記するための改憲発議であれば反対する声も少なかったかも知れません。

このような論点もあるため、集団的自衛権を認めた解釈のもとの自衛隊明記案に反対する「安倍9条改憲NO!」という訴えにつながっているものと理解しています。したがって、安倍首相が退陣した後、安倍首相以外の総理大臣であれば改憲発議に反対しないのかという問いかけがあった場合、集団的自衛権を追認した改憲案には反対していくと答えることになります。

最後に、憲法を変えるべきかどうかという世論調査を行なった際、質問の仕方で結果は大きく変動するはずです。現状に合わせて憲法の文言を改めますかと問われれば「はい」という答えが多くなり、日本国憲法の三大原則の一つである平和主義を改めますかと問われれば「いいえ」が多くなるのではないでしょうか。

いずれにしても憲法9条に沿って日本の安全保障はどのようなあり方が望ましいのか明確な姿を提示した上で、憲法の文言を変える必要性があるのかどうか、まぎれのない選択肢の設定が重要です。改正条項の96条があるのですから、いつかは国民投票を実施する時が訪れるはずです。その際は、国民一人一人の共通理解と覚悟のもとに日本の進むべき道が決められる国民投票であることを願っています。

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2020年8月22日 (土)

例年より遅い人事院勧告

2週にわたって「平和を考える夏、いろいろ思うこと」「平和を考える夏、いろいろ思うこと Part2」という戦争をテーマにした内容を投稿しました。 前回記事に対し、yamamotoさんから日本国憲法9条の解釈を巡るコメントをお寄せいただいていました。

「Part3」という記事タイトルも思い浮かびましたが、今回は公務員にとって関心の高い題材を選んでいます。ちなみにyamamotoさんのコメントには以前の記事「改めて安保関連法に対する問題意識」「憲法9条についての補足」などを振り返りながら次のようにお答えしていました。

確かに自衛権に「個別的も集団的もない」と考える方々も多いはずです。しかしながら私自身は以下のような経緯と解釈のもとの日本国憲法の「特別さ」とその効用を評価しています。

草案の段階で憲法9条に「前項の目的を達するため」という記述はなく、当時の自由党の芦田均委員長の修正によって一文が加えられていました。ただ一文が入った解釈について施行後の国会答弁で、吉田茂元首相は自衛権まで含め「戦争を放棄している」という見解を示していました。

1950年の朝鮮戦争が勃発した頃から憲法9条の解釈は変わり、自衛隊の創設までつながっています。「前項の目的を達するため」以外であれば国家固有の権能の行使として「必要最小限度の自衛権」は認められるという解釈への転換でした。

このような経緯も含め、私自身は個別的自衛権まで認めた憲法解釈を支持する立場です。GHQに押し付けられたというネガティブな気持ちもありません。明治の自由民権運動から連なる日本国内の下地があった点をはじめ、多くの国民から半世紀以上支持されてきた憲法9条の理念や効用を評価しています。

付け加えれば未来永劫、憲法を改めてはいけないと考えている訳ではありません。もし改憲するのかどうかを問うのであれば日本国憲法の「特別さ」を明確な論点にすべきものと考えています。

yamamotoさんの問いかけに的確に答えられたのかどうか分かりません。思った以上に長い説明を加えながら言葉が不足しているのかも知れません。できれば機会を見て、この問題についても記事本文を通して取り上げさせていただきます。

省みると直近2回の記事の中で個別的自衛権と集団的自衛権の峻別等については触れていませんでした。上記の説明も不充分な気がしています。なかなか一つの記事だけで私自身の問題意識をお伝えする「一期一会」の実践は難しいようですが、できる限り努力は尽くしていこうと考えています。

さて、「人事院勧告の話、インデックス」があるとおり毎年8月に人事院勧告に関する内容を取り上げてきています。人事院勧告の時期が例年8月上旬だからです。しかしながら今年は勧告時期が大幅に遅れる見通しです。下記報道のとおり新型コロナウイルス感染拡大の影響で人事院の調査が遅れています。

国家公務員の給与改定に関して例年8月に行う人事院の勧告が、10月以降にずれ込む見通しとなったことが3日、関係者への取材で分かった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、勧告の根拠となる民間企業の月給に関する調査日程が大幅に遅れているため。

人事院勧告が10月以降となるのは、1960年からの現行制度下で初めて。勧告は都道府県人事委員会などが参考にするため、地方公務員の給与改定に関する自治体の動きにも遅れが出そうだ。関係者によると、今年の月給調査は今月17日~9月30日の日程で最終調整している。【共同通信2020年8月4日】 

国家公務員の賃金水準は毎年8月上旬に示される人事院勧告によって決まります。公務員は争議権など労働基本権の一部が制約されています。その代償措置として人事院や都道府県の人事委員会があり、民間賃金水準との均衡をはかるべく勧告を年に1回行なっています。

今年は新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、例年5月連休前後から始めている民間賃金の実態調査が遅れていました。賞与等の調査は訪問によらない方法で6月29日から先行実施していました。ようやく月例給の調査も8月17日から始まっています。

そのため、今年度の勧告は8月には示せず、10月以降に延びる見通しです。地方公務員賃金水準に直結する都道府県人事委員会の勧告も同様な事情を抱えています。緊急事態宣言が発出されるほどの非常時であり、勧告時期が遅れること自体はやむを得ません。

しかし、労働基本権の代償措置としての役割を負う人事院には客観的で公正な調査や判断が求められています。過去、政権の意向を「忖度」したような判断が見受けられた時もありました。たいへん厳しい社会経済情勢であることも確かですが、政治的な思惑を加味した恣意的な勧告内容であっては問題です。

このような懸念があるため、自治労など公務員・独立行政法人職員・政府関係企業職員の組合で構成する公務員連絡会は人事院総裁あての職場署名行動に取り組んでいました。公務員賃金水準維持や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う職務・職場環境の改善を求めた要求事項は次のとおりです。

  1. 2020年の給与改定勧告に当たっては、職員の月例給与の水準の維持を最低として、公平・公正で客観的な官民比較に基づくこと。
  2. 一時金については、精確な民間実態の把握と官民比較を行い、職員の生活を守るために必要な支給月数を確保すること。
  3. 勧告に当たっては、公務員連絡会との交渉・協議、合意に基づき行うこと。
  4. 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、公務職場の実態を踏まえた感染防止や安全確保を強化するとともに、関連業務をはじめとする給与・労働条件を改善すること。また、この間の人事院の対応について、公務員連絡会との交渉・協議による検証と、それを踏まえて改善をはかること。

すでに私どもの組合員の皆さんに対しても署名用紙を職場回覧し、ご協力を求めていました。いったん締め切っていますが、提出漏れがあった場合は至急組合事務所までお送りください。

コロナ禍によって収入が激減し、あるいは仕事を失った方々も多いものと受けとめています。そのため、上記のような公務員連絡会の取り組みは否定的に見られてしまう懸念もあります。それでも労働組合として主張すべき点は主張しながら役割を発揮していければと考えています。

最後に、最低賃金に関する最新の情報が入っています。中央最低賃金審議会が「現行水準維持」という判断を示していたため、わずかな額とは言え、40県が引き上げを決めたことに安堵しています。これ以上内需を落ち込ませないためにも官民問わず、賃金水準の維持向上は欠かせないものと思っています。

厚生労働省は21日、都道府県ごとに決める2020年度の地域別最低賃金について、全国の改定額を公表した。中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)は7月、「現行水準維持が適当」として引き上げの目安を示さなかったが、40県が1~3円引き上げた。全国平均の時給は現在より1円増の902円となった。10月から順次適用される。

最低賃金は16年度から4年連続で年率3%以上の大幅引き上げが続いてきたが、新型コロナの影響で足踏みした。40県が引き上げに踏み切ったのは「最低賃金の水準が低く、生活するので精いっぱい」といった労働側の意見が重視されたことが背景にあるとみられる。【共同通信2020年8月21日

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2020年8月16日 (日)

平和を考える夏、いろいろ思うこと Part2

前回記事「平和を考える夏、いろいろ思うこと」の中で、どれほど実践できているかどうか分かりませんが、基本的な立場性を問わず、できる限り共感を得られる訴え方の必要性に意識していることをお伝えしていました。一例として、安倍首相が「戦争をする国」をめざしているという決め付けた言い方は控えている点を上げていました。

誰もが戦争は避けたいと願っている中、戦争を防ぐため、平和を築くための考え方に相違が生じがちな現状について提起しています。その上で具体的な事例等を示しながら「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」という論点の提起に心がけています。

このような文脈のもと安倍首相は国際標準の「普通に戦争ができる国」に近付けたいと考えているのではないかという言葉につなげていました。私自身の頭の中では「戦争をする国」と「普通に戦争ができる国」の違いが明確に整理されています。

しかし、それぞれの言葉の違いは分かりにくいかも知れません。他国を刺激しないという「安心供与」や「広義の国防」を重視する道こそ、日本の進むべき道であって欲しいものと強く願っています、こちらの記述も同様に分かりにくかったかも知れません。

それぞれリンクをはった以前の記事を通して詳しい考え方を綴っていますが、皆さんが必ずしもリンク先の記事まで閲覧されるものではありません。そのため、できる限りリンク先の記事を参照しなくても分かりやすい記述に努力する必要があります。長い文章がいっそう長くなりがちな点にも注意しながら改めて「一期一会」の心得に努めていければと考えています。

実は前回記事のコメント欄で、おこさんから「安心供与の理論が腑に落ちず、相手に武力とか自分を脅かす脅威が無ければ安心して侵略することもありそうに思うんですが」というお尋ねがありました。先週日曜の夜、取り急ぎコメント欄で私自身の考え方をお答えしていました。

リンク先の記事と同様、記事本文をご覧になってもコメント欄まで目を通さない方も多いものと思っています。前述したとおり新規記事の本文に目を通すだけで伝えたい内容を分かりやすくするためにも、コメント欄でお答えした内容を再構成して今回の記事に掲げさせていただきます。

リンク先の記事「広義の国防、安心供与の専守防衛」等には「安心供与」について詳述していましたが、確かに前回記事の中では説明が不足していました。たいへん失礼致しました。

まず前提条件となる私自身の認識を改めて説明させていただきます。抑止力の大切さ、つまり個別的自衛権の必要性を認めている立場です。抑止力の対義語として「安心供与」があります。

ちなみに「広義の国防」の対義語は「狭義の国防」であり、ソフト・パワーとハード・パワーという対になる言葉も以前の記事の中で紹介していました。

また、防衛審議官だった柳沢協二さんは、脅威とは「能力」と「意思」の掛け算で決まるものだと話されています。このような点を踏まえ、以前の記事「平和の話、サマリー」には下記のような説明を加えていました。

安心供与はお互いの信頼関係が柱となり、場面によって寛容さが強く求められていきます。相手側の言い分が到底容認できないものだったとしても、最低限、武力衝突をカードとしない関係性を維持していくことが肝要です。

抑止力の強化を優先した場合、ますます強硬な姿勢に転じさせる口実を相手に与えてしまいがちです。外交交渉の場がなく、対話が途絶えている関係性であれば、疑心暗鬼が強まりながら際限のない軍拡競争のジレンマにつながります。

それこそ国家財政を疲弊させ、いつ攻められるか分からないため、攻められる前に先制攻撃すべきという発想になりかねません。そのような意味で、攻められない限り戦わないと決めている日本国憲法の専守防衛は、他国に対して安心を与える広義の国防の究極の姿だと私自身は考えています。

ヒトラーの試写室』という書籍を読み、このブログで紹介した記述があります。ナチスドイツが「武力侵攻すれば占領は困難ではないが、こちらの損害も大きい。戦争を継続する消耗は避けられず、スイス侵攻は得られる成果が見合わない」と判断し、スイス国内には「平和」が広がっていたことを記していました。

ここで付け加えるべき記述として、仮にスイスがドイツの敵対国だった場合、攻め込まれてスイス国民や国土は戦火に見舞われていたはずです。中立国という立場は広義の国防の一つであり、侵攻されない限り軍事力は行使しないという安心供与がスイス国内の「平和」を守ったと言えます。

その際、相手国を凌駕する軍事力がスイスにはありませんでしたが、個別的自衛権としての軍備も整えていたため、ナチスドイツ側の発言の通り一定の抑止力が働いたようです。

専守防衛を柱にした安心供与が日本国憲法の平和主義であり、私自身、必要最低限の自衛権の必要性とともにスイスと対比した日本の「特別さ」を感じ取る機会となっていました。

上記の赤字の箇所が前回記事のコメント欄に投稿した内容を少し再構成した私自身のお答えでした。今年の夏も「Part2」にわたりましたが、ここで終われば省力化をはかった記事となります。長々とした記事内容が歓迎される訳ではありませんが、もう少し書き進めながら前回記事の内容を補う機会とさせていただきます。

「普通に戦争ができる国」という言葉について私自身の考え方を改めて説明します。外交の延長線上として宣戦布告さえすれば合法だった戦争が、国連憲章によって第2次世界大戦後は国際社会の中で原則禁止されています。例外として、自衛のためと国連安全保障理事会が認めた場合の戦争だけを合法としています。

集団的自衛権は前者に当たり、同盟国などが武力攻撃を受けた際に共同で対処できるものです。後者は集団安全保障と呼ばれ、国連の枠組みで武力攻撃を行なった国を制裁する仕組みです。ちなみに国連安全保障理事会が「平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間」に限って、国連憲章第51条で集団的自衛権の行使を認めています。

日本国憲法は国際社会の中では異質なものに位置付けられます。これまで専守防衛、個別的自衛権に限って武力行使ができる「特別さ」を守り続けてきました。フルスペックではないという説明を加えているとは言え、安保関連法によって集団的自衛権が行使できるように改められています。

憲法の「特別さ」を維持することは問題であり、いざという時には国際社会で認められた戦争を行使できるように改めていく、このように安倍首相が考えているという見方自体は誤りではないはずです。そのため、安倍首相が戦争をすることを目的にした改革志向ではない点を理解しながらも徐々に「特別さ」を排し、「普通に戦争ができる国」をめざしているのだろうと見ています。

念のため、先ほどスイスの例を上げましたが、決して「自分の国だけ平和ならば良い」という考えではありません。平和国家というブランドイメージが定着できていれば平時において国際社会の場で戦争を抑止する役回りを担えるものと思っています。それこそ「広義の国防」につながり、ソフトパワーを重視した日本の進む道であって欲しいものと願っています。

最近『安倍晋三の真実』という書籍を読み終えています。安倍首相の「海外スピーチライター」であることを明らかにしている内閣官房参与の谷口智彦さんが綴った著書です。書籍の内容紹介には「モリカケ問題など、さまざまの逆風の中でも、〝国益〟を第一に進む安倍総理と、それを支えるチーム安倍の姿が何ひとつ隠すことなく語られている」と記されています。

谷口さんは「(この本を書くことは)安倍総理を失っては国益を害すと信じる強い動機のみによって、導かれてのことです」と語っていました。月に一度、必ず外国に行くと自らに課した安倍首相の「地球儀を俯瞰する外交」については、その使命感に裏打ちされた行動の有益さが子細に掲げられています。

集団的自衛権を行使できるようにした安保関連法の成立によって日米同盟が堅牢なものとなり、よりいっそう抑止力が高まったことを谷口さんは伝えています。安倍首相の動機や目的が「国民のため」であることを信じたいものと思っています。あくまでも冒頭に記したとおり「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」という論点のもとに安倍首相の判断の是非を評価しています。

首相式辞から「歴史」消える 今年も加害責任は言及せず』の報道のとおり昨日の全国戦没者追悼式で、安倍首相の式辞から昨年まで繰り返し用いてきた「歴史」という文言が消えました。近隣諸国への加害責任は8年連続で触れていません。ある省庁の幹部は「(来年9月の自民党総裁の)任期満了まで約1年で、政治信条を表現したかったのではないか」と語っています。

谷口さんは安倍首相から「戦前、戦中、父祖たちがなした行いに、いったい今を生きる我々が、なんの資格あって謝ることができるというのか。父祖の行為をいつでも謝れると考えるのは、歴史に対する傲慢である」という趣旨の話を聞いたことを著書の中で紹介しています。その章の結びには次のとおり記され、谷口さんは安倍首相の政治信条を絶賛していました。

安倍総理における潔癖は、謝罪によって自分の政治的株価を上げることよりも、内心の自己愛を満足させることも、いずれも決してよしとしません。これこそが、安倍総理が過去父祖たちの時代に起きたことに謝らない、いえ、謝るという行為をなし得ないと考えている理由なのです。安倍晋三という人の真実は、歴史に対するその謙虚さにある。まさにその意味において、安倍総理は、保守主義の真髄を身につけた人である。私は、そう思います。

個々人の思想信条の自由は保障されなければなりません。しかし、日本の総理大臣の信条や振る舞いとして私自身は強い違和感があります。歴史を教訓化し、被害者側の心情に想像力を巡らせば適切な考え方なのかどうか疑問に思います。加えて、安倍首相の周囲には多様な立ち位置の人材が少なく、多面的なチェックが働きづらくなっているような危惧を感じています。

たいへん長い記事になっていますが、最後にNHKスペシャル『渡辺恒雄 戦争と政治 ~戦後日本の自画像~』について触れさせていただきます。内容は下記の紹介のとおりですが、戦争の悲惨さや軍国主義の不条理さを体験してきた方々が、どのように現実の政治の場面に向き合ってきたのかどうかを克明に伝えた番組でした。戦後生まれの政治家が圧倒多数となっていますが、ぜひ、戦争に対する嫌悪感を継承する努力は尽くした上で平和を語って欲しいものと強く願っています。

70年にわたり戦後政治の表と裏を目の当たりにしてきた読売新聞グループのトップ・渡辺恒雄氏、94歳。今回、映像メディアによる初めてのロングインタビューが実現した。証言から浮かび上がるのは、歴代首相の“戦争体験”が、戦後日本に与えた影響である。戦争の記憶が薄れゆく戦後75年目の日本。戦後日本が戦争とのどのような距離感の中で形作られ、現在に何をもたらしているのか。渡辺氏の独占告白から立体的にひも解く。

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2020年8月 8日 (土)

平和を考える夏、いろいろ思うこと

連日、新型コロナウイルスの感染拡大に絡む報道を耳にしています。そのような時期ですが、戦後75年を迎え、戦争と平和を考える特集記事や番組も多く見かけています。広島と長崎への原爆投下、敗戦が伝えられた8月15日、私たち日本人にとって様々な思いを巡らす季節だと言えます。

戦争体験者が少なくなる中、この時期だけでもメディアが力を注ぐことを肯定的にとらえています。このブログでも3年前の夏には「平和への思い、自分史」「平和への思い、自分史 Part2」という切り口で、一昨年は「平和の話、インデックスⅢ」「平和の話、サマリー」「平和の話、サマリー Part2」という総まとめ的な記事を連続して投稿していました。

昨年は「平和の築き方、それぞれの思い」「平和の築き方、それぞれの思い Part2」という記事を綴っています。それぞれの記事を通し、私自身の問題意識を訴え続けています。強調してきた点の一つとして、誰もが戦争は避けたいと願っているはずです。しかしながら戦争を防ぐため、平和を築くための考え方に相違が生じがちな現状について訴えてきました。

「安倍首相が改憲に固執するのは日本の軍事大国化を進め、戦争をする国に変えようという狙いからです」という危機感のもとに『安倍9条改憲NO!改憲発議に反対する全国緊急署名』が取り組まれています。運動の方向性を支持する立場ですが、安倍首相に対する認識や署名を呼びかける言葉としては少し違和感があります。

前述したとおり安倍首相も戦争そのものは避けたいと考えているはずです。さらに安倍首相の考え方を支持している方々も数多い中、署名の取り組みに幅広い支持を得るためには言葉や説明が不足している呼びかけだと思っています。基本的な立場性を問わず、できる限り共感を得られる訴え方の必要性を意識しています。

どれほど実践できているかどうか分かりませんが、このブログでは具体的な事例等を示しながら「何が問題なのか」という論点の提起に心がけています。私自身、憲法9条さえ変えなければ「ずっと平和が続く」と考えている訳ではありません。重視すべきは専守防衛を厳格化した日本国憲法の平和主義であり、その平和主義の効用こそ大切にすべきものと考えています。

国際社会の中で原則として戦争は認められていません。例外の一つに自衛のための戦争があります。集団的自衛権もその名のとおり自衛のための戦争に位置付けられます。国連加盟国は侵略戦争を放棄しているため、建前上は日本と同様、すべて「平和主義」を希求している国だろうと思っています。

そのような中で個別的自衛権しか認めてこなかった平和主義は国際社会の中で誇るべき「特別さ」であり、日本のブランドイメージを高めていました。とりまく情勢の厳しさから改憲の必要性を説く声も耳にします。しかし、あえて他国を刺激しないという「安心供与」や「広義の国防」を重視する道こそ、日本の進むべき道であって欲しいものと強く願っています。

安倍首相は「戦争をする国」をめざしていないはずですが、国際標準の「普通に戦争ができる国」に近付けたいと考えているのではないでしょうか。それに対し、戦争の悲惨さや過酷な歴史を教訓化し、平和を築くために日本国憲法はどうあるべきか、「特別さ」を維持すべきかどうかが問われているものと受けとめています。

最近、東京都知事だった猪瀬直樹さんの『昭和16年夏の敗戦』が新版の文庫として発売されたため、さっそく購入して読み終えていました。リンク先のサイトでは「緒戦、奇襲攻撃で勝利するが、 国力の差から劣勢となり敗戦に至る…。日米開戦直前の夏、総力戦研究所の若手エリートたちがシミュレーションを重ねて出した戦争の経過は、実際とほぼ同じだった」という内容を紹介しています。

裏表紙には「精鋭たちが導き出した日本必敗という結論は、なぜ葬られたのか。日本的組織の構造的欠陥に迫る、全国民必読の書」と書かれていました。 若手エリートたちが示した結論に対し、東條陸相は「日露戦争で勝てるとは思わなかった。勝てる戦争だからと思ってやったのではなかった。戦とは計画通りにいかない。意外裡なことが勝利につながっていく」と反論しています。

確かに専門家の意見や科学的なデータのみで判断できない場面は数多くあろうかと思います。最終的な決断を下すのは政治の責任であり、トップリーダーの役割です。しかし、専門家の意見やデータを軽視し、希望的観測のみで判断することは絶対避けなければなりません。まして「結論ありき」で突き進む過ちは論外だと言えます。

新型コロナウイルスの脅威に直面している今、著者の猪瀬さんは「新版あとがきにかえて」の中で現政権内の意思決定の不透明さを危惧しています。例えば安倍首相の一斉休校の決断がどのようなファクトとロジックに基づいたものだったのか不明瞭さを指摘しています。歴史から学び、教訓を得るためには現在起きていることを記録し、未来へ転送することの重要性を猪瀬さんは説かれていました。

あの戦争がなぜ起こったのかを理解したうえで、「集団的自衛権」を口にしているのか?安倍さんの答弁は、残念ながら私には通り一遍のものにしか聞こえませんでした。ご自身の中で、戦前から戦後に至るまでの過程をきちんと検証され、そのうえでいろいろな発言をなさっておられるのか、どうにも確証が得られなかったのです。

巻末には猪瀬さんと自民党の石破茂さんの対談も掲げられていました。『中央公論』2010年10月号に掲載された内容で、上記は石破さんの発言です。第1次安倍政権の予算委員会で『昭和16年夏の敗戦』を紹介した上、安倍首相に「文民統制」に対する見解を質問した時の印象を上記のように語っていました。

話題は変わり、月曜の朝、JNNの世論調査の結果を『あさチャン!』で知りました。下記報道のとおり安倍内閣の支持率は35.4%で過去最低を記録していました。今後、他のメディアも世論調査結果を発表していくはずですが、安倍内閣の支持率は軒並み下がるのかも知れません。

最新のJNNの世論調査で、安倍内閣の支持率は35.4%と最低を記録しました。また、「GoToトラベル」キャンペーンについて聞いたところ、「使いたいと思わない」と答えた人が77%にのぼりました。

安倍内閣を支持できるという人は、先月の調査結果より2.8ポイント減って35.4%でした。一方、支持できないという人は2.4ポイント増加し、62.2%でした。

JNNでは2018年10月に調査方法を変更したため単純に比較はできませんが、先月に続いて第二次安倍政権発足後、最低の支持率を記録、不支持率が6割を超えたのも初めてです。

新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府のこれまでの取り組みについて、「評価する」は26%と、今年2月以降で最低の数字となりました。

中でも、政府が先月22日から東京発着の旅行を対象外としてスタートさせた「GoToトラベル」キャンペーンの是非について聞きました。「評価する」が25%だったのに対し、「評価しない」は66%、キャンペーンを使いたいと思うかについては、「使いたい」は19%にとどまり、「使いたいと思わない」が77%に達しました。

感染者の増加を受けて政府が緊急事態宣言を再び出すべきか聞いたところ、「出すべきだ」は61%、コロナ対応などを話し合うため早期に臨時国会を「開くべき」との声は8割に達しています。

自民党の議員連盟は、動画投稿アプリ「TikTok」など中国企業が提供するアプリについて規制を求める提言を政府に提出する方向です。規制への賛否をたずねたところ、「賛成」が63%、「反対」は17%でした。

敵からミサイルなどによる攻撃を受ける前に敵の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」について、「保有すべきだ」と「保有すべきでない」との声は、それぞれ43%、41%と拮抗しています。【TBSニュース2020年8月3日

新型コロナウイルスの感染防止に向けた政府の取り組みを「評価する」は26%にとどまり、過去最低と言われながらも35.4%という支持率です。かつて20%を切った内閣が多くある中、根強い支持層の多さを感じ取っています。その背景には上記の報道内容に掲げられていませんが、政党支持率の調査結果に関連していることが読み取れます。

自民党が3.8%下げて32%ですが、野党第一党の立憲民主党も0.6%下げて4.5%にとどまっています。共産党のみが1.1パーセント上げて3.5パーセントとなり、それ以外の政党は軒並み支持率を前回より下げています。

より望ましい政治の実現のために「1強多弱」という構図は決して好ましいものではありません。今後の日本の進むべき道の選択肢として憲法の「特別さ」を維持するのかどうかを論点化し、野党が結集して欲しいものと願っています。政党名や護憲かどうかという外形的な問題に固執することなく、内実を重視した大きな方向性が一致した新党の誕生を期待しています。

長い記事になっていますが、もう少し続けます。上記の世論調査で「敵基地攻撃能力」について「保有すべきだ」と「保有すべきでない」との声は、それぞれ43%、41%と拮抗しています。専守防衛の延長戦上にとらえた「敵基地攻撃能力」という説明も加えられていますが、日本国憲法の「特別さ」と照らした時、適切な判断なのかどうか慎重な議論が必要です。

この問題で東京新聞の記者が河野防衛相に「防衛政策の見直しが中国や韓国から充分に理解を得られる状況ではないのではないか」と質問しています。この質問を受け、河野防衛相は表情を変えて「何で了解が必要なんですか。我が国の領土を防衛するのに」と質問した記者を問い詰めていました。

河野防衛相の反論も間違っていませんが、「安心供与」や「広義の国防」につながる日本国憲法の有益さを評価されていないのだろうと推察しています。さらに石破さんが安倍首相に抱いた印象と同様、戦前から戦後に至るまでの過程を充分検証されているのかどうか疑問視せざるを得ない危うさも感じています。

最後に、中国企業が提供する動画投稿アプリ「TikTok」の規制を求める提言について「賛成」63%、「反対」17%で、ここまで賛否の差が広がった結果に驚いています。

中国に限らず、人道や人権を阻害する国は批判の対象とし、自制を求めなければなりません。しかしながら歴史から学び、過去の過ちを教訓化した時、対立を前提にした外交関係は最悪な事態を招きがちです。多面的な情報を把握した上、必要に応じて相手側の言い分にも耳を傾ける姿勢が求められているはずです。

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2020年8月 1日 (土)

コロナ禍での組合活動と役割の発揮

前回記事「ネット議論の現状と課題 Part2」の最後のほうで「積極的な情報開示は住民の皆さんとの信頼関係を高める手段だと考えています」と記していました。自治体行政に限らず、労働組合と住民の皆さんとの関係も同様なことだと考えています。

労使課題において組合の要求や主張が絶対的な誤りであれば再考しなければなりません。そのような意味合いから日常的に発行する組合ニュースの内容は誰が目にしても説明責任を果たせる前提で書かれています。ネット上で不特定多数の方々に発信している当ブログの内容も同様です。

基本的な立場や考え方の違いから批判を受ける場合もありますが、そのことも直近の記事の中で綴っているとおり貴重な機会だととらえています。どのような点が批判されるのか、どのように説明していけばご理解いただけるのか、いろいろな意味で「気付き」の機会につながるからです。

そのため、このブログに組合ニュースの内容をそのまま掲げる時があります。今回、私どもの組合員の皆さんに対する速報的な意味合いを踏まえ、週明けに発行するニュースの内容を紹介します。「コロナ禍での組合活動と役割の発揮に向け 諸課題の改善に向けた労使協議を推進」という見出しを付けた内容です。

新型コロナウイルス感染症が全国的に拡大しています。緊急事態宣言解除後、「新たな日常」に留意しながら組合活動を再開していますが、今後もいっそう感染防止に努めていかなければなりません。このような中、組合執行部はコロナ禍での活動と役割の発揮に向けて検討を重ねています。

12月の職員家族クリスマスパーティーは中止 12月に予定していた職員家族クリスマスパーティーは職員共済会とも相談し、キャンセル料の発生しない時期を考慮した上、残念ながら中止することを決めました。

今年度の職場委員会の開催は難しいものと見ています。11月6日に市民会館小ホールで開く定期大会は今のところ予定通りとしていますが、出席者数を絞ることも検討しています。

一方で、この機会に提起できる新たな制度や組合員の皆さんへの還元策の検討も進めています。第一弾として下記内容の「労働金庫口座開設推奨金振込制度」を創設します。

コロナ関連も協議の対象 現時点で感染防止のための勤務体制の見直しは検討されていません。職員の安全と住民サービスの維持に優劣を付けられませんが、組合は職員の安全面に最大限注意を払っていく立場です。今後の状況に応じては実効ある必要な感染防止の手立てを求めていきます。

以前から組合はリフレ休暇に関する運用改善を要求しています。コロナ禍で取得しづらい中、改めて改善を促しています。その他の課題として、会計年度任用職員制度の確立、36協定遵守の問題、新調理場等の行革計画に対する取り組みなどにも力を注いでいきます。

■ろうきん口座を開設すると2千円振り込みます。

労働金庫(ろうきん)の普通預金口座を開設した際、2,000円をその口座に振り込みます。労金口座開設推奨金振込制度をスタートする今年、すでに開設している組合員の労金口座にも2,000円を振り込みます。

振込を希望される組合員は12月末までに申込書に必要事項を記入し、組合事務所までご提出ください。申請後、1か月以内に振り込む予定です。なお、来年以降も新規開設した際に振り込む継続した制度です。

組合員の暮らしを守るため、労働組合の自主福祉活動の一環として労働金庫を設立しています。財形貯蓄のご案内をはじめ、組合員のために労金活動を推進しているため、これまでも労金口座の開設を推奨してきています。

さらに組合から組合員あてに慶弔見舞金等を振り込む際に労金口座であれば手数料(1件あたり330円以上)がかかりません。労金口座の普及は、このような組合財政面での利点があることもご理解いただければ幸いです。

ぜひ、お持ちでない方はこの機会に開設くださるようお願いします。口座を新規開設される組合員は下記申込書の「□労働金庫の普通預金口座の新規開設を希望します」にチェックしてください。開設に必要な書類をお送りします。ご不明な点は組合事務所までお問い合わせください。

新型コロナウイルス感染症の影響で今年度、上記ニュースに掲げた職員家族クリスマスパーティー以外に日帰りバス旅行や三多摩メーデーなども取りやめています。それらの取り組みに伴う支出がなくなる分について代替的な組合員への還元策の検討を執行委員会の中で進めていました。

中長期的に組合財政が厳しい中、一過性の還元策にとどめない検討を重視した結果、労働金庫の口座を開設した際に推奨金を振り込む制度が決まりました。もう少し大きな額も検討しましたが、この制度を利用しない方々のことを念頭に置き、2千円となりました。さらに第一弾と位置付け、引き続き別な切り口からの還元策の検討を進めています。

昨年11月の定期大会時に示していない制度創設であり、大きな額の予算の組み替えを伴うため、本来、職場委員会に諮りたい事案でした。ただ上記ニュースのとおり職場委員会の開催は見合わせています。会議室での開催になるため「密閉」「密集」「密接」という3密が避けづらいためです。

そのため、今回の制度創設にあたっては執行委員会段階で判断していることをご容赦ください。なお、今回の案は協力委員の皆さんにも提示し、いろいろご意見をいただいていました。ちなみに定期大会の会場は200人以上入れるため、3密に注意しながら予定通り開催できればと考えています。

組合予算の組み替え等の話から先に入りましたが、労使課題の改善に向けた取り組みがコロナ禍でも組合として最も発揮すべき役割です。上記ニュースに掲げた課題一つ一つ重要なものであり、補足説明を加えていくと相当な分量が必要となるため、今回の記事で詳述することは見合わせます。

その中でコロナ関連に絞り、もう少し書き進めてみます。実は前々回記事「ネット議論の現状と課題」のコメント欄で、ぱわさんから次のような問いかけがありました。2回に分かれたものですが、まとめて紹介した後、私自身の考え方を改めて掲げさせていただきます

コロナ感染者数が増え続けています。感染者が若い人で症状が軽いからとか重症者が少ないからとの理由で緊急事態宣言は出ていませんが、感染リスクは4月の緊急事態宣言時と同じかそれ以上だと思います。

組合としては交代制勤務再開などの提案はしないのでしょうか?夏場になり、マスクをしているだけで体力が失われます。また通勤時の感染リスクなどで精神的にも気を使います。安全衛生上からも交代制勤務の再開を希望します。よろしくお願いします。

どのような状況になったら勤務体系の変更を協議してもらえるのでしょうか?毎日のコロナ感染者数を聞くと増加ばかりで減る要素はないと思われます。緊急事態宣言のような国レベルからの通知がないと交渉できないのでしょうか?

職員の働き方や安全面の対策として、新型コロナウイルス感染症に絡む事項の多くは労使協議の対象だと言えます。6月に開いた安全衛生委員会で議題として取り上げ、緊急事態宣言期間中の勤務体制を検証することで今後の望ましい対応策を探っています。

もちろん感染拡大が収束した訳ではないため、緊急事態宣言の有無に関わらず必要な勤務体制のあり方について検討していくことも欠かせません。緊急事態宣言解除後も民間企業の一部では在宅勤務が継続していることを耳にしています。感染予防にとって一歩も外出しない勤務体制が望ましいことは間違いありません。

しかしながらエッセンシャルワーカーと呼ばれる方々の職場と同様、自治体職場としてそのような体制は想定できません。したがって、宣言解除後は時差勤務の拡大運用等、感染対策のための例外的な勤務体制を残している程度にとどまっています。再び感染者数が急増していますが、今のところ勤務体制の見直しは検討対象となっていません。

組合として感染リスクが低減する交代制勤務の意義を評価している立場ですが、「一歩も外出しない勤務体制」に比べれば絶対的な効果が期待できない点も認識しています。さらに「新しい日常」のもとに社会経済が動き出し、現時点で自治体業務の極端な縮小は難しいものと考えています。そのため、通常業務の範囲のまま半数の職員で対応していくことの負担等も重く見ています。

このような答えが交代制勤務の再開を切望されている方々の思いに反し、職員の安全よりも業務継続を優先しているように見られないかどうか懸念しています。誤解のないように強調させていただきますが、決して感染症対策を軽視している訳ではありません。このような懸念があるため、今回の記事本文や組合ニュースの中で取り上げています。

「職員の安全と住民サービスの維持に優劣を付けられませんが、組合は職員の安全面に最大限注意を払っていく立場です。今後の状況に応じては実効ある必要な感染防止の手立てを求めていきます」という言葉を少し補足します。職員の「安全」を「命」という言葉に置き換えれば当たり前な考え方だと言えます。

ただ医療従事者が患者と向き合う業務において、自分の「安全」「命」と患者の「命」に優劣を付けられません。つまり同例で比べられない重要性の中で、組合は業務継続と職員の安全面を並立で検討を求めていく立場です。さらに組合員の皆さんの切実な声を背にすることで、業務継続が優先されないように注視していきます。

組合としては交代制勤務も選択肢の一つとして、今後の感染状況を見定めながら組合員の皆さんの安全や安心のために絶対欠かせない感染防止の対策だと判断した場合、その実施を市側に強く迫っていくつもりです。最後に、このような対応こそがコロナ禍で期待されている組合の重要な役割だと考えています。

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2020年7月25日 (土)

ネット議論の現状と課題 Part2

東京都内にとどまらず、新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。最近の記事「政治の現場での危機管理」「都政の現場、新知事へのお願い」に託しているとおり政治の現場で、より望ましい判断や対策がはかられていくことを強く願っています。

7月22日から「Go To トラベル」が始まっていますが、「Go To トラブル」という軽口が揶揄とは言えないほどの混乱ぶりを見せています。危機的な状況においての政治家のリーダーシップが問われ、その力量の差に明暗が分かれがちです。

このブログでは「安倍首相へのお願い」という記事も投稿していましたが、残念ながらLITERAでは『感染再拡大、GoToトラベル大混乱も、安倍首相は会見を開かず逃走! 代わりにお仲間の極右雑誌「Hanada」に登場し嘘八百』と批判されるような対応にとどまっています。

時事の話題、特に新型コロナウイルスに絡む問題に触れていくと止めどなく書きたいことが頭に浮かんでいきます。今回の記事はタイトルを「ネット議論の現状と課題 Part2」としたとおり前回記事の続きにあたる内容を綴らせていただきます。

さて、前回記事「ネット議論の現状と課題」の最後に紹介した方から新しいコメントをいただきました。日曜夜に「つまり公務員への批判は晒上げて、擁護派に叩き潰してほしいってこと?」というコメントがあり、すぐ私からは次のようにお答えしていました。

公務員はシステム的に問題があるさん、コメントありがとうございました。IPアドレスを確認したところ「OTSU」さんであるようですが、残念ながら私からの「お願い」についてご理解いただけなかったようです。

今回の記事本文の中で説明したとおり批判意見をうかがえることの貴重さを感じ取っています。そのため「公務員への批判は晒上げて、擁護派に叩き潰してほしい」という考えなどはまったくありません。

公務員はシステム的に問題があるさんが短いコメントをお寄せくださる意図や目的があるのだろうと思いますが、今後もお付き合い願える場合、せめてハンドルネームだけは固定されるようよろしくお願いします。

ちなみにブログの管理機能として、寄せられたコメント一つ一つのIPアドレスが確認できるようになっています。パソコンやスマホなどの利用した機器が異なれば一致しませんが、ハンドルネームを固定されていない方に対応する場合の目安となり得ます。

上記のコメントを投稿した翌朝、パソコンを起ち上げると「市民」というハンドルネームの方からコメントが入っていることを確認しました。そのコメントの内容は次のとおりでした。私からのレスに対し、その夜のうちに次の内容のコメントをお寄せいただいていました。

じゃあ「市民」で固定。わざわざ記事建てして晒されてるわけだけど、張り付けたニュースでは2重チェックしてるのにミスを連発し、返還要求するだけで公務員は何の責任も取ってないよな。

でもしか公務員と呼ばれてた頃からなにも進歩してないな。と怒りを覚えて書き込んだのよ。14日にはいわき市でもミスが起きてるし。

これに限らず、公務員がミスをしました不正をしましたというニュースの後には対策内容やその効果が明かされることがないし、知ろうとしても知ることができない。公務員は同じ公務員の失態を他山の石としていないように感じる。

ま、いち公務員、管理人にこんなこと言っても改善なんてしないだろうし意味なんてないんだろうけど。

土曜の朝、ハンドルネームの固定化など私からの「お願い」にご理解いただけたことを感謝するコメントを取り急ぎ投稿しています。その際、市民さんのコメントに対してお答えすべき点を新規記事で詳述することをお伝えしていました。今回、ネット議論における前向きな意味合いで、せっかくの機会だととらえています。

それまでの短文のコメントに比べ、青字で紹介している上記の市民さんのコメント内容は様変わりしています。公務員への罵倒が中心だった以前の内容とは異なり、どのような点が問題だったのか、事実関係が分かる記述となっていました。前回の記事内容が切っかけであれば何よりなことです。

まず「わざわざ記事建てして晒されてるわけだけど」というご指摘ですが、これまで寄せられたコメントの内容を当ブログの記事本文の中でそのまま紹介するケースが数多くありました。私自身がコメント欄から距離を置き、週末に更新する記事本文に軸足を置いているという事情もあります。

さらにネット上にコメント投稿するという行為は広く不特定多数の方々に自分の意見を発信するというものです。一度、コメント欄に投稿した文章が新規記事の中で紹介されることで「晒されてる」というご指摘は当たらないものと考えています。切り取った内容を紹介することよりもフェアな関係性に近付くようにも受けとめています。

続いて、市民さんが問題視している公務員のミスの問題について書き進めていきます。市民さんから紹介されたサイト『10万円の「特別定額給付金」二重払い相次ぐ…過払い分を使うと法的責任問われる?』には下記のミスのことが取り上げられていました。

大阪府摂津市が事務的ミスで、60代の男性に対し住民税約1500万円を過大に還付していたことが関係者への取材で明らかになった。男性は「還付金は既に借金返済や株取引の損失補塡に充ててしまったので返還できない」と説明している。

市側は返還を求めて法的手段に訴える意向を示しているが、男性の代理人弁護士は「返納請求を受けた時点で使い切っていたので、返還義務はない」と主張している。

弁護士によると、市は2018年7月、男性の口座に住民税の「配当割額及び株式等譲渡所得割額」の還付金として、1667万5577円を振り込んだが、府の調査でミスが判明。本来の還付額は165万5577円だった。市は19年10月に「多大な迷惑をかけたことをおわびする」と謝罪し、差額約1500万円の返還を求めた。【毎日新聞2020年5月26日

上記のような大きな額のミスが取り沙汰されていた中、10万円の特別定額給付金の二重払いが頻発していることに市民さんは憤り、過払い分を全額返還しなければならない法制度面の理不尽さについて問題視していました。さらにミスを起こした後の責任の処し方や再発防止の具体的な対応策が見えづらいことにも憤られています。

一律10万円の特別定額給付金」に寄せられた複数のコメントから上記のような憤りを推測していました。ただ「二人体制でヨシ!」とは何を指しているのか、どのような事案に対して憤られているのか不明確だったため、具体的な内容のレスができない関係性だったと言えます。ようやく論点が分かり、今回の記事本文につながっています。

「いち公務員、管理人にこんなこと言っても改善なんてしないだろうし意味なんてないんだろうけど」とあまり期待されていませんが、私自身が把握していること、私自身の責任でお伝えできる内容を説明させていただきます。

実は「二人体制でヨシ!」という言葉がダブルチェックのことを指しているのではないかと推測していました。確信を持てなかったため、批判されている訴えの全体的な論点がつかみ切れませんでした。摂津市がダブルチェック体制で事務を進めていながら1桁入力ミスしたことを見過ごしていた場合、たいへんな失態です。

一人の職員のヒューマンエラーだったとしても、ミスの判明まで1年以上かかっていることも大きな問題です。摂津市は今後の再発防止策として、このような組織的なチェック体制の不備を深く反省し、具体的な手立てを講じているはずです。

同じ地方公務員という立場ですが、所属する自治体が異なるため、このような書き方になってしまうことをご容赦ください。「公務員は同じ公務員の失態を他山の石としていないように感じる」という見られ方ですが、この点については明確に否定できます。

他の自治体で発生したミスや不祥事に対し、職員全体で情報の共有化に努め、必要に応じて自らの組織に引き付けた改善策の検討につなげています。すぐ思い浮かんだ一例として福岡市の職員が起こした事故を教訓化し、各自治体は足並みを揃えて飲酒運転の撲滅に向けて動き出していました。

事務作業のダブルチェック体制について、私どもの自治体では「ここまでやるの?」と思うほど細かくなっています。このあたりの問題意識は以前の記事「ヒューマンエラーの防ぎ方」の中で掘り下げています。いずれにしても「ヒューマンエラーは人間が行動すれば必ず起こるもの」という前提で日常業務に向き合っています。

郵送申請による特別定額給付金の支給事務には私も関わりました。数段階に事務作業を分け、それぞれダブルチェックのもとに次の作業グループに送るという手順を定めていました。したがって、各作業段階で気付く不備に関しては何重ものチェック体制で確認していたことになります。

市民さんからのご指摘のとおり全国的には特別定額給付金の二重払いが散見していました。そのような自治体でもダブルチェックをはじめ、確認体制には最大限努力していたはずです。

事実関係として二重払いはマイナンバーカードによるオンライン申請に絡んで目立っていました。迅速性を重視した政府の判断だったのかも知れませんが、皮肉にも各自治体に大きな負担と混乱を生じさせる結果を招いていました。

オンライン申請後に郵送申請した世帯で起きがちなミスですが、市民さんの示したいわき市での二重払いも職員の事務処理に誤りがなければ防げたようです。他者に責任転嫁することなく、二重払いは防がなければならないミスであり、各自治体は速やかに謝罪し、深く反省しているはずです。

自治体側に責任があっても過払い分は全額返還しなければならない法制度です。民法703条の「不当利得の返還義務」は官民問わない定めですが、市民さんの憤りの一つになっていることは理解できます。

とは言え、起こしてはならない事務上のミスだったとしても当該の職員に賠償を求めるような制度であれば、それはそれで酷すぎるものと思っています。そのため「公務員は何の責任も取ってないよな」という見方が示されています。

しかしながら事務上のミスやその監督責任も処分の対象になる場合があります。重大なミスだった場合、戒告以上の懲戒処分が下される可能性もあり得ます。さらに自治体ごとに定めた基準に基づき処分内容等が公表されるケースも見受けられます。

「公務員がミスをしました不正をしましたというニュースの後には対策内容やその効果が明かされることがない」というご指摘も受けています。確かにミスが発生したことをマスコミは報道しますが、その後の再発防止策等については余程ニュースバリューがない限り、続報することはありません。

各自治体の広報誌やホームページにはお詫びや再発防止策等について一定期間掲げられているはずです。重大なミスや不祥事であれば議会での報告や第三者委員会での検証等も必要になります。そのような扱いも自治体ごとに差があるのかも知れません。摂津市のホームページを閲覧しましたが、還付金のミスに関わる内容は確認できませんでした。

市民さんの憤りや苛立ちを「気付き」の機会とし、各自治体はマスコミが取り上げた情報のその後の伝え方にも重きを置かなければなりません。そもそも積極的な情報開示は住民の皆さんとの信頼関係を高める手段だと考えています。

最後に、マイナーなブログの場で、このような訴えに意味があるのかどうか疑問視されがちです。それでも当ブログを閲覧されている方が一人でもいらっしゃる限り、決して無意味な試みにはならないはずです。ネット議論のあり方を提起した前回記事の後、市民さんのコメントに変化が見られたような意味に感謝しながら今後も当ブログに向き合っていくつもりです。

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2020年7月18日 (土)

ネット議論の現状と課題

5月末にフジテレビの番組『テラスハウス』に出演していた木村花さんがSNSでの誹謗中傷を苦にして自らの命を絶ちました。番組を制作する側の問題点も指摘されていますが、木村さんの早すぎる死を契機にネット上での誹謗中傷を法規制すべきという動きが出ています。

匿名の発信者の特定を容易にするためのプロバイダ責任制限法の改正をはじめ、侮辱罪や名誉棄損罪の疑いによる積極的な捜査などが検討され始めています。一方で、表現の自由の問題や政治権力への批判を抑制する動きにつながる恐れを懸念する声もあります。

絶対的な正解は見出しづらい課題だろうと思っています。しかし、木村さん以外にも多くの方がネット上での個人攻撃や誹謗中傷に心を痛め、繰り返してはならない自死を選ぶような現状に歯止めをかけるためにも、より望ましい「答え」を探し続けていかなければなりません。

「ネット議論の現状と課題」という大仰なタイトルを付けていますが、あくまでも参考情報の一つとして私自身のことを振り返ってみます。まだSNSという言葉があまり使われていない頃、図書館で『ブログでできる簡単ホームページ作り』という本を見つけました。

私どもの組合の公式ホームページの立ち上げには執行部内で慎重な意見が示されていたため、その本を手にしたことを切っかけに個人の責任で運営する当ブログの開設につながりました。このあたりの経緯はPart3に及んだ記事「秋、あれから2か月」に書き残しています。

さらに「このブログを始めたイキサツ」という記事の中で「真実は一つなのでしょうが、どちらか一方の報道だけ見聞きすると相手が悪いとの印象を持ってしまいます」という問題意識を示し、いろいろ叩かれがちだった労働組合や自治労側の言い分も不特定多数の方々に発信する必要性を強めていたことを綴っています。

「公務員のためいき」のサブタイトルにしている「逆風を謙虚に受けとめながら雑談放談」という場として、「襟を正すべき点は正す」ための率直な意見を聞く場であり、一方で「主張すべき点は主張する」ブログであることを強調していました。

そのため、コメント欄は誰もが即時に投稿でき、明らかな営利目的やスパムでなければ削除しない方針を貫いています。おかげ様で本当に多くの方々から率直で貴重なご意見をいただいてきました。どのような辛辣な言葉でも、そこに投稿された思いや意味をくみ取ろうと心がけてきました。

とにかく批判意見も含め、幅広い視点や立場からご意見をいただける貴重さを感じ取ってきました。面と向かっては言いづらいことでも匿名だからこそ言える場合があり、そのような関係性を前向きにとらえてきました。様々な批判意見があることを知った上で日常の活動に臨める貴重さを重視しているからでした。

現在、寄せられるコメント数は少なくなっていますが、週1回更新する記事に100件以上のコメントが続いた時期もありました。公務員やその労働組合への批判、政治活動に対する批判、私自身の考え方や対応への批判など、これまで手厳しい言葉での辛口なコメントが数多く寄せられています。

「炎上」しているように見られていた時もありました。しかし、私自身は前述したような思いがあるため、心が折れる時は皆無に近かったものと振り返ることができます。

それでも「皆無だった」と言い切れない記憶があることも確かです。心が折れないまでも問題意識や論点がかみ合わず、どうしても議論が平行線をたどりがちな場合、徒労感が強まる時は頻繁にありました。

記事本文は週1回、土曜もしくは日曜に更新するサイクルを早い段階で定めていました。日常生活に過度な負担をかけないための考え方でした。それでも寄せられたコメントに対しては可能な限り即日レスするように努めていました。

結局、2012年の春頃からは背伸びしないペースとして、コメント欄も含め、週に1回、土曜か日曜のみにブログに関わるように改めていました。このようにネット議論に際し、徐々に身の丈に合った付き合い方に変えてきていることも当ブログを長く続けられている理由の一つだと考えています。

加えて、誹謗中傷に対する注意喚起なども私自身の問題意識をコメント投稿者の皆さんにご理解やご協力を求めてきています。「コメント欄の話、インデックスⅡ」等で詳述しているとおりコメント欄での制約が少ない中、次の3点の「お願い」だけは繰り返しています。

  1. コメント投稿の際、できる限り名前欄の記載を欠かさないようにお願いしています。意見交換をスムースに行なうためですが、匿名での投稿とは言え、その意見内容にある程度責任を持っていただくことも目的としています。したがって、繰り返し投稿される方の場合はハンドルネームを固定されるようお願いしています。
  2. 相反する意見の対立は平行線をたどりがちです。このコメント欄では結論を出すことを目的としていません。いろいろな「答え」を認め合った場として、攻撃的な言葉を並べることよりも対立する意見の相手方に「なるほど」と思わせるような言葉の競い合いができるようお願いしています。
  3. 特定の人物や団体を誹謗中傷するような書き込みは慎むようにお願いしています。特に「あいつ(あの団体)は犯罪者だ」と断定調に発言することを認めることはできません。「罪を犯していると思われる」は許容範囲となりますが、決して言葉使いの問題ではなく、断定調であれば管理人の責任として警告しなければならない発言となります。

上記3番目の「誹謗中傷は慎む」に関しても、あくまでも「お願い」であり、その恐れがある投稿内容だったとしても削除していません。誹謗中傷と判断するのかどうかも含め、閲覧された皆さんの受けとめ方に委ねています。

極端な話として、もし誹謗中傷なのかどうか白黒の結論を出したい場合は司法の場に委ねなければなりません。そもそも中には「事実なのだから誹謗中傷ではない」という反論もあろうかと思います。しかしながら「事実だと断定する」こと自体が不明確であれば、そのような「思い込み」から繰り出す断定調の批判は誹謗中傷だろうと考えています。

思った以上に長い記事になってしまいました。長い内容を書き進めながらも、本来、この機会に添えなければならない重要な言葉が漏れているような気もしています。そのような言葉があった場合、また機会を見てお示しできればと考えています。ネット議論のあり方として、もう少し続けます。

前回の記事「『霞保育園で待っています』を読み終えて」に対し、幅広い視点や立場から寄せられたyamamotoさんやAlberichさんのコメントは論点をしっかり受けとめることができます。私自身の考え方を託した記事本文の内容を補っていただけるコメントであり、たいへん参考になるため非常に感謝しています。

一方で上記3点の「お願い」に沿った際、このようなコメントの仕方は控えて欲しいという事例にも接しています。前述したとおり問題があるのかどうか判断するのも閲覧された皆さんの受けとめ方だと考えていますので、そのような事例について参考までに紹介させていただきます。

4月に投稿した記事「一律10万円の特別定額給付金」に対し、6月27日、短文のコメントが寄せられました。正直なところ「二人体制でヨシ!」とは何を指しているのか、どのような事案に対して憤られているのかどうか分かりませんでした。

紹介いただいたリンク先のサイトは『10万円の「特別定額給付金」二重払い相次ぐ…過払い分を使うと法的責任問われる?』だと思われます。二重払いは防がなければならないミスであり、各自治体は速やかに謝罪し、深く反省しているはずです。その上で過払い分を使ってしまった場合の法的な解釈が一般論として説明されています。

私からのコメントでも記していることですが、もちろん公務員に対する苛立ちは伝わってきます。ただ「二人体制でヨシ!」や「俺たち公務員には配慮しろ!」などの言葉がどのようにつながっているのか、そのあたりが理解しづらいところでした。

閲覧されている皆さんから客観的な評価をいただくためにも、その方と私がやり取りしたコメント内容全文をそのまま紹介します。その方のコメントは青字、私のコメントは赤字としています。最後に、私がどのような点についてお願いしているのか、その方、「OTSU」さんにもご理解願えれば幸いなことだと考えています。

【参考】

二人体制でヨシ! 馬鹿かな? 無能な公務員共が税金食い荒らしやがって 投稿: | 2020年6月27日 (土) 02時27分

2020年6月27日(土)02時27分に投稿された方、コメントありがとうございました。せっかくの機会ですので、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。加えて、引き続き投稿いただける場合は名前欄の記入にもご協力ください。よろしくお願いします。 投稿: OTSU | 2020年6月27日 (土) 07時03分

自分で調べることもできんのかよ・・・ tps://news.yahoo.co.jp/articles/946291f2074a0f26ef9f9ec7676eb6e4c2e761a1 市民国民には「俺たち公務員には配慮しろ!」「失敗しても俺たちの責任じゃないからな!」と言っておきながら「俺たち公務員は頑張ってるんだ!」だからな。楽な仕事だわ。 投稿: OTSU | 2020年6月29日 (月) 22時07分

OTSUさん、コメントありがとうございました。せっかく追加でコメントをお寄せいただきましたが、「自分で調べる」以前のレベルの問題として、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。私自身の読解力の問題であれば恐縮ですが、リンク先のサイトに目を通しても明確な意図はつかみ切れません。もちろん公務員に対して何か苛立ちを強めているという意図は理解できています。

なお、名前欄の記入にはご協力いただきました。しかし、半角文字で違いを示されたのかも知れませんが、ブログの管理人と同じ名前は一般的な常識やマナーに照らせば望ましい選択ではありません。このような点についてもご理解ご協力をよろしくお願いします。 投稿: OTSU | 2020年7月 4日 (土) 06時46分

>せっかく追加でコメントをお寄せいただきましたが、「自分で調べる」以前のレベルの問題として、もう少し意図が分かる書き方にご配慮願えれば幸いです。これ言ってりゃ相手が悪いで済ませられるから楽だわな。問題をはぐらかし、謝らず、市民のせいにできる。公務員さんは無敵ですわw 投稿: OTSU | 2020年7月 4日 (土) 21時35分

2020年7月4日(土)21時35分に投稿されたOTSUさん、コメントありがとうございました。今回は全角文字ですか。昨日レスしたとおり残念なことです。いずれにしても何が問題なのか、理解できないまま謝罪することが決して好ましい関係性だとは考えていません。せっかくマイナーなブログとのお付き合いに時間を割いていただいているのでしたら相手に「なるほど」と気付かせ、問題点を修正できる機会につなげさせる関係性が望ましいのではないでしょうか。 投稿: OTSU | 2020年7月 5日 (日) 09時07分

>相手に「なるほど」と気付かせ、問題点を修正できる機会につなげさせる 自ら理解する努力を放棄し、市民に労力を割かせる、か。公務員になったら怠惰になってしまうんかな? 問題点を修正できる機会というが、公務員が自組織を改善した例なんか無いやろ。 投稿: OTSU | 2020年7月11日 (土) 23時54分

2020年7月11日(土)23時54分に投稿されたOTSUさん、コメントありがとうございました。>二人体制でヨシ! 馬鹿かな? 無能な公務員共が税金食い荒らしやがって 上記のコメントからやり取りが続いています。機会を見ながら今後、このやり取りを記事本文で取り上げ、論点や問題点を際立たせてみたいものと考えています。 投稿: OTSU | 2020年7月12日 (日) 06時49分

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