参院選公示、少し気になること
前回記事「都議選が終わり、参院選に向けて思うこと」の中で『《自民・れいわ・維新の票を食った》都議選で大躍進「参政党現象」の実態 「流れたのは“無党派層”ではなく“無関心層”」で、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れない本質』という記事を紹介していました。
興味深い内容だったため「いろいろ個人的な見方を付け加えていくこともできますが、別な機会があれば改めて掘り下げさせていただきます」と書き添えていました。一昨日、7月3日に参議院議員選挙が公示され、7月20日の投票日に向けて熱い選挙戦が繰り広げられています。今回の新規記事も「参院選公示、少し気になること」とし、その別な機会にしていくつもりです。
まず改めて前置き的な話から入らせていただきます。前回記事でも紹介した「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払っています。そのことを大前提として当ブログを通し、20年前から政治的な話題も数多く取り上げてきています。
特に選挙期間中かどうかという線引きを厳格に意識しています。2013年からインターネット選挙解禁となっても、このブログ「公務員のためいき」では選挙期間中、候補者の固有名詞を控えるなど一定の制約を課しています。政党名や党首らの固有名詞は出てきますが、あくまでも政治的な話題に対する論評として、個人的な思いや様々な情報の発信でした。
昨日の昼休み、私どもの組合の委員長に疑問に思ったことを聞いてみました。来週発行予定の組合ニュースや回覧資料の中で、比例区に立候補している自治労組織内参院議員の組合推薦候補の名前が、まったく見当たらないことが気になったからです。すると「選挙期間中は名前を出せないので」という答えでした。
公職選挙法第142条「文書図画の頒布」という条文について百も承知の上での質問だったつもりです。そもそも公務員という立場上、選挙運動に対して一定の制約があります。選挙運動に相当する組合ニュースの内容であれば、確かに様々な面で問題視されるのだろうと思っています。
ただ組合ニュースで候補者の名前を示し、組合が推薦しているという事実のみを伝える内容であれば問題ないという理解で、これまで選挙期間中も対応してきました。自治労本部の発行しているリーフレットなどにも、そのような説明が掲げられていました。委員長の説明では自治労本部も含め、これまでの対応方針を改めているようでした。
文書による選挙運動の規制は厳しいままですが、インターネットを通した特定候補者への支援の呼びかけなどは解禁されています。しかし、私自身が公務員という立場であり、選挙運動という見られ方をされないようブログでの情報発信に細心の注意を払っていることは前述したとおりです。
ルールの解釈において「これまでは問題なかった」という言い分が許されなくなる事例を数多く見てきています。そのため、細心の注意を払うという意味で上記と同様、自治労や私どもの組合の判断を肯定的にとらえなければならないのだろうと思っています。
それでも最も重要な時期に組合が推薦している候補者の名前を組合ニュースに示せないことについて、いろいろ気になる点も残りがちです。長年、自分自身の中では「問題なかった」ラインが変わっていることの違和感とともに長丁場の参院選に際し、このような大きな変化が自治労にとって最悪の事態につながらないことを願わざるを得ません。
ここからは政治的な話題の論評も書き添えていきます。冒頭に紹介した記事の深掘りとしては「日本人ファースト」を掲げる参政党の躍進が気になっています。極端な主張が一定の割合の層から強い支持を受けています。このような傾向は他の新興政党にも見られることですが、自民党に次ぐ55人もの候補者を擁立した参政党は地道な足腰もあるようです。
続いて、やはり気になることは『石破首相「消費減税はばらまき」 国民民主・玉木氏「給付は選挙目的」 党首討論会で応酬』という争点についてです。与党の国民一律2万円給付等の公約は経済効果の面から疑問が残り、各自治体における事務負担の問題を踏まえれば到底歓迎できない物価高対策だと言えます。
そもそも石破総理は給付金について考えていないと国会で答弁していながら、その2日後に2万円の現金給付を発表するという不誠実な対応を示していました。最近、話題になっている伊東市長の学歴詐称問題ですが、詐称していた問題そのものよりも、告発されてからの不誠実な対応ぶりこそ首長としての資質が厳しく問われています。
重い責任を負う政治家やリーダーの欠かせない資質として、正直に語るという誠実さが極めて重要な点だと思っています。話が横道に逸れましたが、参院選の争点が物価高対策となるのは結構なことですが、野党側がこぞって消費税の減税を競い合っていることに違和感を抱いています。
私自身の消費税に対する認識や問題意識は「消費税引き上げの問題」「ベーシックサービスと財源論」という以前の記事に綴っているとおりです。連合の芳野会長は5月15日の記者会見で「連合は消費税を社会保障費を支える重要な財源に位置付けている。安易な税率の引き下げを行なうべきではない」と訴えています。
この発言に対し、反発する声が多数上がっていることも承知しています。選挙戦を勝ち抜くためには減税という旗印が欠かせない政党としての立場や事情も理解できます。このように受けとめている最中、消費税に関する読売新聞の世論調査の下記のような結果には、ある意味で安堵していました。
物価高などへの対策として消費税の税率を引き下げることについて聞いたところ、効果があると「思う」は51%で、「思わない」は41%だった。消費税を減税することで、社会保障が維持できなくなる不安を「感じる」は56%と半数を超え、「感じない」は38%だった。
消費税の減税や廃止の是非を問うFNNの世論調査では、賛成が71%に達しています。しかしながら問い方によって、示される数字が揺れ動くことを浮き彫りにした調査結果だと言えます。立憲民主党をはじめ、消費税減税を公約の柱に掲げている野党側には、このような調査結果の意味合いを理解願えればと思っています。
今年2月の記事「『賃金とは何か』を読み終えて」を通し、濱口桂一郎さんのブログ「EU労働法政策雑記帳」をいつも注目していることを伝えていました。最後に、濱口さんの最近の記事「アリスのワンダーランド in JAPAN」を紹介し、参院選公示後、気になっていることの結びとさせていただきます。
もう定期刊行物ですが、我が大日本国においては、政府を大きくしたくて仕方がなくてそのための税金を死守するぞと叫ぶのがなぜか豊かな経営者の支持する右派政党で、政府を小さくしたくて仕方がなくてそのために税金を極小化するぞと叫ぶのがなぜか貧しい労働者の支持する左派政党です、と西欧人に説明する時のやりきれなさに、誰か名前をつけてほしい
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