2017年4月30日 (日)

幅広い情報を得ることの大切さ

土曜日、三多摩メーデーが催されました。今年もご家族の方を含め、私どもの組合だけで400人ほどの参加者を得られています。組合員の皆さんに配布したチラシの中で、私からの挨拶文には「組合員にとってどうなのか」という視点を大事にしながら組合活動を進めていく旨を記しています。ただ持続可能な組合組織に向け、経費節減や組合役員の任務の負担軽減も課題としています。

組合の活動全般を見直す中でメーデーも、これまでのやり方を変更した点がいくつかありました。例えば独自抽選会をやめたため、参加された皆さんにとって楽しみが一つ減っていました。それでも強い不満の声は耳にせず、幸いにも参加者数に大きな影響を与えなかったようです。一方で、組合役員側から受付や解散のタイミングなどで「やっぱりこうしたら良かったのでは?」という声が上がっていました。

従来のやり方を変更した直後、いろいろな声が上がることは当たり前です。そのような声が上がることで、改善すべき点や従来のやり方に戻すべき点があるのかどうか検証できます。様々な見方や意見が示され、それらの声を真摯に受けとめていける組織運営が規模の大小に限らず求められています。少し前に投稿した記事「森友学園の問題から思うこと」の冒頭に次のような私自身の問題意識を綴っていました。

適切な評価を下していくためには「誰が」に重きを置かず、その言動や判断は正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要だろうと考えています。そして、物事を適切に評価していくためには、より正確な情報に触れていくことが欠かせません。誤った情報にしか触れていなかった場合は適切な評価を導き出せません。また、情報そのものに触れることができなかった場合、問題があるのか、ないのか、評価や判断を下す機会さえ与えられません。

いろいろな声が上がる機会としては、実際に体験した時が最も多いはずです。実際に体験していない時でも伝聞した情報をもとに物事を評価する機会が得られます。伝聞情報には口コミ、SNS、マスメディアなど多様な方法があります。最近、今村復興相が「東北で良かった」という極めて非常識な問題発言の責任を問われて辞表を提出しました。いみじくも前回記事の冒頭に記した「そのような資質の人物が閣僚や国会議員になってしまっているという現状」をいっそう際立たせることになりました。しかし、それ以上に驚いたのは二階幹事長の次のような発言でした。

自民党の二階俊博幹事長は26日、東京都内での講演で、東日本大震災をめぐる失言で辞任した今村雅弘・前復興相を念頭に「人の頭をたたいて、血を出したっていう話じゃない。言葉の誤解があった場合、いちいち首を取るまで張り切っていかなくてもいいんじゃないか」と語った。自らの派閥に所属する今村氏の発言を、擁護したとも受け取られかねない発言だ。

東日本大震災をめぐり「東北で良かった」などとした今村氏の発言は25日夜、報道陣が入った二階派のパーティーで出た。二階氏は「政治家の話をマスコミが余すところなく記録をとって、一行悪いところがあったら『すぐ首を取れ』と。何ちゅうことか。それの方(マスコミ)の首、取った方がいいぐらい。そんな人は初めから排除して、入れないようにしなきゃダメ」と述べ、報道陣の取り上げ方の問題だとの見方を示した。【朝日新聞2017年4月26日

今村前復興相の問題発言の深刻さを軽視するような姿勢が見受けられる一方、驚くべきことにマスコミの報道の仕方を批判し、情報を統制したいという意図が露骨に示されていました。発言の後、野党やメディア側も問題視していましたが、それほど大きな注目を集めていません。前述したとおり「情報そのものに触れることができなかった場合、問題があるのか、ないのか、評価や判断を下す機会さえ与えられません」という問題意識があるため、今回の政権与党の幹事長から発せられた言葉は極めて重く、その真意や責任が問われて然るべきものと考えています。

政治家の言動を批判的に報じるメディアには取材をさせない、との意味に受け取れる。報道の役目は何か。主権者である国民に代わって政治家の振る舞いに目を配り、国民に伝えることだ。報道の自由はそのためにある。メディアを政治家が選別するようでは政治は堕落する。国民主権が危うくなる。第2次安倍政権になって、テレビ局幹部を自民党が党本部に呼んで「事情聴取」するなど、報道に介入する姿勢が強まっている。幹事長発言はその延長線上にある。容認できない。【信濃毎日新聞2017年4月30日社説一部抜粋

ネットで検索し、上記「二階幹事長 暴言を擁護するのか」という論説を見つけ、その一部を掲げさせていただきました。実は今回の記事タイトルを決める際、少し迷いました。これから北朝鮮を巡る情勢に関連した内容を綴るつもりであり、具体的な中味が分かるタイトル名も考えました。結局、今回記事のタイトルは「幅広い情報を得ることの大切さ」とし、マスメディアではあまり取り上げられないマイナーな情報を当ブログを閲覧されている皆さんに提供することを主な目的としています。

私自身、いろいろなサイトを閲覧することを習慣化しています。その中で思いがけない情報に触れることができたり、「なるほど」という気付きの機会につながる時が数多くあります。これまで培ってきた経験や蓄積してきた知識の違いから個々人の基本的な視点や立場が分かれていくようです。基本的な視点や立場が異なると同じ文章や同じ事象に接していても、人それぞれの感じ方や受けとめ方が大きく枝分かれしていきます。

これから紹介するサイトの記述も、人によって受けとめ方は様々だろうと見ています。中には非常に不愉快に思える箇所もあるかも知れません。私自身もすべて賛意を示している訳ではなく、自分で綴る文章であれば違った表現や言葉を選んでいる箇所もあるはずです。それでも幅広い情報を拡散する目的のもと、それぞれの著者の表現を尊重し、取捨選択せずに該当サイトの全文をそのまま紹介させていただきます。したがって、たいへん長い記事になりますが、ぜひ、お時間等が許されれば最後までお付き合いください。

■北朝鮮情勢の緊迫で「ツキがまわってきた」と叫んだ安倍首相

いかにも安倍首相がいいそうなセリフだ。きょう発売の週刊現代(5月6・13日号)が、安倍官邸と外務省の北朝鮮情勢をめぐる迷走ぶりを、まるで見て来た事のように「生中継」と銘打って書いてる。そこに書かれている事はほとんど冗談のような事の数々だ。しかし、それが本当なら冗談どころではない。「北朝鮮情勢が緊迫してきてから、安倍さんはすっかり元気になって、『ツキがまわってきた』と側近たちに話しています。『安保法も集団的自衛権もやっておいてよかっただろ。シナリオ通りだよ』とも」(官邸スタッフ)というのだ。

それはそうだろう。森友問題で下がった内閣支持率を北朝鮮の危機が引き上げてくれたからだ。私が驚いたのは、ペンス米副大統領との面会後、安倍首相がますます前のめりになったと書かれているところだ。北朝鮮有事があることを前提にして準備を進めるよう谷内正太郎NSC局長に指示したと書かれているところだ。アメリカが平壌を叩けば拉致被害者保護の目的で自衛隊を派遣できる、もし本当に拉致被害者を保護できれば支持率20%アップも夢ではない、と安倍首相は考えている、と書かれているところだ。

確かに、最近の報道を見ると合点がいく。そして、私がもっとも注目したのは、今の外務省は外務次官OBである谷内正太郎NSC局長の下に、外務次官になりたい幹部がすべて安倍首相に絶対服従し、米朝開戦に向かって異様なテンションになっていると書かれているところだ。その一方で、安倍・谷内体制から外されているその他大勢の外務省キャリアたちは、戸惑っていると書かれている。私が繰り返して書いて来た通りだ。

もはや外務省という組織は、安倍・谷内と次官欲しさの幹部たちによって完全に破壊されてしまった。もと同期の私だから言うが、谷内正太郎の大罪は計り知れないほど大きい。その谷内正太郎は、外遊の公務のかたわら、安倍首相の庇護の下に、セガサミーのカジノ利権実現に走り回っていると、月刊誌テーミスが書いていた。さもありなんと思わせる記事である。権力を握った者たちのやりたい放題だ。どこまでもあさましい連中である【天木直人のブログ2017年4月24日

■日米首脳が演出する「開戦前夜」の狙い

安倍晋三首相とトランプ米大統領の「蜜月」ぶりに注目が集まっている。2月の日米首脳会談で日米同盟の重要性を確認した2人は、懸念された経済・貿易交渉といった難題は先送りし、双方が「支持」を表明し合う関係構築を急いだためだ。トランプ大統領から「100%、日本を支持する」と明言された安倍首相は、米軍によるシリア攻撃に「米国政府の決意を支持する」と応じた。過激な言動で物議を醸し、史上最低の不人気ぶりを見せるトランプ氏と、いまだ高支持率をキープして長期政権の道を歩む安倍首相。急速に築かれた「ウイン-ウイン」の裏側には何があるのか。

当初、日米関係はギクシャクすると見られていた。2014年4月に来日し、東京・銀座の高級すし店などで厚遇したオバマ米大統領(当時)は、安倍首相と「ケミストリーが合わない」(首相官邸関係者)ことで知られ、日米関係を深化できない「忍耐の時代」が続いた。その後登場したトランプ氏も大統領選で在日米軍撤退の可能性に言及し、安保条約改定を求める始末だったためだ。トランプ氏は安保面だけでなく、「日本が牛肉に38%の関税をかけたいならば、米国は日本の自動車に38%の関税をかける」と日本を揺さぶり続け、日本政府内には悲観論が充満していた。

転機が訪れたのは1月の大統領就任直後。型にはまらない「暴言王」は選挙期間中に既存勢力が吸収しきれない層から人気を集めたが、実際にTPP(環太平洋経済連携協定)離脱やメキシコの「国境の壁」建設など大統領令を乱発すると、トランプ離れが加速。40%台半ばをつけていた支持率は下降線をたどり、「史上最低の不人気大統領」と揶揄される事態に陥ったのだ。窮地を救ったのは、皮肉にもそれまで「攻撃対象」にしていた日米関係だった。風向きの変化を敏感に感じ取ったトランプ氏は「日本への抱きつき」に舵を切り、2月に訪米した安倍首相を別荘地やゴルフで歓迎した。北朝鮮のミサイル発射を受けて記者会見した安倍首相と並び、「米国は、同盟国である日本を100%支持していく」とまで表明してみせたのだ。

ある自民党幹部は「国内で高まった不信を国外に向ける必要があったのだろう。つまり『我々の敵は北朝鮮にある』とね」と語る。その「変化」は安倍首相に渡りに船だった。それまでの日米関係の懸念が払拭される上、緊張感が高まる北東アジアでの米国の関与が期待できるためだ。核・ミサイル開発を進め、拉致問題を解決しようとしない北朝鮮に対して、米国による「圧力カード」は欠かせない。加えて、学校法人「森友学園」への国有地売却問題で支持率低下に苦しんでいた政府・自民党は、ここぞとばかりに「森友問題よりも北朝鮮問題が大切だ」とボルテージを上げていった。

北朝鮮への敵基地攻撃論や制裁強化プランが矢継ぎ早に飛び出し、「開戦前夜」を思わせる雰囲気が一気に醸成されていったのだ。2人の「戦略的互恵関係」が深まる中、安倍首相は国際法上の手続きを経ずにシリアを攻撃した米国に関して「化学兵器の拡散と使用は絶対に許さないとの米政府の決意を支持する」と配慮を見せ、トランプ氏は「(北朝鮮問題は)我々が解決する」と圧力をかけ続けている。北朝鮮やシリア問題の先行きは見通せないが、ウイン-ウイン関係にある日米首脳の共通点は、時に過激な言動を見せて批判を浴びてもコアな支持層に強力に支えられている点だ。

ピンチを迎えても、熱烈な支持者がツイッターなどSNS上で活発化し、メディアでも政権の意向を「忖度」して擁護する発言を繰り広げる。そして、日本の民進党、米国の民主党という前政権を徹底的に批判し続ける。そこに共通点を見出す向きは少なくない。民進党幹部の一人は「首相は『解決させる』と言った拉致問題が進展せず、トランプ氏に賭けたのだろうが、あの盲従ぶりは危険。自分が批判されると激高するところは似た者同士で、ケミストリーは合うんだろうけどね」と語る。激動する国際情勢は、いまや2人の関係を抜きに語れなくなった。「ジョーカー」を手にした安倍首相の次の一手が注目される。【PRESIDENT Onlin2017年4月29日

■室井佑月が政府の北朝鮮への対応に「さもありなん」?

ミサイル発射という緊迫した状況が続く北朝鮮。作家の室井佑月氏は、国民を守るべき政府の対応に不満を募らせる。*  *  * おどろおどろしい音楽に乗せて、米軍の巨大な原子力空母や、北朝鮮の軍事パレードなどがテレビで頻繁に映し出される。ミサイルの種類の説明をやってたり。ほんで、安倍首相が出てきて、「いかなる事態でも国民を守り抜く(キリッ!)」みたいなCMよ。安倍さん、この台詞好きよね。あたしが知ってるだけでも、自民党の役員会と熊本の陸上自衛隊で発言しておる。んでもって、カメラの前でキリッ。決まった、って感じなのだろうか。報道じゃなく、CMだ。そこで、「どうやって守るんだよ?」という子どもでも考えられそうな簡単な質問も出て来ない。

テレビでは迎撃ミサイルのSM3やPAC3がある、と盛んに宣伝しているが、北朝鮮がこの国に向けているミサイルは1100基以上といわれている。全部、撃ち落とすのは無理らしい。おいおい、原発に落ちたらどうすんだ?玄海原発再稼働するっていってるけど、どうよ?そこで早速、もっと高度なTHAADがないと、といいだす人たちが出て来て……。またアメリカから大人買いするんかい? てか、もう買う約束していたり?もしこの国めがけてミサイルが発射されたら甚大な被害が出るわけで、安倍さんがいう「いかなる事態でも国民を守り抜く」なんて発言は、ただの軽々しい言葉でしかない。

万が一、そういう事態があったとして、マスコミは安倍さんと共に責任を取れるのか?「いかなる事態でも国民を守り抜く」というその気持ちがほんとなら、最悪なその万が一を絶対に回避するような外交をしているわな。ISISのテロに狙われる可能性が高くなったのも、北朝鮮のミサイルが飛んで来る確率が高くなったのも、誰のせいじゃ?そういうことをきちんと論じる報道はほぼ皆無。危機を煽れば煽るほどCM効果で、政権支持率は高くなる。馬鹿らしい。そうそう、4月13日の参院外交防衛委員会で安倍さんは、「北朝鮮はサリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」とまでいったんだ。

国民を不安のどん底に落とし、自分はその2日後に、芸能人などを集めた「桜を見る会」を嬉々として開催した。15日は「金日成誕生日」だし、「ミサイル撃つXデー」と、マスコミはさんざん煽っていたけれど。あの方はその日、安全だと知ってたんか?だったらそういった重要な情報ひとつもらえないで、ただのCMにだけ使われて、マスコミは馬鹿にされたと思わないのか?それともグルか?ひょっとして、万が一が起きるときには、自分とその仲間だけはアメリカ様から教えてもらって大丈夫だから安心よ、ってか?森友学園や加計学園のことを考えれば、さもありなん。【週刊朝日2017年5月5-12日号

北朝鮮危機そっちのけ 大臣11人「GW外遊」に税金10億円

さんざん危機を煽っておきながらいい気なものだ――。北朝鮮情勢が緊迫する中で迎える今年のゴールデンウイーク。思い切りはしゃげない人もいるかも知れない。ところが、恒例の閣僚の“GW外遊”は相変わらず。27日、安倍首相がロシアに出発するのに続き、閣僚たちも世界各地に飛び立つ。20大臣のうち、半数の11大臣がノンビリと外遊する予定である。11閣僚の他にも10副大臣、8政務官が外遊予定。費用はVIP待遇の大臣は1回につき約5000万円といわれている。副大臣以下を半分と見積もっても、10億円を超える出費である。

外務省の日程を見て仰天した。北朝鮮との交渉窓口であるはずの外務省。大臣、副大臣が外遊に行ってしまって4日間も“空白”が生じるのだ。岸田外相は北朝鮮情勢に配慮し、サウジアラビア訪問を取りやめ帰国を早めた。ところが、安倍首相の実弟である岸信夫副大臣はカンボジア、パキスタン、薗浦健太郎副大臣は中南米を訪問する予定で、4月30日~5月3日の4日間は大臣、副大臣が全員、日本にいないことになる。外務省の大臣、副大臣が日本を離れるということは、本当は、北朝鮮危機など最初からないのか、危機などどうでもいいと思っているのか、自分だけは安全な地域に逃げようとしているのか、いずれかということだろう。

ちなみに、役に立つかはともかく、稲田防衛相と若宮健嗣副大臣は一応、国内で待機している。外務省に見解を文書で問い合わせたが、期限までに回答はなかった。政治評論家の山口朝雄氏はこう言う。「北朝鮮と難しい状況に直面している時、外務省は出払って、防衛省は待機しているというのは大問題です。これでは、外交交渉はあきらめて、戦争に備えていると言っているようなものです。それに、官邸や外務省から“空白”にするのはまずいんじゃないかと声が上がらないのもおかしい。いつもの調子でGWを迎えているのでしょう。緊張感がなさ過ぎです」 今度の閣僚の外遊先は、北朝鮮はおろか、中国や韓国も見当たらない。急いでいく必要のない“楽な出張”ばかりだ。1人ぐらい金正恩に直談判しようという大臣はいないのか。やはり、安倍政権に外交は任せられない。【日刊ゲンダイ2017年4月28日

上記の他にも北朝鮮情勢に絡んだ紹介したいサイトは多々あります。特に興味深かったサイトを選んでいますが、前述したとおり反発や批判を招く内容も多いはずです。あくまでも幅広い情報を得ることの大切さを踏まえ、このブログを閲覧されている皆さんにも拡散させていただきました。当初、以上のサイトを紹介した上で、私自身の意見や思いを綴ることも考えていました。たいへん長い記事になっていますので、今回は情報の拡散にとどめ、次回以降の記事に自分自身の「答え」を綴らせていただくつもりです。

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2017年4月23日 (日)

長島昭久さんが民進党を離党 Part2

自民党国会議員の問題発言問題行動が毎日のように取り沙汰されています。一つ一つ掲げていくと、それだけで相当の分量となります。このような事態を受け、自民党の役員連絡会で高村副総裁は「政府与党に、緩み、たるみ、不届き者が出ないよう、一人一人が身を律していくことが大切だ」と述べています。ただ「緩み」というよりも、そのような資質の人物が閣僚や国会議員になってしまっているという現状ではないでしょうか。

何よりも「緩み」という言葉で真っ先に思い浮かぶのは安倍首相の最近の言動です。森友学園に対する国有地売却の政府の説明に約8割が「納得できない」とした世論調査を踏まえ、民進党の柚木衆院議員が「安倍総理から昭恵夫人や迫田英典元理財局長に説明してもらえるようご指示いただけないか」と質問しました。それに対し、安倍首相は「内閣支持率は53%で、自民党の支持率、民進党の支持率はご承知の通り」と答えていました。

国民の半数が内閣を支持しているのだから森友学園の問題は、これ以上取り上げる必要がないという不誠実な態度でした。その後、このような安倍首相の姿勢が顕著に表われた場面もありました。商業施設のオープンセレモニーの挨拶で「よく私が申し上げたことを忖度していただきたい」というジョークを飛ばしていました。ご承知の通り森友学園の問題では「忖度」という言葉が注目を集めています。

森友学園の問題の不明瞭さを深刻に受けとめているのであれば、とても「忖度」という言葉をジョークとしては使えないはずです。何があっても国民の半数は自分を信じてくれている、だから森友学園の問題は終わった、このような安倍首相の「緩み」が気になっています。記事タイトルから離れた話が長くなっていますが、後述する「いつでも政権交代できる緊張感や対抗軸を持つ野党の存在が必要」という論点につながる「緩み」の話だと見ています。

さて、前回の記事タイトルは「長島昭久さんが民進党を離党」でした。「離党ではなく、除籍だ」という指摘もあろうかと思いますが、長島さんが民進党を離れたという事実は除籍でも除名でも基本的に変わりありません、ただ自ら辞める、自分から党を離れる、これが離党であり、失態を犯したので党から追い出されたというのが除籍となります。経歴に差が生じる程度だろうと見ていますが、離れた後の古巣との関係性には大きな違いを与えていくものと理解しています。

前回記事の最後のほうで「ここから先に書き足そうと考えていた内容や論点は、あえて1週間送り、次回の記事で取り上げさせていただきます」と予告していたため、今回の記事は「Part2」を付けて書き進めています。あえて1週間送った理由は、関係者の間では周知の事実だったとしても重要な情報をブログに先走って掲げることを控えたからです。もう一つ、このブログのことは組合員の皆さんに宣伝していますが、即時に閲覧される方は少ないため、組合ニュースの発行と同じタイミングで私自身の考え方を伝えるべきものと考えたからでした。

組合が推薦している衆院議員の長島昭久さんが共産党との共闘方針に反発し、離党届を提出した結果、民進党から除籍されました。この長島さんの動きを受け、やはり組合が推薦している当市選出の都議会議員も離党します。さらに民進党の市議会議員5名全員も離党するという話を耳にしています。私どもの市における非常に激しい政治情勢の変化に際し、取り急ぎ組合員の皆さんに状況の報告とともに今後の組織議論に向けた論点等を提起させていただきます。最終的な方針等は5月11日に開く第4回職場委員会で確認する運びとしています。

「組合員のため」を主目的とした組合活動も、職場内の閉じた活動だけでは結果としてその目的が達成できない恐れもあります。特に公務員の組合にとって各級議会に緊密な連携をはかれる議員の存在は貴重なことであり、これまで自治労や連合に結集しながら一定の政治的な活動に取り組んできています。ただ組織内議員でない限り、組合方針の大半が一致できる候補者は極めて限られています。

大きな方向性が合致した上で、基本的な信頼関係を築けるかどうかを大事な点として、推薦の取扱いを判断しています。長島さんの考え方も、すべて私どもの組合方針と一致していた訳ではありませんが、以上のような経緯のもと推薦関係を築いてきました。そして、推薦関係があるからこそ、これまで私自身は自治労に所属する一組合の立場や要望を長島さんに直接訴える場を数多く持ち得ることができていました。

また、与党の行き過ぎをチェックするためにいつでも政権交代できる緊張感や対抗軸を持つ野党の存在が必要だと考えています。その存在感ある野党に民進党が返り咲くためには「リアリズムとリベラリズム」を兼ね備えた長島さんのような政治家が欠かせないものと思っていました。そのような意味合いで長島さんが民進党を去られたことは残念であり、そこから波及した当市における動きは民進党にとって極めて大きな痛手につながるものと見ています。

一方で当たり前なことですが、労働組合は政治団体ではなく、組合員のためにある組織です。組合員にとってどうなのかという判断のもとに政治との距離感を見極めていくことになります。7月の都議会議員選挙に向け、連合東京は都民ファーストの会と政策合意しました。これまでも連合は産別単組や各地域の事情を踏まえ、所属する政党に縛られずに推薦関係を判断しています。今後、都民ファーストの会の登場で、その範囲が一気に広がる見通しです。

連合東京に加盟している自治労都本部ですが、都民ファーストの会の理念や政策について議論が不足しているため、支持・協力政党という認識にまで至っていません。ただ民進党を離れた候補者であっても、自治労都本部は政策協定を交わせるのであれば引き続き推薦する幅を残しています。

都民ファーストの会に対する評価は不明瞭という意味合いで私どもの組合も自治労都本部と同様ですが、都議選に向けては公務員や労働組合を敵視した構図が喝采を浴びるような「劇場型」選挙に警戒していかなければなりません。このような懸念に関しては連合東京が政策合意を交わしたことで顕著にならないことを期待しているところです。

以上のような情勢を受け、自治労や連合の方針を踏まえ、より具体化した都議選に臨む私どもの組合の考え方を第4回職場委員会で提起する予定です。いずれにしても組合員にとってどうなのかという基本的な視点のもとに判断していきます。そして、もともと選挙に関わる方針は組合員の皆さんに対し、その重要性などを訴え続けることによってご理解やご協力を求めていくものだと考えています。 

以上の内容は「長島昭久さんの民進党除籍問題及び都議選に臨む考え方」という見出しを付け、A4判の組合ニュース裏面に掲げた私自身の記名原稿です。長島さん以外に固有名詞で記している箇所もありますが、このブログ投稿の目安に沿って一部書き直しています。執行委員長の肩書きを付けた記名原稿ですが、あくまでも私自身の責任で言葉を選んでいる文章です。執行委員会での本格的な議論も経ていないため、抽象的で分かりにくい箇所が多いものと思っています。

このブログを通し、行間に込められた自分自身の思いを補足しようかどうか少し迷いました。結局、補足する記述を重ねていけば、今後の組織内での自由闊達な議論に影響を与える懸念もあります。そのため、今回のブログ記事は組合ニュースと同じ内容の文章の掲載を中心にしたものにとどめさせていただきます。いずれにしても労働組合にとって「組合員にとってどうなのか」が大事な判断材料であり、かつ何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、幅広い視野で物事を見ていくことも重要だろうと考えています。

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2017年4月16日 (日)

長島昭久さんが民進党を離党

前回記事「新入職員の皆さんへ 2017」の最後に「私どもの組合も推薦している衆院議員の長島昭久さんが民進党を離党することになりました。これまで当ブログで長島さんとの関係などを数多く取り上げてきています。 前回記事のコメント欄でも記しましたが、この件に関しては機会を見て新規記事を通して私自身の受けとめ方などを綴らせていただくつもりです」と記していました。さっそく今回、その件について新規記事の題材として取り上げてみます。

民進党の長島昭久元防衛副大臣(衆院比例東京)は7日、東京都内で開いた支持者らとの会合で、近く同党を離党する考えを表明した。10日に記者会見する。党関係者が明らかにした。無所属で活動しながら、小池百合子都知事との連携を模索するとみられる。党内きっての保守派で次期衆院選に向け、共産党との共闘路線に傾く蓮舫執行部に反発を強めていた。

長島氏は東京都議選(7月2日投開票)をめぐり、党都連に都連幹事長の辞表届を6日、正式に提出した。36人の公認予定者のうち、長島氏の元秘書を含めて7人が離党表明するなど、深刻な党勢低迷が続いていることも背景にありそうだ。長島氏は当選5回。昨年9月の党代表選で、共闘路線見直しを争点に立候補したいとの意向を示したが、出馬に必要な20人の推薦人を確保できなかった経緯がある。【産経新聞2017年4月7日

すでに関心のある方は目にされている報道内容の紹介とともに地元関係者の間では明らかになっている事実関係を少し補足していきます。上記報道にある支持者らとの会合とは「長島昭久後援会緊急集会」のことであり、案内文には「この度は国政選挙および7月の都議会議員選挙に関する重大なお知らせがあり、緊急に後援会の皆様との懇談の場を持ちたいと存じます」と呼びかけられていました。

民進党を離党する考えを表明する場として緊急集会を開くことに関し、支持協力関係のある地元の連合関係者には事前に伝えられていました。離党するという決断に対し、賛同されたかどうか役員一人ひとりの評価は分かれているのかも知れません。緊急集会の開催前はもちろんですが、今のところ長島さんとの今後の支持協力関係をどのように位置付けていくのかどうか組織的な結論は見出していません。

現時点までの関係性で言えば政治家が下した重大な決断を尊重した上で、その事実が明らかになった後、組織的な議論に入ることになっていました。連合東京や連合三多摩の段階では、ほぼ対応方針が決まりつつあるのかも知れませんが、地区協としては4月24日に開く幹事会で取扱いを議論する予定です。連合や自治労の対応方針を見定めながら、私どもの組合も執行委員会で議論し、5月連休明けに開く職場委員会で組合員の皆さんに考え方を示す運びとしています。

民進党の長島昭久・元防衛副大臣が共産党との共闘方針に反発し離党の意向を固めたことについて、蓮舫代表は8日、「考え方が違う」と述べ、不快感を示した。蓮舫氏は「衆院選勝利に向けて、野党で連携していく方針は党大会で確認されている。これから1年間の党の活動方針だ」と強調した。東京都内で記者団の質問に答えた。また、野田幹事長は奈良市内で記者団に「本人に会って聞いてみないと、考え方が分からない」と述べるにとどめた。

長島氏は10日に野田氏と会い、離党の意向を正式に伝える考えだ。一方、かつて同じグループに所属し、外交・安全保障政策でも考え方が近い前原誠司・元外相は、静岡県熱海市内で記者団に「長らく親しくやってきたので大変残念で、大事な仲間を失ったことは痛恨の極みだ」と述べた。【読売新聞2017年4月9日

地元関係者とは事前に相談を尽くしていたようですが、上記報道を額面通りに取れば民進党内での調整は皆無だったように見受けられます。もともと長島さんは野田幹事長の派閥だった関係もあり、意外な印象を受けていました。4月10日、離党届を提出するため、野田幹事長と会った際のやり取りを見ると、やはり民進党執行部にとって「寝耳に水」の衝撃だったようです。実は昨年、野田幹事長の説得で長島さんは離党を一度踏みとどまっていました。

自分自身の決意の固さとともに事前に相談することで、かえって野田幹事長に迷惑をかけてしまうという長島さんとしての配慮だったのかも知れません。しかし、野田幹事長からは「長島氏は、比例代表で当選しているので、議員辞職が筋ではないか。離党届が正式な受理とならなければ、除籍処分以外の選択肢はない」と強い反発を受ける結果を招いています。実際、長島さんは離党ではなく、除籍という処分を受け、民進党を去ることになりました。

民進党の松原仁都連会長は11日、離党届を提出した長島昭久元防衛副大臣に対し、同党執行部が除籍処分の方針を固めたことについて「自民党はあれだけ対立している東京都の小池百合子知事を除名せず、懐の深さを示している。民進党も懐が深い政党として、さまざまな力を総合する力が必要だ」と述べ、不満を示した。党本部で記者団に語った。松原氏は「考え方が違う人間がいるのは当たり前だ。それをまとめていくのが執行部だ」とも語った。【産経新聞2017年4月11日

松原さんと長島さんが政治信条的に近しいため、このような発言に至っているように見られがちです。さらに自民党と小池都知事との関係は「懐の深さ」というよりも、小池都知事の「したたかさ」に翻弄されている、もしくは除名しないほうが有利であるという自民党側の「したたかさ」を感じ取っています。いずれにしても後ほど触れますが、民進党執行部の除籍処分という判断が適切だったかどうか迷うところです。

東京都議選(7月2日投開票)で、民進党の支持組織である連合東京(岡田啓会長)が、小池百合子知事が率いる地域政党「都民ファーストの会」と政策合意をして、公認候補者の一部を支援することが4日、関係者の話で分かった。民進の公認候補も従来通り支援するが、離党届を出しても支援を受けられるため、民進に離党届を出す候補がさらに増える可能性がある。関係者によると、連合東京は、既に民進に離党届を提出し、都民ファーストから公認を受けた元都議などを中心に支援する方針という。

連合東京の幹部は「今年度予算を決める都議会定例会なども注視してきたが、小池知事の労働政策は我々の主張と大きな違いはない」などと、小池氏を評価。「我々がこれまで応援してきた候補者には、民進を離れても引き続き頑張ってもらいたい」と述べた。一方、民進の公認候補への支援もこれまで通り続ける考えだという。民進は公認候補が36人いたが、都民ファーストからの出馬を目指した7人が既に離党届を出している。【毎日新聞2017年4月4日

連合東京が都民ファーストと政策合意したという話を耳にしても驚きませんでした。昨年末に投稿した「民進党に望むこと」の中で、このあたりの関係性についても綴っていました。連合の神津会長は「私たち連合は、はなから無条件で民進党を応援しているわけではない。あくまでも自分たちの持っている政策が民進党の考え方と最も近いから応援しているにすぎない」と語り、自治体で言えば自民党色の強い首長とも連合の各地域協議会は可能であれば積極的に政策協定を交わしています。

当たり前なことですが、労働組合は政治団体ではなく、組合員のためにある組織です。組合員にとってどうなのかという判断のもとに政治との距離感を見極めていくことになります。ただ連合東京の上記の動きは民進党都議候補を離党させる後押しに繋がっていることが明らかです。まず自分自身が選挙戦で勝ち残れるのかどうか、最も大事な点になることも心情的には理解できます。議員でなくなってしまうと、都民のため、選挙区の住民のために充分働けなくなってしまうという言い分も一概に否定できません。

このような流れの中、長島さんの地元の都議選各選挙区の候補者が都民ファーストと連携し、民進党を離党しています。その候補者らを表立って応援するためにも都議選前のタイミングが欠かせなかったのではないでしょうか。もちろん長島さんにとってご自身のブロク『翔ぶが如く』等に記しているような決意が最も大きな理由になるのでしょうが、「なぜ、今なのか」という問いかけに対しては都議選を控えたタイミングが決断の後押しになったものと見ています。

事実関係を中心に書き進めてきたつもりですが、所々に私自身の見方を添えてしまいました。ある程度見込んでいましたが、ここまでで相当長い記事になっています。長島さんが除籍になったことを紹介した際に「後ほど触れますが」と記していました。当初、ここから先、私自身の受けとめ方や問題意識を書き足していくことを考えていました。単に長くなったからという理由だけではありませんが、ここから先に書き足そうと考えていた内容や論点は、あえて1週間送り、次回の記事で取り上げさせていただきます。

最後に、このブログを長島さんも閲覧され、私自身がどのような考え方や主張を発しているのか、気にされているという話を伺っています。「市井の声」をリサーチする一つの機会として利用されているものと思われますが、これまで「もう少し集団的自衛権の話」「憲法の平和主義と安保法制」に対して長島さん自身からコメントもお寄せいただいていました。たいへんお忙しい方ですので常時閲覧されていないものと思っていますが、長島さんに見られている、見られていない、どちらであろうと遠慮せず、主張すべきことは主張するというスタンスで次回以降の記事にも向き合っていくつもりです。

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2017年4月 8日 (土)

新入職員の皆さんへ 2017

市役所西の道路両側には桜の木が並び、文字通り桜並木となっています。この時期、朝、出勤するたびに桜の花の開いていく様子を見守ることができます。7年前は市庁舎の移転前でしたが、「顔を上げれば満開の桜」というブログ記事を投稿していました。前夜の強風に耐えて、きれいに咲き誇っていた桜を見て、「受粉の営みを終えるまで散れないという生存本能が働くため、咲いたばかりの桜は散りにくい」という話を紹介していました。1年に1回の開花の季節、少しでも長く楽しませてもらえれば良いなと思っています。

さて、ブログを開設した翌年の4月に「新入職員の皆さんへ」という記事があり、3年前には「新入職員の皆さんへ 2014」という記事を投稿していました。今回もタイトルに「2017」を付けて新規記事を書き進めてみます。月曜日、私どもの市役所に16名の新規採用の職員が入所しました。新任研修初日の昼休み、組合として挨拶に伺うのが毎年の恒例となっています。委員長挨拶から組合の簡単な説明、そして、早期の組合加入を呼びかける場です。

貴重な昼休み時間に行なうため、組合を代表した私の挨拶も非常に簡単なものにとどめています。1週間程度の新任研修期間中、必ず金曜日の夜に定めて新人歓迎オリエンテーションと呼んでいる本格的な組合説明会を催しています。その会での私自身の持ち時間は10分ほど割り当てられています。定期大会や職場委員会での委員長挨拶も長くて5分以内をいつも心がけています。

このブログで様々な内容の記事を投稿していますので、挨拶する時の題材に困ることがありません。人前で挨拶する機会も多いため、檀上で緊張することはありません。原稿がなくても大丈夫ですが、話を広げてしまい、時間オーバーとならないように定期大会での挨拶は事前に原稿を用意しています。新歓オリエンテーションでの持ち時間10分は多少ゆとりがあるため、特に原稿は用意していませんでした。すると「そろそろ10分近くかな」と腕時計を目にした時点で、すでに2分超過していた時がありました。

そのため、今年の新歓オリエンテーションに向けては事前に原稿を用意することにしました。前回記事「節目の700回、今、思うこと」の中で当ブログの位置付けを記していましたが、不特定多数の方々へ公務員組合側の言い分を発信するとともに、一人でも多くの組合員の皆さんにも読んでもらいたいと思いながら続けています。つまり新入職員の皆さんに伝えたいこと、イコール不特定多数の皆さんにも伝えたいことでもあり、決して手を抜く訳(coldsweats01)ではありませんが、その会の挨拶原稿の内容をそのまま掲げさせていただきます。

4月に入所された皆さん、改めておめでとうございます。昨年度途中に入所された皆さんに際しては、その都度このような会を催せず申し訳ありません。今さらのような話もあるかも知れませんがご容赦ください。普段、挨拶は短めにするように心がけています。この会での持ち時間は10分です。いつもより長い持ち時間だと安心し、時間をオーバーした時もありましたので今回は事前に話したい内容をまとめてみました。それでも原稿から離れてしまい、時間を超過しないように注意していきます。

すでに皆さんにお配りしていますが、組合のことを少しでも分かってもらうため、毎年春闘期に機関誌『市職労報』を発行しています。私が寄稿した特集記事のトップ見出しには「役に立たない組合はいらない」と掲げています。一歩間違うと大きな誤解を招き、組合をつぶそうと考えているような言葉です。決してそうではなく、組合員の皆さんに「何だろう」と関心を持っていただくための見出しの付け方でした。

私自身も組合員の皆さんに対し、まったく役に立たない組合であれば「いらない」と思います。しかし、いろいろ力不足な点もあろうかと思いますが、一定の役割を果たしていることを確信しているため、組合は必要という認識を持ち続けています。そもそも組合は、一人ひとりが働き続ける上で困った時に支え合い、皆で助け合うための役割を負っています。いざという時の安心のため、つまり「保険」のような側面があります。

中には組合加入を断る理由として「困ることはない」「困った時は自力で解決する」と話される方もいます。実際、大きな支障がなく、過ごせる場合も多いのかも知れません。それでも昔から「一人は皆のために、皆は一人のために」という組合を語る言葉があるように一人の力には限りがあります。公務員にも団結権が認められ、様々な労働条件の問題を労使で協議しています。特に労働条件を決める際は労使対等の原則が働きます。

市役所の仕事において、一職員からすれば市長をはじめとした理事者の方々は「雲の上の存在」となります。それが労使交渉の場では対等に物申すことができ、労使合意がなければ労働条件の問題は当局側の思惑で一方的に変更できないようになっています。このような原則のもとに労使交渉を積み重ね、現在の労働条件が築かれていることを機会あるごとに強調しています。

仮に経営者の思惑だけで労働条件が決められた場合、昨今、問題視されている「ブラック」を生み出す土壌に繋がりかねません。パワハラや違法な長時間労働を常態化させるような職場は労働組合がない、もしくは組合の存在感が希薄な場合に生じがちです。若手女性社員が過労自殺した電通の場合、組合の組織率は30%ほどだと耳にしています。ひ、このような総論的な意味合いでの「組合は必要」という見方について、ご理解いただければ本当に幸いなことです。

公務員をとりまく情勢がたいへん厳しい中、直接的なメリット、いわゆるプラスの成果にかかわる話は多くありません。しかし、個別課題においても組合員の皆さんの生活を守るため、いつも全力で労使協議を尽くしています。『市職労報』の中で「ここ数年の主な労使交渉の成果」も掲げていますので後ほどご参照ください。さらに良質な住民サービスの維持・向上のためにも必要な部署に必要な人員を配置し、職員が健康でいきいきと働き続けられる職場の確保が欠かせないものと考えています。

一人の力が小さくても皆で力を合わせるという考え方は、組合間の関係でも当てはまります。職場内の交渉だけでは解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が自治労や連合に結集することで大きな力を発揮しています。最近、何々ファーストという言葉をよく耳にしています。それぞれの立場や組織にとって、それぞれの構成員のために力を尽くすことは、ある意味で当たり前なことです。私たち労働組合は組合員ファーストであり、組合活動のすべてが「組合員のため」にとってどうなのかという視点で進めています。

労使交渉はもちろん、政治的な活動も同様です。後ほど説明がありますが、全労済労働金庫の活動も「組合員のため」に進めています。それぞれ労働組合が出資し、設立した歴史があり、営利を目的にせず、組合間の相互扶助のための組織となっています。組合の説明会にそれぞれの担当者をお呼びしているのも、このような経緯があるからです。組合活動は特定の誰かや団体のために行なっているものではなく、組合員全体で方針を決め、その目的は「すべて組合員のため」に繋がっていることをご理解くださるようよろしくお願いします。

結局、用意した挨拶原稿を読み上げることはなく、上記の内容の要旨を参加された皆さんにお話させていただきました。詳しく説明した箇所や話を少し広げ気味でしたが、ほぼ10分の持ち時間は守れたものと思っています。最後に、私どもの組合も推薦している衆院議員の長島昭久さんが民進党を離党することになりました。これまで当ブログで長島さんとの関係などを数多く取り上げてきています。 前回記事のコメント欄でも記しましたが、この件に関しては機会を見て新規記事を通して私自身の受けとめ方などを綴らせていただくつもりです。

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2017年4月 2日 (日)

節目の700回、今、思うこと

記事タイトルに掲げた通り今回、節目の700回を迎えます。このブログを開設した当初は毎日のように記事本文を更新していました。しばらくして週2、3回のペースとなり、1年後ぐらいから週1回の更新が定着し、現在に至っています。実生活に過度な負担をかけないペースとして毎週1回、土曜日か日曜日に更新するようになってから1回も途絶えずに「週刊」を習慣化できています。

もし定期的な更新間隔を定めていなければ、日々の多忙さに流され、いわゆる「開店休業」状態が続いていたかも知れません。それでも年月は過ぎていくことになります。一方で、投稿した記事の数は自分自身の労力を惜しみ出したり、続けていく熱意が冷めてしまった場合、停滞してしまう数字です。そのような意味で、これまで記事の回数が100を刻んだ時をメモリアルな節目に位置付け、下記のような記事を投稿してきました。

100回の時は、あまり投稿数を意識していなかったため、100回目の記事という認識がないまま普段通りの内容を書き込んでいました。その直後、たまたまココログの管理ページを目にした際、直前に投稿した記事が100回目だったことに気付きました。そのため、101回目という少し半端なタイミングでのメモリアルな記事内容となっていました。毎週1回の更新が定着し、先が読みやすくなっていた200回目以降は失念することなく、上記のような記事をピンポイントで綴ることができています。

訪問されている方々にとって、この記事が何回目だろうと関係ないことは重々承知しています。それでも節目のタイミングを利用し、このブログがどのような性格のものなのか改めてお伝えさせていただく機会としていました。いずれにしても週1回の更新ペースを崩さず、継続できているのも毎回多くの皆さんが訪れてくださり、貴重なコメントをいただけていることが大きな励みとなっているからです。ちなみに500回目の頃と比べ、コメント欄の雰囲気が大きく様変わりしています。

500回目の記事の中に「普段のアクセス数は千件から2千件ぐらいの幅で推移し、コメント数が100を超えた記事も数多くありました」と書かれています。現在、寄せられるコメントの数は大きく減っています。記事本文の更新が週1回で、コメント欄での動きが少なくなっているため、アクセス数も当時に比べれば減っています。千件を超す日のほうが珍しくなっていますが、ほぼ毎日500件以上のアクセスを得られています。このような手応えがある限り、引き続き次の節目である800回をめざしていくことができます。

さて、以前の記事「このブログを始めたイキサツ」に書きましたが、NHKと朝日新聞の「従軍慰安婦」関連番組への政治介入問題に絡む対立が当ブログ開設の一つの切っかけでした。真実は一つでも、どちら側からの報道に接するかによって善悪の印象がガラリと変わっていました。ちょうど世の中は大阪市役所の厚遇問題などで、公務員への厳しい視線や声が強まっていた頃でした。当然、公務員やその組合側も改めるべき点は即座に改める必要があります。

ただNHK対朝日新聞の例を踏まえ、主張すべきことは主張する必要性を強く感じていた時、誰でも簡単にインターネット上で意見を発信できるブログと出会い、これまで700回の記事を積み重ねてきました。あくまでも個人の責任によるブログですが、私どもの組合員の皆さんに向け、時々、このブログのことを組合機関誌等を通して宣伝しています。不特定多数の方々へ公務員組合側の言い分を発信するとともに、一人でも多くの組合員の皆さんにも読んでもらいたいと思いながら投稿しています。

つまり組合活動を身近に感じてもらうための一つのツールとしても位置付けています。二兎を追うブログだとも言えますが、これまで自分自身としては難しく思わず運営してきています。その中で一貫して注意している点は、不特定多数の方々に見られることを常に意識した記事内容の投稿に努めるという心構えです。不確かな情報や知識での断定した書き方はもちろん、賛否が分かれる問題についても結論を押し付けるような書き方は極力避けるように努めています。

誰もが閲覧できるブログでの発言の重さをいつも念頭に置きながらパソコンに向き合っています。 このような意味合いから週に1回の定期更新は自己啓発の機会であり、自分自身の主張を広く発信できる「運動」の一つにも位置付けています。そして、何よりもブログを始めて良かったと思うことは本当に幅広く多様な考え方や意見に触れられたという経験です。辛辣な批判意見が数多く寄せられてきましたが、インターネットを介した匿名の場だからこそ触れることができた飾らない声の一つ一つだったものと考えています。

私自身の立ち位置や正しいと信じている「答え」が基本的に変わらないため、批判的なコメントを寄せられる方々に対し、徒労感や失望感を与えがちだったものと思っています。それでも多様な声があることを把握し、日常の職務や組合活動に臨めることの意義深さをいつも感じ取っています。いずれにしてもいろいろな「答え」を認め合った場としてこのコメント欄の限界と可能性について閲覧されている皆さんにご理解を求めながら、貴重な時間を割いて当ブログにご意見等をお寄せくださった方々に心から感謝しています。

最後に、右サイドバーの「相互リンク」で多数のサイトを紹介しています。休止されているブログ等も複数あるようですが、ご縁があって掲げた関係から当方の判断だけで外すことをためらったままとしています。「相互リンク」という関係になっていませんでしたが、「公務員のためいき」のことを数多く取り上げてくださったブログ「市役所職員の生活と意見」がありました。たいへん残念ながら最近の記事の中で、そのブログもお休みされることが表明されていました。管理人のマンマークさん、お疲れ様でした。 このブログにとって、たいへん参考になった記事の数々、本当にありがとうございました。またご縁がありましたら相互に交流できることを楽しみにしています。

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2017年3月25日 (土)

テロ等準備罪、賛否の論点

最近のブログ記事の中で、何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要という言葉を頻繁に使っています。この言葉を踏まえて考えた時、安倍政権が提出する法案だから反対するという「条件反射」的な対応は控えていかなければなりません。その意味で賛否の大きく分かれる注視すべき法案が先週火曜日、安倍首相外遊中に閣議決定され、衆院に提出されました。過去3回廃案となった共謀罪に連なるテロ等準備罪です。

政府は21日、組織的な重大犯罪を計画・準備段階で処罰する「組織犯罪処罰法改正案」(テロ準備罪法案)を閣議決定し、衆院に提出した。過去に3回廃案となった「共謀罪」の成立要件を厳格化した「テロ等準備罪」の創設が柱だ。政府は2020年東京五輪・パラリンピックに向けたテロ対策の強化と位置付け、今国会での成立を目指す。

菅官房長官は21日の記者会見で、「3年後の五輪・パラリンピック開催に向け、テロを含む組織犯罪を未然に防止するため、万全の体制を整える必要がある。かつての共謀罪とは明らかに違う別物だ」と述べ、早期成立に意欲を示した。テロ等準備罪は、日本も2000年に署名した国際組織犯罪防止条約の批准に必要となる。

政府は、同条約を締結すれば、組織犯罪に関する国際的な捜査や犯罪人引き渡しなどで諸外国の協力を得やすくなるとしている。日本を除く経済協力開発機構(OECD)の全加盟国など187の国・地域が締結済みだ。【読売新聞2017年3月21日

過去にも当ブログを通し、共謀罪を取り上げたことがあります。「とんでもない法律、共謀罪」というタイトルの記事でした。このブログを開設し、1年ほどは週に複数回更新しています。当時、1回あたりの文字数も短く、現在のような長文ブログではありませんでした。2006年4月27日木曜日に投稿した当該の記事もコンパクトなものであり、その記事を通して訴えたかった要旨は概ね下記のとおり書き出すことができます。

現在、開会中の国会で、とんでもない法律が作られようとしています。共謀罪法案です。実際、犯罪に手を下していなくても数人で集まって「犯罪」の話をしただけで罪に問われる法案です。もともとは2000年11月、国連総会で「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約」が採択され、日本も署名したことから話が始まりました。これを受けて国内法の整備のために提案されたのが共謀罪です。

多くの人たちが「国際的な犯罪組織が対象で、自分たちには関係ない」と思われているかも知れませんが、労働組合、宗教団体、職場のサークルなど組織の形態は問われていません。また、仲間同士の冗談話でも逮捕される恐れがあります。与党側は「非常識な運用はされない」と説明しているようですが、ひとたび法律ができてしまえば、その運用の幅は警察や裁判所の判断に委ねられてしまいます。

まず事実関係として指摘したい点があります。そもそも安倍首相は2013年9月のIOC総会で2020年開催のオリンピック・パラリンピックの招致を求めた際、「東京は世界有数の安全な都市」と強調していました。それが今さら「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京オリンピックを開けない」と訴えていることに大きな矛盾を感じています。このあたりは前回記事「再び、言葉の重さ」で綴った問題意識に繋がりますが、安倍首相の言葉の選び方や資質が問われる一例だろうと考えています。

続いて、国際組織犯罪防止条約に批准するための欠かせない法整備であるかどうかという点です。テロを含む組織犯罪を未然に防ぐための国際協力を可能にするための条約はTOC条約、もしくはパレルモ条約とも呼ばれています。自民党の河野太郎衆院議員のサイトでTOC条約に加入することのメリットや今回の法整備の必要性が説明されています。この条約に加入することで、組織犯罪の捜査に必要な証拠が外国にある場合、迅速な共助を可能にします。

この条約に未加入で相手国と2国間条約もない場合、その都度外交ルートを通さなくてはならず、協力を得られるかどうかも分かりません。組織犯罪の容疑者らが外国に逃亡した場合、TOC条約に加入していれば、相手国との二国間条約がなくても引き渡しの請求ができます。未加入で2国間条約もない場合、引き渡しを拒否する国が多くあるそうです。ちなみに日本が2国間条約を結んでいるのはアメリカと韓国の2か国のみです。

国連加盟国の中でTOC条約に加入していないのは日本、イラン、ブータン、パラオ、ソロモン諸島、ツバル、フィジー、パプア・ニューギニア、ソマリア、コンゴ共和国、南スーダンの11か国のみとなっています。このようなメリットや事情があるため、日本政府がTOC条約の加入をめざすこと自体、拒むような話ではありません。そして、TOC条約に加入するためには、その前提条件として重大な犯罪の合意又は組織的な犯罪集団の活動への参加を犯罪とする法整備が必要とされています。

果たして今回のテロ等準備罪法案が欠かせない前提条件であるのかどうか、賛否の論点としてクローズアップされて然るべきものと考えています。法律家の間でも賛否が分かれ、日本弁護士連合会は反対の立場ですが、暴力団などの組織犯罪の対応に取り組む弁護士有志は成立を求める提言書を公表しています。日弁連も一枚岩ではなく、テロ等準備罪が、TOC条約の締結に必要か否かで見解が割れています。

日弁連は「テロ対策は既に充分、国内法上の手当がなされている」と主張し、TOC条約締結に新たな法整備が不要との立場です、しかしながら弁護士有志の提言書は、条約が「重大な犯罪の合意」の犯罪化を義務付けていることを理由に「刑法などに予備罪の規定はあるが、その成立には判例上『実質的に重要な意義を持ち、客観的に相当の危険性が認められる程度の準備』が必要。合意の犯罪化を求めている条約の条件を満たさない」としています。

日弁連が改正案に反対する最大の理由は「捜査機関が乱用する懸念」ですが、提言書は「暴力団対策法や組織犯罪処罰法が制定される際も危険性が指摘されたが、乱用されて市民団体や労働組合に適用されたことはない」と説明しています。弁護士の一人は「改正案の構成要件は相当厳格化されている。条約を締結した場合のメリットは大きく、乱用を防止できる日本の民主主義や司法制度の成熟度を信頼すべきだ」と述べています。

上記の指摘もその通りなのかも知れません。しかしながら国連では「国際組織犯罪」と「テロ」は理論上区別され、「マフィアを取り締まる条約に入るための法案だと聞くのですが、なぜ、それがテロ対策になるのか。(共謀罪を立法するための)便乗ではないか」と疑問視する声も耳にしています。さらに以前は676あった対象犯罪を277まで絞っていますが、「テロの実行」分野は半分以下の110程度です。テロ対策を前面に出すことで国民からの反対の声を緩和する意図が透けて見えがちです。

2001年の米同時多発テロで当時34歳だった長男を亡くした住山一貞さんは、政府が「テロ等準備罪」の呼称を使っていることに違和感を覚えています。住山さんは「殺人や誘拐はともかく、窃盗まで入っている。計画段階で捕まえるというけれど、内部告発でもない限り、どう捜査するのでしょうか。テロを未然に防げるなら捜査の幅を広げて個人の自由をある程度縛ることもやむを得ないと個人的に思うが、家族や友人とも気楽に話せないような社会は恐ろしい。この法案とは別に、実質的なテロ対策を望みたい」と語っています。

法案の名称を変え、テロ防止を前面に出していますが、半分以上はテロとは無関係の犯罪を対象としているため、やはり今回も本質は3回廃案になった共謀罪に変わりないと言わざるを得ません。共謀罪の問題性について赤字で掲げた当ブログの以前の記事で端的に説明していますが、世田谷区長の保坂展人さんが「共謀罪はなぜ過去3回廃案になったのか」というタイトルで詳しく解説されています。お時間等が許される方は、ぜひ、ご参照ください。

自治労は安倍首相と衆参議長に宛てた『「共謀罪」の創設に反対する緊急統一署名』に取り組みます。私どもの組合でも署名用紙を回覧し、組合員の皆さんにご協力をお願いします。ぜひ、趣旨に賛同いただき、一人でも多くの方からご協力願えれば幸いです。最後に、すでに記した内容と重なる点もあるかも知れませんが、自治労のサイトに掲げられた平岡秀夫元法相の「共謀罪は監視社会をもたらす」という主張も参考までに紹介させていただきます。

「共謀罪」が「テロ等準備罪」に名前を変えて登場してきた。安倍総理は「テロ等準備罪は、テロ等の準備行為があって初めて処罰されるもので、これを共謀罪と呼ぶのは全くの間違い」と臆面もなく断言したが、全くのごまかしだ。「テロ等準備罪」も、「共謀」(合意)を処罰するもので「準備行為」を処罰するものではない。また、安倍総理は「国際組織犯罪防止条約(共謀罪創設の根拠条約)を締結できなければ、東京オリンピック等を開けないと言っても過言ではない」と大見得を切った。安倍総理のごまかしや虚言に騙されてはいけない。

共謀罪法案は、2003年に初登場して以来3回国会提出されていずれも廃案となった。そして、2006年6月に実質的に葬り去られるまでの間、「共謀罪」は、初めは「国際組織犯罪防止条約に加盟するために必要な犯罪として国内立法化を図るもの」と説明されていたが、その後、「組織犯罪の防止に有効」が加わり、今や、「テロ対策として必要」と説明が変わり、いや、意図的に説明を変えてきたのである。

しかし、共謀罪創設の本質を見失わないでほしい。共謀罪の創設は、「合意」だけで成立する犯罪を大量に作り出すもので、近代日本の刑事法体系を大きく崩すものだ。このことは、我が国刑事法の基本原則を通じて確保されてきた我々の基本的人権を危うくするとともに、盗聴、密告、自白偏重の捜査手法、司法取引等を通じて日本社会を息苦しい監視社会へと変えていくことになる。

安倍総理は衆議院本会議で「一般市民が対象となることはあり得ない」と述べたが、法務省は、「団体の目的が、『重大な犯罪』の実行に一変したと認められる場合には、組織的犯罪集団に当たる」とした。つまり、一般市民も共謀罪の対象になり得ることを示したのだ。このことは、単に、一般市民が「共謀罪」という罪に問われる可能性を示しただけに止まらない。犯罪を起こす可能性があるのなら、しかも、その犯罪が被害や犯罪行為がない犯罪であるのなら、一般市民の生活は捜査当局によって日常的に監視されることになるし、共謀罪の創設は、まさにそのような監視の根拠を与えてしまうのだ。

労働組合を例にとってみよう。普通の労働組合が、団体交渉に向けて「今日は、使用者から満足のいく回答が出るまでは、皆の力で絶対に使用者を帰さないぞ」と合意したり、平和運動の一環で基地建設に抵抗して「工事阻止のために皆で道路に座り込むぞ」と計画したら、それぞれ組織的監禁又は強要罪、組織的威力業務妨害罪の共謀罪に問われる可能性がある。

「労働組合の活動だから共謀罪とは関係ない」とは言えない。労働組合など一般の市民の団体であっても、「重大な犯罪」の実行を合意したら、その時点で、その団体が「組織的犯罪集団」と認定される可能性は否定できないのだ。そして、その認定は、一次的には捜査当局が行うのであるから、捜査の歯止めをかけることも難しい。何としても、共謀罪(テロ等準備罪)の創設を阻止しなければならない。

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2017年3月19日 (日)

再び、言葉の重さ

前回の記事は「森友学園の問題から思うこと」でした。安倍首相が100万円寄付したという話が浮上し、今週木曜日には籠池理事長の衆参予算委員会での証人喚問が一気に決まりました。大きな問題があるのか、ないのか、誰が真実を語っているのかどうか、事実関係が少しでも明らかになることを期待しています。その上で興味深いサイト『森友問題を最初に追及 木村真市議が語った「疑惑の端緒」』を目にしましたので、参考までに紹介させていただきます。

さて、 これまで「言葉の重さ、雑談放談」「改めて言葉の重さ」「改めて言葉の重さ Part2」という記事を投稿しています。今回、安直に「再び」をタイトルに付け、改めて言葉の重さについて考えてみることにしました。当たり前なことですが、特にインターネットを介した会話は文字のみ、つまり言葉のみで行なわなければなりません。そのため、コメント投稿に際した「お願い」をはじめ、言葉の使い方の難しさや大切さに関して、たびたび記事本文を通して掘り下げてきました。

まず言葉の使い方一つで他者に与える印象が大きく変わっていきます。その言葉から発信者の本音や資質が明らかになります。伝えたい真意がそのまま他者に正しく伝わり、目的が達成していくのであれば何ら問題ありません。真意がうまく伝わらない、誤解されてしまった、思いがけない批判に繋がってしまった、このような結果を及ぼすようであれば言葉の使い方を誤ったことになります。

何気ない一言で他者を深く傷付ける場合もあり、後から訂正や謝罪しても簡単に取り返しのつかないケースもあろうかと思います。発信者の立場やTPOによって、ますます言葉一つの重みが増してくるため、できる限り言葉の使い方や選び方には慎重になるべきものと考えています。誰もがうっかりする時があり、いつも完璧に振る舞える訳ではありません。それでも自分自身の発する言葉が他者からどのように受けとめられるのかどうか、想像力を働かせていく心構えだけは持ち続けられるのではないでしょうか。

生活保護の申請に訪れた妊娠中のフィリピン国籍の40代女性に対し、千葉県市原市の福祉担当職員が「産むの?」と問いただしていたことが分かった。女性は中絶を求められたと受け取ったという。同市は不快感を与えたとして、女性に謝罪した。労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」が8日、記者会見して明らかにした。それによると、女性は今年1月に市原市の生活保護申請の窓口を訪問。その際に、職員から「自分の国(フィリピン)で中絶はやっていないの?」と問われた。女性が「子どもをおろせって言うんですか」と質問すると、職員は「そこまで言わない」と答えたという。申請は受理されず、その後にNPO職員が同行すると認められたという。市原市生活福祉課の担当者は、朝日新聞の取材に「状況確認のための質問だったが誤解があった。再発防止に努める」と話した。【朝日新聞2017年3月8日

このニュースを受け、私どもの市の場合はどのように対応しているのかケースワーカーの一人に尋ねてみました。すると保護費の額を決める関係上、産むのかどうかは確認しなければならないとのことでした。それはその通りだろうと思いながらも、念のため「その際は出産することを前提に言葉を選び、中絶を強要するように受け取られないことが必要だよね」と一言申し添えていました。例えば「出産予定日はいつですか?」と問いかければ中絶を考えているのかどうかは分かるはずです。

上記報道の場合で「自分の国(フィリピン)で中絶はやっていないの?」という質問は、まったく余計な一言です。誤解ではなく、生活保護を受けるのであれば出産は認めないという底意が表われてしまったと言われても仕方のない言葉でした。少し前には小田原市のケースワーカーのジャンパーに「保護なめんな」と書かれていたことが大きな問題になりました。「不正受給は許さない」という趣旨の言葉だけであれば、特段大きな問題にならなかったものと考えています。

例えば税金の収納現場では「滞納STOP」というスローガンを書いたジャンパーなどが作られる時も珍しくありません。小田原市の場合は「なめんな」という言葉も不適切だったのかも知れませんが、生活保護受給者全体に発しているようなスローガンだったため、より深刻な問題として注目を集めてしまいました。それぞれ様々な事情があり、生活が困窮し、定められた手続きを経て生活保護の受給に至っています。その中には明らかな不正受給者も紛れているのかも知れません。

しかしながら「生活保護は金額ベースで99.5%以上は適正に執行されており、ごくまれにしかないものをクローズアップして日常業務にあたること自体が、すべての受給者に不信の目を向けさせる」という指摘があるとおり生活保護受給者全体をネガティブなイメージでとらえるような言葉は、生活保護を担当する部署の職員であれば使って欲しくなかったものと思っています。いずれにしても「ナマポ」という言葉なども目にしますが、生活保護受給者全体を蔑むような意識や態度は問題視しなければなりません。

仮に生活保護受給者が盗難の容疑で逮捕され、そこに経済的な困窮という理由があったとしても「生保受給者だから」という短絡的な批判は避けるべきことです。「生保受給者だから犯罪者になりがち」という属性批判は問題であり、同様に特定の国の人間は「犯罪者やテロリストが多い」という見方は差別的な意識に偏ったものだと言えます。外国人や日本人を問わず罪を犯す者がいるだけで「〇〇国人だから」という属性批判は戒めなければなりません。

このような属性批判やレッテル貼りは、いわゆる左や右の立場に関わらず慎むべきものと考えています。沖縄で反基地運動に取り組む方々の中に外国人が含まれているから「〇〇国のための工作活動」、一部で過激な言動が見受けられるから「プロ市民や過激派による反対活動」というように運動全体にレッテルを貼り、「テロリストみたい」と胡散臭さを強調するような言葉は極めて不適切なものです。このあたりは以前の記事「沖縄で起きていること」の中で個人的な問題意識を綴っていました。

一方で、反基地運動を忌み嫌い、安倍首相を信奉されるような方々を一括りに「ネトウヨ」と決め付け、反知性主義者だと批判することも避けなければなりません。そもそも左や右の立場に関わらず反知性主義者や問題を起こす人物は存在するはずです。やはり属性で決め付けず、何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要です。前回記事にはnagiさんから「宮古島の市議が自衛隊を完全に愚弄する投稿をしてましたが、内容は完全なレッテル貼りでしかない」というコメントが寄せられていました。

沖縄県の宮古島市議が自身のフェイスブックに「自衛隊員が来ると島で婦女暴行事件が起きる」などと投稿し、炎上。「自衛隊全体を批判しているわけではない」と再度投稿し、謝罪したものの「戦争のための軍隊という仕組みに対して(批判した)」との部分に再び批判が殺到、市議は2つの投稿を削除した。この市議は石嶺香織市議(36)。9日に1度目の投稿がされた。内容は「海兵隊からこのような訓練を受けた陸上自衛隊が宮古島に来たら、米軍が来なくても絶対に婦女暴行事件が起こる。軍隊とはそういうもの。沖縄本島で起こった数々の事件がそれを証明している」というもの。

石嶺市議は「宮古島に来る自衛隊は今までの自衛隊ではない。米軍の海兵隊から訓練を受けた自衛隊なのだ」として、陸上自衛隊がカリフォルニアでの演習に参加した際の写真を添付。さらに「私の娘を危険な目にあわせたくない。宮古島に暮らす女性たち、女の子たちも」と結んだ。これに対し、「思想信条は自由だが、自衛官を強姦魔扱いは許されない」などと批判が殺到、辞任を求める声まで上がった。石嶺市議は10日までに「3月9日夕方の投稿について」と題し、再度、釈明する文を掲載した。

「自衛隊全体を批判しているわけでも、個人を批判しているわけでもありません。私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです」「現在の自衛隊という組織が米軍と一体化して、専守防衛の枠を外れつつあることに強い危機感を持っています。海兵隊は人を殺すことに対して感情を殺すように訓練されています」などとして、「海兵隊に訓練を受けた陸上自衛隊が今後、米海兵隊と同質のものになる可能性があります」などと投稿した。この投稿に再び批判が殺到し、石嶺市議は2つの投稿を削除した。

石嶺市議のブログなどによると、昭和55年、福岡県生まれ。大阪外語大を中退し、大阪の障害者施設に4年間勤務。平成20年、宮古上布を学ぶため宮古島に移住。陸上自衛隊配備反対と、地下水を守ることを公約に、今年1月の市議補選で初当選したばかり。【産経新聞2017年3月12日

今回記事の主題を「言葉の大切さ」としたのは上記の事例を取り上げようと考えたからです。結論から言えば石嶺市議の「自衛隊員が婦女暴行事件を起こす」という決め付けた言葉は論外です。海兵隊が戦場で躊躇わずに人を殺せる訓練を行なっていることはその通りなのかも知れません。しかし、だからと言って海兵隊員や一緒に訓練した自衛隊員が強姦を犯しやすくなるという見方は属性批判に繋がる容認できない発言です。

石嶺市議は本気で心配し、正直な気持ちをフェイスブックに掲げたのでしょうが、市議会議員という公的な立場であれば、その言葉の重さを強く意識しなければならなかったはずです。後から「私が批判しているのは、自衛隊員個々の人格に対してではなく、戦争のための軍隊という仕組みに対してです」と釈明しても、最初に発した言葉が極めて不適切だったため、説得力に欠けてしまいます。最初の言葉に対し、他者からどのように受けとめられるのかどうか想像力が乏しかったと言わざるを得ません。

最後に、先週金曜日の夜は人員の課題での労使交渉の決着期限でした。今年も徹夜となり、土曜日の朝、午前6時前に最終合意の団体交渉に至っていました。その夜の交渉の中で、ある組合役員が「嘱託や臨時職員では個人情報が守れない」という言葉で反論する場面がありました。交渉の終わり際、その言葉に対し、私から「非常勤職員では個人情報を漏らしがちになるという意味ではなく、対象業務を担うための職責や役割について訴えた言葉」という説明を加えていました。市当局側に属性批判という誤解は与えていなかったようですが、個人情報を悪用するような不届き者は場合によって正規や非正規問わず現われるものと危惧しています。

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2017年3月12日 (日)

森友学園の問題から思うこと

今回の記事で取り上げる内容に対し、閲覧された方々、一人ひとり様々な受けとめ方があろうかと思います。決め付けた言い方は慎まなければなりませんが、やはり日頃から安倍首相を支持されている方、逆に批判的な見方をされている方、そのような立場によって受けとめ方が大きく違ってくるのかも知れません。このような点が顕著だった場合の発言内容はポジショントークと呼ばれがちです。

週に1回、このブログの更新を続けていますが、なるべくポジショントークという見られ方を避けるような記述に努めています。このあたりは「Part2」にわたって投稿した「何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか」を通して綴っていました。例えば安倍首相の言動すべてを頭から否定していくようでは適切な評価を下しにくくなります。得てして個々人の基本的な考え方や立場性の違いから他者が発している言葉の背景を先入観で推測、もしくは邪推してしまいがちです。

しかしながら適切な評価を下していくためには「誰が」に重きを置かず、その言動や判断は正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくことが必要だろうと考えています。そして、物事を適切に評価していくためには、より正確な情報に触れていくことが欠かせません。誤った情報にしか触れていなかった場合は適切な評価を導き出せません。また、情報そのものに触れることができなかった場合、問題があるのか、ないのか、評価や判断を下す機会さえ与えられません。

前々回記事「非常勤職員制度見直しの動き」の中で、新聞各社の政権との距離感によって報道の力の入れ具合も極端に変わることを記していました。その記事を投稿した時点では販売部数トップの読売新聞の紙面上で、国有地の売却額が問題視されている森友学園に関する記事を探すことは難しい現況でした。実際、ある方と雑談していた時、この森友学園の問題に話題が及んだ際に「何ですか、それ?」と尋ねられてしまいました。今であればテレビでも新聞でも連日、森友学園の問題を取り上げていますので知らない方のほうが少なくなっているはずです。

ちなみに安倍首相と内閣記者クラブのキャップらが赤坂の高級中華料理店でオフレコ懇談会を開いた2月27日の夜以降、読売新聞をはじめ、マスメディアすべてが森友学園の問題を大きく取り上げるようになっていました。「安倍首相が森友学園問題の報道についてクギを刺したのは疑いようもない」という見方をネット上で目にしていましたが、結果は逆の流れになっています。ただ各メディアが気概や矜持を示したというよりも、自社だけ取り上げない訳にはいかないほど国民の関心が高まっていたからだろうと見ています。

このあたりは過去の記事「卵か先か、鶏が先か?」の中でメディアが世論を決めるのか、世論がメディアの論調を決めるのかという問題意識に繋がっています。本題に入る前に長い記事になりつつあります。前回記事「非正規雇用の話、インデックスⅡ」の冒頭で「毎日のように新たな情報を耳にする森友学園の問題は様々な切り口から論点を掘り下げることができそうです」と記していましたが、今回、前述したとおりポジショントークと見られないよう事実関係の紹介を中心に様々な論点を提起させていただくつもりです。

鑑定評価額9億5600万円の国有地が、大阪市の森友学園に実質200万円で売却された問題。森友学園はこの土地に私立小学校を新設予定で、当初は「安倍晋三記念小学校」の名前で寄付金が集められていた。しかも、昭恵夫人が新設小学校の名誉校長に就任していたため、国民の疑惑の目は当然、安倍首相にも向けられている。24日の衆院予算委員会で、安倍首相は夫人が名誉校長を辞任したことを明らかにしたが、それで済む話ではないはずだ。安倍首相は24日の予算委で責任回避に終始した。

寄付金集めに自分の名前が使われたことは「大変遺憾であり、残念であるという強い抗議をした」「大きな不信を持った」。森友学園の籠池泰典理事長に対しては、「非常にしつこい中において」とか「教育者としてはいかがなものか」とまで言っていた。17日の予算委では、森友学園と籠池理事長のことを「妻から森友学園の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いている」と持ち上げ、「私の考え方に非常に共鳴している方から、『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが断った」と表明していたのに、わずか1週間で手のひら返しの迷惑顔だ。

ベストセラー「日本会議の研究」の著者・菅野完氏は、塚本幼稚園が撮影して配布した運動会のDVDの映像を見て、絶句したという。2015年に塚本幼稚園で行われた秋の大運動会の冒頭、選手宣誓で園児がこう言っているのだ。「大人の人たちは、日本が他の国に負けぬよう、尖閣列島・竹島・北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国、韓国が、心改め、歴史で嘘を教えないよう、お願い致します。安倍首相ガンバレ!安倍首相ガンバレ!安保法制国会通過よかったです!」子どもたちはアンポの意味も分からず言わされているのだろうが、これも教育基本法に反する政治的活動に違いない。

昭恵夫人は名誉校長を辞任し、23日には森友学園のHPから名誉校長の挨拶も削除されてしまった。「隠蔽じゃないかと思った」と国会で野党議員が発言したところ、安倍首相はマジ切れ。「隠蔽というのは、じゃあ、私が隠蔽したんですか!私が森友学園のHPに対して隠蔽しようがないじゃないですか!」「レッテル貼りだ!」「公共の電波の前で私と妻を侮辱した!」と早口でまくしたて、「(隠蔽の言葉を)取り消さないと答弁できない」「まるで私が関与しているかのごとくイメージ操作を延々と、それしかないのでしょうけど、だからあなたたち(民進党)は国民からの信用を得られないんですよ」と民進党を侮辱していた。

「問題の国有地売買に関わった財務省や国交省は、森友学園との交渉や面会の記録は破棄して残っていないと言っています。これでは隠蔽と疑われても仕方がありません。首相はすぐに『私や家内や事務所が国有地払い下げに関与していたら政治家を辞める』と逆ギレしますが、本来なら、不可解な土地取引の『真相を解明する』と宣言し、関係省庁に『調査に協力するように』と指示するのが行政府トップとしての役目でしょう。やましいことがないのなら、身の潔白を証明するためにも、首相自ら率先して真相解明に動き、国民の不信を払拭すべきです。」(ジャーナリスト・横田一氏)【日刊ゲンダイ2017年2月25日抜粋

当初、事実関係について自分自身の言葉に置き換えて書き進めることを考えました。特に『日刊ゲンダイ』の記事を引用した場合、「日刊ゲンダイだから」という先入観を持たれる方が多いようであり、上記の記事内容を掲げることは考えていませんでした。それでも「被害者ヅラ」や「なんと軽い理念の共鳴か」という安倍首相を揶揄するような言葉や推論に近い記述箇所を外し、事実関係を中心に抜粋してみると上記の内容となりました。

最後に引用した社名を紹介しなければ『日刊ゲンダイ』の記事だとは思われなかったかも知れません。実は私自身の省力化(coldsweats01)も目的にした訳ですが、「安倍首相批判ありき」と見られがちな『日刊ゲンダイ』も事実関係をもとに自社の立ち位置からの批評を交えた報道に努めていることがよく分かる機会となっていました。ただ事実関係に対する評価が私自身も含め、個々人の基本的な視点や立場から枝分かれしていきがちな点があることも押さえていくつもりです。

森友学園の問題は日々、新たな情報を耳にすることができます。小学校の建築費について、府私学審議会向けに提出した資料の中で7億5600万円、小学校の施工業者には15億5520万円、国交省には23億8464万円とする契約書を提出していました。このような差異が意図的だったかどうかは確定していませんが、厳しく問われるべき問題だろうと思っています。過熱しているメディアの報道に加え、インターネツト上にも森友学園に関する様々な情報や論評があふれています。

その中で国有地の売却額に対し、森友学園の問題と同じような疑惑のある事例が見受けられるという指摘も散見しています。もし問題があるのであれば事実確認した上、同じように追及すべき話だろうと考えています。北朝鮮の脅威が高まっている時、優先順位を無視して森友問題を取り上げることの批判意見も目にしています。もちろん政策判断において優先順位は重要ですが、「だから森友学園の問題を軽視しろ」という理屈は成り立たないはずです。いろいろな主張に接している中で、自民党の衆院議員である船田元さんのブログでの指摘が冷静で分かりやすいように感じています。

大阪府豊中市で塚本幼稚園を経営する森友学園の話題が、連日のように報道され、国会でも議論が続いている。新しい小学校を作るための国有地の払い下げ金額が、評価額に比して異様に安すぎることで、政治家の関与がなかったかどうか。また塚本幼稚園の教育内容が余りにも異常ではないか。この2点にポイントが絞られている。安倍総理大臣や昭恵夫人との関連は、自ら明らかにされることだから多くは語らないが、他の多くの真面目な私立学校が、森友学園と同類項と受け止められることは堪らず、「異常な事案」として、徹底的に事実関係を明らかにしなければならない。

私は国会議員であると同時に、作新学院という私立学校を、132年間代々稼業として経営してきた。30年ほど前に4年制大学を新設するため、約5000平米の国有地を払い下げてもらった。金額は忘れたが、関東財務局から提示された価格をそのまま受け入れた。価格面での交渉は全く行わなかった。加えて大学設置認可(文部省:当時)と農地転用(関東農政局)そして国有地払い下げ(関東財務局)の決定のどれが優先されるかで、各役所間の調整が難航し、予定よりも2年遅れでようやく開校にこぎ着けたことを思い出す。多忙とストレスで担当職員1名が体調を崩してしまったこともあった。

議員の立場を利用してはいけないと、極力関連当局には顔を出さなかったが、立場上どうしても赴かなくてはいけない時は、議員バッジを付けず、議員名刺も持たずに行ったと記憶している。だから今回の国有地払い下げにおいて、財務局の提示価格の10数%だったことや、非常に短い時間で払い下げが決まったことを聞くと、どうしても特別の力学が働いたと思わざるを得ないのである。さらに報道によると塚本幼稚園の教育は、教育勅語や、中国や韓国を敵視するスローガンを暗記させるという偏向した内容であり、幼稚園教育要領を明らかに逸脱している。国論を二分した平和安全法通過に言及させる教育を、政治的素養や能力の整っていない幼児に施すことは、極めて異常である。

私の経営する作新学院幼稚園では、決してこのような偏向した教育は行なっていない。幼稚園教育要領に則り、特に自然や人間社会との関わりを重視し、自ら考え自ら行動できる子どもたちの育成に務めている。特定の価値観を、しかも暗記という方法で教え込むことは、我々の教育とは真反対にある。過去の歴史が指し示す通り、国家の崩壊は、まず教育の崩壊から始まる。私たちは決して過去の轍を踏んではならない。

船田さんは自民党の中での存在感が薄くなっているため、ある意味でポジショントークだと言われがちなのかも知れません。とは言え、自民党の現職国会議員が上記のような主張を広く発信されたことは注目すべき出来事でした。世論の圧倒多数が徹底的な事実解明を求めています。野党側からの参考人招致に対し、自民党側は「民間人の招致は慎重にしなければいけない」という説明を繰り返しています。しかしながら民間人を招致した前例は多数ある中で、このような説明では真相の徹底解明に及び腰であると見られても仕方ありません。

たいへん長い記事となっていますが、もう少し続けます。参院予算委員会で民進党の福山哲郎さんが次のような質問を行なっていました。昭恵夫人が名誉校長だったため、安倍首相らに恥をかかせないよう近畿財務局が忖度し、国有地の売買などに影響を与えたのではないかという質問でした。この質問に対し、安倍首相は「名誉校長に安倍昭恵という名前があれば印籠みたいに恐れ入りましたと、なるはずがないんですよ」と反論しています。

さらに安倍首相は「私と妻がまるで関わっているかのごとく、まるで大きな不正、犯罪があったかのごとく言うのは大きな間違いだ」と激高していました。これに対し、福山さんは「私は『昭恵夫人は被害者かも知れない』と申し上げたんです。犯罪者扱いなんかしていない。それこそ印象操作だと私は思いますよ。何をそんなムキになっているんですか」と切り返していました。ちなみに安倍首相を信奉する山本一太予算委員長が「簡潔に答弁を」と諭す場面もあったようです。

国会での質疑の中で、安倍首相は「昭恵夫人は私人だ」と言い切られていました。公人か私人か多少幅のある話かも知れませんが、公費の充てられ方をはじめ、とても私人だと言い切れるような現状ではないはずです。いずれにしても森友学園の問題で安倍首相や昭恵夫人が贈収賄に繋がるような働きかけを関係機関に行なっていないことはその通りだろうと考えています。森友学園が経営する保育園での虐待や幼稚園児に教育勅語を暗唱させているような事例も把握していなかったのかも知れません。

それでも当初、安倍首相が森友学園の教育方針や籠池泰典理事長らを称賛していたことは事実です。最近、籠池理事長の長男が父親と安倍首相との関係性などを語っていました。双方の言い分に違いがあるため、どちらかの記憶違いなのでしょうか。最後に一言、予算委員会の質疑時間に森友学園の問題が割かれることへの批判もあるようですが、後ろめたいことがないのであれば参考人招致をはじめ、より積極的に国会の場で事実関係を明らかにする努力が安倍首相には求められているものと思っています。

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2017年3月 4日 (土)

非正規雇用の話、インデックスⅡ

皆さん、割り切れないでしょうがね…」という言葉を石原元都知事自身が残し、記者会見場を後にしたとおり豊洲移転問題に関わる疑念は晴れないままです。国有地の売却を巡って疑念が抱かれている森友学園の問題については前回記事で少しだけ触れました。この問題の報道を「読売新聞の紙面で探すことは難しい現況です」と記しましたが、先週中頃から読売新聞も連日取り上げるようになっています。毎日のように新たな情報を耳にする森友学園の問題は様々な切り口から論点を掘り下げることができそうです。

ただ今回も記事タイトルを「非正規雇用の話、インデックスⅡ」にしたとおり森友学園の問題は機会があれば次回以降の記事で取り上げてみたいものです。前回の記事を「非常勤職員制度見直しの動き」にしましたが、こちらの問題も様々な意味で現在進行形の重要な話題だと言えます。加えて、このブログのインデックス記事は「人事院勧告の話、インデックス」を最後に半年以上投稿していません。次のような便利さを個人的には意識しているため、久しぶりにインデックス記事として書き進めてみました。

カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず、これまで「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べています。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めていました。その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、時々、そのような構成で新規記事をまとめてきました。

これまで投稿したインデックス記事は「平和の話、インデックス」「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックス」「年末の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックス」「春闘の話、インデックス」「コメント欄の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅡ」「組合役員の改選期、インデックス」「人事評価の話、インデックス」「図書館の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックスⅡ」「憲法の話、インデックス」「人事院勧告の話、インデックス」で、非正規雇用に関わるバックナンバーは次のとおりです。 

さて、非正規雇用の問題は「現在進行形の重要な話題」と記しましたが、昨年末に示された「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」の報告書を受け、総務省は今国会に関連法改正案の提出を準備しています。土曜日、自治労都本部の定期大会に出席しましたが、中央本部書記長の挨拶をはじめ、都本部の議案提起や当事者である非常勤職員組合の代議員の発言の中で、この法案に絡む報告や訴えがありました。

総務省が準備している法案は地方自治体の非常勤職員の待遇を改善することを目的とし、明文規定がなかった非常勤職員の採用方法と任期を法律に明記する内容です。前回の記事に綴ったとおり事務補助職員を非常勤特別職として採用することが問題視され始めています。本来、特別職とは首長や委員等の専門性の高い職であり、地方公務員法が適用されず、守秘義務や政治的行為の制限などの制約が一般職と異なります。

地方公務員法3条3項3号を根拠に採用されている事務補助職員は全国で22万人に及びます。首長や委員等と同じ法的な位置付けになるため、特別職非常勤職員にはボーナスなど手当支給に制限を加えられていました。今後、地方公務員法に「会計年度任用職員」の規定を新設することで、非常勤の事務補助職員らにボーナスも支給できるようにする動きです。ただ「会計年度任用職員」という呼称のとおり任期は従前通り「最長1年」にとどまり、雇い止めの不安が一気に解消される訳ではないようです。

また、フルタイムとパートタイムの線引きが明確化され、手当支給を可能とするのは前者のみという話を自治労都本部の定期大会の場で耳にしました。さらに実際に支給するためには各自治体での条例改正が必要とされ、今回の法改正を即座に適用しない自治体が生じるケースも見込まれます。前回記事の中で、一生非正規さんから「雇い止めされそうです 助けて下さい」という悲痛なコメントを紹介しましたが、特別職非常勤職員という法的な位置付けで採用された方々が雇い止めを強いられるような動きにも警戒しなければなりません。

手当支給など一歩前進という意味で今回の動きは地方公務員の非常勤職員制度にとって追い風ではありますが、その動きの中で本人の意に反し、雇い止めされていく事態が生じるようでは大きな問題です。私どもの組合に加入されている嘱託職員の皆さんも地方公務員法3条3項3号を根拠に採用されています。そのため、特別職非常勤職員という立場ですが、今後、どのような動きがあろうとも一方的な雇い止めを許さない考え方で組合は対応していきます。

地方公務員の非常勤職員制度が実情に合わせて整備されていく動き自体を否定できません。しかし、働き方改革実現会議の中で「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」を最も重要な目的にしているのですから、その目的に沿った非常勤職員制度の見直しが欠かせないはずです。いずれにしても手当支給など「追い風」は最大限利用し、労働組合側は「同一労働同一賃金」の方向性に反するような理不尽な動きには毅然と反対していかなければならないものと考えています。

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2017年2月26日 (日)

非常勤職員制度見直しの動き

より望ましい「答え」を見出すためにはマスメディアやSNSの特性や難点を的確に理解した上、一つの経路からの情報だけを鵜呑みせず、意識的に幅広く多面的な情報に触れていくことが欠かせません。このあたりは昨年末に投稿した「SNSが普及した結果… Part2」などの記事を通して訴えてきています。先日、読売新聞の見出し「正社員と非正規の賃金差、過去最少に…男女差も」に目が留まりました。

厚生労働省は2016年の賃金構造基本統計調査で、正社員の賃金は32万1700円(前年比0・2%増)、フルタイムで働く非正規労働者は21万1800円(同3・3%増)だったと発表した。正社員の月額賃金を100にした場合、非正規労働者の賃金は65・8(同1・9ポイント増)となり、統計を始めた05年以降、格差が最少になった。男性の賃金は33万5200円(増減なし)だったのに対し、女性は24万4600円(前年比1・1%増)で、男女間の格差も過去最少だった。【読売新聞2017年2月23日

新聞に限らず、見出しの言葉によって接した情報に対する印象が変わりがちです。「過去最少に」は文字通り格差是正が進んでいる印象を受けました。この調査の結果自体は肯定的にとらえるべきものですが、ちなみに朝日新聞の見出しは「非正規と正規の賃金格差が最小に 水準6割は変わらず」でした。「水準6割は変わらず」と付けることで、まだまだ格差の問題は深刻であるという印象を与えています。

今回の報道に関しては考えすぎなのかも知れませんが、新聞各社の政権との距離感によって見出しの付け方も変わってくるようです。報道の力の入れ具合も極端に変わるようであり、国有地の売却額が問題視されている森友学園に関する記事を読売新聞の紙面で探すことは難しい現況です。今回のブログ記事で直接取り上げる題材ではありませんので、参考までにブックマークし、定期的に訪問している澤藤統一郎さんのブログ「憲法日記」の最新記事や『日刊ゲンダイ』の巻頭特集の紹介にとどめさせていただきます。

さて、2年前に投稿した記事「春闘期、非正規雇用の課題」の中で綴ったとおり私どもの組合は「嘱託職員に関する独自要求書」を市側に提出し、①嘱託職員の報酬に報酬表を導入し勤務年数によって引き上げること、②嘱託職員に一時金を導入すること、③全嘱託職員に代休制度を導入すること、④嘱託職員の休暇制度を充実させること、以上4点を中心に労使協議を進めてきています。現在、国全体の動きとして「働き方改革の行方」という記事を通して伝えているとおり「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」が大きな政治課題となっています。

その記事「働き方改革の行方」に対しては、一生非正規さんから多くのコメントをお寄せいただいていました。私からのレスの一つに「今後、正規への登用など課題によってハードルの高さが異なっていくものと思います。その中で、地方公務員の非常勤職員制度では下記報道のような追い風も吹き始めています。このような追い風を活かし、私どもの組合では嘱託職員に関する要求を2017年度から一つでも実現できるよう頑張っていくつもりです」というものがありました。

総務省の有識者会議「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」は27日、非常勤の地方公務員にボーナスを支給できるよう制度改正を求める報告書を高市早苗総務相に提出した。正社員と非正規社員の賃金格差を是正する民間の「同一労働同一賃金」と歩調を合わせる。総務省は地方公務員法の改正も視野に検討する方針だ。地方公務員の臨時・非常勤職員は2016年で64.5万人。事務補助のほか教員や保育士、給食調理員、図書館職員など分野も幅広い。

現行制度では国家公務員の非常勤職員にはボーナスを支給できるが地方公務員の非常勤には支給できない。報告書では地方公務員法に一般職非常勤職員の採用方法などが明記されていないことも問題視し、制度改正を求めた。自治体によっては、本来専門性の高い弁護士や医師らを想定する「特別職」として事務補助職員を採用するケースもみられる。特別職は育児休業の取得が認められず、出産後に退職を余儀なくされる例が目立つという。【日本経済新聞2016年12月27日

「非常勤の地方公務員にボーナス支給を 総務省研が報告書」という見出しの報道を紹介しましたが、追い風ばかりではない憂慮すべき動きも見受けられています。一生非正規さんから参考サイトの紹介とともに「働き方改革で特別職の嘱託は単なる事務補助員ということで雇い止めされそうです 助けて下さい」という悲痛なコメントも届いていました。昨年12月27日に提出された「地方公務員の臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用等の在り方に関する研究会」の報告書を受け、紹介されたサイトの参院議員は次のように語られていました。

地方団体では、厳しい地方財政の中、多様化する行政ニーズに対応するために臨時・非常勤職員及び任期付職員などの多様な任用・勤務形態が活用され、その数は毎年増大しています。地方団体によっては、事務補助職員も特別職で採用するなど、制度の趣旨にそぐわない任用も行われています。そのため、この研究会では、臨時・非常勤職員及び任期付職員の任用の在り方を検討していました。

報告書によると、地方公務員法が適用されない特別職として全国で22万人もの非常勤職員が採用されていました。本来、特別職とは首長や委員等の専門性の高い職であり、地方公務員法が適用されないために守秘義務や政治的行為の制限などの制約が課されません。このような特別職に、単なる事務補助職員を任用するのは問題があります。しかも、特別職は、採用方法が明確に決まってないために地方団体にとっては任用しやすく、一般職非常勤職員の任用が進まないという現状があります。

一生非正規さんからの「助けて下さい」というコメントを受け、私からは「本来、非正規の方々の待遇改善を目的にした法改正等の動きの中で、ご指摘のような問題が生じかねないことを憂慮しています。一生非正規さんに対し、直接的な手助けは難しい関係ですが、私自身ができること、すべきことに力を注がせていただきます。まず何よりも私どもの自治体に雇用され、組合加入されている嘱託の方々の一方的な雇い止めを許さないこと、このような法改正等の動きについて当ブログを通して情報発信や問題提起していくことなどがあります」とお答えしていました。

「一生非正規さんからの切実な訴えに呼応できず、たいへん申し訳ありませんがご理解ご容赦くださるようよろしくお願いします」とも書き添えていましたが、これまで特別職非常勤職員という法的な位置付けで雇用し、制度が変わったから雇い止めにするような話は非常に理不尽なことです。ちなみに今後、地方自治法及び地方公務員法の改正によって手当支給を可能とする一般職非常勤職員に関しても任期は従前通り「最長1年」にとどまり、雇用不安が解消されない見通しです。

以前の記事「改正労働契約法の活用」の中で、無期労働契約への転換「有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えた時は、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる」というルールを紹介していました。さらに「労働契約法第18条に定め、2013年4月1日に施行されています。5年のカウントは2013年4月1日以降となり、申込みの方式に制限はなく、口頭でも問題ありません」という説明を加えていました。

しかしながら地方公務員については、労働契約法第22条1項で労働契約法の適用がない旨を明記し、同法第18条の適用外となっています。地方公務員の採用は相手方の同意を要する行政行為(任用)と解され、労働契約ではないと考えられています。したがって、非常勤職員が5年以上雇用されても、労働契約法による任期の定めのない職員として任用する義務が発生しないという法的な位置付けにとどまっています。

今後、地方公務員の非常勤職員制度が実情に合わせて整備されていく動きは評価すべきことです。しかし、その動きの中で一生非正規さんのような方々が本人の意に反し、雇止めされていく事態は大きな問題です。働き方改革実現会議の中での議論の柱としている「同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善」が最も重要な目的であるはずであり、その目的に沿った非常勤職員制度見直しの動きが強く求められているのではないでしょうか。最後に、自治労のホームページに掲げられている直近の取り組みを紹介させていいただきます。

非正規労働者の組織化推進のため、「2017非正規労働者組織化経験交流集会」を東京・大阪・福岡で開催。全国の組織化担当者らが参加し、非正規労働者の組織化にむけ経験交流をした。2月11日の東京会場には16県本部と社保労連から88人が参加した。 冒頭、主催者あいさつに立った杣谷副委員長は「非正規労働者は自ら声をあげようとしても立ち上がれない。すべての単組でこちらから声をかけ、処遇改善にむけて組織化を進めていこう」と述べた。

本部提起では、自治体の臨時・非常勤の比率は3割に上り、多くが年間賃金200万円の低い水準にあることを紹介した上で、「非正規の労働条件を改善しなければ、全体の改善にはつながらない。任用・雇用形態の違いによって対立していては、不満が使用者に向かわず、働く者同士で対立してしまう」と雇用形態に関わりなく、全ての職員が団結することの必要性を訴えた。

また、職場にこれだけ非正規が増えたことについて、「労働組合は責任をとらなくてはいけない」とし、責任を持って非正規労働者の組織化と処遇改善に努める、という本部の方針を示した。その後参加者は、①基本的な組織化のすすめ方、②未加入者へのアプローチのしかた、の2つの分科会に分かれ、それぞれ参加型で学んだ。参加者からは「組合用語を使わないようにしなくては」「保育や看護など専門職のところに行く際には、同じ職種の役員と一緒に行ったり想定問答集を事前に作る必要があると思った」「何度も足を運んで納得頂けるまで話すことが大事」などの感想があげられた。

12日の大阪会場には74人、18日の福岡会場には250人が集まり、参加者総数は全国で412人にのぼった。 教材として使用した「臨時・非常勤等職員組織化マニュアル(2017年2月改訂版)」では、なぜ臨・非の問題に取り組むのか、その理由の解説から、実際の組織化に向けて「執行部の意思統一」から「組織化後の活動準備」までの6段階ごとに分けて具体的な解説をしている。またアンケートや規約などのひな型も収録。自治労ではじちろうネットでは、このほかにも非正規の仲間づくりに使える資料が多数掲載されている。非正規労働者の処遇改善のため、10万人の組織化達成にむけ活用してほしい。

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