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2026年2月28日 (土)

高市総理のカタログギフトの問題

逆転で金メダルを獲得したフィギュアスケート「りくりゅう」ペアの活躍などで盛り上がったミラノ・コルティナ冬季オリンピックは幕を閉じています。銅メダルを獲得した17歳の中井亜美さんのフィニッシュ直後の首かしげ、エキシビションでのあざとポーズに魅せられた方々も多かったのではないでしょうか。

ただ人によっては「あざとい」という本来の意味で見られていたかも知れません。常に笑顔を振りまいている高市総理に対しても支持率の高さのとおり好感度を高めている方々が多いのだろうと思っていますが、やはり人によっては「あざとい」という印象を強めながら見られているのかも知れません。

以前の記事「改めて言葉の重さ」の中で、人によってドレスの色が変わるという話題を紹介していました。見る人によって、ドレスの色が白と金に見えたり、黒と青に見えてしまうという話です。安倍元総理に対する評価や見方が人によって大きく変わることについて、そのようなドレスの話と結び付けていました。

高市総理に対する評価や見方の個人差は、安倍元総理以上に大きいように感じています。このような傾向を受けとめながら前々回記事「衆院選が終わり、今、思うこと」の中で、高市総理の問題点や危うさを指摘することで若年層の支持を失っていくという構図について触れていました。それでも「問題視すべきことは、しっかり今後も指摘していかなければなりません」と記し、次のような問題意識につなげていました。

その際、上から目線の「答え」を押し付けるような言動は慎み、それこそ対立を煽るのではなく、多様な考え方を認め合いながら共感を広げていくための言葉や態度が極めて大切な前提になっていくように思っています。

長年、このブログを続けてきた中で上記のような問題意識を高めています。感情が先走った言葉、思い込みが目立つ「結論ありき」の批判、人格や容姿をけなすことなどは固く禁じています。単刀直入な批判意見は、同じ考えの方々には共感を得やすいのかも知れませんが、異なる考えの方々からは反発を招きがちです。

したがって、具体的な言動や事例を指摘した上で、何が問題なのか、なぜ批判するのか、丁寧な説明を加えていくように努めています。さらに「私はこのように思っています」という投げかけを軸とし、結論を押し付ける内容にならないよう心がけています。このブログをご覧になった方が、一人でも多く「なるほど、そのような見方もあったのか」と感じていただけるような文章や情報発信に留意してきています。

前置きが長くなって恐縮です。前回記事は「消費税について雑談放談」でした。そろそろ国政の話題から離れた題材を取り上げることを考えていました。結局、記事タイトルに掲げた「高市総理のカタログギフトの問題」に接したことで、今回も国政に関わる時事の話題に向き合うことになりました。

総選挙後、高市総理が自民党の衆院議員全員315人に3万円ほどのカタログギフトを配っていました。高市総理は法令上問題ないものと認識している」とし、返還を求めない姿勢で押し通しています。詳しく解説した『高市首相のカタログギフト配布、どこが論点?』というサイトとともに時事通信の報道内容を紹介します。

高市早苗首相(自民党総裁)は25日の参院本会議で、同党の全衆院議員にカタログギフトを配布したことについて「法令上、問題はない」との認識を示した。計315人に対し、1人当たり約3万円分を配ったと明らかにした。野党は「政治とカネ」を巡る自民の体質が表れているとして批判を強めた。

政治資金規正法は、個人から政治家個人への政治活動に関する寄付を禁じている。首相は自身が代表を務める党奈良県第2選挙区支部の政治資金から支出したと説明。「政党支部から議員個人への寄付だ」と述べ、法に抵触しないとの考えを強調した。立憲民主党の田名部匡代幹事長への答弁。

複数の自民関係者によると、8日投開票の衆院選後に首相の秘書が所属議員の事務所を訪れ、カタログギフトを配布。肩書のない「高市早苗」名を記した「のし紙」が付けられていたという。首相は答弁で「厳しい選挙を経て当選したことへのねぎらいを込め、議員活動に役立ててほしいと考えた」と語った。

自民では昨年3月、当時の石破茂首相が2024年衆院選で初当選した15人に10万円相当の商品券を配布。石破氏は陳謝に追い込まれ、議員側は返却した。野党は国会で追及する構えだ。

中道改革連合の小川淳也代表は代議士会で「ギフトを党内にばらまく自民の体質は看過できない」と指摘。国民民主党の古川元久国対委員長は記者会見で「誤解を受ける軽率な行動は慎むべきだ」と述べ、首相が説明責任を果たすよう求めた。立民の水岡俊一代表は「懲りない人たちだ。政治とカネの問題をまた引き起こした」と指弾した。

自民内からも「法的に問題なければいいというものではない」(ベテラン)などと疑問の声が上がった。幹部の一人は「石破首相のことがあって1年だ。何をやっているのか」と不快感を示し、日本維新の会の幹部も「商品券問題から何も学んでいない」と語った。【時事通信 2026年2月25日

まず法的な問題です。カタログギフトと商品券は似て非なるもので、陳謝した石破前総理の時とは異なるという見方があります。政治資金規正法で個人が政治家に寄付することを禁じています。ただ当選祝いや選挙のねぎらいとして、花束やお菓子を贈ることは問題ありません。商品券は金銭に見なされますが、カタログギフトはモノであり、違法ではないという解釈です。

今回の場合、高市総理個人からではなく、カタログギフトは自民党奈良県第二選挙区支部から贈っているという説明も加えられています。このような説明によって、まったく違法性は問われないと強弁されています。しかしながら熨斗には「高市早苗」と書かれ、政党支部の表記はありません。

そもそも地方の一支部が、なぜ、衆院議員全員に贈る必要があったのか、1千万円近くとなるカタログギフトの支出を負担しなければならなかったのか、いろいろ疑問が生じます。やはり外形的には高市総理個人からの贈答であり、政党支部のお金を個人の財布代わりに使っている実態も問題視せざるを得ません。

さらに「政党交付金という公金」を充当したのではないと説明していますが、お金に色は付いていません。今後の収支報告を注目しなければなりませんが、説明通りであれば政党支部への企業献金が主な原資として自民党衆院議員に贈ったカタログギフトの代金に充てられたということになります。なかなか違和感のある構図だと言わざるを得ません。

いずれにしても法的には問題ないのかも知れませんが、社会通念上の振る舞い方や物価高に苦しむ国民感情を照らした時、1千万円近くの贈答が適切な行為だったのか甚だ疑問です。日本政治に詳しい中央大学の中北浩爾教授は「自民党には気遣いを示す『贈り物文化』がある。ただ時代の流れとともに一般常識との乖離が目立ってきた。違法性はなくとも考え直す時期に来ている」と指摘しています。

続いて、たいへん気になることがあります。最近の記事「36年ぶりの真冬の総選挙 」の中で触れた「なぜ、36年ぶりなのか、このような苦労を想像できる人物が一人でもいれば、真冬に解散する判断は見合わせてきたからではないでしょうか」という見方につながる危惧です。

自分一人で物事を判断しがちな高市総理に対し、「それはどうでしょうか」と即座に待ったをかけられる側近の存在が薄いように感じています。商品券とカタログギフト、その違いがあったとしても石破前総理の支出額150万円に比べ、今回の高市総理の大盤振る舞いぶりのほうが際立っています。

上記に示した時事通信の記事では「石破首相のことがあって1年だ。何をやっているのか」「商品券問題から何も学んでいない」と与党内からも苦言する声が上がっていることを伝えています。

このような認識や危機感を持ち、高市総理をいさめられる人物が周囲に一人でもいれば今回のような問題は回避できたはずです。今後、もっともっと重大な場面でも多角的なチェック機能を果たせないことが起きうるのではないかと危惧しています。

たいへん長い記事となっていますが、もう少し続けます。中道改革連合の代議士会で小川淳也代表が「鬼の首でも取ったかのように目くじらを立てるつもりはありません」と前置きした上で、次のように訴えていました。

「これからもいろいろな問題が出てくると思いますが、各委員会で質疑に立つにあたって、ぜひ日和ることなく、相手の政権の支持が高いとか高くないとか、人気がある政権だとか、ない政権だとかに一切左右されてはならない、我々野党第一党の矜持ですから。そこは自信と確信を持って対応をお願いしたいと思います」と述べた。

そして「関連して法案や予算の審議に、こうしたテーマをめり込ませることは必ずしも私どもも本意ではございません。仮に万一そのような扱いをせざるを得ない時は、冒頭1分なのか2分なのか3分なのか。鮮やかにキレよくさわやかに、こうした倫理観を問うということもあわせてお願いをしたいと思います。仮に重ねてこのような事態が頻発する場合、別途政治倫理を問う場は他にありますので。法案審議や予算審議に影響を与えないことに留意しつつ、不問には付さないという態度を筋道を立てながらしっかり主張していきたい」と語った。

概ね共感できる考え方だと思っています。昨日の予算委員会でも高市総理のカタログギフトの問題が取り上げられています。小川代表の質問に対し、高市総理は一人約3万円分の金額に関して「結婚式のご祝儀を参考にした」と答えています。多くの議員からねぎらって欲しいとの連絡を受け、次のように考えたそうです。

飯会苦手な女です」と話した上で「セキュリティーが確保できる個室レストランで何十回にも分けて食事会をやるとしたら、せこい話だが、お金がかかる」とし、3万円ほどのカタログギフトを贈ることを決めたと説明しています。違法性については改めて否定し、「昭和の中小企業のおやじ社長みたいなところがまだ私にはある。何らかの気持ちを示したい中で、ぎりぎりの判断だった」とも述べていました。

冒頭に記したとおり高市総理に対する評価や見方は人によって大きく枝分かれしています。このような説明によって納得されていく方、そもそも初めから問題視していない方も多いように感じています。そのため、支持率を急降下させる要因の一つとなった昨年3月の石破前総理の商品券とは異なり、しばらくすれば「終わった問題」になっていくのだろうと懸念しています。

野党側が引き続き追及していくと「しつこい、まだやっているの」「もっと重要なことがあるだろう」というような批判を受けかねないことを心配しています。しかし、今回の問題が、このまま幕引きされていった場合、ますます高市政権に対するチェック機能が低下していく引き金になるように思えてなりません。

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2026年2月21日 (土)

消費税について雑談放談

年金が支給されてから2回目の確定申告の時期を迎えていました。これまで医療費控除の確定申告以外、あまり意識する必要のない時期でした。今回、フルに1年間、年金支給されてから初めての申告であり、昨年と比べられないことは承知していました。

それでも納税すべき欄の数字を見た時、何か誤りがあったのではないかと考え、先輩職員にLINEで問い合わせてしまうほどでした。給与と年金、それぞれ源泉徴収されていましたので、ある程度形式的な申告だろうと高を括っていました。それが予想を遙かに超えた額だったため驚いていました。

給与明細等で源泉徴収された納税額を見るのとは異なり、現金を用意して納める時の痛税感の違いを認識する機会となっています。加えて、社会保険料控除額を見れば、税金以上に重い負担となっていることが一目瞭然です。先日の衆院選で多くの政党が社会保険料の軽減を公約に掲げたことも理解できます。

しかしながら税金や社会保険料を引き下げた場合、必要な社会保障等の財源をどのように確保するのか、必ず問われ続けられていく問題です。前回記事は「衆院選が終わり、今、思うこと」でしたが、中道改革連合が掲げた政策面の評価については触れていませんでした。今回の記事では消費税を巡る個人的な思いを書き進めていきます。

Newsweekに経済評論家の加谷珪一さんが『なぜ中道の議員たちによる「敗因の分析」は、これほどズレている? 最大の理由は「高市ブーム」ではない』という記事を寄せています。その中の一節を紹介しますが、私自身の問題意識と相通じる見方でした。

高市政権はアベノミクス復活と積極財政を掲げ、歴代政権が慎重姿勢を崩さなかった消費減税に言及するなど、バラまき的な方向性を強く打ち出していた。本来なら、最大野党である中道は、財政健全化や格差縮小を訴え、正面から議論を挑むべきであった。

ところが同党が出してきた目玉政策は、事もあろうに消費税の恒久減税であり、しかも財源に投資の利益を充てるという、自民党もびっくりするようなポピュリズム的内容だった。減税を主張すれば国民が喜ぶだろうという安易な発想に対し、ある種の怒りを感じた有権者は少なくなかっただろう。

実際、減税を真っ向から否定したチームみらいに相応の票が入ったことからもそれはうかがい知ることができる。この状況では、同じ減税といっても期限付き消費減税にとどめた高市氏のほうがはるかに現実的に見えてくる。

このブログでは2023年3月、慶応義塾大学の井手英策教授の講演内容をもとに「ベーシックサービス宣言」という記事を投稿しています。その年の8月には「ベーシックサービスと財源論」という記事を「Part2」にかけて綴っていました。ベーシックサービスの重要性、その財源として消費税が欠かせないという要旨の記事です。

昨年8月には『新しいリベラル』を読み終えて」という記事を投稿し、大規模な社会調査の結果、従来型のリベラルと新しいリベラルを合わせた割合は4割を超えていることを伝えていました。紹介した書籍の著者らは「新しいリベラルの声が政治の世界に届きにくいというのは今の日本社会にとって大きな損失である」と主張されていました。

物価高対策のための減税や給付金が公約の目玉とされ、新しいリベラルの声を反映した政策は争点化されていません。逼迫した現状の改善が優先されていく政治は、もちろん必要です。さらに現在世代の直接的なメリットを強調しなければ選挙戦が厳しくなることも理解しています。

それでも新しいリベラルという価値観を持った国民が多数であることを踏まえれば、中道改革連合の政策的な方向性は減税を旗印に掲げる他党との違いを際立たせて欲しかったものと思っていました。たいへん恐縮ながら中道改革連合が惨敗した結果、後付けのような論評となっていくのかも知れません。

以前の記事「消費税引き上げの問題」「政策実現と財源問題」に記しているとおり私自身、消費税の引き上げの必要性について一定認めてきた立場です。そのため、中道改革連合の食料品のみ消費税を恒久的にゼロにするという公約に対し、これまでの問題意識に照らした時、違和感があったことは確かです。

もともと昨年7月の参院選の時、立憲民主党時代から物価高対策の公約として掲げられていました。ちなみに諸外国における消費税(付加価値税)の現状は食料品の税率を軽減しているか、非課税としているケースが多いようです。したがって、ことさら中道改革連合の公約を批判するという強い思いがあった訳でもありません。

ただ物価高の大きな理由として円安があり、消費税減税は真逆の結果になりかねないという見方があることも気になっていました。このように振り返っていくと、重ね重ね中道改革連合の立ち位置や公約の掲げ方に省みるべき点が多々あったように思えてなりません。ある意味、壊滅的な敗北は立ち位置を大きく転換できるリスタートの機会につなげられるようにも思っています。

2021年11月の記事「衆院選挙が終えて思うこと」の中で、中道改革連合の小川淳也新代表が主役の映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を紹介していました。この映画によって小川代表の考え方などを好意的に評価するようになっています。ぜひ、どん底からの立て直しに尽力されることを期待しています。

最後に「トップリーダーは正直であって欲しい」という願いから外れるような消費税を巡る動きを紹介します。高市首相、「消費税の負担は低い」主張していた過去のコラムを全削除。「悲願だった」発言との矛盾指摘後に』という見出しが付けられたジャーナリストの篠原修司さんの論評を紹介します。

2月18日、自民党の高市早苗首相の公式サイトから過去のコラムがすべて削除されていることがわかり、Xで話題となっています。プレジデントオンラインが2月17日、高市首相が公式サイトで「(消費税の)国民の負担は低い」「消費税率引き上げは結果的には全て国民に還元される」などと書いていたと指摘した翌日のことでした。

高市首相は1月の会見で食料品の消費税0%について「私自身の悲願」と語っていましたが、過去のコラムはこの発言と矛盾しており、それが明るみに出たため削除したのではないかと騒がれています。

コラムの削除について、記事執筆時点では何の説明も行われていません。公式サイトでは18日に「アルバムを更新しました」との告知がある一方で、コラムの削除については一切触れられていないのです。政策を進めていくなかで、過去の言動と一致しないことが出てくるということはあると思います。一方で、それをきちんと訂正するのか、それとも今回のように黙って削除してしまうかというのは、非常に大きな違いです。

何の説明もなく削除したとなれば、「都合が悪いから削除した」と指摘されても仕方のないことでしょう。そして今回の場合、仮に訂正したとしても、そもそも「悲願だった」という発言が過去の高市首相の考えと矛盾しているという事実は変わりません。となると、高市首相の会見での発言の信頼性が大きく揺らぐことになり、本当に食料品の消費税0%を実現する意志があるのか、疑問が残ります。

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2026年2月14日 (土)

衆院選が終わり、今、思うこと

前回「明日は衆院選、今回もバンドワゴン?」という記事を投稿していましたが、まさかここまで自民党が大勝し、中道改革連合が惨敗するとは思っていませんでした。自民党は単独政党として戦後最多となる316議席を獲得しています。日本維新の会も2増の36議席とし、352議席の巨大与党が誕生しました。

一方、公示前に両党を合わせて172議席あった中道改革連合は、わずか49議席までに激減しました。289小選挙区のうち202人を擁立し、勝ち抜けたのはわずか7人のみでした。比例名簿上位を公明党出身者28人が占めたため、比例復活した立憲系候補は13人にすぎません。

民主党政権の中枢を担った重鎮が軒並み議席を失い、小沢一郎元代表や岡田克也元外相、立憲民主党の創設者である枝野幸男元代表、中道改革連合の安住淳共同幹事長らが国会を去ることになりました。中道改革連合49議席のうち立憲民主党系は21議席にとどまり、立憲系だけが壊滅的な大惨敗を喫しています。

さらに『自民党「14議席」他党に譲る  比例代表の獲得議席、名簿人数上回る』という事態に至っていたため、本来であれば自民党と中道改革連合との差はもっと広がっていたことになります。自民党が比例代表の名簿をしっかり揃えていれば、長妻昭元厚労相も復活当選を果たすことができませんでした。

1月に入って突然の解散風が吹き始た以降「最近の選挙を巡る動きへの雑感」「衆院解散、中道改革連合に願うこと」「36年ぶりの真冬の総選挙 」という一連の記事を通し、私自身の問題意識を綴ってきました。過去の選挙直後には衆院選挙が終えて思うこと」「衆院選が終えて、2024年秋」という記事を投稿しています。

今回も似た記事タイトルとなっていますが、今、思うことを書き残していくつもりです。以前の記事の中で「国民からの信頼を裏切るような失態が続けば政権の座から下ろされる、このような緊張感があってこそ、より望ましい政治の実現につながっていくものと考えています」と記しています。

前回記事には「自民党の敗北が旧統一教会や裏金の問題などを真摯に反省する機会につながったのか、正直な政治への転換につながったのか、甚だ疑問です。今回、このまま自民党が圧勝すれば、すべて終わったことになりかねないことを危惧しています」と記していましたが、そのような懸念が杞憂であって欲しいものです。

「いつまで批判するのか」「批判ばかりしても国民の生活は改善されない」という指摘をよく耳にします。しかしながら政権に対するチェック機能も野党としての重要な役割の一つだと思っています。そもそも重大な不祥事があった場合、民間企業や自治体は第三者委員会の調査結果をもとに過ちに応じた処分を下します。

残念ながら自民党は、それぞれの問題に対して切り込み方が非常に不充分だったと言えます。加えて、高市総理に関しても新たな事実関係の疑惑が浮上しています。このような経緯のもとに新たな疑惑が発覚しながら、まったく追及しないようであれば、それはそれでチェック機能という役割の放棄にすぎません。

このような問題意識を踏まえた際、中道改革連合の惨敗は「緊張感ある政治」から遠ざかってしまう結果であり、個人的な思いとしては極めて残念なことです。なぜ、新党を結成したことで123議席も失うことになったのか、12月に投稿した記事「新しいリベラルの声が届く政治の選択肢を」のような願いにつながらず、次のような危惧が当たっていたのかも知れません。

立憲民主党と公明党の立ち位置は、大規模な社会調査の中で多数派だった「新しいリベラル」の受け皿となり得るような近さを感じていました。しかしながら「中道」という言葉と「新しいリベラル」という概念が結び付きづらいため「中道」を強調しすぎることで支持層を狭めていくように危惧しています。

他にも様々な敗因が思い浮かんでいますが、この場で具体例を上げていくことの意味はあまり見出せません。したがって、個人的な思いとしては、党名から伝わる印象がプラスに働かなかったのではないかという指摘のみにとどめます。

中道改革連合には今後、小川淳也新代表のもと「対立を煽り、分断を深める政治ではなく」という綱領を旗頭とし、改めて「新しいリベラル」の声が届く政治の受け皿になって欲しいものと願っています。

衆院選後、前回記事のコメント欄にEIさんから「中道の連中に誠実さのかけらも見えない」のが最大の要因だったという厳しい見方が示されています。さらに高市総理が討論番組を直前にキャンセルした経緯について「まあ事実ではあるんでしょうけど、それを指摘することがどういうことを招くのか、想像力が足りない、という話」という指摘もありました。

自分自身の信任投票のような争点を示された立場の総理大臣として、必ず出演しなければならないという強い使命感のもとに治療のスケジューリングにも配慮され、ぜひ、出て欲しかったという思いは変わりません。スピーチ当番を嫌がっての急な病休の話とは、まったく比べられるようなものではないことを一言添えさせていただきます。 

「それを指摘することが…」という話も、問題視すべき点を誰も指摘できなくなるような事態のほうこそ心配です。ただ高市総理の人気が想像以上に高いことを示した選挙結果ですので、批判するたびにその批判者が、特にSNS上で厳しい批判にさらされていくことは念頭に置き、覚悟していかなければなりません。

このような点を踏まえながら新規記事「衆院選が終わり、今、思うこと」を通し、もう少し私自身の問題意識を書き進めてみるつもりです。EIさんのお考えや認識とは異なるかも知れませんが、ぜひ、ご覧いただければ幸いです。よろしくお願いします。

上記は私自身がKEIさんにレスした内容です。武蔵大学社会学部の千田有紀教授はPRESIDENT Onlineに『「高市首相をいじめる攻撃的なおじさん集団」社会学者が見たリベラルな若者ほど"立民離れ"起こした根本原因』という見出しの論評を寄せ、「中道、特に立民の敗北は、若い世代が立民のスタイルにうんざりしていることの表れではないか」と語っています。

高市総理の問題点や危うさを指摘することで若年層の支持を失っていくという構図は、たいへん悩ましい事態です。しかしながら上記のコメントのとおり問題視すべきことは、しっかり今後も指摘していかなければなりません。

その際、上から目線の「答え」を押し付けるような言動は慎み、それこそ対立を煽るのではなく、多様な考え方を認め合いながら共感を広げていくための言葉や態度が極めて大切な前提になっていくように思っています。

読売新聞の緊急世論調査でも、今回の衆院選の結果を「よかった」とする回答が55%だったことを伝えています。このような割合や構図は、私どもの組合においても大きな違いはないのだろうと思っています。そのため、組合員の皆さんに向けた情報発信のあり方が非常に重要な試みとなります。

特別執行委員に就任していますので、私が組合ニュースの最新号の原稿をまとめ、執行委員会で確認しています。組合の取り組みや方針が、組合員の皆さんから距離を置かれる要因になることを極力避けていかなければなりません。最後に「衆院選が終わり、改めて政治に関わる組合の取り組み方針等について」という見出しを付けたその原稿の要旨を紹介します。

2月8日投開票だった衆院選の選挙事務に従事された皆さん、たいへんお疲れ様でした。1月に入ってから唐突に決まった解散、投票日まで戦後最短の短期決戦だった36年ぶりの真冬の総選挙に全国の自治体職員は本当に苦労されたはずです。選挙結果は自民党の歴史的な大勝利となっています。

この機会に改めて組合の政治に関わる取り組み方針等について説明させていただきます。組合の活動は、すべて「組合員のため」を目的としています。組合員の生活を維持向上させるという目的のためには、各級議会に緊密な連携をはかれる議員がいることの重要さを認識し、連合や自治労は政党との支持協力関係を築いてきています。

つい最近結成された中道改革連合とも綱領などを基本的に賛同できるものとし、立憲民主党の時と同様、支援する方針を確認していました。このような産別方針を受けとめ、私どもの組合は地元選挙区の中道改革連合の候補者の勝利をめざしました。その候補者は都議会議員の時から推薦していた方です。結果は残念ながら議席を得ることができませんでした。ご支援くださった皆さん、ありがとうございました。

政党の多党化が進み、組合員の政治に対する考え方が以前にも増して多様化していることを念頭に置きながら、組合は政治に関わる取り組みに対応しています。したがって、選挙に関わる方針は組合員の皆さんに対し、これまで以上に重要性などを訴え続けることによってご理解やご協力を求めていくものだと考えています。今回の衆院選にあたっては突然の解散で自治労都本部の機関手続き日程から前号の組合ニュースで、このような説明や周知ができなかったことをご容赦ください。

候補者からの要請を受け、これまでも組合は公選ハガキの取り組みに対応してきています。組合が推薦している候補者を周知し、あくまでも一票を投じるための参考情報として当該の組合員の皆さんに送らせていただいています。組合予算に負担をかけず、住所等の個人情報にも配慮した取り組みであることをご理解くださるようお願いします。

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2026年2月 7日 (土)

明日は衆院選、今回もバンドワゴン?

2013年にインターネット選挙解禁となり、現在、SNSの活用によって当落が左右されるほどネット上での選挙戦略は重要視されるようになっています。ますますネットリテラシー、フェイクに惑わされないように情報の真偽を見抜く力が求められています。

SNS界隈の片隅で当ブログは20年以上、毎週末に更新を重ねています。「公務員のためいき」という看板を掲げているため、以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない情報発信に細心の注意を払っています。選挙期間中は個別の候補者名の紹介を控えるなど一定の制約を課しています。

とは言え、もともと時事の話題を頻繁に取り上げているため、選挙期間中は必然的に政治に関わる話が中心となっています。政党名や政党代表らの固有名詞は示していますが、あくまでも個人的な思いの論評であり、選挙運動と峻別するような記事内容に心がけています。

明日は衆院選の投票日です。自治体職員の立場からは一票の重みを認識しながら、ぜひ、投票所に足を運ばれるようお願いしています。これから全国的に降雪の心配もありますので、土曜のうちに期日前投票を済まされることもお勧めします。

今回も他愛のない近況をお伝えします。私どもの市役所では選挙期間中、イントラネットの掲示板で地位利用による選挙運動禁止等を伝える服務規律の周知がはかられます。この掲示板を見た直後、課長から「市長から渡すように指示があって」と一言添えられ、その服務規律を掲げたペーパーを受け取っていました。

以前の記事「身近な政治、市長選の話」で伝えているとおり都議時代から私どもの組合と推薦関係があり、20年以上前から懇意にさせていただいていた方が現在の市長です。ペーパーを受け取った後、課長に対して「私に渡すように指示があったのですか」と尋ねてみました。

すると「職員全員に周知するように指示されている」とのことでした。私のことを個別に心配され、注意喚起されたのではないかと少しドキッとしましたが、自意識過剰だったようです。せっかくの機会でしたので、課長にも前述したような私自身の心がけている点をお伝えしたところです。

さて、前回記事「36年ぶりの真冬の総選挙 」の最後に「新たに結成された中道改革連合の認知度を最終盤に向けて高めていくことで、久しぶりにバンドワゴン効果ではなく、アンダードック効果が発揮されることを願っています」と記していました。残念ながら最終盤に向けた調査では、さらに自民党との勢いの差が広がりつつあります。

2009年8月の記事「ネガキャンの中の自治労」の中で、バンドワゴン効果とアンダードッグ効果という言葉を説明しています。バンドワゴンとは行列の先頭の楽隊車のことであり、先行者に同調する傾向が強まる効果を指します。勝ち馬に乗るという言葉と同じ意味合いとなります。

アンダードッグとは負け犬のことであり、劣勢だった側を応援する傾向が出てくる効果を指します。判官びいきという意味合いと同じです。「自分が投票しなくても勝てそう」「あまり勝たせすぎてもいけない」「死票は投じたくない」など、事前の選挙予想は有権者の判断へ様々な影響を与えます。

また、候補者やその陣営に対しても、楽勝予想はラストスパートの緩みとなり、苦戦予想は必死の巻き返しにつながる場合がありました。このように投票日前の予想数字は両極端なアナウンス効果を生み出すため、投票箱のフタが閉じられるまで勝負の行方は分からないと言われてきました。

しかしながら最近の国政選挙では、アンダードッグ効果が働くことは皆無に近くなり、バンドワゴン効果の傾向が強まりながら事前の情勢調査のとおりの結果につながっています。今回の唐突な解散総選挙に際して「最近の選挙を巡る動きへの雑感」から一連の記事を通し、私自身の問題意識を綴っています。

衆院解散、中道改革連合に願うこと」という記事には、かつて常連だったKEIさんから久しぶりにコメントをお寄せいただきました。「これまで当コメント欄を通し、幅広い立場の方々からの率直な意見や批判に接することができたことを本当に貴重な機会だったものと感謝しています」と伝えながら次のようにレスしていました。

私自身にとっても分かりやすい政治の選択肢ができたように受けとめています。その上で、今回の記事本文に記したように今後「対立を煽り、分断を深める政治ではなく」という方向性に進むことを期待しています。

一方で、高市総理の「働いて、働いて…」という熱い思いなどは偽りのないものだろうと理解しています。さらに高市総理に対して「批判ありき」だった場合、強く支持されている方々を愚弄することになることも強く認識しています。

このブログを長く続けてきた中で、このような問題意識を強めてきています。そのため「批判ありき」の内容ではなく、新規記事「36年ぶりの真冬の総選挙」の中でも触れているとおり具体的な事例に対して個人的な意見を添えるように心がけています。

当たり前なことですが、どのような選挙結果が示されても民意の表われとして厳粛に受けとめていかなければなりません。ただ選挙に勝てば問題視すべき事例が、すべて許されたような構図につながることには注意を払う必要があります。

3年前の記事「明日は衆院選投票日、正直な政治への転換を!」を読み返してみました。自民党の敗北が旧統一教会や裏金の問題などを真摯に反省する機会につながったのか、正直な政治への転換につながったのか、甚だ疑問です。今回、このまま自民党が圧勝すれば、すべて終わったことになりかねないことを危惧しています。

女性自身の記事『「前時代的な発想」と一蹴…高市首相の“円安ホクホク”演説にみずほ銀行が異例の“警鐘レポート”発表でネット騒然』のとおり高市総理は応援演説で、円安は「輸出産業にとっては大チャンス。外為特会(外国為替資金特別会計)の運用、今ホクホク状態だ」と発言していました。物価高を容認し、物価高であえぐ中小企業、実質賃金が下回っている庶民の苦境を理解されていないという批判を受けました。

翌日、衆院選に向けたNHKの討論番組の出演を高市総理は直前に取りやめていました。「遊説中に腕を痛め、治療に当たっているため」という説明でしたが、その日の午後には予定通り遊説しています。週刊文春の記事は『《衝撃スクープ》高市首相「日曜討論」出演キャンセルは2日前から準備していた! 官邸関係者が明かす真相「小林鷹之氏に打診したが…」』という舞台裏を伝えています。

このような報道は最終盤の選挙戦において大きなマイナスに働いていくはずですが、高市総理の支持率が下降するような気配は見られていません。やはり今回の衆院選もバンドワゴン効果の結果につながり、高市総理にフリーハンドを与えていくのでしょうか。

最後に、ディリー新潮『ハネムーン終了前の電撃解散「高市総理」を悩ませる「三つのギャップ」とは』という記事を紹介します。高市総理は官僚からのレクを受けず、情報は紙で受け取っているようです。安倍元総理の「総理といえども、一人では何もできない。チームで事にあたれば、自分に足りないところを補ってもらえる」という考え方は受け継いでいないことを伝えています。

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