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2026年1月10日 (土)

アメリカのベネズエラ攻撃に対して思うこと

新年早々、衝撃的なニュースに接しています。アメリカが南米ベネズエラの首都カラカスなどを地上攻撃し、反米左派であるニコラス・マドゥロ大統領夫妻を拘束したというニュースです。テレビ朝日の『ベネズエラ大規模攻撃  狙いは石油利権か  次期政権にも注目集まる』という記事から経緯等を知ることができます。

前回記事「2026年、60年に一度の丙午」の中で、このブログを続けていることが自己啓発の機会であると記していました。今回、リンク先の記事を紹介するにあたって、改めて著作権法について調べてみました。『SNS・ブログの引用ルール完全ガイド  著作権法32条と文化庁の5要件』を確認しています。

もともとインターネット上に掲げられている内容であるため、引用元を示せば自分のブログへの転載は問題ないと考えがちです。しかし、それだけでは不充分であり、主従関係(引用部分が従、自分の文章が主)や明瞭区別などにも留意しなければなりません。このブログでは他のサイトの内容を紹介した箇所は青字とし、どこからどこまでが引用であるか一目で分かるようにしています。

本題に入る前の前置きが長くなっています。詳しい経緯やアメリカの思惑などはリンク先の記事内容をそのまま掲げた上、その引用部分を「従」とするため、いつも以上に長いブログ記事となることをご容赦ください。今回の問題を論評するにあたり、全文の引用が必要であるものと考え、次のとおり紹介させていただきます。

3日未明、アメリカのトランプ政権が南米ベネズエラに大規模な軍事攻撃を行った。マドゥロ大統領の身柄を拘束し、ベネズエラ政府に対して政権移行に協力しなければ再攻撃もあり得ると警告している。

トランプ政権はこれまで、ベネズエラへの圧力を強めてきた。去年の9月以降「麻薬運搬船」とみなしたベネズエラ船への攻撃を繰り返しており、去年11月には原子力空母をカリブ海に派遣するなど、警戒・監視を強めてきた。

その背景には、アメリカ国務省が「外国テロ組織」に指定する「太陽のカルテル」という麻薬組織の存在があるという。トランプ政権はマドゥロ大統領がこの組織を率いていると主張し、麻薬密輸対策としてマドゥロ政権への軍事的圧力を強めてきた。

そのマドゥロ大統領を拘束するために行われた今回の軍事作戦は、周到に準備が進められてきたという。作戦はアメリカの陸海空軍や海兵隊に加え、CIAなどの情報機関も参加して数カ月前から計画されてきたようだ。

アメリカの情報機関はマドゥロ大統領の居場所を特定し、行動パターンや食習慣、ペットの種類に至るまで分析を重ねたという。「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、アメリカ政権当局者らはマドゥロ氏の側近の助けも借りていたという。

さらに「ニューヨーク・タイムズ」によると、マドゥロ氏の邸宅を模した実物大の模型で訓練を行っていたようだ。そして「FOXニュース」のインタビューでトランプ大統領は、作戦の1週間前に、マドゥロ大統領に電話で投降するよう最後通告を行ったと明かしており、ベネズエラ側が投降を拒んだため、トランプ大統領が軍事作戦を決断したとみられている。

マドゥロ氏らの逮捕が目的? 作戦は非常に大規模なものとなった。トランプ大統領はアメリカ東部時間2日の午後10時46分、作戦の実行を命じたという。作戦名は「絶対的な決意」で、ルビオ国務長官は、この軍事作戦の目的は「起訴されたマドゥロ氏らの逮捕であり、あくまで犯罪に対する法的執行手続き」と主張している。

アメリカのケイン統合参謀本部議長によると、軍用機150機以上がベネズエラに向かい、戦闘機などがベネズエラの防空システムを無力化して、3日午前1時1分に法執行官などが乗ったアメリカ軍のヘリがマドゥロ大統領の邸宅に到着したという。

「ニューヨーク・タイムズ」によると、アメリカ陸軍の精鋭部隊「デルタフォース」が邸宅に突入し、投降したマドゥロ大統領夫妻を拘束したという。マドゥロ大統領はニューヨークの連邦政府・拘置所に移送され、5日にもニューヨークの連邦地裁に出廷する見込みだという。

アメリカ軍による首都への大規模な攻撃を受けて、ベネズエラ国内では混乱が広がっている。国家運営はどうなるのだろうか。トランプ大統領は3日、安全で適切な政権移行が行われるまで「我々がベネズエラを『運営』する」とベネズエラの次期政権に介入する考えを示した。ただ、その後ルビオ国務長官はアメリカによる直接統治を否定しているようだ。

では、トランプ政権が思い描くベネズエラの次の指導者とはいったい誰なのか。去就が注目されているのが、野党指導者マリア・マチャドさんだ。大統領選の不正を訴え、独裁体制と戦ってきたとして去年、ノーベル平和賞を受賞している。トランプ大統領は去年10月、マチャドさんについて「私はずっと彼女を支援してきた」と評価するような口ぶりだった。

ただ、マドゥロ大統領の拘束を受けてマチャドさんがSNSで「私たちは責務を遂行し権力を握る準備はできている」と表明したことについて、トランプ大統領はマチャドさんが「指導者になることは難しいだろう。彼女は国内で支持も尊敬もされていない」と逆の見解を示している。

一方で暫定大統領に命じられたロドリゲス副大統領は、アメリカによる攻撃を批判し国民の結束を呼び掛け、「二度と帝国の植民地にならない」などアメリカに断固抵抗する構えを見せている。しかし、トランプ大統領は、ルビオ国務長官がロドリゲス氏と連絡を取り合っていてロドリゲス氏は「必要なことは何でもする」と語っているとも明かしており、現在の体制を抜本的に変える考えはないようにも見えるが…。

そこから一転、ロドリゲス副大統領は5日午前、「アメリカ政府、トランプ大統領と手を取って新しいベネズエラをつくりたい。私たちは戦争を避けたい。無益な血は避けたい」と声明を発表した。

狙いは石油利権か では、なぜ軍事行動に踏み切ったのか。トランプ大統領は「アメリカの石油企業が数十億ドルを投じて、(ベネズエラの)ひどく老朽化したインフラを再建する」としている。

ベネズエラは世界最大の原油埋蔵量とされる国で、中東諸国よりも多くの原油が埋まっているとされる。だが、1999年に誕生したチャベス政権がベネズエラ国内のアメリカの石油資本を国有化した。当初は原油高で急速に経済成長を遂げたが、原油価格の下落や設備の老朽化などで産油量が激減。

トランプ大統領は「我々は莫大な富を取得し、その富はベネズエラの人々に渡る」としたうえで「アメリカの石油資本の国有化への賠償という形でアメリカにも渡る」と、アメリカ企業の利益にもなると強調した。

今回のアメリカの「力による現状変更」について、国際社会はもとより、アメリカ国内からも懸念の声が上がっている。民主党のワーナー上院議員は、アメリカが外国指導者を軍事力を用いて拘束する権利を主張するならば、中国が台湾の指導部に同様の権限を主張することを阻止できるのか?

また、ロシアのプーチン大統領がウクライナのゼレンスキー大統領を拉致する正当性を阻めるだろうか? 中国やロシアに対して、力による現状変更を認めるかのような、誤ったメッセージを送ることになる可能性を指摘している。では日本はどういった対応をとっているのか。

4日、高市総理は日本政府の立場をSNSで発信した。「我が国は従来から、自由、民主主義、法の支配といった基本的価値や原則を尊重してきた」として「G7や地域諸国を含む関係国と緊密に連携し、ベネズエラにおける民主主義の回復および情勢の安定化に向けた外交努力を進める」と強調した。ただ、「アメリカ」や「トランプ大統領」という文言はなく、攻撃の是非には触れなかった。テレビ朝日「大下容子ワイド!スクランブル」2026年1月5日放送分より

アメリカの攻撃によって、ベネズエラ側に何の罪のない若者らを含めた100人以上の犠牲者が出ています。このことをもって、アメリカ側がどのように正当性を主張しようとも理不尽で決して許容できない暴挙だったと言わざるを得ません。

結論的な思いが違えることはありませんが、今週末に投稿する新規記事は多面的な情報を提供する場として「アメリカのベネズエラ攻撃に対して思うこと」というタイトルのもと書き進めていきます。

まずアメリカは過去にも同様な軍事行動を展開していました。37年前、中米パナマに軍事侵攻し、やはり独裁的指導者だったノリエガ将軍を連行したという過去があります。他国の最高権力者の身柄拘束のため、2万5千人の米軍を投入し、空爆によって1千人以上が犠牲になったと言われています。

父親のブッシュ政権の時でした。独裁政権によって抑圧されていた国民を解放するための人道上、やむを得ない軍事力の行使だったとは見られていません。パナマ運河を巡るアメリカ側の利権確保が背景にあり、世界最大の埋蔵量を誇るベネズエラの石油が目当てだと見られている今回の軍事行動の動機と相通じています。

ただアメリカの自国ファーストという目論見があったとしても『「ありがとうトランプ」米国歌斉唱も  歓喜の在外ベネズエラ人、800万人脱出も帰還願う』という産経新聞の記事のとおり多くのベネズエラ国民から歓迎の声が上がっていることも事実です。

《大統領拘束を歓迎するベネズエラ国民の本音》「男女ともに裸にし、数日間眠らせず、窒息を繰り返させる…」国連に報告されていた“あまりに酷い拷問のリアル”』という見出しのNESポストセブンの記事では、マドゥロ大統領の非道ぶりを次のように証言する具体的な事例を伝えています。

マドゥロ氏が大統領になったのは2013年です。それから国は貧しくなりました。経済の専門家を排除して、側近だけで国を運営したせいですよ。それで無計画に紙幣をたくさん印刷して、通貨が価値を持たなくなり、ハイパーインフレが起きた。

医薬品が流通しなくなったり優秀なお医者さんが国外に出て行ったりして、医療は崩壊しました。子供を産むのも命懸けです。教育機関が閉鎖してしまっている地域もたくさんあります。先生たちが国を捨てて、近隣国に行ってしまうので教える人がいないんです。

体制に反対する人はみんな排除されてしまいます。野党の政治家やジャーナリストが次々に収監されていきました。国家情報庁が管理する拷問施設では、電気ショックや水責めが平気で行われているとも聞いています。国民は、政権に意見が言えない状況になっている。

例えば窒息拷問。まずビニール袋を被せ、首を絞めます。そして失神する寸前に空気を吸わせまた袋をかぶせるということを繰り返す。他にも電気ショックや、数日間眠らせないといった拷問も確認されています。明かりを消さず爆音をならし、寝たら叩き起こすわけです。

飲食を制限して、脱水症状や失神状態に陥らせることもあったとみられています。男女問わず身体検査を口実に繰り返し裸にさせていたという例も報告されました。そうして"自白"させ、他の反体制派の人間の名前を吐かせている、と。

昨年、ノーベル平和賞を受賞したマリア・マチャド氏はベネズエラの野党指導者です。時事通信は『平和賞マチャド氏、「存在感」に腐心  米は暫定大統領を重視  ベネズエラ』という記事で、マチャド氏は「正義が圧政を打ち破った一日」と述べ、アメリカの軍事行動を支持表明したことを伝えていました。

マチャド氏は、ロドリゲス大統領を「拷問、迫害、腐敗、麻薬密輸(の構造)を設計した一人」と厳しく批判した上、「我々は国外に逃れた数百万人のベネズエラ人を国に戻し、強力で繁栄した国家を建設する」と訴えています。

しかしながらトランプ大統領は、マドゥロ政権ナンバー2だったロドリゲス暫定大統領をベネズエラ側の対話相手として重視し、マチャド氏が「指導者になることは難しい」と切り捨てていることを時事通信の記事でも伝えています。このような発言も当事国の主権を蔑ろにした内政干渉の極みだろうと思っています。

そもそもトランプ大統領が「私に国際法は不要」と語ったという報道まで目にしています。世界における自身の権力に限界はあるか​との質問に対して「一つある。私​自身の道徳観。私自身の心だ。それが私を止められる唯一のものだ」とし、「国際法が適用される事案については自らが判断する。国際法の定義が何であるかによる」と述べています。

昨年10月に「究極のトップリーダー、トランプ大統領」という記事を投稿していましたが、このような思想や資質の人物が超大国のリーダーを務めている現状を非常に憂慮しています。二度の世界大戦の惨禍を教訓化し、国連を創設し、様々な国際的な規範を整えてきています。

自衛のための戦争と国連安全保障理事会の決議による軍事行動以外、他国への軍事侵攻は現在の国際社会の中で認められていません。これまでアメリカ自身が「力による現状変更」を批判し、国際社会における「法の支配」を声高に唱えてきたはずです。それにも関わらず、今回のベネズエラへの攻撃、極めて不当な行為で到底許されるものではありません。

今回の軍事行動によってベネズエラの民主化が進み、ベネズエラ国民が安寧な社会で暮らせるようになったとしても「結果オーライ」で終わらせることなく、アメリカの国際法違反の行為は厳しく問い続けていく必要があります。

そのような対応が不充分にとどまるようであれば、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をとがめることが難しくなります。さらに中国の台湾への侵攻が、ますます現実味を帯びてくる懸念さえあります。国際社会が弱肉強食、帝国主義の時代に後戻りするような引き金に絶対してはならないものと思っています。

昨夜、組合の執行委員会に出席しています。アメリカのベネズエラ攻撃に対する平和フォーラムの声明と自治労本部の書記長談話が、配られたレジュメに添付されていました。たいへんな長さのブログ記事となっていますので、それぞれの内容を転載できませんが、興味を持たれた方はリンク先をご参照ください。

ここまで綴ってきた私自身の思いと大きく変わる内容ではありません。ただ一点、とらえ方が若干異なる箇所もありました。高市総理がアメリカの軍事行動を真っ向から批判せず、前掲したテレビ朝日の記事のとおり曖昧な言葉にとどめていることの不充分さを厳しく指摘していました。

立憲民主党の野田代表も「力による現状変更は駄目だ、国際法を守ろうということを日本はしっかりと伝えていく役割がある」とし、日本政府の毅然とした対応を求めています。

自民党の小野寺元防衛相さえも、自身のXで「力による現状変更そのもので、中露を非難する論拠に矛盾する。仮に中国が台湾に対して力による現状変更を試みた場合、米国が強く対抗してもトランプ政権では国際世論をまとめるのは難しく、ますます東アジアが不安定化する懸念がある」と投稿しています。

まったくの正論で、その通りだろうと思っています。しかし、攻撃直後『欧州で米ベネズエラ攻撃に温度差  ドイツ「法的評価複雑」 イタリア「自衛行為正当」支持』という産経新聞の記事のとおりアメリカの軍事行動を即座に指弾する国が少なかったことも確かです。

トランプ大統領の特異な性格を考慮し、自国の国益等を踏まえ、政府としての公式見解での批判のトーンは弱めざるを得なかったように受けとめています。したがって、高市総理の攻撃直後の声明が曖昧な表現にとどまったことも、ある程度やむを得ないものと思っていました。

その上で、相手方の特異さなどを慮れるのであれば、なぜ、中国に絡む発言に対しても同じように対応できなかったのか残念でなりません。ちなみに平和フォーラムの声明では覇権主義を批判するのであれば、アメリカに対しても毅然とした姿勢で臨むべきと訴えています。いずれにしても与野党問わず、ダブルスタンダードとならない確かな軸足のもとでの外交姿勢が欠かせないのだろうと思っています。

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