問われる政治家の言葉の軽重
驚きました。学歴詐称問題で7月中に辞職することを表明していた伊東市の田久保真紀市長の記者会見は、津波対策を理由に延期するような話になるのかも知れないと思っていました。注意報が解除された木曜夜、予定通り会見は開かれました。しかし、明らかになった内容は約束を反故にする続投表明でした。
『続投表明の伊東市長、直前に「全部長の総意」で辞職促されても拒否…一夜明けて企画部長が明らかに』という報道のとおり田久保市長が7月31日に記者会見を開いてから翌8月1日午後4時までに約1100件の電話やメールが寄せられ、ほとんどが「なぜ辞めないのか」など批判の声だったようです。
田久保市長が7月2日の会見で、東洋大は「卒業でなく除籍だった」と明かして以降、電話やメールの総数は4200件を超えています。これだけでも市の業務に大きな負担をかけているのにも関わらず、ごく少数であるはずの続投を後押ししてくれる声があるという説明によって、辞職を撤回したことに驚愕しています。
これまでの田久保市長の対応ぶりから考え、応援する声があるという説明すら本当なのかという疑問を抱かざるを得ません。先月の記事「参院選公示、少し気になること」の中では田久保市長の学歴詐称問題に触れ、次のような思いを書き添えていました。
詐称していた問題そのものよりも、告発されてからの不誠実な対応ぶりこそ首長としての資質が厳しく問われています。重い責任を負う政治家やリーダーの欠かせない資質として、正直に語るという誠実さが極めて重要な点だと思っています。
ここまで誠実さに欠け、自ら発している言葉の軽重が問われる政治家は極めて稀であって欲しいものです。実は前回記事「参院選が終えて、2025年夏」の中で触れようと思っていた話題があります。『立花孝志氏、政界引退を撤回 今後は兵庫県で活動していく宣言も「一旦クリアに」』という話です。
参院選で「NHK党が国政政党に復帰できない場合かつ、立花が兵庫県選挙区で落選した場合もやめます」とし、目標を達成できなかった場合は政界を引退することを立花党首は宣言していました。結果としてNHK党は国政政党に復帰できず、立花党首も落選していました。
しかし、7月21日の動画で「このまま政治家を辞めるのは、それこそ無責任だと思っています」と政界を引退するという宣言を撤回したことを伝えていました。立花党首に誠実さや言葉の軽重を問うこと自体、空しい試みなのかも知れませんが、できれば今回の敗北を機会に政治の世界から本当に退かれることを願っていました。
民意を代表し、重い責任と役割を担わなければならない政治家、もしくは政治家をめざしている方々の言葉は、本来であれば一般の有権者よりも重くなくてはならないはずです。残念ながら田久保市長、立花党首、それぞれから言葉の重さは微塵も感じられません。ジャーナリストの岩田明子さんの「政治家の言葉は重いものですが、最近は軽くなって…」という言葉のとおりとなっています。
立花党首と言えば、昨年11月の兵庫県知事選での「2馬力選挙」が問題視されていました。真偽不明の情報を拡散し、いわゆる「犬笛」を吹きまくり、SNS上で吹き荒れる誹謗中傷の発信源だったと批判されています。最近『丸尾県議に対する虚偽のX投稿、アカウント開示請求認める 東京地裁 丸尾県議は提訴も検討へ』という動きも見られています。
出口の見えない兵庫県政の混乱に関しては当ブログを通し、数多くの記事を投稿してきています。初動段階で斎藤知事が公益通報者保護法に対する認識を誤らなければ、これまでの悲劇や混乱は避けられたように思えてなりません。その斎藤知事に対しても言葉の軽重を問わなければならない場面が目立っています。
つい最近『「クレーム電話鳴り止まず県政担当から外れた」兵庫・斎藤知事 会見で記者が異例の訴え…明かされた“被害”にネット騒然』という報道に接しています。記者会見で斎藤知事に厳しい質問を繰り返していた記者を批判する電話が会社に殺到し、県政の担当を外れることになったという話です。その記事の最後に掲げられている別なメディアの社会部記者の声を紹介します。
知事はネットの誹謗中傷は“してはならないこと”と述べていましたが、会見で誹謗中傷を止めるよう呼びかけることはありません。今回、知事に質問をして炎上したという記者の訴えにも、フォローをするような言葉はありませんでした。確かに記者が勤務する社内の配置転換に関しては、斎藤知事にとってあずかり知らぬことです。ですが自身の会見をきっかけに誹謗中傷が起きていることには、関心を寄せてもよいのではないでしょうか。
知事といえば、毎週行われる定例会見で「ご指摘は真摯に受け止める」などと繰り返すばかりで、記者からの質問に真正面から答えないのが恒例です。そうなると、記者も同じ質問を何度も投げかけざるを得なくなります。会見の視聴者のなかには“知事がマスコミから責められている”と捉えてしまう人もいるようで、SNSに記者の批判が書き込まれることで炎上してしまうものと思われます。せめて斎藤知事から“記者を攻撃するようなことは控えるように”との呼びかけがあれば、状況もまた違ったものになるのではないでしょうか。
兵庫県の問題は別な機会に改めて取り上げることになるものと思っていますが、問われる政治家の言葉の軽重という意味合いから斎藤知事の記者会見での対応ぶりにつなげています。斎藤知事の発する言葉は重い影響力を発揮できるはずです。それがSNS上で飛び交う誹謗中傷の問題に対し、いつも「他人事」のような言葉の軽さしか感じられない点は紹介した記者の声と同様です。
今回の記事の趣旨に沿って『「レベル低すぎる」参政党・梅村みずほ氏 政策議論の「朝生」で繰り返したマウンティングの「2文字」に疑問続出』という記事も紹介します。自党の掲げた政策に対する異論を「結果を見たらわかるじゃないですか。選挙で民意を得たのはどちらなのです?」という言葉で、すべて切り返す姿勢も決して重々しさを感じられません。
最後に『日本保守党・北村晴男氏が石破茂首相に「どこまでも醜い、奇妙な生き物」 まとめサイト引用、過激表現に批判相次ぐ』『石破首相を「どこまでも醜い、奇妙な生き物」と表現した北村晴男氏。この一件を“個人の暴走”として矮小化してはならない理由』という話題です。感情的な対立を避け、建設的な議論につなげていくためには言葉を選ぶ必要があります。
したがって、北村参院議員の言葉の不適切さは際立っているように受けとめています。一方で、石破総理が過去、安倍元総理らを批判してきた言動と現在の総理の椅子への執着ぶりを対比した時、ご自身の発してきた言葉の軽重が厳しく問われていることも確かだろうと思っています。
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