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2025年7月26日 (土)

参院選が終えて、2025年夏

前回記事「『ブラック郵便局』を読み終えて」の最後に「よりいっそう一票の重みの大切さと怖さを認識しながら投じていかなければなりません」と記していました。今回の参院選の投票率は58.61%、前回を6.46%上回り、50%台後半は15年ぶりのことでした。

新興政党の参政党の躍進をはじめ、いろいろな意味で後々「あの時の参院選が…」と語られていくのかも知れません。できれば日本の政治が望ましい方向性に舵を切り、国民の暮らしが豊かになっていく転機だったと言えるような「一票の重み」であって欲しいものと願っています。ただ今回の参院選の結果を受け、今のところ先々の不透明感や不安感のほうが勝っています。

読売新聞などから退陣を号外で報道されながら石破総理自身は続投を明言しています。しかしながら自民党内から「石破おろし」の動きが強まり、このまま石破総理が居座り続けることは非常に厳しい現状です。近いうちに総理大臣が変わる可能性は高まっていますが、自民党内の次期候補の顔ぶれを見るとあまり歓迎できる気持ちにもなれません。

昨日『「石破辞めるな! 石破負けるな! 石破粘れ! 民主主義を守れ!」…“激励デモ”を現場直撃 デモ参加者が自民党支持者では「ない」理由とは?』という報道のとおり次期総理候補よりも石破総理のほうが「これ以上悪くならない」と考えた200人近くが集まり、声をあげて行動に移していました。デモの参加者に自民党の支持者が少なかったという話も納得できます。

一方で、野党側が政権を奪取できた場合も、それぞれの政党の立ち位置が違いすぎているため、安定した政権運営につながるのかどうか不安視しています。昨年11月には「衆院選が終えて、2024年秋」という記事を投稿していました。その記事タイトルにならい、今回も「参院選が終えて、2025年夏」として気ままに思うことを書き進めています。

3年前には「参院選が終わり、見えてきたこと」という記事を投稿していました。選挙戦の応援演説中に安倍元総理が銃撃され、理不尽な死を強いられた時の参院選でした。山上徹也容疑者の身勝手な犯行動機は決して認められません。それでも選挙期間中、自民党と旧統一教会との関係がまったく報じられなかったことは不自然でした。

3年前の記事の中で『テレビ局が「選挙前報道」に極度に“及び腰”になるきっかけとなった事件とは?』という論評を紹介した上、選挙が終わるまで「統一教会」という存在をメディア側が自主規制していたことを伝えていました。公平性、中立性を意識しすぎた結果、本来、メディアの責任として伝えるべき事実関係を選挙期間中は伏せてしまいがちな問題を指摘していました。

このような経緯があったため、前々回記事「参院選折り返し地点での雑談放談」の中で「今回の参院選では少し変化の兆しが見られています」と記していました。この言葉の後に次のような動きを伝えながら私自身の見立てを書き添えています。

「日本人ファースト」を掲げる参政党への支持が急拡大していますが、木曜朝に届いた新聞の広告欄には参政党の勢いに水を差すような記事の見出しが並んでいました。それも週刊文春と週刊新潮、2誌が同時に『参政党・神谷宗幣は日本のトランプか? 』『参政党「神谷宗幣代表」の危うい実像』という見出しを付けた特集を組んでいました。

少なからず参院選挙に影響を及ぼす内容ですが、裏付けのない憶測記事ではないはずです。前述したとおり関連した情報を知った上での一票につながっていくことが望まれているため、このような報道を一定評価していくべきだろうと思っています。ただ今のところマスメディアが追随するような展開にはなっていないため、参政党の躍進に急ブレーキはかかっていないようです。

参政党に関しては「参院選公示、少し気になること」の中で「自民党に次ぐ55人もの候補者を擁立した参政党は地道な足腰もあるようです」と評していました。この見立てのとおり参政党 大躍進の理由は意外にも草の根!風に頼らない戦略とは?【大石邦彦が見た参議院選挙】自民党は歴史的大敗』という結果に至っています。

参政党に対するネガティブな報道をマスメディアが追随する展開にはなっていませんでしたが、外国人政策の現状については複数のメディアが取り上げていました。その中でもTBSの『報道特集』が踏み込んだ特集を組んでいました。その結果、公平性と中立性を欠く内容が放送されたとして参政党はTBSに厳重抗議しています。

この抗議に対し、TBS側は「参院選の争点に急浮上していることを踏まえ、排外主義の高まりへの懸念が強まっていることを、客観的な統計も示しながら、様々な当事者や人権問題に取り組む団体や専門家などの声を中心に問題提起したものです。この報道には、 有権者に判断材料を示すという高い公共性、公益性があると考えております」と答えています。

テレビ朝日法務部長だった西脇亨輔弁護士が『参政党による『報道特集』厳重抗議の是非、弁護士が指摘した「そもそも抜け落ちた点」とは』と指摘し、最後に次のように解説しています。たいへん重要な提起であり、私自身も賛同できる考え方でした。長いブログ記事が、ますます長くなりますが、そのまま紹介します。

報道機関として問題と考える点を事実に基づいて指摘し、その結果ある政党に不利になっても、何も問題ない。「政治的公平」とは問題点があれば相手が誰であってもきちんと指摘するという「報道のスタンス」の公平であって、「ある政党を批判するときは、擁護の声もあわせて紹介してフォローする」という「放送結果の平等」ではないのだ。

参政党は『報道特集』の取材対象の人選も批判したが、同番組が取材したのは外国人留学生やヘイトスピーチを受けた男性など外国人政策の当事者や関係者。こうした人の事実に関する証言を報じることは「問題提起」であって「偏向」ではないだろう。そして「問題提起」に対して政党がとるべき姿勢は、「抗議」ではなく「説明」のはずだ。

SNS選挙を巡る議論が続く中、今回の参院選では、選挙期間中もファクトチェックが積極的に行われるなど報道に変化の兆しが見える。今回の『報道特集』への抗議がこの流れを止めないように、この先の展開を注視しなければならないと思う。

これまでとは少し異なる展開もありましたが、結局のところ「参政党支持者は情弱」と叩く人もいるが…批判されるほど元気になる参政党支持者に共通する“強すぎる被害者意識”の正体』という記事が伝えるとおり批判自体を参政党はバネにして飛躍していました。確かに参政党を批判する側の不適切な言葉や威嚇的な行動は、参政党を熱烈に持されている方々との溝を深めるだけだろうと危惧しています。

もう少しだけ続けます。組合執行部から離れていても自治労組織内候補の当落の行方は最大の関心事です。3年前の参院選では、NHKの開票速報と同時に比例代表の自治労組織内候補である鬼木まことさんの「当確」が確認できました。投票が締め切られた時点で当選を伝える「ゼロ打ち」でした。

今回、2期目に挑んだ立憲民主党参院議員の岸まきこさんのNHKによる「当確」の知らせは翌朝まで待たせされました。一部の民放で夜のうちに「当確」を伝えていましたので安心して寝入っていましたが、岸さんのフェイスブックによれば「当確が出たのは午前5時41分頃」だったようです。

岸さんの今回の得票は147,648票、6年前は157,848票でした。ちなみに3年前の鬼木さんは171,619票を得ていました。微減という見方にとどめられるものと思っていますが、やはり最近の記事参院選公示、少し気になること」の中で伝えた自治労の対応方針の変化が少し気になっています。

組合ニュースで候補者の名前を示し、組合が推薦しているという事実のみを伝える内容であれば問題ないという理解でしたが、今回の参院選の公示後、自治労本部の機関紙などから「岸まきこ」という名前は完全に消えていました。批判を受ける前に細心の注意を払うという意味で評価すべき変化なのかも知れませんが、最後に、次のような対比した事例を紹介します。

参院選投票日の朝、読売新聞のテレビ番組欄の下に「前進か、混乱か。」という見出しを打った自民党の政党広告を目にしました。『自民党の選挙当日の新聞広告は選挙犯罪ではないのか』という記事があるとおり投票日の選挙運動であれば法律違反です。あくまでも日常的な政治活動の一環であり、選挙運動と切り離しているという解釈のもと自民党は対応しています。

ただちに違法性が問われないとは言え、誤解を受けがちなグレーゾーンな対応であることには間違いありません。それも資金力があるからこそ投票日当日まで目立つ位置に新聞広告を出せるのであり、金権選挙を防ぐ目的の公職選挙法の趣旨を軽視しているという批判も招きかねない行為です。このような自民党の対応に比べれば、自治労の慎重さが際立っているように思っています。

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2025年7月19日 (土)

『ブラック郵便局』を読み終えて

明日は参院選の投開票日です。このところ都議選が終わり、参院選に向けて思うこと参院選公示、少し気になること参院選折り返し地点での雑談放談」という参院選に絡む内容の記事を立て続けに投稿しています。今回の記事タイトルは「『ブラック郵便局』を読み終えて」としていますが、今回の内容も一票の重みの大切さと怖さにつながる話だと言えます。

2024年10月に郵便料金が値上げされ、84円だった50グラムまでの定型郵便物の料金は110円となっています。デジタルコミュニケーションの普及によって郵便物の総数が毎年減少しているため、ある程度の値上げはやむを得ないのだろうと理解しています。

ただ以前、市内であれば郵便物は翌日に届いていました。2021年10月から翌々日配達となり、土曜配達も廃止されています。総数が減っていながら、それまでのサービス水準を低下させていました。郵便事業の経営が赤字に陥っているため、充分な人員を配置できていない現状からの見直しでした。

昔は夜遅くまで配達していなかったはずですが、最近は暗い中、郵便配達の赤いバイクが走っている姿をよく見かけます。きっと朝から働いているはずであり、サービス残業になっていないこと、お体には注意願いたいことなどを見かけるたびに思い浮かべています。

「配達できなかったのを言い出せず…」40代社員が160の郵便物をロッカー・自宅・車に隠す  配達予定の郵便物に“日付が古い消印”あり発覚』『「理解不能」“郵便配達バイク”が当たり前のように歩道を約100m走る  目撃者「車と変わらぬスピード」』という不祥事も個々人を責めるだけでは、しっかりとした再発防止策には至らないのではないでしょうか。

組織として不充分な人員体制の問題まで検証しなければ、同じような不祥事が繰り返されてしまうのかも知れません。言うまでもなく、法律はもちろん、定められたルールは厳守しなければなりません。下記のような問題も責任の所在を明らかにし、しかるべき措置が講じられていくことになります。

日本郵便の点呼記録改ざん 10万件超』『日本郵便の不適切点呼問題、運送事業許可取り消しへ…郵便局のトラックなど2500台対象』『日本郵便の運送業許可、国交省が極めて異例の取り消し処分…社長「お客様に迷惑かけないよう対策取る」』という一連の報道は、郵政事業の信頼を大きく失墜させています。

このような報道に接するたび、少し前に読み終えていた著書『ブラック郵便局』の内容が頭の中を駆け巡っていました。西日本新聞の記者である宮崎拓朗さんが、ご自身で手がけた調査報道をもとにしたノンフィクションの著書です。リンク先の著書の紹介文は次のとおりです。

街中を駆け回る配達員、高齢者の話に耳を傾け寄り添うかんぽの営業マン……。市民のために働いてきた局員とその家族が、疲弊しきっている。異常すぎるノルマ、手段を選ばない保険勧誘、部下を追い詰める幹部たち。そして、既得権保持を狙う政治との癒着──。窓口の向こう側に広がる絶望に光を当てる執念の調査報道。

報道されている不祥事の数々から郵便配達員の労働環境の過酷さが垣間見れます。配達という本務そのものの負担にとどまらず、郵便局員全体に課せられる年賀状や暑中見舞い用のハガキ「かもめ~る」の販売ノルマも厳しく、自腹で購入せざるを得ない現況を『ブラック郵便局』が伝えています。

かんぽ生命に関わる渉外社員は毎日激烈なノルマに追われ、自爆営業をはじめ、なじみ深い高齢者らに詐欺まがいの契約を強いていました。著書を紹介するリンク先のサイトには、東京都市大学メディア情報学部教授の高田昌幸さんの書評が掲げられています。その中の一文を紹介します。

関西地区で渉外を担当する男性社員は「1日5件のアポ入れ」を強いられていた。それができないと、部屋に閉じ込められ、朝から晩まで電話かけを続けなければならない。多い日は1日に50件。「お伝えしたいことがあります」「相続税対策のご提案があります」と口八丁手八丁で相手に迫る。まるで振り込め詐欺のアジトのようでしたと自嘲気味に語るこの男性も、客を騙して保険に加入させていた。

九州の郵便局では、保険営業の成績が振るわないとして、窓口営業部の課長代理だった40代の男性が上司の部長から連日、激しく責められていた。2018年のことである。「なぜ遅れているのか」「ゼロは許さん」「できなかったらどうするんだ」と大声で“指導”される。そして、冬が近づくころ、男性は部長から「今月実績がなかったらどうするのか。覚悟を聞かせろ」と迫られた。

男性は「できなかったら命を絶ちます」と口にし、3日後、職場での出来事を記した遺書を残して自ら死を選んだ。この男性は、ノルマに追われるあまり、息子名義で不必要ながん保険契約を結んでいたことも後に判明。契約書の「お客さま控え」には、部長に脅されて契約したものだから不要ならいつでも解約していいと書き残していたことも明るみに出た。

高田さんの書評で伝えるような事例が、全国の郵便局員から著者の宮崎さんのもとに届くようになっていました。内部告発であり、限界に達している疲弊した現場からの切実なSOSでした。日常的なパワハラが横行しがちな職場、部下を追い詰める幹部たちも歪な組織の重圧に押されているのかも知れません。

もともと郵政公社として全国くまなく郵便局を配置し、3つの事業を展開してきました。それが2005年8月、小泉純一郎元総理による郵政解散、総選挙の大勝によって郵政民営化がはかられました。現在、日本郵便株式会社、ゆうちょ銀行株式会社、株式会社かんぽ生命保険の3社で日本郵政グループを構成しています。

20年前の夏、ちょうど「公務員のためいき」を始めた頃であり、理不尽で唐突な郵政解散に対する憤りを頻繁に投稿していました。投票日を間近にした2005年9月8日の記事(「官から民へ」への疑問)の中では、次のような問題意識を記していました。

小泉首相が叫ぶ「官から民へ」「民でできることは民で」に対して一言訴えさせていただきます。郵政を民営化しても「過疎地の郵便局をなくさない」と小泉首相は言っていますが、何が何でも民営化したいための言い繕いか、もしくは体裁だけ民営化するような話であると言わざるを得ません。

公務の役割と責任の重要な核心部分は、採算を度外視して公平・公正なサービスを提供する点です。将来にわたっても国がコントロールするのならば、郵政公社のままの方が自然です。結局は350兆円もの郵貯マネーを市場へ出すことが最大の目的だと思われても仕方ない不自然さです。

ナショナルミニマムを確保するため、赤字を覚悟しながら維持しなければならない事業があります。そのような意味で公共サービスが「官から民へ」の流れの中で、語られがちなことに大きな違和感を抱いています。3公社5現業だった会社の中で、民営化されてからも堅調なままの組織が多いことも確かです。

しかし、郵政事業の民営化が成功しているのかどうかは非常に疑わしい現状だろうと思っています。『ブラック郵便局』を読み終えて、ますます疑念は強まっていました。著書の中で、民営化後も2万4千という郵便局の数が変わっていないことを伝えています。

郵政民営化法は全国津々浦々に提供する「ユニバーサルサービス」を義務付けています。それでも国民が困らない程度に郵便局の数を減らすことは認められているのにも関わらず、郵政グループは「郵便局網にだけは手を付けてこなかった」と著者の宮崎さんが訴えています。

著書の後半では、小規模局の局長たちが組織している全国郵便局長会のことが綴られています。政治的な力を備えた局長会の存在によって、郵便局の数が減らせない歪な現状を詳らかにしています。前掲した著書の紹介文には「既得権保持を狙う政治との癒着」とまで書かれているとおりです。

郵政民営化法案に反対した政治家に刺客を立て「小泉劇場」と称された20年前の衆院選、その熱狂に後押しされた自民党が圧勝した結果、現在の郵政事業につながっています。冒頭に記したとおり今回の参院選、よりいっそう一票の重みの大切さと怖さを認識しながら投じていかなければなりません。ぜひ、期日前投票を済まされていない方は、明日投票所に足を運ばれるようお願いします。

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2025年7月12日 (土)

参院選折り返し地点での雑談放談

金曜の夜、前の職場の「出納閉鎖打ち上げ兼歓送迎会兼暑気払い」があり、2次会まで参加し、日付が変わってからの帰宅となっていました。「安全・安心」のビールからウーロンハイで通していましたが、それでも飲み過ぎたようで土曜の昼過ぎまでパソコン画面に向かうことはできませんでした。

モヤッとした頭を少しでもスッキリさせるため、まだ明るいうちにフロに入り、ようやく週末更新のブログに取りかかっています。前回記事「参院選公示、少し気になること」の中で伊東市の田久保真紀市長の学歴詐称問題に触れ、次のような思いを書き添えていました。

詐称していた問題そのものよりも、告発されてからの不誠実な対応ぶりこそ首長としての資質が厳しく問われています。重い責任を負う政治家やリーダーの欠かせない資質として、正直に語るという誠実さが極めて重要な点だと思っています。

七夕の夜、田久保市長は記者会見にピンク色のジャケットで臨み、辞任した後、出直し選挙に出馬することを表明しています。議長と副議長にチラ見せした「卒業証書」は公職選挙法違反で刑事告訴されたことを踏まえ、静岡地検に証拠として提出するため弁護士事務所の金庫に保管しているとのことでした。

リアルタイムで記者会見の模様を視聴していましたが、正直に語るという誠実さからは程遠い印象を受けています。田久保市長の資質や性格は若い頃から変わっていないという知人らの話を耳にしています。短期間の選挙戦では候補者の資質を把握できず、掲げている公約や所属している政党の属性などから当落が決まりがちです。

ある程度やむを得ないことですが、できる限り候補者一人一人の資質や関連した情報を知った上での一票につながっていくことが望まれています。公示されてから投票日まで2週間以上に及ぶ長丁場の参院選挙も、マラソンで言えば折り返し地点となる週末を迎えています。

自分が投票しても投票しなくても結果は変わらない、このように思われている方も多く、昨今の低投票率につながっているのかも知れません。少し前の記事「一票の重みの大切さと怖さ」の冒頭で「一票一票の積み重ねによる選挙結果が、信じられないような激変をもたらす怖さも目の当たりにしています」と記していました。

一票ごとに重みや大切さがあることは間違いありません。7月20日、投票所に足を運べない場合、具体的な理由を示すことなく、期日前投票は簡単に行なえるようになっています。投票率向上を呼びかける自治体職員という立場からも、ぜひ、様々な思いを託した貴重な一票の行使を放棄されないよう願っています。

SNSが選挙結果に大きな影響を与えるようになっています。ただ流布されている情報は玉石混交であり、真偽不明の内容が広まってしまうケースも少なくありません。一方で、マスメディア側は選挙の公平性を踏まえ、選挙期間中に入ると当たり障りのない情報発信にとどまりがちでした。

特に第二次安倍政権以降、与党から直接的な圧力を受けるようになり、ますます無味乾燥な報道に徹するようになっていました。オールドメディアと揶揄されがちな中、今回の参院選では少し変化の兆しが見られています。

「日本人ファースト」を掲げる参政党への支持が急拡大していますが、木曜朝に届いた新聞の広告欄には参政党の勢いに水を差すような記事の見出しが並んでいました。それも週刊文春と週刊新潮、2誌が同時に『参政党・神谷宗幣は日本のトランプか? 』『参政党「神谷宗幣代表」の危うい実像』という見出しを付けた特集を組んでいました。

少なからず参院選挙に影響を及ぼす内容ですが、裏付けのない憶測記事ではないはずです。前述したとおり関連した情報を知った上での一票につながっていくことが望まれているため、このような報道を一定評価していくべきだろうと思っています。ただ今のところマスメディアが追随するような展開にはなっていないため、参政党の躍進に急ブレーキはかかっていないようです。

事実上の「政権選択」選挙と目されている参院選とされ、各報道機関の事前調査で自民党の苦戦が伝えられています。そのような中、選挙応援に駆け付けた自民党参院議員の致命的な失言が、ますます自らの党の足を引っ張っていました。鶴保庸介参院予算委員長の「運のいいことに能登で地震があった」という発言が猛批判を受けていました。

2地域居住の推進を説明する中で飛び出した言葉であり、発言した当日深夜に撤回し、翌日謝罪会見を開いていましたが、『「鶴保議員ってバカなの?」“辞職レベルの大失言”と“うすら笑い会見”に冷めやらぬ国民の怒り』という記事のとおり真摯に反省する姿勢が示されていませんでした。

議員辞職まで求める声も多い中、参院予算委員長職だけは辞任する意向を固めたようです。せめて謝罪会見の時に表明していれば、もう少しダメージは和らいでいたのかも知れません。失言や失態の後の対応ぶりが不充分だった事例の一つとして、政治家の資質が問われ、厳重注意にとどめた自民党の危機感の乏しさも浮き彫りになっていました。

選挙期間中とは言え、さすがに鶴保議員の失言の問題はマスメディアも大きく取り上げていました。今回の新規記事のタイトルは「参院選折り返し地点での雑談放談」としています。取りとめのない話が続きますが、最後に、石破総理が街頭での選挙演説でなめられてたまるか」と発言したという報道を紹介します。

石破茂首相は9日、米国との関税交渉について「国益をかけた戦いだ。なめられてたまるか」と話した。「言うべきことは、たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」と語った。千葉県船橋市内で、自民党候補の応援演説で発言した。「国益をかけて正面から交渉しているときに国内から足を引っ張って、どうして国益が実現するんだ」とも述べた。【日本経済新聞2025年7月9日

この発言を自民党内では肯定的に評価する声もあるようですが、私自身は現代ビジネスの『石破茂総理の「なめられてたまるか」発言が、トランプとの関税交渉をぶち壊す…これは日本外交史上に残る「最大級の失言」だ』という記事にあるような問題意識を抱いていました。京都大学大学院の藤井聡教授の論評で、下記のような危機感に首肯しています。

この船橋における選挙対策のためだけの内弁慶発言が米政府に届くのは確実だからです。そして、「なめられてたまるか」と言ったということはアメリカに対して「なめるな」と啖呵を切ったということであり、したがって石破は交渉中の相手国に対して「アメリカを敵だ」と宣言したことになったからです。

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2025年7月 5日 (土)

参院選公示、少し気になること

前回記事「都議選が終わり、参院選に向けて思うこと」の中で『《自民・れいわ・維新の票を食った》都議選で大躍進「参政党現象」の実態 「流れたのは“無党派層”ではなく“無関心層”」で、単なる「極右勢力の台頭」と言い切れない本質』という記事を紹介していました。

興味深い内容だったため「いろいろ個人的な見方を付け加えていくこともできますが、別な機会があれば改めて掘り下げさせていただきます」と書き添えていました。一昨日、7月3日に参議院議員選挙が公示され、7月20日の投票日に向けて熱い選挙戦が繰り広げられています。今回の新規記事も「参院選公示、少し気になること」とし、その別な機会にしていくつもりです。

まず改めて前置き的な話から入らせていただきます。前回記事でも紹介した「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払っています。そのことを大前提として当ブログを通し、20年前から政治的な話題も数多く取り上げてきています。

特に選挙期間中かどうかという線引きを厳格に意識しています。2013年からインターネット選挙解禁となっても、このブログ「公務員のためいき」では選挙期間中、候補者の固有名詞を控えるなど一定の制約を課しています。政党名や党首らの固有名詞は出てきますが、あくまでも政治的な話題に対する論評として、個人的な思いや様々な情報の発信でした。

昨日の昼休み、私どもの組合の委員長に疑問に思ったことを聞いてみました。来週発行予定の組合ニュースや回覧資料の中で、比例区に立候補している自治労組織内参院議員の組合推薦候補の名前が、まったく見当たらないことが気になったからです。すると「選挙期間中は名前を出せないので」という答えでした。

公職選挙法第142条「文書図画の頒布」という条文について百も承知の上での質問だったつもりです。そもそも公務員という立場上、選挙運動に対して一定の制約があります。選挙運動に相当する組合ニュースの内容であれば、確かに様々な面で問題視されるのだろうと思っています。

ただ組合ニュースで候補者の名前を示し、組合が推薦しているという事実のみを伝える内容であれば問題ないという理解で、これまで選挙期間中も対応してきました。自治労本部の発行しているリーフレットなどにも、そのような説明が掲げられていました。委員長の説明では自治労本部も含め、これまでの対応方針を改めているようでした。

文書による選挙運動の規制は厳しいままですが、インターネットを通した特定候補者への支援の呼びかけなどは解禁されています。しかし、私自身が公務員という立場であり、選挙運動という見られ方をされないようブログでの情報発信に細心の注意を払っていることは前述したとおりです。

ルールの解釈において「これまでは問題なかった」という言い分が許されなくなる事例を数多く見てきています。そのため、細心の注意を払うという意味で上記と同様、自治労や私どもの組合の判断を肯定的にとらえなければならないのだろうと思っています。

それでも最も重要な時期に組合が推薦している候補者の名前を組合ニュースに示せないことについて、いろいろ気になる点も残りがちです。長年、自分自身の中では「問題なかった」ラインが変わっていることの違和感とともに長丁場の参院選に際し、このような大きな変化が自治労にとって最悪の事態につながらないことを願わざるを得ません。

ここからは政治的な話題の論評も書き添えていきます。冒頭に紹介した記事の深掘りとしては「日本人ファースト」を掲げる参政党の躍進が気になっています。極端な主張が一定の割合の層から強い支持を受けています。このような傾向は他の新興政党にも見られることですが、自民党に次ぐ55人もの候補者を擁立した参政党は地道な足腰もあるようです。

続いて、やはり気になることは石破首相「消費減税はばらまき」 国民民主・玉木氏「給付は選挙目的」 党首討論会で応酬』という争点についてです。与党の国民一律2万円給付等の公約は経済効果の面から疑問が残り、各自治体における事務負担の問題を踏まえれば到底歓迎できない物価高対策だと言えます。

そもそも石破総理は給付金について考えていないと国会で答弁していながら、その2日後に2万円の現金給付を発表するという不誠実な対応を示していました。最近、話題になっている伊東市長の学歴詐称問題ですが、詐称していた問題そのものよりも、告発されてからの不誠実な対応ぶりこそ首長としての資質が厳しく問われています。

重い責任を負う政治家やリーダーの欠かせない資質として、正直に語るという誠実さが極めて重要な点だと思っています。話が横道に逸れましたが、参院選の争点が物価高対策となるのは結構なことですが、野党側がこぞって消費税の減税を競い合っていることに違和感を抱いています。

私自身の消費税に対する認識や問題意識は消費税引き上げの問題」「ベーシックサービスと財源論」という以前の記事に綴っているとおりです。連合の芳野会長は5月15日の記者会見で「連合は消費税を社会保障費を支える重要な財源に位置付けている。安易な税率の引き下げを行なうべきではない」と訴えています。

この発言に対し、反発する声が多数上がっていることも承知しています。選挙戦を勝ち抜くためには減税という旗印が欠かせない政党としての立場や事情も理解できます。このように受けとめている最中、消費税に関する読売新聞の世論調査の下記のような結果には、ある意味で安堵していました。

物価高などへの対策として消費税の税率を引き下げることについて聞いたところ、効果があると「思う」は51%で、「思わない」は41%だった。消費税を減税することで、社会保障が維持できなくなる不安を「感じる」は56%と半数を超え、「感じない」は38%だった。

消費税の減税や廃止の是非を問うFNNの世論調査では、賛成が71%に達しています。しかしながら問い方によって、示される数字が揺れ動くことを浮き彫りにした調査結果だと言えます。立憲民主党をはじめ、消費税減税を公約の柱に掲げている野党側には、このような調査結果の意味合いを理解願えればと思っています。

今年2月の記事「『賃金とは何か』を読み終えて」を通し、濱口桂一郎さんのブログ「EU労働法政策雑記帳」をいつも注目していることを伝えていました。最後に、濱口さんの最近の記事アリスのワンダーランド in JAPAN」を紹介し、参院選公示後、気になっていることの結びとさせていただきます。

もう定期刊行物ですが、我が大日本国においては、政府を大きくしたくて仕方がなくてそのための税金を死守するぞと叫ぶのがなぜか豊かな経営者の支持する右派政党で、政府を小さくしたくて仕方がなくてそのために税金を極小化するぞと叫ぶのがなぜか貧しい労働者の支持する左派政党です、と西欧人に説明する時のやりきれなさに、誰か名前をつけてほしい

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