参院選が終えて、2025年夏
前回記事「『ブラック郵便局』を読み終えて」の最後に「よりいっそう一票の重みの大切さと怖さを認識しながら投じていかなければなりません」と記していました。今回の参院選の投票率は58.61%、前回を6.46%上回り、50%台後半は15年ぶりのことでした。
新興政党の参政党の躍進をはじめ、いろいろな意味で後々「あの時の参院選が…」と語られていくのかも知れません。できれば日本の政治が望ましい方向性に舵を切り、国民の暮らしが豊かになっていく転機だったと言えるような「一票の重み」であって欲しいものと願っています。ただ今回の参院選の結果を受け、今のところ先々の不透明感や不安感のほうが勝っています。
読売新聞などから退陣を号外で報道されながら石破総理自身は続投を明言しています。しかしながら自民党内から「石破おろし」の動きが強まり、このまま石破総理が居座り続けることは非常に厳しい現状です。近いうちに総理大臣が変わる可能性は高まっていますが、自民党内の次期候補の顔ぶれを見るとあまり歓迎できる気持ちにもなれません。
昨日『「石破辞めるな! 石破負けるな! 石破粘れ! 民主主義を守れ!」…“激励デモ”を現場直撃 デモ参加者が自民党支持者では「ない」理由とは?』という報道のとおり次期総理候補よりも石破総理のほうが「これ以上悪くならない」と考えた200人近くが集まり、声をあげて行動に移していました。デモの参加者に自民党の支持者が少なかったという話も納得できます。
一方で、野党側が政権を奪取できた場合も、それぞれの政党の立ち位置が違いすぎているため、安定した政権運営につながるのかどうか不安視しています。昨年11月には「衆院選が終えて、2024年秋」という記事を投稿していました。その記事タイトルにならい、今回も「参院選が終えて、2025年夏」として気ままに思うことを書き進めています。
3年前には「参院選が終わり、見えてきたこと」という記事を投稿していました。選挙戦の応援演説中に安倍元総理が銃撃され、理不尽な死を強いられた時の参院選でした。山上徹也容疑者の身勝手な犯行動機は決して認められません。それでも選挙期間中、自民党と旧統一教会との関係がまったく報じられなかったことは不自然でした。
3年前の記事の中で『テレビ局が「選挙前報道」に極度に“及び腰”になるきっかけとなった事件とは?』という論評を紹介した上、選挙が終わるまで「統一教会」という存在をメディア側が自主規制していたことを伝えていました。公平性、中立性を意識しすぎた結果、本来、メディアの責任として伝えるべき事実関係を選挙期間中は伏せてしまいがちな問題を指摘していました。
このような経緯があったため、前々回記事「参院選折り返し地点での雑談放談」の中で「今回の参院選では少し変化の兆しが見られています」と記していました。この言葉の後に次のような動きを伝えながら私自身の見立てを書き添えています。
「日本人ファースト」を掲げる参政党への支持が急拡大していますが、木曜朝に届いた新聞の広告欄には参政党の勢いに水を差すような記事の見出しが並んでいました。それも週刊文春と週刊新潮、2誌が同時に『参政党・神谷宗幣は日本のトランプか? 』『参政党「神谷宗幣代表」の危うい実像』という見出しを付けた特集を組んでいました。
少なからず参院選挙に影響を及ぼす内容ですが、裏付けのない憶測記事ではないはずです。前述したとおり関連した情報を知った上での一票につながっていくことが望まれているため、このような報道を一定評価していくべきだろうと思っています。ただ今のところマスメディアが追随するような展開にはなっていないため、参政党の躍進に急ブレーキはかかっていないようです。
参政党に関しては「参院選公示、少し気になること」の中で「自民党に次ぐ55人もの候補者を擁立した参政党は地道な足腰もあるようです」と評していました。この見立てのとおり『参政党 大躍進の理由は意外にも草の根!風に頼らない戦略とは?【大石邦彦が見た参議院選挙】自民党は歴史的大敗』という結果に至っています。
参政党に対するネガティブな報道をマスメディアが追随する展開にはなっていませんでしたが、外国人政策の現状については複数のメディアが取り上げていました。その中でもTBSの『報道特集』が踏み込んだ特集を組んでいました。その結果、公平性と中立性を欠く内容が放送されたとして参政党はTBSに厳重抗議しています。
この抗議に対し、TBS側は「参院選の争点に急浮上していることを踏まえ、排外主義の高まりへの懸念が強まっていることを、客観的な統計も示しながら、様々な当事者や人権問題に取り組む団体や専門家などの声を中心に問題提起したものです。この報道には、 有権者に判断材料を示すという高い公共性、公益性があると考えております」と答えています。
テレビ朝日法務部長だった西脇亨輔弁護士が『参政党による『報道特集』厳重抗議の是非、弁護士が指摘した「そもそも抜け落ちた点」とは』と指摘し、最後に次のように解説しています。たいへん重要な提起であり、私自身も賛同できる考え方でした。長いブログ記事が、ますます長くなりますが、そのまま紹介します。
報道機関として問題と考える点を事実に基づいて指摘し、その結果ある政党に不利になっても、何も問題ない。「政治的公平」とは問題点があれば相手が誰であってもきちんと指摘するという「報道のスタンス」の公平であって、「ある政党を批判するときは、擁護の声もあわせて紹介してフォローする」という「放送結果の平等」ではないのだ。
参政党は『報道特集』の取材対象の人選も批判したが、同番組が取材したのは外国人留学生やヘイトスピーチを受けた男性など外国人政策の当事者や関係者。こうした人の事実に関する証言を報じることは「問題提起」であって「偏向」ではないだろう。そして「問題提起」に対して政党がとるべき姿勢は、「抗議」ではなく「説明」のはずだ。
SNS選挙を巡る議論が続く中、今回の参院選では、選挙期間中もファクトチェックが積極的に行われるなど報道に変化の兆しが見える。今回の『報道特集』への抗議がこの流れを止めないように、この先の展開を注視しなければならないと思う。
これまでとは少し異なる展開もありましたが、結局のところ『「参政党支持者は情弱」と叩く人もいるが…批判されるほど元気になる参政党支持者に共通する“強すぎる被害者意識”の正体』という記事が伝えるとおり批判自体を参政党はバネにして飛躍していました。確かに参政党を批判する側の不適切な言葉や威嚇的な行動は、参政党を熱烈に持されている方々との溝を深めるだけだろうと危惧しています。
もう少しだけ続けます。組合執行部から離れていても自治労組織内候補の当落の行方は最大の関心事です。3年前の参院選では、NHKの開票速報と同時に比例代表の自治労組織内候補である鬼木まことさんの「当確」が確認できました。投票が締め切られた時点で当選を伝える「ゼロ打ち」でした。
今回、2期目に挑んだ立憲民主党参院議員の岸まきこさんのNHKによる「当確」の知らせは翌朝まで待たせされました。一部の民放で夜のうちに「当確」を伝えていましたので安心して寝入っていましたが、岸さんのフェイスブックによれば「当確が出たのは午前5時41分頃」だったようです。
岸さんの今回の得票は147,648票、6年前は157,848票でした。ちなみに3年前の鬼木さんは171,619票を得ていました。微減という見方にとどめられるものと思っていますが、やはり最近の記事「参院選公示、少し気になること」の中で伝えた自治労の対応方針の変化が少し気になっています。
組合ニュースで候補者の名前を示し、組合が推薦しているという事実のみを伝える内容であれば問題ないという理解でしたが、今回の参院選の公示後、自治労本部の機関紙などから「岸まきこ」という名前は完全に消えていました。批判を受ける前に細心の注意を払うという意味で評価すべき変化なのかも知れませんが、最後に、次のような対比した事例を紹介します。
参院選投票日の朝、読売新聞のテレビ番組欄の下に「前進か、混乱か。」という見出しを打った自民党の政党広告を目にしました。『自民党の選挙当日の新聞広告は選挙犯罪ではないのか』という記事があるとおり投票日の選挙運動であれば法律違反です。あくまでも日常的な政治活動の一環であり、選挙運動と切り離しているという解釈のもと自民党は対応しています。
ただちに違法性が問われないとは言え、誤解を受けがちなグレーゾーンな対応であることには間違いありません。それも資金力があるからこそ投票日当日まで目立つ位置に新聞広告を出せるのであり、金権選挙を防ぐ目的の公職選挙法の趣旨を軽視しているという批判も招きかねない行為です。このような自民党の対応に比べれば、自治労の慎重さが際立っているように思っています。


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