斎藤知事、給与50%カットの条例案提出
前回記事「兵庫県の元総務部長、停職3か月」で閲覧履歴が分析され、個人の好みにあった情報を表示するというアルゴリズムと呼ばれる機能について触れています。その機能はYouTubeのトップ画面に表われていますが、Yahoo!のトップ画面も同様です。いつも兵庫県政に関わるニュースが上位に並びます。
私自身が兵庫県政の動きを注視し続けているからです。とは言え、新たな動き自体がなければニュース画面に並ぶことはありません。それほど兵庫県の斎藤元彦知事を巡るニュースが連日報道されている証しだと言えます。この1週間も兵庫県政の動きを伝えるメディア記事を立て続けに目にしていました。
最新の記事はFNNの『「幹部3人が『指示あった』と認識するような状況を作った責任は知事にある」と藤井教授 斎藤知事給与50%カットで幕引きは「納得できなくて当然」』という見出しのものです。兵庫県の情報漏洩問題を受け、斎藤知事は自身の給与を50%カットする条例案を提出しました。
兵庫県知事の給料は月額134万円です。斎藤知事は2021年の就任後から「行財政の見直しに率先して取り組む」として30%の削減を続けています。今回の改正案は、知事の給料の削減率を7月から9月まで50%に引き上げ、月額67万円とする内容です。
30%カットは維新系の首長に目立つ「身を切る改革」の一つであるようです。したがって、今回の責任の処し方としては「20%カット3か月」というレベルのものであり、元総務部長の停職3か月に比べれば極めて軽微な処分内容だと言えます。
斎藤知事は「指示をしたことはございませんが、情報漏洩が生じたことは重く受けとめております」とし、管理監督的な責任を取る立場からの条例案提出であることを説明しています。しかしながら「知事の指示はあったのか、なかったのか」、真相が解明されない中での条例案提出に県議会は紛糾していました。
京都大学大学院の藤井聡教授は「県議会の皆さんの『反対』『辞職すべき』『幕引きはいけない』という反応は、極めて当たり前の反応だと思います。何があったのか明らかではないとしても、幹部3人が『指示があった』と認識するような状況を作った責任は、知事にあることは確実です。漏洩されたという事実だけの責任で給与カットというのでは、当然誰も納得できないのではないか」と語っています。
集英社オンラインの『「給料50%カット」を表明も漏えい指示の疑惑はスルーの斎藤知事、“切られた“元ナンバー3は「パワハラの一番の被害者は俺や」と怒り心頭か』という記事では、処分を受けた元総務部長が「知事が俺を売るなら、表に出てへんことをぶちまけたる」と言っているという噂があることも伝えています。
いつもYouTubeのトップ画面で確認できる増山誠県議の動画を視聴すると、紹介した集英社オンラインの記事内容は噂話を集めただけであり、裏取りの不充分さを指摘しています。既視感のある言葉ですが、本当に根も葉もない噂話なのでしょうか。火のない所に煙は立たぬ、このような諺があることも頭に浮かんでいます。
昨年3月の元県民局長の告発文書の内容は、第三者委員会の調査の結果、7件の事項に対して明確に事実認定したのはパワハラのみでした。しかし、パワハラ以外の事項を明確に「シロ」と断定している訳ではなく、あくまでも第三者委員会の調査では「クロ」とまで断定できなかったというものです。
通常、直接的な当事者であれば自らに害が及ぶような証言は避けたいはずです。事実関係や本音の発言も、聞かれる相手によって使い分けてしまうことも多々あるはずです。だからこそ内部告発は匿名であることが専らであり、告発者探しを厳禁としています。
兵庫県の問題を受け、今国会で公益通報者保護法に罰則規定を設ける法改正につながっていました。『「犯罪なんですよ」斎藤知事 公益通報者保護法の改正案審議で議員らが怒りの訴え…大臣も「選挙で勝ったから免罪符という話ではない」』という記事が、斎藤知事の不充分な対応ぶりを巡る国会での質疑の模様を伝えています。
『"超合金メンタル" 斎藤元彦知事 ついに万事休すか!?…情報漏洩問題で「刑事告発しない」考え』という記事は、斎藤知事のメンタルの強さを取り上げています。確かに人並み以上の強靱なメンタルをはじめ、ストレスをため込まない資質を備えられているのだろうと推察しています。
同時に斎藤知事の言動を常に擁護する方々が決して少数ではないことも、ブレずに反対意見や痛烈な批判を右から左に受け流せていける背景につながっているように思っています。元総務部長による情報漏洩問題に関しても、斎藤知事の最側近だった片山安孝元副知事は根本的な視点を異にした解釈での発言を行なっています。
MBSは『片山元副知事がコメント「元総務部長の行為は適正」「懲戒処分はおかしい」私的情報漏えいで第三者委の報告書に「文書内容の共有は相当」』という記事で、片山元副知事の「必要かつ相当な範囲の議会根回しであり、適正な業務である」という見方を伝えています。
片山元副知事は「当時告発文書問題が過熱する様相を呈していたことから、文書の内容や背景事情等を一定役職にある県議と必要な範囲で共有しておくことは相当」という考え方を示しています。しかしながら公益通報者保護法の一般的な解釈は、告発者の属性は問わず、告発内容そのものを検証すべきというものです。
クーデターや陰謀論を示唆し、告発者の品位を貶めることで告発内容そのものの信頼性を失墜させる目的があった「根回し」を正当化する姿勢に落胆せざるを得ません。斎藤知事や片山元副知事が公益通報者保護法に対する認識を誤らず、元県民局長の私的情報の取扱いも誤らなければ、これまでの悲劇や混乱は避けられたように思えてなりません。
元県民局長が公用パソコンを私的に利用していたという問題などを軽視できないと言うのであれば、告発内容の事案の検証とは切り分け、相応の処分につなげるべきだったものと考えています。斎藤知事が「嘘八百」「公務員失格」と言い切り、3月末に予定していた元県民局長の退職を認めず、停職3か月という懲戒処分を下した判断は典型的な告発者潰しだったように受けとめています。
片山元副知事の発言に対し、紀藤正樹弁護士は「公務員としての資質に欠ける」と批判しています。「公務員の守秘義務に理解がない人」と指摘し、その記事のYahoo!のコメント欄では概ね同調する声が多数を占めています。ただYouTubeでは片山元副知事の発言を絶賛する動画が数多くあることも把握しています。
個々人のそれぞれ正しいと信じる「答え」があります。自分の「答え」とかけ離れた意見や考え方に違和感を持つことは仕方ありませんが、そのことをもって相手を侮蔑し、罵詈雑言をぶつけるような振る舞いは絶対慎まなければなりません。斎藤知事批判派の中で、暴言や威嚇的な行動を取られる方を動画で見かけますが、そのような言動は擁護派との溝が深まるだけだろうと危惧しています。
今回も長い記事内容となっています。まだまだ紹介したかったニュースや論点提起がありましたが、ここで一区切り付けさせていただきます。兵庫県政の動きは今後も注視し続け、ファクトチェックやNHK党の立花孝志党首に関わる話などは改めて次回以降の記事で取り上げていく予定です。
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