大阪・関西万博と維新政治
明日日曜、大阪・関西万博が開幕します。前回記事「これからも『公務員のためいき』」の中でも記していましたが、ブログの更新は毎週末に1回とマイルールで定めています。そのため、訴えたい思いや伝えたい情報を1回の記事内容に盛り込みがちです。
今回、タイムリーな時事の話題で言えば大阪・関西万博となります。その上で、1年前に投稿した記事「新着資料紹介『「維新」政治と民主主義』」を通して訴えていた私自身の問題意識も書き添えていくつもりです。
「選挙で勝利すれば、すべての権力を掌握できる」という政治手法が維新政治の特色だと言われています。賛成か反対かで敵と味方に分断しながら「決められる政治」の実行力によって、人工島の夢洲を活用する大阪・関西万博やIRカジノの計画が進められてきています。
しかし、価値判断が多様化する社会の中でこそ少数意見を尊重し、熟議を重視した議会のチェック機能が欠かせないはずです。あまりにも拙速で非現実的な政策は結局のところ住民に対して多大な損害を与えかねない、このような問題意識を1年前の記事を通して訴えていました。
数か月前には朝日新聞取材班による新書『ルポ大阪・関西万博の深層』を読み終えていました。機会を見て当ブログで取り上げようと考えていましたが、結果的に開幕前日のタイミングで紹介することになりました。その新書の副題は「迷走する維新政治」で、リンク先の紹介文には次のように書かれています。
大阪・関西万博が2025年4月、ついに開幕する。各国パビリオンでの展示のほか、有名歌手のコンサート、大相撲、花火大会などさまざまな催しがあり、お祭りムードが醸成されるだろう。しかし、本当にそれでいいのだろうか。会場予定地での爆発騒ぎや、建設費の2度の上ぶれ、パビリオン建設の遅れなど、問題が噴出し続けた。巨額の公費をつぎ込んだからには、成果は厳しく問われるべきだ。朝日新聞取材班が万博の深層に迫った渾身のルポ。
2015年当時、万博の誘致は「夢物語」だと思われていました。それが12月19日に東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急内にある日本料理店「水簾」で、安倍総理、菅官房長官、松井知事、橋下市長の4人が向き合い、誘致に向けた動きが一気に加速したことを新書の中で伝えています。
日本維新の会は憲法改正に前向きであり、自民党の悲願を達成するための協力相手として、その4人は親交を深めていました。会食前の11月に行なわれた大阪府知事選の公約に松井知事は「万博誘致」を掲げていました。まぎれもなく今回の万博は大阪を地盤とする日本維新の会が誘致の旗を振り、主導してきた一大イベントです。
開催が決まってからは数々の選挙で、日本維新の会の成果として万博を誘致できたことを前面に押し出してきました。しかしながら2024年10月の総選挙では日本維新の会の選挙公約から「万博」の文字が消えていました。新書の冒頭で、日本維新の会が総選挙に惨敗したことを取り上げています。
馬場代表が「第2自民党でいい」などと発言し、政権与党との距離感を問われたことが大きな理由だろうと見られています。それ以上に維新創設メンバーの「置き土産」だったはずの万博も、いつしか日本維新の会への逆風を招く存在になっていたことを朝日新聞取材班が新書を通して伝えていました。
いずれにしても成功すれば自分たちの手柄、失敗すれば万博は国家プロジェクトと言い張り、自らの責任を矮小化していく姿勢自体に批判が集まっています。そもそも7か所あった会場の候補地として、夢洲は産業廃棄物を埋め立てているためメタンガスのリスクが当初から指摘されていました。
夢洲は交通・インフラ整備に巨額な資金を要することも明らかでした。「万博だけで考えた場合、採算が合うのか疑問だ」という声がある中、「IRを夢洲に誘致しようとする動きがあるので、それとリンクさせることが一番合理的と思う」という理屈によって、松井知事による夢洲地区を想定した試案が現実化していきました。
健康・長寿を掲げる万博と、ギャンブル依存症が懸念されるIRをセットで考える発想には「ブラックユーモアのようだ」という疑問の声も上がっていました。しかしながら「維新一強」の府市は、万博とIRの二兎を追う戦略で突き進み、現在に至っていることを新書の中で伝えています。
ここからは新書『ルポ大阪・関西万博の深層』の内容から離れ、最近の動きを紹介しながら万博と維新政治の現況について考えてみます。まず『「一生の思い出が黒歴史に」修学旅行先が大阪万博に変更で悲鳴、教師も“負担増”で集まる批判』という記事です。
「4月開幕の大阪・関西万博。目標に満たない入場券販売、建設の遅れ、“2億円トイレ”問題、工事中に起こった爆発事故の対応など、直前にして問題が山積している」と書かれ、教師に過度な負担をかけ、生徒らを失望させている動きを伝えています。本来であれば「万博に行けるんだ」という歓声が欲しいところです。
何よりも『通報の市議「非常に危険」 万博会場でメタンガス検知、対策強化へ』という報道が気がかりです。LITERAの記事『大阪万博 メタンガス検知を通報した共産党市議への呆れた対応 吉村知事の説明も嘘だらけ』が詳しく伝えていますが、安全面を軽視して「開催ありき」で強行していないことを願うしかありません。
兵庫県の斎藤知事は大阪以外で初めて誕生した維新系の知事です。斎藤知事は違うのかも知れませんが、維新の看板頼みで当選できた政治家が多く、各地で様々な問題を生じさせています。『大阪維新の会・吉村代表「もう一度引き締めて大阪のために頑張っていきたい」 大阪・忠岡町長入札情報漏らし書類送検で「維新首長で問題相次ぐ」と記者に問われ』という記事が維新政治の現況を伝えています。
産経新聞の『維新で相次ぐ不祥事は党員急拡大の代償か 外部頼みの統治強化に「執行部の空回り」批判』という記事では、そのあたりの実情について詳しく伝えています。公募による候補者選定では、党幹部が面接するが「面接だけで(資質を見極める)身体検査をするのは難しい」という関係者の声などを紹介していました。
最後に、明日開幕する大阪・関西万博に向け、維新政治の創設者二人と現代表の直前の声を紹介します。『松井一郎氏、万博パビリオン間に合う?問題にコメント「なぜ遅れたかというと…」』『橋下徹氏 〝並ばない万博〟に長蛇の列で開き直り「並んだほうがイベントって感じするじゃない」』『吉村洋文知事「万博」批判ネガティブ報道→「特に東京のメディアが徹底的に」 万博幼児トイレ批判にも』
様々な問題が危惧されている中、それぞれ自らの責任の重さを矮小化し、詭弁に近い見方を示されているようです。想定したことであり、特に驚いていません。開幕後は盛り上がりを見せ、重大事故がなく、終わることを願っています。その際も今さら「維新政治の成果」と過剰に強調されないのだろうと思っていますが…。
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