開幕した万博に様々な声
いつの頃からか朝早く目が覚めるようになっています。年相応に朝型タイプに移っていました。そのため、ほぼ毎朝、5時20分頃から放映されているTBS「THE TIME,」の脳シャキクイズを見ています。
安住紳一郎さんらアナウンサー5人と答えにたどり着くまでの速さを競い合っています。若い女性アナウンサーがサッと「分かりました」と手をあげた時は「なぜ、これで分かるの?」という驚きの時間です。
逆に私のほうが速く答えにたどり着いた時は「なぜ、分からないのだろう」というプチ優越感に浸っています。ちなみにクイズの場合、用意された答え、つまり正解は一つです。ただ現実の場面では、自分自身の導き出した答えが必ずしも正解なのかどうか言い切れない時もあります。
このブログでは以前「いろいろな「答え」を認め合った場として」という記事を投稿しています。あえて「答え」と括弧書きしているとおり自信を持って導き出した「答え」が唯一の正解とは限らず、問題の性格によっては複数の正解が存在する場合もあることを訴えていました。
培ってきた経験や知識によって基本的な考え方や立場が枝分かれし、さらに接する情報によって物事に対する評価が大きく変わりがちです。このような点を踏まえ、自分自身の「答え」とかけ離れた意見にも耳を貸すことの大切さに思いを巡らさなければなりません。
「分かり合えなくても」という以前の記事もあります。異質な「答え」を認め合う姿勢が薄かった場合、他者を見下し、トゲのある言葉を発しがちとなります。その記事では「分かり合えなくても認め合い、いがみ合わない」という関係性を築いていくことの必要性を綴っていました。
前回記事は「大阪・関西万博と維新政治」とし、開幕前日に投稿していました。開幕後は連日、大阪・関西万博に関わる報道がメディアを賑わせています。SNSを通しても様々な声に触れることができます。そのような声も前述しているような評価を二分する傾向をたどっています。
象徴的な事例の一つとして、J-CASTニュースの記事『橋下徹氏、万博めぐり「どないや?」4連投でアンチ斬る 舌戦の泉房穂氏には「先見の明が全くない」』をそのまま紹介します。
元大阪市長・橋下徹氏が2025年4月17日にXで、盛り上がりつつある大阪・関西万博の反響を受けて、「中止せよ!と言ってた連中、どないや?」などと批判的な声に反論した。万博開幕日からXで応酬を続けている兵庫県明石市の元市長・泉房穂氏を名指しする場面もみられる。万博をめぐって、発起人ともいえる橋下氏は、Xユーザーの投稿を立て続けに引用リポストしている。
夜にライトアップされた会場の「大屋根リング」などが輝く上空写真については、「万博は無駄や!中止せよ!と言ってた連中、どないや?特に元明石市長泉房穂氏。先見の明が全くない」と反対派を非難。パビリオンに感心する来場者の投稿を紹介しながら「サイトで十分、リアルでやる必要あるの?と言ってた連中、どないや?」ともいう。
また、大屋根リングの木材製造に東日本大震災の復興を目指す福島企業が関わっているとのエピソードを拾い上げると、橋下氏は「木造リングは無駄やと言ってた連中、どないや?元明石市長泉房穂氏?」と煽った。各国から運ばれた展示物を評するような声には、「リアルな万博などいらない、サイトで十分、と言ってた連中、どないや?」と再び強調している。
一方で泉氏は同日、先の上空写真に関する橋下氏の投稿を受けてか、「この記事に関して『どないや?』と言っておられる方がいるので感想を述べると、『綺麗な夜景だけど、使われた莫大な税金の額と、わずか半年で壊されることを思うと、もったいないなぁ』っていうのが正直な感想です」と応じている。
大阪・関西万博が「どないや?」を連発するほど順調な滑り出しかどうかで言えば、とてもそのように受けとめられません。メタンガスのリスクは前回記事で伝えていますが、『木村知医師が大阪万博のトイレ事情に憂慮 「熱中症に見舞われる恐れがある」』と心配する声なども示されています。
開催場所が夢洲に決まってから交通の利便性の問題が指摘されてきました。並ばない万博をアピールしていましたが、くら寿司に入るまで8時間待ちという話などには驚いています。共同通信の記事『万博、スマホアプリ乱立で不満 有料の紙地図には連日行列』では輪をかけた利便性の悪さを伝えています。
大阪・関西万博はスマートフォンアプリが複数乱立し、来場者から不満が出ている。地図や決済といった機能が分散し、利便性が悪いためだ。日本国際博覧会協会は資源を節約する観点でアプリ利用を呼びかけるが、有料の紙地図には連日行列ができる。充電不足や通信障害の懸念も足かせになっている。
公式アプリ「EXPO(エキスポ)2025 Visitors」は飲食や物販を含めた情報を網羅的に紹介する必須アプリとされる。17日の来場者100人に聞いたところ、ダウンロードしていたのは57人だった。使い勝手を聞くと「会場マップの検索機能が使いにくい」「パビリオンを拡大しても名前が表示されない」との指摘があった。
場内で販売する紙の地図は200円で、長蛇の列ができるときもあった。会場は完全キャッシュレスで、万博独自の電子マネーを使うには「EXPO2025デジタルウォレット」が必要。ある来場者は「一つにまとめることはできなかったのか」と不満を漏らした。充電不足を心配し利用をためらう人もいた。
このような不充分さに対し、博覧会協会の石毛事務総長は「初日でスタッフらが運営不慣れで生じた問題も多々あった」と釈明しています。実際その通りなのだろうと思いますが、相当な準備期間を設けた国家プロジェクトとしての国際的なイベントで、高額な入場料金を受け取っていながら「初日で不慣れ」という言葉が許されるのかどうか疑問です。
事前に綿密なシミュレーションができていれば、緩和できた混乱や不手際も多かったのではないでしょうか。『電通依存のツケを払う万博、頼みの吉本興業も背を向け「もはやどこかの地方博」との声』という記事が伝えているとおり関係者らの準備段階での不慣れぶりを露呈した結果でもあるようです。
今回の万博を訪れ、特に不満を持たず、満喫したまま帰られている方々も多いのだろうと思っています。それでも責任ある立場の方が不手際の多いことをしっかり認識していかなければ、それこそ迅速に対応すべき問題が放置され、今後の反省点とすべきことが疎かなままにされかねません。
大阪府の吉村洋文知事は『大阪市内小中学生を万博無料招待「約1割参加せず」記事にチクリ』のとおり「約9割の小中学校が参加でよくない?」と反論しています。この吉村知事の反論に対し、SNSなどで「この発言は知事としてどう?」「万博なんてレアなイベントを地元でやるなら普通は100%参加じゃない?10%も不参加って異常事態かと…」 と疑問視する声が上がっていました。
このようなやり取りに対して『辛坊治郎氏が吉村知事の“本音”を代弁!? 万博招待不参加の小中学校は「一部の先生達の思想・政治闘争の犠牲」』『辛坊治郎氏 万博に対するネガティブ報道、SNSでの拡散に苦言「こりゃ、この国は滅びるわ」』という思い込みの目立つ声も耳にしています。
マイナーな一個人ではなく、影響力のある著名な方の発言ですので、いろいろな「答え」があることを冒頭に記したとおり認め合い、もう少し言葉を選んで欲しいものです。そのような意味で、大阪市の横山英幸市長のⅩでの「反万博ビジネス」「反対ありきの政治家や一部メディアの声は必要以上に相手にしなくていい」という投稿は極めて残念な話です。
この発言は、万博の開催に対する市民の懸念や批判を軽視するものとして、多くの反発を招いていました。「身内で楽しめれば良いってノリでやられても困るのよ」「トイレがさっそく使用不可多数っていうのが何故ネガキャンなんだよ。事実だし困るのは来場者だろ」「行政への批判の声に反万博ビジネスとレッテル貼ってヘイトを誘うの?」と批判する声が上がっています。
いつも感じていることですが、同じ出来事に接していながら人によって評価や「答え」が大きく枝分かれしていきます。万博もその一つに加えられています。それでも異なる「答え」を認め合い、他者を見下さず、いがみ合わない関係性を築いていくことが肝要だろうと思っています。
最後に余談です。今回の万博で「火星の石」が日本政府館に展示されています。一般公開は初めてで、普段は国立極地研究所に保管されていたことを搬送する際のニュースで知りました。極地研究所の真向かいに私の勤める市役所があり、貴重な「火星の石」が身近にあったことに驚いていました。
| 固定リンク
コメント