混乱と分断が続く兵庫県政 Part3
2月24日、ロシアがウクライナを侵略し、3年が過ぎました。これまで「戦火が消えない悲しさ 」という記事などを投稿してきましたが、先日開かれたトランプ大統領とゼレンスキー大統領との会談における異様な展開に接し、ウクライナでの戦争の終結に向け、ますます暗澹たる思いを強めています。
そのトランプ大統領は民主主義の根幹をなす選挙によってアメリカの最高権力者の座に返り咲き、私自身は到底賛意を示せないトランプ大統領の主張に対し、たいへん多くの米国民が熱狂的に支持している現実を目の当たりにしています。日本の総理大臣に比べれば絶大な権力を掌握する大統領制、選挙に勝てばそれまでの政策を180度転換できるパワーに戦慄しています。
日本でも自治体における首長の権限が大統領制に近いと言われています。そのような側面もあり、兵庫県の斎藤元彦知事の言動や振る舞いから目が離せません。昨年11月末に「兵庫県知事選、いろいろ思うこと」、年が明けてからも「混迷を深める兵庫県政」「混乱と分断が続く兵庫県政」「混乱と分断が続く兵庫県政 Part2」という記事を立て続けに投稿しています。
前回記事は維新県議の不祥事に絞り、多面的な情報を提供するという意味合いで取り上げていました。斎藤知事に直接関わる『兵庫・百条委「パワハラ過言でない叱責」 報告書案合意』『野球優勝パレード疑惑の告発受理 兵庫知事らの背任容疑』などは「次回以降、機会を見て取り上げていければ」と予告し、さっそく今回記事を「Part3」として取りかかっています。
兵庫県議会の百条委員会を巡り、最終的に『兵庫県議会が「パワハラ」「おねだり」認定の百条委報告書を可決』という報道のとおりの結果に至っています。リンク先のAERAdot.の記事では次のように伝えています。冒頭の内容をそのまま紹介します。
兵庫県の斎藤元彦知事らに対する内部告発問題で、県議会の百条委員会が作成し、3月5日に県議会が可決・了承した調査報告書は、斎藤氏の「パワハラ」や「おねだり」などの疑惑について、一定の事実を認定した。また、斎藤氏ら県幹部が、内部告発をした元西播磨県民局長を特定し、懲戒処分するなどした対応については、「非常に不適切」「公益通報者保護法の違法状態が継続している可能性がある」などと厳しく断罪した。昨年11月の知事選で再選して間もない斎藤氏だが、県議会から再び進退を問われる可能性が出てきた。
調査報告書は、元県民局長が作成した内部告発文書の7項目のうち、「パワハラ」については「斎藤知事の言動、行動については、パワハラ行為と言っても過言ではない不適切なものだった」とほぼ認定。「おねだり」については「一定の事実が記載」されているとした。阪神とオリックスの優勝パレードの寄付金集めで信用金庫等に県補助金を増額してキックバックさせたという疑惑については、「一定の事実が記載」されているとしながらも、「本件については、背任容疑の告発状が県警に受理されており、捜査当局の対応を待ちたい」と判断している。
7項目のうち5項目について「虚偽とは言えない」などの判断で、斎藤氏が「嘘八百」と言っていたこと自体が嘘だった、といえる調査報告になっている。記者会見した百条委員会の奥谷謙一委員長は、こう話した。「元県民局長の文書は、事実無根でもないし、嘘八百ではなかったというのがわれわれの調査結果です。知事および県当局は、今一度振り返って、しかるべき対応をとってほしい」
だが、斎藤氏はこの調査報告書について報道陣に問われると、「一つの見解だ」「適法な可能性もある」などと言い、対応を改めたり、反省したりする様子は見せていない。これまで斎藤氏は、百条委員会で委員から「パワハラを認めて反省すべきではないか」と問われると、「パワハラかどうかは、百条委員会が判定すること」などと言って判断を避けてきた。だが、百条委員会が「パワハラ行為と言っても過言ではない」と判断した後も、反省の言葉はなかった。
ディリーの記事『斎藤知事「百条委報告」に反対した議員いた 本会議で演説し拍手起こったと話題 「百条委は不信任決議を正当化する結論を導く組織に」中止すべきだったと』では、調査報告書の反対演説した増山誠県議に対し、斎藤知事を支持する傍聴者から大きな拍手が起こったことを伝えています。
同じ風景を見ていても、トランプ大統領を支持している方々とそれ以外の方々では、色合いが大きく違って見えているようです。どす黒く不快な色なのか、明るく鮮やかな色なのか、感じ方が両極端に分かれがちです。斎藤知事を支持しているかどうかでも、同じような傾向が見られています。
そのような枝分かれは、それぞれが接した情報によって生じていくのだろうと思っています。より望ましい「答え」を見出すためには幅広い情報や考え方に触れていくことが重要です。このブログも多面的な情報を提供する場として「答え」の押し付けではなく、このような見方もあったのかという多面的な情報の一つとして発信しています。
しかし、それらの情報が真偽不明で、結果として誤った情報だった場合、取り返しの付かないミスリードを引き起こしかねません。最終的な評価や判断は情報に接した方々の自己責任によるものですが、極めてマイナーなブログとは言え、ネット上で虚偽の情報を発信しないよう細心の注意を払っています。
このブログの記事本文の中で様々なサイトで見かけた情報を紹介しています。主にメディアの記事の紹介が多く、必ずリンクをはるようにしています。そのメディアの報道が誤りだったというケースもあるかも知れませんが、明らかに真偽を疑う出所不明の情報は一切紹介していません。
このような注釈を加えた上、斎藤知事を支持し、百条委員会の調査報告書に反対していた増山県議に関わるディリー新潮の『「斎藤知事の父親に近寄り、スタッフも警戒」 “恥さらし会見”の維新・増山県議は知事選でもヒンシュクを買っていた』という記事を紹介します。その記事は「中身がないのに“維新の風頼み”だけで選挙に出るから、こういうヘンな人が議員になってしまうのではないか」と辛辣な言葉で結ばれています。
さて、斎藤知事のパワハラの問題です。これまで当ブログでは「パワハラ防止に向けて」「ハラスメントのない職場の確立に向けて」という記事を投稿しています。ハラスメントとは「他人に対する発言や行動などが、本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることをいう」とされ、行為者が無自覚であることが多く、受けとめる側に個人差があることも特徴です。
そもそも厚労省が「パワーハラスメントの定義について」を公表しています。「職務上の地位が上位の者による行為」として、伝わっている斎藤知事の数々の振る舞いは「パワハラ行為と言っても過言ではない」と回りくどく言う必要のないレベルで、明らかにパワハラだったと認定すべき事例です。
元県民局長の告発はパワハラの1点に限っても「嘘八百」でなく、公益通報者保護法に沿って慎重に対応すべき事案だったと言えます。このことを記者会見で追及された際の模様は集英社オンラインの記事『百条委から“クロ判定”斎藤知事は「可能性ということですから」と逆ギレし「AさんのPCにわいせつ文書があった」と連呼…「死体蹴りやめろ」と会見はカオスに』が伝えています。
この期に及んで元県民局長を処分した理由をすり替え、斎藤知事は死者を冒涜しながら適切な判断だったと釈明しています。調査報告書の内容は「一つの見解」とし、公益通報者保護法違反の可能性を問われると「適法な可能性もある」という詭弁に終始しています。法律は違反しないことが当たり前であり、疑われるような判断を下していたことに対する反省や謙虚さが微塵も感じられない記者会見だったようです。
このような強気に至る理由は選挙で再選を果たし、斎藤知事を熱烈に支持されている方々の存在が後押ししているからだろうと思っています。「混乱と分断が続く兵庫県政」という記事タイトルは「Part3」まで重ねてきました。最後に「混乱と分断」という現状を伝えるメディアの報道内容を抜粋しながら紹介していきます。
MBSニュースが『元県民局長と親交あった県OB「いま兵庫は混乱の極み。本当に悲しい」 斎藤知事“パワハラ疑惑”の告発文書問題 百条委は調査報告書をとりまとめへ』という見出しの記事を配信していました。その中で内部告発した元県民局長と親しい間柄だったという県職員OBが、匿名を条件に初めてカメラ取材に応じています。
県OBは「本当に好かれていたと思いますよ。特に若手から慕われていたというのが、彼の特徴の一つだったと思う」と語り、告発の1週間後に姫路市内の飲食店で食事をともにした際、元県民局長は自身が告発者であることを伏せながらも、次のように県の未来を憂いていたと振り返ります。
当然、県の職員ですから県民のために仕事しているわけですけど、最近の県庁は知事のためだけに仕事させられていることが多いということ。知事が出張・視察に行ったりするときに、担当の職員が2回も3回も下見をし、昼食の場所までいろいろ試食して準備をしないといけないと。
その後、元県民局長が告発文書を出したと知った県OBは、本人から電話で県の強引な調査方法の一端を聞いています。元県民局長は、パソコンから何から何まで全部持っていかれたので「データが残っていないねん」「いっさいがっさい持っていかれたんで」という言い方をしていたとのことです。
県OBは、元県民局長の死の理由は「はっきりとは分からない」としながらも、県に「通報者を守る」という意識があれば、このような結果にはならなかったと話しています。取材の最後に県OBは次のような言葉で兵庫県政の現状を憂慮しています。
元県民局長が告発を勇気をもってやったら、結果として死に至ってしまったことを目の当たりにすると、今後、公益通報制度にのせて内部通報していく勇気を持てる職員なんて多分いないでしょうね。流言飛語とか誹謗中傷とか、本当の真実を覆い隠してしまうような、別の情報が氾濫してしまって、今、兵庫県は混乱の極みじゃないですか、県民も分断されてね。本当に悲しいことだと思います。
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