衆院選が終えて、2024年秋
前回の記事は「明日は衆院選投票日、正直な政治への転換を!」でした。週に1回、土曜か日曜に更新しているブログですので鮮度の落ちた内容を1週間掲げがちです。新規記事を投稿するタイミングも旬を外しがちとなります。日曜が投開票となる選挙戦を扱った場合、そのような傾向が免れません。
3年前の衆院選直後の記事は「定期大会を終えて、2021年秋」だったため、「衆院選挙が終えて思うこと」というタイトルの記事は投開票日から2週間余り経ってから投稿しています。個人的なブログですので臨機応変な対応もできますが、長続きできる秘訣の一つとして自分自身で定めた投稿間隔でした。
さて、10月31日までクールビズ、あまり気候の変化がない中、翌日11月1日からウォームビズに切り替わっています。私自身も金曜日から久しぶりにネクタイを締めて出勤していました。ようやく季節も秋と呼べる涼しさになっています。ただ爽やかな秋の時期は短く、すぐ寒さが身にしみる冬を迎えてしまうのかも知れません。
11月27日に投開票された2024年秋の衆院選の結果は、クールビズからウォームビズに切り替わったような変化につながるのかどうか不透明です。自民党191、公明党24、両党で215議席にとどまり、過半数の233議席を下回りました。自民・公明の与党が過半数を割り込むのは民主党政権が誕生した15年前の2009年以来となります。
一方で、立憲民主党は選挙前の98から50議席伸ばし、国民民主党は選挙前の4倍、れいわ新選組は3倍の議席を確保しています。野党の中でも明暗は分かれ、日本維新の会は6議席、共産党は2議席減らしていました。総理大臣を指名する11月11日の特別国会に向け、自民党は政権維持のための多数派工作を進めています。
選挙期間中、裏金議員との向き合い方に批判が集まり、自民党は議席を減らしています。批判を受けた後の釈明や迷走ぶりがお粗末でしたが、さっそく多数派工作の一つとして裏金議員を会派に取り込みながら、またしてもFLASHが伝える次の記事のような腰の定まらない迷走ぶりを発揮しています。
『「姑息な世論対策」「“裏”所属議員」石破首相「萩生田・平沢を『自民党議員』扱いするな」の不可解指示に非難轟々…会派入り要請も国民大反発に迷走』という見出しを付けられた記事ですが、党内で定めたルールをねじ曲げた異例な対応をはかっていました。自民党が真っ先に掲げた公約の「ルールを守る」に反し、厳しい選挙結果を真摯に受けとめているのかどうか疑問視しなければならない対応ぶりです。
石破氏は2007年の参院選で自民が惨敗した際、安倍首相に退陣を迫った。09年の衆院選前にも、支持率が低迷していた麻生首相に退陣を促した。ケジメをつけることが大切だ、と主張していたのに、自らが首相の座に就くと責任論に目を背け、居座っているようでは、信頼を得られるはずがない。「ルールを守る」という衆院選で掲げたスローガンは、一体何だったのか。
上記は土曜朝に目にした読売新聞の社説に書かれていた一文です。このような見られ方が、ますます高まっていくのであれば石破総理の前途は多難だろうと思っています。それでもキャスティングボードを握っている国民民主党の動きを見ると、石破総理続投の可能性は高い見通しです。
国民民主党が強く訴えている年収「103万円の壁」の見直しについて、どこまで自民党が歩み寄れるのかどうか分かりませんが、このブログでも機会があれば「103万円の壁」問題を深掘りできればと考えています。今回の記事は衆院選が終えて、今後、どのような政治の枠組みになるのかも分かりませんが、改めて個人的に思うことを書き進めてみます。
「衆院解散、より望ましい政治への転換を!」の中で、マイナ保険証の問題について触れていました。各論の一つとしての選択肢ですが、立憲民主党の立ち位置や軸足につながる総論的な話でもあると記していました。マイナカードの取得は任意のままでマイナ保険証は義務付けるという矛盾した不誠実な問題があり、国民の声に率直に向き合える政権なのかどうか試金石の一つだと思っています。
東京新聞の記事『自民惨敗でマイナ保険証一本化どうなる? 紙の保険証廃止まで1カ月 衆院選の結果に各党の考えは…』で、アンケート調査の結果、7割の人がマイナ保険証に関する各党の公約を考慮して投票したと答えていました。マイナ保険証の公約を考慮して投票した人の多くは、現行の保険証廃止に否定的だったことを伝えています。
石破総理は総裁選の時点では、マイナ保険証への一本化について「納得しない人がいれば、併用も選択肢として当然」と発言していました。しかし、この問題でも総理就任後に変節し、既定方針通り12月廃止のままとなっています。国民民主党も12月廃止を支持しているため、大きな方針転換を期待できない選挙結果になりつつあるのかも知れません。
確かにマイナ保険証に一本化できれば、効果的な医療提供やコスト削減につながるというメリットがあるのだろうと思っています。とは言え、現時点での国民からの不安や見込まれる混乱の大きさを考慮した場合、一度立ち止まるべき局面であるように考えています。
マイナ免許証が来年3月から始まりますが、こちらは従来の免許証も利用できる制度設計です。マイナ保険証も、もう少し普及に向けて時間をかけ、より慎重な判断を働かせていくべきだったはずです。東京新聞の『マイナ保険証ごり押ししてきた河野太郎氏が大臣退任 「軌道に乗せられた」 12月廃止には…』という記事の中で、信じられないような事実関係が伝えられています。
マイナンバーカードの普及に力を注いだ河野氏は2022年10月、「24年度秋に現行の保険証の廃止を目指す」と表明。現行保険証の選択の余地も残すとしていた政府の閣議決定を覆し、「完全廃止」へと転換させた。だが、東京新聞の情報公開請求や関係者への取材で、保険証廃止に至る決定経緯が分かる記録は公文書として残していないことが判明した。
前回の9月27日の会見で河野氏は、保険証廃止の方針について「大臣間で適宜、意見交換はしていた」と説明。一方で、大臣間の協議の事実を裏付ける記録は「ありません」と断言した。説明責任を問われても、「これからもさまざまな広報手段を用いて国民に対して丁寧で分かりやすい説明に努めていきたい」と述べるにとどまり、経緯の詳細は明かさなかった。
もちろん発案した河野前大臣だけを責めるべき話ではなく、内閣全体の責任に帰する問題だと言えます。それでも『河野太郎氏がご乱心? 応援演説で聴衆に敵意ムキ出し「独裁政権」「工作員」のナゾ発言も』という記事などに目を通していくと、政治家としての河野前大臣の資質も厳しく問わなければならないように思っています。
別の候補の応援演説の際にはこんな事も言っていた。「おそらく、ここに集まっている人の中にも独裁政権の工作員と思われる人が紛れております。様々な形でお金をもらっているのかもしれない。様々な形で独裁政権から便宜を図ってもらっているかもしれない」
選挙の街頭演説を聞く人の中に独裁政権の工作員が紛れ込む? 独裁政権から便宜を図ってもらっている人がいる? おそらく、この演説を聞いた人は河野氏が言う独裁政権とは何を指すのか、工作員とは何かサッパリ分からないだろう。そもそも今は“ただの人”とはいえ、閣僚経験のある政治家だ。公衆の面前で発する言葉としては不用意ではないか。
上記は衆院選の最中に発せられていた河野前大臣の言葉を伝える日刊ゲンダイの記事からの抜粋です。妄想のような思い込みによる決め付けた言い方は、それこそ誹謗中傷の類いになりかねません。もう一つ重要な資質の問題を指摘しなければなりません。7月に投稿した「総理をめざす政治家に望むこと」という記事の中で次のような私自身の問題意識を示していました。
総理をめざす政治家に対し、「あらゆる人を “敵” と “味方” に分断する政治」とは真逆な政治的な姿勢や立場性を望んでいます。寛容さであり、包摂さです。自分自身の「答え」の正しさに自信を持っていたとしても、異なる考え方や立場も認め合いながら、最適な「答え」を見出す努力を尽くして欲しいものと願っています。
意見が激しく対立しても、敵視し合うことなく、対話を重ねることで合意形成をはかる政治が重要です。総論から各論まで共通する理念として、外交の場面や改憲議論を通しても意識していくべき心得だろうと思っています。どなたが総理になったとしても、このような心得のもとに寛容な政治を切望しています。
石破総理が続投した場合も、仮に別な人が新たに就任したとしても、寛容さを重視した政治が実現していくことを願っています。アメリカ大統領選でハリス副大統領は「対立や恐怖、分断のページをめくる時が来た」と訴えています。このような政治の志向性が、あらゆる国々で広がっていくことを切に望んでいます。
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