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2024年11月30日 (土)

兵庫県知事選、いろいろ思うこと Part2

インターネット上の様々なサイトをスマホから閲覧される方が増え、SNSの中でブログはマイナーになりつつあります。特に文字ばかりの長文ブログは敬遠されがちな現状なのだろうと思っています。前回記事「兵庫県知事選、いろいろ思うこと」は今年7月以降の記事内容の一部を数多く再掲したため、いつも以上に長文ブログとなっていました。

これまで私自身が兵庫県の内部告発問題に対する情報にどのように接し、どのような問題意識を持ってきたのか、その時々に閲覧した関連サイトの見出しも紹介していました。それぞれリンクをはっていましたが、「指定されたURLは存在しませんでした。URLが正しく入力されていないか、このページが削除された可能性があります」という表示に変わっていたサイトが多かったようです。

Yahoo!に掲げられた記事が短期に削除されていますが、コメント欄に寄せられている意見も興味深いため、いつもYahoo!からの紹介を多用しています。削除されていることに前回記事を投稿する前に気付いていましたが、斎藤元彦知事の問題視された言動を把握する際、私自身がどのような情報に接してきたかを主眼にした再掲だったため、たいへん恐縮ながら手を加えず、そのまま掲げさせていただきました。

亡くなられた元県民局長のホームページ上のメッセージ、遺族から百条委員会に提出された陳述書と音声データに残された言葉などは、再掲した記事内容の本文としてお伝えできています。陳述書に残されていた元県民局長の「一死をもって抗議する」という強烈な訴え、このような言葉には胸が締め付けられていました。

自らの命を絶った元県民局長の言葉の重さに対し、あまりにも兵庫県知事選の顛末がかけ離れていたため、個人的には暗然たる思いを強めていました。公益通報者保護法に対する理解をはじめ、斎藤知事が初動対応を誤らなければ元県民局長の命は救えたはず…、このような忸怩たる思いは兵庫県知事選の結果によって、ますます深まっています。

前回記事の中で触れていましたが、斎藤知事陣営の選挙戦でのスローガンである「躍動を止めない!」という言葉を「騒動を止めない!」と見誤ったことがありました。この言葉は最初「躍動する兵庫」だったようですが、提案を受けて「兵庫の躍動を止めない!」に変更されたとのことです。

11月20日、 兵庫県西宮市のPR会社merchuの折田楓代表がブログサイト「note」に『兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に』という記事を投稿していました。斎藤知事が再選を果たした選挙戦での内輪話を明かしながら折田代表の貢献度をアピールしている内容です。

投稿後、一部削除や修正が加えられていますが、この記事の内容が奇しくも兵庫県の新たな混乱と騒動を引き起こしています。折田代表は、県知事選で斎藤知事のSNS運用やPRを担当したと主張しています。公職選挙法では、選挙活動で報酬を支払える対象は事務員や車上運動員、手話通訳者らに限定されています。

折田代表の記事内容のとおりに選挙活動を仕事として引き受け、報酬を得ていたとすれば公職選挙法に抵触する疑いがあります。他にも法律違反を問われかねない問題が散見し、政治ジャーナリストの鮫島浩さんの記事折田楓社長を見捨て、斎藤元彦知事は生き延びる冷徹な防衛策~公選法違反と政治資金規正法違反を否定する反論会見の矛盾を突く!』の中で詳述されています。

この問題を受け、斎藤知事は公職選挙法に違反するようなことはないと認識している」と繰り返し答えています。既視感のある光景でした。公益通報者保護法の問題でも、一貫して違法性を否定する認識を示していました。パワハラについても同様です。とりわけパワハラに関しては加害側の認識の問題よりも、受け手側がどのように感じていたかが大きなポイントとなります。

最終的に白黒がはっきりするまで疑惑のままであることも確かです。しかし、疑惑を招く問題が斎藤知事には立て続いています。様々な法律に対する理解不足や認識の甘さがあるように思えてなりません。加えて、そのあたりの不充分さをフォローしていく人材が周囲にいないのか、進言できる関係性を築けないのか、省みる点が多々あるのではないでしょうか。

これまで当ブログを通し、多面的な情報に触れていくことの大切さを訴え続けています。ただ誤解を受ける時がありましたが、このブログの記事内容自体で、多面的で幅広い情報を発信している訳ではありません。つまり賛否両論を併記した内容ではなく、私自身の考えを前面に出し、立場を明確化した記事内容となっています。

しかし、ブログのタイトルが「公務員のためいき」であるため、地方公務員法第36条については常に念頭に置いて情報発信しています。このあたりの関係性は以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」などで説明してきています。このラインを踏み外すと問題である、このようなことを把握しているかどうかは絶対必要です。

今回の斎藤知事陣営の内情を『〈兵庫県政大混乱〉斎藤陣営スタッフ告白「脇が甘いPR会社が脇が甘い陣営に入ってきた」「折田社長は斎藤さんと仲がいいマスコミの人だと思ってた」』という記事が伝えています。このような情報に接すると折田代表が最初に投稿した内容は、ほぼ事実関係をそのまま明らかにしたのだろうと思わざるを得ません。

最後に『「風向きを変えたい」斎藤知事発言に橋下徹氏「権力の乱用そのもの…知事として一番欠けているところ』という記事を紹介します。大阪府の橋下元知事の「確かに兵庫県民の皆さんは、110万票を持って斎藤さんを当選させました。これは非常に重い結果です。民意です。ただ法律の分野においては、民意で決めてはいけません。あくまで法に従って考えなきゃいけない」「疑われることを避けなければいけない部分で問題になっていて、斎藤知事は権力者としての自覚が欠けているのではないか」という言葉に首肯しています。

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2024年11月23日 (土)

兵庫県知事選、いろいろ思うこと

兵庫県知事選の投開票日は先週日曜、11月17日でした。NHKによる当確情報は出されていませんでしたが、午後8時の段階で斎藤元彦知事の当確を報じたメディアもありました。兵庫県議会の全会一致での不信任決議案の可決を受け、 斎藤知事は9月30日に失職し、出直し選挙に臨んでいました。

無所属の新人候補6名との争いで、当初、前尼崎市長の稲村和美候補が優勢と見られていました。選挙戦半ばから斎藤知事は猛追し、111万3,911票を得て大逆転を果たしています。97万6637票を獲得した稲村候補に14万票ほど引き離した勝利でした。投票率は55.65%、3年前の知事選に比べ14ポイントほど上昇しています。

今週末の新規記事の内容は別な題材を考えていました。ただ兵庫県知事選が終わり、いろいろ思うことが頭の中で駆け巡っているため、その内容に絞った記事タイトルを付けて書き始めています。斎藤知事の勝因はSNSを駆使した驚異的な支持の広がりによるものだったと見られています。

選挙ドットコムの『ネット上にあふれた「真実」に寄せられた民意! 斎藤元彦氏を勝利に導いたネット世論をYouTubeデータからみる』という記事の中でフィルターバブル」という言葉が使われています。それぞれ信じやすい「真実」のみが増幅されていくという意味合いです。

このブログの前々回記事「選挙結果が左右する政治の行方」の中でもSNSが普及した結果、「人は自分と同じ意見や感性にしかアクセスしなくなった。異なる立場の人々の意見と接する機会がなくなり、人々は極端な意見をもつようになっている」という言葉を紹介していました。

このような傾向がSNSにあることを取り上げていくと、斎藤知事に投票された方々が「幅広い情報に触れることなく、虚偽の情報に騙されていた」と指摘しているように思われてしまうかも知れません。

ネット上では「学べば治る。賢くなれる」という兵庫県民の皆さんを愚弄するような言葉も目にしていますが、このような高慢な姿勢は絶対慎まなければなりません。それぞれ信じた「答え」の正しさがあり、二項対立の図式はその違いを際立たせるだけで、感情的な亀裂を深めるばかりになるものと思っています。

SNSから得られた情報を鵜呑みせず、取捨選択した結果、主体的な立場で斎藤知事を支持された方々が多いのだろうと受けとめています。それでも前回記事「選挙結果が左右する政治の行方 Part2」の中で記したとおり斎藤知事のパワハラ的な言動も含め、すべて「捏造」と決め付けている論調には物凄い違和感を抱いています。

中には、その論調を信じ、斎藤知事に反省すべき点が一切ないように理解し、熱狂的に応援されていた方の声もテレビ画面に映し出されていました。このような支持の広がりを東洋経済の記事『バッシングから熱狂へ…斎藤知事への世論はなぜここまで激変したのか、“使われた”元局長のプライバシー』が興味深く伝えています。

今回の選挙戦ではNHK党の立花孝志候補の果たした役割も大きかったようです。ただ関西テレビの「脅して『自死』しても困る」立花氏に脅されたと百条委の奥谷氏 「ネットの暴力。家族狂乱」辞職の議員』という報道のような行き過ぎた行動は、今後、しっかり検証していくべき問題だろうと思っています。

ディリー新潮の記事でも斎藤知事の対抗馬らが受けた暴言、いやがらせの数々を伝えています。「反斎藤派」とネットで名指しされた竹内英明県議は議会事務局に辞職願を提出しています。竹内県議は辞職理由について「言葉の暴力が拡散して、家族が狂乱状態までになった。家族から政治の道から退いて欲しいという話があったため」と説明しています。

SNSを候補者や支援者が積極活用することには何の問題もない。むしろ、今どきそうしたことができない候補者の方が問題だともいえる。が、上に挙げた事例はいずれも犯罪とされても不思議のない行為ばかり。「パワハラは冤罪だ」と主張している人たちが、他人にハラスメントを行っているのである。

上記はディリー新潮の記事の中に書かれている問題提起です。『兵庫県知事選期間中に稲村陣営のSNSアカウント2度凍結  後援会が偽計業務妨害の疑いで刑事告訴へ』という問題をはじめ、言葉の競い合いにとどまらず、相手方を貶める誹謗中傷や選挙妨害など数々の禍根を残した選挙戦だったと言えます。

いずれにしても「民意」によって斎藤知事は返り咲きを果たしました。しかし、事実関係を解明する百条委員会は継続しています。今後、解明された事実に基づき、相応の責任の処し方やペナルティも欠かせないはずです。選挙結果によって「禊が済んだ」で終わらせられるものではないはずです。

兵庫県職員の本音は斎藤知事の逆転勝利に「ゾッとする」「力が抜けて涙が止まらない」というものであり、「また同じ騒動が」と嘆く声が聞こえています。当選翌日の記者会見で斎藤知事は「民意を得て再び知事として就任させていただきます。職員の皆さんは、やはり知事部局として一緒にやっていくっていうことが、地方公務員としての責務」と発言しています。

この発言を「異を唱えることは許さない」という主旨として受け取り、戦々恐々された職員の皆さんが多かったようです。斎藤知事陣営の選挙戦でのスローガンは「躍動を止めない」でした。その言葉を「騒動を止めない」と見誤った方は少なくなかったかも知れません。

ここまで、今、いろいろ思うことを書き進めてきました。たいへん長い記事になって恐縮ですが、もう少し続けさせていただきます。 ネット上には兵庫県知事選の結果を踏まえた見方や論評が溢れています。そのような記事を紹介し、私自身の思いを添えていくと際限がなくなりそうです。

7月以降、このブログで斎藤知事の言動に絡む内容を数多く綴っています。これまで私自身が兵庫県の内部告発問題に対する情報にどのように接し、どのような問題意識を持ってきたのか、関連した箇所を再掲することで振り返ってみます。お時間等の許される方は、最後まで目を通していただければ幸いです。

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2024年7月13日 政治家の好感度、その危うさ

見た目の好感度をはじめ、どの政党に所属しているのかどうかなどを決め手とし、候補者の資質が未知のまま一票を投じることは決して稀な話でありません。

今、そのことの悩ましさと苦しさを兵庫県職員は痛切に思い知らされているのかも知れません。自治労兵庫県職労は『知事の「パワハラ疑惑」告発の県幹部が死亡   職員労組に「辞職」求められた知事 「辞職ではなく職員との信頼関係を再構築し県政を立て直す」と表明』という記事のとおり斎藤元彦知事に対し、ただちに辞職するよう申し入れています。

斎藤知事は東大経済学部を卒業後、総務省に入り、大阪府の財政課長を経て、2021年7月の兵庫県知事選に立候補しています。 43歳という若さ、県政の刷新、大阪府との連携強化をアピールしながら初当選を果たし、大阪以外で初めて誕生した維新系知事でした。好感度は高く、未知の魅力や期待は、結果的に未知の危うさだったようです。

知事の「パワハラ疑惑」告発の県幹部が死亡   職員労組に「辞職」求められた知事 「辞職ではなく職員との信頼関係を再構築し県政を立て直す」と表明』『「兵庫県、はずかしい」知事のX投稿発掘→「ブーメラン」の指摘 告発された「パワハラ」体質、その素性を振り返る』『兵庫・維新系パワハラ県知事の「犠牲者」はもう1人いる! 別の職員の死亡「隠蔽」の疑い』という驚くべき事実関係が立て続けに報じられています。

最後に紹介するのはディリー新潮の『斎藤兵庫県知事 県政史上最低の会見、副知事辞任で四面楚歌に…「告発した元局長が亡くなってもパワハラを証言する人はいる」』という記事です。「知事寄りの会派は、無記名に反対するかも知れませんけど」という記述がありましたが、まだ斎藤知事を擁護しようとする動きがあることに驚いています。

その記事の中で、亡くなられた元県民局長のメッセージが掲げられています。元県民局長は現職時に毎月、県民や職員に向けてホームページ上でメッセージを送っていました。今年3月、懲戒処分を受ける前の最後のメッセージの一部は次のような内容でした。このような職員が書いた告発文を斎藤知事は「嘘八百」「公務員として失格」と切り捨てていたことを伝え、その記事は結ばれています。

このメッセージ欄は一般県民の皆さんの読者もいらっしゃるようですが、一方で、県職員の中にも何人かの愛読者がいるようです。自分は間もなく、県を退職します(予定)が、これから県を支えていく後輩の皆さんに最後に伝えておきたいことを書いておきます。

我々は公務員です。仕事は県民の皆さんのためにするものです。自分のために、自分の栄達のために、仕事をしてはいけない、仕事を利用してはいけない、県民を利用してはいけない。そして、自分の損得勘定で行動してはいけない、人を選別してはいけない。昇任、出世は結果であって、それを目的にしてはいけない。(中略)

最後に。人を大切にすること、義を通すこと、誠実であることを、ひとりの人間としてずっと心に持ち続けて欲しいです。そして、筋を通そうとして挫けることがあっても、理不尽な現実の壁に跳ね返されても、諦めないで下さいね。「いつかきっと」と心に念じながら。

素晴らしい人にたくさん出会えますように。県民の皆さんの心に残る仕事に出会えますように。長らくのご愛読ありがとうございました。お世話になりました。おわり。

2024年7月20日 過ちに対する責任の処し方と問い方

斎藤知事や側近の違法行為疑惑を告発した文書を警察やメディアに送った元西播磨県民局長は、県の懲戒処分を受けた後、自ら命を絶っています。

この問題に絡み、疑惑の真偽を調べる県議会の調査委員会が6月19日に開かれています。元県民局長は調査委員会で話す予定だったことを問答式の陳述書として書き残していました。その陳述書をはじめ、ワインをねだるやり取りを録音したデータなどが、次のような文書を添えて遺族から調査委員会に提出されています。

主人がこの間、県職員のみなさんのためをと思ってとった行動は、決して無駄にしてはいけないと思っています。主人が最後の言葉を残していました。そこには“一死をもって抗議をする”という旨のメッセージとともに、19日の委員会に出頭はできないが、自ら作成した「陳述書」および参考の音声データの提出をもって替えさせてほしいこと、そして百条委員会は最後までやり通してほしいことが記されていました。

斎藤知事のパワハラやたかり体質について『〈おねだり兵庫県知事・告発職員は死亡〉「まだ飲んでない」の一言でワインをゲット。一方「生意気で」「目立った」職員にはキレ散らかすパワハラ三昧…“妨害工作”もおこなわれた百条委員会の中身』という記事の中で詳しく書かれています。

今後、斎藤知事の疑惑は徐々に明らかにされていくはずです。責任の処し方として、今のところ本人は辞職を頑なに拒んでいます。しかしながら『辞職は不可避か、頼みの吉村大阪府知事からも苦言呈された斎藤元彦兵庫県知事「パワハラ疑惑」』という記事の中で伝える下記のような事実関係に注目しなければなりません。

この時期の知事の対応次第では、状況がここまで悪化することはなかったかもしれない。素直に自分の非を認めて「申し訳ありませんでした。今後は問題に丁寧に向き合い改善していきたいと思います」などと釈明をすれば沈静化する可能性もありましたが、知事にはそのつもりはさらさらなく、A氏に処分を下すことで乗り切ろうとしていました。

つまり斎藤知事が対応を誤らなければA氏とされている元県民局長の命は救えたはず…、このような見方が成り立ちます。斎藤知事にとって過酷な構図かも知れませんが、取り返しのつかない過ちを犯したことに間違いありません。重大な責任の問われ方として「辞職」一択にならざるを得ないことを真摯に受けとめて欲しいものと願っています。

2024年8月31日 総理大臣を選ぶ自民党総裁選

まず兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ等の問題に絡む県議会の調査特別委員会(百条委員会)についてです。「どこまでも被害者を馬鹿に」兵庫県・斎藤知事 亡きパワハラ告発者の懲戒処分は「適切だった」と強弁… “曲げない主張”にネット激怒』という記事のとおり斎藤知事は自分自身の致命的な誤りを認めていません。

橋下徹氏「権力者の資格なし」「適切なわけないやろ!」兵庫県知事の証人尋問での発言を批判』の記事の中で、橋下元大阪府知事は「ギリギリ許される答弁は法律違反ではなかったが、権力の行使のやり方は不適切極まりなかった」までだろうと指摘しています。

違法性を認めてしまえば刑事処罰が不可避のため、斎藤知事が言葉を選ぶことは分かりますが、この期に及んで懲戒処分が「適切だった」という発言は想像を絶する不誠実な姿勢だと思っています。他にも斎藤知事の暴虐ぶりや不適切な行為が続々と明らかになっています。

側近だった片山安孝前副知事らが斎藤知事の暴走を止めるどころか、亡くなられた元県民局長を追い詰める役割に加担していた事実なども明らかにされています。兵庫県の問題は書き進めると止まらなくなるほど陰湿で理不尽な話を多く耳にしています。

7月に投稿した記事「政治家の好感度、その危うさ」を通して訴えたことですが、ネガティブな情報に触れる機会がなく、表面上の好感度や評判のみが先行しがちな選挙戦の危うさを強く憂慮しています。その記事の中では次のような問題意識を綴っていました。

清新なイメージ通りの内実の伴った人物であれば問題ありません。しかし、中には意図的に表の顔と裏の顔を使い分けているケースもあるはずです。目上には従順で、自分より下だと思った相手には高圧的になる人物も少なくありません。そのような人物が重責を担う組織のトップや政治家になっていた場合、何らかの綻びが生じていきがちです。

まさしく兵庫県の現状を反面教師として、どのような選挙戦のあり方が望ましいのか、学ぶべき点が多々あるのではないでしょうか。

2024年9月7日 総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2

自民党総裁選が主題ですが、今回も兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ等の問題に絡む県議会の調査特別委員会(百条委員会)について真っ先に取り上げなければなりません。「告発者は誰だ!」4人の県職員の1年分のメールを勝手に閲覧…徹底した“犯人さがし”と恫喝…百条委では産業労働部長がしどろもどろに「トータルでいえば知事の指示」とも』という報道のとおり許しがたい事実関係が明らかにされています。

兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は5日午前、告発者の元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が公益通報をしたにもかかわらず懲戒処分を受けたことについて、参考人の奥山俊宏・上智大教授から見解を聞いた。

内部告発者の保護法制に詳しい奥山教授は県の対応について、「知事らは告発の矛先を向けられている当人であり、告発文書に関する判断から自ら身を引くべきだったが、正反対の行動を選んだ。冷静な対応ができず、まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった」とし「独立性を確保し、利益相反を排除すべきだった。公益通報者保護法の趣旨を逸脱している」と指摘した。

一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実ではなく、誹謗中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。

知事は8月30日にあった百条委の証人尋問で告発文について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。元局長を処分したことは「適切だと思っている」と正当性を主張した。一方、百条委では県職員が「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言していたことが明らかになっている。【毎日新聞2024年9月5日

読売新聞の記事兵庫県知事「道義的責任が何かわからない」…告発者処分「法的問題なし」主張変えず』の中では、公益通報者保護法に詳しい淑徳大の日野勝吾教授(労働法)が「県庁内で制度への理解が徹底されていない状況が浮き彫りになった」と指摘しています。ただ「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言した職員がいたことも間違いないようです。

結局のところ、この期に及んで道義的責任すら認めようとしないトップリーダーの存在が、職員二人を自死に追い込むような現在の兵庫県政の悲劇を招いていると言えます。強大な権力を有するトップリーダーが致命的な判断ミスを犯していけば、取り返しのつかない事態に至るという最悪な事例を目の当たりにしているものと思っています。

2024年9月14日 自民党総裁選と立憲民主党代表選

今回も少し触れていきますが、ついに日本維新の会も斎藤知事に辞職を求めるようになりました。県議86人全員が辞職要求する事態に至っています。

それでも最近の兵庫・斎藤知事に辞職要求も…「県議が高圧的・威圧的な態度で尋問」維新・藤田幹事長が他党に反発』という報道では、日本維新の会の藤田文武幹事長はパワハラ疑惑について「多くが誤情報や誇張だ」と述べるなど、斎藤知事を追及する他党に対して激しく反発していました。

さらに驚くべき維新の国会議員が問題発言 兵庫・斎藤知事疑惑の告発は「自民党とつくった怪文書」、元県民局長のプライバシー暴露も』という報道にも接していました。日本維新の会の掘井健智衆院議員は「亡くなった方(元県民局長)は、あれ(告発文書)は自民党さんらとつくった」と語っています。

このような声もあるため、四面楚歌となっている斎藤知事の到底信じられない居座りぶりを許しているのかも知れません。党のナンバー2の幹事長の発言をはじめ、この期に及んで告発文書の陰謀論を唱える国会議員の問題は、日本維新の会の組織的な体質を表面化させているように思えてなりません。

2024年9月21日 ネットに繋がらなかった日々から思うこと

兵庫県の斎藤元彦知事に対する県議会の不信任決議は全県議86名によって可決されました。しかしながら『土曜朝にネット騒然 不信任の兵庫知事→全国TVに生出演「自分の思い伝わり切れてない」と30分 辞職or解散は考え中「出てきた」「凄いな」』という記事のとおり想像を絶する厚顔無恥ぶりを発揮しています。

今後、このような政治家を誕生させないためにも、それぞれの選挙戦の中で各候補者のネガティブな情報も伝わった上で、貴重な一票が投じられていくことを理想視しています。

2024年9月28日 自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田代表に願うこと

兵庫県議会の不信任決議を受け、斎藤元彦知事は失職する判断を下しました。さらに兵庫・斎藤知事  高校生の手紙で出馬決意にSNS厳しい声「悲劇のヒーロー気取りか」「地元の声を聞け!」』という報道のとおり出直し選挙に出馬することを表明しています。本当に信じられないような思考回路の持ち主だと思っています。

斎藤知事の問題が注目を集めたことで維新の会に対する批判も強まっています。泉房穂氏、斎藤元彦知事へ「知事になるべき方ではなかった、担いだ維新と自民党の責任重い」私見』『兵庫の斎藤知事だけじゃない! 維新の議員・首長に相次ぐ不祥事 “スパイ”、町有地占有、不同意性交…』というような報道を立て続けに目にしています。

兵庫県・斎藤知事の“パワハラ問題”根源は「維新の傲慢体質にある」現職市議が決意の告発  大阪府議会議長から受けた公認取り消し圧力、恫喝、外見非難』という記事の中では次のような警鐘が鳴らされています。

世間をにぎわせた斎藤知事のパワハラ疑惑は、彼の失職だけで幕を下ろすわけではない。この問題の根源たる大阪維新の会の体質を変えない限り、“第二の斎藤”が現われるかもしれないのだ――。

2024年11月9日 選挙結果が左右する政治の行方

やはり選挙期間中のため、マスメディアの取り上げ方が極端に減っていますが、兵庫県知事選は来週日曜11月17日に投票日を迎えます。『斎藤元彦前知事“猛追”に慌てた前尼崎市長陣営が手法“丸パクり”再選なら“補助金問題で辞任”の恐れも』『「斎藤元知事のまさかの当選は」兵庫県知事選の現状と見通しについて』という報道のとおり斎藤前知事が猛追しているようです。

斎藤氏は失職後、積極的に街に出て県民に語り掛け、その様子をXに投稿している。その姿だけを見れば、低姿勢で好感が持てる「青年政治家」だと感じる人も少なからずいることだろう。

紹介した記事の中では上記のような見方が伝えられています。公益通報者を自死に追い込んだ責任を負っている斎藤前知事が、もし兵庫県政に返り咲いた場合、どのような混乱が待ち構えているのでしょうか。兵庫県民の皆さんが一票を投じる際、ぜひ、幅広い情報をもとに判断願えれば幸いなことです。

2024年11月16日 選挙結果が左右する政治の行方 Part2

このようなスキャンダル、政治家や政党にとってネガティブな情報が選挙前に明らかになっていた場合、国民民主党の躍進にもブレーキがかかっていたかも知れません。一方で、ネガティブな情報を「捏造だった」「陰謀だった」という説で打ち消し、SNS等を駆使しながらポジティブな情報を上書きすることで選挙戦を有利に展開していくケースがあります。

「パワハラ、おねだりは捏造」説が後押しする斎藤元彦前知事の復活劇斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散』という記事のとおり疑惑に対する“疑惑” が高まり、斎藤前知事のパワハラ、おねだりが実は捏造だったのではないかという話が駆け巡っています。

より望ましい「答え」を見出すためには多面的な情報に触れていくことが欠かせません。政治の行方を左右していく選挙戦の場合、それこそ各候補者や政党のネガティブな情報も含め、しっかり把握した上で一票を投じていくべきだろうと思っています。

上記は前回記事の中に綴った私自身の問題意識です。兵庫県民ではありませんが、このような問題意識のもとネット上から幅広い情報を確認しています。NHK党の立花孝志候補の動画をはじめ、斎藤前知事を擁護する数多くの声にも積極的に触れようと心がけています。確かに事実関係が明確化されていない事例も少なくありません。

しかし、斎藤前知事のパワハラ的な言動も含め、すべて「捏造」と決め付けている論調には物凄い違和感を抱いています。事実関係が不明確な段階であれば、伝聞での情報が中心となり、自分自身に不利益を被る証言を正直に明かせる関係者のほうが少なくても仕方ないことだろうと思っています。

その上で明確な事実として、斎藤前知事は兵庫県議全員から不信任を下されています。県職員との信頼関係も失墜しています。『兵庫県知事選、市長会有志22人が異例の稲村氏支持表明 「誹謗中傷や誤解広がり懸念」緊急的な対応強調』という報道に接しましたが、市長会長の丹波篠山市長は「県政の混乱がこれ以上続くのは許されない」とし、蓬莱市長は「今回の選挙ではデマが飛び交っており、県民の誤解を招くことがあってはならない」と語っています。

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2024年11月16日 (土)

選挙結果が左右する政治の行方 Part2

実生活に過度な負担をかけないためのマイルールとして、このブログには週末の土曜か日曜のみに関わるようにしています。それでも平日の合間にも次回以降の記事に向けて手を入れていく時があります。特に気になった時事の話題に対しては、取り急ぎ下書き原稿にリンクをはっておくことが増えています。

週明けに『「全力出せよ」石破茂氏、首相選出でつづった決意表明は「微力を尽くして」でツッコミ殺到…居眠りは “風邪薬” と釈明もSNS大荒れ』という記事が目に留まりました。風邪薬を飲んでいたとしても重要な場面での居眠りはNGであり、「微力ながら」と述べたかったのかも知れませんが、苦笑せざるを得ない言葉の使い方だったと言えます。

さて、前回記事は「選挙結果が左右する政治の行方」でした。選挙結果が政治の行方に大きな影響を与えていくことは、民主主義の社会では当たり前な関係性だろうと思っています。切に願うのは民意の反映が、より望ましい政治の実現につながり、より良い暮らしに結び付いていくことです。

前回記事でも触れましたが、国民民主党が強く主張する「年収103万円の壁」の見直しも、その一つに結び付いていくことを願っています。ただ財源の問題に対し、国民民主党の古川元久税調会長は「その税目だけ見るのではなく、歳入歳出100兆円の中で与党が考えること。我々与党ではないので全体を考えている訳ではない。そこに口が出せる訳でもない。責任がある訳でもない」と語っています。

財源確保は「与党の責任」という言葉は、現状を表わした正直な指摘なのかも知れません。だとすれば、歳入歳出の全体を考えた上で責任持った「答え」が与党から示された際、国民民主党側は真摯に吟味していかなければなりません。178万円という数字に固執することなく、「年収の壁」という根本的な問題を改善する機会につながっていくことを願っています。

連合の活動に関わってきた一人ですので、国民民主党の玉木代表の駅頭演説を間近で見聞きしたことがあります。テレビ画面を通して見る印象よりもスマートで、颯爽とした姿だったことを思い出しています。やはり週明けに『不倫玉木雄一郎氏、高松市内のホテル宿泊費22,000円の領収書巡り経緯説明「妻が同席しています」』という記事に接しています。

これまで玉木代表が訴えてきた政治家に求める資質やモラルに対し、巨大なブーメランとしてご自身に突き刺さる非常に残念なスキャンダルです。政治資金をホテル宿泊費に充てていることも「自分の秘書と面談するのに、なぜ22,000円もするホテルを使わなければならないのか? 自身の事務所にて行なえば済む話ではないのか?」という声も上がっています。

このようなスキャンダル、政治家や政党にとってネガティブな情報が選挙前に明らかになっていた場合、国民民主党の躍進にもブレーキがかかっていたかも知れません。一方で、ネガティブな情報を「捏造だった」「陰謀だった」という説で打ち消し、SNS等を駆使しながらポジティブな情報を上書きすることで選挙戦を有利に展開していくケースがあります。

「パワハラ、おねだりは捏造」説が後押しする斎藤元彦前知事の復活劇斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散』という記事のとおり疑惑に対する“疑惑” が高まり、斎藤前知事のパワハラ、おねだりが実は捏造だったのではないかという話が駆け巡っています。

より望ましい「答え」を見出すためには多面的な情報に触れていくことが欠かせません。政治の行方を左右していく選挙戦の場合、それこそ各候補者や政党のネガティブな情報も含め、しっかり把握した上で一票を投じていくべきだろうと思っています。

上記は前回記事の中に綴った私自身の問題意識です。兵庫県民ではありませんが、このような問題意識のもとネット上から幅広い情報を確認しています。NHK党の立花孝志候補の動画をはじめ、斎藤前知事を擁護する数多くの声にも積極的に触れようと心がけています。確かに事実関係が明確化されていない事例も少なくありません。

しかし、斎藤前知事のパワハラ的な言動も含め、すべて「捏造」と決め付けている論調には物凄い違和感を抱いています。事実関係が不明確な段階であれば、伝聞での情報が中心となり、自分自身に不利益を被る証言を正直に明かせる関係者のほうが少なくても仕方ないことだろうと思っています。

その上で明確な事実として、斎藤前知事は兵庫県議全員から不信任を下されています。県職員との信頼関係も失墜しています。『兵庫県知事選、市長会有志22人が異例の稲村氏支持表明 「誹謗中傷や誤解広がり懸念」緊急的な対応強調』という報道に接しましたが、市長会長の丹波篠山市長は「県政の混乱がこれ以上続くのは許されない」とし、蓬莱市長は「今回の選挙ではデマが飛び交っており、県民の誤解を招くことがあってはならない」と語っています。

最後に、選挙結果が左右する政治の行方に願いを込めながら立憲  紙の保険証“廃止延期”法案を提出  政府は来月廃止の方針』という動きにも触れます。マイナカードの取得は任意のままでマイナ保険証は義務付けるというチグハグさ、一大臣の思い付きで重大な方針が転換されたような経緯を省みれば、ぜひ、立憲民主党の法案が通って欲しいものです。

もう手遅れという見方もありますが、有効期限が来るまで紙の保険証を持たれている方々も多いはずです。私自身もその一人です。少し前に『「健康保険証」廃止期限は12月2日  医療現場で「マイナ保険証」のトラブル相次ぐ中“一本化”は拙速か』という記事が目に留まっていました。

このブログで紹介するのが遅れたため、リンク先の元の記事は確認できなくなっています。CBCテレビ解説委員の大石邦彦さんが寄稿した内容の一部は下記のとおりです。私自身、自分の車にETC車載器を取り付けたのは今年の夏でした。そのような意味合いからも大石さんの記事内容には強く「納得」と「共感」を覚えています。

制度などが変わる時、必ず何らかのハレーションは起きることは歴史からも明らかだ。ただ、もしも制度や仕組みを変えた方が利便性が増すなどのメリットを感じれば、人は自ずとそれを選択していくはずだ。国は、期限を切って制度を変えるのでなく、マイナ保険証がいかに便利でメリットがあるかを国民に提示することに力を注ぐべきた。

今や9割以上の利用率を誇る高速道路のETCカード、スタートは2001年だった。しかし、20年以上経過してもETCレーン以外に一般レーンを設けている。そう、ETCカードへの移行も、未だに二刀流なのだ。ただ、ETCの利便性を感じた国民が利用率を徐々に押し上げてきた。

愛知県保険医協会の荻野理事長も「保険証も移行するには、ある程度の時間が必要だ」と力説している。もっと時間をかけて、丁寧に国民の理解を求めていくことが必要なのではないだろうか? その理解には、もちろん「納得」と「共感」が含まれるのは言うまでもない。

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2024年11月 9日 (土)

選挙結果が左右する政治の行方

金曜の夜、私どもの組合の定期大会が開かれました。再任用職員や会計年度任用職員の課題について出席した組合員から切実な訴えが示されています。これまで当ブログで取り上げてきた課題であり、機会があれば次回以降の記事で深掘りできればと考えています。

前回の記事は「衆院選が終えて、2024年秋」でしたが、今回「選挙結果が左右する政治の行方」というタイトルを付けて書き進めていきます。与党が過半数割れした衆院選の結果を受け、国民民主党の公約である年収「103万円の壁」の見直しが現実味を帯びてきました。

ここで最近、実際にあった話を紹介します。私の職務は徴税吏員で、先日「年収を103万円超えないようにしていたのに住民税は納めなくてはならないのですか?」という問い合わせの電話を受けました。「103万円の壁」が注目を集めていますが、こちらは所得税がかかるかどうかのラインです。

その電話をされた方の年収は102万円だったため、住民税は「100万円の壁」であることを説明させていただきました。他にも年収の壁は社会保険料がかかるかどうか、企業規模によって「106万円の壁」「130万円の壁」というものがあります。これらの壁についても政治の場で議論が加速しているようです。

最低賃金が引き上げられ、パートやアルバイトの方々の年末に向けた働き控えする時期が早まっています。103万円となった1995年と比べ、最低賃金は1.73倍に伸びたことを根拠として、国民民主党は壁を178万円まで引き上げるよう主張しています。働き控えが解消されれば年末に向けた人手不足の現状を改善していけることは確かです。

ただ国と地方の税収は7~8兆円ほど減る見通しです。国民民主党は減収によって消費意欲が高まり、税収は増えると説明していますが、楽観的過ぎるという指摘を受けています。恒久的な制度の見直しですので、安定した財源確保の議論が必須だろうと思っています。

いずれにしても国民民主党の議席4倍増という選挙結果が、今後の政治の行方を揺り動かしています。「手取りを増やす」というキャッチコピーが若者を中心に広く共感を呼び、国民民主党のSNSを駆使した選挙戦術が効果を発揮したと見られています。

東洋経済の記事『テレビが選挙報道をやめた結果「起きた大逆転」 玉木雄一郎氏は「YouTube」をどう使ったのか』の冒頭で「若者層は国民民主に託して政治を変えようとしている。その間を取り持ったのはYouTube。テレビでも新聞でもない。若者がYouTubeで政治を動かしたと言える。この十数年起こらなかった大変革が起きた」と書かれています。

SNSの活用は選挙費用を抑えられるというメリットもあり、国民民主党の玉木代表は「小さな政党になったので、なかなかテレビとか新聞とかで取り上げられることが減ってきますので、自分のメディアを持たなきゃいけない」ということで6年前からYouTubeを始めたと語っています。

「先見の明があるとかじゃなく、背に腹をかえられなくてやって…」と玉木代表は説明していますが、動画配信アプリなどを使ったSNS戦略が今回の衆院選で開花したことは間違いありません。実は東洋経済の記事の中で目に留まった箇所があります。メディアコンサルタントの境治さんが次のような問題意識を示しています。

安倍政権がクレームをつけて萎縮したのだ。2014年に当時の自民党副幹事長・萩生田光一氏の名で選挙報道の公平を求め、「出演者の発言回数や時間」も同じにする旨の要望を各キー局に書面で送った。こういう「量的公平」は公平性の一部でしかない、とかなんとか猛反論すべきなのに、なし崩し的に萎縮していった。

境さんはTBSテレビの報道特集の中でインタビューを受けています。その時の放映内容は『「メディアが選挙期間中にもっと報道すれば、投票率も違う」放送時間は20年で半減…選挙報道とテレビの役割を検証【報道特集】』という見出しの付けられたサイトで確認できます。選挙報道の淡泊さが投票率を下降させている一因であるという特集でした。

テレビの選挙報道は2010年代に入ってから「選挙公示日を迎えたらもう割とハッキリね。最初に党首が何を演説したかというのは伝えるけど、それぐらいですよね」と境さんは指摘し、「このままでは選挙報道はYouTubeにとってかわられる」と問題提起しています。

それはそれで仕方のない流れなのかも知れません。ただ懸念すべきこともあります。かなり前に「SNSが普及した結果…」という記事を投稿しています。インターネットの普及は幅広く詳しい情報を手軽に素早くコストをかけずに入手できるため、大多数の方が「異なる立場の人々の意見と接する機会が増えている」傾向にあるものと考えていました。

しかし、その考えは誤りで、SNSの普及が真逆の流れを生み出しているという内容を取り上げた記事でした。法政大学の総長だった田中優子さんの「SNSが普及した結果、人は自分と同じ意見や感性にしかアクセスしなくなった。異なる立場の人々の意見と接する機会がなくなり、人々は極端な意見をもつようになっている」という言葉などを紹介していました。

より望ましい「答え」を見出すためには多面的な情報に触れていくことが欠かせません。政治の行方を左右していく選挙戦の場合、それこそ各候補者や政党のネガティブな情報も含め、しっかり把握した上で一票を投じていくべきだろうと思っています。そのためにも萎縮せず、マスメディアが多面的な情報を発信していく役割を担っていかなければならないはずです。

アメリカ大統領選ではトランプ前大統領の返り咲きという結果が示されています。ハリス副大統領の「対立や恐怖、分断のページをめくる時が来た」という訴えに共感し、このような政治の志向性が、あらゆる国々で広がっていくことを望んでいたため、個人的には残念な結果でした。この選挙結果はアメリカ国内にとどまらず、ウクライナやパレスチナでの戦争の行方も左右していくのかも知れません。

やはり選挙期間中のため、マスメディアの取り上げ方が極端に減っていますが、兵庫県知事選は来週日曜11月17日に投票日を迎えます。『斎藤元彦前知事“猛追”に慌てた前尼崎市長陣営が手法“丸パクり”再選なら“補助金問題で辞任”の恐れも』『「斎藤元知事のまさかの当選は」兵庫県知事選の現状と見通しについて』という報道のとおり斎藤前知事が猛追しているようです。

斎藤氏は失職後、積極的に街に出て県民に語り掛け、その様子をXに投稿している。その姿だけを見れば、低姿勢で好感が持てる「青年政治家」だと感じる人も少なからずいることだろう。

紹介した記事の中では上記のような見方が伝えられています。公益通報者を自死に追い込んだ責任を負っている斎藤前知事が、もし兵庫県政に返り咲いた場合、どのような混乱が待ち構えているのでしょうか。兵庫県民の皆さんが一票を投じる際、ぜひ、幅広い情報をもとに判断願えれば幸いなことです。

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2024年11月 2日 (土)

衆院選が終えて、2024年秋

前回の記事は「明日は衆院選投票日、正直な政治への転換を!」でした。週に1回、土曜か日曜に更新しているブログですので鮮度の落ちた内容を1週間掲げがちです。新規記事を投稿するタイミングも旬を外しがちとなります。日曜が投開票となる選挙戦を扱った場合、そのような傾向が免れません。

3年前の衆院選直後の記事は定期大会を終えて、2021年秋」だったため、「衆院選挙が終えて思うこと」というタイトルの記事は投開票日から2週間余り経ってから投稿しています。個人的なブログですので臨機応変な対応もできますが、長続きできる秘訣の一つとして自分自身で定めた投稿間隔でした。

さて、10月31日までクールビズ、あまり気候の変化がない中、翌日11月1日からウォームビズに切り替わっています。私自身も金曜日から久しぶりにネクタイを締めて出勤していました。ようやく季節も秋と呼べる涼しさになっています。ただ爽やかな秋の時期は短く、すぐ寒さが身にしみる冬を迎えてしまうのかも知れません。

11月27日に投開票された2024年秋の衆院選の結果は、クールビズからウォームビズに切り替わったような変化につながるのかどうか不透明です。自民党191、公明党24、両党で215議席にとどまり、過半数の233議席を下回りました。自民・公明の与党が過半数を割り込むのは民主党政権が誕生した15年前の2009年以来となります。

一方で、立憲民主党は選挙前の98から50議席伸ばし、国民民主党は選挙前の4倍、れいわ新選組は3倍の議席を確保しています。野党の中でも明暗は分かれ、日本維新の会は6議席、共産党は2議席減らしていました。総理大臣を指名する11月11日の特別国会に向け、自民党は政権維持のための多数派工作を進めています。

選挙期間中、裏金議員との向き合い方に批判が集まり、自民党は議席を減らしています。批判を受けた後の釈明や迷走ぶりがお粗末でしたが、さっそく多数派工作の一つとして裏金議員を会派に取り込みながら、またしてもFLASHが伝える次の記事のような腰の定まらない迷走ぶりを発揮しています。

「姑息な世論対策」「“裏”所属議員」石破首相「萩生田・平沢を『自民党議員』扱いするな」の不可解指示に非難轟々…会派入り要請も国民大反発に迷走』という見出しを付けられた記事ですが、党内で定めたルールをねじ曲げた異例な対応をはかっていました。自民党が真っ先に掲げた公約の「ルールを守る」に反し、厳しい選挙結果を真摯に受けとめているのかどうか疑問視しなければならない対応ぶりです。

石破氏は2007年の参院選で自民が惨敗した際、安倍首相に退陣を迫った。09年の衆院選前にも、支持率が低迷していた麻生首相に退陣を促した。ケジメをつけることが大切だ、と主張していたのに、自らが首相の座に就くと責任論に目を背け、居座っているようでは、信頼を得られるはずがない。「ルールを守る」という衆院選で掲げたスローガンは、一体何だったのか。

上記は土曜朝に目にした読売新聞の社説に書かれていた一文です。このような見られ方が、ますます高まっていくのであれば石破総理の前途は多難だろうと思っています。それでもキャスティングボードを握っている国民民主党の動きを見ると、石破総理続投の可能性は高い見通しです。

国民民主党が強く訴えている年収「103万円の壁」の見直しについて、どこまで自民党が歩み寄れるのかどうか分かりませんが、このブログでも機会があれば「103万円の壁」問題を深掘りできればと考えています。今回の記事は衆院選が終えて、今後、どのような政治の枠組みになるのかも分かりませんが、改めて個人的に思うことを書き進めてみます。

衆院解散、より望ましい政治への転換を!」の中で、マイナ保険証の問題について触れていました。各論の一つとしての選択肢ですが、立憲民主党の立ち位置や軸足につながる総論的な話でもあると記していました。マイナカードの取得は任意のままでマイナ保険証は義務付けるという矛盾した不誠実な問題があり、国民の声に率直に向き合える政権なのかどうか試金石の一つだと思っています。

東京新聞の記事『自民惨敗でマイナ保険証一本化どうなる? 紙の保険証廃止まで1カ月 衆院選の結果に各党の考えは…』で、アンケート調査の結果、7割の人がマイナ保険証に関する各党の公約を考慮して投票したと答えていました。マイナ保険証の公約を考慮して投票した人の多くは、現行の保険証廃止に否定的だったことを伝えています。

石破総理は総裁選の時点では、マイナ保険証への一本化について「納得しない人がいれば、併用も選択肢として当然」と発言していました。しかし、この問題でも総理就任後に変節し、既定方針通り12月廃止のままとなっています。国民民主党も12月廃止を支持しているため、大きな方針転換を期待できない選挙結果になりつつあるのかも知れません。

確かにマイナ保険証に一本化できれば、効果的な医療提供やコスト削減につながるというメリットがあるのだろうと思っています。とは言え、現時点での国民からの不安や見込まれる混乱の大きさを考慮した場合、一度立ち止まるべき局面であるように考えています。

マイナ免許証が来年3月から始まりますが、こちらは従来の免許証も利用できる制度設計です。マイナ保険証も、もう少し普及に向けて時間をかけ、より慎重な判断を働かせていくべきだったはずです。東京新聞の『マイナ保険証ごり押ししてきた河野太郎氏が大臣退任 「軌道に乗せられた」 12月廃止には…』という記事の中で、信じられないような事実関係が伝えられています。

マイナンバーカードの普及に力を注いだ河野氏は2022年10月、「24年度秋に現行の保険証の廃止を目指す」と表明。現行保険証の選択の余地も残すとしていた政府の閣議決定を覆し、「完全廃止」へと転換させた。だが、東京新聞の情報公開請求や関係者への取材で、保険証廃止に至る決定経緯が分かる記録は公文書として残していないことが判明した。

前回の9月27日の会見で河野氏は、保険証廃止の方針について「大臣間で適宜、意見交換はしていた」と説明。一方で、大臣間の協議の事実を裏付ける記録は「ありません」と断言した。説明責任を問われても、「これからもさまざまな広報手段を用いて国民に対して丁寧で分かりやすい説明に努めていきたい」と述べるにとどまり、経緯の詳細は明かさなかった。

もちろん発案した河野前大臣だけを責めるべき話ではなく、内閣全体の責任に帰する問題だと言えます。それでも河野太郎氏がご乱心? 応援演説で聴衆に敵意ムキ出し「独裁政権」「工作員」のナゾ発言も』という記事などに目を通していくと、政治家としての河野前大臣の資質も厳しく問わなければならないように思っています。

別の候補の応援演説の際にはこんな事も言っていた。「おそらく、ここに集まっている人の中にも独裁政権の工作員と思われる人が紛れております。様々な形でお金をもらっているのかもしれない。様々な形で独裁政権から便宜を図ってもらっているかもしれない」

選挙の街頭演説を聞く人の中に独裁政権の工作員が紛れ込む? 独裁政権から便宜を図ってもらっている人がいる? おそらく、この演説を聞いた人は河野氏が言う独裁政権とは何を指すのか、工作員とは何かサッパリ分からないだろう。そもそも今は“ただの人”とはいえ、閣僚経験のある政治家だ。公衆の面前で発する言葉としては不用意ではないか。

上記は衆院選の最中に発せられていた河野前大臣の言葉を伝える日刊ゲンダイの記事からの抜粋です。妄想のような思い込みによる決め付けた言い方は、それこそ誹謗中傷の類いになりかねません。もう一つ重要な資質の問題を指摘しなければなりません。7月に投稿した「総理をめざす政治家に望むこと」という記事の中で次のような私自身の問題意識を示していました。

総理をめざす政治家に対し、「あらゆる人を “敵” と “味方” に分断する政治」とは真逆な政治的な姿勢や立場性を望んでいます。寛容さであり、包摂さです。自分自身の「答え」の正しさに自信を持っていたとしても、異なる考え方や立場も認め合いながら、最適な「答え」を見出す努力を尽くして欲しいものと願っています。

意見が激しく対立しても、敵視し合うことなく、対話を重ねることで合意形成をはかる政治が重要です。総論から各論まで共通する理念として、外交の場面や改憲議論を通しても意識していくべき心得だろうと思っています。どなたが総理になったとしても、このような心得のもとに寛容な政治を切望しています。

石破総理が続投した場合も、仮に別な人が新たに就任したとしても、寛容さを重視した政治が実現していくことを願っています。アメリカ大統領選でハリス副大統領は「対立や恐怖、分断のページをめくる時が来た」と訴えています。このような政治の志向性が、あらゆる国々で広がっていくことを切に望んでいます。

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