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2024年10月20日 (日)

衆院選に絡む個人的な思い

前回記事「衆院解散、より望ましい政治への転換を!」の中で、最近の記事「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」のような主旨の内容を「政治論評的な記事として次回以降も綴っていくつもりです」と記していました。この点について少し補足します。

長く組合役員を務めてきましたが、以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払ってきました。そのことを大前提としながら当ブログを通し、これまで等身大の組合活動や私自身の問題意識を情報発信しています。

そのためインターネット選挙解禁となってからも、このブログでは選挙期間中に候補者の固有名詞の紹介を控えるなど一定の制約を課しています。私自身が選挙運動を展開しているという誤解を招かないためにも、公示日以降は個別の候補者のお名前を示さないように心がけています。

マスメディアも同様な傾向があり、公示日前と公示日以降、取り上げ方の慎重さに変化があるようです。ある選挙区の話題を報道した際、その時点で予定されている候補者全員の顔ぶれを紹介しています。このような対応を怠ると公平性に欠けるという批判を招きかねないからです。

このような前置きのもと本題に入ります。衆院選挙は15日に公示されました。27日の投開票日に向け、全国各地で激しい選挙戦が展開されています。前述したような点に留意した上、今回のブログ記事も衆院選に絡む個人的な思いを綴っていきます。

まず「政治とカネ」の問題です。自民党の裏金事件を引き金に再発防止のあり方などが争点化されています。政策活動費の廃止をはじめ、政治資金パーティーの禁止、企業・団体献金の廃止などが各党の公約に掲げられています。このような動きについて私自身は懐疑的な立場です。

これまで「自民党の裏金問題」「もう少し自民党の裏金問題」「政治資金規正法改正の動き」という記事などを通し、何が問題なのか、どのように見直していくべきなのか綴ってきています。そもそもリクルート事件などで「政治とカネ」の問題が取り沙汰されるたび、制度の見直しがはかられてきました。

その見直されたルールが守られず、自民党の裏金問題は20年ぐらい前から組織的に継承されてきたという驚くべき事実関係が明らかになっていました。結局、ルールをどのように変えたとしても、決められたルールを守らない、もしくは抜け道を探すような国会議員が今後も跋扈するようでは政治への信頼は地に墜ちたままとなります。

「政治とカネ」の問題では大胆な改革案が支持されがちなのかも知れませんが、国会議員が事務所を維持するための費用をはじめ、当選を重ねていくためには一定の政治資金が欠かせないはずです。国会議員に対して過度な「身を切る改革」を求めることで、自己資金に余裕がなければ政治家になれないような社会にしてしまっては問題です。

歯止めをかけなければならない点は、巨額の資金を提供できる特定の人物や団体の影響力で政治が歪められていくような癒着を防ぐことです。そのため、政治資金の入口を閉ざすことに力を注ぐのではなく、出口の透明性を重視した上で「秘書任せだった。自分は知らなかった」という言い訳の通用しない仕組みが求められているように思っています。

続いて財源の問題が気になっています。給料が上がる、消費税が下がる、社会保障費の負担が減る、教育費の無償化など、国民の多くが歓迎すべき公約だと言えます。そのようなバラ色の公約が一票でも多く集めるためには欠かせないのかも知れませんが、やはり行政サービスを向上させるための財源の問題は避けて通れないはずです。

消費税を下げることで消費を喚起し、景気を浮揚させる効果を期待できるという見方もあります。ただ消費税の減税分に見合った財源の確保につながるのかどうかは不明瞭だろうと思います。過去の国政選挙では消費税引き上げが争点化された結果、その時の与党の議席は激減しています。

私自身の問題意識は「ベーシックサービス宣言ベーシックサービスと財源論 Part2政権をめざす政党に望むこと  Part2という記事などを通して綴ってきています。消費税の引き上げを真正面から公約に掲げる政党が皆無になることはやむを得ない現状ですが、せめて消費税は持続可能な社会保障のために重要な財源であることを明らかにして欲しいものです。

そのような意味で、立憲民主党が前回の衆院選で訴えた消費減税を今回は言及していない点について肯定的にとらえています。今回、野党側の候補者が一本化されていません。この点については次のように考えています。政権交代は国民の安心や安全を向上させるための手段であって欲しいものと願っています。

軸足や立ち位置の異なる政党間での連立政権が発足した結果、混乱や停滞が生じてしまうようでは本末転倒です。軸足や立ち位置が近く、めざすべき方向性が一致している政党間での結集や連携を期待しています。3党連立での政権交代を経験し、広げすぎたマニフェスト、気負いすぎた政治主導での失敗も経験している政治家が立憲民主党の野田代表です。

衆院選の結果がどうなるのか見通せず、野田代表が再び総理大臣を担う道のりは厳しいのかも知れません。それでも過去の失敗を教訓化している野田代表だからこそ、その経験値を活かし、緊張感のある政治の実現に向けて力を注がれていくことを期待しています。

民主党政権が誕生した翌2010年1月に「約束を踏まえた先に広がる可能性」という記事を投稿していました。普天間基地移設の問題に際し、アメリカとの約束を優先すれば国内向けの約束を破る結果となります。鳩山元総理らは相反する約束があることを踏まえ、それぞれの関係性を充分配慮しながら対応する必要性が求められていた時期、次のように記していました。

アメリカ政府との関係で言えば、政権交代という非常に大きな国内事情の変更があったことを訴え、まず交渉のテーブルに着いてもらうことが重要でした。その際、「辺野古への移設の約束は白紙」と日本側が先に述べてしまうのは適切ではありません。あくまでもアメリカとの約束は生きている中で、改めて交渉の席に着くことを依頼しているのが日本の立場だからです。

「こちらの事情が変わったので、これまでの約束は白紙です」と一方的に伝える行為は、とても「約束を踏まえた」誠意ある対応ではありません。それこそ信頼関係を損ねる切っかけとなりかねません。「これまでの約束は承知していますが、ぜひ、変更に向けた交渉に応じてください」という姿勢が欠かせないはずです。決してアメリカ相手だからへりくだる話ではなく、どこの国との関係でも当たり前に心がけるべき基本だろうと考えています。

国家間の関係にとどまらず、国内における諸課題の解決に向けても必要に応じて約束を踏まえていかなければなりません。ただ自民党の総裁が変わっても手を付けられなかったマイナ保険証や選択的夫婦別姓の問題などは、政権交代を果たせれば迅速な解決がはかられていくのではないでしょうか。

約束を踏まえた先に広がる可能性として、平和の築き方、安全保障の問題が大きな選択肢になり得るはずです。これまでの約束を踏まえ、アメリカとの関係性を重視していくことは当然なのだろうと思っています。しかし、日本国憲法の平和主義を踏まえた関係性をめざすのか、フルスペックの集団的自衛権を行使できる自衛隊に転換させていくのか、方向性の是非について衆院選を通じて議論が深まることを願っています。

日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しています。この受賞そのものは国際社会の中でも高く評価されています。ただ『核共有は「論外、怒り心頭だ」 被団協、廃絶は「人類の課題」』という下記の記事のような声も上がっていました。それこそ政権交代が実現することで、被爆者の皆さんの声を真摯に受けとめる政治への転換が進むのではないかと思っています。

今年のノーベル平和賞の受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は12日午後、東京都内で記者会見を開いた。代表委員の田中熙巳さん(92)は、石破茂首相が言及している「核共有」について「論外。政治のトップが必要だと言っていること自体が怒り心頭だ」と訴えた。首相に会って議論し「考え方が間違っていると説得したい」と述べた。

田中さんは核廃絶は「人類の課題」だと強調。世界で核使用のリスクが高まる中での授賞決定は「米国に気兼ねしている状況ではなく、被爆者の訴えを世界の共通認識にし、運動を世界的なものにしなくてはいけないと判断したのだろう」との見方を示した。

米国の「核の傘」への依存を強める日本は、核兵器禁止条約に参加していない。被団協は日本の署名、批准を求めている。今月9~10日に都内で開いた全国都道府県代表者会議で、被爆80年となる来年について「戦争の拡大と核使用の危機が迫り、被爆者にとっても人類にとっても決定的に重要な年になる」としたアピールを採択した。【共同通信2024年10月12日

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