強烈な冗句? 納得と共感内閣
金曜の夜、久しぶりに同じ職場の皆さんとの懇親の機会がありました。3時間飲み放題の1次会から始まり、さらに別な店で飲み続け、その日のうちにタクシーで帰宅していましたが、翌日は久しぶりに(?)深刻な二日酔いに苦しみました。土曜のうちに仕上げるつもりだった当ブログには一切かかれず、ようやく日曜の朝にパソコン画面に向き合うことができています。
さて、衆議院を10月9日に解散、15日公示、27日投開票の日程が決まっています。極めて短期間で準備しなければならない選挙管理委員会事務局職員に相当な負担をかける決定でした。私自身の個人的な日程も含め、石破茂新総理の唐突な方針転換に様々な予定を狂わされた方々は多いのではないでしょうか。
『森山氏進言受け石破氏、衆院選「10月27日」短期決戦へ決断…立民・野田氏は「ひょう変」批判』という読売新聞の記事が伝えているとおり石破総理は、そもそも総裁選の論戦で国会における野党との熟議の必要性や「世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方はしない」と語るなど早期解散に慎重な姿勢を示していました。
昨年6月に投稿した石破総理のブログでは、総理大臣がタイミングを選べる「7条解散」に否定的で「解散は政権の延命や党利党略目的で行なわれるべきものではない」と持論を述べていました。それにも関わらず、内閣支持率は発足直後に最も高まり、閣僚らの不祥事などで徐々に低下していくことが多いため、党利党略で早期解散に舵を切ったことが明白です。
この一点だけでも言行不一致であり、正直さから程遠く、嘘つき呼ばわりされても仕方ないブレ方だと言えます。総理大臣就任後の記者会見で石破総理が「納得と共感内閣」と命名したことを伝えていましたが、強烈な冗句、ブラックジョークを飛ばされたような感覚で受けとめています。
ジャーナリストの清水克彦さんは『石破首相「在庫一掃セール内閣」が残念すぎる…総選挙突入で懸念される「3つの不安」』という論評の中で、少なくとも自民党内で石破氏を支持した議員を除けば納得も共感も得られていない、と指摘しています。それこそ私たち国民に向けて納得や共感を得ている内閣だと誇示するのであれば、あまりにも現状認識の乏しい発想だと言わざるを得ません。
産経新聞の『「納得と共感内閣」石破茂首相が就任会見 「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」』の記事の中で、石破総理は「ルールを守る政治を実現していく」と強調しています。ルールを守ることは当たり前であり、そのような言葉を強調しなければならない自民党の現状が極めて憂慮すべき問題です。
石破総理は「節度をもって集めたお金を限りない透明性のもとで公開していくことが必要だ。政治資金のルールを見直し、ルールが守られるための体制を確立していく」と語っています。リクルート事件の後も同様な問題意識のもとにルールを見直したはずですが、結局、それらのルールは守られず、今回の裏金事件につながっています。
自民党に対する信頼失墜の大きな要因は旧統一教会との関係性も含め、なぜ、このような問題が生じたのか、徹底的に真相究明する姿勢の乏しさが上げられます。自民党は「教団との組織的な関係はない」と説明してきましたが、安倍元総理らが自民党総裁室で旧統一教会側の幹部と面会していた事実関係がスクープされています。
民間企業や地方自治体で起きた不祥事の場合、第三者によって事実関係を調査していくことが通例です。しかしながら自民党は内部調査のみにとどめ、隠蔽体質だと疑われかねない中途半端な幕引きをはかろうとしています。発生した問題の原因が分からなければ、適切な再発防止につなげることが難しくなります。
冒頭で紹介した深刻な二日酔いの原因は分かっています。ハイピッチで飲んでしまうため、普段、最初はビール中心で途中から焼酎のウーロン割などをパターン化しています。先週金曜の夜は最初からビールとともに赤白ワインを同時にクイクイ飲んでしまったため、いつもより酔いすぎてしまったようです。原因さえ分かれば次回は注意することができます。
真相究明に対する姿勢をはじめ、過ちに対する責任の処し方と問い方が不充分なため『「旧安倍派ゼロ内閣」で不満タラタラ、首相に“ケンカ腰”の萩生田光一氏“身内”自民党都連からも「お前が言うな」「絶対落とそう」の総スカン』という自民党内の危機感の薄さを露呈した現状に触れることになります。
自民党内で正論を訴え続けてきたからこそ石破総理が国民から高い支持を得ていました。石破内閣ではこれまでの不充分さを払拭するような動きを期待していたところですが、裏金議員に対する公認問題でも迷走しています。実は石破総理に対する懸念していた資質の問題を今年1月の記事「『国防』から思うこと」の中で触れていました。
石破総理が防衛庁長官時代、身の安全が危ぶまれるイラクへの現地視察を何回も直前で見送っていた話などを紹介していました。三つ巴と見られた自民党総裁選で「消去法」的に石破総理が勝利した結果を支持するほうですが、胆力があるかないかで考えた時、後者の部類の政治家だろうと思っていました。
閣僚人事でも『「全員逮捕」「すべて逮捕」牧原秀樹議員、法務大臣への起用に「怖すぎ」の声…旧統一教会イベントへの出席 “隠蔽” 疑惑も』という適材適所かどうか疑問視されるような記事を目にしています。納得と共感内閣なのかどうか、北海道新聞の社説『石破首相所信 新政権の具体像見えぬ』が分かりやすく問いかけています。
石破総理に自民党を変える胆力や緻密な戦略はなく、石破総理の信念や正論のほうが変わってしまったような船出です。本来、表紙が変わっても、中味が変わらなければ問題は残ったままのはずですが、新政権発足後の内閣支持率は50%前後となっています。発足直後の比較ではワーストに近いようですが、前政権に比べて倍増していることに驚いていました。
次の調査では下がっていくのかも知れませんが、10月27日の総選挙戦の結果しだいでは自民党に深い反省を促せなくなる可能性もあります。前回記事は「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」でした。このあたりの問題意識も深掘りするつもりでしたが、長い記事となっていますので次回以降に送らせていただきます。
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