« 2024年9月 | トップページ | 2024年11月 »

2024年10月26日 (土)

明日は衆院選投票日、正直な政治への転換を!

明日日曜は衆議院議員選挙の投票日です。自民党総裁選で石破候補が勝利したことで、まさか10月中に投開票日を迎えるとは考えていませんでした。個人的な予定にも影響を及ぼし、せめて11月以降にして欲しかったという思いを強めていました。各自治体の選挙管理委員会事務局の皆さんの思いも同様だったのではないでしょうか。

私自身、何年も前から期日前投票で一票を投じています。今回もそのつもりでしたが、選挙公報が投開票日2日前の金曜朝になっても届いていませんでした。市役所のホームページを確認すると「選挙公報は、10月25日(金曜日)までに全戸配布する予定です」と記されていました。結局、じっくり選挙公報を自宅で確認できないまま金曜日に投票しています。

予想外の選挙日程に影響を受けたのかも知れませんが、期日前投票を予定している方々のことを考慮し、もう少し早い配布期限にして欲しかったものと思っています。投票入場整理券は公示日に届いていましたが、全国的には『投票入場券、全国で到着遅れ 「準備期間が短い」と選管』という混乱も生じているようです。

このような遅れは衆院選の期日前投票、20日までに467万人  前回比17%減』という期日前の投票率の伸び悩みにもつながっているはずです。前回記事は「衆院選に絡む個人的な思い」で、前々回記事は「衆院解散、より望ましい政治への転換を!」でした。記事タイトルに「!」を付けることは滅多にないのですが、今回も「!」を付けています。

自民党の公約6本柱の1本目が「ルールを守る」です。繰り返し指摘してきましたが、ルールを守ることは当たり前であり、そのような言葉を公約の1本目に掲げなければならない自民党の現状が極めて憂慮すべき事態です。金銭に絡むルールを守らなかった自治体職員は場合によって懲戒免職になります。民間企業でも厳罰は免れないはずです。

ルールを守れなかった自民党の裏金議員の大半が職を辞していません。衆院選に向け、当初、自民党執行部は裏金議員も「原則公認」する方針でした。しかしながら激しい批判にさらされ、一度決めた方針を変更しています。それにも関わらず、非公認とした候補が代表を務める政党支部にも公認候補と同額の政党助成金2000万円を支給しています。

「しんぶん赤旗」のスクープで、選挙期間中という微妙なタイミングでしたが、この問題は他のマスメディアも後追い報道しています。明石市長だった泉房穂さんが「もっと大々的に報道されてもいいはずだが」と指摘していました。結局、少し出遅れながらも政権与党に忖度しがちなNHKまで『“自民 非公認の候補者が代表の政党支部に2000万円支給”報道』と後追いせざるを得ない問題となっていました。

「偽装非公認」「なぜ税金2000万円が裏金議員に」自民党が非公認候補へ2000万円支給し国民怒り心頭、森山幹事長は「候補ではなく支部」言い訳の破廉恥』という記事では、あくまでも政党支部への支給であるという自民党側の認識を伝えています。さらに石破総理は遊説先で「報道に憤りを覚える」と語気を強めています。

「政党支部に出しているのであって、非公認候補に出しているのではない。報道、偏った見方に負ける訳にはいかない」と強弁し、活動費は「自民党の公約、政策を分かってもらいたいとの思いで支部に出している。選挙に使うこともまったくない」と断言しています。しかし、選挙期間中の党勢拡大のための活動は選挙そのものだと言わざるを得ません。

そもそも2000万円は衆院選公示後に支給されています。公認料500万円という内訳がありながら非公認候補の支部も一律2000万円だったことの明解な説明を耳にしていません。非公認候補の一人は「選挙中には使うなという指示があり、投開票の27日までは一銭たりとも使わない」と話しています。

とは言え、お金に色が付いている訳でもなく、選挙後に根拠ある収入と詳細な支出の内容について透明性を重視した報告がされない限り、額面通りに受けとめづらくなります。裏金事件も、政党支部への2000万円の支給問題も、その行為自体が批判の対象となります。しかし、それ以上に問題が発覚した後の自民党議員の言い分に驚かされることが多くなっています。

「見苦しい言い訳」「管理上おかしい」萩生田光一氏  自民党“裏公認2000万円”に「気づかなかった」「有難迷惑」怒り投稿も国民激高』という記事が伝えていますが、「気づかなかった」という言い分には唖然とします。このような大金の振込を把握できない金銭管理のお粗末さを語っているようなものです。

本当は把握していながら「気づかなかった」と語っているのであれば堂々と嘘をついていることになります。裏金事件を通して、たびたび耳にした「私は知らなかった」という言い分に似通った疑念を強めざるを得ません。いずれにしても今回の記事タイトルに掲げたとおり衆院選の結果が正直な政治への転換をはかる機会になって欲しいものと切に願っています。

3年前も投票日前日に「明日は衆院選、雑談放談」という記事を投稿していました。その中で「政権与党を評価する際にプラスの情報も、マイナスの情報もオープンにされなければなりません」と記していました。そのような意味で「しんぶん赤旗」のスクープは有権者の判断材料を広げるための貴重な情報だったと言えます。

最後に、もう一つ目に留まった報道を紹介します。民主党政権を首相"悪夢"表現』という時事通信が配信した下記の記事ですが、石破総理を多面的に評価するための判断材料の一つとなります。総理大臣になる前に訴えてきた持論を忘れてしまっているのかどうか分かりませんが、ますます納得と共感から遠ざかりがちな言動のように受けとめています。

石破茂首相は22日、愛知県豊田市での演説で、旧民主党政権を「悪夢」と表現した。「悪夢のような民主党政権と言うが、あのころのことを覚えている人はずいぶん減った」と指摘し、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設や東日本大震災に関する当時の対応を批判した。

民主党政権を巡っては安倍晋三元首相がかつて「悪夢のような」とたびたび言及していた。石破首相は2019年2月、安倍氏の当時の発言について「過去に終わった政権のことを引き合いに出して『自分たちが正しいんだ』というやり方は危ない。国民が求めているのは民主党に対する批判ではない」と語っていた。【時事通信社2024年10月22日

| | コメント (0)

2024年10月20日 (日)

衆院選に絡む個人的な思い

前回記事「衆院解散、より望ましい政治への転換を!」の中で、最近の記事「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」のような主旨の内容を「政治論評的な記事として次回以降も綴っていくつもりです」と記していました。この点について少し補足します。

長く組合役員を務めてきましたが、以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払ってきました。そのことを大前提としながら当ブログを通し、これまで等身大の組合活動や私自身の問題意識を情報発信しています。

そのためインターネット選挙解禁となってからも、このブログでは選挙期間中に候補者の固有名詞の紹介を控えるなど一定の制約を課しています。私自身が選挙運動を展開しているという誤解を招かないためにも、公示日以降は個別の候補者のお名前を示さないように心がけています。

マスメディアも同様な傾向があり、公示日前と公示日以降、取り上げ方の慎重さに変化があるようです。ある選挙区の話題を報道した際、その時点で予定されている候補者全員の顔ぶれを紹介しています。このような対応を怠ると公平性に欠けるという批判を招きかねないからです。

このような前置きのもと本題に入ります。衆院選挙は15日に公示されました。27日の投開票日に向け、全国各地で激しい選挙戦が展開されています。前述したような点に留意した上、今回のブログ記事も衆院選に絡む個人的な思いを綴っていきます。

まず「政治とカネ」の問題です。自民党の裏金事件を引き金に再発防止のあり方などが争点化されています。政策活動費の廃止をはじめ、政治資金パーティーの禁止、企業・団体献金の廃止などが各党の公約に掲げられています。このような動きについて私自身は懐疑的な立場です。

これまで「自民党の裏金問題」「もう少し自民党の裏金問題」「政治資金規正法改正の動き」という記事などを通し、何が問題なのか、どのように見直していくべきなのか綴ってきています。そもそもリクルート事件などで「政治とカネ」の問題が取り沙汰されるたび、制度の見直しがはかられてきました。

その見直されたルールが守られず、自民党の裏金問題は20年ぐらい前から組織的に継承されてきたという驚くべき事実関係が明らかになっていました。結局、ルールをどのように変えたとしても、決められたルールを守らない、もしくは抜け道を探すような国会議員が今後も跋扈するようでは政治への信頼は地に墜ちたままとなります。

「政治とカネ」の問題では大胆な改革案が支持されがちなのかも知れませんが、国会議員が事務所を維持するための費用をはじめ、当選を重ねていくためには一定の政治資金が欠かせないはずです。国会議員に対して過度な「身を切る改革」を求めることで、自己資金に余裕がなければ政治家になれないような社会にしてしまっては問題です。

歯止めをかけなければならない点は、巨額の資金を提供できる特定の人物や団体の影響力で政治が歪められていくような癒着を防ぐことです。そのため、政治資金の入口を閉ざすことに力を注ぐのではなく、出口の透明性を重視した上で「秘書任せだった。自分は知らなかった」という言い訳の通用しない仕組みが求められているように思っています。

続いて財源の問題が気になっています。給料が上がる、消費税が下がる、社会保障費の負担が減る、教育費の無償化など、国民の多くが歓迎すべき公約だと言えます。そのようなバラ色の公約が一票でも多く集めるためには欠かせないのかも知れませんが、やはり行政サービスを向上させるための財源の問題は避けて通れないはずです。

消費税を下げることで消費を喚起し、景気を浮揚させる効果を期待できるという見方もあります。ただ消費税の減税分に見合った財源の確保につながるのかどうかは不明瞭だろうと思います。過去の国政選挙では消費税引き上げが争点化された結果、その時の与党の議席は激減しています。

私自身の問題意識は「ベーシックサービス宣言ベーシックサービスと財源論 Part2政権をめざす政党に望むこと  Part2という記事などを通して綴ってきています。消費税の引き上げを真正面から公約に掲げる政党が皆無になることはやむを得ない現状ですが、せめて消費税は持続可能な社会保障のために重要な財源であることを明らかにして欲しいものです。

そのような意味で、立憲民主党が前回の衆院選で訴えた消費減税を今回は言及していない点について肯定的にとらえています。今回、野党側の候補者が一本化されていません。この点については次のように考えています。政権交代は国民の安心や安全を向上させるための手段であって欲しいものと願っています。

軸足や立ち位置の異なる政党間での連立政権が発足した結果、混乱や停滞が生じてしまうようでは本末転倒です。軸足や立ち位置が近く、めざすべき方向性が一致している政党間での結集や連携を期待しています。3党連立での政権交代を経験し、広げすぎたマニフェスト、気負いすぎた政治主導での失敗も経験している政治家が立憲民主党の野田代表です。

衆院選の結果がどうなるのか見通せず、野田代表が再び総理大臣を担う道のりは厳しいのかも知れません。それでも過去の失敗を教訓化している野田代表だからこそ、その経験値を活かし、緊張感のある政治の実現に向けて力を注がれていくことを期待しています。

民主党政権が誕生した翌2010年1月に「約束を踏まえた先に広がる可能性」という記事を投稿していました。普天間基地移設の問題に際し、アメリカとの約束を優先すれば国内向けの約束を破る結果となります。鳩山元総理らは相反する約束があることを踏まえ、それぞれの関係性を充分配慮しながら対応する必要性が求められていた時期、次のように記していました。

アメリカ政府との関係で言えば、政権交代という非常に大きな国内事情の変更があったことを訴え、まず交渉のテーブルに着いてもらうことが重要でした。その際、「辺野古への移設の約束は白紙」と日本側が先に述べてしまうのは適切ではありません。あくまでもアメリカとの約束は生きている中で、改めて交渉の席に着くことを依頼しているのが日本の立場だからです。

「こちらの事情が変わったので、これまでの約束は白紙です」と一方的に伝える行為は、とても「約束を踏まえた」誠意ある対応ではありません。それこそ信頼関係を損ねる切っかけとなりかねません。「これまでの約束は承知していますが、ぜひ、変更に向けた交渉に応じてください」という姿勢が欠かせないはずです。決してアメリカ相手だからへりくだる話ではなく、どこの国との関係でも当たり前に心がけるべき基本だろうと考えています。

国家間の関係にとどまらず、国内における諸課題の解決に向けても必要に応じて約束を踏まえていかなければなりません。ただ自民党の総裁が変わっても手を付けられなかったマイナ保険証や選択的夫婦別姓の問題などは、政権交代を果たせれば迅速な解決がはかられていくのではないでしょうか。

約束を踏まえた先に広がる可能性として、平和の築き方、安全保障の問題が大きな選択肢になり得るはずです。これまでの約束を踏まえ、アメリカとの関係性を重視していくことは当然なのだろうと思っています。しかし、日本国憲法の平和主義を踏まえた関係性をめざすのか、フルスペックの集団的自衛権を行使できる自衛隊に転換させていくのか、方向性の是非について衆院選を通じて議論が深まることを願っています。

日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しています。この受賞そのものは国際社会の中でも高く評価されています。ただ『核共有は「論外、怒り心頭だ」 被団協、廃絶は「人類の課題」』という下記の記事のような声も上がっていました。それこそ政権交代が実現することで、被爆者の皆さんの声を真摯に受けとめる政治への転換が進むのではないかと思っています。

今年のノーベル平和賞の受賞が決まった日本原水爆被害者団体協議会(被団協)は12日午後、東京都内で記者会見を開いた。代表委員の田中熙巳さん(92)は、石破茂首相が言及している「核共有」について「論外。政治のトップが必要だと言っていること自体が怒り心頭だ」と訴えた。首相に会って議論し「考え方が間違っていると説得したい」と述べた。

田中さんは核廃絶は「人類の課題」だと強調。世界で核使用のリスクが高まる中での授賞決定は「米国に気兼ねしている状況ではなく、被爆者の訴えを世界の共通認識にし、運動を世界的なものにしなくてはいけないと判断したのだろう」との見方を示した。

米国の「核の傘」への依存を強める日本は、核兵器禁止条約に参加していない。被団協は日本の署名、批准を求めている。今月9~10日に都内で開いた全国都道府県代表者会議で、被爆80年となる来年について「戦争の拡大と核使用の危機が迫り、被爆者にとっても人類にとっても決定的に重要な年になる」としたアピールを採択した。【共同通信2024年10月12日

| | コメント (0)

2024年10月12日 (土)

衆院解散、より望ましい政治への転換を!

10月9日、戦後最短となる内閣発足から8日後に衆院が解散されました。3連休明けの15日に公示、27日に投開票日を迎えます。前回の記事「強烈な冗句? 納得と共感内閣」で「石破内閣ではこれまでの不充分さを払拭するような動きを期待していたところですが、裏金議員に対する公認問題でも迷走しています」と記していました。

総理就任前まで常に正論を唱えていながら自民党のトップの座を射止めた途端、石破総理が裏金事件に対する姿勢を一転させ、裏金議員を「原則公認」するという報道に接していたからです。その報道に驚きはなく、一事不再理という原則からも党内処分の「選挙で非公認」より重い党員資格停止中の議員以外、案の定、公認するのだろうと見ていました。

それが前回記事を投稿した以降、石破総理は「原則公認」方針を一転させています。党の役職停止や戒告という処分にとどまった裏金議員も含め、非公認の対象として広げることを表明しました。さらに処分されなかった裏金議員も含め、比例選での重複立候補を全員認めないという厳しい方針に改めています。

「原則公認」方針に世論や党内の批判が激しく、総選挙戦に大きな影響を及ぼすという危機感を持ったため、森山幹事長らと話し合って一度は決めた方針を転換せざるを得なかったようです。この方針転換には驚きました。しかし、石破総理の英断という評価する意味での驚きではありませんでした。

非公認となる閣僚経験者は総裁選前に石破総理から「非公認は絶対にないと内々に言われ、応援したのに裏切られた」と憤っています。このような報道も同時に目にしているため、仲間内の問題だったとしても石破総理は「平気で嘘をつく」という思いが強まっていました。

臨機応変の柔軟な判断、もしくは「聞く力」を発揮したというよりも、持論を覆して解散時期を早めた問題をはじめ、またブレたという残念な意味での方針転換に対する驚きでした。それこそ解散を急がず、裏金事件に関しては石破総理ならではの向き合い方が期待されていたのではないでしょうか。

東京地裁で旧安倍派の会計責任者に有罪判決が示されましたが、いつから誰の指示で始まったのか分からないままです。再開に関与した旧安倍派の幹部議員の名前を会計責任者は知っています。しかしながら法廷でも明らかにしていません。このような不明瞭さを残したまま「終わった問題」として幕引きを急ぐ姿勢が自民党に対する不信感を高めています。

これ以上、受動的な立場でありながら有罪判決を受けた会計責任者を追及すべきものではありません。その幹部議員の名前をはじめ、裁判が終わったのであれば、今後は政党という組織の自浄作用を発揮し、石破総裁自身が明らかにすべき責務を負っているはずです。

この幹部議員の名前すら明らかになっていないという現状は、これまで知っていながら口をつぐむ、正直に話していない、ある意味で嘘をついている国会議員が自民党内に跋扈している証しだと言えます。

正直さや誠実さから程遠い現状であり、そのことが自民党への信頼失墜を加速させているはずです。「党内野党」的な立場の時は切れ味の鋭い正論を繰り返していた石破総理も、結局のところ自民党という組織の中では「同じ穴のムジナ」となってしまうことに残念な思いを強めています。

衆院選での自民党の公約案が示されました。6本柱の1本目が「ルールを守る」です。前回記事でも指摘しましたが、ルールを守ることは当たり前であり、そのような言葉を公約の1本目に掲げなければならない自民党の現状が極めて憂慮すべき問題だろうと思っています。

問題が多い政権であれば、その座から下りる、このような緊張感のある政治が欠かせません。一方で、国民から不信を買う不祥事を繰り返していながら、政権を維持できたことで「信を得た、禊が済んだ」という話になるようでは深刻な問題です。「喉元過ぎれば」と同じ過ちが繰り返されることになりかねません。

ぜひとも今回の衆院解散が、より望ましい政治に転換していく機会につながることを願っています。そのためには野党第一党の立憲民主党の奮起に期待しなければなりません。前々回記事は「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」でした。

政治論評的な記事として次回以降も、このような主旨の内容は綴っていくつもりですが、今回はマイナ保険証の問題に絞って書き添えます。『マイナ保険証へ「一本化」で“無駄な作業”が激増?  デジタル庁と厚労省の“官僚”が従事する「何も生まないブルシット・ジョブ」とは』という記事があるとおりマイナ保険証の評判は低迷したままです。

この問題でも石破総理のブレが見られていました。石破総理は総裁選の時点では、マイナ保険証への一本化について「納得しない人がいれば、併用も選択肢として当然」と発言していました。しかしながら紙の健康保険証を12月2日に廃止し、マイナンバーカードに原則一本化する政府方針に変わりがないようです。

東京新聞の『石破新内閣、マイナも手のひら返し? 保険証廃止「日程通りやりたい」新大臣が口々に…』という見出しの記事が伝えるとおり平将明デジタル大臣は就任会見で「従来の日程通りに進めていきたい」とし、石破内閣に代わっても岸田内閣からの方針を維持する考えを示しています。

福岡資麿厚労大臣も、就任会見で「12月2日に保険証の新規発行を停止する方針は堅持したい」と明言しています。留任した林芳正官房長官も総裁選では廃止期限などの「必要な見直しを行ないたい」としていため、石破政権に期待した「併用」を望む人から従来の方針踏襲に強い不満の声が上がっています。

このような事例からも同じ政権の枠組みが続く限り、大胆な方針転換の困難さが見て取れます。マイナ保険証の問題は前回記事の最後に触れようと考えていましたが、長い記事になっていたため先送りしていました。このブログに掲げても、掲げなくても立憲民主党の公約に影響を与えるものではありません。

ただ7日に発表された立憲民主党の公約の一つに「マイナ保険証の利用率が低迷する中、国民の不安が払拭されるまでは今の保険証を存続させる」という項目を見かけた時、安堵する思いもありました。いみじくも衆院の解散時期が早まったことで「政権交代を果たせば紙の保険証が存続できる」という具体的な選択肢を立憲民主党がアピールできるようになっています。

各論の一つとしての選択肢ですが、立憲民主党の立ち位置や軸足につながる総論的な話としてもマイナ保険証の問題は掘り下げることができます。マイナカードの取得は任意のままでマイナ保険証は義務付けるという矛盾した不誠実な問題をはじめ、国民の声に率直に向き合える政権なのかどうか問いかけていけるように思っています。

| | コメント (0)

2024年10月 6日 (日)

強烈な冗句? 納得と共感内閣

金曜の夜、久しぶりに同じ職場の皆さんとの懇親の機会がありました。3時間飲み放題の1次会から始まり、さらに別な店で飲み続け、その日のうちにタクシーで帰宅していましたが、翌日は久しぶりに(?)深刻な二日酔いに苦しみました。土曜のうちに仕上げるつもりだった当ブログには一切かかれず、ようやく日曜の朝にパソコン画面に向き合うことができています。

さて、衆議院を10月9日に解散、15日公示、27日投開票の日程が決まっています。極めて短期間で準備しなければならない選挙管理委員会事務局職員に相当な負担をかける決定でした。私自身の個人的な日程も含め、石破茂新総理の唐突な方針転換に様々な予定を狂わされた方々は多いのではないでしょうか。

森山氏進言受け石破氏、衆院選「10月27日」短期決戦へ決断…立民・野田氏は「ひょう変」批判』という読売新聞の記事が伝えているとおり石破総理は、そもそも総裁選の論戦で国会における野党との熟議の必要性や「世界情勢がどうなるか分からないのに、すぐ解散するという言い方はしない」と語るなど早期解散に慎重な姿勢を示していました。

昨年6月に投稿した石破総理のブログでは、総理大臣がタイミングを選べる「7条解散」に否定的で「解散は政権の延命や党利党略目的で行なわれるべきものではない」と持論を述べていました。それにも関わらず、内閣支持率は発足直後に最も高まり、閣僚らの不祥事などで徐々に低下していくことが多いため、党利党略で早期解散に舵を切ったことが明白です。

この一点だけでも言行不一致であり、正直さから程遠く、嘘つき呼ばわりされても仕方ないブレ方だと言えます。総理大臣就任後の記者会見で石破総理が「納得と共感内閣」と命名したことを伝えていましたが、強烈な冗句、ブラックジョークを飛ばされたような感覚で受けとめています。

ジャーナリストの清水克彦さんは『石破首相「在庫一掃セール内閣」が残念すぎる…総選挙突入で懸念される「3つの不安」』という論評の中で、少なくとも自民党内で石破氏を支持した議員を除けば納得も共感も得られていない、と指摘しています。それこそ私たち国民に向けて納得や共感を得ている内閣だと誇示するのであれば、あまりにも現状認識の乏しい発想だと言わざるを得ません。

産経新聞の「納得と共感内閣」石破茂首相が就任会見 「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」』の記事の中で、石破総理は「ルールを守る政治を実現していく」と強調しています。ルールを守ることは当たり前であり、そのような言葉を強調しなければならない自民党の現状が極めて憂慮すべき問題です。

石破総理は「節度をもって集めたお金を限りない透明性のもとで公開していくことが必要だ。政治資金のルールを見直し、ルールが守られるための体制を確立していく」と語っています。リクルート事件の後も同様な問題意識のもとにルールを見直したはずですが、結局、それらのルールは守られず、今回の裏金事件につながっています。

自民党に対する信頼失墜の大きな要因は旧統一教会との関係性も含め、なぜ、このような問題が生じたのか、徹底的に真相究明する姿勢の乏しさが上げられます。自民党は「教団との組織的な関係はない」と説明してきましたが、安倍元総理らが自民党総裁室で旧統一教会側の幹部と面会していた事実関係がスクープされています。

民間企業や地方自治体で起きた不祥事の場合、第三者によって事実関係を調査していくことが通例です。しかしながら自民党は内部調査のみにとどめ、隠蔽体質だと疑われかねない中途半端な幕引きをはかろうとしています。発生した問題の原因が分からなければ、適切な再発防止につなげることが難しくなります。

冒頭で紹介した深刻な二日酔いの原因は分かっています。ハイピッチで飲んでしまうため、普段、最初はビール中心で途中から焼酎のウーロン割などをパターン化しています。先週金曜の夜は最初からビールとともに赤白ワインを同時にクイクイ飲んでしまったため、いつもより酔いすぎてしまったようです。原因さえ分かれば次回は注意することができます。

真相究明に対する姿勢をはじめ、過ちに対する責任の処し方と問い方が不充分なため『「旧安倍派ゼロ内閣」で不満タラタラ、首相に“ケンカ腰”の萩生田光一氏“身内”自民党都連からも「お前が言うな」「絶対落とそう」の総スカン』という自民党内の危機感の薄さを露呈した現状に触れることになります。

自民党内で正論を訴え続けてきたからこそ石破総理が国民から高い支持を得ていました。石破内閣ではこれまでの不充分さを払拭するような動きを期待していたところですが、裏金議員に対する公認問題でも迷走しています。実は石破総理に対する懸念していた資質の問題を今年1月の記事「『国防』から思うこと」の中で触れていました。

石破総理が防衛庁長官時代、身の安全が危ぶまれるイラクへの現地視察を何回も直前で見送っていた話などを紹介していました。三つ巴と見られた自民党総裁選で「消去法」的に石破総理が勝利した結果を支持するほうですが、胆力があるかないかで考えた時、後者の部類の政治家だろうと思っていました。

閣僚人事でも「全員逮捕」「すべて逮捕」牧原秀樹議員、法務大臣への起用に「怖すぎ」の声…旧統一教会イベントへの出席 “隠蔽” 疑惑も』という適材適所かどうか疑問視されるような記事を目にしています。納得と共感内閣なのかどうか、北海道新聞の社説『石破首相所信  新政権の具体像見えぬ』が分かりやすく問いかけています。

石破総理に自民党を変える胆力や緻密な戦略はなく、石破総理の信念や正論のほうが変わってしまったような船出です。本来、表紙が変わっても、中味が変わらなければ問題は残ったままのはずですが、新政権発足後の内閣支持率は50%前後となっています。発足直後の比較ではワーストに近いようですが、前政権に比べて倍増していることに驚いていました。

次の調査では下がっていくのかも知れませんが、10月27日の総選挙戦の結果しだいでは自民党に深い反省を促せなくなる可能性もあります。前回記事は「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと 」でした。このあたりの問題意識も深掘りするつもりでしたが、長い記事となっていますので次回以降に送らせていただきます。

| | コメント (0)

« 2024年9月 | トップページ | 2024年11月 »