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2024年9月 7日 (土)

総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2

前回記事「総理大臣を選ぶ自民党総裁選」の中で、3年前に「自民党総裁選と野党の立ち位置」という記事を投稿していたことを伝えた上で「その時の視点を踏まえた内容は次回以降、立憲民主党の代表選について触れながら改めて綴ってみるつもりです」と記していました。

立憲民主党の代表選は本日告示され、候補者同士の本格的な論戦が始まります。投開票日は今月23日であり、長丁場の選挙戦となっています。自民党の総裁選は来週12日に告示され、27日が投開票日です。

このような日程を踏まえ、それぞれの選挙戦の真っ只中である来週末に3年前のような視点での記事に取りかかってみるつもりです。そのため、今回の記事タイトルは「総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2」とし、前回の続きに当たる内容を書き進めていきます。

自民党総裁選が主題ですが、今回も兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ等の問題に絡む県議会の調査特別委員会(百条委員会)について真っ先に取り上げなければなりません。「告発者は誰だ!」4人の県職員の1年分のメールを勝手に閲覧…徹底した“犯人さがし”と恫喝…百条委では産業労働部長がしどろもどろに「トータルでいえば知事の指示」とも』という報道のとおり許しがたい事実関係が明らかにされています。

兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は5日午前、告発者の元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が公益通報をしたにもかかわらず懲戒処分を受けたことについて、参考人の奥山俊宏・上智大教授から見解を聞いた。

内部告発者の保護法制に詳しい奥山教授は県の対応について、「知事らは告発の矛先を向けられている当人であり、告発文書に関する判断から自ら身を引くべきだったが、正反対の行動を選んだ。冷静な対応ができず、まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった」とし「独立性を確保し、利益相反を排除すべきだった。公益通報者保護法の趣旨を逸脱している」と指摘した。

一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実ではなく、誹謗中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。

知事は8月30日にあった百条委の証人尋問で告発文について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。元局長を処分したことは「適切だと思っている」と正当性を主張した。一方、百条委では県職員が「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言していたことが明らかになっている。【毎日新聞2024年9月5日

読売新聞の記事兵庫県知事「道義的責任が何かわからない」…告発者処分「法的問題なし」主張変えず』の中では、公益通報者保護法に詳しい淑徳大の日野勝吾教授(労働法)が「県庁内で制度への理解が徹底されていない状況が浮き彫りになった」と指摘しています。ただ「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言した職員がいたことも間違いないようです。

結局のところ、この期に及んで道義的責任すら認めようとしないトップリーダーの存在が、職員二人を自死に追い込むような現在の兵庫県政の悲劇を招いていると言えます。強大な権力を有するトップリーダーが致命的な判断ミスを犯していけば、取り返しのつかない事態に至るという最悪な事例を目の当たりにしているものと思っています。

国の舵取りや国民の暮らしに対し、最も重い責任と役割を負うトップリーダーが総理大臣です。その総理大臣を選ぶ自民党総裁選の重要さは説明するまでもありません。早期の総選挙戦の結果、政権交代が果たされた場合、短命に終わる可能性もありますが、斎藤知事のように資質の欠けたトップリーダーは1日たりともその座を占めて欲しくありません。

そのように考えた時、前回記事でも触れた河野太郎デジタル大臣が私自身にとって、総理にしてはいけない候補者の最上位となっています。朝日新聞の記者だった鮫島浩さんも『河野太郎「総裁になったら麻生派を離脱する」まやかしの派閥離脱表明の大ウソを暴く〜麻生太郎が引退したら麻生派は俺のものだ!世襲政治家の本性』というブログ記事を綴っています。 

最近、河野大臣が公表している政策面の話も『河野太郎氏の「解雇規制緩和」強気発言にSNS《自民党議員からクビに》のド正論』をはじめ、稚拙な「突破力」のみを誇示したような大胆さを示しています。とりわけ『河野氏「全納税者が確定申告を」 年末調整の廃止案も』という話には非常に驚いています。

河野太郎デジタル相は4日までに自身のXで、自民党総裁選の公約に掲げる一つとして、年末調整を廃止し全ての納税者に確定申告をしてもらう案を示した。必要な人に対象を絞り支援するための「デジタルセーフティーネット」構築のためだとしている。

千葉県睦沢町で4日、記者団に「どれだけ税金を納めているかを知ってもらうことで、税の使い道に厳しい目を注いでいこうという環境がつくられる」と説明した。

河野氏は3日、首相になったら実現したいこととして投稿した。税や社会保険料など所得に関するデータを国が一元的に管理することで、支援を必要としている人を把握する狙い。「移行期間を経たうえで年末調整を廃止し、すべての国民に確定申告していただく」と記した。

会社員や公務員らの所得税額の過不足を調整する年末調整は雇用主が行う。河野氏は4日、全納税者が確定申告すれば「企業の手間がなくなる」とメリットを強調。マイナンバーカード取得者向けサイト「マイナポータル」の活用などで「個々人の手間が増えるということはない」と述べた。【共同通信2024年9月4日

本気で河野大臣が「個々人の手間が増えるということはない」と思われているとしたら定見のなさに呆れてしまいます。マイナカード自体、所持が義務化されていないのにも関わらず、紙の保険証の廃止を決めた拙速さに通じる危うい発想や稚拙な「突破力」だと批判せざるを得ません。

金曜日、今回の自民党総裁選で本命視されている小泉進次郎元環境大臣が正式に立候補を表明しました。高い知名度と発信力が評価されている一方、経験不足や独特な答弁力を心配する声もあります。記者会見で「知的レベルが低いのでは」というフリージャーナリストからの爆弾質問を受け、次のように対応されています。

私に足らないところが多くあるのは事実だと思う。完璧でないことも事実だ。しかし、その足りないところを補ってくれる最高のチームをつくる。(初当選からの)15年間、野党の経験、与党の経験、積み重ねてきた。そういったことを国際社会の舞台でも発揮して、国民の皆さんに大丈夫だなと安心感を持っていただけるように最大限努力していきたい」と強調した。

小泉氏は、2019年9月に環境相に就任した際の最初の記者会見でも「同じようなご指摘をいただいた」ものの、その質問をした記者からは、2年後の環境相退任時には「花束をいただく関係になった」と紹介し、フリージャーナリストとも「そうなれれば嬉しい」と話した。フリージャーナリストは「勉強してください」と求めた。

この時のやり取りはニュース映像でも見ています。無礼で不快な質問だったと思いますが、小泉元大臣はあまり嫌な顔を出さず、上記のように冷静な答えにつなげていました。このように感情を冷静にコントロールできる点は、トップリーダーの資質として高く評価できるのではないでしょうか。

「足りないところを補ってくれる最高のチームをつくる」という答えも無難なもので、現時点では多くの人に安心感を与える言葉だったように受けとめています。一方で『「圧倒的経験不足」「ポエム」小泉進次郎“新総裁”の可能性に自民党内も不安拡大…「神輿は軽いほうがいい」「周囲がサポートすれば」擁護論も』という記事のような動きがあることも確かです。

いつも権力側に辛口なLITERAの最新記事は『傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも』です。このあたりの内容に対比しながら次回以降の記事で、本日告示された立憲民主党の代表選について取り上げていくことを考えています。

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