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2024年9月28日 (土)

自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと

祝日だった先週月曜、立憲民主党代表選の開票状況をリアルタイムで見守っていました。下馬評のとおり野田佳彦元総理と枝野幸男前代表の決戦投票となり、野田新代表が選出されています。野田新代表が当日の決意表明演説で触れたアサガオの話は印象深く、投票先を決めかねていた方々への最後の一押しとなったかも知れません。

1993年に初当選し再選を目指して出馬した1996年衆院選で落選。4年間浪人生活を送ったことに触れた野田氏は、出席した朝食会でアサガオの話題になった際、朝方咲くために必要な要件を自分は「太陽の光り」と考えたところ、「日が昇る前の夜の闇、夜の冷たさこそが大事」という展開になったと明かした。

「夜の闇や冷たさを知ってこそ、ぬくもりがうれしい」と納得したと述べ、「我々は夜の闇と夜の冷たさを知っている。そこで積み上げてきた政策こそ、今の時代の要請ではないか」と、自民党と戦う同僚たちを奮い立たせるように、政権交代への決意を示した。【日刊スポーツ 2024年9月24日

野田新代表に決まったことで、金曜午後の自民党総裁選の結果を左右させたという見方があります。前回記事「ネットに繋がらなかった日々から思うこと」の中で、高市早苗経済安全保障担当大臣が急浮上している一方、小泉進次郎元環境大臣の勢いが止まっていたことを記していました。

結局、選挙戦前は本命視されていた小泉元大臣は3番手に沈み、高市大臣と石破茂元幹事長との決戦投票となっています。当初は出馬に必要な20人の推薦人確保も危ぶまれていた二人が決戦投票に進んだことについて、自民党内では「総裁選が様変わりした証しだ」と受けとめられているようです。

第1回目の投票では負けていた石破元幹事長が高市大臣に逆転勝ちしています。日本テレビの『【解説】石破新総裁“誕生のウラ側”…5回目の挑戦制す  勝敗のポイントは』の中で、石破新総裁が勝ち残った理由を次のように解説しています。

総裁選の討論などを通して、高市さんには2つの不安の声があがっていました。1つ目はいわゆる裏金議員へのスタンスです。高市さんは陣営に裏金議員が多かったことに加え、選挙での公認問題などで党内から「裏金議員に甘い」という声があがっていました。こうしたことから、ある自民党幹部は「裏金問題に甘い高市さんでは、衆院選はボロ負けになる」と指摘していました。

2つ目は、高市さんが打ち出した保守色への警戒感です。高市氏の「総理になっても靖国神社に行く」といった主張などに対して、党内からは「過激すぎる」という声もあがりました。立憲民主党の新しい代表が、保守的なスタンスな野田佳彦さんになったことで、「穏健な保守層が立憲に奪われる」と不安視する声も自民党内には出ていたんです。こうした仮に首相となった時の高市さんに対する不安感が、石破さんへの投票につながったのでは、とみています。

ディベート力が野田新代表に比べれば格段に劣る小泉元大臣の失速も、上記のような見られ方から勝ち切れなかった高市大臣も、立憲民主党代表選の結果に影響を受けたと言えます。政権交代をめざす立憲民主党側からすれば「石破新総裁でなければ自民党のウイークポイントを突きやすかったのに」と嘆く結果だったかも知れません。

野田新代表は衆院解散のタイミングなどを見誤り、民主党政権を終わらせた「戦犯」という批判が付きまとっています。私自身にそのような認識はなく、解散した日に行なわれた総理大臣としての記者会見で語った野田新代表の三つの言葉が強く印象に残っています。

一つは連合が力を注いできたテーマを表した「働くことを軸として、安心できる社会を作っていく」であり、あと二つは「2030年代に原発をゼロにする」「強い言葉で外交・安保を語る風潮が強まってきたが、極論の先に解決策はない」という言葉です。この三つの言葉こそ、今でも他党との明確な対抗軸になっていくものと考えています。

このような対抗軸は国民民主党からも支持されていくはずです。長く連合の活動に関わってきた組合役員の一人として、野田新代表のもと立憲民主党と国民民主党が手を携えていけるようになることを願っています。近いうちに必ず行なわれる総選挙戦では、連合が一体となって応援できる候補者の擁立を待望しています。

ただ掲げた対抗軸のもとの結集が重要であり、立憲民主党の立ち位置から程遠い政党との選挙協力には懐疑的です。1+1がプラスとならず、1+1がマイナスに働くような危惧すべき点として日本維新の会との距離感があります。

立憲民主党の理念や軸足と180度違う政党として、自民党以上に日本維新の会を思い浮かべます。所属している議員の中に評価すべき方々も少なくないのかも知れませんが、4月に投稿した記事「新着資料紹介『「維新」政治と民主主義』」に示したような政党としての体質の問題が非常に気になっています。

兵庫県議会の不信任決議を受け、斎藤元彦知事は失職する判断を下しました。さらに兵庫・斎藤知事  高校生の手紙で出馬決意にSNS厳しい声「悲劇のヒーロー気取りか」「地元の声を聞け!」』という報道のとおり出直し選挙に出馬することを表明しています。本当に信じられないような思考回路の持ち主だと思っています。

斎藤知事の問題が注目を集めたことで維新の会に対する批判も強まっています。泉房穂氏、斎藤元彦知事へ「知事になるべき方ではなかった、担いだ維新と自民党の責任重い」私見』『兵庫の斎藤知事だけじゃない! 維新の議員・首長に相次ぐ不祥事 “スパイ”、町有地占有、不同意性交…』というような報道を立て続けに目にしています。

兵庫県・斎藤知事の“パワハラ問題”根源は「維新の傲慢体質にある」現職市議が決意の告発  大阪府議会議長から受けた公認取り消し圧力、恫喝、外見非難』という記事の中では次のような警鐘が鳴らされています。

世間をにぎわせた斎藤知事のパワハラ疑惑は、彼の失職だけで幕を下ろすわけではない。この問題の根源たる大阪維新の会の体質を変えない限り、“第二の斎藤”が現われるかもしれないのだ――。

「自民党総裁選が終わり、立憲民主党の野田新代表に願うこと」という記事タイトルを付け、ここまで綴ってきました。もう一つ気になることがあります。『「こんなのノーサイドじゃない」立憲・野田新代表の“刷新感”体制に党内から不満の声』というような報道があり、いきなり党内で軋轢が生じ始めているようです。

個人的には枝野幹事長という新体制を期待していましたが、小川淳也新幹事長という選択にも興味深いものを感じています。2021年11月の記事「衆院選挙が終えて思うこと」の中で、小川新幹事長主役の映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を紹介し、新幹事長の共産党との距離感に対する考え方について取り上げていました。

野田新代表は小川新幹事長に対し、このあたりのバランス感覚を期待しているのかも知れません。ただ新代表が思い描く人事を進めていくことに理解しつつも「ノーサイド」と宣言したからには、党内での納得感や合意形成を充分はかっていく努力を尽くして欲しいものと願っています。党内に対立の火種を作っていくようでは政権交代の道筋から遠ざかっていくだけだろうと思っています。

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2024年9月21日 (土)

ネットに繋がらなかった日々から思うこと

先週日曜日、ゴルフに出かけ、最終18番ホールをバーディーで上がれば夢の70台となる好調なラウンドでした。残念ながらその日初めてのトリプルを叩いて83、それでも自己ベストを更新できています。このことを知り合いにラインで報告するほど意気揚々とした日曜の夜でした。

それが帰宅し、自宅のパソコンの電源を入れた後、ブルーな気分の夜に一転していました。インターネットに繋がらなくなっていました。パソコン本体のシャットダウン、ルーターの電源入れ直しや再起動など、いろいろ試しましたが、まったく修復する目途は立ちませんでした。

祝日だった翌月曜日、会員としてサポートを受けているPCデボに電話し、担当者に訪問いただきました。繋がらない原因はルーターの不具合という診断があり、木曜日に新しい機器を店舗で受け取っています。持ち帰ったルーターを自分で設置し、ようやくネットに繋がりました。

普段当たり前なネット接続の瞬間、その時は復旧できたことの安堵感と有難さをしみじみと感じ取っていました。スマホでもネット利用できますが、このブログの投稿をはじめ、自宅では専らパソコン画面に向き合っています。数日間の不便さに遭遇し、以前も同じような事態があったことを思い出していました。

2012年5月20日「ネットに繋がらない日々」という記事を投稿していました。読み返してみて驚きました。今回と同様、数日間で復旧させていたものと思っていました。しかし、その記事の前からネットに繋がらず、復旧したことを報告した記事「消費税引き上げの問題」の投稿日は2012年6月16日でした。

つまり1か月以上も自宅のパソコンからネットにアクセスできなかったことになります。この時の一連の記事を確認しなければ、私自身の記憶は「数日間で復旧」というままだったはずです。毎週末に更新している当ブログの記事を途絶えさせていなかったため、このような記憶違いに至っていたとも言えます。

このブログは個人の責任で運営していますが、開設した目的や趣旨を踏まえ、組合員の皆さんには機関紙等を通してPRしていました。そのような位置付けがあるため、組合事務所のパソコンを利用し、これまでもブログの記事更新やコメント投稿を行なっていました。このような代替策があったため、前回の記事「『鉄の骨」』と公契約条例」も何とか組合事務所のパソコンを使って仕上げていました。

上記は「ネットに繋がらない日々」の中に書かれている一文です。現在、組合事務所には昼休みしか顔を出していません。執行委員長だった当時、勤務時間外に組合事務所の自席で相当な時間を過ごしていたことを思い出しています。ちなみに今回、ネットに繋がらない日々が週を越えていた場合、このような長文ブログは綴れなかったものと考えています。

いずれにしても自分自身の記憶の不確かさ、当てにならないことを改めて思い返す機会となっています。よく政治家が「記憶にない」という言葉を発します。いきなり尋ねられた過去の出来事であれば「記憶にない」という言葉は本当のことなのかも知れません。

しかし、当時の記録を確認した後、さらに関係者の話を聞いてからも「記憶にない」と言い続ける場合もあります。その場合は都合の悪い事実関係を認めたくないため、嘘をついているのではないかと疑わざるを得ません。一方で、本当に事実関係をまったく思い出せないような記憶力であれば重責の伴う役割は任せられなくなるはずです。

このような政治家の記憶力に絡む話として、昨年春「放送法での政治的公平性 Part2」「もう少し総務省の行政文書の問題」「岩盤支持層という言葉から思うこと」という記事を投稿しています。総務大臣当時の高市早苗経済安全保障担当大臣の記憶力の問題などを取り上げていました。

高市大臣は自民党の総裁選に立候補し、有力候補の一人に浮上しています。前回記事が「自民党総裁選と立憲民主党代表選」であり、今回の記事は「Part2」として書き始めていました。前置きのつもりで取り上げた身近な話があまりにも長くなってしまい、途中から「ネットに繋がらなかった日々から思うこと」に変えています。

ここから自民党総裁選、立憲民主党代表選の話題を本格的に取り上げていけば、ますます長文ブログ化していくことになります。そのため、ブログのサブタイトルに掲げているとおり「雑談放談」的な内容とし、もう少しだけ自民党の総裁選の話に絞って書き進めていきます。

高市大臣が急浮上している一方、小泉進次郎元環境大臣の勢いが止まっています。小泉進次郎はもうおしまいだ…総裁選で大失速! TVや討論会で多くの国民を失望させた「迷言」「無能ぶり」』という記事が伝えているとおり選挙戦に入り、地力のなさが可視化されてきたからだと言われています。

兵庫県の斎藤元彦知事に対する県議会の不信任決議は全県議86名によって可決されました。しかしながら『土曜朝にネット騒然 不信任の兵庫知事→全国TVに生出演「自分の思い伝わり切れてない」と30分 辞職or解散は考え中「出てきた」「凄いな」』という記事のとおり想像を絶する厚顔無恥ぶりを発揮しています。

今後、このような政治家を誕生させないためにも、それぞれの選挙戦の中で各候補者のネガティブな情報も伝わった上で、貴重な一票が投じられていくことを理想視しています。そのような意味で河野太郎デジタル大臣が泡沫化し、小泉元大臣が失速していることは、幅広い情報をもとに選挙戦が展開されている証しなのだろうと見ています。

高市大臣に対しても高市早苗のヤバさは極右思想だけじゃない! 総務省文書問題、統一教会との関係、政治資金規正法違反をめぐる“大嘘”の数々』『高市早苗「金のかかる選挙戦」を可能にする強欲と商魂  経費ケチってパーティー利益率96.5%の仰天』というようなネガティブな情報が加味され、多面的に評価されていくことを望んでいます。

最後に、朝日新聞の記者だった鮫島浩さんのブログ記事『総裁選に激震!安倍晋三氏が現職首相・総裁として自民党本部で旧統一教会会長と面談、選挙支援確認か〜朝日新聞が写真を入手してスクープ!萩生田光一氏と岸信夫氏が同席、総裁候補たちは再調査に乗り出すのか?』も紹介します。

これまで自民党は「教団との組織的な関係はない」と説明してきましたが、これを真っ向から否定する衝撃的なスクープです。しかしながら自民党の総裁選候補者が再調査を明言するような話を今のところ耳にしていません。ネットに繋がらなかったという話の中で伝えていましたが、原因が分かったことで対処の仕方を見出しています。

旧統一教会と自民党との関係性をはじめ、政治資金パーティーを巡る裏金事件など「何が問題だったのか」という真相究明が不充分なままです。それでは総裁が変わっても根本的な問題解決に至らず、同じ過ちを繰り返していく恐れがあります。それこそルーターを交換したように政権を担う政党そのものを代えるべき時期が迫っているのではないでしょうか。

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2024年9月14日 (土)

自民党総裁選と立憲民主党代表選

前々回記事「総理大臣を選ぶ自民党総裁選」、前回記事「総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2」の冒頭で兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ等の問題を取り上げています。今回も少し触れていきますが、ついに日本維新の会も斎藤知事に辞職を求めるようになりました。県議86人全員が辞職要求する事態に至っています。

それでも最近の兵庫・斎藤知事に辞職要求も…「県議が高圧的・威圧的な態度で尋問」維新・藤田幹事長が他党に反発』という報道では、日本維新の会の藤田文武幹事長はパワハラ疑惑について「多くが誤情報や誇張だ」と述べるなど、斎藤知事を追及する他党に対して激しく反発していました。

さらに驚くべき維新の国会議員が問題発言 兵庫・斎藤知事疑惑の告発は「自民党とつくった怪文書」、元県民局長のプライバシー暴露も』という報道にも接していました。日本維新の会の掘井健智衆院議員は「亡くなった方(元県民局長)は、あれ(告発文書)は自民党さんらとつくった」と語っています。

このような声もあるため、四面楚歌となっている斎藤知事の到底信じられない居座りぶりを許しているのかも知れません。党のナンバー2の幹事長の発言をはじめ、この期に及んで告発文書の陰謀論を唱える国会議員の問題は、日本維新の会の組織的な体質を表面化させているように思えてなりません。

さて、立憲民主党の代表選は先週土曜に告示され、投開票日が今月23日です。自民党の総裁選も一昨日告示され、27日が投開票日となっています。同じ時期に実施されているのは偶然でなく、6月の新聞記事が伝えているように立憲民主党側の思惑が働いていたようです。

立憲民主党の野田佳彦元首相は18日のBSフジ番組で、次の立民代表選は自民党総裁選と同時期にやるべきだとの認識を示した。「同時期なら対比される。絶対に埋没しない代表選にするのが大事な戦略だ」と述べた。泉健太代表の任期は岸田文雄首相の総裁任期と同じく9月末に満了する。

野田氏は自民党が総裁選を前倒しするならば立民代表選も時期をそろえるべきだと主張した。「にぎやかに自民党がやった後ではダメだ。前にやって後から大きなお祭りがあったら消える」と語った。【日本経済新聞2024年6月19日

その思惑が功を奏し、公平性に留意するマスメディア、特にテレビ番組は必ず自民党総裁選と立憲民主党代表選を連続して取り上げています。立憲民主党の代表選としては3年前の2021年11月に実施された時よりもテレビでの露出度が高まっているように思っています。

このブログでは3年前の9月に自民党総裁選と野党の立ち位置」、11月に立憲民主党の代表選に触れた「衆院選挙が終えて思うこと」という記事を投稿しています。今回、ほぼ重なり合った時期に実施されているため、いろいろな意味で両党を対比した記事を綴りやすくなっています。

まず「今になって言うな」立憲代表選候補者が自民党総裁選を一斉に批判  政治改革や選択的夫婦別姓の導入など訴えていることに』という報道のとおり自民党総裁選の候補者が掲げた個々の政策に対し、大きな違和感や不信感を募らせがちです。立憲民主党代表選の候補者それぞれ次のように批判しています。

野田佳彦元総理「今ごろ『政治改革』って言ってるけど、今ごろ言うなよと。不正の温床になっている企業団体献金や、政治資金パーティー、政策活動費、こういうものにメスを入れる本気の政治改革を実現をしていきたい」

枝野幸男前代表「『本気で自信があるならすぐにやれ』っていう話です。総理として政権を回していく自信があるならば、今おっしゃっていることで、特に野党をパクッているような話は、すぐにでもやれ。我々は協力する」

泉健太代表「もう“立憲民主党化”がここまで進むのかというぐらい立憲民主党の政策のオンパレード。政策を全然、訴えてこなかった人達が付け焼刃で訴えることの恐ろしさ、怖さ、中身の分かってなさに是非、我々は気付かなければいけない」

吉田晴美衆院議員「議論されることは空手形ばっかりじゃないかと。国会中にできたことを先延ばしにし、総選挙目前になって色んな良いことを出してくる」

その上で、候補者たちは政権交代の必要性を訴えていました。立憲民主党の代表選の先には政権交代をめざした総選挙戦が控えています。自民党の総裁選は総理大臣を決める一発勝負です。そのような意味で立憲民主党の代表選は、総理大臣候補者の顔として誰が相応しいのかを決める準決勝戦に例えられます。

総理をめざす政治家に対し、「あらゆる人を “敵” と “味方” に分断する政治」とは真逆な政治的な姿勢や立場性を望んでいます。寛容さであり、包摂さです。自分自身の「答え」の正しさに自信を持っていたとしても、異なる考え方や立場も認め合いながら、最適な「答え」を見出す努力を尽くして欲しいものと願っています。

意見が激しく対立しても、敵視し合うことなく、対話を重ねることで合意形成をはかる政治が重要です。総論から各論まで共通する理念として、外交の場面や改憲議論を通しても意識していくべき心得だろうと思っています。どなたが総理になったとしても、このような心得のもとに寛容な政治を切望しています。

上記は7月に投稿した記事「総理をめざす政治家に望むこと」の中に掲げた私自身の願いです。立憲民主党の候補者は4人とも上記のような立ち位置や軸足を信頼できる方々だと思っています。このような多様性を認めるという軸足のもとに各論としての選択的夫婦別姓の必要性に対する「答え」も導き出されていくべきものと考えています。

しかし、自民党総裁選で本命視されている小泉進次郎元環境相は選択的夫婦別姓を肯定し、リベラルな面を見せている一方、「聖域なき改革」「三位一体」父ほうふつさせる小泉氏、経験不足指摘には「チーム力で補う」』という新聞記事が伝えるような新自由主義的な立場を鮮明にしています。ライドシェアの全面解禁や解雇規制緩和などを唱えています。

聖域なき規制改革」を強力に進めていく先は、強い者がより強くなる競争社会の肯定であり、そのことに気付かれているのかどうか疑問に思っています。自分自身の軸足が定まっていないトップリーダーは菅義偉前総理らにとって担ぎやすい神輿となり、改めるべき自民党の体質を残した傀儡政権になってしまうのではないかと危惧しています。

島根・丸山知事が小泉進次郎氏の「解雇規制緩和」に異論、“親子2代で雇用を非正規化”のド正論を裏付ける数字』という見出しの掲げられた記事の中で、小泉元環境相が掲げた解雇規制の緩和に対し、島根県の丸山達也知事は 「会社側が従業員を今より解雇しやすくすることにしか意味がない。正規の人を非正規と同じにする意味での格差是正が実現する」と疑問を呈し、次のように続けています。

「解雇規制があることで転職が阻まれている訳ではない。正規の人の雇用を不安定にするだけだ。若い世代が子どもを持とうと思わないような社会を実現しようとしているのか、直接会って話をしたいくらいだ」とし、父親の小泉政権下で派遣労働が拡大されたことに触れながら「親子2代で雇用を非正規化しようとしている。日本人の一生に安定感を与えないということだ」と批判しています。

立憲民主党の代表選は野田元総理と枝野前代表との争いに絞られてきているようです。どちらが代表に選ばれても少し前の記事政権をめざす政党に望むこと政権をめざす政党に望むこと  Part2」に託しているような私自身の問題意識に対し、しっかり応えてくださる理念や政策をお持ちの方だと思っています。

ただ一点だけ気になることとして、自民党に勝利することのみを最優先し、政治的な立ち位置や軸足が180度違う日本維新の会と必要以上に接近して欲しくないものと願っています。それこそ立憲民主党が大切にすべき政党としての軸足に疑問を抱かれ、逃げていく票は相当な数に上るような気がしています。

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2024年9月 7日 (土)

総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2

前回記事「総理大臣を選ぶ自民党総裁選」の中で、3年前に「自民党総裁選と野党の立ち位置」という記事を投稿していたことを伝えた上で「その時の視点を踏まえた内容は次回以降、立憲民主党の代表選について触れながら改めて綴ってみるつもりです」と記していました。

立憲民主党の代表選は本日告示され、候補者同士の本格的な論戦が始まります。投開票日は今月23日であり、長丁場の選挙戦となっています。自民党の総裁選は来週12日に告示され、27日が投開票日です。

このような日程を踏まえ、それぞれの選挙戦の真っ只中である来週末に3年前のような視点での記事に取りかかってみるつもりです。そのため、今回の記事タイトルは「総理大臣を選ぶ自民党総裁選 Part2」とし、前回の続きに当たる内容を書き進めていきます。

自民党総裁選が主題ですが、今回も兵庫県の斎藤元彦知事のパワハラ等の問題に絡む県議会の調査特別委員会(百条委員会)について真っ先に取り上げなければなりません。「告発者は誰だ!」4人の県職員の1年分のメールを勝手に閲覧…徹底した“犯人さがし”と恫喝…百条委では産業労働部長がしどろもどろに「トータルでいえば知事の指示」とも』という報道のとおり許しがたい事実関係が明らかにされています。

兵庫県の斎藤元彦知事が職員へのパワーハラスメント疑惑などを文書で告発された問題で、県議会の調査特別委員会(百条委)は5日午前、告発者の元県西播磨県民局長の男性(7月に死亡)が公益通報をしたにもかかわらず懲戒処分を受けたことについて、参考人の奥山俊宏・上智大教授から見解を聞いた。

内部告発者の保護法制に詳しい奥山教授は県の対応について、「知事らは告発の矛先を向けられている当人であり、告発文書に関する判断から自ら身を引くべきだったが、正反対の行動を選んだ。冷静な対応ができず、まるで独裁者が反対者を粛清するかのような陰惨な構図を描いてしまった」とし「独立性を確保し、利益相反を排除すべきだった。公益通報者保護法の趣旨を逸脱している」と指摘した。

一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実ではなく、誹謗中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。

元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委で調査が進められている。

知事は8月30日にあった百条委の証人尋問で告発文について「事実でないことが多く含まれ、誹謗中傷性が高いものだと判断して調査した」と説明。元局長を処分したことは「適切だと思っている」と正当性を主張した。一方、百条委では県職員が「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言していたことが明らかになっている。【毎日新聞2024年9月5日

読売新聞の記事兵庫県知事「道義的責任が何かわからない」…告発者処分「法的問題なし」主張変えず』の中では、公益通報者保護法に詳しい淑徳大の日野勝吾教授(労働法)が「県庁内で制度への理解が徹底されていない状況が浮き彫りになった」と指摘しています。ただ「公益通報の結果が出るまで処分しないほうがいい」と進言した職員がいたことも間違いないようです。

結局のところ、この期に及んで道義的責任すら認めようとしないトップリーダーの存在が、職員二人を自死に追い込むような現在の兵庫県政の悲劇を招いていると言えます。強大な権力を有するトップリーダーが致命的な判断ミスを犯していけば、取り返しのつかない事態に至るという最悪な事例を目の当たりにしているものと思っています。

国の舵取りや国民の暮らしに対し、最も重い責任と役割を負うトップリーダーが総理大臣です。その総理大臣を選ぶ自民党総裁選の重要さは説明するまでもありません。早期の総選挙戦の結果、政権交代が果たされた場合、短命に終わる可能性もありますが、斎藤知事のように資質の欠けたトップリーダーは1日たりともその座を占めて欲しくありません。

そのように考えた時、前回記事でも触れた河野太郎デジタル大臣が私自身にとって、総理にしてはいけない候補者の最上位となっています。朝日新聞の記者だった鮫島浩さんも『河野太郎「総裁になったら麻生派を離脱する」まやかしの派閥離脱表明の大ウソを暴く〜麻生太郎が引退したら麻生派は俺のものだ!世襲政治家の本性』というブログ記事を綴っています。 

最近、河野大臣が公表している政策面の話も『河野太郎氏の「解雇規制緩和」強気発言にSNS《自民党議員からクビに》のド正論』をはじめ、稚拙な「突破力」のみを誇示したような大胆さを示しています。とりわけ『河野氏「全納税者が確定申告を」 年末調整の廃止案も』という話には非常に驚いています。

河野太郎デジタル相は4日までに自身のXで、自民党総裁選の公約に掲げる一つとして、年末調整を廃止し全ての納税者に確定申告をしてもらう案を示した。必要な人に対象を絞り支援するための「デジタルセーフティーネット」構築のためだとしている。

千葉県睦沢町で4日、記者団に「どれだけ税金を納めているかを知ってもらうことで、税の使い道に厳しい目を注いでいこうという環境がつくられる」と説明した。

河野氏は3日、首相になったら実現したいこととして投稿した。税や社会保険料など所得に関するデータを国が一元的に管理することで、支援を必要としている人を把握する狙い。「移行期間を経たうえで年末調整を廃止し、すべての国民に確定申告していただく」と記した。

会社員や公務員らの所得税額の過不足を調整する年末調整は雇用主が行う。河野氏は4日、全納税者が確定申告すれば「企業の手間がなくなる」とメリットを強調。マイナンバーカード取得者向けサイト「マイナポータル」の活用などで「個々人の手間が増えるということはない」と述べた。【共同通信2024年9月4日

本気で河野大臣が「個々人の手間が増えるということはない」と思われているとしたら定見のなさに呆れてしまいます。マイナカード自体、所持が義務化されていないのにも関わらず、紙の保険証の廃止を決めた拙速さに通じる危うい発想や稚拙な「突破力」だと批判せざるを得ません。

金曜日、今回の自民党総裁選で本命視されている小泉進次郎元環境大臣が正式に立候補を表明しました。高い知名度と発信力が評価されている一方、経験不足や独特な答弁力を心配する声もあります。記者会見で「知的レベルが低いのでは」というフリージャーナリストからの爆弾質問を受け、次のように対応されています。

私に足らないところが多くあるのは事実だと思う。完璧でないことも事実だ。しかし、その足りないところを補ってくれる最高のチームをつくる。(初当選からの)15年間、野党の経験、与党の経験、積み重ねてきた。そういったことを国際社会の舞台でも発揮して、国民の皆さんに大丈夫だなと安心感を持っていただけるように最大限努力していきたい」と強調した。

小泉氏は、2019年9月に環境相に就任した際の最初の記者会見でも「同じようなご指摘をいただいた」ものの、その質問をした記者からは、2年後の環境相退任時には「花束をいただく関係になった」と紹介し、フリージャーナリストとも「そうなれれば嬉しい」と話した。フリージャーナリストは「勉強してください」と求めた。

この時のやり取りはニュース映像でも見ています。無礼で不快な質問だったと思いますが、小泉元大臣はあまり嫌な顔を出さず、上記のように冷静な答えにつなげていました。このように感情を冷静にコントロールできる点は、トップリーダーの資質として高く評価できるのではないでしょうか。

「足りないところを補ってくれる最高のチームをつくる」という答えも無難なもので、現時点では多くの人に安心感を与える言葉だったように受けとめています。一方で『「圧倒的経験不足」「ポエム」小泉進次郎“新総裁”の可能性に自民党内も不安拡大…「神輿は軽いほうがいい」「周囲がサポートすれば」擁護論も』という記事のような動きがあることも確かです。

いつも権力側に辛口なLITERAの最新記事は『傀儡・小泉進次郎が改革できない“キングメーカー菅義偉”の官房機密費疑惑! 不正選挙やメディア対策にも』です。このあたりの内容に対比しながら次回以降の記事で、本日告示された立憲民主党の代表選について取り上げていくことを考えています。

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