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2024年8月 3日 (土)

政権をめざす政党に望むこと

前回記事は「総理をめざす政治家に望むこと」でしたが、今週末に投稿する新規記事のタイトルは「政権をめざす政党に望むこと」としています。現在、政権を担っている政党は自民党です。その自民党の国会議員が、またしても検察による強制捜査を受けるという事態に至っています。

自民党の広瀬めぐみ参院議員が30日、勤務実態のない公設秘書の給与を国からだまし取った疑いで東京地検特捜部の強制捜査を受けた。 派閥裏金事件から続く「政治とカネ」の問題は政権に痛手となる。広瀬議員は離党したが、野党は議員辞職を要求している。

自民は30日、広瀬議員から提出された離党届を受理。茂木敏充幹事長はコメントを出し、「今回のような事態に至ったことは極めて遺憾だ。説明責任を果たしてもらいたい」と表明した。

同党では18日に堀井学衆院議員(離党)が特捜部の強制捜査を受けたばかり。裏金事件による政治不信も解消されていない。閣僚経験者は「『また自民か』と言われる」と嘆き、党関係者は「早く落ち着かせたいのに最悪、最低だ。信頼回復は簡単ではない」と漏らした。

上記は『広瀬参院議員が自民離党 「政治とカネ」また痛手』という見出しを付けられた時事通信の配信した記事内容の一部です。『「同じ手口やん」広瀬めぐみ議員の家宅捜索で “流れ弾” が大物議員を直撃、同僚議員の投稿も “火に油” の大惨事』という記事もあり、立憲民主党の辻元清美参院議員の事件と重ね合わせる声があります。

2002年、辻元議員は政策秘書2人分の給与約1870万円を国から詐取した疑いで逮捕され、2004年に懲役2年、執行猶予5年の有罪判決を受けていました。法を犯したという事実は同じですが、報道された直後、辻元議員は衆院議員(当時)を辞職しています。

2000年9月には、 私どもの組合と支持協力関係のあった民主党の衆院議員だった山本譲司さんが政策秘書給与流用容疑で逮捕されました。この事件については昨年11月の記事「ブログで振り返る組合役員時代 Part2」の中でも触れていますが、山本さんは実刑判決を受け、1年2か月ほど服役していました。

広瀬議員の場合、このような重罪になることを知っていながら、さらに自分自身が弁護士でありながら法を犯していたという事実関係の悪質さは際立っています。「同じ手口やん」という声のピント外れに呆れていますが、同じであれば離党で済まされるものではなく、国会議員を即刻辞職すべき問題だろうと思っています。

「別議員秘書から手口を教示」 広瀬氏事務所側が説明 給与詐取疑い』という報道に接すると、この事件は「氷山の一角」の様相を呈してくる可能性もあります。政治資金パーティーを巡る問題で自民党の裏金事件が強い批判を浴びています。手を染めていた議員の多さから自民党という組織的な体質の問題として非難されています。

裏金事件と同様「この程度であれば問題ない」「他の事務所も同じことをやっている」という規範意識の欠如が党内に蔓延しているのではないかと疑わざるを得ません。『裏金事件は「安倍・菅政権」に対する検察の報復を思わせる国会閉幕後の衝撃』という興味深い見出しの記事を紹介します。

検察の報復という見立ては半信半疑で目を通していますが、現在、検察は政治からの圧力から解放され、忖度無用で粛々と職務を遂行しているのではないでしょうか。裏を返せば、これまで不当な介入によって捜査に手心を加えてきた時があり、紹介した記事のような事実関係につながっているものと理解しています。

このような検察との関係性に慢心し、自民党の国会議員が規範意識を低下させていたとしたら言語道断な話です。長期政権の弊害であり、政権を担っている政党として極めて憂慮すべき問題だと言えます。自民党は国民からの大きな批判にさらされ、過去2回、政権の座から離れています。

しかし、2回とも数年で政権の座に戻り、名前も中味も変わらないまま現在に至っています。今回も一過性の批判であり、今のところ政権の座を脅かす野党も見当たらないため、危機感を口にしながらも小手先の対応で「何とかしのげるはず」と考えている自民党議員も多いのかも知れません。

そのようなことが繰り返される政治は、決して望ましいものではありません。重大な問題の責任を問われた政党は政権の座から下りなければならない、ある意味で当たり前な緊張関係がある政治であって欲しいものです。そのためにも野党側の奮起に期待しなければなりません。

最近『「立憲と維新の薩長同盟が必要」前原氏が立憲・泉代表との会談で呼びかけ  相次ぐ党首会談の先に野党連携実現は』という記事のような動きが見られています。自民党を政権の座から下ろすという目的を最優先するのであれば、野党が一丸になることは有益なのかも知れません。前回記事の最後に、私自身の端的な思いを次のように記しています。

いずれにしても総理をめざす政治家に対し、「あらゆる人を “敵” と “味方” に分断する政治」とは真逆な政治的な姿勢や立場性を望んでいます。寛容さであり、包摂さです。自分自身の「答え」の正しさに自信を持っていたとしても、異なる考え方や立場も認め合いながら、最適な「答え」を見出す努力を尽くして欲しいものと願っています。

意見が激しく対立しても、敵視し合うことなく、対話を重ねることで合意形成をはかる政治が重要です。総論から各論まで共通する理念として、外交の場面や改憲議論を通しても意識していくべき心得だろうと思っています。どなたが総理になったとしても、このような心得のもとに寛容な政治を切望しています。

敵か、味方か、決め付けずに話し合っていくことを推奨しているため、立憲民主党の泉代表の動きを肯定的にとらえています。しかし、政権交代は、目的ではなく、国民の暮らしや安全を高めていくための手段だと考えています。そのため、基本的な理念や軸足が180度違う政党同士の政権が誕生した場合、国民にとってマイナスとなる結果につながらないか危惧しています。

このような問題意識を強めていたため、次の記事は「政権をめざす政党に望むこと」と決めていました。数日前には、いつも立ち寄っている書店で法政大学法学部教授の山口二郎さんの新著『日本はどこで道を誤ったのか』を見かけ、すぐレジに運んでいました。

政治家や官僚の劣化、少子化による人口減少、膨張する財政赤字、上昇しない実質賃金、インフレによる生活苦……現在の日本社会が停滞している原因は、どこにあるのか?  常に政治改革の中心で活動してきた政治学者が、日本の「失われた50年」を分析。令和の時代にふさわしい新しい政治のあり方を考え、提言する。枝野幸男氏(立憲民主党)との対談も収録!

上記はリンク先に掲げられた新著の紹介文です。このブログで取り上げようと思った書籍の場合、読み進めながら興味深かった箇所に付箋を添えるようにしています。今回、その数は15箇所に及んでいます。すべて紹介できないかも知れませんが、たいへん参考になる考え方や情報に触れられる機会となっていました。

以前であれば、このまま一気に訴えたい内容をまとめ上げていました。SNSの閲覧がスマホ中心となっている最近では、極端に長い記事内容の投稿は慎むようにしています。特に毎週、土曜か日曜に更新を重ねているブログですので、この続きは次回の記事「政権をめざす政党に望むこと Part2」に送らせていただきます。

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