政治資金規正法改正の動き
金曜の夜、三多摩平和運動センターの総会に個人会員の資格で参加しています。この総会後、一昨年は「平和や人権問題の議論提起」、 昨年は「平和運動センター総会で発言」という記事を綴っていました。今年の総会に絡んだブログ記事は機会があれば改めて投稿したいものと考えています。
今週末に更新する記事の冒頭では、このブログを続けていることの励みになる出来事を紹介させていただきます。かつて1日あたりのアクセス数は千件前後で推移していましたが、最近は100件に届かない日もあります。その内訳も過去の記事へのアクセスが大半を占めています。
新規記事を投稿しても、どれほどの方にご覧いただけているのか手応えが薄くなりがちな中、総会後の交流会の席で一昨年10月の記事「安倍元総理の国葬 Part2」の冒頭で紹介した自治労都本部の副委員長と再びお会いする機会を得ていました。
初めてお会いした時に「ブログをずっと見ています」とお声かけいただいていましたが、今も同様に注目くださっていることを知り、たいへん感激しています。一緒に懇談していた女性の副委員長からも、私のブログが「自治労関係者の間でよく知られていますよ」と言っていただき、ますます感激しています。
このような言葉に触れられることがブログを続けていくことの大きな励みにつながっています。お二人には、いろいろ会話させていただきながら「やめるのはいつでもやめられますので、できる限り続けていきます」という決意(🎵)をお伝えしていました。
さて、記事タイトルに掲げた本題です。政治資金規正法改正に向けた大きな動きがありました。『自公維が規正法修正案で合意、今国会で成立の見通し…公明・山口代表「首相の決断を大事にしたい」』という報道のとおり岸田総理は、公明党の山口代表、日本維新の会の馬場代表とそれぞれ会談し、自民党案を修正することで合意しました。
自民が示した修正案は、公明の要望事項のうち、〈1〉政治資金パーティー券購入者の公開基準額の「5万円超」(現行「20万円超」)への引き下げ〈2〉政党が議員に支出する政策活動費(政活費)の支出などをチェックする第三者機関の設置――などを盛り込んだ。維新が要望していた政活費の改革では、年間支出の上限額を定めることや、10年後に領収書などを公開する仕組みを早期に設けることを明記した。
首相は31日夜、首相官邸で記者団の取材に応じ、両党の要望を受け入れたことについて、「『法改正を今国会で確実に実現する』とした国民との約束を果たさなければ、政治への信頼回復ができないという強い思いから、思い切った、踏み込んだ案を提示する決断をした」と述べた。
公明と維新は修正案を評価しており、山口氏は首相との会談後、記者団に「首相の決断を大事にしたい」と語った。馬場氏も会談後、修正案への対応について「基本的には賛成する」とした。首相と馬場氏との会談では、調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)についても、使途公開と未使用分の国庫返納を義務づける立法措置を講じることで合意した。
自民は5月17日に単独で改正案を提出後、29日には3年後の見直し規定などを設ける修正案を示したが、公明や野党から「不十分」との批判が出ていた。首相は、法改正に世論の理解を得るには、さらなる譲歩で公明と維新の協力を得る必要があると判断した。【読売新聞2024年5月31日】
公明党と日本維新の会が採決で賛成に回ることから、修正案は来週にも衆院を通過し、今国会で成立する見通しとなっています。ただ他党の要求を「丸のみ」した岸田総理の判断に対し、自民党内に大きなしこりを残しているようです。麻生副総裁の周辺からは「これまで政権を支えてきたが、今後の対応は考えざるを得ない」との声が漏れています。
このブログでは2月に「自民党の裏金問題」「もう少し自民党の裏金問題」という記事などを通し、何が問題なのか、どのように見直していくべきなのか綴ってきています。お時間等の許される方はリンク先の記事を参照いただければ幸いですが、結論的な問題意識は次のとおりです。
今回の自民党の裏金問題を通し、最も批判しなければならない点は定められたルールを守れなかった国会議員の多さです。その上で、政治資金収支報告書には記載できなかった使途の全容です。もし私的な流用がまかり通っていたのであれば、たいへん悪質な問題だと言えます。
今後、検討すべき論点は、党から支給される政策活動費も含めた使途の透明性が一つだろうと考えています。もう一つは、事務所の会計責任者が法的な責任を問われた場合、「秘書任せだった。自分は知らなかった」という言い訳が通用しなくなる政治家本人の責任を問う連座制の導入ではないでしょうか。
上記のような問題意識に沿って考えた時、今回の政治資金規正法改正の動きが真っ当なものなのかどうか、いろいろ疑問に思うところがあります。そもそもルールをどのように変えたとしても、決められたルールを守らない、もしくは抜け道を探すような国会議員が今後も跋扈するようでは政治への信頼は地に墜ちたままとなります。
前回記事「ゼロ歳児にも選挙権、維新の公約から思うこと」の冒頭で、政治資金パーティーを巡る立憲民主党の動きを記しています。『「パーティー禁止」掲げる立憲、迷走の果てに謝罪 本気度を疑わせる無定見な言動」で混乱』という記事のとおり立憲民主党は、今回の迷走ぶりを率直に反省しなければならないはずです。
2月に投稿した記事の中で、国会議員が事務所を維持するための費用をはじめ、当選を重ねていくためには一定の政治資金が欠かせないことを記しています。そのため、国会議員に対して過度な「身を切る改革」を求めることで、自己資金に余裕がなければ政治家になれないような社会にしてしまっては問題だと思っています。
歯止めをかけなければならない点は、巨額の資金を提供できる特定の人物や団体の影響力で政治が歪められていくような癒着を防ぐことです。したがって、政治資金パーティー券購入者の公開基準額が「5万円超」でも、現行の「20万円超」のままだったとしても、表に出せないような資金提供があるとしたら、その行為自体を問題視しなければなりません。
確かに法的に問題のない行為でも、あえて公表したくないというケースがあるのかも知れません。それでも透明性を重視した制度に見直していくのであれば、原則として購入者すべてを公開していく方向性が真っ当なように思っています。そのため「5万円超では2万円のパーティー券が2枚しか売れなくなる」という声は不透明さを前提にしているように感じがちです。
政策活動費の使途の公開も同様です。透明性が肝要であり、その仕組み作りによって社会一般の常識から逸脱した使われ方を防ぐことが求められています。例えば講演会の後、講師の飲食費を政策活動費として支出する程度であれば許容範囲だろうと考えています。そのような線引きも含め、認められる事例を整理していくことも必要な気がしています。
最後に『「本物の領収書」公開し“維新案”説明 政策活動費「10年後の公開」実例でアピール』という報道を紹介します。「有言実行」をアピールしてみせた格好ですが、事業者や住所などをマスキングした領収書の大半は飲食代で「10年後の公開時に虚偽記載や不記載が見つかっても、政治資金規正法では公訴時効が5年とされていて罪に問えない」と指摘されています。
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