都知事選の話 Part2
前回記事「都知事選の話」は、前振りのつもりだった掲示板の話が思っていた以上に長くなってしまいました。今回「都知事選の話 Part2」とし、改めて4年前の記事「都政の現場、新知事へのお願い」のような各候補者に関わる話を書き進めていきます。
このブログの管理人である私自身、選挙運動に一定の制約がある立場です。このところ1日のアクセス数が100件程度の場末のブログですが、やはり選挙期間中の投稿内容には細心の注意を払っていかなければなりません。
したがって、メディアやネット上で目にしている話題を紹介しながら個人的な思いを添えていくという記事内容を想定しています。さらに特定の候補者を誹謗中傷するような言葉や憶測は厳禁とし、あくまでも事実関係を中心に記していくつもりです。
このような基本的な立場を踏まえた上、8年前の7月には「参院選が終わり、次は都知事選」「都知事選、真っ只中」「米大統領選と都知事選の違い」という都知事選に絡む内容の記事を3週続けて投稿していました。
今回の都知事選、前代未聞の56人という立候補者の数をはじめ、様々な切り口から語ることができます。今のところ都知事選の話は「Part2」で終わらせる考えですので、組合役員を務めていた自治体職員の立ち位置から注目している事例を中心に取り上げていくことになります。
まず『小池百合子v.s.蓮舫を元都庁幹部はどう見ているか 「間違いだらけの政策」と「間違いだらけの出馬会見」とは』という記事に注目していました。その記事の中で、東京都の知事本局計画調整部長や中央卸売市場次長、選挙管理委員会事務局長を歴任した澤章さんが取材に対して答えた次のような言葉を目にしています。
小池さんがサプライズ発表した後になって、関係部局へ指示が降りたわけです。もちろん現場は『聞いていない』と大騒ぎでした。ところが小池さんの側近は『知事のために早く実施しろ』と強い圧力をかけます。担当職員は残業に次ぐ残業で、身を粉にして働き続けました。
苦しい仕事が子育て世帯の支援につながるのなら納得もできますが、結局は小池さんによる人気取り施策の片棒を強制的に担がされているわけです。どこの部署でも似た状況で、都職員のストレスは看過できないレベルに達しています。特に管理職が『もう西新宿の本庁では働きたくない。出先に避難したい』と悲鳴を上げています。
サプライズ発表された施策とは、現在『018サポート』と名付けられている18歳までの子ども一人あたりに5千円給付するというものです。澤さんは『築地と豊洲』という著書を上梓し、市場移転問題のブラックボックスを内部の視点から明らかにしていました。
少し前に『ハダカの東京都庁』という澤さんの著書を読み終えています。その中で『築地と豊洲』の出版から4か月後、外郭団体の理事長を解任されたことが伝えられています。常識のなさを理由に解任された澤さんは「都庁も狭量になったものだと哀れみさえ感じた」とも書き添えています。
確かに都は税収が豊富なので、『018サポート』に『税金の無駄遣い』と異議を唱える都民は少数派でしょう。子育て支援という立派な大義名分もあります。しかし、だからと言って小池さんが自分への支持者を増やすため、都の税収を好き勝手に使っていいはずがありません。
上記も都庁のこと、小池知事のことをよく知っている澤さんの言葉です。確かに今年度の東京都の予算規模は過去最大です。高校学校等の授業料実質無料化などの施策も恩恵を受ける都民にとって歓迎すべきものとなっています。一方で、厳しい財政状況の近隣県との関係性をはじめ、持続可能な行政運営という視点が充分なのかどうか私自身も疑問視しています。
続いて『連合東京、都知事選で小池氏支持 産別の蓮舫氏支援容認』という記事を紹介します。4年前も連合東京は中小企業・小規模企業振興条例制定への尽力や予算要望等に対する小池知事の対応を評価して「支持」を決めていましたので、この報道に接しても特段驚くことはありませんでした。
連合東京は19日、東京都知事選(20日告示―7月7日投開票)を巡り、現職の小池百合子氏を支持すると発表した。新型コロナウイルス禍での雇用政策や、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント」対策の条例検討などへの評価を理由に挙げた。同日の執行委員会で決定した。小池氏は連合東京を訪れ、斉藤千秋会長と政策協定書を交わした。
国政では連合は立憲民主党を支援している。同党出身の蓮舫氏らも出馬を表明しており、連合東京に加盟する産別労組や各組合の支援が割れる動きも想定される。斉藤会長は「小池氏以外の候補者を応援することもお互い尊重しあうことも確認した」と話した。連合東京は前回の都知事選でも小池氏を支持していた。【日本経済新聞2024年6月19日】
労働組合の活動方針は「組合員にとってどうなのか」という視点を基軸に決めていかなければなりません。政治団体ではありませんので選挙に関わる方針は、その時々でベターな選択を模索し、結果的に「組合員のため」につながるのであれば適切な判断だったと評価されていくのではないでしょうか。
そもそも一票を投じる判断は組合員の皆さん一人ひとりに委ねられています。その上で、労働組合は選挙の取り組みに関する重要性や意義などを丁寧に情報発信し、組合員の皆さんからご理解ご協力を得られるように努めています。
そのような意味合いからも、連合東京の斉藤会長が各産別労組に「小池氏以外の候補者を応援することもお互い尊重しあう」と表明されていることは適切な対応だったと思っています。連合東京としての組織的な判断を下しても、日常の活動に影響を及ぼすような不団結の要因は残さないという賢明さだと受けとめています。
5月末に連合本部の芳野友子会長は、立憲民主党や共産党などに推される形で無所属で立候補する意向を表明した蓮舫候補について「連合は共産党とは考え方がまったく違う。そこの考え方を再度、立憲民主党には申し上げることになる」と述べていました。この発言に対しては、あえて「非共産」という立場を強調する必要があったのかどうか、個人的には違和感がありました。
5月に投稿した「三多摩メーデーに絡む個人的な思い」という記事を通し、このあたりの私自身の問題意識を綴っています。たいへん光栄なことに斉藤会長も当ブログをご覧になっているというお話を伺っています。個々の選択肢に対する考え方に差異はあるのかも知れませんが、僭越ながら「組合員のため」の組合活動を基軸にすべきという考えには賛同を得られているものと思っています。
蓮舫候補の政策について少し触れてみます。7つの約束の1番目が「現役世代の手取りを増やす」です。その具体的な施策として「新しい条例で、都と契約する事業者に、働く人の待遇改善を要請します」を掲げています。いわゆる「公契約条例」ですので、労働組合の役員経験者として歓迎すべきものです。
その次に「まずは非正規の都職員を、専門職から正規化するなど処遇を改善します」が掲げられています。前々回記事「改めて会計年度任用職員の課題」の中で触れているとおり大半の会計年度任用職員の皆さんの雇用不安を取り除き、士気を高めていくためにも、5年ごとに競争試験を強いる運用の見直しを含めた公約であって欲しいものと願っています。
気になる点もあります。「本物の行財政改革」という公約ですが、より効率的な行政運営に努めていくことは当然です。ただ「行財政改革」という言葉には「公共サービスを切り下げる」「人件費を削る」というネガティブな側面があることも留意願いたいところです。「維新政治」と距離を置いているはずの蓮舫候補が「行財政改革は得意分野」と語る姿はプラスにならないように思っています。
私どもの組合に関わる話にも触れていきます。自治労組織内の国会議員をはじめ、自治労都本部が推薦している議員の多くは立憲民主党に所属しています。そのため、今回の都知事選では蓮舫候補の勝利をめざして全力を尽くしているところです。
4年前、自治労都本部は連合東京の組織決定を否定しない立場を重視し、特定の候補者の推薦や支持を見送っていました。連合東京内で「小池氏以外の候補者を応援することもお互い尊重しあう」と確認されていますが、自治労都本部は今回も同様な判断を下したようです。
私どもの組合ニュースの最新号で自治労都本部の対応は「自主投票」と伝えていました。ちなみに私自身が現職の組合役員だった時、選挙の取り組みにおいて「自主投票」という言葉は使っていませんでした。もともと個々人の自主的な一票であり、そのようなこだわりを持っていましたが、細かすぎる話だったのかも知れません。
最後に、安芸高田市長だった石丸伸二候補についてです。各メディアの情勢調査では小池候補が先行し、蓮舫候補が追う展開となっています。石丸候補も猛追し、2位をうかがう勢いだと見られています。ただ『「こいつら殺されても仕方ないよな?」暴走する支持者たち…SNSで大絶賛される安芸高田市長・石丸伸二氏「人気の正体」』という記事に触れていくと、石丸候補に対する評価も少し変わりそうです。
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