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2024年5月 4日 (土)

三多摩メーデーに絡む個人的な思い

先週土曜、心配した雨は降らずに済み、半袖が心地良かった空の下、連合の三多摩メーデーが催されました。全体で2万人以上の参加があり、私どもの組合はご家族の皆さんも含め200人近くが河川敷の会場に足を運んでいます。模擬店や復興支援物産展、こども広場などが設けられ、コロナ禍前の盛況さが戻っていました。

これまで式典の中で、メーデー会場の市民運動場をお貸ししている地元首長ということもあり、参列している市町村長を代表して私どもの市長が来賓挨拶の指名を受けていました。しかしながら今年、私どもの市長を式典のステージ上で見かけることはありませんでした。

実は今回のメーデーの数日前、秘書課の職員から私に確認のための問いかけがありました。「メーデーに市長が呼ばれていないのですが、このまま予定しなくて大丈夫なのでしょうか?」という問いかけでした。あくまでも非公式な話でしたので現職の組合役員から退いている私に対し、お声かけいただいたようです。

今年、私どもの市長に招待状が届かないこと、その理由も含めて承知していましたが、せっかくの問いかけでしたので改めて連合三多摩の事務局長に私から電話させていただきました。顔見知りの事務局長からは丁寧にお答えいただいています。

やはり何らかの事情で招待状の送付が遅れているという訳ではなく、私どもの市長は来賓の対象から外れているという説明を受けています。開催市の地元首長をお呼びするという習わしはなく、連合三多摩と推薦関係のある首長のみを招待しているというお話でした。

昨年9月の記事「身近な政治、市長選の話」で伝えていましたが、私の勤める市では52年ぶりに非自民系の市長が誕生していました。選挙前、選挙後も私どもの市長は連合三多摩と政策協定を交わしていません。そのため、推薦関係に至っていない自治体の首長の一人となっています。

ただ私どもの市長は都議時代、連合三多摩と推薦関係があり、緊密な連携がはかれていた議員だったことは衆目の一致するところだと言えます。それにも関わらず、メーデーに呼ばれないという現状は、前々回記事「残念な与党、されど野党 Part3」の最後に記した連合と政党との関係性における「反自民・非共産」という原則がネックとなっていました。

前回記事「新着資料紹介『「維新」政治と民主主義』」の冒頭で、この原則について今回の三多摩メーデーに絡み、改めて個人的な思いを巡らす機会につながっていることを伝えていました。今回の記事を通し、昨年秋の「連合と政党との関係性」「時事の話題から政治に思うこと」に託したような問題意識を掘り下げてみます。

少し前に『連合・芳野会長、東京15区補選で立民・共産の連携「容認できず」 一貫した〝共産切り〟で改めてクギ』という報道がありました。私どもの市長も東京15区と似通った構図のもとに選挙戦を勝ち抜いてきています。そのことによって「非共産」の原則を違えてしまうため、連合三多摩側が推薦関係を求めていないという現状だと言えます。

先週日曜の午後8時、衆院補選は「ゼロ打ち」と呼ばれる開票率0%の時点で立憲民主党3候補の勝利が伝えられました。『「立憲全勝」の衆院補選、「惨敗」自民党と並んで大ダメージを受けた維新の会』という報道のとおりの結果となっています。

日本維新の会との選挙協力は自民党との政策的な対抗軸にならず、それまで立憲民主党を支持してきた方々の離反を招きかねないものと見ています。このような問題意識を抱えていたため、今回の選挙結果は今後の立憲民主党の選挙方針を明確化でき、意義深いものだったと思っています。

一方で、東京15区のような選挙戦の構図だった場合、支援できないと明言していた連合の芳野会長の受けとめ方は、いろいろ悩ましいものがあろうかと思います。支持協力関係がギクシャクしたままであれば連合側から立憲民主党に何か要望したとしても、つれない対応にとどまっていくことになりかねません。

連合三多摩は各自治体での公契約条例の制定に力を注いできています。私どもの市長は公約に公契約条例の制定を掲げていたため、就任後、条例化に向けて動き出していました。ただ連合三多摩と推薦関係がないため、連携がはかれないままとなっています。連合三多摩が蓄積してきた経験や知見を提供できない関係性は残念であり、私どもの市にとってもマイナスだろうと考えています。

いずれにしても連合が一定の政治的な活動を方針化していながら、これまでの原則を重視していくことで影響力を発揮できない場面が増えていくようであれば、結果的に組合員にとっても望ましいことではないはずです。

連合と政党との関係性において「反自民・非共産」という原則が連合結成以来掲げられています。そのような原則も「組合員にとってどうなのか」という視点を重視した際、属性のみを先行して判断するのではなく、状況に応じて柔軟な対応をはかっていくことも欠かせないように感じつつあります。

上記は、前々回記事の最後に掲げた私自身の端的な問題意識です。そもそも私どもの前市長、その前の市長も自民党から推薦を受けながら当選を重ねていました。それでも「反自民」を掲げた連合と政策協定を交わし、三多摩メーデーのステージ上で来賓挨拶をさせていただいていました。

私自身、まったく違和感を持たず、そのような関係性を築けていることのほうが、私どもの組合にとってもプラスにつながるものと受けとめていました。「反自民」という原則が柔軟に対応できるのであれば、「非共産」という原則に対しても幅広い切り口から検討していくことが可能なはずです。

最も留意すべきことは、連携がはかれる可能性のある政党や政治家の政策的な方向性であり、そのことを前提に連合と政策協定を交わせるかどうかというハードルではないでしょうか。競合組合のたいへんさを肌身で感じていない綺麗事だというお叱りをはじめ、このような柔軟な考え方には強い反発を受けてしまうのかも知れません。

それでも「組合員にとってどうなのか」という視点から判断していくことが重要なのだろうと考えています。もちろん組合役員であれば言うまでもないことで、たいへん失礼な物言いに聞こえてしまうかも知れませんが、長年、連合三多摩の活動に関わってきた一員として、よりいっそう連合という組織の発展を願った個人的な思いであることをご理解ご容赦いただければ幸いです。

現職を退き、「何を今さら」という僭越な訴えであることを重々承知した上で「乗りかかった船」という言葉を思い浮かべています。ちなみに連合三多摩の事務局長に電話した際、来年のメーデーまでには私どもの市長をご招待いただける関係性が築けられるよう要望しています。事務局長との電話の後、秘書課の課長らに連合三多摩の考え方を報告していました。

さらに私どもの市長にも私から直接、このような経緯等をお伝えしています。昨年秋に連合三多摩の政策要請書を受け取った時、市長としては連合側にボールを投げているという認識であることを伺っています。翌日には連合地区協議長とお会いする機会があり、私自身の思いを添えながらお話していました。

最後に、メーデー当日の午後、連合三多摩の議長とも偶然お会いする機会を得ています。メーデーに参加した私どもの組合のメンバーと飲み語り合い、懇親を深めていた最中だったため、言葉が走りすぎていたかも知れず、その節はたいへん失礼致しました。このブログに綴っているような個人的な思いについて、ぜひ、ご理解くださるようよろしくお願いします。

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コメント

 そもそも、メーデーの動員をゴールデンウィークの土曜日にやるとか、動員される公務員にとっては、メーワクデー以外の何ものでもないです。本当に、何様のつもりでしょうか? いい加減にしてくれとすら感じます。
 立憲民主党の感覚のおかしさも相変わらずで、旧民主党による政権時代、何故民主党があれだけ非難されたか。国民の嫌がることばかりやったからですよ。
 過去の過ちに学ぶつもりの無い立憲民主党に、およそ未来はありません。
 

投稿: 一地方公務員 | 2024年5月17日 (金) 01時54分

一地方公務員さん、コメントありがとうございました。プロフィール欄に記しているとおりブログに関わるのは土曜か日曜だけと決めているためレスが遅くなって恐縮です。

三多摩メーデーは中央メーデーに先がけて、少しでも参加しやすくなるようにゴールデンウイークの初日に開催するようにしていました。ただ土曜日は保育園や学童保育所に勤務している職員から参加しづらいという声も届いています。

私どもの組合では「動員」という言葉が消えています。あくまでも自主的な参加を募り、地元開催ということもあって毎年、多くの参加を得られています。まだ組合によって対応が異なることに少しだけ驚いています。

このブログでも民主党政権時代の反省点について数多く取り上げてきています。しかし、必ずしも国民のすべてが「国民の嫌がることばかりやった」と思っていないものと理解しています。

立憲民主党に関わる話も含め、このあたりについては「Part3」まで続けた最近の記事「残念な与党、されど野党」をご覧くださるようお願いします。

ちなみに現在のコメント欄は閑古鳥の鳴いている場となっていますが、これからも何か気になった点がありましたら気軽にご投稿いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2024年5月18日 (土) 06時00分

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