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2024年5月12日 (日)

環境省のマイクオフ問題から思うこと

前回記事は「三多摩メーデーに絡む個人的な思い」でした。管理人「OTSU」として発信していますが、知り合いの方々からすれば匿名ブログではありません。仮に完全な匿名での発信だったとしても、インターネット上で主張する内容には細心の注意を払わなければなりません。

このブログの内容に対して評価や賛否は分かれるのかも知れませんが、どなたに読まれても差し障りのない責任ある文章の投稿に心がけています。逆に多くの方に目を留めていただきたいものと思っているため、前回記事の投稿については私どもの市長や連合三多摩の皆さんにご案内しています。

本題に入る前に前置きが長くなりがちですが、「文藝春秋」最新号を購入しています。『森喜朗元首相「裏金問題」真相を語る  240分』という特集記事に興味があったからです。森元総理は裏金問題に一切関わっていないことを安倍派関係者らとの実名でのやり取りを示しながら詳らかに語っています。

森元総理は正直に語っているのかも知れませんが、そのことで岸田総理をはじめ、ますます自民党の傷口が広がっていく暴露話であるという自覚は一切ないようです。「政治家を引退し、安倍派の一員でもない」と自己弁護している一方で、随所で岸田総理らに影響力を発揮している自慢話が語られています。

このような配慮のなさや矛盾に気付かず、240分語り続ける森元総理は、ある意味で現役当時そのままで若々しさを保たれている証しなのだろうと思っています。現役の政治家の中にも、ご自身の発言や振る舞いのチグハグさに無自覚な方々の多さが目に付く昨今です。

最近謝罪まで1週間…後手に回った環境省  消音に省内からも疑問の声』という下記のような報道があり、現職大臣の資質が疑われる新たな問題に接しています。水俣病の公式確認から68年目となる5月1日、患者らでつくる8団体と伊藤信太郎環境相との懇談の場で信じられない不手際が見受けられました。

環境省職員が水俣病被害者側の発言中にマイクの音を切った問題で、伊藤信太郎環境相は熊本県水俣市を再訪し、被害者らに直接謝罪する事態に追い込まれた。

1日の患者や被害者らとの懇談後、伊藤氏は記者会見で職員がマイクを切ったことを「認識していない」などと発言した。大型連休中にこの問題に関する報道が相次いでいたが、事務方が伊藤氏にマイクを意図的に切ったことを正式に報告したのは、連休が明けた7日午前だった。

伊藤氏は7日昼、懇談の場で司会をしていた同省特殊疾病対策室の木内哲平室長に対し、現地に謝罪に行くよう指示。木内室長は同日夕方、報道機関向けの説明の場で職員だけで赴くと説明していた。

ところが同日夜、一転して伊藤氏も謝罪に行くことを決定。8日の報道陣の取材に対し「私もいろいろ日程があるので、昨日(7日)急に行くわけにもいかなかった」と釈明し、涙ぐみながら謝罪した。

環境省幹部の1人は「水俣病は環境省(旧環境庁)が発足した原点。重く受け止めたのではないか」と話す。伊藤氏は対応が不適切だったとして、和田篤也次官と神ノ田昌博環境保健部長に対し、口頭で厳重注意した。

懇談から1週間以上経過してから謝罪するなど、環境省の対応は後手に回った。一方、懇談の場での職員の行為には「話している最中にマイクをいきなり切るなんて普通はしない」(環境省職員)など、省内からも疑問の声が上がっている。

木内室長によると、懇談の場では参加団体に3分ずつの持ち時間があり、3分を過ぎた場合にマイクを切るという運用方針を事前に決めていた。当初は会場で周知する予定だったというが、木内室長は「(メモを)読み飛ばしてしまった」と話す。昨年度も同じ運用方針だったが、実際にマイクを切ることはなかった。【毎日新聞2024年5月8日

「痛いよ痛いよと言いながら死んでいきました」と妻を昨春に亡くした水俣病患者連合の松崎重光副会長が発言していました。発言が3分を超えたため、環境省職員が「時間なのでまとめてください」と話を遮った直後、音が切られてマイクを取り上げられていました。

発言時間を3分に制約し、マイクをオフにする行為そのものが水俣病問題の深刻さを軽視し、真摯に教訓化していないような環境省側の姿勢が問われます。「3分でマイクオフ」環境省の司会の台本に明記』という報道もあるとおり事前に打ち合わせして臨んでいることが明らかになっています。

このことを伊藤環境相に伝えていなかったという話も耳にしていますが、マイクが切られたことを「認識していない」と答えたことについて大きな違和感があります。さらに「発言はすべて聞き取りメモをした」という釈明とのチグハグさに驚いています。

水俣病は環境省の前身である環境庁が発足した原点であり、伊藤環境相は水俣病の課題を重視していると語っています。しかしながらマイクオフの問題が取り沙汰され、報道陣に囲まれた時、涙ぐみながら謝罪の言葉を発する伊藤環境相の姿に胸を打つ国民がどれほどいたのでしょうか。

それほど思い入れが深かったのであれば、事前に知らされていなかったしても、懇談の場で台本を修正させる権限と責任が伊藤環境相にはあったはずです。帰りの新幹線の時間を気にしていたようですが、8団体各3分という想定でタイトなスケジュールを組んでいたこと自体、水俣病について軽視していると言われても仕方ありません。

紹介した上記の報道のとおり謝罪まで1週間、さらに最初は職員のみを派遣する運びでした。すべて後手後手の対応となっていますが、思った以上にメディアが大きく取り上げ、批判が噴出したため、急きょ謝罪する姿勢を強め始めたように見えがちです。

謝罪の言葉も事務局の不手際を強調し、事務次官と担当部長を口頭注意しながらも、自らの責任の処し方について発言している場面を目にしていません。重責を負っている立場でありながら、部下や秘書にのみ責任を転嫁していく関係性の既視感は本当に残念なことです。

最後に、ブックマークしている朝日新聞の記者だった鮫島浩さんのブログ懇談会のマイク切りで水俣病患者たちを傷つけた環境大臣を更迭できない岸田首相の事情〜伊藤大臣は麻生派所属!6月解散困難でキングメーカーの麻生氏の意向に逆らえない』を紹介します。政局的な切り口につなげている視点は鮫島さんならではの興味深いところです。

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