残念な与党、されど野党
前回記事のタイトルが最初「二階元幹事長と大谷選手、好対照な記者会見」ではなかったと伝えていました。マイナスになるのか、プラスにつながるのか、好対照だった二つの記者会見の話は前振りのつもりでした。書き進めるうちに思った以上に長くなってしまい、途中で記事タイトルを変えていました。
今週末の新規記事に改めて「残念な与党、されど野党」というタイトルを付け、今の政治に対して個人的に思うことを書き進めていきます。自民党の裏金問題は当ブログの記事で何回も取り上げてきています。
違法だった問題性もさることながら政治家自身の資質や自民党という組織のガバナンスの不充分さが浮き彫りにされている事件です。『[深層NEWS]自民39人処分、御厨貴氏「曖昧な処分は危機コントロールできていない表れ」』という見出しの記事には次のように書かれています。
政治アナリストの伊藤惇夫氏と東大の御厨貴名誉教授が4日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、自民党派閥の政治資金規正法違反事件に関係した安倍、二階両派の議員ら39人の処分結果について議論した。
伊藤氏は、「離党勧告」や「党員資格停止」など4段階の処分の線引きが不明確だと指摘。「処分結果に納得感がない原因は実態解明が進んでいないからだ」と述べた。御厨氏は「曖昧模糊な処分は、自民党がクライシス(危機)コントロールができていない表れだ」と語った。
この問題での曖昧な幕引きは許されません。自民党としては区切りを付けたいと考えているのでしょうが、今回の処分結果の公表はかえって新たな不信感や疑念を高めていくように思っています。
個々の政治家の資質の問題で言えば『自民裏ガネで処分「武田良太」が地元で起こしていた「市長恫喝」飲み会はパワハラか』という報道などに接すると「国会議員って、そんなに偉いの?」という思いを強めることになります。
安倍派に所属していた長谷川岳参院議員はキックバックが一切なかったと答えています。うがった見方として、議員自身に人望がないためキックバックを得られるほどパーティー券をさばけなかったのではないかという話も耳にしています。
『「厚労省の『過労死ライン』を優に超えている…」吉幾三が告発した“機内横柄男”長谷川岳参議院議員(53)の“要求”対応で札幌市職員の残業が月100時間超!《市側は取材に残業を認める》』『《地方公務員法違反を強要か》長谷川岳参院議員(53)“恐怖の出張要求”札幌市役所職員が10カ月で26回東京出張していた!《わずか15分間のレクのために出張も》』
長谷川参院議員に関しては最近、上記のような信じられない横柄な逸話が立て続けに明らかになっています。不適切にもほどがある政治家の言動は政党を問わず、個人的な資質の問題として、とらえるべきなのかも知れません。しかし、自民党の国会議員の中に占めている割合の多さは否めないように思っています。
衆院の選挙制度が中選挙区から小選挙区制に変わってから個々の政治家の資質や実績よりも、政党の看板だけで当選できるようなケースが増えています。いわゆる「◯◯チルドレン」と呼ばれるような国会議員の存在が目立つようになっています。特に第2次安倍政権以降、自民党の「魔の4回生」が有名です。
さらに選挙区に強力なライバルが見当たらない場合、自民党の公認さえ得られれば当選確実となるため地道な活動よりも党幹部や重鎮の顔色をうかがうようになりがちです。このような傾向は若手に限らず、ベテラン議員にも顕著になっているように思っています。
裏金問題に対する危機感の欠如も同じような構図を感じ取っています。自民党の看板さえ外さなければ、ひとたび選挙戦に突入しても国会に戻ってこれる、つまり禊を済ませたという大義名分が立つものと解釈している議員が多いのではないでしょうか。
したがって、離党処分を受けた塩谷立参院議員は、そのような重要な看板を剥奪されたため容易に承服できないのだろうと見ています。一方で、世耕弘成参院議員が「明鏡止水の心境であります」という言葉とともにスンナリ離党届を出していることは意外でした。
すると『自民離党の世耕氏「無所属で衆議院に出る」 衆院『和歌山2区』で二階氏の後継候補とし烈な選挙戦か』という報道があるとおり世耕参院議員はピンチをチャンスに変える、したたかな計算を働かせているように見られています。さらに日本維新の会に接近するという憶測もあり、「明鏡止水の心境」に至っている理由がよく分かりました。
少し深読みしすぎなのかも知れませんが、結局のところ自分自身の行く末を最も重視しているような国会議員の多さに落胆しています。先月末に行なわれたJNNの世論調査で次の衆院選で「政権交代を望む」が42%となり、「自公政権の継続を望む」32%を上回る結果が示されています。
しかしながら3月24日に投開票された熊本知事選は、与党側が推薦した候補者の勝利に終わっています。『「保守王国」熊本で薄めた自民色 知事選初当選・木村敬氏の作戦』というステレス的な分かりづらさがあったようですが、選挙結果は厳粛に受けとめていくことになります。
様々な残念さが目立つ与党ですが、されど野党も自民党の政党支持率に水をあけられたままで躍進の兆しが見られません。総選挙戦に突入しても「自民党はそれほど負けなかった」という結果となり、世論調査での国民の意思とのネジレが起きるようでは問題だろうと思っています。
より望ましい政治の実現のためには、国民からの信頼を失えば政権の座から下りることになるという緊張感が欠かせないはずです。そのためにも野党側はどうすべきなのか、興味深い記事を二つ紹介します。
『野田元首相・田﨑史郎氏に問う今後の政局 “矜持なき自民党”とそれでも支持されない野党』『「悪夢の政権」「批判だけ」…自民のレッテル貼りに惑わされるな リベラルが結集すれば政権交代は可能 古賀茂明』
上記の記事内容をもとに私自身の問題意識も書き添えていくつもりでしたが、長文ブログは敬遠されがちです。そのため最近は、ある程度の長さで区切りを付けるようにしています。毎週末、必ず更新しているブログですので、あまり盛り込みすぎず、この続きは次回以降の新規記事に委ねていきます。
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