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2024年3月23日 (土)

不適切にもほどがある政治家の言動

金曜夜のドラマ『不適切にもほどがある!』を毎週見ています。昭和の頃の常識、もしくは問題視されていなかった事例が、今の基準に照らせば「不適切にもほどがある」という図式をモチーフにしたドラマです。

毎回、笑いを交えながら展開するストーリーは、昭和のハラスメントの事例などが「不適切だった」としても、短絡的に現状を肯定して良いのかどうかという問題提起を含ませています。特に昨夜の「ワンチャン」「決めつけないで」「切り取らないで」という訴えは、いろいろ考えさせられています。

1回の過ちによって、取り返しのつかない事態に陥る場合があります。車の運転ミスでの死亡事故、酔っ払い過ぎた結果の違法行為などを思い浮かべています。飲酒運転だった場合の悪質性、犯した結果の重大性などが加味され、それこそ人生を棒に振る事態につながりかねません。

一方で、その1回の過ちが本当に人生を棒に振るわせ、再起に向けてワンチャンスも与えられないほど悪質なものなのかどうか、冷静にジャッジする必要性もあります。『不適切にもほどがある!』は過剰なバッシングや責任の問い方について、ドラマを通して令和の時代を生きる私たちに語りかけてくれているものと思っています。

前回記事は「過ちに対する責任の処し方」でしたが、過ちに対して必要以上に重い責任を問うつもりで綴っていません。過ちを繰り返さないためには事実関係を詳らかにした上で、過ちの度合いに見合った責任の処し方が求められています。最近、そのような認識から程遠い政治家の振る舞いが目に付きがちです。

自民党は22日の参院予算委員会理事懇談会で、露出の多い衣装の女性ダンサーを招いた党和歌山県連主催会合を巡る報告書を提出した。県連青年局長だった川畑哲哉県議(自民離党)が1人で企画し「サプライズにしようと思った」と説明しており、党本部や県連、参加者に事前に周知せず、政党交付金からの支出はなかったとした。

報告書は21日付で、自民組織運動本部が県連関係者や会合参加者に聴取するなどして作成した。会合には約50人が参加し「チップを口にくわえてダンサーに渡す行為や、水着に挟み込む行為があった」と説明。会合費用は参加者1人当たり5千円の会費と県連の一般会計を充てており、政党交付金は含まれないとした。

党本部からは青年局の役職を辞任した藤原崇、中曽根康隆両衆院議員が出席した。会合の際、参加者から「会の趣旨にそぐわない余興だ」との苦言があり、余興の撮影は削除するようアナウンスしたという。会合後、県連役員が川畑氏を注意し、青年局長の辞任を求めたが、川畑氏は拒否したとの経緯も報告された。【KYODO 2024年3月22日

上記は共同通信が配信した記事ですが、「自民、ダンサー会合の報告書提出  県議が企画、事前周知せず」という見出しが付けられています。昭和の時代であれば許されていた、私的な懇親会であれば問題なかった、そのような見方も当てはまらないような「不適切さ」も散見していた場だったようです。

川畑県議が中心になって企画したことは間違いないのかも知れません。しかしながら離党した川畑県議一人に責任を押し付け、自民党全体としてのダメージを緩和させたい意図が随所に目立った報告書であるように思えてなりません。本当に事実関係に基づいた報告書なのかどうかという疑念です。

めざまし8の取材で、パーティー翌日の川畑県議のFacebookに「今回、『新感覚のおもてなし』というテーマのもと、『ダイヴァーシティ(多様性)』をコンセプトにして日程を構築させていただきました」と誇らしげに報告していたことが分かっています。

自民党青年局近畿ブロックの会合が開かれた昨年11月以降、3月に入って産経新聞の『自民党青年局近畿ブロック会議後の会合で過激ダンスショー  口移しでチップ渡す姿も  費用は党が支出』というスクープがなければ、関係者の大半は問題性を深刻に受けとめていなかったように見受けられています。

昨夜のnews23では、笑顔で拍手を送っていた市議の一人が「不適切だと感じていたが、盛り上げなければとの思いで拍手してしまった」と釈明していることを報じています。自己保身がにじみ出た釈明に聞こえてしまい、「その場の雰囲気に流され、その時は不適切だとは思っていなかった」と言ってもらえたほうが腑に落ちるように感じています。

「政党交付金は含まれていない」という報告にも違和感があります。税金を原資とした政党交付金を受けている団体が、そのような会合に対して資金面で助成しているのであれば不適切さは免れません。再発防止に向けて事実関係に対して謙虚に向き合うとい姿勢よりも、前述したとおりダメージの緩和を優先した報告の仕方に落胆しています。

問題が取り沙汰された以降の責任の処し方として、党本部の藤原青年局長と中曽根局長代理の辞任、川畑県議の離党という判断は素早かったものと思っています。冒頭に綴ったとおり過ちの度合いに際し、議員辞職まで求めてしまっては行き過ぎだろうと理解しています。議員を続けられるのかどうかは有権者の今後の判断に委ねられているのではないでしょうか。

過激ダンスショーの話だけで長くなっていますが、ディリー新潮の『自民青年局「セクシーダンス懇親会」問題でダンマリを決め込む“もう一人のキーマン”  「地方議員のドン」が果たした役割と取材に対する呆れた“弁明”』という見出しの記事も気になっていました。

早々に辞任を表明した青年局長らと「同格のポジションにいる人物」として、埼玉県議である中央常任委員会の細田善則議長の存在を取り上げています。より重い監督責任を問われる立場でありながら常任委員会議長の権限や地位について正確に理解している者が少ないため、細田議長は「懇親会など知らない」と吹聴していることを伝えています。

責任の問われ方に対し、組織としての公正さや納得感が得られなければ問題です。安倍派を中心にした裏金問題に対する処分のあり方を巡り、今後の自民党内の判断が注目されています。このあたりについては次回以降の記事で掘り下げていくつもりです。

今回の記事タイトルに掲げた「不適切にもほどがある政治家の言動」として、もう一つ『吉幾三、動画で機内の国会議員「非常に横柄」、CAから「自民長谷川岳氏では」手紙もらう』という話題についても取り上げようと考えていました。こちらは一言だけにとどめることになりますが、政治家の言動は常に注視され、重いものであることをご理解願えればと思っています。

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