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2024年3月16日 (土)

過ちに対する責任の処し方

最近、よく閲覧しているFacebookに「いいね!」をクリックすることが多くなっています。少し前までは閲覧だけにとどめていました。そもそも自分のFacebookを開設したのは他のサイトを閲覧するためのもので、まったく手を加えることなく、放置したままです。

自己紹介にブログ「公務員のためいき」のURLを掲げ、投稿画面のトップに「閲覧用にFacebookを開設しています。日々、私自身の思うことはブログに綴っています。毎週1回、土曜か日曜に更新していますのでご覧いただければ幸いです」と案内しているだけでした。

まだまだFacebook初心者ですが、少し前から知り合いの方のFacebookに「友達リクエスト」を始めています。さっそく多くの方に承認いただき、中にはメッセージをお寄せくださった方もいらっしゃいました。お忙しい中、ご対応いただいた皆さん、ありがとうございました。

ここで省みるべき話として、少し前までは私のFacebookに「友達リクエスト」が届いていたとしても、まったく反応していませんでした。前述したような経緯で開設した「休眠」サイトとは言え、ずっと無視してきたことになり、その節はたいへん失礼致しました。

このように本人の意に反し、相手方に対して礼を失してしまう場合があります。上記の場合、仕組みに対する理解不足、届いていること自体を把握していなかったという理由があげられます。承認しなかったからと言って、ただちに「友達」関係が険悪になるものではなく、それほど深刻に考えている訳ではありません。

しかし、ルールに対する理解不足や問題を把握していなかったことで、取り返しのつかない大きな過ちにつながる場合もあります。前回記事「会計年度任用職員制度の課題」の中で、季刊誌「とうきょうの自治」の連載記事「新着資料紹介」 を引き受けた際、人事課に兼業許可申請書を提出したことを伝え、次のように記していました。

1回あたり6千円ほどの報酬を継続的に得るため、必要な手続きでした。この手続きを怠ったり、もしくは制度に対する理解不足から対応していなかった場合、後々大きなペナルティを課せられる恐れがあります。定められたルールへの違反に「この程度であれば問題ないと思っていた」「許可が必要だったとは知らなかった」などという言い訳は通用しません。

公務員は兼業が原則として禁止されています。ただ上記のとおり申請し、許可を得ることで一定の範囲内で認められることになります。同じような構図として、安倍派を中心にした政治資金パーティーを巡る問題を思い浮かべています。キックバック分を収支報告書に記載しておけば違法性は問われず「裏金」批判も受けなかったはずです。

木曜日、初めて参議院で政治倫理審査会が開かれています。真相解明が進むとは思われていませんでしたが、自民党参院幹事長だった世耕弘成参院議員の説明ぶりが猛批判されています。毎日新聞は『世耕氏に与党からブーメラン  野党時代のX投稿を公明議員が追及』という見出しを付け、次のように報じています。

14日の参院政治倫理審査会(政倫審)で、世耕弘成・前自民党参院幹事長はパーティー券収入のキックバック(還流)について「秘書に任せていたので知らなかった」などと、あいまいな説明に終始した。これに対し、公明党議員は過去のX(ツイッター)での投稿を取り上げて矛盾を追及。連立政権を組む与党から「ブーメラン」が飛んできた形だ。

世耕氏は自民党が野党だった2010年1月、当時民主党の幹事長だった小沢一郎氏の資金管理団体を巡る政治資金規正法違反事件に関連し、Xで「私の事務所は初当選以来、1円単位できちんと記帳しています」とアピール。2月には「収支報告時には、貴重な限られた時間を犠牲にして、担当秘書にひとつひとつ質問しながらじっくりと確認した上で書類を提出している」と投稿した。

この日の政倫審で、公明党の竹谷とし子氏はこれらの投稿を引用。「(収支報告時の確認を)途中でやめたということか」と問い詰めた。これに対し、世耕氏は「それは今も続けている。(還流されたパーティー券収入が)帳簿に出てこなかったということだ。私の管理監督不行き届きに尽きる」と答えるしかなかった。

世耕氏は10年2月には「証人喚問は当然。このような疑惑に関して自民党は過去ある程度証人喚問に応じてきましたよ」と投稿したこともある。証人喚問は政倫審と異なり、虚偽の発言をすれば偽証罪に問われるため、真相解明に有効とされる。 立憲民主党の蓮舫氏は、政倫審で「(世耕氏は)何の弁明に来たのか分からない。政倫審の限界を感じた」と述べ、証人喚問の要求を示唆した。【毎日新聞2024年3月14日

日刊ゲンダイは、もっと辛辣に『世耕弘成氏は政倫審でも他人に激辛、自分に大甘…“ウソつき見本市”の特大ブーメラン語録』という見出しのもとに世耕参院議員のダブルスタンダードぶりや不誠実な姿勢を批判しています。自分自身が起訴されなかったら潔白という問題ではなく、明らかにルールに違反していたという自覚の薄さに驚いています。

公務員であれば公金を自宅に持ち帰り、すぐ全額を戻していたとしても処罰され、懲戒免職まで至ります。上司である課長や係長らも管理監督責任を問われ、減給等の懲戒処分を下される場合があります。民間の会社でも同様です。金銭に絡むルール違反に対し、世間一般の常識から比べ、あまりにも不明確な責任の処し方に国民の怒りが高まっています。

定期代等の通勤手当の支給を受けながら、配偶者の車に同乗していた場合、やはり懲戒処分の対象になります。全額弁済したとしても減給等のペナルティが課せられます。制度に対する理解不足から「このような場合は問題ない」という認識だったかも知れません。しかしながらルール違反という認識の有無に関わらず、過ちはその度合いに対して責任を問われていくことになります。

かなり前の記事「責任の処し方、あれこれ」の最後のほうで「自治体の例で考えれば、大多数の住民から納得を得られる責任の処し方なのかどうか、その思いを感知することが重要である」と記しています。今の自民党や岸田総理らの感知力の低さに国民の多くが失望しているはずです。

さらに「説明責任」という言葉が、これほど軽いものだったのかと嘆く声が巷に溢れています。過ちに対する責任の処し方、このあたりの納得感が得られない限り、信頼感が高まることはあり得ません。ルールに違反しながら国会議員は大きなペナルティを課せられないまま許されてしまうようでは大きな問題であり、真相を解明し、過ちに対する責任の所在が明らかにされていくことを切望しています。

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