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2024年1月13日 (土)

もう少し田中角栄元総理の言葉

年頭から能登半島地震、羽田空港での航空機衝突事故、衝撃的なニュースが立て続いています。乗員5人が亡くなられた海上保安庁機は地震の被災地に救援物資を運ぶための任務を負っていました。そのため、広義の意味合いでの関連死と呼べるのかも知れません。

1月8日には田中角栄元総理の旧邸宅敷地内の建物2棟が全焼したというニュースにも接しています。田中元総理の長女で元外相の真紀子さんは「線香を上げていた」と話しています。ろうそくの火などには注意していても、灰の中の線香の残り火からも火災につながるリスクについて初めて知りました。

このニュースは私自身、線香を毎朝上げているため、残り火まで注意を払う必要性に気付かされる機会となっていました。「蟻の一穴」という言葉もありますが、線香の残り火が大邸宅を焼き尽くす原因となったことに驚かされています。

田中元総理の旧邸宅は、かつて政財界の大物が出入りして「目白御殿」と称されていました。いみじくも当ブログの前回記事は「『ロッキード』を読み終えて」で、田中元総理に関わる内容を投稿していました。

読み終えた書籍の中で印象深かった田中元総理の言葉があり、記事の最後に「総理大臣の仕事は、絶対に戦争をしない。国民を飢えさせてはいけない。これに尽きる。それ以外は些末なことだ」と語っていたことを紹介していました。

昨年末の記事「今年も不戦を誓う集会に参加」の最後のほうでは、どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうか、その「どうすれば」は少し前に投稿した記事「平和の話、インデックスⅣ」や「戦火が消えない悲しさ Part2などに綴っている内容の焼き直しでもあり、また別な機会に譲ると記していました。

今回、最初「どうすれば戦争を防ぐことができるのか」という記事タイトルを付けて書き進めていました。この問いかけに沿った自分自身の思いをまとめていくつもりですが、とても単発な記事で言い表わすことは難しく、途中で記事タイトルを変えています。

そもそも私自身の考える「答え」の一つに過ぎませんが、このような問いかけに沿った内容の記事として、リンクをはった上記の2タイトルがあります。長文が苦にならず、お時間等が許される方は、リンク先の記事もご参照願えればたいへん幸いです。

今回の記事では田中元総理の「総理大臣の仕事は、絶対に戦争をしない」という言葉を出発点として、いろいろ個人的な思いを書き添えていきます。まず誰もが「戦争は嫌だ」と考え、為政者の皆さんも「どうすれば戦争を防ぐことができるのか」と悩まれているはずです。

大地震や感染症など自然界の脅威は人間の「意思」で抑え込めません。しかし、戦争は権力者の「意思」や国民の熱狂によって引き起こされるため、人間の「意思」によって抑えることができるはずです。それにも関わらず、残念ながら戦火の消えた時代は皆無という歴史をたどっています。

ウクライナを侵略しているロシアのプーチン大統領は「軍事作戦」と称し、自らの判断の正当性を訴えています。したがって、堂々と戦争を肯定している立場ではないのかも知れませんが、「絶対に戦争をしない」という信念がある権力者であればウクライナへの軍事侵攻という選択肢は持ち得なかったはずです。

もちろん「絶対に戦争をしない」と宣言していたとしても、他国から攻め入られ、自衛のために戦わざるを得ない局面があることも想定しなければなりません。そのため、攻められたら反撃する、容易に屈しないという抑止力を高めていくことが、戦争を防ぐための手立ての一つであることも理解しています。

しかし、安全保障のジレンマという言葉があるとおり武力一辺倒によって、平和は築けないことも歴史から学ぶべき教訓だと言えます。直近の事例として、圧倒的に軍事力で優位だったイスラエルの抑止力は万全だったはずですが、ハマスから攻撃を受けています。そのことによって失われた命はかけがえのないものです。

先日、自民党の麻生副総裁はワシントンで講演し、台湾への軍事的圧力を強める中国について「性急な台湾の軍事統一は、国際秩序を混乱させるだけだ」と指摘し、衝突回避に向けた日米などによる対話の必要性を訴えています。対話の必要性や重要性は、まったくその通りです。

しかし、その前に訪れた台北市で「最も大事なことは、台湾海峡を含むこの地域で戦争を起こさせないことです。非常に強い抑止力というものを機能させる覚悟が求められている。こんな時代はないんではないか。戦う覚悟です」と強い言葉で主張し、中国側からの反発を招いています。

確かに抑止力が「張り子の虎」では意味のないものとなりますが、ことさら軍事力を誇示し、相手を威圧するような姿勢では問題だと思っています。挑発行為だと見なされ、それこそ戦争を誘発するような振る舞いにつながりかねません。

蟻の一穴、線香の残り火のような小さな綻びが、徐々にリスクを広げ、取り返しのつかない事態に至りかねないことも懸念すべきではないでしょうか。特に責任ある立場の政治家であれば、よりいっそう自分自身の発言の重さや影響力に注意を払って欲しいものと願っています。

田中元総理は日中戦争が勃発し、北満州での兵役に就いていました。戦争の実相を肌感覚で経験したことのある政治家の一人でした。そのような経験や歴史認識の乏しい政治家が「いざという時には戦う覚悟が必要」と唱えたしても、自分の身は安全地帯に置きながら勇ましい言葉を発しているように思えてなりません。

最近読み終えた『田中角栄の人を動かす力』の中で「相手が誰であろうと寛容だった角栄」という見出しの付いた頁があります。政治家によって、自分が悪く報道されると「事実無根」「記事に悪意がある」などと訴訟をちらつかせてまで黙らせようとします。

田中元総理は「新聞記者は政治家を悪く書くのが商売。政治家は悪く書かれるのが商売」と語り、自分に批判的な記者にも公平な態度で接していたと書かれています。敵対しがちな関係性でこそ、相手側の立場や思惑を洞察する能力や寛容さが欠かせないはすです。国と国との外交関係においては、よりいっそう求められる政治家の資質だと思っています。

自民党の石破元幹事長は国会議員になる前、田中派の事務局に勤務し、旧田中邸に出入りしていました。『「歴史の舞台が消えた」旧田中角栄邸全焼  石破氏明かす“目白御殿”秘話」が伝えるような関係性がありました。

田中元総理のDNAを受け継ぎやすい関係性だったようですが、石破元幹事長と田中元総理が重なり合う印象はそれほどありません。ちょうど今、石破元幹事長の著書『国防』を読み進めています。古い著書ですが、内容は色褪せていません。できれば次回以降の記事で取り上げたいものと考えています。

今回「もう少し田中角栄元総理の言葉」というタイトルを付けて、「絶対に戦争をしない」という印象深かった言葉を受けとめながら綴ってきました。田中元総理の負の側面も多々あるのかも知れませんが、「国民のため」の政治を念頭に置いた国会議員の一人だったことを最近手にした書籍を通して感じ取っていました。

最後に、今夜、即日開票で台湾の総統選挙の結果が判明する予定です。台湾の有権者の皆さんが選択した結果となる訳ですが、どの政党の候補者が勝利しても中国との戦争を絶対回避するため、対話の道を全力で探り続けていかれることを信じています。

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