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2023年12月16日 (土)

今年も不戦を誓う集会に参加

前回記事「旧統一教会と自民党、2023年冬」の冒頭で、自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題について触れていました。安倍派を中心に長年、驚くべきルール違反がまかり通ってきたようです。事実関係は『【報ステ】安倍派・前防衛副大臣が涙「不記載は派閥の慣習」「早く説明したかった」』という報道のとおりだろうと思っています。

そのような中で『「裏金に激怒!」「統一教会は天敵!」進む安倍元首相の神格化に「気持ち悪い」の声《架空パーティー報道》西村康稔経産相、数百万円ボロ儲けのパーティー会場は「2時間2.4万円の会議室」だった  本人は灘から東大のエリート気質』という話も耳にし、ますます驚いています。

今週末に投稿する記事のタイトルは早々に「今年も不戦を誓う集会に参加」と決めていたため、今回も自民党の裏金問題は特に目を引いたニュースを冒頭で紹介する程度にとどめます。今後の捜査の進展などを見定め、場合によって次回以降の記事で改めて深掘りしていくことも考えています。

さて、82年前の12月8日、日本海軍が真珠湾を攻撃し、太平洋戦争に突入しました。三多摩平和運動センターは毎年、12月8日前後に不戦を誓う集会を催しています。今年は11日夜に開かれ、今年も協力委員の一人として参加していました。

今回沖縄スパイ戦史』という映画が上映されています。昨年の集会で上映された標的の島 風かたかなど沖縄の米軍基地問題を取り上げ続けている三上智恵監督と大矢英代監督によるドキュメンタリー映画です。リンク先のサイトの解説では次のように紹介されています。

「標的の村」「標的の島 風かたか」など沖縄基地問題を題材にした作品を手がけてきた三上智恵監督とジャーナリスト大矢英代が、沖縄戦の知られざる真実に迫ったドキュメンタリー。第2次世界大戦末期、連合国軍の上陸により、1945年6月に降伏するまでの3カ月の間に民間人を含む24万人余りが命を落とした沖縄戦。

しかし、降伏後も沖縄北部ではゲリラ戦、スパイ戦が繰り広げられていた。その裏には、1944年夏に沖縄の地に渡り、身分を隠して沖縄の各地に潜伏していた工作員養成機関「陸軍中野学校」出身者42人の存在があった。

映画の紹介をメインとした新規記事ではありませんが、『沖縄スパイ戦史』の内容に沿いながら個人的に思うことを書き添えていきます。これまで沖縄戦の戦跡を巡り、戦争体験者から直接お話を伺う機会もありました。数多くの資料や映像にも触れてきたため、沖縄戦の実相について知っているつもりでした。

しかし、今回の映画が伝えるような史実は、まったく知りませんでした。1944年の晩夏、沖縄に渡った42名の「陸軍中野学校」出身のエリート青年将校たちは、それぞれ戦争を遂行するための任務を負っていました。その一つが「護郷隊」という部隊の立ち上げから訓練指導という任務でした。

10代半ばの沖縄の少年たちを「護郷隊」として組織し、秘密戦のスキルを仕込み、北部で展開されたゲリラ戦やスパイ戦などに動員しています。少年だと油断させ、捕虜になった後に不意を突き、敵の兵士を殺戮するような作戦なども教えていました。

ある出身者は偽名を使い、学校の教員として離島に配置されています。過酷な軍命が下るまでは住民や子どもたちから慕われた好青年でした。戦争遂行の支障になるという判断から島民はマラリヤの蔓延する地に移住を強いられ、そのための任務を負った時、好青年は冷徹な軍人の顔に変貌しています。

「陸軍中野学校」出身者に限らず、米軍の攻撃から逃げ惑う住民たちを守る余力や気概は、日本軍兵士になかったことが伝えられています。それどころかスパイの嫌疑をかけ、多くの沖縄県民を虐殺した史実が『沖縄スパイ戦史』の中で描かれています。時には住民同士が疑心暗鬼のもとに殺し合ったことも映画では伝えていました。

そもそもスパイとは無縁だった多くの住民が殺されていたのかも知れません。しかしながら殺した側の当事者らが存命中、このような凄惨な歴史は誰もが意識的に口を閉ざしてきました。戦後70年以上にわたって「護郷隊」の存在などが語られてこなかった大きな理由であることを映画の中で解説しています。

さらに映画では本土決戦になれば、沖縄戦と同じようなゲリラ戦を各地で展開できるように仕向けられていたと伝えています。その準備のために「陸軍中野学校」出身者が全国各所に派遣されていたことも初めて知った史実でした。

戦後70年以上語られることのなかった「秘密戦」の数々が一本の線で繋がるとき、明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない。映画は、まさに今、南西諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、さらに日本軍の残滓を孕んだままの「自衛隊法」や「野外令」「特定秘密保護法」の危険性へと深く斬り込んでいく。

上記の作品解説のとおり沖縄の地であった特異な過去の話として映画は終えていません。今を生きる私たちに様々な問題を問いかけています。この映画を通し、戦争の実相が改めて浮き彫りにされています。ひとたび戦争に至ってしまえば、軍隊は住民を守ることよりも戦闘に勝つことを優先します。

戦闘のマイナス要素を取り除くため、住民が邪魔になれば強制的に排除します。住民の生命や財産は二の次、三の次以下で、とにかく国家として負けないことが至上命題とされていきます。この点について表現の違いはあっても、現在の「自衛隊法」などに通じている主旨であることを映画の最終盤で元自衛官が語っていました。

さすがに今の日本で戦争を勝ち抜くために子どもたちまで利用することは考えられませんが、海外に目を向ければ現在進行形の実相であることも否めません。子どもたちや住民の中のゲリラを疑い、無差別に民間人を殺傷するという卑劣で無法な行為も数多く見聞きしています。

南西諸島での自衛隊の増強が進んでいます。そのような中で自衛隊の受け入れに前向きな首長が選挙で勝利しています。「自衛隊がいてくれれば安心」という声もあるようですが、前述したような問題意識からすれば疑問視すべき考え方だと言えます。

昨年の不戦を誓う集会に参加した後「『標的の島』と安保関連3文書」というブログ記事を投稿していました。ミサイル基地を配備するということは敵対する国々からすれば標的にすべき島であることを示唆しています。自衛隊の増強は安心よりも危険度が増していくような危惧を抱いています。

今年の不戦を誓う集会には220人が参加しています。参加者それぞれ今回のドキュメンタリー映画を見て、戦争は絶対起こしてはいけないという思いを改めて強められたはずです。私自身も同様です。その上でウクライナやガザでの戦闘を目の当たりにして、どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうかを考えていかなければなりません。

この後に「どうすれば」という自問自答までつなげていくつもりでした。ただ少し前に投稿した記事「平和の話、インデックスⅣ」や「戦火が消えない悲しさ Part2などに綴っている内容の焼き直しでもあり、また別な機会に譲ることにしました。したがって、いつものことながら長い記事になっていますので、このあたりで一区切り付けさせていただきます。

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