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2023年12月 9日 (土)

旧統一教会と自民党、2023年冬 

車で通勤しています。最近、赤信号で交差点に突っ込む車の多さが目に付きます。黄色から赤に変わったばかりで事故を起こすことはなく、楽々と間に合うと思っているのでしょうが、黄信号が「止まれ」で、赤信号は「停止位置を越えて進んではいけない」とされているため、明らかなルール違反です。

この程度の範囲内であれば大丈夫、今まで問題視されていなかった、自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題も、そのような安易な思い込みがあったのかも知れません。今後、明らかなルール違反が詳らかにされていくのであれば「トカゲの尻尾切り」のような責任の処し方にとどまるようでは大きな問題です。

前回記事「立て続くパワハラに関する報道」の中で「パワハラをなくしていくためには、発生した事実関係を認め、関係者が適切な責任を取った上で、今後の防止策を講じていくことが欠かせません」と記していました。このような心得は、何か問題が生じた時の対応策すべてに通じるものです。

これまで当ブログでは昨年10月に「旧統一教会と自民党」「旧統一教会と自民党 Part2」という記事を投稿してきました。旧統一教会と自民党政治家が歪な関係性を築き、政治的な意思決定が歪められてきたのかどうか、様々な報道等を通して問題性の有無を掘り下げていました

その二つの記事の後に投稿した信頼できる政治のあり方」の中では「自分自身も省みる中で、完璧な記憶力はありません。すべての事象を正確に把握している知識や情報収集能力もありません。そのため、時には誤ったことを言葉にしてしまう場面もあります」と記し、次のような言葉につなげていました。

大切な心構えは誤りが分かった場合、すみやかに訂正し、謝罪することだろうと考えています。最悪な振る舞いは自分の誤りを認めず、その誤りを糊塗するため、嘘に嘘を重ねることです。絶対慎まなければなりません。権力者の誤りだった場合、権力者の意思に関わらず、周囲が忖度し、誤りを取り繕い、取り返しのつかない事態まで引き起こすこともあります。

最近の岸田総理は、旧統一教会友好団体トップとの面会や前述した政治資金パーティーの問題などで窮地に追い込まれています。岸田総理を守ろうとして周囲が忖度するような動きは見られない中、鈴木エイト氏、岸田首相の旧統一教会関係者との面会報道受け指摘「首根っこを掴まれたままとなる」』という報道のような危惧が生じています。

旧統一教会 被害者救済の法案 修正案が衆院で可決』という報道のとおり被害者救済に向け、政治の場面で一つの動きが見られています。しかしながら修正案について、元信者らを支援している全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士は会見を開き「被害者側の負担が大きい」などとしてさらなる修正を求めています。

阿部克臣弁護士は「自民党などの案では制度上の限界があり、被害者側の負担が大きい。修正案の付則で、財産保全のあり方を含め、検討を加えるとしているが、緊急性が高いので後回しにすべきではない」と話しています。

木村壮弁護士は「自民党などの案は被害者側が裁判を起こして保全するのを支援する内容だが、高齢の被害者などが大勢いる中で数年かかる裁判をできるのか疑問だ。一審で解散命令が出た場合、教団がなりふり構わず財産を処分することが想像され、その事態にどう備えるかが重要だ」と述べています。

このような声に対し、自民党の萩生田政調会長は「立憲民主党などの教団の包括的な資産管理ができないかという提案は、心情的にはよく理解したが、法案の立てつけとして非常に厳しく、最もスピーディーに実効性のあがる救済策を提案させていただいた」と説明しています。

確かにベターな判断の積み重ねで一歩ずつ前進していくことの大切さも場合によっては必要です。政治に対する信頼関係が築かれていれば「最もスピーディーに実効性のあがる救済策」という言葉も信じることができるはずです。

しかし、自民党と旧統一教会とのケジメの付け方に疑義が残り、極めて関係性の深かった萩生田政調会長からそのように説明されても「手心を加えているのではないか」という不信感が生じていくことになります。

先月放映されたNHKスペシャル『“宗教2世” 神の子はつぶやく』はドラマ仕立てでしたが、実際に起こっている事実関係を下敷きにした内容であることは明らかです。そのドラマのリンク先の紹介文には「母はどうして神様を信じたのか?」ある宗教団体に入ったことで一つの家族が形を変えていく…、と書かれています。

学校での友達付き合いや行事への参加を禁じられ、子どもたちも宗教活動を強いられる、このような関係性自体が問題であることは間違いありません。一人一人の信者は純粋で真面目な方が多いのだろうと思っています。しかし、善意からの強要だったとしても「宗教2世」の多くが深い傷を負ってきたことを見過ごしてはなりません。

高額献金の問題をはじめ、旧統一教会の様々な問題点が明らかになっています。そのような旧統一教会から選挙で手厚い支援を受けるなど緊密な関係性を築き、全国霊感商法対策弁護士連絡会の申し入れを黙殺し、広告塔の役割を担ってきた自民党の政治家が大勢いたことは周知の事実です。

毎日新聞の記事「なぜ自民はおとがめなし?」 旧統一教会問題で宗教法人が疑問視』では旧統一教会以外の宗教団体から上がっている率直な声を紹介していました。日本基督教団「旧統一教会とその政治団体である国際勝共連合と、自民党などの癒着による根本的な問題が明らかにされていない」と指摘しています。

生長の家は 「旧統一教会と安倍晋三元首相の関係について、まともな調査がされていない。自民党は長年、旧統一教会と密接な関係にありながら、その責任は一切取らず、自分の都合が悪くなると教団を切り捨てた。政治と宗教の関係が難しくなるだろう」と問題視しています。

幸福の科学は「(旧統一教会を)選挙活動に利用していた政治家の当選無効についても議論すべきだ」と訴え、大山ねずの命神示教会は解散命令請求について「旧統一教会と政府(自民党)の相当多数の国会議員との密接な関係を前提とした場合、中立性や公正性があるのか」と疑問視しています。

それぞれ真っ当な訴えだと思っています。随分前に統一教会問題の闇』という新書も読み終えていました。有田芳生さんと小林よしのりさんの対談本でした。特に興味深かった箇所に付箋を添えていました。

警察庁や警視庁は旧統一教会をオウム真理教と同様に「危険な団体」と捉えていました。ところが、上司から「その捜査はやめろ」と指示があったという当時の捜査員の証言をその新書の中で明らかにしています。政治家が介入し、怪しいカルト団体を見逃していることの驚きが語られていました。

各地の自治体で家庭教育支援条例が制定されています。古い家族観を行政が住民に押し付けるような内容ですが、旧統一教会信者の地方議員が中心となって推進してきた動きです。安倍元総理や自民党保守派の価値観と重なるものであり、旧統一教会が自民党の政策に影響を与えていた可能性について二人は語り合っています。

その一方で、自民党保守派と旧統一教会との思想的には捻れている関係性も『統一教会問題の闇』の中で取り上げられています。この点について小林さんはウクライナ戦争論2』の中でも強く問題視し、たいへん辛辣な言葉で自民党保守派らを次のように批判していました。

過去に「神の国」・韓国を植民地支配していた「サタンの国」・日本は、その罪の償いのために未来永劫、無限に献金すべきなどという「自虐史観」を利用して日本人からカネを巻き上げ、家庭を崩壊させる「反日カルト団体」に、国家権力が蝕まられていた。

この事実こそ、さすが日本、お花畑の平和ボケの国だ。今回の事件で愉快なのは、自称保守派やネトウヨが、実は保守でも何でもなかったと白日の下に晒されたことである。

統一協会が韓国発の「反天皇・反日」を唱えるカルト教団であることを認識しながら自民党保守派らは関係性を深めていたのでしょうか。認識しながらであれば節操のなさが問題であり、認識していなかったのであれば政治家としての情報収集能力の欠如ぶりが問題となります。

いずれにしても旧統一教会との関係性に対し、自民党全体での総括が決定的に不足したまま現在に至っているため、不信感が拭え切れていないのだろうと思っています。昨年10月の記事から数えれば「Part3」に当たる旧統一教会と自民党の問題を「旧統一教会と自民党、2023年冬」というタイトルのもとに様々な思いを綴らせていただきました。

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