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2023年12月23日 (土)

2023年末、今の政治に思うこと

今年も残りわずかです。毎週、土曜か日曜に更新している当ブログですが、これまで曜日に関わらず、必ず元旦に新年最初の記事を投稿しています。そのため、今回が2023年に投稿する最後の記事となります。

前回記事「今年も不戦を誓う集会に参加」の冒頭で、自民党の裏金問題は「今後の捜査の進展などを見定め、場合によって次回以降の記事で改めて深掘りしていくことも考えています」と記していました。

最後のほうでは、どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうか、その「どうすれば」は少し前に投稿した記事「平和の話、インデックスⅣ」や「戦火が消えない悲しさ Part2などに綴っている内容の焼き直しでもあり、また別な機会に譲るとも記していました。

それぞれ年を越す前に「2023年末、今の政治に思うこと」という記事タイトルを付け、もう少し付け加えたかった自分自身の問題意識などを書き進めてみるつもりです。

まず自民党の裏金問題です。「政治資金規正法はザル法だ!」 裏金受け取った議員の立件には高いハードルも  法律の問題点とは? 元東京地検特捜部検事・郷原信郎弁護士が捜査のポイントを詳しく解説』という法律自体の不充分さの問題があることも確かです。

しかし、安倍派内で横行してきた政治資金パーティーのキックバックに伴う収支報告書不記載の問題などは、現行法制の枠内から明らかに逸脱してきた事案です。ここまでは大丈夫というグレーゾーンの話ではなく、明確なルール違反が慣例化されてきたことを厳しく追及しなければなりません。

「派閥の弊害除去」明言、34年前の自民党「改革大綱」に再注目  リクルート事件受け策定も空文化』『自民党が30年前に掲げた「脱派閥」はどこへ…「政治資金の透明化」も「派閥パーティー自粛徹底」も』の報道のとおり国民からの批判が高まり、それまでのルールを改めたのにも関わらず、守られてきていないという自民党全体の緩みや驕りが非常に憂慮すべき現状だと思っています。

確かに郷原弁護士が「ザル法」と指摘している問題を解消するため、会計責任者だけが重い罪を負わされるのではなく、事務所の実質的な責任者である政治家自身を政治資金規正法違反で容易に立件できるような法改正は必要なのかも知れません。

それでも最も重要な点は、定められたルールを重い責務のある政治家が率先して守る、この当たり前な振る舞いができるかどうかです。あまりにもルールを軽視した政治家の多さに国民は憤り、政治に対する信頼感を失墜させつつあります。

今後「再発防止のため、次のようにルールを変えました」と説明されたとしても、ルールを守ることを軽視した政治家が一掃されない限り、同じ過ちは繰り返されていくのではないでしょうか。いみじくも今回の問題の深刻さを受けとめていない安倍派幹部の本音を垣間見れる雑誌が最近発売されています。

月刊誌Hanada最新号に掲載された西村康稔前経産相と世耕弘成前参院幹事長のインタビューは、東京地検特捜部が安倍派を強制捜査する前に実施されていたようですが、「はあ????????」パーティー裏金捜査前、安倍派2人の「首相に意欲」報道にネットでは怒りの声』という批判を受けています。

強制捜査後の萩生田光一前政調会長は、裏金問題を聞かれて「安倍派幹部に就いたのが安倍元首相が亡くなった後で、正直、会計のことはよく分かっていない」と語っています。残念ながら、このような言葉から問題の深刻さや派閥幹部としての当事者意識は伝わってきません。

そもそも雑誌の編集者側自体、この問題を軽視し、論点のすり替えや陰謀論的なとらえ方をしている様子が随所にうかがえています。例えば安倍派の議員一人当りで考えれば数十万円程度の問題とし、矮小化するような発言があります。

しかしながら安倍派の不適切な慣行は20年前から始まっていると言われています。時効の成立していない5年間での裏金5億円という数字も、実際は4倍換算の20億円と見なければなりません。いずれにしても金額の多寡よりも、意図的かつ組織的なルール違反が長年まかり通ってきたことを問題視しなければならないはずです。

今回の記事を書き進める際、文春オンラインの記事『《元検察首脳が証言》「無理筋の事件を潰すのが上の役割だった」なぜいま安倍派に捜査のメスが入ったのか?』にも目を留めていました。その記事の最後のほうに綴られている次のような見立てに「なるほど」とうなづいていました。

実際、安倍政権時代、法務・検察は与党政治家のからむ事件の捜査に神経を使っていた。安倍自身が告発された桜を見る会などの著名な事件は別にして、法律解釈が分かれるような事件では、検察上層部が「筋悪」と判断し、人知れず闇に葬ることもあった。

数々の特捜事件を指揮した元検察首脳は「無理筋の事件を潰すのが上の役割。現場の評判が悪くなっても、特捜幹部と示し合わせてボツにすることもあった」と振り返る。それは、あくまでも検察の理念である「厳正公平・不偏不党」の名のもとに行われたが、捜査される側からすると、「ありがたい忖度」に見えたことだろう。

安倍政権時代、露骨な政治介入はなかったとしても、無理筋かどうか検察上層部が判断していたことは事実だったのだろうと改めて理解できる記事内容です。その時の判断理由が、検察の理念である「厳正公平・不偏不党」だったという記述に注目しています。

このような経過や背景があり、今回の安倍派を中心にした裏金問題につながっているのであれば興味深いものがあります。しかし、ここで検察側にも注文を付けなければなりません。過去の遺恨や面子から「事件ありき」で突き進みすぎることなく、それこそ「厳正公平」な対応をはかられることを願っています。

ちょうど今、真山仁さんの『ロッキード』を読み進めています。12月16日、田中角栄元総理が没してから30年という節目の日を迎えていました。『角栄に花束を』第10巻も最近読み終えています。いろいろ田中元総理の「功」の部分に触れる機会が増えています。

『ロッキード』を読み終えてから年明け、機会があれば田中元総理に関わる話を当ブログの題材にしたいものと考えています。ここでは1点だけ書き添えます。田中元総理の逮捕は無理筋かどうか極めて慎重な判断が必要だったはずであり、政敵関係にあった三木武夫元総理のもとでの大きな岐路となっていました。

「今の政治に思うこと」という記事タイトルを踏まえれば、定められたルールは守る、嘘はつかない、過ちがあれば率直に認め、適切な責任の処し方をわきまえた人物による政治であって欲しいものと願っています。与野党を問わない当たり前な話ですが、その願いとのギャップの多い現状に憂慮しがちです。

安倍派を筆頭に今の自民党政治家の緩みや驕りは、ある程度の不祥事があっても政権の座から下ろされることはないとタカをくくっているように思えてなりません。やはり失点を重ねれば政権交代するという緊張感のある政治的な構図が必要であり、野党側の奮起にも期待しなければなりません。

自民党の裏金問題に絡んだ話だけで相当な長さとなっています。どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうかについては中途半端に触れず、たいへん恐縮ながら年を越してから機会を見ながら改めて取り上げさせていただきます。

最後に、この一年間、当ブログを訪れてくださった皆さん、本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は冒頭で述べたとおり元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは少し早いかも知れませんが、 良いお年をお迎えください。

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2023年12月16日 (土)

今年も不戦を誓う集会に参加

前回記事「旧統一教会と自民党、2023年冬」の冒頭で、自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題について触れていました。安倍派を中心に長年、驚くべきルール違反がまかり通ってきたようです。事実関係は『【報ステ】安倍派・前防衛副大臣が涙「不記載は派閥の慣習」「早く説明したかった」』という報道のとおりだろうと思っています。

そのような中で『「裏金に激怒!」「統一教会は天敵!」進む安倍元首相の神格化に「気持ち悪い」の声《架空パーティー報道》西村康稔経産相、数百万円ボロ儲けのパーティー会場は「2時間2.4万円の会議室」だった  本人は灘から東大のエリート気質』という話も耳にし、ますます驚いています。

今週末に投稿する記事のタイトルは早々に「今年も不戦を誓う集会に参加」と決めていたため、今回も自民党の裏金問題は特に目を引いたニュースを冒頭で紹介する程度にとどめます。今後の捜査の進展などを見定め、場合によって次回以降の記事で改めて深掘りしていくことも考えています。

さて、82年前の12月8日、日本海軍が真珠湾を攻撃し、太平洋戦争に突入しました。三多摩平和運動センターは毎年、12月8日前後に不戦を誓う集会を催しています。今年は11日夜に開かれ、今年も協力委員の一人として参加していました。

今回沖縄スパイ戦史』という映画が上映されています。昨年の集会で上映された標的の島 風かたかなど沖縄の米軍基地問題を取り上げ続けている三上智恵監督と大矢英代監督によるドキュメンタリー映画です。リンク先のサイトの解説では次のように紹介されています。

「標的の村」「標的の島 風かたか」など沖縄基地問題を題材にした作品を手がけてきた三上智恵監督とジャーナリスト大矢英代が、沖縄戦の知られざる真実に迫ったドキュメンタリー。第2次世界大戦末期、連合国軍の上陸により、1945年6月に降伏するまでの3カ月の間に民間人を含む24万人余りが命を落とした沖縄戦。

しかし、降伏後も沖縄北部ではゲリラ戦、スパイ戦が繰り広げられていた。その裏には、1944年夏に沖縄の地に渡り、身分を隠して沖縄の各地に潜伏していた工作員養成機関「陸軍中野学校」出身者42人の存在があった。

映画の紹介をメインとした新規記事ではありませんが、『沖縄スパイ戦史』の内容に沿いながら個人的に思うことを書き添えていきます。これまで沖縄戦の戦跡を巡り、戦争体験者から直接お話を伺う機会もありました。数多くの資料や映像にも触れてきたため、沖縄戦の実相について知っているつもりでした。

しかし、今回の映画が伝えるような史実は、まったく知りませんでした。1944年の晩夏、沖縄に渡った42名の「陸軍中野学校」出身のエリート青年将校たちは、それぞれ戦争を遂行するための任務を負っていました。その一つが「護郷隊」という部隊の立ち上げから訓練指導という任務でした。

10代半ばの沖縄の少年たちを「護郷隊」として組織し、秘密戦のスキルを仕込み、北部で展開されたゲリラ戦やスパイ戦などに動員しています。少年だと油断させ、捕虜になった後に不意を突き、敵の兵士を殺戮するような作戦なども教えていました。

ある出身者は偽名を使い、学校の教員として離島に配置されています。過酷な軍命が下るまでは住民や子どもたちから慕われた好青年でした。戦争遂行の支障になるという判断から島民はマラリヤの蔓延する地に移住を強いられ、そのための任務を負った時、好青年は冷徹な軍人の顔に変貌しています。

「陸軍中野学校」出身者に限らず、米軍の攻撃から逃げ惑う住民たちを守る余力や気概は、日本軍兵士になかったことが伝えられています。それどころかスパイの嫌疑をかけ、多くの沖縄県民を虐殺した史実が『沖縄スパイ戦史』の中で描かれています。時には住民同士が疑心暗鬼のもとに殺し合ったことも映画では伝えていました。

そもそもスパイとは無縁だった多くの住民が殺されていたのかも知れません。しかしながら殺した側の当事者らが存命中、このような凄惨な歴史は誰もが意識的に口を閉ざしてきました。戦後70年以上にわたって「護郷隊」の存在などが語られてこなかった大きな理由であることを映画の中で解説しています。

さらに映画では本土決戦になれば、沖縄戦と同じようなゲリラ戦を各地で展開できるように仕向けられていたと伝えています。その準備のために「陸軍中野学校」出身者が全国各所に派遣されていたことも初めて知った史実でした。

戦後70年以上語られることのなかった「秘密戦」の数々が一本の線で繋がるとき、明らかになるのは過去の沖縄戦の全貌だけではない。映画は、まさに今、南西諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、さらに日本軍の残滓を孕んだままの「自衛隊法」や「野外令」「特定秘密保護法」の危険性へと深く斬り込んでいく。

上記の作品解説のとおり沖縄の地であった特異な過去の話として映画は終えていません。今を生きる私たちに様々な問題を問いかけています。この映画を通し、戦争の実相が改めて浮き彫りにされています。ひとたび戦争に至ってしまえば、軍隊は住民を守ることよりも戦闘に勝つことを優先します。

戦闘のマイナス要素を取り除くため、住民が邪魔になれば強制的に排除します。住民の生命や財産は二の次、三の次以下で、とにかく国家として負けないことが至上命題とされていきます。この点について表現の違いはあっても、現在の「自衛隊法」などに通じている主旨であることを映画の最終盤で元自衛官が語っていました。

さすがに今の日本で戦争を勝ち抜くために子どもたちまで利用することは考えられませんが、海外に目を向ければ現在進行形の実相であることも否めません。子どもたちや住民の中のゲリラを疑い、無差別に民間人を殺傷するという卑劣で無法な行為も数多く見聞きしています。

南西諸島での自衛隊の増強が進んでいます。そのような中で自衛隊の受け入れに前向きな首長が選挙で勝利しています。「自衛隊がいてくれれば安心」という声もあるようですが、前述したような問題意識からすれば疑問視すべき考え方だと言えます。

昨年の不戦を誓う集会に参加した後「『標的の島』と安保関連3文書」というブログ記事を投稿していました。ミサイル基地を配備するということは敵対する国々からすれば標的にすべき島であることを示唆しています。自衛隊の増強は安心よりも危険度が増していくような危惧を抱いています。

今年の不戦を誓う集会には220人が参加しています。参加者それぞれ今回のドキュメンタリー映画を見て、戦争は絶対起こしてはいけないという思いを改めて強められたはずです。私自身も同様です。その上でウクライナやガザでの戦闘を目の当たりにして、どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうかを考えていかなければなりません。

この後に「どうすれば」という自問自答までつなげていくつもりでした。ただ少し前に投稿した記事「平和の話、インデックスⅣ」や「戦火が消えない悲しさ Part2などに綴っている内容の焼き直しでもあり、また別な機会に譲ることにしました。したがって、いつものことながら長い記事になっていますので、このあたりで一区切り付けさせていただきます。

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2023年12月 9日 (土)

旧統一教会と自民党、2023年冬 

車で通勤しています。最近、赤信号で交差点に突っ込む車の多さが目に付きます。黄色から赤に変わったばかりで事故を起こすことはなく、楽々と間に合うと思っているのでしょうが、黄信号が「止まれ」で、赤信号は「停止位置を越えて進んではいけない」とされているため、明らかなルール違反です。

この程度の範囲内であれば大丈夫、今まで問題視されていなかった、自民党の派閥の政治資金パーティーを巡る問題も、そのような安易な思い込みがあったのかも知れません。今後、明らかなルール違反が詳らかにされていくのであれば「トカゲの尻尾切り」のような責任の処し方にとどまるようでは大きな問題です。

前回記事「立て続くパワハラに関する報道」の中で「パワハラをなくしていくためには、発生した事実関係を認め、関係者が適切な責任を取った上で、今後の防止策を講じていくことが欠かせません」と記していました。このような心得は、何か問題が生じた時の対応策すべてに通じるものです。

これまで当ブログでは昨年10月に「旧統一教会と自民党」「旧統一教会と自民党 Part2」という記事を投稿してきました。旧統一教会と自民党政治家が歪な関係性を築き、政治的な意思決定が歪められてきたのかどうか、様々な報道等を通して問題性の有無を掘り下げていました

その二つの記事の後に投稿した信頼できる政治のあり方」の中では「自分自身も省みる中で、完璧な記憶力はありません。すべての事象を正確に把握している知識や情報収集能力もありません。そのため、時には誤ったことを言葉にしてしまう場面もあります」と記し、次のような言葉につなげていました。

大切な心構えは誤りが分かった場合、すみやかに訂正し、謝罪することだろうと考えています。最悪な振る舞いは自分の誤りを認めず、その誤りを糊塗するため、嘘に嘘を重ねることです。絶対慎まなければなりません。権力者の誤りだった場合、権力者の意思に関わらず、周囲が忖度し、誤りを取り繕い、取り返しのつかない事態まで引き起こすこともあります。

最近の岸田総理は、旧統一教会友好団体トップとの面会や前述した政治資金パーティーの問題などで窮地に追い込まれています。岸田総理を守ろうとして周囲が忖度するような動きは見られない中、鈴木エイト氏、岸田首相の旧統一教会関係者との面会報道受け指摘「首根っこを掴まれたままとなる」』という報道のような危惧が生じています。

旧統一教会 被害者救済の法案 修正案が衆院で可決』という報道のとおり被害者救済に向け、政治の場面で一つの動きが見られています。しかしながら修正案について、元信者らを支援している全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士は会見を開き「被害者側の負担が大きい」などとしてさらなる修正を求めています。

阿部克臣弁護士は「自民党などの案では制度上の限界があり、被害者側の負担が大きい。修正案の付則で、財産保全のあり方を含め、検討を加えるとしているが、緊急性が高いので後回しにすべきではない」と話しています。

木村壮弁護士は「自民党などの案は被害者側が裁判を起こして保全するのを支援する内容だが、高齢の被害者などが大勢いる中で数年かかる裁判をできるのか疑問だ。一審で解散命令が出た場合、教団がなりふり構わず財産を処分することが想像され、その事態にどう備えるかが重要だ」と述べています。

このような声に対し、自民党の萩生田政調会長は「立憲民主党などの教団の包括的な資産管理ができないかという提案は、心情的にはよく理解したが、法案の立てつけとして非常に厳しく、最もスピーディーに実効性のあがる救済策を提案させていただいた」と説明しています。

確かにベターな判断の積み重ねで一歩ずつ前進していくことの大切さも場合によっては必要です。政治に対する信頼関係が築かれていれば「最もスピーディーに実効性のあがる救済策」という言葉も信じることができるはずです。

しかし、自民党と旧統一教会とのケジメの付け方に疑義が残り、極めて関係性の深かった萩生田政調会長からそのように説明されても「手心を加えているのではないか」という不信感が生じていくことになります。

先月放映されたNHKスペシャル『“宗教2世” 神の子はつぶやく』はドラマ仕立てでしたが、実際に起こっている事実関係を下敷きにした内容であることは明らかです。そのドラマのリンク先の紹介文には「母はどうして神様を信じたのか?」ある宗教団体に入ったことで一つの家族が形を変えていく…、と書かれています。

学校での友達付き合いや行事への参加を禁じられ、子どもたちも宗教活動を強いられる、このような関係性自体が問題であることは間違いありません。一人一人の信者は純粋で真面目な方が多いのだろうと思っています。しかし、善意からの強要だったとしても「宗教2世」の多くが深い傷を負ってきたことを見過ごしてはなりません。

高額献金の問題をはじめ、旧統一教会の様々な問題点が明らかになっています。そのような旧統一教会から選挙で手厚い支援を受けるなど緊密な関係性を築き、全国霊感商法対策弁護士連絡会の申し入れを黙殺し、広告塔の役割を担ってきた自民党の政治家が大勢いたことは周知の事実です。

毎日新聞の記事「なぜ自民はおとがめなし?」 旧統一教会問題で宗教法人が疑問視』では旧統一教会以外の宗教団体から上がっている率直な声を紹介していました。日本基督教団「旧統一教会とその政治団体である国際勝共連合と、自民党などの癒着による根本的な問題が明らかにされていない」と指摘しています。

生長の家は 「旧統一教会と安倍晋三元首相の関係について、まともな調査がされていない。自民党は長年、旧統一教会と密接な関係にありながら、その責任は一切取らず、自分の都合が悪くなると教団を切り捨てた。政治と宗教の関係が難しくなるだろう」と問題視しています。

幸福の科学は「(旧統一教会を)選挙活動に利用していた政治家の当選無効についても議論すべきだ」と訴え、大山ねずの命神示教会は解散命令請求について「旧統一教会と政府(自民党)の相当多数の国会議員との密接な関係を前提とした場合、中立性や公正性があるのか」と疑問視しています。

それぞれ真っ当な訴えだと思っています。随分前に統一教会問題の闇』という新書も読み終えていました。有田芳生さんと小林よしのりさんの対談本でした。特に興味深かった箇所に付箋を添えていました。

警察庁や警視庁は旧統一教会をオウム真理教と同様に「危険な団体」と捉えていました。ところが、上司から「その捜査はやめろ」と指示があったという当時の捜査員の証言をその新書の中で明らかにしています。政治家が介入し、怪しいカルト団体を見逃していることの驚きが語られていました。

各地の自治体で家庭教育支援条例が制定されています。古い家族観を行政が住民に押し付けるような内容ですが、旧統一教会信者の地方議員が中心となって推進してきた動きです。安倍元総理や自民党保守派の価値観と重なるものであり、旧統一教会が自民党の政策に影響を与えていた可能性について二人は語り合っています。

その一方で、自民党保守派と旧統一教会との思想的には捻れている関係性も『統一教会問題の闇』の中で取り上げられています。この点について小林さんはウクライナ戦争論2』の中でも強く問題視し、たいへん辛辣な言葉で自民党保守派らを次のように批判していました。

過去に「神の国」・韓国を植民地支配していた「サタンの国」・日本は、その罪の償いのために未来永劫、無限に献金すべきなどという「自虐史観」を利用して日本人からカネを巻き上げ、家庭を崩壊させる「反日カルト団体」に、国家権力が蝕まられていた。

この事実こそ、さすが日本、お花畑の平和ボケの国だ。今回の事件で愉快なのは、自称保守派やネトウヨが、実は保守でも何でもなかったと白日の下に晒されたことである。

統一協会が韓国発の「反天皇・反日」を唱えるカルト教団であることを認識しながら自民党保守派らは関係性を深めていたのでしょうか。認識しながらであれば節操のなさが問題であり、認識していなかったのであれば政治家としての情報収集能力の欠如ぶりが問題となります。

いずれにしても旧統一教会との関係性に対し、自民党全体での総括が決定的に不足したまま現在に至っているため、不信感が拭え切れていないのだろうと思っています。昨年10月の記事から数えれば「Part3」に当たる旧統一教会と自民党の問題を「旧統一教会と自民党、2023年冬」というタイトルのもとに様々な思いを綴らせていただきました。

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2023年12月 2日 (土)

立て続くパワハラに関する報道

組合の執行委員長を退任してから前回記事時事の話題から政治に思うこと Part2」のようにYahoo!のトップ画面等で見かけたニュースを取り上げる時が増えています。ここ最近はパワハラに関する報道を頻繁に目にするようになっています。

労働組合の役員だった時、組合員の皆さんからパワハラに当たるような様々な相談を数多く受けてきました。このブログでもパワハラ防止に向けてハラスメントのない職場の確立に向けて」など、パワハラを題材にした記事を投稿しています。

仮に使用者側の思惑だけで労働条件が決められていった場合、昨今、問題視されている「ブラック」を生み出す土壌につながりかねません。パワハラや違法な長時間労働を常態化させるような職場は労働組合がない、もしくは組合の存在感が希薄な場合に生じがちです。

公務員の職場だから心配ないと考えている方々も多いのかも知れませんが、公立学校の職場で教員間でのパワハラが大きな問題となりました。職務上の縦の関係だけでは改められなかった事例だと見ています。もし労働組合があり、影響力を発揮していれば陰湿なパワハラも未然に防げたのではないでしょうか。

上記は以前の記事の中の一文です。もちろん労働組合がしっかりしていればパワハラは発生しない、そのような単純な問題ではないことも理解しています。このあたりについて、いくつか時事の話題を紹介しながら少し掘り下げていく機会としていきます。

まず「すみませんで済むかっ!」福岡・宮若市長にパワハラ疑惑…直撃に「謝罪のしようがない」 夫婦の育休に“必要ある?”発言もパワハラ・セクハラ疑惑の愛知・東郷町長、議会は不信任案「否決」…32席の傍聴席に町民ら60人超という報道にある自治体の首長のパワハラです。

福岡県宮若市の塩川秀敏市長は「本人との仲でね。信頼関係の中で、私が言った相手がどう取ったかというのを一番大事にしたい」とし、あくまでも相手への激励の意味だったと主張していました。さらに「職員の幸せなくして市民の幸せなし。職員が働きやすい幸せな職場を作る」ということを第一条件にしていると付け加えています。

紹介したニュースのサイトで伝えている塩川市長と部下とのやり取りが、とても信頼関係や激励という言葉で語れるような類いのものではありません。塩川市長も「相手がどう取ったか」と話していますが、テレビ画面で見た姿からは真摯に反省しているように到底感じられません。

ハラスメントとは「他人に対する発言や行動などが、本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることをいう」とされ、行為者が無自覚であることが多く、受けとめる側に個人差があることも特徴です。

今の時代、このような説明を首長であれば何回も耳にしていたはずです。それでもパワハラと断定されるような事例が後を断ちません。行為者の無自覚さでは、上記の報道のとおり愛知県東郷町の井俣憲治町長が際立ち、釈明の仕方も稚拙なものでした。

「殺すぞ。死ね。バカ」などという暴言も「話の流れで不用意に使ってしまった。漫才の突っ込みのようなつもりだった」と釈明していますが、東郷町の職員全体が井俣町長に嫌悪し、ただちに辞職して欲しいものと願っているようです。その象徴的な出来事がリンク先のニュースの中で伝えられています。

24日朝、机上にハラスメントの事案を明記した封書が置かれていたことを明らかにした。独自にアンケートを行った町幹部の名前で、「24日中に辞職しなければ、表に出す」という内容だったため、27日、愛知署に対応を相談したという。

井俣町長が警察に相談したことを伝えていますが、そのような判断にも違和感があります。堂々と自分の名前を明記した文書であり、これまでの関係性から面と向かって直訴できず、やむを得ず手紙に託したような意図を感じています。

この警告に井俣町長は恐怖感を覚えたような話しぶりでしたが、それまで部下に与えてきた自分自身の振る舞いを考えれば、警察に相談するよりも訴えた職員の切実な心情をくみ取ることが先だったように思っています。

二人の首長のパワハラが報道されていますが、残念ながら氷山の一角なのかも知れません。首長に限らず、権力の大きさに比例し、無自覚なパラハラの生じる可能性が高まります。このような報道に接した際、他人事とせず、常に自分自身はどうなのか、見つめ直す機会にしていくことが重要です。

パワハラをなくしていくためには、発生した事実関係を認め、関係者が適切な責任を取った上で、今後の防止策を講じていくことが欠かせません。明らかなパワハラ事案に対して「パワハラはなかった」というような姿勢だった場合、再発防止の道のりから遠ざかっていくのではないでしょうか。

そのような意味合いから『宝塚歌劇団 遺族側 “パワハラ否定のまま解決はありえない”』という報道にあるような宝塚歌劇団側の「いじめやパワハラは確認できなかった」という調査結果には大きな疑問が残ります。25歳の劇団員を自死に追い込んだ重大な事実に対し、遺族側が憤るとおり真摯な対応だとは思えません。

楽天・安楽投手を自由契約に  暴言、罰金など10人がパワハラ被害』の報道は、球団側が事実関係を全面的に認めなくてはならないほど「周知の事実」だったと言えます。パワハラに対する楽天の安楽智大投手の無自覚さは論外なレベルですが、ここで留意しなければならない光景や関係性があります。

田中将大「注意すべきだった」 楽天・安楽投手パワハラ問題受け』という報道のとおり楽天の田中将大投手が自身のSNSを通じて「自分もチームの年長者としてもっと後輩たちの様子に気を配り、気軽に相談され、問題があれば率先して注意すべきであった。意識が甘かったと反省しています」とコメントしています。

安楽投手がロッカールーム内で若手選手の下半身を露出させたりした行為を田中投手をはじめ、多くの選手や楽天の関係者が見ていたように伝わっています。同様な行為は複数回あったようです。結局、目撃しながらもパワハラという認識に至らなかったのか、上下関係の歪さから我慢を強いられていたような光景を想像しています。

田中投手のコメントは安楽投手の行為を目の当たりにしながらも、お互い納得している冗談やふざけ合いだと認識してきたため、注意できなかったことを省みるものだと受けとめています。このような場面に際して軽微さの違いはあったとしても、前述したとおり他人事とせず、常に自分自身はどうなのか、見つめ直す機会にしていくことが欠かせません。

苦い思い出があります。青年婦人部スキーの宿泊先での夜、20人近くが一部屋に集まって飲んでいました。その場にいた参加者の一人が話題の中心となって、皆で笑い合っていました。いわゆる「いじられキャラ」として本人も一緒に楽しんでいるものと思っていました。

それが何日も経った後、私に対して「あの時、話の流れを変えてくれることを願っていました」と告げられ、たいへん驚きました。自分自身の認識の甘さから力になれなかったことを即座にお詫びしていました。30年以上前の戒めですが、それ以降、同じような至らなさを繰り返していなかったかどうか省みています。

最後に『日大アメフト部員、初公判で沢田康広副学長に「もみ消してもらえると…」、大麻使用は「10人程度」』という報道です。リンク先の記事内容のとおりであれば日大アメフト部の監督も含め、よりいっそう日大側の組織としてガバナンスの問題が問われていきます。いろいろ話を広げられる報道ですが、今回の記事ではパワハラを軸にした話題を紹介します。

検事だった沢田康広副学長が林真理子理事長をパワハラ提訴しています。リンク先の記事で菊地幸夫弁護士が「この2人で争っている場合ではないという日大の状況が、よく理解できていないんじゃないか。理屈よりもメンツの争いになってきて、泥沼に入ってきたという印象です」と苦言を呈していますが、学生たちのことを考えれば本当にそのとおりだと思います。

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