2023年末、今の政治に思うこと
今年も残りわずかです。毎週、土曜か日曜に更新している当ブログですが、これまで曜日に関わらず、必ず元旦に新年最初の記事を投稿しています。そのため、今回が2023年に投稿する最後の記事となります。
前回記事「今年も不戦を誓う集会に参加」の冒頭で、自民党の裏金問題は「今後の捜査の進展などを見定め、場合によって次回以降の記事で改めて深掘りしていくことも考えています」と記していました。
最後のほうでは、どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうか、その「どうすれば」は少し前に投稿した記事「平和の話、インデックスⅣ」や「戦火が消えない悲しさ Part2」などに綴っている内容の焼き直しでもあり、また別な機会に譲るとも記していました。
それぞれ年を越す前に「2023年末、今の政治に思うこと」という記事タイトルを付け、もう少し付け加えたかった自分自身の問題意識などを書き進めてみるつもりです。
まず自民党の裏金問題です。『「政治資金規正法はザル法だ!」 裏金受け取った議員の立件には高いハードルも 法律の問題点とは? 元東京地検特捜部検事・郷原信郎弁護士が捜査のポイントを詳しく解説』という法律自体の不充分さの問題があることも確かです。
しかし、安倍派内で横行してきた政治資金パーティーのキックバックに伴う収支報告書不記載の問題などは、現行法制の枠内から明らかに逸脱してきた事案です。ここまでは大丈夫というグレーゾーンの話ではなく、明確なルール違反が慣例化されてきたことを厳しく追及しなければなりません。
『「派閥の弊害除去」明言、34年前の自民党「改革大綱」に再注目 リクルート事件受け策定も空文化』『自民党が30年前に掲げた「脱派閥」はどこへ…「政治資金の透明化」も「派閥パーティー自粛徹底」も』の報道のとおり国民からの批判が高まり、それまでのルールを改めたのにも関わらず、守られてきていないという自民党全体の緩みや驕りが非常に憂慮すべき現状だと思っています。
確かに郷原弁護士が「ザル法」と指摘している問題を解消するため、会計責任者だけが重い罪を負わされるのではなく、事務所の実質的な責任者である政治家自身を政治資金規正法違反で容易に立件できるような法改正は必要なのかも知れません。
それでも最も重要な点は、定められたルールを重い責務のある政治家が率先して守る、この当たり前な振る舞いができるかどうかです。あまりにもルールを軽視した政治家の多さに国民は憤り、政治に対する信頼感を失墜させつつあります。
今後「再発防止のため、次のようにルールを変えました」と説明されたとしても、ルールを守ることを軽視した政治家が一掃されない限り、同じ過ちは繰り返されていくのではないでしょうか。いみじくも今回の問題の深刻さを受けとめていない安倍派幹部の本音を垣間見れる雑誌が最近発売されています。
月刊誌Hanada最新号に掲載された西村康稔前経産相と世耕弘成前参院幹事長のインタビューは、東京地検特捜部が安倍派を強制捜査する前に実施されていたようですが、『「はあ????????」パーティー裏金捜査前、安倍派2人の「首相に意欲」報道にネットでは怒りの声』という批判を受けています。
強制捜査後の萩生田光一前政調会長は、裏金問題を聞かれて「安倍派幹部に就いたのが安倍元首相が亡くなった後で、正直、会計のことはよく分かっていない」と語っています。残念ながら、このような言葉から問題の深刻さや派閥幹部としての当事者意識は伝わってきません。
そもそも雑誌の編集者側自体、この問題を軽視し、論点のすり替えや陰謀論的なとらえ方をしている様子が随所にうかがえています。例えば安倍派の議員一人当りで考えれば数十万円程度の問題とし、矮小化するような発言があります。
しかしながら安倍派の不適切な慣行は20年前から始まっていると言われています。時効の成立していない5年間での裏金5億円という数字も、実際は4倍換算の20億円と見なければなりません。いずれにしても金額の多寡よりも、意図的かつ組織的なルール違反が長年まかり通ってきたことを問題視しなければならないはずです。
今回の記事を書き進める際、文春オンラインの記事『《元検察首脳が証言》「無理筋の事件を潰すのが上の役割だった」なぜいま安倍派に捜査のメスが入ったのか?』にも目を留めていました。その記事の最後のほうに綴られている次のような見立てに「なるほど」とうなづいていました。
実際、安倍政権時代、法務・検察は与党政治家のからむ事件の捜査に神経を使っていた。安倍自身が告発された桜を見る会などの著名な事件は別にして、法律解釈が分かれるような事件では、検察上層部が「筋悪」と判断し、人知れず闇に葬ることもあった。
数々の特捜事件を指揮した元検察首脳は「無理筋の事件を潰すのが上の役割。現場の評判が悪くなっても、特捜幹部と示し合わせてボツにすることもあった」と振り返る。それは、あくまでも検察の理念である「厳正公平・不偏不党」の名のもとに行われたが、捜査される側からすると、「ありがたい忖度」に見えたことだろう。
安倍政権時代、露骨な政治介入はなかったとしても、無理筋かどうか検察上層部が判断していたことは事実だったのだろうと改めて理解できる記事内容です。その時の判断理由が、検察の理念である「厳正公平・不偏不党」だったという記述に注目しています。
このような経過や背景があり、今回の安倍派を中心にした裏金問題につながっているのであれば興味深いものがあります。しかし、ここで検察側にも注文を付けなければなりません。過去の遺恨や面子から「事件ありき」で突き進みすぎることなく、それこそ「厳正公平」な対応をはかられることを願っています。
ちょうど今、真山仁さんの『ロッキード』を読み進めています。12月16日、田中角栄元総理が没してから30年という節目の日を迎えていました。『角栄に花束を』第10巻も最近読み終えています。いろいろ田中元総理の「功」の部分に触れる機会が増えています。
『ロッキード』を読み終えてから年明け、機会があれば田中元総理に関わる話を当ブログの題材にしたいものと考えています。ここでは1点だけ書き添えます。田中元総理の逮捕は無理筋かどうか極めて慎重な判断が必要だったはずであり、政敵関係にあった三木武夫元総理のもとでの大きな岐路となっていました。
「今の政治に思うこと」という記事タイトルを踏まえれば、定められたルールは守る、嘘はつかない、過ちがあれば率直に認め、適切な責任の処し方をわきまえた人物による政治であって欲しいものと願っています。与野党を問わない当たり前な話ですが、その願いとのギャップの多い現状に憂慮しがちです。
安倍派を筆頭に今の自民党政治家の緩みや驕りは、ある程度の不祥事があっても政権の座から下ろされることはないとタカをくくっているように思えてなりません。やはり失点を重ねれば政権交代するという緊張感のある政治的な構図が必要であり、野党側の奮起にも期待しなければなりません。
自民党の裏金問題に絡んだ話だけで相当な長さとなっています。どうすれば戦争を防ぐことができるのかどうかについては中途半端に触れず、たいへん恐縮ながら年を越してから機会を見ながら改めて取り上げさせていただきます。
最後に、この一年間、当ブログを訪れてくださった皆さん、本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は冒頭で述べたとおり元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは少し早いかも知れませんが、 良いお年をお迎えください。
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