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2023年11月25日 (土)

時事の話題から政治に思うこと Part2

前回の記事は「時事の話題から政治に思うこと」でした。今週末に投稿する新規記事は、もう少し題材を絞った内容にすることを考えていました。ただ自分自身が気になり、情報の拡散として紹介したい時事の話題が目白押しだったため、結局「Part2」を付けた記事として今週も間口を広げた内容に取りかかっています。

まず石川県の馳知事が「事実誤認」として全面撤回した発言の問題です。自民党の東京五輪招致推進本部長を務めた馳知事は都内で開かれた会合で、招致活動時に安倍元総理から「必ず勝ち取れ。金はいくらでも出す。官房機密費もあるから」と告げられたという話を披露していました。

事実であればIOCの倫理規定に抵触する問題です。さらに官房機密費の不透明さなどを改めて浮き彫りにした発言だったと言えます。LITERAの最新記事『安倍首相が「官房機密費あるから、いくらでも出す」…馳浩の五輪招致買収工作発言で改めて注目される「官房機密費」の不正な使われ方』で、その問題性を詳述しています。

ジャーナリストの鮫島浩さんのブログ馳知事が東京五輪招致活動で安倍首相から「金はいくらでも出す。官房機密費もある」と告げられたとうっかり明かしたことで再び焦点に浮上した内閣官房機密費』や『青木理氏  馳浩氏の〝機密費発言〟に皮肉「内幕をバラしていただいて、ありがとうございます」』という記事にも目を留めていました。

前回記事でも取り上げた『阪神とオリックスのVパレード  大阪と神戸、公務員「動員」待遇に格差』に対しては、自治体職員の立場や労働組合の元役員という立場から引き続き注目していました。「部署内で希望者を募ったが目標人数に達せず、やむを得ず参加した」という大阪市の50代男性職員は、取材に「同じイベントなんだから兵庫県や神戸市と同じ待遇にしてほしかった」と答えています。

調べてみると2003年、星野監督率いる阪神がリーグ優勝した時も大阪府と大阪市の職員はボランティアで参加していました。今回と同様、休日出勤ということではなく、記念のジャンパーが配られただけだったようです。昨日夕方には吉村大阪府知事  Vパレードに公費投入でボランティア募集したくなかったけど…法的な裏事情を告白』という新たな舞台裏の情報が配信されています。

しかしながら現在の世間一般の見方は、兵庫県と神戸市の対応がまっとうであり、大阪府と大阪市の判断が問題であるというものです。それにも関わらずパレードに公務員を無償動員  吉村氏「ファンの顔見て批判できるか」』という報道のとおり吉村知事は不調だったクラウドファンディングも含め「反省すべきところは何もない」と言い切っています。

日本維新の会の馬場代表は阪神&オリ優勝パレードでの大阪府市職員「ただ働き」指摘に「拒否感がある方はお見えになっていない」』と語っています。自発的にボランティアでも大阪を盛り上げていくことに協力したいという本来公務員が持っている使命感に基づいて参加しているため、強制には当たらないという見方を示しています。

このような記事のヤフーのコメント欄では「ボランティアとは名ばかりで、実質的には半強制的な動員です。しかも無給で働かされ、代休を取ることも許されません。行政のトップの立場から職員に対し、やりがい搾取をしているのです」「ファンや選手のためならタダ働きをしろという発想が、どこから出てくるのか、ファンや選手だって、まさかそんなことは思っていまい」というような辛辣な声が数多く寄せられています。

維新の江東区議も選挙中に有料ネット広告』という問題で、報道陣の取材に馬場代表は「無料と有料との勘違いをしていたと聞いている。すぐに削除したということで、これは私はケアレスミスの範疇に入るのではないかなと思う」と語っています。法律に違反することを「知らなかった」や「勘違い」で許されるものなのか、野党第一党の座をうかがう政党のトップの発言として認識の甘さに驚いています。

内閣支持率や自民党の支持率が下降線をたどり、日本維新の会も失速しがちな中、前回記事でも触れたとおり立憲民主党の奮起に期待しています。連合や自治労と支持協力関係のある政党であることも理由の一つですが、 枝野前代表の問題意識」という記事に託しているような期待感を抱いています。

インボイス「反対署名」50万筆超!  立憲「廃止法案提出」も蒸し返される連合・芳野会長「着実に導入」発言』という見出しの記事をはじめ、立憲民主党と連合とのすれ違いぶりを強調した報道を目にする時が増えています。中には、あえて際立たせるような意図的な伝え方も散見しています。

上記の報道は今年9月25日に配信されたものですが、芳野会長の「着実に導入」という発言は昨年11月29日付の日本経済新聞のインタビュー記事の中のものです。インボイス制度について聞かれ「インボイス制度は消費税の制度的な不備を改善する観点で着実な導入が必要だ。導入の前提として免税事業者が取引から排除されたり、不当な値下げを要請されたりしないよう取り組みを強化する必要がある」と答えていました。

時間軸や前提条件の取り組みの可否などを踏まえれば、反対署名と芳野会長の立場がそれほど乖離しているようには思えません。消費税やインボイス制度そのものに反対している方々とは相容れなくなるのかも知れませんが、連合と立憲民主党との関係性で考えれば「溝ありき」の見出しだと感じていました。

PRESIDENT Onlineでは、ジャーナリストの尾中香尚里さんのなぜ自民党候補の落選が相次ぐのか…岸田首相の失政だけではない、立憲民主党の存在感が増しつつある理由』という見出しを付けた論評を目にしています。「存在感が増しつつある」という見方は意外でしたが、その記事の中で次のような記述もありました。

芳野氏は11月9日の泉氏との会談で、次期衆院選で共産党の支援を受ける候補は推薦しない方針を伝えた。しかし翌10日の記者会見で、立憲候補の演説に共産党関係者が応援に駆けつけることについて「現実問題として仕方ない」とも述べた。「他党の支援がなくても勝てるよう地力をつけてほしい」とも付け加えたものの、芳野氏の発言としてはかなり意外性のあるものとなった。

長い記事になっていますが、最近の野田元総理に絡む話題も紹介します。岸田首相に「国民の愛想が尽きた感」支持率低迷受け「総理として適材適所なのか」』の中の「人気取りばかりやって支持率を回復しようとするのはだめ。不人気なことでも国のために押し通すというところを見せれば上がってくる可能性はある」という言葉に共感しています。

最後に、中央公論12月号に掲載された野田元総理の『痛感した総理の重責、再び非自民で担う覚悟あり』という記事を紹介します。その記事の中で、国民からの期待に充分応えられず、結果的に再度の政権交代を遠ざける要因となった民主党政権時代の問題点について野田元総理は次のように語っています。

我々は、「自分たちが政権を取ったらこれをする」というマニフェスト(政権公約)作りに力を入れました。その取り組みが、金やしがらみなどではなく、政策で争う選挙の実現に貢献したのは確かだと思います。

しかし、いざ選挙に勝って政権の座に就いてみると、政権をきちんと維持していくためのマネジメントのところで、様々な問題に耐えうるだけの力量を欠いていたんですね。中でも意思決定の仕方、プロセスが曖昧だったのは問題でした。経験不足もあったのですが、政権交代可能な政党としては未熟な政権運営だったと、素直に認めざるを得ません。

未熟さの結果、起こったのが「政治主導」の履き違えという問題です。本来、政治がイニシアチブを取り、官僚を動かしながら協力していかなくてはいけないのに、ともすれば彼らを抑え込んで自分たちがやるんだ、というスタンスになってしまった。

「官僚にお任せ」の政治を何とかしたいという思いがあったとはいえ、結局両者の関係がギクシャクして、肝心の政策実現に支障をきたすような状況を招いたのは、大きな失敗でした。そこは、民主党政権の最大の反省点だと思っています。

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2023年11月18日 (土)

時事の話題から政治に思うこと

前回記事「ブログで振り返る組合役員時代 Part2」の冒頭に記したとおり組合役員を退任してから必然的に組合活動を題材にした記事は減少しています。以前であれば今年度の賃金改定交渉のことなどを取り上げていた時期です。組合活動の季節感から遠ざかり当ブログの内容は時事の話題を取り上げる時が増えています。

前回記事の冒頭では『勤労感謝の日に職員3000人を7時間タダ働きさせようとする大阪府・大阪市のヤバさ  これが「維新流」?』『「議員の職務が忙しくて」神田財務副大臣、税金滞納問題で答弁』という報道に目を引かれていたことを伝えていました。

前者は労働組合の役員だった立場から、後者は現在の職務である徴税吏員という立場から、それぞれ突っ込み所満載で、たいへん憤りを覚える話だと言えます。単体で新規記事の題材にできる時事の話題ですが、今回は記事タイトルに掲げているとおり「時事の話題から政治に思うこと」として間口を広げた内容を書き進めていきます。

その後、ネット上で目にした前者の問題に関わる記事を紹介します。まず『吉村府知事、阪神とオリックスの優勝パレードで公務員のボランティア動員をネタにし批判殺到「じゃあ万博やめろや」』ですが、吉村知事は「間近で警備ありますし、ジャンパーとかもお渡ししますから」と語り、ボランティアの特典をアピールしています。

優勝パレードで大阪市の職員に「人数は次の通り」メール連絡…しかし『ボランティアで手当も交通費も無し』に異論の声「ボランティアの域を超えている…事故起きた場合に誰が責任をとるのか」』という記事内容によれば、市税事務所ごとの割り当て人数が明記され、所属ごとに参加者を記載する用紙が業務レベルで配られています。

ここまで職務のライン上での動員を要請していながら「辞退できるからボランティア」という言い分は詭弁の類いです。兵庫県や神戸市は安全対策のためにも職務として行なうべきと判断し、職員1500人を休日出勤扱いにしています。この対比からも大阪府と大阪市の異常さが際立ち、違法性自体問われる大きな問題だと言えます。

このブログでは以前「時間外勤務における移動時間の取扱い」「移動時間の時間外勤務認定基準」という記事を投稿しています。時間外勤務の法的な位置付けなどを掘り下げていましたが、使用者の指揮命令のもとでの勤務かどうかがポイントとなります。いずれにしても今回の問題は議論の余地がないほど吉村知事らの判断の不当性を指摘せざるを得ません。

後者の問題では「税金滞納」神田財務副大臣が辞任  2カ月で3人辞任「メガネくもりっぱなし」岸田首相の人事にあきれる国民』という報道のとおり神田憲次財務副大臣は辞任に追い込まれています。「職務の話、インデックス」という記事を通し、私自身の徴税吏員としての職務に対する心構えなどを伝えています。

「納めたくても事情があって納められない」という厳しさや苦しさを日々の仕事の中で、多くの方々から相談を受けています。そのような方々ばかりではなく、確かに滞納に至る理由は様々です。しかし「忙しくて滞納した」という理由を国会議員、それも財務副大臣の口から発せられるとは夢にも思いませんでした。

9月の内閣改造以降、買春疑惑が報じられた山田太郎文部科学政務官、有料ネット選挙運動を江東区長選で助言した柿沢未途法務副大臣が辞任していました。 岸田総理は「辞任ドミノ」と批判されることを懸念していたようですが、神田財務副大臣が辞任するまでの遅さはそれ以上の批判の高まりにつながっていました。

それぞれ辞任に追い込まれた問題が、自分自身の就任した省庁の所管する事項に関わる話であり、岸田総理の「適材適所で任命した」という言葉が強烈なブラックジョークとして跳ね返ってきています。直近の世論調査で軒並み内閣支持率は下降線をたどっています。それにも関わらず、大阪万博の問題などで失速している日本維新の会をはじめ、対抗すべき野党側の支持率も低迷したままです。

そのような中で日本保守党に勢いが見られています。とは言え『「日本保守党」の街宣動画がSNSで物議  演説中止訴える店員に野次…「ニヤニヤ」河村たかし名古屋市長の様子に批判』という報道などを目にすると、いろいろな意味で政党としての未熟さが目に付いてしまいます。

「関係ない一般の人も通行できないほどの人混みでかなり危険な状態になってるにも関わらず、演説を始めるの信じられない」「15分くらい動けなかったです。警察来たから助かったけど、もし昨年の梨泰院みたいになってたらと思うと」などの声が上がり、このような事態に対する初動の遅さや緊張感のなさが批判されていました。

前々回記事「善悪二元論から思うこと」の中でも日本保守党について触れていましたが、レイシズムの問題と結び付けて政党批判するつもりはありません。それでもLGBT法への反対が新党結成の直接的動機となっているとおり価値観を画一化し、多様性に対する不寛容さが目立ちがちな点について危惧しています。

「心が女」主張して「女湯侵入男」逮捕…SNSで吹き荒れる「稲田朋美の責任を問え」に稲田氏が回答』という報道で、百田代表が「腹が立つのは稲田朋美や」とLGBT法を推進した稲田衆院議員を強く批判していることを伝えていました。この批判に対し、稲田議員は次のように答えています。

公衆浴場や温泉施設の利用に関して厚労省が管理要領を定めており、男女の判断基準は身体的特徴によるものとすることになっています。これは理解増進法が制定される前後で全く変更はありませんし、法制定前も後も犯罪であるということをX(旧Twitter)上などで繰り返し申し上げてきました。

この問題では、稲田議員が冷静で理性的な対応をはかられているものと思っています。自分勝手に法律を解釈し、悪用する一部の不届き者の存在を盾にして、国際的な潮流に逆らいながらLGBT法の理念そのものに反対していく姿勢には到底賛同できません。

日本保守党に限らず、政権の一翼を担う政党をめざしていくのであれば、ぜひ、多様性を尊重していく政策も柱に掲げて欲しいものと願っています。基本的な問題意識の近さから立憲民主党の奮起を期待しているところですが、政党支持率は伸び悩み、日本維新の会よりも下位にランクされている調査結果が目立っています。

少し前の記事「連合と政党との関係性」の中で「より望ましい政治に近付けていくためにも、連合全体として応援できる政権の受け皿となり得る野党が存在感を発揮していくことを願っています。複数の政党が連携する場合は、野合と批判されないような旗印を掲げた政治的な勢力であることを期待しています」と記していました。

最近『共産から支援受ければ「推薦できない」 連合が衆院選基本方針、立民に圧力』という報道を目にしています。見出しは端的な言葉で掲げられていますが、基本方針は「(連合の理想とは)異なる社会の実現を目的に掲げる政党から支援を受ける候補者は推薦できない」という文言となっています。

共産党を念頭に置いていることは明らかなようですが、連合のめざしている社会像が国民の多くから支持され、その目標に向かって共同歩調を取れる政党であることが確認できるのであれば、状況に応じて柔軟な対応が求められているように感じつつあります。 

今後、最も大きな問題として消費税に対する向き合い方が焦点化されていくように思っています。私自身は消費税引き上げの問題」「政策実現と財源問題 ベーシックサービスと財源論」「ベーシックサービスと財源論 Part2 枝野前代表の問題意識」という記事に託しているとおり消費税の引き下げに懐疑的な立場です。

そのため『『立民の「消費減税見送り」方針、党内政局の火種に』という報道に接し、泉代表の示した考え方で党内が結束されていくことを切望しています。減税を公約に掲げたほうが選挙で票は得やすいのかも知れませんが、「政治の力で公共サービスを充実させ、社会全体で互いに支え合う」ために消費税は重要な財源だろうと思っています。

最後に、組合活動の季節感から遠ざかっていると記していましたが、季刊誌『とうきょうの自治』の秋号が届きました。担当している連載記事で慶応大学の井手英策教授の著書『どうせ社会は変えられないなんてだれが言った? ベーシックサービスという革命』を紹介しています。その記事の最後に紹介した井手教授の明解な言葉をここでも掲げさせていただきます。

増税に反対する人たちがいます。たしかに増税がなければ、取られる分は少なくてすみますよね。だけど、それはマイナスがゼロになるということであって、増税がなくなることで、よりよい社会に変わるわけじゃありません。

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2023年11月11日 (土)

ブログで振り返る組合役員時代 Part2

戦火が消えない悲しさ や 「善悪二元論から思うこと」など最近の記事はガザ地区での戦闘などを題材にした内容を投稿しています。1年前の今頃は「組合役員を退任」や「最後の定期大会」など組合活動に関わる内容の投稿が続いていました。

組合役員を退任してから必然的に組合活動を題材にした記事は減少し、時事の話題を取り上げる時が増えています。直近の話題で言えば『勤労感謝の日に職員3000人を7時間タダ働きさせようとする大阪府・大阪市のヤバさ  これが「維新流」?』『「議員の職務が忙しくて」神田財務副大臣、税金滞納問題で答弁』に目を引かれていました。

前者は労働組合の役員だった立場から、後者は現在の職務である徴税吏員という立場から、それぞれ突っ込み所満載で、たいへん憤りを覚える話だと言えます。単体で新規記事の題材にすべき時事の話題ですが、今回は記事タイトルに掲げているとおり久しぶりに組合活動に関わる内容を書き進めていきます。

金曜夜、組合の定期大会が開かれました。執行部側ではなく、会場の座席から壇上を見上げる参加は38年ぶりのことです。昨年11月11日の定期大会で執行委員長を退き、ちょうど1年が経っています。そのような節目のタイミングだったため「ブログで振り返る組合役員時代 Part2」というタイトルの記事に向き合っています。

ブログで振り返る組合役員時代」という記事は6月末に投稿しています。青年婦人部副部長として執行委員になってからの話を綴っていました。過去のブログ記事にリンクをはり、少しだけ要旨を書き足すつもりでしたが、なりゆきから「組合役員を続けている理由」の内容をベースにして長い文章となっていました。

そのため、青年婦人部時代の内容までで一区切り付けていました。この先は次回以降、また機会を見て「Part2」として書き進められればと記し、最後に「来週末になるのか、再び半年以上先になるのかどうか分かりませんが、個人的なブログですのでご理解ご容赦ください」と結んでいました。

結局、半年近く経って「Part2」を手がけることになりました。今回、あらかじめ取り上げる期間を決めて振り返ってみるつもりです。青年婦人部を離れ、執行委員として主に情宣部長を担い、書記次長、副委員長、書記長を務めてきました。今回の記事では委員長になる前の組合役員の頃、特に印象に残っている出来事などを紹介します。

このブログの中で情宣部長時代のことは直接的な題材として取り上げていませんので、担った役割などを簡単に紹介します。『闘争ニュース』と呼称した組合ニュース、年に数回発行した機関誌、学習会などの企画運営を情宣部長として担当しました。忙しい役割でしたが、 文章を書くことが好きでしたので、あまり苦にしていなかったはずです。

1990年代のことで、当時、春闘期に組合員対象の連続学習会を催していました。講師として、菅直人さん、保坂展人さん、佐高信さんらをお呼びしています。その後、たいへん知名度を上げられていった方々と担当者として接触していたことが懐かしい思い出となっています。

書記次長時代に関わった経験談として「登録ヘルパーの組合」という記事を投稿しています。福祉部健康課に所属していたため福祉職場の担当役員とし、一つの労働組合の立ち上げから解散までを見届けました。3年半という短い期間でしたが、登録ヘルパーの皆さんと一緒に頑張れたことは自分自身にとって貴重な経験だったと言えます。

自治労都本部の福祉視察派遣団の一員としてオランダ、デンマーク、ドイツに赴いたのも書記次長の時です。強烈な思い出があります。オランダのホテルから組合事務所に国際電話し、市議3期目に挑んだ元委員長が18票差で当選できなかったことを知りました。その時の驚きと落胆は相当なものだったことを覚えています。

応援した候補者が当選」という記事があるとおり元委員長は4年後に返り咲き、市議会議員を7期務め、市議会議長も担われています。最近の記事「枝野前代表の問題意識」の最後に記していましたが、元委員長は10月2日に逝去されています。私自身が長く組合活動を続けてきた中、最もご縁の深かった大先輩でした。

副委員長を1年務めた後、書記長を5年間担っています。書記長は事務折衝の窓口となりますので、職場課題全般を掌握しなければならない重要な役目を負っています。数々の行革計画絡みの提案と対峙し、当該職場の組合員の皆さんとの懇談会に数多く関わってきました。

そのような職場課題以外に私の書記長時代、たいへんな事件が立て続いていました。1年目の2000年9月、 私どもの組合と支持協力関係のあった衆院議員の山本譲司さんが政策秘書給与流用容疑で逮捕されました。26歳という若さで都議会議員となった時から山本さんとは推薦関係があったため、そのニュースに接した時の衝撃は忘れられません。

山本さんは逮捕直後、すみやかに国会議員を辞職し、搾取金に年利5%の利息をつけた約2千8百万円を国庫に返納されていました。当時、政界での秘書の名義貸しは恒常的な問題であるような見方もあり、大半の人は執行猶予がつくのだろうと予想していました。

しかし、実刑という予想外の厳しい地裁判決に驚いた記憶があります。山本さん自身は、有権者の期待を裏切り、国民の政治不信を増大させた責任は重いものとし、控訴せず一審での判決を受け入れていました。

1年2か月ほど服役した経験をもとに山本さんは『獄窓記』という著書を上梓しています。「塀の中から見た福祉」というブログ記事の中では、 連合地区協が山本さんを講師として招いた講演会で数年ぶりに再会していたことを伝えていました。

2年目の時に自治労不祥事問題が発覚しています。貴重な税金や組合費を払っている住民や組合員に対し、不正な裏金作りは極めて重い信用失墜行為です。自治労の不祥事問題に直面した各組合の大きな教訓だったはずですが、リンク先のブログ記事では岐阜県庁の裏金問題も取り上げていました。

4年目には不正入札事件が私どもの市役所内を震撼させました。リンク先の「組織の力、大事な力」の中で、当時の市長に対して「減給という責任の取り方では不充分である。辞職という最も重い責任の取り方こそ、市の再生に向けた大きなケジメだったはずである」と組合として申し入れたことを記しています。

振り返ってみると5年間の書記長時代、労働組合の本来任務とは離れた重大事への対応に追われていたことになります。委員長になってからの話はリアルタイムで、このブログの記事として投稿を重ねてきました。そのため「Part3」以降の記事は組み立てやすいのだろうと思っています。

ただローカルでマイナーな話が中心となりますので、大半の皆さんからすれば興味の薄い記事内容になるはずです。したがって、次回以降の記事は、いつものように時事の話題を取り上げながら投稿していくつもりです。「Part3」がいつになるのか分かりませんが、また機会を見て組合役員時代を振り返ってみます。

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2023年11月 4日 (土)

善悪二元論から思うこと

前回記事「戦火が消えない悲しさ Part2の最後のほうで「アメリカの顔色をうかがうことなく、日本政府は停戦から真の和平の道に向かうために汗をかいて欲しいものと願っています」と書き添えていました。

10月27日、国連総会でガザ「人道休戦」決議が121か国の賛成多数で採択されています。しかしながら日本政府は棄権という判断を下しました。G7参加国の中でフランスは賛成票を投じています。

そのような意味で「アメリカの顔色をうかがうことなく」という願いは早々に裏切られてしまったようで、たいへん残念なことです。今回の国連決議に法的拘束力は伴わないからこそイスラエルに対し、より多くの国から休戦を求められているという国際社会の構図が重要だったように思っています。

パレスチナの地での動きは今後も注視していくことになりますが、ウクライナでの戦争も続いていることを忘れてはなりません。今回の記事でもテロや戦争を防ぐためには、どのように考え、どのように振る舞っていけば良いのか、個人的に思うことを書き進めていくつもりです。

昨年末に投稿した記事「2022年末に『ウクライナ戦争論』」の中で、小林よしのりさんの『ウクライナ戦争論』の内容を紹介していました。特に印象深く、私自身も共感していた小林さんの訴えを改めて紹介します。

国家がなくなることなど、ないのだから戦争は必ず起こる!「平和は大切」と何億回、訴えてもムダだ!プーチンにも習近平にも「反戦平和」は通じない!戦争は必ず起こる!!

わしはグローバリズムではなく、国家が前提の「インター・ナショナリズム」が大事であり、国家と国家の独自性を尊重して交際していくしかないのだと訴えてきた。したがって「国際法」は、国家の主権を重んじて共存していくために、大事なものである。

このような考え方のもとに小林さんは「ゼレンスキー大統領は、自国のためだけに戦っているのではない。国際法を守るためでもある。ゼレンスキーは世界の弱小国のために戦っているとも言える」と評価しています。

ウクライナ戦争論2』も発売された直後に、すぐ手に入れて読み終えていました。このブログで取り上げるタイミングを逸していましたが、目を留めた箇所に付箋を貼っていました。「善悪二元論は決して幼稚ではない!」という見出しの頁です。

ウクライナとロシアの戦争を評する際、プーチン大統領が悪であるという論調に対し、“どっちもどっち論”という言説があります。侵略される側にも問題がある、いじめやレイプされる側にも原因がある、このような言説が「保守」を自称する者から続出していることを小林さんは痛烈に批判しています。 

確かに戦争に至るまで様々な要因があり、複雑な事情や歴史的な背景が絡み合っているのだろうと思っています。しかし、先に手を挙げたほうや加害者側が免責される理由など通常では考えられません。ウクライナ戦争においては、プーチン大統領が悪であることに間違いないはずです。

一方で、ガザ地区の問題はウクライナ戦争と切り分けて考えています。正当防衛や自衛のための戦争は認められていますが、過剰防衛は処罰の対象になりかねません。そもそもイスラエルの反撃や物流封鎖は、人道上の問題から国際法違反であるという批判も高まっています。

このあたりを踏まえ、前回記事に記したとおりハマスとイスラエルの戦闘はウクライナ戦争と切り分けて考えています。つまり善悪二元論では安易に語れない複雑さを感じています。話は広がりそうですが、もう少し善悪二元論という切り口から書き進めていきます。

ナチスドイツから壮絶な迫害を受けたユダヤ人に対し、ヒトラーが悪であることに異論は示されません。ユダヤ民族を本気で抹殺しようとした狂気は信じられない暴挙であり、そこには善悪二元論につながる怖さが潜んでいることにも目を向けなければなりません。

戦争当時、ドイツ国民の多くもユダヤ人が強制収容所に送られていることを知っていたはずです。それでも大きな批判や反対する動きは見られていませんでした。そこには優れたゲルマン民族、劣ったユダヤ民族という善悪二元論があったことも否めないはずです。

テロや戦争をなくすためにも善悪二元論について考えてみる必要があります。現在の国際法規を完全に逸脱した侵略戦争を仕掛けたロシアは悪として断罪し、そのことを猛省させなければ今後の国際社会の中で新たな侵略を許してしまう危険性について、このブログを通して繰り返し訴えてきています。

一方で、中国や北朝鮮が一線を越えない限り、話し合うべき相手国として一触即発の事態を回避するための外交交渉に力を注ぐべきものと考えています。お互い容易に歩み寄れず、決着点を見出すことが困難だったとしても、外交交渉の窓が開かれている限り最悪な戦争状態だけは避けられるはずです。

相手国内で自国民に対する人権抑圧行為等があれば、国際社会が足並みを揃えて改善を求めていかなければなりません。しかしながら外交交渉にあたっては相手国を悪と決め付けず、お互いの立場や主張を認め合いながら歩み寄りをめざす姿勢が重要です。

自分たちの言い分が絶対正しく、一歩も譲らないような対応に終始した場合、労使関係も同様ですが、それは交渉とは呼べません。加えて、相手側を蔑み、敵視した態度で臨んでいた場合、信頼関係のもとの実りある交渉から遠ざかっていくばかりです。

自分の国は素晴らしいと誇りに思うことも大事です。自分自身の考えの正しさに自信を持つことも当然です。同時に相手側の立場や多様な考え方を認め、敬意を表していくことも欠かせないはずです。

このような関係性が土台になって広がっていけば、無用な争いの種も減っていくものと信じています。ただ残念ながら日本に限らず、排外主義やレイシズムの問題が取り沙汰されがちです。ナチスドイツのホロコーストという極端な事例を省みるのであれば、そのような問題から脱却していく方向性こそ求められているものと思っています。

「日本を豊かに、強く」と訴える日本保守党が結成されています。結党宣言の最初に「日本ほど素晴らしい国はないと私は断言します」という言葉が掲げられています。このような言葉や考え方を否定しません。ましてレイシズムの問題と結び付けて政党批判するものでもありません。

ただ日本保守党の理念や立場を正面から背負った政治家が、もし外交交渉の場面での責任者になった場合、前述したような私自身の問題意識からすると非常に危ういことだろうと思っています。

「善悪二元論から思うこと」というタイトルを付けて書き進めてきましたが、最後にジャーナリストの鮫島浩さんのブログ『百田尚樹氏が旗揚げした日本保守党が岸田政権に与える打撃〜河村たかし名古屋市長を引き込んだ狙いと高市早苗大臣の動向』の中の一文も紹介します。鮫島さんらしい切れ味の鋭い一つの見方だろうと思っています。

LGBT法への反対が新党結成の直接的動機となったことに象徴されるが、日本保守党の政治理念の根底にあるのは、人権擁護、差別反対、格差是正、環境重視などの理念を掲げるリベラル勢力への嫌悪感だ。

安倍晋三元首相を熱狂的に支持してきた「安倍支持層」やSNSで左派への激しい批判(誹謗中傷にあたることも多い)を展開する「ネトウヨ層」の支持を引き寄せているのは、徹底した「反リベラル」の姿勢だ。

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