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2023年7月 8日 (土)

マイナカードの混乱と政治の責任 Part2

前回記事「マイナカードの混乱と政治の責任」の最後に「マイナカードの問題を切り口に他にも話を広げるつもりでした」と記していました。書き進める中で紹介したいサイトも増え、たいへん長い新規記事となっていたため、改めて今回「Part2」として政治の責任に絡む話につなげていきます。

マイナカードに絡む問題は連日メディアが伝えています。『マイナ保険証トラブル続出「延期しては?」の声に厚労省幹部「そうした仮定のことは考えていない」なぜ“来年秋の一体化”にこだわるのか?』という記事では、法改正もして来年の秋と決めたので「やるしかない」という政府の頑なさを伝えています。

【今の保険証じゃダメなの?】マイナンバーカード「暗証番号なしでも交付」「未取得者全員に資格確認書送付」で大混乱に拍車』という記事からは、政府側の迷走ぶりが伝わってきます。「保険証の機能しかないマイナカードなのであれば、今の保険証のままでいいじゃないですか」という意見は、まったくその通りだと思います。

もともと、マイナカードの取得は任意なのに、現行の保険証を廃止することで「事実上の強制」として進められていることに疑問の声があったわけだが、これだけトラブルが続出しているのにもともとの構想にこだわる政府の姿勢に批判が噴出するのは当然だろう。

あまりに不評のためか、河野デジタル相はテレビ番組で、「次にカードを更新する時には、マイナンバーカードという名前をやめたほうがいいんじゃないか」などと発言し、それに対して松野博一官房長官が「(名称変更は)政府として検討しているものではない」と否定するなど、混乱に拍車がかかっている。

前回記事のコメント欄で、あっしまった!さんから番号そのものは本人の意思に関わらず付番され、カードの所持が任意という仕組みなどについて、詳しく解説いただきました。そのような分かりづらさが混乱の原因であることも確かだろうと思っています。

このような仕組みの分かりづらさを踏まえ、河野大臣はマイナカードの名称変更について言及されたのだろうと理解しています。ただ結果的に混乱の火種を広げ、批判を受ける言動となっていました。いずれにしても本来、このような制度であることを踏まえ、政府は地道にマイナカードの普及に努める必要があったはずです。

さらに『マイナ事業で荒稼ぎするパソナと竹中平蔵氏 30年前の写真で「デタラメカード」が発行される問題も…役所の担当者は「上司が急かすから」』のような記事を目にすると、本当に「国民のため」を第一に考えた政策の推進なのかどうか疑念を抱かざるを得ません。

このような混乱は前回記事に綴ったとおり政治の責任です。混乱を収束させる責任も政治が負わなければならないはずですが、『河野大臣に丸投げ、混乱…首相の指導力見えぬマイナ問題』という記事のとおり岸田総理の危機意識の薄さも気になるところです。

金曜の朝には『マイナ問題、デジ庁に立ち入り検査へ  行政指導も視野  情報保護委』という報道まで目にしています。個人情報保護委員会は「デジタル庁が正確な操作手順の徹底のほか、リスク管理及び対策ができていなかった」と分析し、早ければ月内にも立ち入り検査を実施するという報道です。

一昨年夏「信頼できる政治の実現に向けて」というタイトルの記事を 「Part2」 「Part3」まで綴り、12月には「再び、信頼できる政治の実現に向けて」、昨年10月には「信頼できる政治のあり方」という記事を投稿していました。信頼できるかどうかについて、次のように書きしるしていました。

政党が掲げる政策や選挙協力のあり方について、すべての人からの納得は難しくても、より100%に近い人たちから「なるほど」と思えるような説明責任が政党には求められています。信頼できる政治の実現に向け、欠かせない試みであり、そのような対応が不充分だった場合、国民からの支持は限られてしまうのだろうと思っています。

「なるほど」と思えるような説明責任以前の問題として、政治家に限らず信頼を失墜する行為は嘘を重ねることです。自分自身も省みる中で、完璧な記憶力はありません。すべての事象を正確に把握している知識や情報収集能力もありません。そのため、時には誤ったことを言葉にしてしまう場面もあります。

大切な心構えは誤りが分かった場合、すみやかに訂正し、謝罪することだろうと考えています。最悪な振る舞いは自分の誤りを認めず、その誤りを糊塗するため、嘘に嘘を重ねることです。絶対慎まなければなりません。権力者の誤りだった場合、権力者の意思に関わらず、周囲が忖度し、誤りを取り繕い、取り返しのつかない事態まで引き起こすこともあります。

政権与党だけに絞った問題意識ではなく、野党である立憲民主党にも向けた言葉でした。今回の混乱は、健康保険証の廃止によって国民に対して実質的にマイナカードを強制していることが問題の発端です。

上記の考え方に照らせば、誤りが分かった場合、すみやかに訂正することが求められています。誤りを取り繕い、取り返しのつかない事態まで引き起こすことのないよう政治の責任として、必要な軌道修正をはかって欲しいものと願っています。

「政治の責任」というキーワードで、もう少し続けます。1年前に安倍元総理が凶弾によって非業の死を遂げられた後、自民党と旧統一教会の関係性が取り沙汰されてきました。この問題は昨年7月の「参院選が終わり、見えてきたこと」や今年4月の「選挙戦が終わり、改めて旧統一教会の問題」などを通して取り上げています。

最近の報道韓鶴子総裁「岸田を呼びつけて教育を受けさせなさい」内部音声を独自入手「日本の政治は滅びるしかないわよね」旧統一教会紀藤正樹弁護士「これが統一教会の真実です」 韓鶴子総裁の〝日本は賠償を〟発言を批判』から旧統一教会側の立ち位置は微動だにしていないことがよく分かります。

旧統一教会との関係を断ち切るとしている自民党はどうなのでしょうか。自民、旧統一教会との接点  今も公認候補選びなどで影』という記事に接する限り「信頼できる政治」に向けて劇的に変わったのかどうか、しっかり見定めていく必要があるようです。

最後に、今年5月Hanadaの記事から願うこと保守派に配慮しがちな岸田政権」などを投稿した時、紹介しようと考えていた「カルト権力」とは何か…青木理が安倍銃撃「以前」「以後」に書いたこの時評は日本人必読である』という記事を紹介します。安倍元総理の岩盤支持層と旧統一教会との距離感の不思議さに切り込んだ論評だと言えます。

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