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2023年5月 6日 (土)

Hanadaの記事から願うこと

ゴールデンウイークも明日までです。週明けから新型コロナウイルスは、季節性インフルエンザと同じ5類感染症に位置付けられます。2年前の記事「もう少し新型コロナについて」の中で伝えていましたが、早い段階から2類相当であることの問題性も指摘されていました。その方々からすれば「ようやく」という思いではないでしょうか。

5月3日の憲法記念日、今年はリアルタイムでの集会等に参加できていません。昨年は有明防災公園で開かれた集会をオンラインで視聴し、このブログで日本国憲法施行から75年」という記事を投稿していました。

その記事の中で「伝える言葉や問いかけ方によって、憲法9条の行方は大きく変わりそうな現状だと言えます。だからこそ憲法9条の効用を支持している側は不特定多数の皆さんに届く言葉や共感を得られる言葉を探し続けなければなりません」と記しています。

このような問題意識は、ますます強めていかなければならない昨今だと思っています。読売新聞は『憲法改正「賛成」が61%、コロナ禍やウクライナ侵略影響で高水準に…』という見出しを付け、下記のような世論調査の結果を伝えています。

読売新聞社は憲法に関する全国世論調査(郵送方式)を実施し、憲法を「改正する方がよい」は61%(前回昨年3~4月調査60%)と、2年連続で6割台の高い水準となった。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵略など、憲法のあり方を問う世界規模の出来事が相次いだことが影響したとみられる。

一方で、共同通信は『改憲機運は高まらず71% 同性婚71%容認』という見出しを付けた下記のような世論調査の結果を配信していました。改憲すべきという機運が高まっていないのにも関わらず、問われ方によって「改正する」ことに賛意を示す割合が多くなる傾向に問題意識を強めています。

改憲機運が「高まっている」は「どちらかといえば」も含め計28%。改憲に前向きな自民や日本維新の会を支持する層でも3割台にとどまる。昨年同時期の郵送調査は「高まっていない」が計70%、「高まっている」は計29%で同水準だった。国会では衆院憲法審査会のほぼ毎週開催が定着したものの、論議の活発化が機運上昇に結びついていない実態が明らかになった。

日本の安全保障はどのようなあり方が望ましいのか、憲法9条の文言を変える必要性があるのかどうか、まぎれのない選択肢の設定が重要です。いずれにしても改正条項の96条に沿って国民投票が実施される時は、国民一人一人の共通理解と覚悟のもとに日本の進むべき道が決められる投票であることを願っています。

上記は3年前の記事「憲法9条の論点について」の結びに託した言葉です。その記事の中では「護憲派は平和主義者で、改憲派は戦争を肯定しているというような短絡的な二項対立の構図を問題視している」という自分なりの心構えも書き添えています。

このような心構えのもとで、自分自身の基本的な立ち位置から程遠い主張や考え方にも積極的に触れていくように努めています。今年2月に投稿した記事「『安倍晋三 回顧録』と『国策不捜査』 Part2」の最後に森友学園の籠池泰典元理事長の次のような言葉を紹介していました。

野党の先生方や朝日新聞の記者さんなんかと話していると、「違うな」と思うこともある反面、「なるほどこういう考え方もあるんだ」と勉強になることも多い。リベラルや左派の人の考えは、確かにボクが抱く愛国精神とは違うものの、皆それぞれに国のことを思って行動していると感じるようになった。

もちろん、例えば天皇について突っ込んだ議論をすれば衝突するだろう。ただし主義主張や思想は違えど、連携できるところがあるのならしていけばいい。そう考えるようになった。いかに自分が「産経新聞」と「正論」と「WiLL」が築き上げた世界観のなかに閉じこもって、狭い思考に固執していたか思い知った。

籠池元理事長とは、ある意味で真逆の立ち位置から私自身は産経新聞やWiLLなどに掲げられた情報に接しています。さすがに書籍を実際に購入する機会は多くありませんが、最近ではHanada3月号を手に入れていました。『両親が覚悟の独占告白25ページ「小川さゆり」の真実』という見出しの記事に目を引かれたからです。

見出しにはったリンク先に当該記事の冒頭の内容が掲げられています。記事全体を通し、小川さんが病気の影響から事実無根の証言を繰り返し、両親は心を痛めながら娘のことを心配しているという事実関係を伝えています。両親や教団側が被害者であるという構図のもとに小川さんや全国弁連、立憲民主党、検証不充分なまま報道しているマスメディアの問題性を批判しています。

この記事に綴られている内容が事実なのであれば、小川さんに対する評価は大きく変わります。ただ高額献金や宗教2世の問題をはじめ、 前回記事「選挙戦が終わり、改めて旧統一教会の問題」で取り上げたような「政治と宗教」の歪な関係性の疑惑までを一切打ち消せる記事内容ではありません。

Hanada最新号にも『「小川さゆり」証言がコロコロ変わる』という見出しの記事が掲げられています。今回は購入していませんが、小川さんに絡んだ記事内容の信憑性は高いのかも知れません。しかし、だからと言って旧統一教会の問題をすべて不問にできるものではないはずです。

HanadaとWiLLは同じ日に発売されています。それぞれ『高市早苗は日本に必要』『仕組まれたか“高市つぶし”』という高市大臣を応援する見出しが目を引きます。高市大臣の言動を支持されている方々を一括りに評することは控えつつも、保守タカ派、安倍元総理の信奉者というイコール関係での岩盤支持層が存在していることも確かだろうと思っています。

このあたりについては最近の記事「岩盤支持層という言葉から思うこと」「多面的な情報を提供する場として 2023年春」を通して触れてきた見方です。このような岩盤支持層を意識し、HanadaとWiLLが誌面の内容を組み立てていることは間違いないはずです。一定の販売部数を確保するためには必要な戦略だと言えます。

その上で杞憂なのかも知れませんが、旧統一教会の問題に際し、編集面で過度な忖度等が働いていないことを願っています。同様に保守タカ派と目されている政治家の皆さんにもお願いしなければなりません。前掲した共同通信の世論調査では「同性婚71%容認」という結果を示しています。

時事通信の世論調査でLGBT理解増進法案については今国会で「成立させるべきだ」が50.8%と過半数を超え、「成立させるべきだと思わない」の16.9%を大幅に上回っています。しかし、安倍派の国会議員を中心にそのような動きや法案に真っ向から反対している姿が目立っています。

旧統一教会創設者の文鮮明氏の発言録には「同性愛は罪だ。罰を受けなければならない」といった内容が掲載されている。報道によると、2002年に発言録が日本語訳され、この頃から教団の反LGBTの動きが日本国内で活発化していったという。昨年7月、自民党LGBT特命委員会は、旧統一教会系の媒体などで「同性愛の多くは治癒可能」などと発信している八木秀次氏を講師として招いている。

上記は一般社団法人fair代表理事の松岡宗嗣さんの『明白な「LGBT法案」賛否の構図。国内外から成立求める声、反発する宗教右派と保守派議員』という記事の中の一節です。こちらも杞憂なのかも知れませんが、世論とのギャップが「政治と宗教」の歪な関係性の影響を受けているものではないことを願っています。

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