岩盤支持層という言葉から思うこと
このところ総務省の行政文書の問題に関わる内容の投稿が続いています。組合の委員長だった昨年までであれば「新入職員の皆さんへ」「新入職員の皆さんへ 2019」というタイトルの記事が多かった時期です。退任後は組合活動の季節感から離れ、時事の話題を中心にその時々で個人的に思うことを気ままに投稿しています。
今回も「岩盤支持層という言葉から思うこと」という記事タイトルを付け、このブログのサブタイトルのとおり「雑談放談」的な内容となります。前回記事「もう少し総務省の行政文書の問題」の最後のほうで「この問題を通して安倍元総理の岩盤支持層が高市大臣の言動を全面的に支持していることも明らかになっています」と記していました。
リンク先のサイトで岩盤支持層について、保守層の中でも何があっても安倍元総理を支持した「岩盤」と言われる支持層だと説明しています。安倍内閣は森友学園や加計学園の問題などで強い批判にさらされた時も、支持率は常に20台%後半までの落ち込みでとどまっていました。
そのような時、ネット上では安倍元総理を批判する側に問題があるという岩盤支持層側からの見方をよく目にしていました。そもそも支持率の低下自体、マスメディアの偏向報道を真に受けている情報弱者が多いからだという主張も散見していました。
最近『高市早苗氏「ねつ造」説貫き岸田首相から勝ち取った擁護 ピンチをチャンスに変え「高市総理」がトレンド入り』『「辞めろ」「辞めない」の応酬で泥沼に…高市早苗の「放送法文書」騒動で、見落とされている“問題の本質”』という記事などのコメント欄を通し、同じような傾向を感じ取っていました。高市大臣には非がなく、追及している立憲民主党側の問題を指摘するコメントが大半を占めていました。
これまで当ブログでは「森友学園の問題から思うこと」「もう少し加計学園の話」など「結論ありき」ではなく、何が問題なのかという立場からの記事を数多く投稿しています。いわゆる「共謀罪」の問題で安倍内閣を批判する声が高まっていた時には、次のような考え方を示していました。
安倍首相が「国民を豊かにするため」「平和を守るため」という信念のもとに様々な政策判断を重ねているものと信じています。そのため、安倍首相が進める法案だから反対するという思考は避け、何が正しいのか、どの選択肢が正しいのか、色眼鏡を外して物事を見ていくように努めています。
放送法での政治的公平性を巡る最近の一連の記事も、このような立場や視点を重視しながら綴ってきています。前回記事の冒頭に記したとおり小西参院議員の「サルがやること」発言は問題視していますが、総務省の行政文書の問題を追及してきたこと自体、全否定するような立場ではありません。
ネット上で確認できる資料や情報を把握した際、高市大臣側に思い違いがあり、総務省の行政文書の内容全体が大筋で事実に近いという認識です。一方で、高市大臣の指摘が正しく、総務省側が本当に捏造していたとすれば私自身の認識は甘く、猛省しなければならない点も書き添えていました。
いずれにしても高市大臣に対する先入観を排し、客観的な思考をもとに導き出している認識のつもりです。ただ真逆の見方を示されている方々からすれば私自身の認識は「結論ありき」で、ある意味で立憲民主党の岩盤支持層の一人だから、そのような思考に至っていると見られてしまうのかも知れません。
そもそも岩盤支持層という言葉が現状を正確に言い当てているのかどうか、そこから考えてみる必要があります。私自身、立憲民主党の岩盤支持層だと言われれば違和感があります。私自身に限らず、特定の政党に所属していない限り、個々人の自由な発想や思考のもとに個々の課題に対する評価や結論を下しているはずです。
さらに岩盤支持層という言葉にはネガティブな意味合いがこめられる場合もあります。多様な情報に触れることがなく、もともと支持している人物や政党の発している言葉をそのまま信じているような意味合いも感じ取れます。いわゆる左と右という立場性を問わず、それぞれから感じ取れる傾向だと思っています。
アメリカで言えばトランプ前大統領の岩盤支持層も有名です。熱狂的な支持者が議会を占拠するという暴走した事件まで引き起こしています。岩盤支持層を反知性主義者と解釈した場合「自らにとって都合の良いことが大きく見え、都合の悪いことは縮小される」という独特なプリズムを持っていると説明を受けることになります。
実は金曜日、このブログを毎回閲覧されている方と職員ロッカー室で会った時、総務省の行政文書の問題で会話を交わしていました。日頃から物事を幅広くとらえている方ですが、今回の問題では高市大臣の言い分を支持されている立場でした。私にとって意外なことでしたが、この時の会話から今回のブログ記事のトーンにつながっています。
安倍元総理の岩盤支持層が、今回の問題で高市大臣の言動を支持されている方々であるという決め付けた言い方を避けるようにしています。加えて、私自身の認識が正しく、高市大臣の言葉を信じている方々は偏った情報で判断しがちであるという論調にならないように注意していました。
そのため、前回記事の最後に「次回以降の記事では安倍元総理を信奉される岩盤支持層に関連した内容について取り上げてみたいものと考えています。その中で最近読み終えた『ウクライナ戦争論2』や『統一教会問題の闇』の内容にもつなげていくつもりです」と記していましたが、今回の内容からつなげていくことは不適切だろうと考え直していました。
二つの書籍の内容に絡む話は機会があれば、また別な切り口から取り上げていくことを考えています。いずれにしても当ブログは多面的な情報を提供する場として、 基本的な立場が異なる方々にも届く言葉の発信を意識しています。岩盤支持層というレッテルを貼ることで、高市大臣の言動を支持されている方々を一括りに批判してしまう記事内容にならないように心がけていました。
このような思いを強めていた時、ディリー新潮の『産経新聞に「法的措置」を取る強硬姿勢維持で「小西議員」の戦線は拡大するばかり』という記事の中で、自民党の石破茂元幹事長の言葉が目に留まっていました。最後に「味方だけを相手にしていても、支持は広がりません」という共感できる言葉とともに、その記事内容の一部を紹介します。
確かにマスコミが正確な情報を伝えてくれるとは限りません。私自身、腹立たしい思いをしたことは一度や二度ではありません。政権を取った当時の民主党のマニフェストの非現実性など、多くのマスコミはわかっていながら口をつぐんでいたのに、自民党のこととなると殊更厳しい論調になるメディアも確実に存在しています。
だから『マスコミが悪い』と言いたくなる気持ちは本当によくわかりますし、マスコミ自身が批判されるべき場合には、きっぱりとした抗議や申し入れも必要だと思います。しかし、私は自分の経験から、それだけでは理解が広がらないとも思っています。商業ジャーナリズムには、やはり一定の限界があると考えた方がいいのです。
なかには、こちらの味方をしてくれるメディアもあります。とても有難い存在ですが、そこだけ見て仕事をしても、あまり意味がありません。なぜなら私たちは常により多くの支持を得るように心がけなければいけないからです。味方だけを相手にしていても、支持は広がりません。
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コメント
いつもはブログを眺めつつ、OTSUさんにその都度感想などを伝えるだけでしたが、「このブログを毎回閲覧されている方」として当事者となったので書かせていただきます。
私とのやり取りの中で「岩盤支持層」というキーワードを連想されたようですが、まず私自身は全く違います。OTSUさんは重々ご承知かと思いますが、私は物事に対して「是々非々」で臨むよう心掛けています。安倍首相にしても高市大臣についても、何でも、何をやっても支持するわけではありません。
その上で、今回のいわゆる「小西文書」については、自身が信頼する情報および総務省における精査(最新版はリンクのとおり)を見つつ判断しています。
個々の内容は述べませんが、高市大臣についての文書は精査結果は「確認はできなかった」「放送法の解釈を変更するという説明を行ったと認識を示す者はいなかった」「この文書に記載されている内容についての正確性は確認できなかった」「その有無について確認できなかった」とほとんど内容の正確性は不明ではありませんか。
更にこのレクなるものがあった後、解釈を変更し運用したり、報道機関に圧力をかけたりしたことがあったのでしょうか(もし圧力があったとしたらどうなるか、皮肉にも小西議員自身が証明しています)。
従ってこの文書の作成意図やなぜ小西議員が取得できたかは不明ですが(これについては別途公文書管理上の問題が残る)、高市大臣に関する限り全く問題にされるものではないと考えます(「捏造」の表現、「大臣や議員を辞める」といった発言については大いに問題があります)。
(長くなり申し訳ありませんが、次に続きます)
投稿: このブログを毎回閲覧されている方 | 2023年4月 8日 (土) 23時08分
(他人様のブログで長々と書くことをお許しください)
更に付け加えるならば、今回の問題の中心となりつつある小西議員自身の経歴や過去の言動です。これも個々のことについて述べませんが(「元放送政策課課長補佐」「麻布食品」「嘘でもいいから口頭で」「クイズ王」「亡命」)、他人に対して厳しく自分や身内には甘い、平気でうそをつくなど、議員としてまたは人として、とてもではないが信頼できません。
もし総務省内の告発者が、信念を持って問題を告発しようと思うならば、なぜこのような方法、そしてこの議員に託すのでしょうか。文書の不正確さと相まって何かの意図を感じざるを得ません。
以上が今回の行政文書についての私の見解です。長々と失礼いたしました。
投稿: このブログを毎回閲覧されている方 | 2023年4月 8日 (土) 23時28分
このブログを毎回閲覧されている方さん、コメントありがとうございました。
今回の記事本文の中で記していますが、安倍元総理の岩盤支持層が、今回の問題で高市大臣の言動を支持されている方々であるという決め付けた言い方を避けるようにしています。物事に対して「是々非々」で臨まれている方と職員ロッカー室で会話できたことで、それまで連想していた見方を今回の記事では改めていました。
その上で私自身は当該の文書や様々な情報を把握した際、高市大臣側に思い違いがあり、総務省の行政文書の内容全体が大筋で事実に近いという認識です。一部で正確性を確認できなかった点があるという総務省側の説明も、前々回記事「受けとめ方の落差」の中で記したとおり内部文書という位置付けから許容される幅の範囲内だろうと見ています。
そもそも非公開を前提にしてきた内部文書の内容を総務省側が改ざんする意図や理由を私自身は思い描けていません。前回記事「もう少し総務省の行政文書」の中で紹介した神奈川新聞の報道のとおり高市大臣の初動の誤りによって、本筋として追及すべき論点が脇道にそれてしまったように思っています。
高市大臣に対しては、行政文書に関わるご自身の指摘が正しく、総務省側が本当に捏造していたとすれば私自身の認識は甘く、猛省した上で心からお詫びしなければならないものと考えています。
ご指摘のとおり放送法の解釈は変更せず、当時の国会答弁等は補充的説明だったと岸田総理らは釈明しています。とは言え、安倍政権下で「放送法での政治的公平性 Part2」で記したような変化があったことも確かでした。
また、小西参院議員の評価については前回記事の冒頭で触れたとおりメディアやツイッターでの対応など問題視すべき点があることを私自身も感じています。それでも総務省の行政文書の問題を追及してきたこと自体、全否定するような立場でないことは今回の記事本文でも記しているとおりです。
このブログを毎回閲覧されている方さんからコメントをいただき、この場で取り急ぎレスさせていただきました。また何かご意見等がありましたらコメント欄でも、直接お声かけいただいても結構ですのでよろしくお願いします。
投稿: OTSU | 2023年4月 9日 (日) 05時33分