« 受けとめ方の落差 | トップページ | 岩盤支持層という言葉から思うこと »

2023年4月 1日 (土)

もう少し総務省の行政文書の問題

春、最後に花見をしたのは、いつだったのか思い出せないほど遙か昔の話となります。それでも通勤の行き帰り、桜並木を歩くことができ、ここ数日は満開の桜を目で楽しんでいました。そのような時期が1年の間で本当にわずかであることは寂しい限りです。

さて、ブログの題材は今回も前回記事「受けとめ方の落差」の続きに当たる内容となります。放送法に関わる総務省の行政文書の問題で高市大臣を追及していた小西参院議員が衆院憲法審査会の議論の進め方に関してサルがやること」と発言し、強い批判の矢面に立たされています。

立憲民主党内からも擁護する声はなく、参院憲法審査会の野党筆頭幹事を更迭される失態となっています。不適切な発言をはじめ、議論を重ねることの大切さを軽視した姿勢は政治家としての資質を厳しく問われるべき問題だと思っています。

さらにサル発言撤回も「切り取られた」法的措置示唆という小西議員の対応ぶりは非常に残念な振る舞いです。一部のメディアの報道の仕方に対し、過剰に反応しながら法的措置も示唆することは冷静さを欠いていると言わざるを得ません。ご自身のツイッターに寄せられる意見に対しても同様な警告を発しているようですが、政治家の皆さんには幅広い声を受けとめていく懐の深さを持って欲しいものと願っています。

河野太郎デジタル相もツイッター対応で「公人こそブロックを」という見解を示しています。リンク先の記事のコメント欄には「誹謗中傷でのブロックだと理解出来るけど、普通に質問しても都合が悪い内容だとブロックをして遮断をします。とても国民の声を傾ける大臣には見えません」という意見が寄せられていますが、そのような理解に至る振る舞いだと言えます。

私自身、このブログを長く続ける中で批判意見と誹謗中傷の違い」という記事を投稿しています。批判を受け、至らなかった点が省みれ、改善していく機会となるような構図を肯定的にとらえています。批判意見を恣意的に選別してしまうと、本来、真摯に受けとめるべき指摘まで聞き流してしまう可能性があります。

そのため、投稿されたコメントは即時に反映され、明らかなスパムや極端な商業目的の内容ではない限り、削除することはあり得ません。どのような辛辣な言葉でも、そこに投稿された思いや意味をくみ取ろうと心がけてきました。とにかく批判意見も含め、幅広い視点や立場からご意見をいただける貴重さを感じ取ってきました。

このように考えているため、小西議員や河野大臣らの振る舞い方は非常に残念なことだと思っています。多様なご意見を伺える貴重な場だった当ブログのコメント欄は寂しくなっていますが、記事本文を通して「このような見方もあったのか」と思っていただけるような多面的な内容を今後も発信していければと考えています。そのような思いのもと前回記事の続きとして、もう少し書き足していきます。

なぜ、総務省の行政文書の問題にこだわるのか、次のように考えているからです。最も重要な論点は放送法の解釈が不当な政治的な圧力によって、ねじ曲げられたのかどうかですが、高市大臣の不用意な発言で本質的な議論から脇道にそれがちです。しかし、誰かが事実をねじ曲げているという脇道の問題も、決して曖昧にすべきでものではありません。

高市大臣側に問題があるのであれば、閣僚はもちろん、国会議員としての適格性が問われます。一方で、行政文書ファイル管理簿に記載しない内部文書だったとしても、総務省の文書の中に決定的な事実誤認や意図的な記載があった場合、公文書の信頼性を失墜させる大きな問題です。公文書管理法第1条の「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」という趣旨に反する行為だと言えます。

高市大臣は安倍元総理との電話での会話内容を「盗聴でもしていたのか」と指摘し、2015年3月9日付の「高市大臣と(安倍)総理の電話会談の結果」というメモは「作成者も配布先も不明で不可解だ」と語っています。「厳重取扱注意」とされた問題の文書の中で、当該のメモは次のような内容でした。

高市大臣と総理の電話会談の結果(平成27年3月9日(月)夕刻)
○ 大臣室・平川参事官から安藤局長に対して以下の連絡。
・ 政治的公平に関する件で高市大臣から総理に電話(日時不明)。
・ 総理からは、「今までの放送法の解釈がおかしい」旨の発言。
実際に問題意識を持っている番組を複数例示?(サンデーモーニング他)
・ 国会答弁の時期については、総理から、「一連のものが終わってから」とのご発言があったとのこと。

一連の経過を記録したメモの一つとして、充分あり得る内容だと理解しています。高市大臣が安倍元総理と話した内容を平川参事官に伝え、その内容の要旨を安藤局長に連絡したというメモであり、上記の文書から不自然さを感じ取ることはできません。逆に「盗聴でもしていたのか」という言葉のほうが印象操作に当たるような気もしています。

詳細な事実関係が明らかになっていませんので、決め付けた言い方は慎まなければなりません。高市大臣の指摘が正しく、総務省側が本当に捏造していたとすれば前述したとおり公文書の信頼を損ねる大きな問題です。ただ非公開を前提にしてきた内部文書の内容を総務省側が改ざんする意図や理由を私自身は思い描けません。

前々回記事「放送法での政治的公平性 Part2」の中で「高市大臣の捏造発言や議員辞職の問題のほうに大きな注目が集まっていたため、礒崎元補佐官の存在が霞んでいました。もしかすると礒崎元補佐官自身、このような展開に安堵されているのではないでしょうか」と記していましたが、その見方を裏付けるような総務省文書問題  高市氏「自然発火」で大炎上』という記事を目にしていました。

放送法の「政治的公平」に関する総務省の行政文書を巡る野党の追及は28日の参院予算委員会でも続いたが、高市早苗経済安全保障担当相は「捏造」との見解を撤回せず、議論は平行線をたどった。この日、2023年度予算も成立し自民党は「逃げ切った」(幹部)と安堵。「もともと高市さんさえ『自然発火』しなければここまで大炎上することはなかった」(同)との徒労感も漂った。

「狙いは礒崎つぶしだ」。3月2日、立憲民主党の小西洋之参院議員が会見で明らかにした文書を見た与野党の国会対策委員会関係者から感想が漏れた。当時の首相補佐官で一連の文書の主役である礒崎陽輔氏は大分県選出の参院議員だったが落選中。今年の統一地方選の知事選の流れで想定されていた参院補選への出馬が取り沙汰された。

政府関係者によると、旧自治省出身で仕事には厳しく特に後輩の多い総務省には恐れられていた。国対関係者の文書流失の共通の見立ては「礒崎氏の出馬を封じるためのリーク」だった。「自然発火」とは文書記載当時の総務相だった高市氏の反応。小西氏会見直後の記者団の取材に「捏造」「怪文書まがい」と怒りをあらわにした。

自民の閣僚関係者は「自分自身がターゲットではないのだから『昔のことは調べないと分からない』とかわした上で『内容は不正確では』とやんわり否定すれば良かったのに」とし、「感情に走ってかつての部下を巻き込み『大臣と官僚のどちらかがうそつき』との構図にしてしまった」と惜しむ。岸田文雄首相も周囲に「だれか事前にアドバイスできなかったのか」と嘆いたという。

野党の国対幹部も「本来の追及ポイントは所管外の首相補佐官が口をはさんで放送法の解釈をねじまげたことなのだが、高市さんからけんかを売られて焦点がずれた」と認める。「言った言わないの繰り返しは与党のみならず、『何度も同じことを聞くな』という野党への不信も招いてしまった」と歯ぎしりだ。【2023年3月29日 神奈川新聞

前回記事で触れましたが、この問題を通して安倍元総理の岩盤支持層が高市大臣の言動を全面的に支持していることも明らかになっています。そのような岩盤支持層を意識した立場のFLASHは高市早苗氏「ねつ造」説貫き岸田首相から勝ち取った擁護 ピンチをチャンスに変え「高市総理」がトレンド入り』という記事を発信しています。

今回も長い記事になっていますので、ここで一区切り付けますが、次回以降の記事では安倍元総理を信奉されている岩盤支持層に関連した内容について取り上げてみようと考えています。その中で最近読み終えたウクライナ戦争論2』や『統一教会問題の闇』の内容にもつなげていくつもりです。

|

« 受けとめ方の落差 | トップページ | 岩盤支持層という言葉から思うこと »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 受けとめ方の落差 | トップページ | 岩盤支持層という言葉から思うこと »