政策実現と財源問題
前回記事「ウクライナでの戦争を受け」の中で、自民党の二階元幹事長に対する評価が人によって大きく分かれていることを記していました。すると最近、ネット上で『重鎮・二階俊博に田原総一朗がホンネ直撃!「勝手なことをするんじゃない!」 自民党が大揺れ!岸田首相軍拡路線に痛烈警告』という記事を見かけていました。
作家の百田尚樹さんは二階さんのことを「売国奴」と罵っていますが、その記事からは二階さんなりの政治家としての矜持や気概を感じ取れます。様々な問題で絶対的な「正解」が見出しづらくても、より望ましい「答え」に近付くためには多面的な情報に接していくことが重要です。
そのような意味で私自身、いつも幅広い情報や主張に触れていくように心がけています。つい最近では『両親が覚悟の独占告白「小川さゆり」の真実』という記事が目に留まり、月刊Hanada3月号を購入していました。記事内容の真偽について定かではありませんが、多面的な情報の一つであることは確かでした。
今回のブログ記事のタイトルは「政策実現と財源問題」としています。ネット上からの情報はコストをかけず、手軽に入手できます。興味深いサイトはブックマークし、頻繁に訪問させていただいています。今回の主題に沿いながらブックマークしているサイトの内容をいくつか紹介していきます。
まず朝日新聞の記者だった鮫島浩さんの『子ども支援よりも財政規律を重視する立憲民主党は岸田政権と同じ穴のムジナ〜民主党政権の子ども手当は財務省の緊縮財政の前に崩れ去った。国債発行しても子ども支援をやり抜くと宣言してこそ本物だ!』からの一文を紹介します。
自民党安倍派が主張するように軍事費増大のために国債を大量発行してはいけない。それは「財政が破綻するから」ではなく「軍事的緊張を高めて戦争を誘発するから」である。しかし国民生活を守るために本当に必要な政策には惜しむことなく大胆に国債発行すればいい。それが積極財政論である。
積極財政に反対するのは、緊縮財政によって優位に立つ既得権益者たち(すでに豊かな者たちはデフレのほうが経済的優位を維持できる!)であり、予算配分権によって政治的影響力を維持している財務省である。
いまの岸田政権も立憲民主党も財務省に同調し、子ども支援をはじめ庶民の暮らしを下支えする財政出動よりも、財政規律を守って富裕層の既得権益と経済的優位を保護する緊縮政策を優先している点において変わりはない。
鮫島さんの著書を読み、昨年7月に「『朝日新聞政治部』から思うこと」という記事を投稿していました。それ以降、鮫島さんのサイトの内容を当ブログの中で時々紹介しています。軍事費増大は「軍事的緊張を高めて戦争を誘発する」という見方は前々回記事「抑止力と安心供与のバランス」で訴えている私自身の問題意識と同様です。
ただ積極財政に反対するのは既得権益者たちという見方には違和感があります。これまでも鮫島さんの主張に強く賛同できる内容が多くある中で、若干穿ちすぎな見方ではないかと思える時がありました。昨年の参院選挙の後の記事『安倍なき日本に増税がやってくる!麻生一強、大宏池会で「憲法より消費税」山本太郎は立ちはだかれるのか?』などを通し、鮫島さんは次のような見方を示しています。
財務省には「消費税増税を前に進めることが最も評価される」というDNAが色濃く受け継がれ、そのために政界工作を尽くしてきた。安倍氏という巨魁が突如として姿を消し、麻生氏と財務省の権力基盤が突出した今、千載一遇の好機だとして消費税増税を推し進める可能性は少なくない。
以前の記事「消費税引き上げの問題」に記したとおり私自身は消費税の引き上げの必要性を認めていました。国債の信用を落とさないためには財政の健全化が欠かせず、社会保障財源の確保のためにも消費税の引き上げは必要に応じて避けられない選択肢だと考えています。
そのような意味合いで言えば前々回記事の最後のほうで「そもそも反撃能力の保有や防衛費の倍増が、戦争を防ぐための欠かせない道筋なのであれば増税も含めて覚悟を決めていかなければなりません」とまで記しています。
やはりブックマークしている労働政策研究・研修機構労働政策研究所長の濱口桂一郎さんのブログ記事『岸田首相の深慮遠謀?』の内容が興味深く、機会を見て当ブログの中で紹介してみようと考えていました。抜粋となりますが、濱口さんは次のようにハト派とタカ派との関係性の中で論評されていました。
国家を守ることこそが何よりも大事で、そのためにはいろんな物事を犠牲にするのもやむを得ない、キリッ、というのが右派、タカ派というものの存在意義だったのではないか、そしていやいや国防ばかりが大事じゃないよ、社会経済のあれやこれやも大事だからちゃんとそっちにもお金を回してね、というのが左派、ハト派というものだったのではないか、と、まあ、すごく単純に考えていたのですが、今回、まるっきり話が逆転してしまったように見えます。
党内の右派、タカ派だと自認していたような人々が揃いもそろって、国防といえども増税は許さないぞ!断固反対とばかり騒いでいて、首相官邸前で騒いでいる昔ながらの伝統的平和主義者の皆様と共闘でもしているかの如くです。逆に、国防をないがしろにするハト派じゃないかと猜疑心でもってみられていた岸田首相が、なんと国防費突出、それも国民の血税で断固やり抜くという立派なタカ派ぶりをアピールしているわけで
言うまでもありませんが、恒久的な政策の実現のためには恒久的な財源の確保が欠かせません。青天井に赤字国債を発行していけるものでもないはずです。埋蔵金の信憑性の薄さも立証済みです。「身を切る改革」は国会議員の姿勢の問題として問われるのかも知れませんが、兆円単位の財源を賄うためには桁が大きく乖離しています。
さらに「身を切る改革」が公共サービスの劣化や社会全体の賃金水準を負のベクトルに招きがちだったことにも留意しなければなりません。防衛費の問題に限らず、次元の異なる少子化対策の実現のためには、恒久的な財源の確保に向けて明確で現実的な「答え」が求められていきます。
朝霞市議の黒川滋さんのブログ「きょうも歩く」は、かなり前からブックマークしています。最近の記事『年収1000万円の人に月5000円出すか出さないかにだけ盛り上がる国会』の次のような内容からは、大きくうなづける論点を受けとめることができます。
もちろんお金がたんまりあれば、月5000円程度を出し渋る話は、システムを複雑化させるだけですから、取っ払ったらいいとは思いますが、優先課題があって、財源がなくて、というなかで、手柄合戦にそんなに盛り上がることなんですか、と思うばかりです。少子化対策のために、子どもたちの払う税金の大半が借金返済になってしまった、なんて笑える話ではありません。
緊張感ある政治の実現のためには野党第一党である立憲民主党の奮起に期待しています。しかし、あまりにも政策理念の異なる日本維新の会との接近には物凄い違和感があります。『内閣支持最低26.5% =4カ月連続で「危険水域」ー 立民も下落・時事世論調査』という報道のような動きが加速しないかどうか危惧しています。
最後に『「消費税減税は間違いだった」立民・枝野前代表の発言に「また有権者を裏切るの?」「支え合う社会に税は必要」賛否渦巻く』という報道内容も紹介します。立憲民主党の枝野前代表が消費減税の訴えは「間違いだった」と言及したニュースです。下記のような内容ですが、私自身は賛意を示せる発言であり、ぜひ、立憲民主党の立ち位置として確立できるよう願っています。
立憲民主党の枝野幸男前代表は12日、さいたま市内で講演し、昨年10月の衆院選で当時代表として消費税率の引き下げを訴えたことについて「政治的に間違いだったと反省している」と述べた。立憲は今夏の参院選でも消費減税をかかげていたが、次期衆院選の選挙公約では「見直すべきだと思っている」との見解を示した。
枝野氏は、衆院選を振り返り、「敗軍の将として、あれ(消費減税を訴えたこと)が敗因の大きな一つだ」と述べた。立憲が医療・介護や子育てなど社会保障の充実を主張していたことに触れ、「そこにお金をかけると言いながら、時限的とはいえ減税と言ったら、聞いている方はどっちを目指すのか分からなくなる。有権者を混乱させてしまった」と述べた。
また、枝野氏は「消費税減税で(選挙に)勝てるんだったら、とっくの昔に社民党政権ができている」と述べ、消費減税の訴えだけでは選挙での支持拡大にはつながらないとの見方を示した。
昨年10月の衆院選で立憲は、枝野氏を代表として消費減税策を共産党などと共通政策として合意。5%の時限的な消費減税を掲げて戦った。だが、議席を公示前の109から13減らし、枝野氏は責任をとって代表を辞任した。【朝日新聞2022年11月13日】
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