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2022年11月12日 (土)

最後の定期大会

記事タイトルに掲げたローカルな話に入る前に時事の話題を紹介します。『葉梨法務相「複数回同趣旨の発言」認め撤回「票とお金に縁がない」発言も撤回 “死刑のハンコ”発言』というニュースですが、死刑を命じる法相の職責の重さに対する無自覚ぶりに元法相や元刑務官らから「一発アウトの発言」だと見られていました。

失言や「切り取り報道」というレベルの問題ではなく、葉梨法相は不適切さの認識がないまま受け狙いの枕詞として多用していたようです。そうであれば、なぜ、ここまで大きく取り上げられる前に諫める人がいなかったのか、話を聞いた人たちの感度の鈍さや配慮の至らなさにも驚いていました。

さらに『また遅れた首相の判断 与党幹部が進言しても動きが鈍かった官邸』という記事によると、いったん岸田総理は葉梨法相を続投させることを決めていたと伝えています。結局のところ批判がやまず、ようやく事実上の更迭を決めたという報道を耳にすると、岸田総理自身の感度の鈍さや官邸チーム力の機能不全ぶりが露呈した一件だったと言えます。

さて、前回記事は「組合役員を退任」でした。先週水曜の夜、最後の執行委員会に出席しています。同日、賃金・一時金の団体交渉もありました。その交渉において早期決着をはかり、決着できない場合は翌週の自治労都本部の統一闘争の山場まで交渉を継続する構えで臨んでいました。残念ながら私どもの市独自の継続課題である住居手当の問題で平行線をたどり、賃金・一時金交渉そのものが決着できませんでした。

次回の団体交渉は火曜夜に予定し、新執行部体制で臨みます。その場に私は参加できないため、できれば私自身にとっての最後の団体交渉で決めたかったところです。たいへん厳しい局面が続く見通しであり、心苦しいところですが、決着点を見出す努力は新委員長らに託すことになりました。

金曜の夜、私自身にとって大きな節目を刻む定期大会が終えました。青年婦人部の幹事時代から数えれば40年余り、執行委員長としては18年間、たいへん長かった組合活動から退く日を迎えていました。組合員としては残るため執行委員会や団体交渉とは異なり、正確に表現すれば組合役員としての最後の定期大会でした。

9年前に「定期大会の話、インデックスⅡ」を投稿し、それ以降「定期大会を終えて、2016年秋」「定期大会を終えて、2017年秋」「定期大会を終えて、2018年秋」「定期大会を終えて、2019年秋」「定期大会を終えて、2020年秋」「定期大会を終えて、2021年秋」という同じパターンの記事タイトルを付けて続けてきました。

今回は「最後の定期大会」というタイトルのもとに書き進めています。毎年、定期大会だけは必ず挨拶する内容の原稿を用意していました。ここ数年、挨拶原稿のほぼ全文をブログで紹介しています。今回も同様にそのまま掲げますが、退任にあたっての思いを託した内容であり、例年より少し長くなっています。

執行部を代表し、一言ご挨拶申し上げます。本日は第77回定期大会への出席ありがとうございます。コロナ禍が続く中、今年も事前申込制とし、出席者数を絞らなければならない大会となっています。

そのような中で、コロナ禍の組合活動の工夫、組合予算還元策の一つとして、今回も委任状参加者も含めた抽選会を企画しています。会場に足を運べないけれども定期大会に関心をお寄せいただく取り組みとして、コロナ禍の後も続けていくべきお楽しみ企画として定着していくのではないかと思っています。

さて、一昨年の定期大会で挨拶した際、アメリカ大統領選が大きな注目を集めていた時期だったため、次のように述べていました。

地球温暖化や感染症対策など自国中心主義では解決できない地球規模の問題に直面しています。自分の国だけ万全を尽くしても、すべての国で足並みが揃わなければ解決には至りません。そのためにも対立より協調に重きを置く国際的な流れが高まることを強く願っています。

このように願っていましたが、たいへん憂慮すべき事態に国際社会は直面しています。今年2月24日、ロシアが自国中心主義の理不尽な理由をかざし、ウクライナに軍事侵攻しました。この瞬間にも多くの方々の命や暮らしが脅かされ、未だ戦火の消える兆しは見られません。

戦争を避けたいという思いは誰もが同じであるはずです。その上で、ウクライナで起こっているような戦争をどうすれば防げるのか、問われ続けられている重要な命題です。

昨年の定期大会での質疑応答を受け、この一年間、「平和や人権」の組合方針について議論を重ねてきました。 一年間の議論を経て、今回の大会でリニューアルした「平和や人権」の方針案を提起しています。

現在の組合員の皆さんの意思を丁寧に受けとめながら必要な見直しを進める貴重な機会だったものと受けとめています。昨年の大会で、率直な質問をお寄せくださった組合員の方には、たいへん感謝しています。

労働組合として守り継ぐこと、時代情勢の変化のもとに改めていくべきこと、しっかり見極めていく柔軟さが求められています。そもそも組合は組合員一人一人のものであり、組合の活動はすべて「組合員のため」にあります。

労使交渉や福利厚生はもちろん、政治的な活動、労働金庫や全労済の取り組みなど、定期大会議案書に掲げている活動方針は「すべて組合員のため」を目的にした内容ばかりです。

そのような多岐にわたる課題に対し、結論の押し付けではない「なぜ、この取り組みが必要なのか」という丁寧な説明を常に意識していかなければなりません。そして、共感を得ることによって、組合運動の広がりや力強さが増していくのだろうと考えています。

私自身、今回の定期大会を区切りに組合役員を退任します。青年婦人部の幹事時代から数えれば40年余り貴重な経験や交流を重ねてくることができました。市役所に入る前、私は組合に対してネガティブなイメージを持ち、あまり組合とは関わりたくないと考えていました。

それが組合役員を務めていた先輩たちと同じ職場で出会い、勝手な思いこみと単なる無知なだけだったことに気付きました。それでもプライベートな時間が削られる青婦部幹事になることは、しっかりお断りしていました。

入所2年目の職場の忘年会でも口説かれ、初めはキッパリと断っていましたが、酔いが進むうちに「やってみてもいいかな」と言ってしまったようです。その返事によって組合役員に関わることになった訳ですが、ここまで長く務めようとは、まったく想像していませんでした。

長く務めてきた理由は『組合ニュース』の退任挨拶でも記したとおり組合役員を担ったことで組合の大切さを感じ取っていたからです。執行委員長は18年務めています。毎年、責任の重さを受けとめ、継続することを判断してきましたが、そのことで組織としての新陳代謝が遅れたことも確かです。

今回、副委員長が委員長を引き受けていただけることになり、たいへん安堵しながら感謝しています。継続している重要な労使課題は数多く、組合をとりまく情勢は厳しいものがある中で、バトンを渡すことに心苦しさもあります。

とは言え『そして、バトンは渡された』、今夜地上波で初放送される映画のタイトルのとおり渡さなければならないバトンであり、これからは組合員の一人として新委員長に精一杯エールを送らせていただきます。

今年1月、組合が結成されてから75年を迎えています。組合員の皆さんから今後も信頼される組合活動が続き、よりいっそう大きな節目である結成100周年を迎えられることを心から願っています。

そのためにも機関誌『市職労報』の特集記事の見出しに掲げた「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」という言葉を改めて強調させていただきます。

また後ほど私の出番があり、皆さんからの質問があった際にも発言させていただくかも知れません。ぜひ、最後までご注目くださるようよろしくお願いします。

冒頭で取り上げた葉梨法相、現在は前法相ですが、自分の挨拶の中に受け狙いの話を入れたことで、大臣としての資質や適格性が問われることになりました。挨拶する機会が多い場合、硬い内容の中に少しだけ受け狙いの話を入れがちです。私自身も同様で、バトンという言葉から映画のタイトルにつなげていました。

上記のとおり『そして、バトンは渡された』という言葉を挨拶の中に入れてみた訳ですが、キョトンとした会場の雰囲気で完全に滑っていたようです。ちなみに翌日、録画したその映画を観ました。予想外のストーリー展開のもと思わず涙が出てしまう場面も多く、たいへん感動的な映画でした。

定期大会での質疑応答の際、会計年度任用職員の雇用継続の問題をはじめ、住居手当や保育園民営化に関わる意見が示されています。採決にあたってはリニューアルした「平和や人権」の方針案も含め、組合執行部が提起した議案すべて承認を得られています。

新旧役員挨拶の時、サプライズの花束をいただきました。冒頭の執行部を代表した挨拶の中で退任のことについて触れていましたので、私からの最後の一言は簡潔にしています。本当に長い間、お世話になったことの感謝の言葉を表した後、このブログのことに触れています。

組合を身近に感じてもらえることを目的にブログ「公務員のためいき」を始め、週に1回の更新を重ねています。市役所を退職するまではタイトルも変えず、このまま続けていくつもりです。ぜひ、お時間等が許される際、ご覧いただければ幸いです。よろしくお願いします。

新委員長の「団結頑張ろう」で締めた後、出席されていた組合員の皆さんと直接お会いし、ご挨拶させていただきました。連合地区協議会の役員は12月まで引き受けていますので、しばらくは組合事務所にも顔を出し、年明けまでにフェードアウトしていく予定です。それでも大きな節目を刻んだことには間違いなく、たいへん感慨深い定期大会を終えていました。

最後に、組合員の皆さん、大会運営にご協力いただいた皆さん、新旧の組合役員の皆さん、お世話になりました。そして、ありがとうございました。定期大会が終わった後、今年も打ち上げはなく、現地で解散しています。早くコロナ禍が明け、ご縁のあった皆さんと飲み語り合える機会が持てることを願っています。

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コメント

長い間お疲れ様でした。組合は必要か?自問自答している時に、いつも背中を押してもらってました。本当にありがとうございました。

投稿: 北海道のとある自治体の元執行委員長 | 2022年11月13日 (日) 23時12分

北海道のとある自治体の元執行委員長さん、コメントありがとうございました。

早々に心温まるコメントをお寄せいただきながら私からのレスが遅くなって申し訳ありません。新規記事の本文の最後にも綴らせていただきましたが、このような言葉を頂戴でき、ブログを続けてきたこと、これからも続けていくことの大きな励みとなっています。こちらこそ本当にありがとうございました。

投稿: OTSU | 2022年11月19日 (土) 05時45分

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