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2022年7月30日 (土)

多面的な情報を拡散する場として

このブログを長く続ける中で多面的な情報に接していくことの大切さを強く意識するようになっています。今年2月に「多面的な情報の大切さ」という記事を投稿していますが、これまで多面的な情報の一つとして」「多面的な情報を提供する場として」など同様な趣旨の記事を数多く手がけています。

同じモノを見ていても、見る角度や位置によって得られる内容が極端に違ってきます。一つの角度から得られた情報から判断すれば明らかにクロとされたケースも、異なる角度から得られる情報を加味した時、クロとは言い切れなくなる場合も少なくありません。クロかシロか、真実は一つなのでしょうが、シロをクロと見誤らないためには多面的な情報をもとに判断していくことが非常に重要です。

8月の臨時国会で行なう予定だった安倍元総理の追悼演説が先送りされます。野党からの指摘に対し、岸田総理が「聞く力」を発揮されたものと思っていましたが、自民党内からの反発が主な理由であるようです。『「残した派閥をばかに」 安倍派の猛反発で甘利氏の追悼演説頓挫』という記事が次のように伝えています。

安倍派が反発を強めたのは、甘利氏の20日のメールマガジンがきっかけだ。この中で甘利氏は安倍派について「『当面』というより『当分』集団指導制をとらざるを得ない。誰一人、現状では全体を仕切るだけの力もカリスマ性もない」と指摘した。

これに安倍派最高顧問の衛藤征士郎・元衆院副議長は21日の同派会合で「こんなに侮辱されたことはない」と激しく反発。派内では他にも「甘利氏こそカリスマ性がない」などと批判する声が相次いだ。

上記のような報道、つまり多面的な情報に接することで岸田総理の「聞く力」に対する評価が変わっていきます。幅広い立場からの様々な声を大事にすると言うよりも身内である自民党内の意見に左右されていく「聞く力」にとどまっているという印象を抱くことになります。

より望ましい「答え」を見出していくためには、冒頭に示したとおり多面的な情報や幅広い考え方に触れていくことが重要だろうと考えています。そのような意味合いから私自身がインターネット上で接し、興味深く感じたサイトを当ブログの中で紹介しています。一つの運動としての情報の拡散です。

前回の記事は「『朝日新聞政治部』から思うこと」でした。その記事の最後に元朝日新聞記者の鮫島浩さんが、大手新聞社の報道は横並びで「覚悟を決めて強い者に切りかかっていく」という能動的主体的な記事が皆無に近いことを憂えていることを記していました。つまり新聞だけの情報に頼った場合、多面的な情報に触れられなくなる恐れがあるという現状についての憂慮です。

幸いにもインターネット上からはコストをかけず、手軽に多種多様な情報にアクセスできます。多面的な情報に触れていくことが重要であるということは、より多くの方々が多面的な情報に触れてもらいたいという思いにつながっていきます。このような思いを託し、今回「多面的な情報を拡散する場として」というタイトルを付けて書き進めています。

さて、東京地検特捜部が連日家宅捜索している『電通出向組織委幹部に元理事・高橋氏が働きかけか 五輪のAOKI商品“早く審査を”』『五輪事業の「キーマン」紹介や助言…AOKI専務が高橋氏側への要望をリストアップ』という事件も拡散したい情報ですが、今回の記事では旧統一教会関連の動きに絞って目に留まったサイトの内容を紹介していきます。

まず『福田総務会長 旧統一教会と政治「何が問題か分からない」発言を釈明』『旧統一教会「何が問題かわからない」自民党・福田達夫総務会長の“開き直り”発言に怒りの声が殺到』『宮根誠司「ピントがずれてる」 自民・福田議員の旧統一教会「何が問題なのか」にあ然』という報道です。ここまで客観的な事実関係の出来事であれば大手新聞社も軒並み取り上げています。

ただ読売新聞の場合、政治面の最下段で本文10行の記事として伝えています。いずれにしても自民党の総務会長まで務めている国会議員が「何が問題か分からない」と発言していることに驚きます。発言の意図的な切り取りや誤解というレベルではなく、本当に何が問題になっているのか理解されていないようです。

前々回記事「参院選が終わり、見えてきたこと」の中で、全国霊感商法対策弁護士連絡会が「統一教会にエールを送るような行為はやめていただきたい。どんなに被害者が悲しむのか、苦しむのか、絶望するのか。しかも、新しい被害者がそれによって生み出されかねない」と訴え、政治家として配慮されるよう繰り返しお願いしてきたことを伝えています。

それにも関わらず、今になっても福田総務会長が「分からない」と発言したため、憤りの声が上がって当然だろうと思っています。さらに岸防衛相が驚愕の“居直り” 旧統一教会から「選挙の手伝い受けた」明言の真意と波紋』『ひろゆき氏が岸防衛相の旧統一教会めぐる発言受け「上級国民だと許されるんですかね?」とチクリ』という話にも目が留まっていました。

岸防衛相に限らず、旧統一教会の問題の本質を理解できないのか、理解していても居直っているのか、世間一般の常識的な感覚と乖離した政治家の振る舞いが散見しています。この問題では弁護士の澤藤統一郎さんがブログ『霊視商法は潰され、霊感商法は生き残った。なぜだ?』で次のような事実関係を伝えています。 

霊感商法問題に長く携わってきた友人弁護士は、こう語っている。「統一協会が政界工作を行うのは、そのことよって政治権力の庇護を受ける、お目こぼしを受けるということを目標としており、現実にその成果が獲得されていると考えてよい。安倍内閣は国家公安委員長として、統一教会に近いことで知られる山谷えり子を据えている。これが政権の意思として当然に教会に対する監視は緩くなる。霊感商法や伝道端緒の印鑑商法の摘発などは抑えられる。国税庁が税務調査の対象にしないとか、国外送金の問題を追及しないとか、そういう現実的な効果を獲得している」

国家公安委員長、旧統一教会との関係「事実」と認める という記事のとおり現在の二之湯国家公安委員長も旧統一教会との関係を認めています。2018年、旧統一教会の関連団体が主催したイベント「ピースロード」において、京都府実行委員会委員長を務めていたことを明かしていました。

「中村警察庁長官」が国葬後に辞職へ 逮捕状の握り潰しや元首相秘書・子息への忖度捜査で「官邸の番犬」と呼ばれたスーパー官僚の出世すごろく』という見出しの記事は、旧統一教会の問題を直接的に取り上げている内容ではありません。しかし、政治権力が警察の捜査に強い影響を与えている可能性を示唆している記事だと言えます。

橋下徹氏 旧統一教会の名称変更の資料黒塗りを批判「森友学園問題も黒塗りしたことが発端」』という記事では、文化庁から提出された資料の中で旧統一教会の名称変更理由の部分が黒塗りになっていたことに対し、大阪市長だった橋下さんが「すべて開示して堂々と説明すればいい。政治行政は何も学んでいないのか」と批判していることを伝えていました。

ちなみ当ブログでは「誰が」に重きを置かず、「何が」問題で批判すべきことなのか、具体的な言動や事実関係を指摘しながら論評を加えるようにしています。批判ありき、もしくはポジショントークだと見らないように注意しています。普段は批判しがちな方の発言でも、上記のような拡散したい情報であれば「誰が」に重きを置かずに取り上げるようにしています。

今回も長い記事になっていますが、最後に7月28日に配信されたFLASHの記事『旧統一教会「名称変更」を 止められなかった文科省・前川元次官「辞表を叩きつけてNOと言えなかった悔いはある」』を紹介します。記事内容の全文を掲げることも考えましたが、特に拡散したい事実関係について絞らせていただいています。

旧統一教会による被害者がいまもあとをたたないのは、同団体の正式名称が2015年に「世界平和統一家庭連合」に変更されたことが大きいと指摘されている。

1997年から名称変更の申請はおこなわれていたが、宗教法人を所管する文化庁宗務課はこれを受理してこなかった。ところが2015年8月、文化庁は突如、名称変更を認めた。当時、文化庁を外局とする文科省の大臣を務めていたのは、安倍晋三元首相の盟友・下村博文氏だ。

この点で注目を集めるのが、文部科学省の事務次官だった前川喜平氏だ。

《1997年に僕が文化庁宗務課長だったとき、統一教会が名称変更を求めて来た。実体が変わらないのに、名称を変えることはできない、と言って断った》

前川氏は、2020年12月に自身のTwitterでこうつぶやいている。改めて前川氏に話を聞いた。

「私が宗務課長になったのは1997年。前年の1996年に、オウム真理教事件の反省の上に、宗教法人法の改正がありました。それまで野放しだったものを、もう少し注意深く対応しようという姿勢に転じたのです。全国的に展開している宗教法人については、都道府県知事の管轄だったものを文部大臣の管轄に変更して、一定の書類を毎年、出してもらうことになりました。その直後に、私が宗務課長になったわけです。

統一教会の名称変更の要請については、部下が私に報告をしてきたので、その段階で、『実体が変わっていないのに名称だけ変えるという規則変更はできない』という理由で、断ったんです。申請を受けて却下したのではなく、申請そのものを受理しませんでした。我々の気持ちとしては、『ここで認証してしまったら、文部省(当時)が社会的な非難を浴びる』という気持ちがありました。すでに1990年代に、統一教会の問題は知れ渡っていましたからね。

もともと統一教会というのは、正体を隠して活動する性質があり、本体の名前を変えてしまうというのは、究極的な『正体隠し』になってしまう。当時、全国霊感商法対策弁護士連絡会も、文化庁に名称変更を認めないでくれと要望していました」

こうした前川氏の判断により、名称変更は長く認められてこなかった。それが2015年、突然、認められることとなる。前例を踏襲するのが慣例となっている官僚が、それを覆す判断をしたということは、そこに強い動機、つまり政治的な意図が働いたのだろう、と前川氏は感じた。

「2015年のときは、宗務課長が私のところに事前に説明に来ているんです。私は当時、文部科学審議官。どの役所にも、国土交通審議官とか経済産業審議官とか、省の名前の付いた審議官がいるんですが、『省名審議官』は事務次官と同格か、あるいは事務次官に次ぐポストです。

文部科学省では旧文部省出身者と旧科学技術庁出身者が、互い違いに事務次官になっていたわけですが、当時の事務次官は科学技術庁出身者。宗務課長が私のところに説明に来たということは、私が事実上の『文部事務次官』だったからです。

宗務課長が説明に来たときに、私は『NO』と言いました。名称変更は認めるべきではない、と。ただ、裏には何か政治的な圧力があるとは思っていました。私は『NO』と言ったけど、結局、認証されてしまった。私よりも上には、事務次官と大臣しかいないわけです。私は、(認証された理由は)大臣の意向が働いたことは間違いないと思っています。当時の下村博文・文部科学大臣がゴーサインを出しているのは間違いない。これは確信しています。

それに対して『NO』とは言ったけど、『認められません』と言って、辞表を叩きつけるまではやらなかった。私が認めないと言っても、結果は変わらなかったでしょうけどね。まあ、力不足というか……。抵抗しきれなかった悔いは残っていますよ」(前川氏)

一方、当時、文部科学大臣だった下村氏は7月13日、自身のTwitterに、《文化庁に確認したところ》と前置きしたうえで《文化庁によれば『通常、名称変更については、書類が揃い、内容の確認が出来れば、事務的に承認を出す仕組みであり、大臣に伺いを立てることはしていない》《今回の事例も最終決裁は、当時の文化部長であり、これは通常通りの手続きをしていた》などとつづった、7月11日付の書面を投稿した。

ところが2015年当時、民主党参院議員だった有田芳生氏は、旧統一教会の名称変更について疑問を持ち、文化庁に問い合わせていた。そして《文化部長が「専決者」となっていますが、本件については大臣に事前に説明いたしました》という、文化庁の2015年9月30日付の回答を得ていたのだ。

この事実と整合性を合わせるために、7月21日、あらためて名称変更について記者に問われた下村氏は、「文化庁の担当者から、そういう書類が来たということは事前に報告があった」と認めたうえで「(私は)まったく関わっていない」と、名称変更への関与を否定した。

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