市議選と参院選に向けて
ロシアがウクライナに軍事侵攻し、3か月経っても戦火の消える兆しが見受けられません。前回記事「駅頭で訴えた平和への思い」の中で、まったく大義のない不当な戦争を仕かけたプーチン大統領が最も重い責任を負うべき立場であることを記していました。ロシア国内でのプロパガンダが功を奏しているのか、そのプーチン大統領の支持率が7割前後で推移している憂慮すべき現状もあります。
ただ『ウクライナ侵攻に厳しい目 楽観論戒め、プロパガンダ批判も ロシア』という報道のとおりロシア国営番組でも論調の変化が見られるようになっています。「政権の宣伝戦にもほころびが生じているようだ」と伝えていますが、ロシア国内からプーチン政権に対する批判が高まり、一刻も早い停戦に結び付いていくことに望みをかけたいものです。
前回の記事では、人間の「意思」によって防げるはずの悲劇を繰り返さないため、私たちはどのように考え、どのように行動していくことが望ましいのか、このような問いかけも記していました。より望ましい平和の築き方に向けて、個々人の考え方を選択する機会として選挙を通して託す一票があります。
第26回参議院議員選挙の投票日は7月10日が有力視されています。世論調査の政党支持率はメディアによって幅がありますが、時事通信の最新の調査では「立民、支持最低に」という結果が示されています。立憲民主党は0.6ポイント減の2.7%にとどまり、2020年の旧国民民主党との合流以降最低の数値です。
この調査で国民民主党は1.0%で、2党合わせて3.7%でした。直近の政党支持率がそのまま参院選につながるのであれば両党の劣勢は免れず、連合の組織内候補全体の苦戦が見込まれています。労働組合は職場課題の解決に向けて全力を注ぐべきという意見があることもよく耳にしています。
もちろん労働組合が政治課題に力点を置き過ぎて、職場課題がおろそかになるような主客逆転は絶対避けなければなりません。しかし、「組合員のため」を主目的とした組合活動も、職場内の閉じた活動だけでは結果としてその目的が達成できない恐れもあります。
加えて、自分たちの職場だけ働きやすくても、社会全体が平和で豊かでなければ、暮らしやすい生活とは言えません。そのため、企業内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などへ大きな声を上げていくことも昔から重要な組合運動の領域となっています。
このような経緯や背景のもとに連合としての政治方針を確立しています。しかしながら昨今の政治情勢は非常に悩ましく、連合本部の動き方が批判を招く場合もあります。自民党との距離感の問題ですが、労働研究者の濱口桂一郎さんはご自身のブログ記事『労働組合は利益団体(再三再四の再掲)』で次のよう見方を示しています。
労働組合とは政治団体でもなければ思想団体でもなく宗教団体でもなく、労働者の利益を最大化し、不利益を最小化することを、ただそれのみを目的とする利益団体であるという、労使関係論の基本の「キ」に立ち返ってもらいたいところです。
労働者の利益のために白猫が役立つのであれば白猫を使うし、白猫が役に立たないのであれば黒猫を使う、というのは、労働組合を政治団体か思想団体と思い込んでいる人にとっては原理的に許しがたいことかも知れませんが、利益団体としての立場からすれば何ら不思議なことではありません。
政権と対決して労働者の利益が増大するのであればそういう行動を取るべきでしょうし、そうでないのであれば別のやり方を取るというのも、利益団体としては当然です。
濱口さんの見方はその通りであり、いずれにしても労働組合は「組合員にとってどうなのか」という判断基準を重視していかなければなりません。しかし、このタイミングで自民党との接近がプラスに働くのかどうかは疑問であり、参院選における連合組織内候補の足を引っ張る結果につながるのではないかと心配しています。
『元財務大臣・城島光力氏が危惧 「連合」とのギクシャクは「野党の努力が足りない」』という見出しの記事で、連合の中でも民間労組を中心に「立憲はそんなに連合に対して重きを置いていないんじゃないか」という感触を強めていたことを民主党政権時代に財務大臣だった城島さんが伝えています。
城島さんは「政権交代前夜あたりの政治と労組が車の両輪で非常にうまく回っていた時と比べ、ほとんど回らなくなってるという状況が、この1、2年じゃないですか。政治と労組が、お互いまどろっこしくて、不完全燃焼な状況じゃないかな 」とも語っています。その記事の最後に城島さんは次のような見方を示していました。
なぜ労働組合が自民党を支持できないかというと、雇用政策を見れば一目瞭然。働く人たちをどういう目線で見ているのかがポイントで、維新の衆院選公約を見たら、解雇の自由化が堂々と出ててちょっとびっくりした。解雇の自由化は、僕が現職の時に命がけで阻止した法案です。使用者から見て、使い勝手のいい雇用を求めてきたのが、今までの自民党の流れですよ。
象徴的なのが派遣労働。非正規労働が4割を占めるようになってしまって、民主党政権の時に、派遣労働についてやっと少し規制をかけた。だから雇用政策を見れば、維新は現状では労働組合の視野には入ってきていないと思います。ましてや、連合が自民党を支持することは、自己否定につながるからあり得ませんよ。
城島さんが評しているように日本維新の会は自民党よりも労働組合との距離感のある政党だと思っています。『こんな政党にだれが投票するのか…今度は「維新との選挙協力」を打ち出した国民民主党の迷走ぶり』という動きを懸念していましたが、選挙協力が白紙になったことを安堵しています。
このような危機意識は『国民民主党・前原誠司氏の暴走で参院選混迷、「民進党分裂」再来の懸念も』という記事が伝えているとおり連合本部も同様だったようであり、「維新と政権交代をめざすなら連合として参院選は支援できない」と国民民主党の玉木代表に申し入れていました。余計なことですが、前原代表代行の動き方は相変わらずで既視感のあるものだと言わざるを得ません。
政策的な方向性が最も重要な点であることはもちろんですが、日本維新の会の体質的な問題も見過ごせません。最近の問題に限っても『松井一郎氏、所属議員の「経歴詐称」問題に「1回でも報酬を得たのなら非常勤講師」…「身内に甘い」「非常識講師」と非難の嵐』『維新に反省なし! 女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称議員を擁護、参院選候補の大阪市議には公選法違反疑惑』などを指摘できます。
さて、7月10日に予定されている参院選に向け、私どもの組合は比例代表の候補者として自治労組織内の鬼木まことさん(立憲民主党・新人)を推薦しています。前述したとおり選挙の取り組みは歴史的にも国際的にも多くの労働組合が関与してきた領域の一つです。自治労の代表を国会に送り続ける意義は非常に大きいものがあります。
ただ個々人の価値観が多様化している中、選挙方針を組合員の皆さんに押し付けるような進め方は慎まなければなりません。あくまでも取り組む意義や重要性を丁寧に訴えることで、ご理解ご協力を求めていくものだと考えています。そのような意味合いのもとに『組合ニュース』や当ブログで選挙に関わる内容を取り上げています。
参院選に先がけ、6月19日には私どもの自治体の議会議員選挙の投票日を迎えます。これまで市議選に絡んだ記事として、ブログを開設した当初は週に複数回更新していた時期だったため「頭の中は市議選モード」「市議選闘争、いよいよ本番」「豪州戦は残念、でも市議選は!」「応援した候補者が当選」と2週間で4回も投稿していました。
12年前には公務員組合の政治活動の是非が当ブログのコメント欄で取り沙汰されている中、「あえて市議選の話題」という記事を投稿していました。さらに何よりも「再び、地公法第36条と政治活動」という記事を綴っているとおり組合活動の範囲内で選挙に関わる取り組みを進めていることを伝えてきています。
ちなみに当ブログの管理人である私自身はプロフィール欄に記しているような立場を明らかにしています。政治家やタレントなど著名人であれば自分の名前を売るのが本業であり、間違いなく実名でご自身のSNSを運営しています。そのような必要性がないため、このブログでは管理人名を「OTSU」としています。
ただ知り合いや組合員の皆さんからすれば実名での発信と変わらない位置付けとなっています。勤めている自治体名も伏せていますが、記事内容などから簡単に特定できてしまうはずです。必ずしも隠し通さなければならない訳ではありませんが、個人の責任によるブログ運営の一般的なセオリーに沿ったものですのでご理解ください。
自治体について言えば、市長選と市議選それぞれが統一地方選の日程から外れています。都知事選と都議選も独自な日程であり、統一地方選に一切無縁な自治体となっています。そのため、市議選の日程を示すことで具体的な自治体名は明らかになってしまいますが、前述したような点についてご理解願えれば幸いです。
8年前に「市議選まであと1か月」「市議選まであとわずか」、4年前には「等身大の組合活動として」という記事があり、今回も市議選まで1か月を切るタイミングに差しかかっています。来週発行する『組合ニュース』や回覧資料では市議選と参院選について大きく取り上げています。市議選に向けては、自治労都本部が推薦している立憲民主党の現職の方を私どもの組合も推薦を決めています。
匿名での発信を基本としているため、これまで実際にお会いし、このブログで取り上げる場合の政治家の皆さんのお名前の紹介は国会議員に限っています。たいへん恐縮ながら都議会議員や市議会議員の皆さんのお名前は伏せながら記事を投稿しています。より身近な選挙であれば、より慎重に対応すべき関係性だろうと思っています。
市議選は定数28名に対して40名前後が立候補を予定し、今回も激戦が見込まれています。4年前まで私どもの組合委員長だった方を市議会に送り出し、緊密な協力関係を築いてきました。その方が勇退された後、残念ながら市議会に緊密な連携をはかれる議員との関係が途絶えていました。
私たち市職員の働き方は法律や条例によって大きく左右されていきます。このような関係性を重視いただき、市議選と参院選に向けた組合方針に対し、組合員の皆さんのご理解ご協力を求めた記事内容を最新号の『組合ニュース』を通して訴えています。以上のような意義について次回以降のブログ記事でも取り上げさせていただくかも知れませんがご理解ご容赦ください。
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