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2022年5月28日 (土)

平和や人権問題の議論提起

ウクライナでの戦争が長期化する中、ロシア内部のロシアの駐スイス外交官が辞任 ウクライナ侵攻に抗議という情報も耳に入るようになっています。下記の報道を目にした時、その勇気に敬意を表しながら同じような危機意識を持つ外交官が揃って声を上げられる国であれば暴走を止められた可能性に思いを巡らしています。

国連欧州本部があるスイス西部ジュネーブ駐在のロシアの外交官が、自国によるウクライナ侵攻に抗議し辞任したことが23日、分かった。関係者によると、辞任したのは軍縮会議ロシア代表部で参事官を務めていたボリス・ボンダレフ氏で、外交官生活20年のベテラン。

ロシア外務省について「主戦論を唱え、うそと憎悪だけになっており、外交の役割を果たしていない」と指摘した。比較的高位の外交官の辞任に波紋が広がっている。

ボンダレフ氏は23日に出した英文の声明で「プーチン(大統領)が引き起こしたウクライナ、そして全ての西側諸国に対する侵略戦争は、ウクライナ人、そしてロシア国民に対する犯罪でもある」と痛烈に批判。自国の外交政策の変遷は見てきたが、今回の侵攻ほど「恥ずかしいと感じたことはない」と表明した。

ボンダレフ氏は「ロシアを孤立化させ、名誉を傷つけているだけだ」と非難。ラブロフ外相についても「矛盾する発言をし続け、核兵器で世界を脅す人物に成り下がった」と名指しで批判した。【日本経済新聞2022年5月24日】

前回記事「市議選と参院選に向けて」の冒頭で「より望ましい平和の築き方に向けて、個々人の考え方を選択する機会として選挙を通して託す一票があります」と記していました。ウクライナでの戦争をリアルタイムで目にし、7月10日に予定されている参院選において憲法9条の取扱いも争点の一つになるのだろうと見ています。

たいへん重要な問題であり、有権者の投票行動に向けた判断材料になることは望ましい話です。しかし、本質的な争点が曖昧なまま改憲は必要かどうかという問いかけにとどまり、国民の理解と覚悟が不足した中で国の行く末を決めていくような事態だけは避けたいものと考えています。

私自身の問題意識は「Part2」にわたった「憲法9条があるから平和を保てるのか?」という記事を通して詳述しています。専守防衛を厳格化した日本国憲法の平和主義を肯定的にとらえるのかどうか、その上で今後も維持すべきかどうかが明解な論点となることを望んでいます。

現行憲法のままで自衛隊は合憲という解釈が定着しているという認識であるため、単なる自衛隊明記論は非常に中途半端な印象を抱いています。それよりも集団的自衛権の行使をはじめ、国際社会の中で認められた戦争を普通にできる憲法に改めることが望ましいのかどうか、このような論点の明確化を望んでいます。

論点の曖昧さが取り除かれ、明解な争点のもとに圧倒多数の国民が「普通に戦争ができる国」を選ぶのであれば憲法の改正条項に則り従うことになります。明解な論点化につなげていく責務は憲法9条の効用を重視する側にも求められていきます。考え方が異なる人たちをはじめ、不特定多数の皆さんにも届く言葉を探していかなければなりません。

3か月前に投稿した記事「平和や人権問題の組合方針」で伝えているとおり私どもの組合員の皆さんの間でも平和の築き方に向けた考え方が枝分かれしています。昨年11月5日に開いた定期大会での質疑応答の際、しっかり組合員全体できめ細かい議論が交わせる場を設けていくことを約束していました。

火曜日に発行した職場回覧資料の中で、平和や人権に関わる組合方針を議論していくための「たたき台」を示しています。意見交換会の日程等は改めて案内していく予定ですが、「たたき台」に対するご意見等は広く募っています。議論の「たたき台」は私自身がまとめたものであり、文責を明記して回覧しています。

金曜夜には三多摩平和運動センターの定期総会に参加しています。地区連絡会代表という立場でありながら充分な職責を果たせず、たいへん申し訳なく思っている現況ですが、昨年11月17日の組織強化調整委員会の議論の場に参加した際、私どもの組合における動きをお伝えしていました。

「平和や人権に関わる組合方針は全面的に削除すべきではないか」という意見が組合員から示されているという今回の動きです。産別単組を問わず、組合員の政治意識の多様化は年々進んでいるものと認識しています。平和運動に取り組むことが不団結の要因になりかねない現状について問題提起し、議論の「たたき台」をまとめていくことも伝えていました。

このような問題意識を踏まえ、 三多摩平和運動センターの定期総会の開催にあたり、参考までに私どもの組合員に周知した議論の「たたき台」資料をそのまま情報提供させていただきました。事前に事務局と調整した上での情報提供で、次のような点について補足しています。

私どもの組合として明確な「答え」を結論付けた訳ではありませんが、組合執行部の考えは従前の方針を基本的に継承していくというものです。その上で組合が「なぜ、平和運動に取り組むのか」という意義や目的を組合員へ丁寧に周知し、問題意識を共有化した活動に努めていくという立場を改めて重視している点についてお伝えしています。

このような経緯や位置付けについて定期総会の参加者の皆さんに情報提供し、さらに問題意識の共有化に努める機会として貴重な発言時間を工面していただきました。総会終了後「うちの組合も同じような意見が寄せられています」と声をかけてくださった方は一人だけではありませんでした。今回更新するブログ記事でも回覧した資料を参考までにそのまま掲げさせていただきます。

平和や人権に関わる組合方針について ※「職場委員会(延期)参考資料」から抜粋

① 昨年11月の第76定期大会での質疑の際、出席者から下記内容の「平和や人権」の方針案そのものを削除すべきではないかという意見が示されていました。他の出席者からは、この場で決めることの拙速さなどの意見もあり、提起された問題は今後、しっかり組合員全体できめ細かい議論が交わせる場を設けていくことを約束していました。今回、議論に向けた「たたき台」を下記のとおり示させていただきます。

【組合方針】平和や人権をまもるたたかい

(1) 武力によって平和は築けないことを普遍的な教訓とし、日本国憲法の平和主義を広める運動を進めます。その流れに逆行するような改憲発議に反対します。
(2) 戦争を前提とした「有事法制」や在日米軍の再編問題などに反対します。また、国民保護計画の策定に対しては慎重な対応をはかります。
(3) 軍事基地に反対し、騒音や墜落の危険がある横田基地や立川基地の撤去をめざします。また、横田基地に配備されているオスプレイの撤去を求めていきます。
(4) 核兵器の廃絶を願い、反核運動を推進し、原水禁大会などに参加します。また、核兵器禁止条約への日本政府の署名・批准を求めていきます。
(5) 沖縄平和行進など、平和フォーラムや自治労が呼びかける行動や集会に参加します。
(6) 砂川闘争の歴史を継承するため、平和資料館の建設などをめざします。当面は学習館内にある地域歴史と文化の資料コーナーの充実を求めます。
(7) 天皇制の政治利用に反対します。
(8) 国民の間で賛否が分かれている「日の丸」「君が代」の強制に反対します。
(9) 戦争を円滑に進める役割を負わされてきた靖国神社へ閣僚などが参拝することに反対します。
(10) 戦時性暴力や強制労働、地元立川などの空襲、沖縄戦における集団自決など、戦争がもたらす被害や悲劇を継承する取り組みを強めます。
(11)人権、思想、信教、言論の自由が尊重される社会の実現をめざします。また、性差別、部落差別、外国人差別など、あらゆる差別に反対します。
(12) 組合が平和運動などに取り組む意義を組合員へ丁寧に周知し、問題意識を共有化した活動に努めます。

② 上記方針の全文削除を求めた質問者は理由として、私どもの組合の平和や人権に関わる方針案に拉致問題や新疆ウイグルについて触れていないことを問題視していました。他にも憲法を守れば平和が維持できるのかという疑義を示され、北朝鮮や中国に対する脅威論から批判意見を加えられていました。

③ 組合執行部が次年度に向けた議案討議に入る前、組合員全員に呼びかけた意見交換会を開く運びとしています。その場で方向性が決まるものではありませんが、交わされた意見を参考にし、組合執行部が議案をまとめていきます。その議案は今年10月中旬、組合員全員に事前配布した上で11月11日の第77回定期大会で最終的な取扱いを決めることになります。

④ 意見交換会に出席できない組合員の皆さんに向けて、今回の回覧資料に掲げた議論の「たたき台」をお示しした上、広く意見を募らせていただきます。組合役員に直接お声かけいただくか、手紙やメールでも受け付けます。ぜひ、率直なご意見等をお寄せください。なお、意見交換会の日程等は定期大会で質問された組合員の方と調整した上、改めて『組合ニュース』で案内させていただく予定です。

★ 議論の「たたき台」として

定期大会当日、質問された方と同様な考えをお持ちの組合員が少数ではないことを認識している点についてお伝えしていました。しかしながら方針案の個々の内容に対して組合の考え方を網羅的に説明した上での議論につなげられていないため、この場で全面的に削除すべきかどうかの採決はなじまないとお答えしていました。

まず総論的な話です。私どもの組合方針を一個人の責任で白紙から書き直せば上記のような文章にならないのかも知れません。これまで組合が結成されてから75年間の歩みの中で、多くの組合役員や組合員の皆さんとの議論を経て上記の文章に至っています。

また、自治労や平和フォーラムとのつながりも重視しています。単位組合ですので独自な判断での方針を持つこともできますが、構成組織の一員として必要な対応がはかれるような明文化は欠かせないものと考えています。

労働組合は職場課題の解決に向けて全力を注ぐべきという意見があることもよく耳にしています。もちろん労働組合が政治課題に力点を置き過ぎて、職場課題がおろそかになるような主客逆転は絶対避けなければなりません。

しかし、「組合員のため」を主目的とした組合活動も、職場内の閉じた活動だけでは結果としてその目的が達成できない恐れもあります。加えて、自分たちの職場だけ働きやすくても、社会全体が平和で豊かでなければ、暮らしやすい生活とは言えません。

そのため、企業内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などへ大きな声を上げていくことも昔から重要な組合運動の領域となっています。このような背景があり、自治労や平和フォーラムに結集し、組合は平和の課題や一定の政治的な活動にも取り組んでいます。

総論的な話が長くなっていますが、続いて具体的な組合方針に沿った説明を加えていきます。質問された方が真っ先に指摘された(11)の「人権が尊重される社会の実現をめざす」という方針についてです。

確かに指摘されたような具体的な言葉は記載していませんが、だから軽視しているという見方は当てはまりません。あらゆる場面で人権を阻害する行為や非人道的な問題を許さず、強く抗議していく立場を包み込んだ方針だと言えます。

「親中派だから」という陰謀論のような見方を耳にしますが、どこの国の問題であろうとも「ダメなことはダメ」と指摘し、被害を受けている人たちを救うために力を出し合うことが必要です。その上で次年度に向けては拉致や新疆ウイグルなどの問題も加えることを考えています。

組合方針(1)の「武力によって平和は築けないことを普遍的な教訓とし、日本国憲法の平和主義を広める運動を進めます」に対し、他国の脅威論から批判を浴びることの多さを痛感しています。特にウクライナでの戦争を受け、「日本が平和であり続けられたのは憲法9条があったから」という言葉の不充分さを強く認識するようになっています。

「憲法9条があったから」ベトナムやイラクに派兵せず、直接的な戦争に関与しない国であり続けられたことは確かです。しかし、「憲法9条があったから」攻め入られることがなかったかどうかで言えば、そのような短絡的な話ではありません。憲法9条を守ること、イコール平和を守り続けられることではない点について認識していかなければなりません。

そもそも安全保障は抑止と安心供与の両輪によって成立させなければなりません。戦争を未然に防ぐためには「攻めたら反撃される」という抑止効果とともに「先に攻めるつもりがない」という相手方を安心させるメッセージとのバランスが重要です。 外交関係や経済交流を活発化させるソフトパワー、攻められない限り戦争はしないという専守防衛の原則のもと「安心供与」という「広義の国防」を重視すべきという考えです。

憲法9条の「特別さ」を持つ日本は外務省のホームページにも掲げている「人間の安全保障」という取り組みに集中すべきものと考えています。防衛審議官だった柳沢協二さんの「脅威とは能力と意思の掛け算で決まる」という言葉が印象深く、友好的で有益な関係を築いていれば攻撃されるリスクは最小化されるはずです。

⇒ 参考資料として、三多摩平和運動センターが呼びかけた5月9日の反核座り込み行動の際に訴えた内容も掲げています。

このような問題意識を組合方針(1)の 「日本国憲法の平和主義」という言葉に託し、(2)以降の方針内容につなげています。さらに(3)は「騒音や墜落の危険がある」という普遍的なリスクにも言及しています。(7)(8)(9)は個々人の価値判断が大きく分かれている問題だろうと受けとめています。そのような現状を踏まえ「政治利用」や「強制」、「閣僚などの参拝」に反対するという記述につなげています。

組合方針の最後の(12)「組合が平和運動などに取り組む意義を組合員へ丁寧に周知し、問題意識を共有化した活動に努めます」が最も重要な方針だと言えます。今回、そのような意味で意義深い機会であることを受けとめ、幅広いご意見を伺った上、組合員全体で力強く確認できる方針案が確立できるように努めていきます。

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2022年5月21日 (土)

市議選と参院選に向けて

ロシアがウクライナに軍事侵攻し、3か月経っても戦火の消える兆しが見受けられません。前回記事「駅頭で訴えた平和への思い」の中で、まったく大義のない不当な戦争を仕かけたプーチン大統領が最も重い責任を負うべき立場であることを記していました。ロシア国内でのプロパガンダが功を奏しているのか、そのプーチン大統領の支持率が7割前後で推移している憂慮すべき現状もあります。

ただ『ウクライナ侵攻に厳しい目 楽観論戒め、プロパガンダ批判も ロシア』という報道のとおりロシア国営番組でも論調の変化が見られるようになっています。政権の宣伝戦にもほころびが生じているようだ」と伝えていますが、ロシア国内からプーチン政権に対する批判が高まり、一刻も早い停戦に結び付いていくことに望みをかけたいものです。

前回の記事では、人間の「意思」によって防げるはずの悲劇を繰り返さないため、私たちはどのように考え、どのように行動していくことが望ましいのか、このような問いかけも記していました。より望ましい平和の築き方に向けて、個々人の考え方を選択する機会として選挙を通して託す一票があります。

第26回参議院議員選挙の投票日は7月10日が有力視されています。世論調査の政党支持率はメディアによって幅がありますが、時事通信の最新の調査では「立民、支持最低に」という結果が示されています。立憲民主党は0.6ポイント減の2.7%にとどまり、2020年の旧国民民主党との合流以降最低の数値です。

この調査で国民民主党は1.0%で、2党合わせて3.7%でした。直近の政党支持率がそのまま参院選につながるのであれば両党の劣勢は免れず、連合の組織内候補全体の苦戦が見込まれています。労働組合は職場課題の解決に向けて全力を注ぐべきという意見があることもよく耳にしています。

もちろん労働組合が政治課題に力点を置き過ぎて、職場課題がおろそかになるような主客逆転は絶対避けなければなりません。しかし、「組合員のため」を主目的とした組合活動も、職場内の閉じた活動だけでは結果としてその目的が達成できない恐れもあります。

加えて、自分たちの職場だけ働きやすくても、社会全体が平和で豊かでなければ、暮らしやすい生活とは言えません。そのため、企業内の交渉だけでは到底解決できない社会的・政治的な問題に対し、多くの組合が集まって政府などへ大きな声を上げていくことも昔から重要な組合運動の領域となっています。

このような経緯や背景のもとに連合としての政治方針を確立しています。しかしながら昨今の政治情勢は非常に悩ましく、連合本部の動き方が批判を招く場合もあります。自民党との距離感の問題ですが、労働研究者の濱口桂一郎さんはご自身のブログ記事『労働組合は利益団体(再三再四の再掲)』で次のよう見方を示しています。

労働組合とは政治団体でもなければ思想団体でもなく宗教団体でもなく、労働者の利益を最大化し、不利益を最小化することを、ただそれのみを目的とする利益団体であるという、労使関係論の基本の「キ」に立ち返ってもらいたいところです。

労働者の利益のために白猫が役立つのであれば白猫を使うし、白猫が役に立たないのであれば黒猫を使う、というのは、労働組合を政治団体か思想団体と思い込んでいる人にとっては原理的に許しがたいことかも知れませんが、利益団体としての立場からすれば何ら不思議なことではありません。

政権と対決して労働者の利益が増大するのであればそういう行動を取るべきでしょうし、そうでないのであれば別のやり方を取るというのも、利益団体としては当然です。

濱口さんの見方はその通りであり、いずれにしても労働組合は「組合員にとってどうなのか」という判断基準を重視していかなければなりません。しかし、このタイミングで自民党との接近がプラスに働くのかどうかは疑問であり、参院選における連合組織内候補の足を引っ張る結果につながるのではないかと心配しています。

元財務大臣・城島光力氏が危惧 「連合」とのギクシャクは「野党の努力が足りない」』という見出しの記事で、連合の中でも民間労組を中心に「立憲はそんなに連合に対して重きを置いていないんじゃないか」という感触を強めていたことを民主党政権時代に財務大臣だった城島さんが伝えています。

城島さんは「政権交代前夜あたりの政治と労組が車の両輪で非常にうまく回っていた時と比べ、ほとんど回らなくなってるという状況が、この1、2年じゃないですか。政治と労組が、お互いまどろっこしくて、不完全燃焼な状況じゃないかな 」とも語っています。その記事の最後に城島さんは次のような見方を示していました。

なぜ労働組合が自民党を支持できないかというと、雇用政策を見れば一目瞭然。働く人たちをどういう目線で見ているのかがポイントで、維新の衆院選公約を見たら、解雇の自由化が堂々と出ててちょっとびっくりした。解雇の自由化は、僕が現職の時に命がけで阻止した法案です。使用者から見て、使い勝手のいい雇用を求めてきたのが、今までの自民党の流れですよ。

象徴的なのが派遣労働。非正規労働が4割を占めるようになってしまって、民主党政権の時に、派遣労働についてやっと少し規制をかけた。だから雇用政策を見れば、維新は現状では労働組合の視野には入ってきていないと思います。ましてや、連合が自民党を支持することは、自己否定につながるからあり得ませんよ。

城島さんが評しているように日本維新の会は自民党よりも労働組合との距離感のある政党だと思っています。『こんな政党にだれが投票するのか…今度は「維新との選挙協力」を打ち出した国民民主党の迷走ぶり』という動きを懸念していましたが、選挙協力が白紙になったことを安堵しています。

このような危機意識は『国民民主党・前原誠司氏の暴走で参院選混迷、「民進党分裂」再来の懸念も』という記事が伝えているとおり連合本部も同様だったようであり、「維新と政権交代をめざすなら連合として参院選は支援できない」と国民民主党の玉木代表に申し入れていました。余計なことですが、前原代表代行の動き方は相変わらずで既視感のあるものだと言わざるを得ません。

政策的な方向性が最も重要な点であることはもちろんですが、日本維新の会の体質的な問題も見過ごせません。最近の問題に限っても松井一郎氏、所属議員の「経歴詐称」問題に「1回でも報酬を得たのなら非常勤講師」…「身内に甘い」「非常識講師」と非難の嵐』『維新に反省なし! 女性蔑視の石井議員は開き直り、松井代表は経歴詐称議員を擁護、参院選候補の大阪市議には公選法違反疑惑』などを指摘できます。

さて、7月10日に予定されている参院選に向け、私どもの組合は比例代表の候補者として自治労組織内の鬼木まことさん(立憲民主党・新人)を推薦しています。前述したとおり選挙の取り組みは歴史的にも国際的にも多くの労働組合が関与してきた領域の一つです。自治労の代表を国会に送り続ける意義は非常に大きいものがあります。

ただ個々人の価値観が多様化している中、選挙方針を組合員の皆さんに押し付けるような進め方は慎まなければなりません。あくまでも取り組む意義や重要性を丁寧に訴えることで、ご理解ご協力を求めていくものだと考えています。そのような意味合いのもとに『組合ニュース』や当ブログで選挙に関わる内容を取り上げています。

参院選に先がけ、6月19日には私どもの自治体の議会議員選挙の投票日を迎えます。これまで市議選に絡んだ記事として、ブログを開設した当初は週に複数回更新していた時期だったため「頭の中は市議選モード」「市議選闘争、いよいよ本番」「豪州戦は残念、でも市議選は!」「応援した候補者が当選」と2週間で4回も投稿していました。

12年前には公務員組合の政治活動の是非が当ブログのコメント欄で取り沙汰されている中、「あえて市議選の話題」という記事を投稿していました。さらに何よりも「再び、地公法第36条と政治活動」という記事を綴っているとおり組合活動の範囲内で選挙に関わる取り組みを進めていることを伝えてきています。

ちなみに当ブログの管理人である私自身はプロフィール欄に記しているような立場を明らかにしています。政治家やタレントなど著名人であれば自分の名前を売るのが本業であり、間違いなく実名でご自身のSNSを運営しています。そのような必要性がないため、このブログでは管理人名を「OTSU」としています。

ただ知り合いや組合員の皆さんからすれば実名での発信と変わらない位置付けとなっています。勤めている自治体名も伏せていますが、記事内容などから簡単に特定できてしまうはずです。必ずしも隠し通さなければならない訳ではありませんが、個人の責任によるブログ運営の一般的なセオリーに沿ったものですのでご理解ください。

自治体について言えば、市長選と市議選それぞれが統一地方選の日程から外れています。都知事選と都議選も独自な日程であり、統一地方選に一切無縁な自治体となっています。そのため、市議選の日程を示すことで具体的な自治体名は明らかになってしまいますが、前述したような点についてご理解願えれば幸いです。

8年前に「市議選まであと1か月」「市議選まであとわずか」、4年前には等身大の組合活動としてという記事があり、今回も市議選まで1か月を切るタイミングに差しかかっています。来週発行する『組合ニュース』や回覧資料では市議選と参院選について大きく取り上げています。市議選に向けては、自治労都本部が推薦している立憲民主党の現職の方を私どもの組合も推薦を決めています。

匿名での発信を基本としているため、これまで実際にお会いし、このブログで取り上げる場合の政治家の皆さんのお名前の紹介は国会議員に限っています。たいへん恐縮ながら都議会議員や市議会議員の皆さんのお名前は伏せながら記事を投稿しています。より身近な選挙であれば、より慎重に対応すべき関係性だろうと思っています。

市議選は定数28名に対して40名前後が立候補を予定し、今回も激戦が見込まれています。4年前まで私どもの組合委員長だった方を市議会に送り出し、緊密な協力関係を築いてきました。その方が勇退された後、残念ながら市議会に緊密な連携をはかれる議員との関係が途絶えていました。

私たち市職員の働き方は法律や条例によって大きく左右されていきます。このような関係性を重視いただき、市議選と参院選に向けた組合方針に対し、組合員の皆さんのご理解ご協力を求めた記事内容を最新号の『組合ニュース』を通して訴えています。以上のような意義について次回以降のブログ記事でも取り上げさせていただくかも知れませんがご理解ご容赦ください。

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2022年5月14日 (土)

駅頭で訴えた平和への思い

前回記事「日本国憲法施行から75年」の中で「伝える言葉や問いかけ方によって、憲法9条の行方は大きく変わりそうな現状だと言えます。だからこそ憲法9条の効用を支持している側は不特定多数の皆さんに届く言葉や共感を得られる言葉を探し続けなければなりません」と記していました。

3か月前に投稿した記事「平和や人権問題の組合方針」のとおり私どもの組合員の皆さんの間でも平和の築き方に向けた考え方が枝分かれしています。今後、しっかり組合員全体できめ細かい議論が交わせる場を設けていくことを昨年11月の定期大会で約束していました。

議論の「たたき台」を私自身がまとめることになっているため、このところウクライナでの戦争や憲法9条に関わる内容のブログ記事が増えているとも言えます。異なる考えを持っている方々にも届く言葉を探し続けていますが、そのことをよりいっそう意識しながら今回の記事に向き合っています。

月曜日、ターミナル駅前での反核座り込み行動に参加していました。以前の記事「反核座り込み行動で訴えたこと反核座り込み行動で訴えたこと、2020年冬 の中で紹介したとおり三多摩平和運動センターは6日もしくは9日、毎月、三多摩各地のいずれかの駅頭で座り込み行動に取り組んでいます。

1945年8月6日に広島、8月9日には長崎に原爆が投下されました。その日を忘れないために「核も戦争もない平和な21世紀に!」と記された横断幕を掲げ、駅前のデッキ上の一画に座り込みます。その座り込みの横で、駅前を通行している方々にチラシを配布したり、拡声器を使って反核についての様々な主張をアピールするという行動です。

具体的な活動ができないままの恐縮な現状ですが、地区連絡会の代表という肩書があるため、このような行動の際、私自身もマイクを持つ一人として指名されます。以前は原稿を用意せず、その時々に思ったことをアドリブで訴えていました。そのため、時間超過気味のサインを送られる場合もあり、終わった後に「あのことも触れれば良かった」と思う時も多々ありました。

このような点を防ぐため、数年前から訴えたい内容の原稿を事前に用意するように心がけています。これまで当ブログを通し、不特定多数の皆さんに訴えてきた論点をまとめたものが原稿の内容となります。今、私自身が切に願うことであり、どのような言葉を尽くせば良いのか、いろいろ考えながら原稿を仕上げています。

ただ駅前を行き交う方々の中で足を止めて耳を傾けてくださる方は、まずいません。ほとんどの方が聞き流していくようなアピールの場に過ぎませんが、私自身の出番があるのであれば最も訴えたいことを自分の言葉を尽くして訴えてみようと考えながら駅頭の行動に臨んでいました。

一人でも多くの方に、ほんの少しでも気に留めていただけたらと願いながら、ロシアに対する憤りとともに私自身の思いを込めて、当日はマイクを握っていました。訴えの最後は「ぜひ、このような点について、お忙しい日常の中でも少しだけ考えていただければ幸いです。よろしくお願いします」という言葉で結んでいます。

このブログでの発信は不特定多数の皆さんが目にすることを常に意識しています。駅頭での訴えと同様な関係性であり、一人でも多くの方に伝えたい思いをブログに託しています。そのため、今回の記事は「駅頭で訴えた平和への思い」というタイトルを付け、反核座り込み行動の時に訴えた内容をそのまま掲げさせていただきます。

反核座り込み行動で訴えた内容

2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻し、2か月以上経ちます。リアルタイムで届くウクライナの悲惨な現状は目を覆うばかりです。先月末にプーチン大統領は国連のグテーレス事務総長と会談した際、ウクライナ南東部に住む人々の苦しみを終わらせるため、国連憲章第51条に従って特別軍事作戦を始めたと説明しています。

たいへん驚き、怒りが沸いてきます。事務総長も即座にウクライナの領土への侵略であり、国連憲章を大きく逸脱した行為であることを指摘しています。ロシアの軍事侵攻自体が国際法違反ですが、学校や病院など民間施設への攻撃や民間人の殺戮は明白な戦争犯罪です。

まったく大義のない不当な戦争を仕かけたプーチン大統領が最も重い責任を負うべき立場ですが、戦場に送られたロシア軍兵士の残虐さも明らかになっています。平穏な日常の中では普通に暮らしているはずの人物が、戦争という非日常の場面では信じられないほどの凶行に走ってしまいます。過去から現在まで数多く残されている戦場での惨劇が物語っている戦争の悔やむべき実相です。

大地震や感染症など自然界の脅威は人間の「意思」で抑え込めません。しかし、戦争は権力者の「意思」によって引き起こされるため、人間の「意思」によって抑えることができるはずです。このような戦争の現実に思いをはせ、人間の「意思」によって防げるはずの悲劇を繰り返さないため、私たちはどのように考え、どのように行動していくことが望ましいのでしょうか。

国際社会は二度の世界大戦を経験し、そこから得た教訓をもとに現在の国際秩序やルールを定めています。国際社会における「法の支配」であり、国連憲章を守るという申し合わせです。その一つが武力によって他国の領土や主権を侵してはならないとし、自衛以外の戦争を禁止しています。

このような国際的な規範が蔑ろにされ、帝国主義の時代に後戻りしてしまうのかどうか、ウクライナでの戦争は国際社会に突き付けられている試金石だと言えます。戦争が一秒でも早く終わることを願いながら圧倒多数の国々が結束し、ロシアに圧力を加え、ウクライナを支援している構図は物凄く重要な関係性だろうと思っています。

国際社会の結束は、ロシアと同じように軍事力で「自国の正義」を押し通そうと考えていた権力者の「意思」に大きな牽制効果を与えているはずです。国際社会の定められたルールは絶対守らなければならない、守らなければ甚大な不利益を被る、このことをロシアのプーチン大統領に思い知らせなければならない局面が続いています。

ウクライナでの戦争を受け、改憲や核共有の議論をはじめ、防衛費を対GDP比2%以上に増額すべきという動きが出ています。そのような動きが妥当なのかどうか、しっかり見極めなければなりません。

抑止力を高めていくという発想は際限のない軍拡競争につながりかねず、国家財政を疲弊させ、「抑止のため」という大義名分のもとの核開発や他国を侵略するための口実に結びつきがちです。

そもそも軍事力の拡大ということ自体が戦争を招くという見方もあります。敵の基地や中枢を攻撃できる能力を持つということは、相手方に脅威を与え、軍事的な緊張が高まるという見方です。

安全保障は抑止と安心供与の両輪によって成立させなければなりません。戦争を未然に防ぐためには「攻めたら反撃される」という抑止効果とともに「先に攻めるつもりがない」という相手方を安心させるメッセージとのバランスが重要です。

安心供与から対話できる関係を築き、相手方にこちらを敵視する「意思」がなくなれば切迫した脅威は消えていくはずです。このような対話をできる関係をめざすことが広義の国防と言われる安心供与による安全保障です。その上で平時の外交交渉の場面では相手方の主張にも耳を貸していくという姿勢が求められていきます。

さらに反核座り込み行動にあたり、プーチン大統領の核兵器によって他国を威嚇する発言は極めて悪質で不当なものであることを強調しなければなりません。不当さを比べるものではありませんが、このような局面で安倍元総理が核共有に向けた議論を提起するという発想に対し、強い違和感や危惧を抱いています。

核兵器の開発、保有、使用を禁止する条約が昨年1月に発効しています。残念ながら現段階では日本をはじめ、核保有国や核抑止力に依存する国々は署名・批准していません。それでも核兵器は違法だという流れが国際社会の中で定められたことは紛れもない事実です。

国際社会が過去の教訓や未来への希望を託しながら定めているルールは最大限尊重していくべきものです。まして唯一の戦争被爆国である日本こそ、核兵器の非人道性や地球規模で及ぼす影響を訴え、率先して禁止条約の実効性を高めることに全力を尽くさなければならないはずです。

「議論自体をタブー視してはいけない」という意見がありますが、日本の家庭において拳銃を持つことは法律違反です。法律に違反することを承知しているけれども「身を守るために必要かどうか議論はすべきだ」と主張していることと同様であることを本日の行動を通し、強く訴えさせていただきます。

最後に、国連の役割や機能について不充分さは見受けられますが、せっかく築いた方向性や理想を否定するのではなく、問題点は改善していくという基本的な姿勢のもとで国連改革に努めるべきではないでしょうか。ちなみに岸田総理の先輩に当たる自民党の古賀元幹事長が「理想を実現するのが政治の役割だ」と語っていることも紹介させていただきます。

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2022年5月 7日 (土)

日本国憲法施行から75年

5月3日の憲法記念日、今年は憲法施行から75年という節目を迎えていました。全国各地で憲法に絡む集会が催され、憲法改正「主役は国民」護憲派は「ほんとに戦争するんですか」』という記事で自民党の中曽根弘文参院議員が次のように語っていたことを伝えていました。

GHQ(連合国軍総司令部)が突貫工事で作った草案を受け入れ現憲法を作ってから75年、日本の無力化を狙ったと言わざるを得ない内容を、独立国家として日本人の手で作り直すことが当然だったにもかかわらず、いまだに修正できていない。

前回記事「憲法9条があるから平和を保てるのか? Part2」の中で、改憲を望む政党や政治家の多くはGHQから押し付けられた憲法だという認識を強く持ち、「普通に戦争ができる憲法」をめざしているように見受けられることを記していました。そのような認識が堂々と語られる中での改憲論議であることを改めて気付かさせる発言でした。

読売新聞の社説『憲法施行75年 激動期に対応する改正論議を』では「前文の理想さらに遠く」という小見出しを付け、前文で日本国民は「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とうたっていることを伝えた後、次のように記しています。

だが、戦争放棄の前提となった前文の理想は実現せず、「諸国民」を信頼するだけでは平和を維持できないことは明白となった。日本周辺では、軍事大国化した中国が尖閣諸島の領海への侵入を常態化させ、北朝鮮はミサイル発射を繰り返している。その現実を直視し、国民を守り、国際社会の平和に貢献する方策を考えるべき時にある。

改憲論議に際した私自身の問題意識は以前の記事「憲法9条の論点について」「『ゴー・ホーム・クイックリー』を読み終えて」「憲法論議に願うこと」などを通して訴えてきています。制定過程の経緯を理解しながらもGHQに押し付けられたというネガティブな気持ちを抱くことなく、憲法9条の理念や効用などを率直に評価しています。

「戦勝国」それぞれの思惑が絡みながら誕生したのかも知れませんが、「国際社会は、こうありたい」という理想を託した憲法だったことも確かなはずです。そもそも多くの国民から75年も支持されてきた憲法であり、国民一人一人の共通理解と覚悟のもとに日本の進むべき道を決める改憲論議であることを願っています。

5月3日は現地に出向けませんでしたが、オンラインで改憲発議許さない!守ろう平和といのちとくらし 2022 憲法大集会」を視聴していました。登壇された方の中で上智大学教授の中野晃一さんの発言が最も私自身にとって共感する内容でした。発言された内容の要旨は次のとおりです。

各種世論調査の結果、改憲派が増えたように伝えています。毎日、戦争の報道があり、そのように思ってしまうのかも知れませんが、朝日新聞の世論調査を見て驚きました。「あなたにとって一番優先すべき政治課題は」という7つぐらいの選択肢の中で「憲法」を選んだ人は2%しかいません。

他の選択肢の中で景気、福祉、教育・子育てを合わせると68%です。改憲するのであれば支持する人も多いのかも知れませんが、決して多くの人が積極的に改憲を望んでいる訳ではないということです。

改憲よりも、暮らしを守るために優先すべきことがあるのではないか、このような点を私たちは訴えてきています。「憲法を守れ」と言う時、決して憲法を愛でいる訳ではなく、憲法に根ざした暮らしを皆に届けたいということをしっかり訴えていかなければなりません。

政府が旗を振り「抑止」一辺倒ですが、安全保障政策は武力だけだと誤解されています。安全保障政策は「安心供与」と「抑止」がセットでないと不充分です。戦争を未然に防ぐためには「先に攻めるつもりがない」というメッセージが重要です。

9条をなくせば無限の軍拡競争につながりかねず、「安心供与」を疎かにする政治こそ日本本土が標的にされてしまうリスクを高めかねません。9条を守って「安心供与」を維持することで、初めて安全保障政策として成立することも合わせて伝えていきたいと思っています。

防衛費を増やしていくということは、福祉や子育てなどの予算が削られ、増税が必要になるということを意味しています。このような点についても他の登壇者が訴えていました。全体を通してロシアの暴挙を非難する発言が相次いでいましたが、軽率な言葉の使い方が批判を受けた登壇者もいました。

立憲民主党の奥野総一郎衆院議員の「ロシアよりも許せないのが今の与党だ」という発言です。その後、奥野議員は言い過ぎたことを謝罪し、発言を撤回しています。「ちょっと場所が場所で、私もエキサイトして…」と釈明されていたようですが、「環境的バイアスがかかっていた」という指摘を受けていました。

ひろゆき氏「永遠に野党」 立民議員の与党「ロシアより許せない」発言に』という記事では、ひろゆきさんの「多数派には支持されない。永遠に野党で居続けるマイノリティの罠に嵌り続けます」というツイートを伝えていました。この記事に触れた時、3年前の憲法集会での発言者の言葉を思い出していました。

NHKの記者だった相澤冬樹さん の「主義主張が同じ人には届くが、そうじゃない人には届かない。異なる考えを持っている方々に届く言葉を探し続けなければなりません」という言葉です。この発言を受けて届く言葉、届かない言葉」というブログ記事を投稿し、私自身の問題意識をまとめていました。

改憲「必要」56%、9条「変えない」59%』という報道もあるとおり伝える言葉や問いかけ方によって、憲法9条の行方は大きく変わりそうな現状だと言えます。だからこそ憲法9条の効用を支持している側は不特定多数の皆さんに届く言葉や共感を得られる言葉を探し続けなければなりません。

このブログでは私自身の言葉で語ることと同時に幅広い情報を提供する場として、他のサイトで目にした様々な意見や考え方をリンクをはりながら紹介しています。基本的に私自身が共感した内容であり、『露ウクライナ侵攻から2か月「日本も人ごとではない。武力に頼らない外交力が問われる」』からはNHKの解説委員だった柳沢秀夫さんの次の言葉を紹介します。

日本は人ごとではない。いつ、アジアで類似した状況が起きても不思議ではないと考えなければなりません。日本は外交力が問われています。武力に頼らず、対話で危機的状況を生じさせないようにどうすればいいか真剣に考える時を迎えています。

土曜夕方に放映されたTBS『報道特集』の「反撃能力への改称と防衛費倍増…核基地あった沖縄は」という特集は、柳沢さんの端的な言葉の背景を補足する秀逸した内容でした。番組の中で青山学院大学名誉教授の羽場久美子さんがインタビューに答え、次のように解説していました。

軍事力の拡大ということ自体が戦争を招くと考えているので慎重であるべきです。今回の軍事侵攻の非はロシアにありますが、NATOの東方拡大やアメリカの軍事支援がロシアを追い詰めた側面もあり、国境線に緊張を生み、ロシアが挑発されて愚かな行動をとったと思うからです。

同様の流れが日本でも起きることを懸念しています。武器を大量に入れ、さらに攻撃できる能力を持つということは、あちらから見ても攻撃する能力を拡大していることになるため、東アジアでも緊張が高まる可能性があります。

羽場さんの前には自民党の幹事長だった古賀誠さんのインタビューが放映されています。古賀さんは「自民党の提言は戦争を実体験していない世代が頭の中だけで考えた議論だ」と批判し、「力で平和が実現するということは絶対あり得ない」と強調されていました。

古賀さんは「日本の国はものすごく大きな宝を持っている。それが9条なのです」と熱く語り、防衛予算を増やしても日本が世界の平和に貢献できる訳ではないと訴えています。最後に『元自民幹事長の古賀誠さん、憲法9条は「戦争の反省と非戦の決意」』という新聞記事に掲げられていた古賀さんの次の言葉も紹介します。

今こそ、憲法の平和主義を重んじてきた宏池会の出番だと感じる。池田勇人氏や宮沢喜一氏ら宏池会の歴代首相が掲げた「9条堅持」を継ぐことに岸田政権の価値があると思う。理想論だと言う人もいるが、何が悪い。理想を実現するのが政治の役割だ。

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