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2022年4月 9日 (土)

ハラスメントのない職場の確立に向けて

前回記事「砲撃が続くの中での停戦交渉」の冒頭で、私どもの市役所に入所された皆さんに向けた記事を書くつもりだったことを伝えていました。労使対等原則を説明する中でウクライナの停戦交渉にも触れようと考えましたが、とても「さわり」だけで済ませられるような問題ではなく、すぐ新規記事のタイトルを変更していました。

今回のタイトルはウクライナから離れていますが、一言だけ触れさせていただきます。ロシア軍の非道さが明らかになっている一方、ロシア国内でのプーチン大統領の支持率は上昇しています。偏った情報では正当な判断ができないという現実を見せ付けられています。今後、大義のない軍事侵攻を即刻やめさせるためには多様な手段を駆使して真実をロシア国内に届ける試みも重視されているのではないでしょうか。

さて、週1回の更新間隔のため取り上げたい題材に事欠きません。今回は私どもの組合における最近の取り組みを題材としていますが、決してローカルな問題にとどまらず、時事の話題としてもタイムリーな位置付けとなるはずです。2020年6月にパワハラ防止法が施行されています。この4月からは中小企業にも防止措置が義務付けられ、全面的な施行となります。

パワハラ防止法の正式名称は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」で、略称が労働施策総合推進法です。同法にパワーハラスメント防止に関する規定を盛り込む法改正が行なわれたことを踏まえ、一般的にパワハラ防止法と呼ばれています。

これまで当ブログでは「パワハラ防止に向けて」「電通社員が過労自殺」「心が折れる職場」など職場でのパワハラを題材にした記事をいくつか投稿しています。2009年10月の記事(「投資」となるパワハラ対策)の最後のほうでは下記のような動きや問題意識を伝えていました。

パワハラを許さない職場づくりのためには、まず皆がパワハラについての知識を深めることが必要です。セクハラと同様に「それって、パワハラじゃないですか?」と気軽に指摘できるようになれば、自覚のなかった加害者に自制を促す機会となり得ます。そのような意味合いを込め、金曜日に開いた安全衛生委員会で私からパワハラ対策に関して次のように提起しました。

「パワハラによる自殺が労災認定されるようになっています。パワハラは、職場から撲滅すべきものであることは言うまでもありません。これまでセクハラ防止についても安全衛生委員会の課題としてきました。今回、具体的な事例の有無を問うものではありませんが、今後、パワハラ対策も安全衛生委員会の重要な課題とすべきものと考えています」と発言しました。

私からの提起に対し、委員長である副市長から即座に賛同を得られ、安全衛生委員会としてパワハラ対策についても取り組んでいくことを確認しました。今後、労使双方でパワハラに対する定義を共通理解し、実態の点検を進め、パワハラと認定すべき行為が発覚した際は適切な対応に努めていきます。職員が健康でいきいきと働き続けられ、組織の士気や業務効率を高めるためにも、パワハラを許さない職場づくりが重要であり、その一歩を踏み出したものと受けとめています。

上記の内容で今回の記事を締めることもできますが、最近の動きを紹介しながら「ハラスメントのない職場の確立に向けて」というタイトルの新規記事を書き進めていきます。新年度に入った『組合ニュース』のトップの見出しは「働き方やハラスメントの問題で困った時は組合まで」です。本文中の小見出しには「人材を育むための人事評価制度に向け、必要な協議を継続」があります。

3月末に発行した機関誌の特集記事の中で人事評価制度における労使確認事項を報告しています。組合は人事に関与できませんが、賃金水準に直結する制度面の問題は労使協議の対象です。そのため、労使で確認した事項が的確に履行されているかどうか引き続き労使協議の場でも検証していくことになります。

『組合ニュース』の本文では、その後に「人事評価制度は人材育成を主目的とし、排除や選別につながるような制度では問題です。特に雇用の問題は労働組合が最も重視している領域です。もし雇用や働き方の問題で困った時は気軽に組合までご相談ください」と続けています。

最新号の『組合ニュース』には「ハラスメントについて」という見出しの内容も掲げています。前述したとおり4月からパワハラ防止法が全面施行されたことを伝えた後、セクハラも含め、ハラスメントのない職場の確立に向けて、現在、組合は下記のような問題意識のもとに対応していることを報告していました。

ハラスメントとは「他人に対する発言や行動などが、本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えることをいう」とされ、行為者が無自覚であることが多く、受け止める側に個人差があることも特徴です。

組合は20年以上前からハラスメントに関する組合員からの相談を個別に受け、その都度必要な対応をはかってきました。同時に組合はハラスメント対策の重要性を安全衛生委員会等で訴え、現在「職場におけるハラスメントの防止に関する要綱」が定められ、ハラスメント防止等対策委員会が設置されています。

今でも必要に応じて組合員からの相談を個別に受けていますが、最近、次のような課題に直面しています。対策委員会に相談・苦情を申し出た際、申請受付の経緯、審議のあり方、示された処理結果に納得できないという組合員からの相談です。要綱では「委員会は、相談・苦情をした職員が、委員会の事案の処理に不服がある場合に、他の相談機関に相談することを妨げない」と記されています。

パワハラ防止法では事業者にその次の相談機関の設置を求めていますが、公平委員会をはじめ、不服申立を受ける充分な体制が整っていないため、被害者は泣き寝入りせざるを得ない現状です。最終的には裁判という方法もありますが、証拠等をそろえることの困難さや費用がかかり、現実的には不可能です。

1月末に自治労都本部の催したオンライン集会で「職場のハラスメント研究所」代表理事の講演があり、参加した組合役員が今回のようなケースへの適切な対応策について質問していました。他の相談機関に持ち込む前に組織内で解決できることが望ましく、仕組みを改善することの必要性等について講師から助言を得ています。

この時の助言を踏まえて、組合はハラスメント防止等対策委員会の機能の一部見直しに向けて市当局に下記2点について議論提起しています。

① ハラスメントとして認定するのかどうかにとどまらず、両当事者の言い分を聞いて調整や調停する機能を付加できないか

② 事案の処理に不服があった場合は再度審議する機会、いわゆる二審制を取り入れられないか

「職場におけるハラスメントの防止に関する基本方針」の冒頭に「職場におけるハラスメントは、職場の秩序を乱し、業務の遂行を阻害する行為であり、ひいては市民サービスの低下につながりかねないものである」と記されています。ハラスメントを受けた職員の尊厳や人権を守るべき問題であると同時に職場全体に影響を及ぼす問題として対応していかなければなりません。

このような趣旨のもと組織的な対応策や仕組みが不充分であれば適宜改善していく必要があります。相談されている組合員の声に寄り添いながらハラスメントの再発防止に向け、よりいっそう効果を上げられる制度の改善をめざし、組合は上記のような議論提起につなげています。

上記は「【報告】ハラスメントのない職場の確立に向けて」という見出しを付けて『組合ニュース』の裏面に掲げた内容です。前述したとおりハラスメントを行なった職員が「そのつもりはなかった」というケースは多いようです。

次のような事例もハラスメントに該当する場合があります。業務上、明らかに必要性のない言動として、部下やその家族の私生活のことを話題にする雑談なども要注意です。職員の就業環境が害されるものとして、急ぎの仕事にかかっている部下に不要な問いかけなどを繰り返すとハラスメントに当たる場合もあります。

一方で、職場での雑談の効用を説く声もあります。『職場を変える「雑談」の魔力 4つの心得』というサイトでは次のような雑談のメリットを紹介しています。「雑談で相手との距離感を縮めることは重要」という主旨の記事ですが、そのサイトの後段では注意すべき点も綴られています。

雑談は、組織のなかであれば、信頼関係を築く上で重要で、集団の絆を強める効果がある。チームとなればなおさらで、求心力など凝集性を高める。また、自分の話を聞いてもらえる環境があれば心理的安全性も生まれるだろう。さらには、それを前提に業務上のコミュニケーションも円滑になり、様々な状況で自分の意見をはっきりと伝えることにつながる。

セクハラも同様ですが、同じ言動でも相手関係や場面によって受け止め方が大きく異なっていきます。そのような特性や悩ましさを理解した上、良好な人間関係を築いていかなければなりません。いずれにしてもハラスメントのない職場の確立に向け、加害者にならないための個々人の意識付けが重要だろうと考えています。

最後に、まったくの余談です。機関誌の懸賞付クロスワードパズルはコロナ禍の組合予算還元策の一つとして3千円分のクオカードの当選確率を例年の3倍としています。当選者30名のところ応募状況の出足が鈍かったため、『組合ニュース』の囲みで「当選確率は100パーセンほどです」という呼びかけもしていました。

その中で「設問は難しくても4文字の答えはすぐ分かると思います。組合がよく使う言葉で、この『組合ニュース』の中でも使っています」という一文を加えていました。すると同じ職場の方から「裏面を見たら答えが赤字になっていたので思わず笑ってしまいました」と声をかけられていました。ちなみに現在の当選確率は2倍を超えています。

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コメント

OTSUさま。
お久しぶりでございます。
ご存知であれば教えていただければと
思います。
市役所には様々な方が来庁されますが、
なかにはクレーマーと呼ばれる人もおります。業務上、クレーマーの方との対応により、それが原因で体調不良や精神的に不安定な状況になった場合、これは私疾病となるのでしょうか?

投稿: ぱわ | 2022年4月15日 (金) 21時05分

ぱわさん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。

顧客らによるカスタマーハラスメントで精神障害になったとする労災認定が相次いでいるという下記のような報道を目にしています。その記事では民間に限らず、地方自治体の職員の被害も深刻であることを伝えています。認定されるかどうか審査は厳しいのかも知れませんが、私傷病ではないと判断される可能性も高いようです。

>悪質カスハラでうつ 自治体職員被害 相次ぐ精神障害での公務災害認定
https://mainichi.jp/articles/20191022/k00/00m/040/146000c

投稿: OTSU | 2022年4月16日 (土) 05時45分

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