【Will】機関誌に託した思い
水曜の夕方、ウクライナのゼレンスキー大統領による日本の国会での演説をリアルタイムで視聴しました。他の国での演説と異なり、淡々とした訴えが印象的でした。日露戦争、北方領土、安倍元総理がプーチン大統領と親密な関係だったことなどは一言も触れず、ある意味で無難な内容に終始したように受けとめています。
それでもサリンや津波という言葉が取り入れられ、軍事的な支援には制約のある日本の立場を配慮した要請が中心とされていたため、やはり綿密な準備を尽くした上で臨まれていたように見受けられます。そのあたりについてブックマークしているブログ『無難で穏やかだったゼレンスキー演説、私はこう聞いた。』の中で澤藤統一郎さんが興味深く推察されていました。
前回の記事は「問われている平和の築き方 Part2」でした。ウクライナでの惨禍や悲劇は終わりを見出せない中ですが、今回の記事はローカルな話題を取り上げます。毎年3月、私どもの組合の機関誌を発行しています。定年退職される皆さんを紹介した頁の他に特集記事「春闘期、情勢や諸課題について」などを掲げています。2年前には特集記事の内容をもとにした「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」というブログ記事を投稿していました。
今回「【Will】機関誌に託した思い」というタイトルを付けて書き進めています。初め『鬼滅の刃』の「大正コソコソ話」を意識しながら「【Will】機関誌コソコソ話」というタイトルを考えていました。ネット上に掲げながら「コソコソ話」はないだろうと思い返し、オーソドックスな新規記事のタイトルに落ち着いています。
ここ数年、機関誌全体を通し、私自身が責任編集しています。そのため、火曜日に発行した最新号の誌面上では直接的な言葉で語れなかったことも当ブログの中で解説してみようと考えていました。前述したとおり特に「コソコソ」する必要もない話ですが、誌面上ではストレートに伝えることよりも行間や編集面での意図を感じ取ってもらえたほうが適切だろうと判断していました。
今回の特集記事の見出しは「【Will】組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」です。このことについて特集記事の「おわりに」の中で次のように説明しています。その中では今回のブログ記事のタイトルにも添えている【Will】について触れていました。
私自身、組合役員を長く続けている中で「組合は必要」という思いを強めています。その思いのもとに執行委員長を長く担ってきましたが、ここまで長く務めてきたことの悩ましさや責任を痛感しています。
今回の特集記事の見出しに【Will】という言葉を添えています。未来形としての願いであり、バトンを託す皆さんに向けた言葉だという意味合いを込めさせていただいています。そのため、何としても「ピンチをチャンス」に変え、持続可能な組合組織の確立に向け、残された任期中、よりいっそう努力していくつもりです。
いずれにしても私一人や執行部だけの力で変えられるものではなく、そうすべきものではありません。情勢や問題意識を組合員の皆さんと共有化し、これからの組合の組織や活動のあり方について、ともに考え、ともに力を出し合っていくことが最も重要です。そのような意味で、今回の特集が情勢や問題意識の共有化に少しでも寄与できていたら本当に幸いなことだと考えています。
ストレートな表現を控えたため、上記の言葉からは今年11月の定期大会で執行委員長を退くという表明であることを充分伝えられなかったようです。昨年11月の記事「定期大会を終えて、2021年秋」の中でも伝えているとおり今年度はバトンを着実に渡すための一年であるという意識を強めながら臨んでいました。
たいへん長く担ってきていますので定期大会を間近にしての退任の判断では迷惑をかけるものと思い、一年前に予告した上で引き継ぎのための一年という猶予期間に位置付けています。このことは組合役員をはじめ、周囲の皆さんにはお伝えしている話でした。そのため、今回の機関誌の中で婉曲な言い方で触れていたところです。
実は【Will】という言葉には「遺言」という意味もあります。その意味合いまで説明するのは適切でないものと考え、上記のように「未来形としての願いであり、バトンを託す皆さんに向けた言葉」という説明にとどめていました。参考までに他愛のない逸話として、このブログの中では触れてみました。
小学生の頃から書くことが好きで、マスコミ関係の仕事に就きたいという将来の夢もありました。したがって、特集記事を綴ることや機関誌の編集作業は集中できる時間さえ取れればあまり苦になりません。来年以降の引き継ぎのことを考えれば以前のように複数名での編集委員会を立ち上げるべきだったという思いもあります。
ただ組合役員一人一人の抱えているたいへんさを考えると負担の分散化よりも、効率的な任務分担で短期に仕上げることを優先していました。特段のスキルが必要な作業ではないため、来年以降、担ったメンバーが苦労するのかも知れませんが、途切れずに発行していけるものと信じています。
数年前からクロスワードパズルも私自身が手がけ、オリジナルのクイズ作りを楽しんでいます。今回も特集記事に取りかかる前に2時間ほどでパズルを完成させていました。パズルが完成すると一段落した気分で一気に特集記事の原稿を書き進められる流れが定着していました。
2月中旬に完成した時、クロスワードパズルの設問の一つは「緊迫化する情勢のロシアの隣国〇〇〇〇〇」でした。3月に入って機関誌の原稿を入稿した時には「容認できないロシアの隣国〇〇〇〇〇への軍事侵攻」に変えていました。緊迫化した情勢が緩和する方向での変更を願っていましたが、まさか最悪の事態に至ることを予想していませんでした。
懸賞付クロスワードパズルはコロナ禍の組合予算還元策の一つとして、今年も3千円分のクオカードの当選者の数を例年の3倍となる30名としています。中には難しい設問もありますが、答えのヒントは誌面の中にあり、4文字のワードは必ず見つかるはずです。例えば「参院選比例区の組合推薦候補は〇〇〇まことさん」という設問もあります。
今年1月、私どもの組合が結成されてから75年という節目を刻んでいます。機関誌には懐かしい写真で振り返った「フォトヒストリー『組合結成75年』」を掲載しています。その中から3枚の写真を表紙にも掲げ、「どのような場面のものなのか本誌でご確認ください」というキャプションを添えています。
1枚は「毎年ゴールデンウイーク初日に開催する三多摩メーデーには組合員とご家族の皆さんが多く参加しています。2009年には819名もの参加を得ていました。壇上での来賓挨拶の後、いつも市長には私どもの組合参加者に向けたご挨拶もいただいていました」という写真で、私どもの市長がハンドマイクで挨拶されている場面です。
「1986年2月、賃金確定闘争は徹夜で交渉が行なわれました。青婦部の幹事も参加し、あったかい『とん汁闘争』に取り組み、闘争委員を元気づけました。よく知った顔ぶれの皆さんの若かりし頃の姿を拝見できます」という写真には副市長や3月末に退職する教育部長が写っています。
もう1枚「反戦反核フェスティバルは12年間続けました。『天空の城ラピュタ』を上映した1988年7月の時は千人に及ぶ参加を得ています。実行委員会メンバーによる打ち上げの時の記念写真です」からは新教育長や私自身が写っていることを確認できます。
この機関誌は4月以降に入所される皆さんにもお配りします。特集記事を通して「組合は必要」という説明を詳述していますが、まず表紙を見た時、市長や若かりし頃の副市長らが写っていることで組合に対する距離感を少しでも縮めてもらえるような思いを託しながら編集しています。
表紙の下のほうには「職場内の働き方やハラスメントなどで困った時は組合(☎内線と直通番号)が責任持って対応し、預金・融資や保険(32頁)、法律相談(25頁)、地域でのお困り事(23頁)がありましたら組合を通してご案内できます」という参照先の頁を添えながら組合の役割をアピールしています。
今回の機関誌は管理職や条例によって組合員ではない方々にもお配りし、時間外勤務や人事評価に関わる労使確認事項なども参照願えるようご案内しています。労使で確認した事項の周知は基本的に市当局側の責任であり、そのことを目的に配布することは馴染みませんが、組合結成75年という節目の機会を利用してお配りしています。
3月末に発行する機関誌は毎年、組合未加入者全員に配布しています。特集記事そのものが「組合は必要です。ぜひ、加入してください」という直接的なメッセージを託しています。最後に、未加入者の皆さんに機関誌を配布する際、同封している呼びかけ文を紹介させていただきます。
日頃から職務へのご尽力に敬意を表します。さて、様々な事情で組合加入をされていない方々へ、これまで新年度を節目にした時期に組合加入について呼びかけさせていただいています。このたび、機関誌の特集記事「春闘期、情勢や諸課題について 組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」を通し、組合の役割や直近の交渉結果をまとめました。
今回、冒頭の数頁で組合に加入されていない方々を念頭に置きながら直接的なメッセージを託しています。ぜひ、ご覧いただければ誠に幸いです。7頁には「ここ数年の主な労使交渉の成果」を掲げています。このように組合があり、労使交渉を行なえたからこそ、市職員全体の賃金水準等を抑制する動きに一定の歯止めをかけてきています。
このような労使交渉の成果を出せるのも大半の職員の皆さんが組合に加入いただけているからです。しかしながら特集記事の中でも触れていますが、組合への加入者が激減するようであれば、組合の存続自体が危うくなります。そして、パワハラや違法な長時間労働を常態化させるような職場は労働組合がない、もしくは組合の存在感が希薄な場合に生じがちです。
それぞれの事情やお考えがあり、現在、組合に加入されていないものと思います。それでも「ワンフォーオール、オールフォーワン」という言葉、つまり昔から「一人は皆のために、皆は一人のために」という組合を語る言葉があるとおり助け合いや支え会いの必要性にご理解いただき、ぜひ、この機会に改めて組合加入についてご検討いただけますようよろしくお願いします。
もし今の組合活動等に疑問や至らない点をお感じであるのでしたら率直なご意見をお寄せいただければ幸いです。力不足な点もあろうかと思いますが、組合をつぶしてはいけません。そのためにも一人でも多くの方に組合加入いただき、ともに考え、ともに力を出し合っていければ本当に心強いことだと願っています。
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