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2022年3月13日 (日)

問われている平和の築き方

連日リアルタイムで届くウクライナの悲惨な現状は目を覆うばかりです。小児病院への攻撃で妊婦や子どもたちを殺戮していながら「病院はすでに兵士によって使われていて小児病院ではなかった。フェイクニュースはこうやって生まれる」とうそぶくロシア側の非道な態度には強い憤りを覚えます。

さらにロシア外相の「我々はウクライナを攻撃していない」という詭弁には開いた口が塞がりません。このブログではロシアがウクライナに軍事侵攻ロシア大使館あてに抗議文」と2回続けてロシアのウクライナへの侵攻について取り上げてきました。

組合の日常的な活動は職場課題の解決に向けたものが専らで、その分量と比べれば平和に関わる取り組みはわずかです。組合を身近に感じていただくための一つのツールとして開設した「公務員のためいき」ですが、取り上げる題材の比率は実際の活動内容と反比例して平和の築き方に関わる話が多くなっています。

「なぜ、組合が平和に関わる課題にも取り組むのか?」という恒常的に示される疑問に答える場として位置付けていることが理由の一つです。加えて、自分自身の思うことを不特定多数の方々に発信できる当ブログは自分なりの一つの運動として位置付けています。

そのため今回も最近の記事「平和や人権問題の組合方針」に連なる話として、ロシアのウクライナへの軍事侵攻を巡る内容について書き進めています。これまで「平和の築き方、それぞれの思い」という記事などを投稿してきていますが、今回のウクライナの危機は平和の築き方の方向性を真正面から問われている局面だと考えています。

この一週間、忘れてはならない祈りの日が続いていました。3月10日は東京大空襲の日でした。一夜にして非戦闘員である10万人もの住民が無差別爆撃によって殺戮されていました。原子爆弾の投下をはじめ、本来、厳しく戦争犯罪として追及しなければならない事案が不問に付されてきています。

3月11日は東日本大震災から11年を刻んだ日です。昨年「東日本大震災から10年」という節目の記事を投稿していました。その中で福島第一原子力発電所の吉田所長の「俺たちは自然の力をなめていたんだ。10メートル以上の津波は来ないとずっと思い込んでいた」という言葉を紹介していました。

大地震や感染症など自然界の脅威は人間の想像を遙かに超える場合があります。しかし、戦争を引き起こすのは人間の「意思」であり、とりわけ権力者の「意思」によって膨大な悲劇が繰り返されています。言葉を変えれば戦争は自然災害などと異なり、人間の「意思」によって抑えることができるはずです。

しかしながら現在のウクライナにおける惨状はプーチン大統領の「意思」によって引き起こされています。アメリカのバーンズCIA長官の分析が『「プーチンは怒り、苛立っている」CIA長官が語ったウクライナ危機の最新分析』という記事から確認できます。

プーチンは、ウクライナを支配し、思いのままに操ろうと決意しています。これは彼にとって深い個人的な信念の問題です」とバーンズ長官は語った後、次のように現状を分析しています。

彼は長年、不満と野心という燃えやすい組み合わせで煮詰まっています。その個人的な信念は、ロシアの体制では重要な意味を持つことになります。助言の輪がどんどん狭くなるシステムを作り上げ、新型コロナはそれをさらに狭めました。

そして、彼の判断に誰も疑問を持ったり、異議を唱えたりできなくなったのです。その中で彼が戦争に突入したのは、いくつかの仮定に基づいた判断だと思います。ウクライナに対する武力行使に有利な局面が開かれたと信じたのでしょう。

第一に、ウクライナは弱く、簡単に威嚇できると思っていました。第二に、ヨーロッパ諸国、特にフランスは選挙に気を取られ、ドイツでは指導者の継承に気を取られてリスクを避けると見ていました。第三に、外貨準備で多額の軍資金を作ることで、自国経済が制裁に耐えられると信じていました。

第四に、彼は軍を近代化し自信を持っていました。最小限のコストで迅速かつ決定的な勝利が可能だと確信していたのです。しかし、どの点においても彼は間違っていました。この12日間の侵攻で、その前提に重大な欠陥があることが証明されました。

バーンズ長官の分析はいみじくもロシアの最高権力者であるプーチン大統領の「意思」によって引き起こされた戦争であることを伝えています。四つの仮定の重大な欠陥を突き付けられ、プーチン大統領はウクライナからの撤退に向けた「意思」を示すことが本来であれば懸命な判断であるはずです。

しかしながら情報統制されたロシア国内では「プーチン大統領の支持率が71%に」ロシア国民がウクライナ侵攻に賛成する深刻な理由』という現実があり、自らの判断ミスを認めるような幕引きをプーチン大統領が受け入れる可能性は低いと見なければなりません。やはり国際社会の様々な働きかけによって71%という支持率を激減させていくことが欠かせない局面であることも確かです。

戦火による犠牲者が増える中で『鈴木宗男氏「ウクライナも大事だが日本の国益はどうなのかも最重要」ロ報道官の発言引用』『「プーチンのポチと言われたが…」鈴木宗男氏が非難決議に賛成』『橋下徹氏、ウクライナ側のNATO入り断念示唆発言に「非戦闘員の思いをくみ取るのが政治指導」』という声も耳にしています。

戦争は絶対回避するという目的を最優先事項として、国益の最適化をめざしながら相手方の主張に耳を貸していく外交交渉の重要さは私自身も強く支持する立場です。さらに自分や家族の生命を守ることを最優先事項として、戦わずに逃げることが許容されていくべきという主張なども支持する立場だと言えます。

たいへん悩ましい話ですが、ロシア側の要求を丸呑みすることが即時停戦につながり、戦火による犠牲者の数を最小化できるという理屈も頭から否定できません。一方でウクライナの人々がロシアの属国化につながる無条件降伏を拒み、徹底抗戦している中『橋下徹や玉川徹には理解不能…ウクライナ人が無条件降伏は絶対しない理由』という見方があることも理解しています。

停戦交渉の進め方として実利さえ与えなければ、プーチン大統領の面子だけは糊塗した幕引きもあり得るのかも知れません。 しかし、ロシアの狙ったとおりの決着点だけは何としても阻み、ウクライナへの軍事侵攻は間違った判断だったとプーチン大統領に認識させることが不可欠です。

いずれにしても今回の事態はロシア一国に対する問題にとどまりません。武力によって他国の領土を侵すことは国際社会の中で孤立化し、自国にとって大きな不利益しか残らないという事実を刻み付けることが最も重要な着地点であるものと考えています。

万が一、少しでもロシアにとってプラスとなる結果を残した場合、他の地域でも同じような事態を招く恐れがあります。現代の国際社会の中で軍事力を背景にした他国への侵攻は取り返しのつかない悪手だと認識させ、権力者の「意思」判断に大きな影響を与えていく決着点が求められています。

攻めようという思惑のある側にとどまらず、守る側にとっても今回の事態を試金石として、これからの平和の築き方の方向性が問われている局面だと言えます。安倍元総理の核共有に向けた議論提起に対し、岸田総理は「非核三原則の堅持という我が国の立場から考えて認められるものではない」と明確に否定しています。

このような岸田総理の姿勢はプーチンが喜び、バイデンが迷惑し、安倍は激怒する「岸田首相の平和主義外交」のゆくえ』という記事で真っ向から批判されています。私自身は岸田総理の考え方を支持する立場であり、安倍元総理のような発想を危惧しています。

ロシアによるウクライナ軍事侵攻を巡り、国際法の権威と知られる松井芳郎名古屋大学名誉教授が参院予算委員会の中央公聴会で公述しました。「国連が機能していないもとで核には核で対抗する核抑止が必要だ」という議論などに対し、松井教授は次のように語っていました。

核抑止というと現代的な概念のように思われるが、歴史的には、19世紀の国際社会を支配していた勢力均衡の考え方と基本的に同じだ。その勢力均衡がうまくいかなかったからこそ国際連盟で集団安全保障がつくられた。「核抑止論でいこう」という議論は、実は19世紀的な古い古い国際関係に戻るべきだという主張だ。これはとてもとることはできない。

抑止力ということで日本が同盟を強化し、あるいは自衛隊を強化することは、裏を返せば相手方もそれが脅威だと感じることがあり得るわけで、日本が中国を脅威だと感じるのと同じに、中国も日本が軍備を増強すれば日本を脅威だと感じる可能性はたいへん大きい。

結局、軍備競争が拡大することになりかねない。外交交渉で軍縮なり両国間の了解をどのように取り付けるかという議論をするべきで、抑止力を掲げて軍備を強化し同盟を強めることはかえってマイナスだ。

長期的には、国際法の執行の力とは、諸国民の連帯、国際世論だ。ロシアが国際社会で圧倒的に孤立しているという事実は否定できない。これを生かしてどのような具体的方策をとるか知恵を出していく必要がある。

松井教授は決して国連が無力という訳ではなく、今後の課題として拒否権の問題や総会の役割の強化など国連におけるシステム改革の必要性を訴えています。一定の抑止力は必要ですが、疑心暗鬼につながる際限のない軍拡競争が世界大戦を引き起こしてきたという歴史的な教訓を決して忘れてはならないものと考えています。

5年前「長島昭久さんが民進党を離党」という記事があるとおり衆院議員の長島さんと直接お話する機会はなくなっています。それでも安保関連法の問題などを率直に意見を交わせた貴重なつながりもあり、今でも長島さんのFacebookなどは拝見しています。

最近『〈インタビュー〉外交・安全保障通の長島昭久氏がウクライナ問題が東アジアにもたらす影響を解説』というサイトを閲覧しています。「プーチン氏の戦争を絶対に成功させてはいけない」という認識を一致できる内容をはじめ、軍拡を煽るような主張もなく、冷静で具体的な解説に安堵しながら興味深く読ませていただきました。

最後に、このブログをご存じのエファジャパンの理事である組合の先輩から最近伺った『明日を生きる力向上プロジェクト!カンボジア障害児とお母さんに教育を』というクラウドファンディングについて紹介させていただきます。呼びかけ文は下記のとおりですが、このような地道な取り組みが「人間の安全保障」の一つとして平和の築き方に寄与していくものと信じています。

心を支え、未来を育む エファジャパンは、これまで、アジアの国々で行政や大規模NGOの支援が届かない人々や子どもたちに支援を届けてきました。障害児がおかれる状況に基づき、一人ひとりの生きる力を伸ばし、経済的な自立や自分らしく心豊かに生きていくことのできる社会の実現、さらに地域の人々が共に生き合う地域づくりをサポートするために―。

今回は、カンボジア農村部カンポット州ドントン郡の30人の障害児とその母親に、尊厳のある生活と経済的自立のためのライフスキル教育を届けるためにクラウドファンディングに挑戦します。どうか温かいご支援をよろしくお願いいたします。

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コメント

ソ連(=ロシア)と中国は人以前のケダモノであるから、日本は核武装と先制核攻撃の権利を持っている。モスクワと北京を先制核攻撃で焼き払う武力のみが平和を維持する。連合は核武装に賛成せよ。異論は認めない

投稿: れなぞ | 2022年3月20日 (日) 21時17分

れなぞさん、コメントありがとうございました。

核兵器に対する私自身の問題意識は最近の記事を通して訴えているところです。なお、個々人が様々な「答え」を持っていることも理解しています。ただ他者を侮蔑した言葉などは避けるべきという考えであることも申し添えさせていただきます。

投稿: OTSU | 2022年3月26日 (土) 07時56分

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