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2022年2月26日 (土)

ロシアがウクライナに軍事侵攻

前回記事「平和や人権問題の組合方針」の冒頭で緊迫化したウクライナの情勢について触れ、大規模な軍事衝突、戦争の危機は絶対避けて欲しい、そのように願っていることを記していました。しかしながら2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻するという最悪なシナリオに至っています。

アメリカをはじめとした各国が協調して制止に動いていましたが、たいへん残念ながら外交交渉によってロシアの横暴を阻止することができませんでした。NATOの東方拡大に対するロシアの懸念など言い分があろうとも力尽づくでの暴挙は現在の国際社会の中で絶対容認できません。

この衝撃的なニュースはテレビや新聞で連日大きく取り上げられています。インターネット上でも同様であり、ブックマークしているサイトから様々な情報や意見に接しています。まずBLOGOS」の『なぜ止められなかった親露派国家承認:米国がキューバ危機以来の情報公開戦術』という記事です。

2月18日、バイデン大統領が「プーチン大統領は(ウクライナ侵攻を)決断したと確信している」と明らかにしました。その記事で「米側は、プーチン大統領の計画をいち早く公開することによって、ロシア側を混乱に陥れたり、プーチン大統領に侵攻計画を再検討させたりする可能性に期待しているようだ」と解説していました。

「リアルタイム」での積極的な情報公開は異例で、1962年のキューバ危機以来のことでした。ただ残念ながら今回の情報公開戦術はロシアに対して効果を発揮しなかったようです。さらにウクライナ危機で「NATOの東方拡大」という問題が注目されたことも、プーチン大統領を強気にさせたという報道があることを記事の最後のほうで伝えています。

次に『ウクライナ侵攻に落とし所はあるか――ロシアに撤退を促せる条件とは』という記事が今回の危機の背景を的確に分析しています。基本的にロシアの目的は「欧米の影響力がウクライナに伸びないようにすること」にあるという前提を語られています。

ウクライナのNATO加盟反対はその中心だが、欧米はこれに言を左右にして明確な返答をしてこなかった。 ロシアが本気であることを欧米に認めさせる手段は多くない。だからその手段としてウクライナ侵攻を開始した、というのが問題の本質である。だとすると、この事態を収拾することは容易ではない。ロシア軍を停止させる手段がほとんどないからだ。

上記のような見方を示した後、経済制裁の限界を指摘し、残る手段は二つ「ウクライナを軍事的に支援するか」「ウクライナをロシアに譲るか」しかないと記しています。ウクライナはNATO加盟国ではないため、NATOにウクライナを防衛しなければならない法的義務はありません。

しかしながら衝突を回避し、ロシアが求めている「ウクライナのNATO加盟が将来にわたってない」と確約することはNATOやアメリカの全面屈服を意味することであり、容易に受け入れられるものではないことを付け加えています。そもそも国際社会の秩序を破ったロシアの暴挙を許容する話になりかねません。

BLOGOS」では『「プーチンさんは信頼できる人情家」安倍晋三氏、鈴木宗男氏の愚かすぎる“お友達アピール”に再注目』という記事も目にしています。「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている。ゴールまで2人の力で駆け抜けよう」と語りかけられるほどの関係であれば安倍元総理は「仲裁役を買って出ては?」という意見が出ていることを紹介しています。

今回のロシアの武力侵攻は中国の今後の動きにも大きな影響を与えることが危惧されています。『「ウクライナ問題から学ぶべき教訓、弱い人は強い人に喧嘩を売るな」中国の薛剣・大阪総領事がツイート』という露骨な考え方の記事に接すると慄然とします。「仮に強い人が後ろに立って応援すると約束してくれてもだ」とも主張し、日本や台湾を念頭に置いたツイートであるようです。

土曜の朝『ウェークアップ』に小野寺元防衛相が出演し、ロシアのウクライナの軍事侵攻に対しての持論を述べていました。『日曜報道 THE PRIM』に出演した時と同じ内容の問題意識でした。『「日本もウクライナと同じことになる」と小野寺元防衛相』というサイトに掲げられた次のような内容です。

小野寺氏は、バイデン米大統領がロシアの軍事侵攻があっても、ウクライナ国内にとどまる米国民の退避のために米軍を派遣する考えのないことを早々に表明したことに触れ、「米国の姿勢が少し心配だ」と述べた。「トランプ大統領なら、米国の軍事アセットを周辺に配備して力を示した。バイデン大統領はそれをしないというのであれば、プーチン大統領からみれば『口先だけだな』と(見透かされる)。お互いが強い立場にあるからこそ交渉ができる」と語った。

小野寺氏はNATO(北大西洋条約機構)がウクライナへの軍事支援に二の足を踏んでいることを受け、「台湾でも自分たちは結局見捨てられるのではないかという話が浸透してくると、やはり中国と仲良くしようという勢力が出てくる。東アジア、台湾ではすでにハイブリッド戦が行われていると考えるべきだ」と指摘した。

また、ウクライナ危機が高まれば、日本近海で核兵器を搭載可能な米原潜とロシア原潜が一触即発になるとの専門家の指摘について、小野寺氏は「米国とロシアの主戦場はいま千島列島付近になっている」と同調。「北方領土が話し合いで返ってくることはあまり大きな期待はできない」と述べた。

なぜロシアはこれほど怒るのか。ナポレオンが攻めてきたとき、ヒトラーが攻めてきたとき、ロシア周辺にバッファーとなる国があったので防げた。これが戦略的な基本だ。そのバッファーの国が次々とNATOに入り、ロシアを攻めるミサイルを配備されることがロシアにとって一番恐れていること。このバッファーをどう保つかが解決策になる。ただ、私は今のアメリカの姿勢が少し心配だ。トランプのときは、米国の軍事アセットを周辺に配備して、力を形で示した。

今回バイデン大統領はそれをしないとなれば、プーチン大統領から見れば「あ、口先だけだな」と。ワシントンの専門家は「トランプのあとの世界はSENGOKUJIDAI(戦国時代)になる」と言う。日本語の「戦国時代」という言葉で。なぜかというと「群雄割拠になる」と。実は、こういうことがアフガンでも起きているし、今回ウクライナでも起きている。もし台湾で起きたらどうなのか。私たちそれを心配している。

冷静な語り口で、ある意味で説得力のある主張だろうと思っています。小野寺元防衛相は「(軍縮)交渉はそうだ。お互いが強い立場にあるからこそ交渉ができる」とも述べていますが、そのためにも軍事力の強化、いわゆる「ハードパワー」や「狭義の国防」を重視する立場であることが分かります。

今回のロシアの暴挙によって国際社会が弱肉強食の世界であることを思い知らされ、「人間の安全保障」に重きを置く考え方が否定されかねないことを懸念しています。ブックマークしている「痛いニュース」では『志位和夫「プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするのが憲法9条」』という記事を目にしました。

ロシアによるウクライナ侵攻を受け、共産党の志位委員長は24日、「プーチン氏のようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするための条項が、憲法9条なのです」とツイッターで訴えた。ツイッターには、「外国が攻めてきた場合はどうするのか」などの批判が寄せられている。

自民党の細野豪志元環境相は自らのツイッターで「志位委員長のロジックでは他国のための憲法9条になってしまう」と指摘し、憲法9条によって、日本への侵攻は止められないと主張した。日本維新の会の松井代表も「志位さん、共産党はこれまで9条で他国から侵略されないと仰ってたのでは?」と投稿した。【読売新聞2022年2月25日

数日後には上記のとおりの読売新聞にも取り上げられていました。今回の問題を受け、憲法9条の効用を絡めた志位委員長のツイートは極めて言葉が不足し、まったく説得力の乏しいものだったと言わざるを得ません。改憲すべきと考えている方々からの絶好の標的にされてしまっていることも残念な話です。

いずれにしてもプーチン大統領に対し、ウクライナへの軍事侵攻は致命的な誤りだったと痛感させる結果を国際社会が協調して突き付けなければならないものと考えています。ただ軍事力に対して軍事力で対抗した場合は全面的な戦争につながり、よりいっそう多くの人命を失い、対立が長期化する恐れもあります。

経済制裁の限界を憂慮する見方もありますが、やはり非軍事のカードを駆使しながらロシアの暴走を食い止めることに各国が足並みを揃えて全力を尽くすことしか考えられません。ロシア国内でも軍事侵攻に反対する声が上がっています。何としても軍事力の行使は国際社会での孤立化を招き、経済的にも政治的にもメリットがないことを刻み付ける結果を見出さなければなりません。

脅威とは「能力と意思の掛け算で決まる」という言葉があるとおり軍事侵攻のデメリットの普遍化は、同じような意図を持った国の指導者の意思に大きな影響を与えていくことになるはずです。もし万が一、ロシアの思惑どおりの結果に終わるようであれば帝国主義の時代に先祖返りしたような危機的な事態だと言えます。

最後に、私自身の問題意識に近いブログを紹介します。それぞれブックマークしているブログで、一つは弁護士の澤藤統一郎さんの『軍事侵攻に踏み切ったプーチンに、最大限の国際世論の非難を。』です。もう一つは朝霞市議の黒川滋さんのブログ「きょうも歩く」から『ロシアによるウクライナ侵攻に反対を申し上げます』です。ぜひ、興味を持たれた方はリンク先をご参照ください。

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コメント

日本は「四方を核保有国に囲まれた非核保有国」という世界唯一の国です。
しかも、国土の形状や特性上、全土を守ろうとしても守りようがないです。シン・ゴジラのように首都圏以外は切り捨てるとか割り切らないと。
はっきり言えば、最悪の安全保障環境にあります。
その上、輸入が途絶すれば、あっという間に干上がりますし。

他方、
ロシアは日本と違い資源大国であるほか、食料品含めある程度は自給ができる国です。要は「持っている国」です。
その上、ある程度国民世論を抑制できる政情でもあるので、経済制裁への耐性は一定程度あります。
日本のように吹けば飛ぶ(あっさり干上がる)国ではないです。

おそらく、今回は「かつて日本が満洲で行ったことの再来」と言うことで落着すると思いますが、国際世論というか、いわゆる「西側」にとってホントの勝負はその後です。
ウクライナが属領化したあと(偽りの独立国と化した後)こそが、NATOの真価が問われる局面になります。
※政権を倒し、軍隊を解体し、治安維持に必要なロシア軍を駐屯させて、傀儡政権の下で名目上の独立国を建てる。

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日本が近代以降に経験した戦争は「すべて日本の側が攻め込んで始まった戦争」です。
だからなのかも知れませんが「こちらから攻め込まない限りは戦争に巻き込まれないという【幻想・信仰】が強すぎる」という社会の有り様には、改めて正面から向かい合う必要がある事態でしょう。

おそらく「日本が次に戦争に巻き込まれるときは、攻め込まれて始まる戦争」であり、専守防衛である以上「必ず国土が戦場になり、日本の特性上居住地域が必ず戦場になる」という話ですので。

憲法第9条は「日本がロシアになることを防ぐことはできる」のですが、「日本がウクライナになることを防いではくれない」ので。
当然ながら、日本国憲法は他国の政府を拘束したりはしないし、物理的に攻撃を跳ね返す結界にはならないわけで。

もちろん「戦争は、防御(意思)によって始まる」ということで、防御せずにおとなしく相手に併合されれば「戦闘行為はなくて済む」でしょうけど、それも不幸な結末だと思います。

攻めていっても勝てるわけもないし、攻めていく実力もない以上は「抑止」が生命線です。
もし「抑止」が壊れてしまったら、戦っても、戦わなくても、地獄を見ることに違いはないと。

投稿: あっしまった! | 2022年2月26日 (土) 17時37分

あっしまった!さん、お久しぶりです。コメントありがとうございました。

憲法第9条は「日本がウクライナになることを防いではくれない」というご指摘、本当にそのとおりだと思っています。その上で私自身、抑止力を全否定している立場ではありませんので、より望ましい安全保障のあり方を深く考えるべき事態を目の当たりにしているように受けとめています。

ぜひ、これからもお時間等が許された際、貴重なご意見等をお寄せいただければ幸いです。よろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2022年2月26日 (土) 20時01分

今回のことから日本が学ぶべきことは、他国にとって日本の価値とは何かということになると思っています。

今の日本に何があるのかと言えば、資源もなく基本的な食料さえ自給できず、技術は過去のものとなり、何より平和に甘え切った国民性となれば、太平洋に自由にアクセスできる国土以外の価値はないと言わざるを得ません。実際、一部の技術を除けば国際社会から日本が消えてしまっても誰も困りません。

その上で、今回の件の推移としてウクライナの属領化の後で国際社会が効果的な対抗手段を持ちえないのであれば、日本の近い将来もこのようになると覚悟しておくことが必要です。
その場合には、住民は1/3~半数ほどは殺され、残るものは強制収容所に送られ(又は強制移譲させられ)、20年も経過すれば分割統治によりロシア人と漢民族の国となっている。
極端に聞こえるかもしれませんが、現実にチベットやウイグルで行われている実態を見るにつけ、こういう未来もあり得るということです。

外交による平和など絵空事で、(核兵器という)力を持たない民族には発言権もない、そのような未来にならないことを祈るばかりです。
でも、10年もすれば今回の侵攻開始の日が「解放の日」などと呼ばれてウクライナの祝日になってるかもしれませんが。そうなるようならば、少なくとも日本国憲法の9条など現実の前には糞の役にも立たないということになっているでしょう。

投稿: どうなるやら | 2022年2月27日 (日) 21時02分

どうなるやらさん、コメントありがとうございました。

今回の記事本文に託したような問題意識、弱肉強食の国際社会に先祖返りしてしまうのかどうか試金石であるように受けとめています。そのような流れは絶対避けるべきであり、一刻も早くウクライナに平和が戻ることを願いながら、より望ましい結果を国際社会が導き出せることを強く願っています。

投稿: OTSU | 2022年2月27日 (日) 21時20分

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