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2022年1月22日 (土)

再び東京に蔓延防止等重点措置

年明けからオミクロン株の感染拡大によって新規感染者数は急増しています。1月21日からは蔓延防止等重点措置の対象地域に東京都なども加えられました。昨年4月東京にも蔓延防止等重点措置」という記事を投稿していました。

緊急事態宣言は4回も発令されていますが、東京において蔓延防止等重点措置の適用は昨年4月以来の「再び」となります。昨年1月8日に発令された2回目の緊急事態宣言以降、飲食店に対する規制が中心となっていたため、両者の違いが分かりづらくなっています。

ちなみに大半のメディアは「まん延」と表記しています。「蔓」という字が常用漢字ではないため、そのような対応となっているようです。少し迷いながら昨年4月に当ブログでは「蔓延」と表記していましたので、今回も同様な対応をはかっています。

さて、週に1回更新している当ブログでは昨年11月末に「緩められないコロナ対策」というタイトルの記事を投稿していました。その記事の冒頭の書き出しは次のとおりでした。

新型コロナの新規感染確認者の数は激減しています。東京都内の先週水曜の感染確認は5人で今年最も少ない数となっていました。8月には5千人を超える日が続いていましたので最近の推移から見れば収束に向かっていることを期待したい傾向です。しかし、まだまだ安心できない現況であることを下記のような報道から認識しなければなりません。

下記のような報道とは、デルタ株を上回る感染力を持つと見られている変異株「オミクロン株」が確認されたこと、ワクチン接種率8割近くの韓国で感染拡大し、ワクチン効果の持続性などが懸念されていたことを伝えていました。

前回記事「間近に迫った北京五輪」の最後のほうでは「自然災害や感染症は人間の手によってコントロールできません。そのため最悪な事態を想定し、普段から必要な備えを怠らず、リスクを緩和していく心構えが欠かせません」と記していました。

果たして昨年11月末の段階で、海外での感染拡大が決して「対岸の火事」ではなく、数か月後の日本の姿であることを的確に予見していた人はどれほどいたのでしょうか。岸田総理も第6波に備えていたはずですが、ここまで急速な第5波以上の感染者数での拡大は想定していなかったかも知れません。

3回目のワクチン接種の遅れに関しては『岸田首相にブーメラン、菅政権のコロナ対応を批判もワクチン後手後手の皮肉』という記事のような批判を受けています。接種を早めようにも充分な供給量自体が確保できず、遅れてしまったことの責任は岸田総理に帰結するのだろうと思っています。

ただワクチン接種の遅れよりも、もっと備えるべき点があったのではないかと考えています。必ず第6波が来ると想定し、感染拡大した時、より効果的な対策は何か、保健所の機能不全や医療崩壊を起こさないための方策は何か、早急に検討すべき事項が多々あったのではないでしょうか。

残念ながら今回の蔓延防止等重点措置を通し、そのような検討が尽くされていたような形跡は見受けられません。飲食業界のみに大きな負担を生じさせ、不要不急な外出の自粛を求めるという既視感のある光景が繰り返されていました。

その中で新型コロナ感染症対策分科会の尾身会長の「人流抑制より人数制限」という発言は目新しく、たいへん興味深いものでした。尾身会長は会食などに的を絞ったメリハリの利いた対策の必要性を訴え、マスクを外し、大声を出した時に感染するリスクを改めて疫学調査から分析しています。

マスクを外す家庭内感染の実情も指摘し、感染を完全に防ぐことの難しさを前提に「人数制限」によるクラスター防止を重視した説明だったものと理解しています。一方で小池都知事は「不要不急の都県境を越える移動は自粛をお願い致します」など従前通りの発言に終始し、尾身会長との対比が際立ちました。

結局のところ『尾身会長「ステイホーム不要」を政府が軌道修正 分科会、医師会、知事会から批判続出』という報道の通り尾身会長の発言は軌道修正を余儀なくされています。別の分科会のメンバーは「オミクロン株でも人流抑制は必要です。尾身さんはよりリスクの高いところを重点的に対策する必要があるということを言いたかったのだと思います」と補足していました。

しかし、ネット上から蔓延防止等重点措置や人流抑制に対して様々な懐疑的な意見に触れることができます。それぞれの記事の見出しから当該のサイトに飛べるようにしていますので関心を持たれた方はリンク先をご参照ください。

コロナ問題の整理 あくまで感染症は致死率で考えよう まん延防止等重点措置はそこまで有効でないし少なくとも東京都がいう人流制限はいらないまたまん延防止か、ウンザリだ! 小池都知事はオミクロンがインフル並みだと思ってるくせになぜ人流抑制するのか』『「デルタ株とは違う」医療現場から嘆き 社会制限だけでなく適切な医療体制の構築急げ

これまで何回か紹介してきたブログ「Dr.和の町医者日記」で有名な長尾和宏医師の最新記事『5度目のデジャブ またまた保健所崩壊』『風邪の抗体はついてもすぐに落ちるもの』『検査無しでの自宅療養について』などは本当に興味深いものです。転載や引用ができないため、やはり見出しだけの紹介としています。

3回目のワクチン接種に関しても『ワクチン3回目接種の効果は慌てても「期待薄」…ウイルスの歴史から改めて学ぶこと』という見方があります。もともと新型コロナを巡り、様々な考え方が散見しています。マスクの効用、三密を避けることの有用性、ワクチンの効果やリスク、いずれも人によって評価の分かれる場合があります。

また、感染対策の大半は、あくまでも感染リスクを低減させるかどうかの問題だろうと思っています。人との接触を完全に断ち、ウイルスの侵入を防ぐ生活が送れるようであれば何よりです。しかしながら社会生活を営みながら新型コロナと向き合っていくためには尾身会長が訴えたとおり「メリハリの利いた対策」が欠かせないように思っています。

東京都の検査に対する陽性率等の推移を確認してみたところ直近の検査陽性率の7日間移動平均は24.8%です。昨年8月中旬の最も高い数字が24.0%でしたので、オミクロン株だからと言って極端に高くなっている訳ではないようです。検査人数は現在19,513人に対し、昨年8月のピーク時が17,000人でした。

検査人数が増えれば1日あたりの新規感染確認者の数は比例して増えます。「念のため」という無症状の人が多く受けていれば陽性率は下がります。そもそも検査陽性者が感染していない場合、逆に陰性者の感染を見逃す場合もあります。日々の感染者数の発表に対し、このような前提をもとに接していかなければなりません。

新型コロナウイルス対策を政府に助言する専門家の有志は20日、感染者が今後さらに急増した場合に、基礎疾患のない若者らは検査をしなくても症状のみで診断できるようにするとした政府への提言案をまとめた。医療の逼迫を避ける苦肉の策を示す一方、従来のような強い行動制限は緩める方向性を打ち出した。これまでのコロナ対策を大きく転換する案といえる。

提言案は「オミクロン株にふさわしい効果的な対策」。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長ら20人以上が名を連ねた。この日、厚生労働省の専門家組織の会合で示された。それによると、オミクロン株による感染拡大は2週間前後でピークが来る可能性があると指摘。オミクロン株はデルタ株などと比べて感染力が高い一方、基礎疾患などがない50歳未満は軽症が多く自宅療養で症状が改善しているなどの特徴があるとした。

このため、若年層を中心に軽症者が急増してPCRなどの検査や外来が逼迫した後、高齢者らで重症化する人が増え、新型コロナ以外の救急医療の受け入れにも影響が出ることを懸念した。先行して感染拡大した沖縄県では医療機能不全が起きつつある。

これまでは検査で陽性を確認し、医師が感染を判断していたが、若い人は検査をせずに臨床症状だけで新型コロナだと診断できるよう変更を求めた。重症化しやすい人が優先的に検査や治療を受けられるようにする。さらに感染拡大すれば受診のあり方の再検討を求める。ただ提言案には、症状だけでどう診断するかは明記されていない。【朝日新聞2022年1月20日

上記の『感染者さらに急増なら「若者は検査せずに診断」 専門家有志が提言案』という見出しの記事は全文を紹介させていただきました。最も大事なことは新型コロナ感染症に限らず「守れる命、守るべき命」を守れる医療体制の確保です。検査や軽症者への対応のために医療崩壊するようであれば問題だろうと思っています。

もちろん軽症の段階でフォローし、一人の死者も出さない体制を築くことが重要です。きめ細かい保健所の対応が持続でき、誰もが即座に医療機関にかかれる体制の確保が求められています。しかし、東京都では新規感染者自身が濃厚接触者に連絡するような方式に切り替わります。当事者の方々にとって非常に不安で戸惑う変更だろうと思います。

岸田首相はコロナ患者が爆発的に増えても「2類」から「5類」に引き下げられない根拠』という見出しの記事の中で、岸田総理にとって「このまま2類を維持したほうが『コロナ対策を手厚く真剣にやっています』というイメージは作りやすいでしょう」と語る記者の言葉を紹介しています。

昨年6月に投稿した記事「もう少し新型コロナについて」の中で、新型コロナが法律上では2類感染症に分類されていることを伝えていました。ポリオや結核などと同様、保健所に全例届出が必要とされています。ただ暫定的な対応である2類相当のまま2年が過ぎようとしています。

季節性インフルエンザは5類です。確かに現段階で新型コロナをインフルエンザと同じ分類にすることは大半の人が違和感を抱き、医療費の個人負担や特措法に絡む自粛要請の問題なども整理しなければなりません。しかし、前述した通り国民にとって最も望ましい目的は医療崩壊を防ぎ、「守れる命、守るべき命」を守ることです。

類相当を支持する医療関係者からは「メリットだけを増やし、デメリットは防げるよう特例を整備すべき」という意見が出ています。本当にその通りだと思っています。2類なのか、5類なのか、政治的な思惑で語られるようでは問題であり、どのような仕組みを整えることが最適なのかどうか真摯な議論につなげて欲しいものです。

第6波「オミクロン株」の重症化率は?第5波よりどのくらい低い?東大チームが推計してみると…<新型コロナ>』という報道の通りオミクロン株の重症化率は従来株やデルタ株などと比べて明らかに低いようです。2類相当を維持すべき現状が追い付かないから変更するという消極的な姿勢ではなく、このような現状分析を踏まえた判断であれば国民の多くは納得するはずです。

加えて、現状の問題点を整理し、法的に整備した仕組みを作ることは自宅療養者の不安感をはじめ、当事者が濃厚接触者に連絡を取る際の戸惑いなどを取り除くことにつながるはずです。さらに当たり前なことですが、軽症者が突然重症化した場合、救急車を呼んで速やかに入院できる仕組みの確保が前提とされなければなりません。

たいへん長い記事になっていますが、最後に内閣参事官だった高橋洋一さんの『不安な政府のオミクロン対策…「柔軟な対応」強調するが、先読まず場当たり対応目立つ 菅政権より仕事をしていない』という記事を紹介します。2類相当の問題の先送りに対する指摘はその通りかも知れませんが、「菅政権より」という評価は個々人によって変動しがちな事例の一つだと思っています。

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コメント

OTSUさま。コロナ感染者数の増加が止まりません。中央安衛では話題になったのでしょうか?また組合提示したことについて何か反応はあったでしょうか?教えていただければと思います。

投稿: ぱわ | 2022年1月28日 (金) 23時35分

ぱわさん、コメントありがとうございました。

安全衛生委員会でのやり取りについて直近の組合ニュースでの報告はタイミング的に間に合わず、次回のニュースに掲げる予定です。この場でも概略について取り急ぎお伝えさせていただきます。

長期通院休暇の改善やクーリング期間の見直しについては民間の水準よりも上回っているなどという説明があり、市側は見直しする考えを持っていません。それに対し、組合は治療と仕事の両立支援が社会的に求められている情勢の変化を指摘し、必要な見直しははかるべきと訴えています。1回の議論で結論が出せる問題ではないため、引き続き要請していくことを市側に伝えています。

メンタル不調者の休職期間中の過ごし方については一定の目安を整理できたものと受けとめています。主治医の判断をもとに外出が推奨された場合などは認められるという見解です。冠婚葬祭に伴う旅行も社会通念に照らして認めていくというものです。やり取りした内容について市側と改めて確認し、組合ニュースで周知していく運びとしています。

新型コロナの感染拡大を受け、安全衛生委員会の場で勤務体制の変更等の新たな議論は行なっていません。引き続き必要な感染対策に留意し、感染者や濃厚接触者の自宅待機等は定められた要綱等に沿って対応していくことになります。

投稿: OTSU | 2022年1月29日 (土) 07時14分

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