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2021年12月18日 (土)

『うつヌケ』を読み終えて

前回記事「コロナ禍の年末、雑談放談」に記したとおり忘年会等は一切予定されていませんが、なかなか多忙な日が続いていました。組合関係や個人的な予定が入っていない日は子育て世帯への臨時特別給付金の事務を応援するつもりだったため、早く帰宅できる日が皆無に近い12月上旬のスケジュールでした。

課を越えた時間外勤務での応援でしたが、当初想定したより順調に進めることができたようです。そのため、幸いにも私自身が協力できる日を迎える前に他課からの応援は不要となっていました。このようにコロナ禍が続く中、各自治体に緊急な対応が求められた際、全庁的な緊急対応で支え合っていくことを組合は受け入れています。

ただ国に対しては苦言を呈したいことが多々あります。かつてない緊急事態かも知れませんが、もう少し全体を的確に俯瞰できていれば避けられそうな迷走や混乱が目につきがちです。今回の10万円給付の問題も顕著な事例であり、自治体が必要以上に負担を強いられることのないよう万全を尽くして欲しいものです。

さて、先月末の記事「新疆ウイグルの問題から思うこと」のコメント欄で、ぱわさんから貴重なご意見や情報が数多く寄せられていました。私自身の考えや組合の対応についてはコメント欄を通してお答えしています。その中で、うつ病のことが取り上げられ、田中圭一さんの『うつヌケ』の紹介もありました。

一読を薦められ、さっそく第1話はリンク先のサイトで試し読みしていました。全話読み終えることができた際、このブログの記事本文で、うつ病について取り上げることをお伝えしていました。通勤帰りに立ち寄る書店には見当たらず、何軒か書店を回って『うつヌケ』を手にしていました。

すぐ読み終えていましたが、先週末は別な題材での投稿だったため、ようやく今回『うつヌケ』を読み終えた感想をもとに新規記事を書き進めています。リンク先のサイトには「パロディマンガの巨星がマジに描いた、明日は我が身のうつ病脱出コミック!」と紹介されています。

新型コロナウイルス(covid-19)の広がりによって今、大きな社会的変化が訪れています。外出自粛(「STAY HOME」の呼びかけ)やテレワークによる在宅時間の増加、人と接すること自体が減っていくなど、これらの変化が私たちに心理的ストレスを与えていることは間違いありません。

報道によれば、日本に限らず、世界各国で「コロナうつ」と呼ばれる方々が激増していて、いつまで続くかわからない自粛にも疲れてしまっていると専門家は語ります。誰もが苦しい、そんな状況の中ですが、うつ経験者のエピソードをまとめたこの本が一人でも多くの方にとって救いになることを願っています(2020年8月18日編集者)。

著者自身のうつ病脱出体験をベースにうつ病からの脱出に成功した人たちをレポート。うつ病について実体験から知識を学べ、かつ悩みを分かち合い勇気付けられる、画期的なドキュメンタリーコミック!

上記はリンク先の書籍の紹介文です。いつも著作権やネタバレに注意し、書籍を宣伝しているサイトに掲げられた文章をそのまま紹介するように努めています。うつ病についての説明も厚生労働省の「みんなのメンタルヘルス」というサイトに掲げられている内容の一部を紹介させていただきます。

うつ病は、気分障害の一つです。一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいといった身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。

気分障害には、うつ病の他に、うつ病との鑑別が必要な双極性障害(躁うつ病)などがあります。うつ病ではうつ状態だけがみられますが、双極性障害はうつ状態と躁状態(軽躁状態)を繰り返す病気です。うつ病と双極性障害とでは治療法が大きく異なりますので専門家による判断が必要です。

発症の原因は正確にはよくわかっていませんが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスなどが指摘されることが多いですが、辛い体験や悲しい出来事のみならず、結婚や進学、就職、引越しなどといった嬉しい出来事の後にも発症することがあります。なお、体の病気や内科治療薬が原因となってうつ状態が生じることもあるので注意が必要です。

うつ病は、しっかりと休養をとることが大切です。うつ病の治療を考える前に、まず、心身の休養がしっかりとれるように環境を整えることが大事です。職場や学校から離れ自宅で過ごす、場合によっては、入院環境へ身を委ねることにより、大きく症状が軽減することもあります。精神的ストレスや身体的ストレスから離れた環境で過ごすことは、その後の再発予防にも重要です。

うつ病の治療には、医薬品による治療(薬物療法)と、専門家との対話を通して進める治療(精神療法)があります。また、散歩などの軽い有酸素運動(運動療法)がうつ症状を軽減させることが知られています。主に使われる治療薬は抗うつ薬です。抗うつ薬は、継続して服用する必要があり、服用を開始してもすぐに効果が現れません。

主治医の指示に従い、自分の判断で薬の量を増やしたり減らしたり中断したりせず、焦らずに服薬を継続してください。副作用を最小限にするためにも、主治医との良いコミュニケーションが大事です。また、うつ病では様々な身体の症状も現れますので、その症状に応じた治療薬を併用することもあります。

精神療法には、支持的精神療法と呼ばれる基本的な治療法に加えて、認知行動療法や対人関係療法などのより専門的な治療法があります。その他のうつ病の専門的治療法として、高照度光療法、修正型電気けいれん療法、経頭蓋磁気刺激法などが用いられる場合もあります。

治療を進めるうえで不安や悩みを持ったら、主治医に相談しましょう。何でも相談できる関係を主治医ともつことはうつ病治療の第一歩です。場合によっては、主治医以外の専門家の意見を聞くことも考えます。これをセカンドオピニオンといいます。複数の専門家の意見を聞くことが納得のいく医療を受ける手だてになることもあります。

少し長くなっていますが、厚生労働省のサイトに掲げられた内容を紹介することで、うつ病に対する基本的な知識についてお伝えする機会としています。ここからは『うつヌケ』の中で著者の田中さんらが体験した事例を紹介することで、うつ病に対してどのように向き合っていけば良いのか記していきます。

全体を通して興味深く、貴重な体験談ばかりでしたが、特に目に留まった箇所を中心に取り上げさせていただきます。ぱわさんもコメント欄で指摘されていましたが、うつ病を「心の風邪」と称することで誤解されがちな点があります。風邪のように誰でもかかる可能性があり、そのように称されています。

しかし、深刻さは「心のガン」と呼ぶべきレベルの病気だと認識する必要があります。すぐに治るような病気ではなく、うつ病に苦しむ方々の悩みの深さは風邪と比べられるようなものではありません。ただ過度に恐れ、悲観や絶望することも避けなければなりません。

病状を悪化させる要因となるため、決して軽視しないという意識のもとに適切な距離感で病気と向き合うことが肝要です。自己嫌悪はうつ病への引き金となり、青い空がグレイにしか見えなくなる日々、まるで電気イスに縛りつけられたような恐怖を感じる日々が続いたことを田中さんは伝えています。

そのような暗黒のトンネルから脱出できたのは、たまたま立ち寄ったコンビニで1冊の本を見つけたことが切っかけとなっていました。宮島賢也さんの『自分の「うつ」を治した精神科医の方法』という書籍でした。うつ病は「これ以上ムリをしてはいけない」という体が発する「非常ベル」という言葉に田中さんは目を留めました。

ありのままの自分を受け入れ、「ねばならない」という考えは捨て、ネガティブな言葉はやめて自分をほめる、顕在意識と潜在意識の境界があいまいになっている朝起きぬけに「自分をほめる言葉」を唱える、このようなことを3週間ほど続け、自分を好きになることで気持ちが明るくなってきたと田中さんは語っています。

しかし、うつを抜けた後、ある日いきなりぶり返しがあり、あのトンネルに再び戻るかも知れないと田中さんは心底恐怖しました。謎の現象「突然リターン」は「うつ病は急に良くなる訳ではなく、一進一退を繰り返しながら徐々に良くなる」という説明に行き着きます。さらに田中さんの場合、激しい気温差によって「うつが来る」ことを知りました。

からくりが分かったことで田中さんを覆っていた霧が一気に晴れ、好ましい存在ではないけれども付き合い方が分かれば決して怖くないと考えるようになり、「突然リターン」の数は目に見えて減っていきました。そして、うつはそのうち完全に治る、田中さんはそのように実感できるようになっていました。

上記は著者の田中さんの事例です。うつ病になった原因、「突然リターン」に至る理由、暗いトンネルから抜け出せた方法も個々人で違いがあります。著者本人以外の事例として、17名の方々に取材し、それぞれの体験談をまとめた書籍が『うつヌケ』です。自分を嫌いになる、私さえこの場からいなくなれば、本心を閉じこめてしまうなど原因は様々です。

脱出方法も様々ですが、本質的な点は同じであると記されています。仕事のプレッシャーが原因であれば遠ざかり、仕事に達成感を得られるのであれば近付く、肯定されたい、必要とされたい、このような気持ちに抗わないことの大切さを田中さんは説いています。

田中さんは転職を勧められた時、いわゆるリストラされた時、明日から「自分に向いた仕事」を探せる、「今、ボクは背中を押された」と前向きに考えることができました。その日の帰り道、夕景がキレイだったことを覚えているそうです。ほどなくしてマンガ家のキャリアとスキルを活かせる会社で働くことになっていました。

つらい仕事、きつい人間関係、本当にヤバイと思ったら仕事を辞めていいんだ、すべての苦痛から逃げて気持ちを正常に戻せば、またいい仕事はできる、自分を否定するものからは遠ざかることを田中さんは繰り返し訴えています。

そして、自分自身が1冊の本に救われたように『うつヌケ』が、先の見えない暗いうつトンネルで苦しんでいる多くの人たちにとって救いの1冊になることを願いながら執筆されています。

『うつヌケ』の内容から少し離れますが、もう少し続けさせていただきます。うつ病の診断基準の一つに「死について繰り返し考える」というものがあります。この診断項目で分かるようにうつ病と自殺は密接な関係があるため、ある意味、自殺はうつ病の症状であると言っても言い過ぎではないようです。

健康問題を原因・動機とする自殺者数の内訳として、うつ病が最も多くなっています。また、生活苦、仕事や学校での悩みという他の原因だったとしても、うつ病の疑いがあった可能性も高いのではないでしょうか。このような実情に対し、つらければ遠ざかる、田中さんの言葉が本当に多くの方々に届くことを願ってやみません。

たいへん痛ましい事例の一つとして、財務省近畿財務局の職員だった赤木俊夫さんが自死に至った経緯を忘れてはなりません。さらに妻の雅子さんが真相究明を目的にした裁判を突然認諾し、幕引きをはかる国の判断に強い憤りを覚えます。

最後に赤木雅子さんと辻元清美氏 怒りの緊急対談「(岸田首相は)誠実そうに見えたけど裏切られた」』『橋下徹氏 森友決済文書改ざん、突然の裁判終結に「国が真実を隠したいんでしょう。ひどい政府」』という記事も参考までに紹介させていただきます。

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コメント

OTSUさま。新記事投稿ありがとうございます。この記事が多くの人に届くことを願っています。OTSUさまに質問です。うつ病等に関して多数の投稿をさせていただきました。うつヌケを読む前のOTSUさまのうつ病(精神疾患)に対する考えと読み終わった後で変化はありましたでしょうか?お聞かせいただければと思います。

投稿: ぱわ | 2021年12月18日 (土) 15時09分

ぱわさん、さっそくご覧いただき、ありがとうございました。

長年、組合役員を務めてきていますのでメンタル不調の方々のことを「ある程度」知っているつもりでした。しかしながら今回『うつヌケ』等に改めて接したことで、うつ病の苦しさや事例の幅広さなど認識を深める機会になったものと考えています。

例えば、これまでメンタル不調という言葉を多用してきましたが、この言葉もうつ病だった方の深刻さを希薄化しているように感じるようになっています。ただあえてうつ病と明らかにしないほうが望ましく、メンタル不調と称してきたのかも知れないことにも思いを巡らしています。

いずれにしても知識や情報は深く的確に把握できていたほうが、より望ましい「答え」を出すための議論にとって有益であることは間違いありません。そのため、ぱわさんから様々なご意見や情報をお寄せいただき、本当に感謝しています。ぜひ、これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2021年12月19日 (日) 07時41分

OTSUさま。回答ありがとうございました。精神疾患の生涯有病率は10%をこえると言われています。言い換えれば10人に1人は罹患するということです。自分には関係ないと思っている人でも、コロナのように緊急対応を求められ発病する可能性があることを知っていただければと思います。また不運にも罹患してしまった時の制度が重要だと思っています。記事にもありましたが、うつ病経験者にとって一番こわいのは「突然リターン」です。数日の有休で回復すれば良いのですが、良くならなかった場合です。現在のクーリング期間ですと1年以内の同一疾患を理由とする病休は通算されます。場合によってはいつまでもリセットされず結果休職になってしまうためクーリング期間が長すぎるのでは?と書かせていただいた次第です。また精神疾患で障がい者と認められるには初診日から6か月経過した時点での医師の診断書が必要となり、必要な審査のうえ基準に達していると交付されます。それだけ長期の闘病をしているということです。このような点から障がい者手帳所持者に対する特別休暇を検討していただきたいと書かせていただきました。クーリング期間についても検討が必要では?と今でも思っています。

投稿: ぱわ | 2021年12月19日 (日) 11時47分

ぱわさん、コメントありがとうございます。

今朝、知識や情報は深く的確に把握できていたほうが、より望ましい「答え」を出すための議論にとって有益であることは間違いありません、このように記したとおり労使協議の中でもいろいろ参考にさせていただくつもりです。

記事本文の更新と同様、コメント欄も土日しか関わらないようにしています。それでも当ブログは毎日閲覧していますので、お時間等が許される際、いつでも貴重なコメントをお寄せください。

レス自体は遅くなりますが、お寄せいただいたコメントは必ず即日確認しています。このようなペースのブログであることを改めてご理解願い、ぜひ、これからもご注目いただければ幸いですのでよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2021年12月19日 (日) 18時01分

OTSUさま。安衛でご確認していただきたいことがあります。病休や休職した時の「自宅療養」についてです。多分ですが自宅療養について明文化されたものはないと思われます。何がOKで何がOUTなのか。一般常識でと言われると思いますがガイドライン等で示して欲しいと思います。例えば近所での必要な日用品の購入はOKだと思いますが、衣替えのシーズンで都内に出かけての衣類の購入はOKなのか。近所の散歩はOKでスポーツクラブで汗をかくのはどうなのか?図書館や美術館に行くのはOKか。スポーツ観戦はどうなのか。近所に日帰り温泉があり行くのはどうかなど判断できない部分が多々あります。職場に復帰するためには落ちた体力を回復させる必要があります。その為にはOKの例、OUTの例がないと行動の判断に困ります。以上よろしくお願いいたします。

投稿: ぱわ | 2021年12月20日 (月) 23時51分

ぱわさん、コメントありがとうございました。

いろいろなご意見等をお寄せいただき、問題意識を持った課題について執行委員会に諮り、1月の安全衛生委員会の議題の一つとして提起する運びとしています。その内容等については年明けの『組合ニュース』や当ブログの記事本文の中で紹介させていただくつもりです。

なお、今週末に投稿する新規記事が今年最後の記事となります。一年間、たいへん多くのコメントをお寄せいただき、本当にありがとうございました。ぜひ、これからもよろしくお願いします。

投稿: OTSU | 2021年12月25日 (土) 06時19分

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