コロナ禍が続く2021年末
2021年も残りわずかです。新型コロナウイルス感染症によって制約された日常、いわゆるコロナ禍が続いています。今のところ海外に比べれば日本国内の新規感染者の数は低い水準で推移しています。しかしながらオミクロン株の市中感染が確認されるなど懸念される動きもあり、まだまだ必要な感染対策を緩めることはできません。
昨年末、最後に投稿した記事タイトルは「コロナ禍の2020年末」でした。1年後には以前と同じように忘年会を開ける日常が戻っていることを期待していましたが、残念ながら人数制限の必要性などが今も求められています。そのため万が一の感染リスクを考え、職場単位の忘年会は今年も見合わせている現状です。
私自身、自宅での晩酌等を習慣化していませんが、外で飲む機会があった際は平均以上に酔うほうの部類だと言えます。また、そのような席は懇親を深め、率直に語り合うことで普段知らなった一面を垣間見ることができ、お互いの距離感を縮められる貴重な機会につながっているものと見ています。
ただ日本生命のアンケート調査で「職場での“飲みニケーション”が必要か不要か」を各年代の男女計7,774名に尋ねると「不要・どちらかといえば不要」が61.9%で、「必要・どちらかといえば必要」の38.2%を大きく上回っています。2017年の調査開始以来、初めて「不要・どちらかと言えば不要」が上回ったそうです。
さらに全年代で、ほぼこの割合であり、決して「若い人たちだけがそう言っている」という訳ではないようです。このような調査結果に対し、東洋経済は『職場の飲み会「不要6割」をあおる風潮に疑問な訳 納得させられる一方で分断に乗っかっていないか』という記事を掲げています。
その記事で飲み会は「職場でのコミュニケーション」ツールの一つにすぎないものであり、仕事のパフォーマンスを上げていくために「職場でのコミュニケーション」 自体を拒むようであれば「単なるわがまま」だと評しています。このブログでも過去に「協力関係を築く評判情報」という記事でインフォーマルネットワークの大切さを伝えていました。
何か仕事で悩んでいると「それだったら、あの人に聞けばいいよ」という情報が入りやすく、メンタル面などの病気で押しつぶされる前に相談を行ないやすい利点もあげられます。 しかし、残念ながら効率性を重視する会社側のマネジメントにより、社員旅行や社内運動会などインフォーマルな活動の場は狭まってきたのが現状です。
上記は10年以上前に投稿した記事の中の一文です。社員旅行や社内運動会どころか、今、忘年会や歓送迎会も否定されていくような動きまで芽生え始めています。さらに日常的な職場の風景さえ、テレワークの普及によって、人と人が直接触れ合う機会が減りつつある流れとなっています。
コロナ禍によって人と接する機会が減っていくことで、「コロナうつ」と呼ばれる方々が激増しています。前回の記事「『うつヌケ』を読み終えて」の中では「誰もが苦しい、そんな状況の中ですが、うつ経験者のエピソードをまとめたこの本が一人でも多くの方にとって救いになることを願っています」という『うつヌケ』編集者の言葉を紹介しています。
前回記事の最後のほうでは、うつ病と自殺との密接な関係性に触れていました。そして、つらければ遠ざかる、『うつヌケ』の著者の田中圭一さんの言葉が本当に多くの方々に届くことを願ってやみません、このような私自身の思いを添えていました。この記事を投稿した翌日、下記のような訃報に接しています。
歌手で俳優の神田沙也加さんが18日、滞在していた札幌市内のホテルで倒れているのが見つかり、搬送先の病院で亡くなりました。35歳でした。関係者によりますと部屋の窓から転落したということで、警察は自殺の可能性もあるとみて調べています。【NHK NEWS WEB 2021年12月19日】
神田さんはアニメ映画『アナと雪の女王』の日本語吹き替え版で主人公「アナ」の声を演じ、高い歌唱力も話題となっていました。2世タレントとしての枠組みから抜け出し、将来を嘱望されていたのにも関わらず突然の訃報に驚き、たいへん残念なことだと思っていました。事故の可能性も報じられる中、各メディアは必ず次のような案内も同時に行なっていました。
◆「日本いのちの電話」相談窓口◆ 厚生労働省は悩みを抱えている人に対して相談窓口の利用を呼びかけています。 ▽ナビダイヤル 0570-783-556 午前10時~午後10時 ▽フリーダイヤル 0120-783-556 毎日:午後4時~午後9時、毎月10日:午前8時~翌日午前8時
著名人の自殺後に「後追い自殺」が多くなるため、このような報道におけるガイドラインがあるようです。前回記事を投稿した前日には大阪市北区の心療内科クリニックで放火事件が起こっていました。25人もの方が犠牲になった痛ましい出来事でしたが、情報が不足している段階でしたので前回記事の中では触れていませんでした。
クリニックではうつ病などで休職した患者らの職場復帰を支援する「リワークプログラム」を定期的に実施していました。犯行は多くの患者が訪れていたその日を狙い撃ちにしたようです。犠牲になった西沢弘太郎院長は親身な相談で多くの患者の皆さんの心の支えとなっていました。
22歳の女性患者は、人と何かが違うと悩んでいた時に先生から「病気の特性だから気にしなくてよい。これから治していこう」と言われて救われた思いだったと語っています。現場を訪れた40歳代の会社員男性は「人生がこれからだって思えるのは先生のおかげ。命の恩人で感謝しかない」と話し、言葉を詰まらせています。
「職場への復帰をめざし、クリニックに集まって頑張っていた人たちが、なぜ、亡くならなければならないのか、あまりに理不尽な事件だと感じます」という声がニュースの中で伝えられています。まったくその通りであり、「なぜ、死を急ぐのか」「なぜ、無関係の人たちを巻き添えにするのか」同じような事件に接するたびに未然に防ぐことができなかったのかどうか忸怩たる思いを強めています。
残念ながら2021年末、最後に投稿する記事の内容は暗い話題ばかりで締めることになります。他にも北京冬季五輪などの時事の話題に触れるつもりでしたが、ここまでで相応な長さとなっています。中途半端に触れることは控え、機会があれば年明けの記事で取り上げてみようと考えています。
最後に、この一年間、多くの皆さんに当ブログを訪れていただきました。本当にありがとうございました。どうぞ来年もよろしくお願いします。なお、次回の更新は例年通り元旦を予定しています。ぜひ、お時間等が許されるようであれば、早々にご覧いただければ誠に幸いです。それでは皆さん、良いお年をお迎えください。
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