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2021年10月 9日 (土)

災害に強いまちづくり

岸田内閣の支持率について、菅内閣の末期に比べて大幅に回復したという見方がある一方、新たな政権の発足当初の率としては極めて低かったとも見られています。『「まさか岸田政権の支持率がこんなに低いとは…」世論を甘くみていた自民党の大誤算』という見出しの記事も目にしています。

今回の新規記事のタイトルは「災害に強いまちづくり」です。そのため時事の話題は冒頭に触れるだけとしますが、新型コロナ対策を最重点に掲げながら『岸田新内閣 コロナ担当大臣は「全員交代」』は意外なことでした。もう一つ『連合会長に芳野氏選出 初の女性、「ガラスの天井破る」』という報道も目を引いていました。

連合の都道府県単位の組織として連合東京があり、都内のブロック地域協議会の一つとして連合三多摩があります。その連合三多摩は月曜の午後「2021政策・制度討論集会」を催しています。コロナ禍の中、今年もWebとの併用開催とし、全体で183名が参加しています。

毎年、この時期に開かれ、私自身は主催者側のプロジェクトの一員として関わってきています。これまで当ブログでは討論集会で得られた内容をもとに「子ども・子育て支援新制度について」「保育や介護現場の実情」「脱・雇用劣化社会」「子どもの貧困と社会的養護の現状」「子ども虐待のない社会をめざして」「子どもの権利を守るために」という記事を綴っていました。

三多摩の地で働き、三多摩の地で暮らす組合員の多い連合三多摩は、各自治体に向けた政策・制度要求の取り組みに力を注いでいます。今年も多岐にわたる要求書を全自治体に提出します。私どもの市長には討論集会当日の朝、地区協の議長らとともに提出していました。この取り組みの一環として討論集会を企画し、政策・制度要求に掲げている重点課題等について認識の共有化に努めています。

衆院選の投票日が10月31日に決まったという報道の広まった直後でしたので、主催者を代表した挨拶の中で議長は「働く者の声を届ける先は一本であって欲しい」という労働組合と政治との関係性に対する思いも添えられていました。さらに連合にとって政策・制度の取り組みは重要であり、連合三多摩が推薦する方々はその思いが一緒の候補者であることを訴えられていました。

プロジェクトの主査からは「多摩の未来に夢を」というスローガンを掲げた政策・制度要求の取り組みについて全体会の中で報告を受けています。全体会の後、参加者はそれぞれ第1分科会「コロナ禍における子どもの居場所づくり・地域との連携~子どもたちが健やかに生きていくには~」と第2分科会「災害に強いまちづくり~地域との連携の強化~」に分かれています。

私は第2分科会の司会を担当しました。講師は三鷹市の総務部危機管理担当部長に引き受けていただきました。同じ市に勤めているプロジェクトの主査から事前に講師の方の情報を伺っていました。趣味が登山で、そのことが庁内では有名であるという話を耳にしました。当日お会いし、ご挨拶した際に「なぜ、それほど有名なのか」がよく分かりました。

登頂された山をお尋ねするとキリンマンジャロ、マッターホルン、モンブランというお答えでした。エベレストは1か月以上休まなければ行けなかったため、まだ登頂されていないとのことです。第2分科会に参加された皆さんに私が講師の方を紹介した時、スケールの大きい登山が趣味であることを申し添えています。

講師の方の名刺には防災課長事務取扱、安全安心課長事務取扱、都市再生部理事兼職という肩書きが並んでいることを紹介しています。これまで海外で数々の登山を経験され、体力や胆力を培われている方が、たいへん幅広い分野で重責を担われていることについて住民の皆さんからすれば心強いのではないでしょうか、このような一言も添えさせていただきました。

分科会の冒頭、1959年の伊勢湾台風の後に災害対策基本法が制定され、阪神・淡路大震災から10年前の東日本大震災を経て、防災に対する様々な法整備が進んできたことを私から報告しています。大きな教訓として災害は避けられない、そのことを前提に普段からの備えが必要とされています。

「想定外だった」と悔やまないため、今、何をすべきなのか、連合三多摩は政策・制度の取り組みの中で毎年「防災」を重点課題としています。今年の分科会も「災害に強いまちづくり」をテーマにご講演いただきます。参加されている組合役員、自治体担当者、議員の皆さんが参考とすべき考え方や事例を一つでも多く持ち帰っていただければ幸いなことです。

このような前置きを述べた後、講師の方からお話を伺っています。途中10分ほどの休憩をはさみ、質疑応答も含めて予定した2時間以内に終わっています。まず講師の方から三鷹市における豪雨災害や東日本大震災の時の事例が紹介されました。風水害に対しては土砂災害警戒区域の有無や地盤の高低差によって被害の規模が異なるため、一面的な対応ができないことを補足されています。

避難所も地震の時と場所を変える必要が生じるため、ハザードマップも2通り用意することになります。今年7月に三鷹市地域防災計画が改定されています。リンク先には「地域防災計画は、自分の命を守り、そして周囲の人々を助けるための大切な計画です」とし、近年の災害発生状況や新型コロナウイルス感染症対策を踏まえて改定されていることが記されています。

  1. 災害は必ずやってくるという「防災の心・意識」を持ち、災害に立ち向かっていく。
  2. 災害に立ち向かう際には、市民の自助・地域の共助・市などの公助がそれぞれの役割を認識し、互いに連携協力のうえ、それぞれの力を最大限に発揮しなければならない。
  3. 日常生活の中に防災対策を組み込んでいくことで、息の長い防災対策を進めていく。
  4. 自助に成功しなければ共助に加わることができない。

上記は講師の方がパワポの画面に映された三鷹市の防災理念です。地域の「共助」の例として、市内に7つの自主防災組織を整えています。町会、自治会、NOP等防災活動団体とも連携し、「オヤジの会」では防災訓練として校庭で防災キャンプにも取り組んでいるとのことです。

新型コロナ対策から指定された避難所に集まらなくても可能であれば在宅で避難生活を送ることを推奨しています。そのため上記の組織は主に在宅避難者の避難生活を支援する役割が期待されています。公園等に炊き出しに必要な資機材や仮設トイレ等を備蓄し、災害時在宅生活支援施設を整え、周辺の町会や自治会等が運営を担えるように努めます。

三鷹市の施策として「強靱なまち」をめざし、都市計画制度等の活用による面的な防災性の向上、防災拠点機能のバックアップの確保やリスクの分散化などを進めています。地域防災計画の改定にあたり、これまでの「震災編」「風水害編」に加え、「富士山等噴火降灰対策編」と鉄道やガスの事故等を想定した「大規模事故対策編」が追加されたとのことです。

続いて、多様なニーズに対応した防災対策について説明を受けています。社会情勢や要配慮者のニーズを踏まえた備蓄として、マスクや消毒液等が感染症対策として欠かせなくなっています。高齢者、障害者、女性、乳幼児等のニーズに合わた食料や生活必需品を備えています。アレルギー対応品やイスラム教のハラールも配慮されているそうです。

要配慮者への支援例として、嚥下障害のある方や乳幼児等への調理に使用するハンドブレンダーを備え、筆談ボードや外国語表示シートも用意しています。新型コロナ対策として、手指の消毒、非接触型体温計を活用した検温を実施し、発熱者等は専用の滞在場所に案内するという受付の流れを説明いただきました。

講演の最後のほうで「発災後の災害対応~3つのフェーズ~」が紹介されました。「発災~3日間 命を守るフェーズ」「4日目から1週間程度 生活を守るフェーズ」「1週間後以降 日常生活を再開するフェーズ」とし、それぞれ「自助」「共助」「公助」について解説しています。

防災の基本は「自分の命は自分で守る」、キーワードは「日常」、日常と非日常を連続としてとらえながら、日常の備えと日頃からの関係で防災力を強化していくことの必要性を講師の方は提起し、締め括っていました。90分近くの講演内容でしたので、今回のブログ記事では興味深かった箇所の紹介に絞り、2名の方から示された質問等も取り上げていないことをご容赦ください。

分科会のまとめとして、司会の私からは次のような要旨について発言していました。福祉などの分野で「自助」「共助」「公助」の並びの中で「自助」や「共助」が強調されすぎると批判を受ける場合もあります。しかしながら防災対策において、待ったなしで命を守るためには、まず「自助」があり、次に隣近所等からの「共助」が頼りになります。

もちろん発災後の「公助」の役割も重要です。加えて、平時において備えや関係性を整え、点と点をつなぎ、線や面にしていくことも「公助」としての役割だろうと考えています。そのような意味で、本日お伺いした三鷹市におけるお話はたいへん参考になっています。私自身、自治体職員の立場から少しでも役立てていけるように努めていきます。

労使交渉だけでは解決できない問題に対し、労働組合の政治に関わる取り組みも重要です。全体会の挨拶で議長も触れていましたが、働く者の切実な声が届けられる衆院選の結果を得られるように頑張っていかなければなりません。原稿を用意していませんでしたので言い回しは違うかも知れませんが、以上のような言葉でまとめさせていただきました。

最後に、講師の方をはじめ、参加された皆さん、改めてありがとうございました。一昨年までであれば討論集会の後、講師の方と懇親をはかる機会がありました。コロナ禍が続く中、今年も現地解散だったため、キリマンジャロの詳しい話などを伺える「日常」が早く訪れることを願っています。

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