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2021年10月 3日 (日)

岸田新総裁と野党の立ち位置

新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令されていた緊急事態宣言が9月末に解除されました。8県に適用していた蔓延防止重点措置も同じ日に解除されています。私自身やその周囲では、だからと言って何か大きく変わった訳ではありません。これまでも宣言の有無に関わらず必要な感染対策を続けているからです。

コロナ禍の組合予算還元策として組合結成75周年記念品を組合員全員に贈る際、同封する私からの感謝の手紙の中にも「新型コロナウイルス感染症が拡大し、制約された日常が続いています。ワクチン接種も進んでいますが、まだまだ必要な感染対策を緩めることはできません」と書き添えています。

さて、前回記事「コロナ禍での組合活動、2021年秋」は久しぶりにマイナーでローカルな話題を取り上げました。前々回記事が「自民党総裁選と野党の立ち位置」でしたが、再び政治の話題に戻ります。自民党総裁選は岸田文雄候補が1回目の投票結果も河野太郎候補の得票数を上回り、決戦投票を経て当選を果たしていました。

下馬評では国民的人気の高いと言われていた河野候補が1回目の投票でトップに立つと見られていました。結局、党員票も議員票も河野陣営にとって予想を大きく下回る結果だったようです。その理由の一つを論評していた日本大学の先崎彰容教授の『河野太郎氏の敗因は「言葉の軽さ」? 安倍元総理の著書と見比べてみると』が目に留まっていました。

河野候補の著書『日本を前に進める』は最近読み終えています。総理大臣に就任する可能性のあった方の著書ですので、興味深かった箇所には付箋を添えながら読み進めていました。このブログを通して詳しく紹介するかどうか分からなくなりましたが、「なるほど」と思える箇所も少なくありませんでした。

先崎教授は「この国をどうしたいのかというビジョンが見えてこない」と酷評する一方で、安倍元総理の著書『美しい国へ』を絶賛しています。私自身の評価は以前の記事「『美しい国へ』から感じたこと」の中で綴っていたとおりであり、先崎教授の対比の仕方は安倍元総理のほうに肩入れしすぎだろうと思っていました。

ちなみに今日の時点では安倍前総理と記すべきなのかも知れませんが、このまま元総理として書き進めていきます。『「3Aが今や人事を行っていますよ」 岸田新総裁の「甘利幹事長」抜擢は安倍・麻生両氏の思惑通りか』と伝えられているとおり自民党新執行部人事が決まり、新たな閣僚の顔ぶれも徐々に明らかになりつつあります。

1日、岸田新体制の自民党の新執行部が発足しました。幹事長に甘利明氏、副総裁に麻生太郎氏を起用するなど、岸田カラーが感じられない人事に党内から、まるで「安倍政権」と嘆きの声も上がっています。

麻生太郎財務大臣:「(Q.大臣の任期も再任がなければ9年弱で区切りを迎えるかと思います…)残念ながら、もう一回付き合ってもらわないといかんよな…。『最後の会見』にはならないんだ、悪いけど…」岸田文雄新総裁が、「副総裁」への起用を固めたと報道された麻生財務大臣。

着々と進む、岸田新総裁の党役員人事。岸田文雄新総裁:「幹事長には甘利明君。政務調査会長には高市早苗君」 午後には、新執行部が会見。総裁選を戦った高市早苗氏や、河野太郎氏らの役職も発表されました。

岸田文雄新総裁:「私はあくまでも、適材適所の観点に基づいて人を選ばせて頂いた」 しかし、この顔ぶれに党内からは…。自民党幹部:「『第4次安倍政権』じゃん。もたないよ、この政権」 自民党の若手議員:「『安倍さん、麻生さんに気を使った』って見え方がよくないね」

安倍前総理と近い麻生副総裁、甘利幹事長、高市政調会長という顔ぶれ。そして、岸田新総裁の独自色が見えないと嘆きの声も…。さらに、2016年に「政治とカネ」の問題で大臣を辞任した甘利氏に関しては…。

自民党幹部:「国会での説明責任を果たしていない。これで国会を乗り切れるだろうか」自民党の若手議員:「再来週には解散なんだよ。これから選挙なのに『政治とカネ』の問題を分かっていて、幹事長にするんだろうか」

1日の会見では、改めて自らの関与と責任を否定しました。甘利明新幹事長:「私はこの事件に関して、事情を全く知らされていないということ。だから、私は寝耳に水」

自民党新執行部の顔ぶれについて、立憲民主党の枝野幸男代表は。立憲民主党・枝野幸男代表:「あまり個別のことについては申し上げませんが、新総裁決定の時に、私はこの総裁選選出のプロセスを見て『自民党は変わらない・変えられない』と改めて示した総裁選挙だったと申し上げた。そのことが、さらに明確になった」【テレ朝news 2021年10月1日

傀儡政権じゃなかったの? 安倍前首相が「岸田新体制」にブンむくれのワケ』『岸田体制に潜む「安倍排除」の萌芽 本当に岸田氏は「安倍の傀儡」なのか?』という報道もありますので、必ずしも安倍元総理の意向がそのまま受け入れられている訳ではないようです。私自身、岸田新総裁がご自身の長所を「聞く力とチーム力」とし、「怒鳴ってばかりではチーム力を発揮できない」と述べていたことについて共感していました。

ただ森友事件の再調査の必要性について、当初「国民が納得するまで努力することが大事だ」と答えていながら「必要であれば国民に説明する」という消極的な姿勢にトーンダウンしています。党内力学が働いたのか、安倍元総理に対しての忖度だったのか分かりませんが、このような短期間での変化に失望していました。

岸田新総裁の地元は広島です。岸田さんに届かなかった地方幹部の心配 金権疑惑は説明しなくていいの?「古くさい国に元通り」しないため』という見出しの記事の中に掲げられているとおり河井克行・案里夫妻による2019年の参院選広島選挙区での大規模買収事件についての説明責任が強く求められているはずであり、今後の動きを注目しています。

今回の記事タイトルは「岸田新総裁と野党の立ち位置」としています。前々回「自民党総裁選と野党の立ち位置」に託した問題意識を改めて訴えようと考えていたからです。前々回記事の中で、野党側の発言が単に批判を目的にした言葉だと取られないようにして欲しいものと願い、下記のような問題意識を訴えていました。

コアな支持者向けであれば回りくどい説明は余計なことで、自民党をストレートに批判する言葉のほうが分かりやすく、喝采を浴びるのかも知れません。しかし、総選挙戦を勝ち抜くためには幅広い層からの共感や賛同の広がりが不可欠です。ぜひ、枝野代表らには立憲民主党を冷ややかに見ている方々や関心のない方々に対しても「なるほど」と納得感を得られるような言葉の発信力を磨いて欲しいものと願っています。

紹介したテレ朝の報道のとおり枝野代表は自民党総裁の選出のプロセスを見て「自民党は変わらない・変えられない」ことを改めて示したと批判しています。もちろん報道内容は発言の全文を伝えている訳ではありませんので「なぜ、そうなのか」という説明が、その前後に加えられている時も多いのだろうと思っています。

しかし、一部を切り取られることを大前提に発信する言葉には注意を払って欲しいものと考えています。そもそも政権交代以降、自民党は補選以外の国政選挙で勝ち続けています。政党支持率も他党より頭一つ二つも抜けています。自民党という政党を支持してきた国民が多数であることの証しであり、現在も相応の割合を占めていることについて認識しなければなりません。

つまり自民党をオールorナッシングで頭から否定していく言葉は、これまで自民党を支持してきた方々の判断も含めて批判するような構図につながる恐れがあります。「自民党という政党は問題があり、全面的に変わらなければならない。総裁選がその機会につながらなかった」という論理で枝野代表が発言していたことは充分理解しています。

しかしながら「今の自民党の何が問題なのか、このような点について変えなければならない」という具体的な事例とセットで批判しなければ、前述したような現状の中で立憲民主党に対する支持の広がりは期待できません。せめて「自民党は変わらない・変えられない」の前に「透明性の高い政治に向け」という一言だけでも添えるべきだろうと思っています。

自公政権「継続を望む」64%、無党派層は55%…読売世論調査』の中で、政府の新型コロナ対応は「評価しない」が全体の73%を占め、無党派層に限ると84%に達しています。ただ政府の新型コロナ対応に強い不満を感じながらも、野党には政権を任せられないという構図が伝えられています。

このような悩ましい現状であるからこそ「自民党のここが問題だ」という具体的な事例を掲げながら、より分かりやすく情報発信や問題提起していく姿勢が野党側に求められています。そのような意味で金銭授受疑惑の甘利明氏が自民幹事長就任 元検事・郷原弁護士は「このままだと示しがつない」という報道のとおり野党側に好機が訪れています。

自民党新執行部の会見で、記者から問題を問われた甘利幹事長は「事情を知らされていなかった」「根耳に水」と答えています。野党は早速追及チームを立ち上げる予定です。上記の新聞記事では郷原弁護士が甘利幹事長自身に次のような対応の必要性を求めていることなどを伝えています。

まずは調査したという第三者委の弁護士名、報告書の内容をつまびらかに公表するべきでしょう。このままだと示しがつかなくなる。今後、政治資金問題が指摘されても、何も説明せずに公の場から姿を消し、よく分からない第三者委の調査をもとに潔白だといえばいい――となりかねません。「幹事長もやっていますよ」と言われたら、どうするのでしょうか。

定められたルールは誰もが守る、もし守れなかった場合は責任を明確化する、このような当たり前なことを当たり前に対応していくことが信頼できる政治の実現に向けて欠かせないはずです。野党側の立ち位置として国民の素朴な疑問や疑念を背にし、ぜひ、甘利幹事長に対する追及が「自民党のここが問題だ」の一つとしてコアな支持者以外にも届く言葉で情報発信して欲しいものと願っています。

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