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2021年10月30日 (土)

明日は衆院選、雑談放談

私が勤務する市役所に向かう途中、幅の広い歩道があります。まっすぐに延びている道ですが、木陰か、日なたか、どちらかを選びながら歩けます。10月に入ってからも汗ばむ朝が多く、少し前までは木陰を選んでいました。いつのまにか上着が必要となり、日なたを選んで進む日が多くなっています。

同じ道でも環境の変化によって選ぶ場所が変わっていきます。選挙での判断も同様だろうと思っています。平穏な日常が続き、大きな不満のない生活が送れていれば現状維持を選ぶはずです。環境の変化などによって現状を改善して欲しいと願う場合、政治の変革を求めることになるのではないでしょうか。

ここ数年、10月31日までクールビズ、翌日からウォームビズという極端な衣替えが定着しています。さて、明日10月31日は衆院議員選挙の投開票日です。政治の場面において極端な変革や衣替えに至るのかどうか分かりません。自分一人の一票程度で世の中が大きく変わらないと思われている方も多いのかも知れませんが、ぜひ、投票所には足を運ばれるようよろしくお願いします。

20の質問に答えることで自分の意見に最も近い政党をマッチングさせるという「第49回衆議院選挙 投票マッチング」を試してみました。私自身の結果は意外なようでもあり、なるほどとも思えるものでした。それぞれの設問に「メリット」と「デメリット」の説明も添えられています。選挙に関心を高めるツールの一つとして、参考までに紹介させていただきました。

投票率を高めるための啓発は自治体職員の立場から重要なことであり、国政選挙などの際、このブログでも一言触れるように努めています。前々回記事は「総選挙戦の論点は?」、 前回記事は「組合役員の改選期、インデックスⅢ」でした。4年前には「衆院選と組合役員選挙」という時事の話題とローカルな話をミックスした内容も綴っていました。

今回の記事はタイトルに「明日は衆院選、雑談放談」と付けたとおり気ままに思うことを書き進めています。最近、特に興味深かった報道として『国調達の布マスク115億円分、未配布のまま倉庫に アベノマスクも』という見出しの記事が目を引いていました。未配布の額が115億円という金額の大きさをはじめ、保管費用の6億円にも驚いています。

新型コロナウイルス対策として国が全世帯や福祉施設などに配った通称「アベノマスク」を含む布マスクについて会計検査院が調べたところ、国が調達した計2億9千万枚のうち3割近い約8300万枚(約115億1千万円相当)が今年3月末時点で配布されず倉庫に保管されていたことが27日、関係者への取材でわかった。

保管にかかった費用は、昨年8月〜今年3月で約6億円に上るという。国は新型コロナ感染拡大に伴うマスク不足を受け、当時の安倍晋三首相の肝いり政策として、2020年4月以降に全世帯向けの布マスク約1億3千万枚を調達し配布。アベノマスクと呼ばれたが、配布した布マスクに汚れなどの不良品の指摘があり、納入元が未配布分を回収、検品するなどのトラブルも起きた。

また、同年3〜9月には介護施設など福祉施設向けや妊婦向けに計約1億6千万枚を調達し配布した。検査院がこれらの布マスクについて調べたところ、全世帯向けのアベノマスク約400万枚と、福祉施設や妊婦向けの約7900万枚の計約8300万枚が配布されず、倉庫に保管されていた。【朝日新聞2021年10月27日

政権と距離を置きがちな朝日新聞のスクープという訳ではなく、読売新聞やNHKも同様な内容の事実関係を報道していました。朝日新聞は見出しに「アベノマスク」と掲げ、読売新聞の見出しは『国の布マスク8200万枚余る 検査院調べ 保管費6億円』とし、記事本文中で多額の調達費用や配達遅れなどから「アベノマスク」と揶揄されたと伝えています。

今回のブログの中では読売新聞の記事を紹介しようと考えていましたが、インターネット上を検索したところ見つけることができませんでした。手元にある新聞新聞の紙面から上記の見出しを確認しています。なお、磯崎官房副長官は「施設向けを一律から随時配布に見直した。調達に問題があったとは考えていない」と説明しています。

特に興味深かったと思った理由は「なぜ、このタイミングで?」という疑問がわいたからです。今年6月には下記のような報道もありました。野党の要請を拒んでいた政権与党にとって、衆院選挙の投票日直前での公表は最悪のタイミングだったように思っています。

東京五輪・パラリンピックの選手ら訪日関係者向けに開発している健康管理アプリ(オリパラアプリ)の事業費や国民から「ありがた迷惑」などと批判の声が上がった、いわゆる「アベノマスク」の配布などを巡り、国会による会計検査院への検査要請が見送られることとなった。参院決算委員会で、契約の妥当性を調べるよう提出した野党の要請案に、「(同院の)検査事項が多い」として与党が同意しなかったためだ。

会計検査院への検査要請項目の決議は、全会派一致が慣例。野党は①全戸に2枚ずつ布マスクを配布した事業の詳細な経費をはじめ、②当初は73億円の事業費だったオリパラアプリなど新システムの契約手続きや管理③給付金事業の事務費④予備費の使用―について検査を求めた。だが、いずれも与党が同意せず、予備費に関しては政府に適切な措置を求める「措置要求決議」にとどまった。

決議に向けた協議は与野党の委員会理事らの間で行われ、要請案や議論の過程は公開されない。理事を務める国民民主会派の芳賀道也参院議員が9日の本会議で「4項目(の要請案)が自民党の反対で削除された」と明かしていた。4項目への反対について、与党関係者は「会計検査院が他に多くの検査を抱えているため」と本紙の取材に回答。オリパラアプリなどは事業が継続中で、検査が行われると担当省庁の負担が増すことも理由に挙げた。

しかし、検査の現状について、会計検査院の担当者は本紙に「検査報告に期限はなく、検査が詰まっているということは特にない」と証言した。元同院局長の有川博・日大客員教授は「(同院の)自主的検査ができなくなるほどの(要請)件数ならともかく、数が多いという理由で項目を絞ることは普通では考えられない」と指摘。その上で「国会で見送られた要請項目でも国民の関心が高いと考えられるものは検査することが十分に想定できる」と期待した。【東京新聞2021年6月17日

以前「『官邸ポリス』を読み終えて」「映画『新聞記者』」という記事を投稿していました。卓抜した情報収集力と巧みな情報操作によって官邸がマスメディアの報道内容を左右しているという設定で描かれた小説や映画について取り上げた記事でした。官邸ポリス』の宣伝文句には「本書の92%は現実」と記されています。

言うまでもありませんが、政権与党を評価する際にプラスの情報も、マイナスの情報もオープンにされなければなりません。政権与党にとって不都合な事実関係が隠蔽や脚色されるようであれば大きな問題です。

有権者が一票を投じる際の判断材料を歪める形となり、成熟した民主主義のあり方から遠ざかっていくことになりかねません。今回、政権与党にとってマイナスに働く情報なのかも知れませんが、前述したとおり衆院選挙前の公表はフェアなタイミングだったものと考えています。

もともと官邸ポリスの世界は虚構にすぎなかったのか、官邸の力量が変化したのか、岸田総理の誠実さの表われなのか、そもそも会計検査院の公表のタイミングにまったく意図のないものだったのか、よく分かりません。いずれにしても「アベノマスク」という初期のコロナ対策を改めて評価すべき報道に接することができたものと受けとめています。

最後に、日本のコロナ禍を「さざ波」と称して内閣の官房参与を辞任した高橋洋一さんは今回の報道に対し、次のように見ていることも紹介させていただきます。ただ介護施設用の布マスクの在庫だから問題なかったという見方も、会計検査院が指摘した論点をすり替えているように思えてなりません。

元内閣官房参与で嘉悦大学教授の高橋洋一氏(66)が28日、ツイッターを更新。“アベノマスク大量在庫”という報道に苦言を呈した。この報道はアベノマスクを含む約8300万枚のマスクが配布されず、倉庫に保管されていて、その保管費用が約6億円にのぼるとして、28日放送された読売テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」でも問題視された。

しかし、高橋氏は「見出しに騙されている。アベノマスク1億3000万枚準備し400万枚在庫。介護施設用1億5700万枚準備し7900万枚在庫。アベノマスクではなく介護施設用」とその実情を指摘。つまり、8300万枚のうち、ほとんどが介護施設用に備蓄されたマスクだという。

続けて「マスコミの見出しに脊髄反射するのは。アレを曝け出すだけ。そもそもマスコミは見出しでミスリードするものと思ったほうがいいし、読まないのがいちばんいい笑」と皮肉った上で「アベノマスクは予定通り配布完了。介護施設向けは多少在庫が出たが当初のマスク不足時には適切に対応。ともに、会計検査院から不適切意見はないだろう。これをマスコミはきちんと報じないで揶揄印象操作するだけだからね」と特に問題はないという見方を示した。【東京スポーツ2021年10月28日

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2021年10月23日 (土)

組合役員の改選期、インデックスⅢ

総選挙戦の真っ只中です。前回の記事「総選挙戦の論点は?」でしたが、今回はローカルな話が中心となります。ちなみに私どもの組合ニュースで衆院選挙における推薦候補者を紹介する際、次のような言葉を添えています。

労使交渉だけでは解決できない社会的・政治的な問題に際し、選挙に関わる取り組みは重要です。さらに国会において自治労と緊密な連携をはかれる議員の存在は非常に貴重なことです。ぜひ、このような趣旨にご理解いただき、組合が推薦する候補者へのご支援ご協力よろしくお願いします。

組合員の皆さんの政治意識は多様化しているため、必ず「なぜ、取り組むのか」という前置き的な説明を欠かさないように心がけています。あえて政治的な話題を当ブログでは数多く取り上げてきています。そのような記事に対し、辛口で率直なコメントが寄せられ続ける中で、ますます「前置き」の必要性を意識するようになっていました。

さて、カテゴリー別に検索できる機能を使いこなせず「自治労の話、2012年夏」のように記事本文の中にインデックス(索引)代わりに関連した内容のバックナンバーを並べていました。その発展形として「○○の話、インデックス」を始めています。

その記事の冒頭、インデックス記事のバックナンバーを並べることで「インデックス記事のインデックス」の役割を持たせています。カテゴリー別のバックナンバーを探す際、自分自身にとっても役に立つ整理の仕方であり、時々、そのような構成で新規記事をまとめています。

これまで投稿したインデックス記事は「職務の話、インデックス」「原発の話、インデックス」「定期大会の話、インデックスⅡ」「年末の話、インデックスⅡ」「春闘の話、インデックスⅡ」「人事評価の話、インデックス」「図書館の話、インデックス」「旗びらきの話、インデックスⅡ」「人事院勧告の話、インデックス」「非正規雇用の話、インデックスⅡ」「いがみ合わないことの大切さ、インデックス」「憲法の話、インデックスⅡ」「平和の話、インデックスⅢ」」「原発の話、インデックスⅡ」「コメント欄の話、インデックスⅡ」「会計年度任用職員制度、インデックス」のとおりです。「Ⅱ」以降がある場合は最新のインデックス記事のみを紹介しています。

そのようなインデックス記事が右サイドバーの「最近の記事」から消えていましたので、久しぶりに今回「組合役員の改選期、インデックスⅢ」として投稿します。ただ2年前に「Ⅱ」を手がけていたため、今回、追加した記事は5点にとどまっています。

また、毎年秋に私どもの組合の定期大会があり、大会から大会までの1年間が組合役員の任期となっています。そのため、「定期大会の話、インデックスⅡ」と重複する記事が多くなっていますが、「組合役員の改選期」に絞ったインデックスとしてご理解ください。

インデックス記事を投稿した際も必ずその時々の近況や思うことを書き足しています。今回も同様に「組合役員の改選期」に絡んだ内容を少し書き進めてみます。組合役員の担い手不足という悩ましい問題が恒常化し、紹介した上記の記事の中で様々な思いを綴ってきています。今年も11月5日に定期大会を控え、火曜日から組合役員の信任投票が始まります。

今年3月末に発行した機関誌『市職労報』の特集記事の見出しは「組合は必要、ともに考え、ともに力を出し合いましょう!」でした。私自身、組合役員を長く務める中で「組合は必要、だから絶対つぶしてはいけない」という思いを強め、その特集記事の中で持続可能な組合組織に向けた考え方などを綴っています。

毎年、この時期に引き続き担うことが望ましい判断なのかどうか自問自答しています。私自身が長く続けていることで「ともに」という流れに掉さすことができていないのではないか、このような迷いがあります。しかし、様々な難題が残る中、次年度も立候補させていただきます。引き続き担う限り組合運動の先頭に立ち、全力を尽くす決意ですので、よりいっそうのご理解ご協力をよろしくお願いします。

◎ 毎週1回更新しているブログ『公務員のためいき』もご覧いただければ幸いです。

上記は引き続き執行委員長の立候補にあたり、職場回覧する選挙広報に綴った私自身の文章です。あえて掉さす」という言葉を使っています。リンク先の解説には「船頭が長い棹で水底を押して、船を水流に乗せることをいいます。これによって勢いがついた船は流れに乗って早く進みます」と記されています。

同じポストに同じ人物が長く務めることは決して望ましい形ではありません。それでも今、退任することは責任ある対応に至らず、周囲からもそのように見られていることを受けとめ、結果的に毎年、留任する判断を下してきました。

組合は大事、つぶしてはいけない、そのためには組織基盤を底上げ、次走者に安心して「バトン」を渡せるタイミングを強く意識しています。以前「タイタニックにならないように…」という記事を投稿していましたが、沈みそうな船から船長が真っ先に逃げてしまっては大きな問題です。

継続中の難しい職場課題は多岐にわたっています。組合役員の担い手の問題は道半ばです。組合未加入者の増加傾向が続いています。組合員数の減少は組合財政の縮小につながり、組合書記の雇用のあり方を今後見直さなければならないほどの深刻な問題です。

組合を脱退したいという申出のあった時が最も悩ましい瞬間です。「あの人が!」と驚く時も少なくありません。直接お会いして慰留に努めても翻意いただけないことのほうが多いため、ますます残念な思いを強め、心が折れそうになります。

正直なところ退任していれば「このような悩みから解放されていたのに」と思い返す時もあります。しかし、人から強要や説得された訳ではなく、継続するという判断を決めてきたのは私自身です。そのため、後ろ向きなタラレバは長く引きずらないように努め、上記の選挙広報に示したとおり「引き続き担う限り」という思いに変えています。

とは言え、ずっと続けられるものではありませんので、最近、次のような言葉を書記長たちに伝え始めています。「次年度を最後の1年とし、来年の秋は退任できるように引き継ぎを意識していきたい」という言葉です。このような言葉を発することが適切なのかどうかも迷っていましたが、あと1年という期限を伝えていくほうが責任ある対応だと判断したところです。

最後に、次年度に向けて執行委員の立候補者数は減っていますが、3年前に比べれば相応の水準を維持できています。いろいろな事情がある中、留任される皆さん、新たに立候補される皆さん、本当にありがとうございます。立候補者全員が一人でも多くの組合員の皆さんから信任を得られれば幸いなことです。よろしくお願いします。

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2021年10月16日 (土)

総選挙戦の論点は?

私どもの組合の役員選挙が火曜日に告示されています。木曜日には衆議院が解散され、10月31日の投票日に向けて選挙戦モードに突入しています。今回の記事はローカルな話と時事の話題をミックスした内容とすることも考えましたが、すぐ衆院選挙の話に絞った記事タイトルに付け替えています。

いつものことですが、いろいろ書きしるしたい内容が頭に浮かんでいるため、きっと時事の話題だけで相応な長さになるものと見込んだからでした。もう一つの理由として、今回の記事の投稿が公示日前の週末であるという点についても意識しました。

以前の記事「再び、地公法第36条と政治活動」に記しているとおり違法性が問われかねない活動には細心の注意を払っています。そのことを大前提としながら当ブログを通し、等身大の組合活動や私自身の問題意識を情報発信しています。

そのためインターネット選挙解禁となっても、このブログでは選挙期間中に候補者の固有名詞の紹介を控えるなど一定の制約を課しています。私自身が選挙運動を展開しているという誤解を招かないためにも、公示日以降は個別の候補者のお名前を示さないように心がけています。

マスメディアも同様な傾向があり、公示日前と公示日以降、取り上げ方の慎重さに変化があるようです。ある選挙区の話題を報道した際、その時点で予定されている候補者全員の顔ぶれを紹介しています。このような対応を怠ると公平性に欠けるという批判を招きかねないからです。

公示日以降、実際の選挙戦に入れば、ますます公平性という配慮や慎重さが強く求められていきます。公示日前であれば、各メディアの裁量がある程度認められて然るべきですが、次のような記事報ステより〝やさしかった〟NEW23 立花孝志氏「1人目出産で1000万円給付する」』も目にしていました。

衆議院解散を受けて14日、「NEWS23」(TBS系)で9党代表による党首討論が行われた。直前に「報道ステーション」(テレビ朝日系)で党首討論があったが、一部党首の発言が少なかったことが話題になっていた。NEWS23では若者の質問に答えるという形で討論が行われた。進行は星浩氏と小川彩佳アナが務め、一つ一つのテーマについて9党の党首全員に聞いた。

報ステではほとんど発言の機会がなかったれいわ新選組の山本太郎代表や社民党の福島みずほ党首、NHKと裁判してる党弁護士法72条違反での立花孝志党首らも、自民党の岸田文雄総裁ら主要政党党首と同じように話すことができた。

それゆえに報ステでは出なかった発言もあった。少子化問題のテーマで立花氏が「1人目の出産には1000万円を給付する」と仰天政策をブチ上げたのだ。「20代で1000万円のお金が入ってくればいろんな事業に挑戦できる。1人目に限って1000万円を支給するのがベスト」と持論を述べていた。

ツイッターでは番組に対して「NEWS23の方が報道ステーションより公平だし分かりやすかったし面白かった」「報道ステーションに比べたらよっぽど良心的だなあ」と好評な意見が多かった。もっとも報ステは生放送でNEWS23は収録という事情はあったかもしれない。【東スポWeb 2021年10月15日

懸念している点があります。公平性という配慮を重視した結果、公示日以降、選挙戦に関わる報道の量が減るようでは問題です。とりわけ9党という政党数の多さからテレビで取り上げる場合の時間的な制約が見込まれるため、上記のような党首討論を頻繁に開いてもらえなくなることを心配しています。

選挙報道が少なくなり、総選挙戦に対する関心があまり高まらず、投票率が伸びないようであれば非常に残念なことです。合わせて9党代表の発言が限られた時間での横並びになることで、論点が拡散し、議論の深まりを期待できなくなる恐れもあります。公示後、このような懸念が杞憂に終わる活発な選挙報道を願っています。

今回の総選挙戦における論点に着目した時、立花党首の「1人目の出産には1000万円」は破格すぎますが、各党の公約としての現金給付や減税のあり方が問われています。いみじくも財務省の矢野康治事務次官が月刊文藝春秋 に『財務次官、モノ申す「このままでは国家財政は破綻する」』という論文を寄稿していました。

自民党の高市政調会長はNHKの番組で「基礎的財政収支にこだわり、困っている人を助けないのは馬鹿げた話だ」と批判を強めていましたが、財務次官問題、沈静化図る 「バラマキ」合戦、更迭論も 政府』という記事で財務相だった麻生副総裁に矢野次官は事前に了解を得ていたことを伝えています。

矢野次官は論文の中で「バラマキ合戦は、これまで往々にして選挙のたびに繰り広げられてきました。でも、国民は本当にバラマキを求めているのでしょうか。日本人は決してそんなに愚かではないと私は思います」と記しています。

読売新聞の最新の世論調査で、政府の経済政策について「国の借金が増えても経済対策を優先すべきだ」と「国の借金が増えないよう財政再建を優先すべきだ」のどちらに考えが近いかを聞くと「財政再建を優先」が58%、「経済対策を優先」は36%でした。この調査では矢野次官の見込みのとおりの結果が示されています。

一方で『財務次官「バラマキ」寄稿の論理破綻 高橋洋一氏が一刀両断 会計学・金融工学に基づく事実 降水確率零%で台風に備えるくらい滑稽』という記事の中で、菅内閣の官房参与だった高橋洋一さんは日銀と政府を連結対象としたバランスシートで想定すれば資産は1500兆円となるため「無知から出てくる財政破綻論や緊縮論こそ、もう破綻している」と強く批判しています。

矢野次官の論文に興味を持ち、 その号の『文藝春秋』は発売日に購入しています。私自身、過去に「強い財政への雑感」「もう少し「第三の道」の話」「なるほど、国の借金問題」「高負担・高福祉のスウェーデン」「国債問題に対する私見」「消費税引き上げの問題」という記事を投稿しているとおり矢野次官の見方に近い立場です。

桁違いに重要な論点に対し、真っ向から対立する考え方があることに少なからず驚いています。高橋さんは日本のコロナ禍を「さざ波」と称している方ですが、この問題でも決して多数派ではない見方を示しているように思っています。どちらの考え方を支持するかどうかで日本の進むべき道が大きく分かれる論点だと言えます。

いずれにしても各党の公約に掲げられている経済政策の有効性や実現性について、詳しい説明が総選挙戦を通して明らかにされていかなけばなりません。その際、より的確で正しい情報が必要であり、その情報をもとに私たち国民は信頼できる政党や政治家に一票を投じていくことになります。

前回記事災害に強いまちづくり」の中で少し触れましたが、働く者の声を届ける先として連合や自治労は各級議会の議員の皆さんを推薦しています。推薦議員の皆さんと直接お会いした際、率直な思いをお伝えする場合があります。最近の記事「自民党総裁選と野党の立ち位置」の中で衆院議員の末松義規さんと意見を交わしたことを記していました。

つい最近、自治労組織内参院議員の岸まきこさん、地元の衆院議員の大河原まさこさんとも意見を交わす機会がありました。公約として掲げる立憲民主党の経済政策が「バラマキ」と見られないように納得感や説得力の伴う丁寧な情報発信に力を注いで欲しいという思いをお二人に訴えさせていただきました。

やはり長い記事になっていますが、来週以降では取り上げづらいため、もう少し続けます。先ほど『自民党 失敗の本質』を読み終えました。現職の自民党国会議員2名を含む8名の方々からのインタビュー内容をまとめた新書です。顔ぶれだけ紹介すると「いかにも」という印象を抱かれる新書なのかも知れませんが、下記のカスタマーレビューがなかなか的を射ているように思っています。

約9年間にわたった安倍・菅政権を評価した、というより批判した本。何と言っても、アンチ安倍・菅の人達ばかりの意見をインタビューしたものであるから、これは仕方がない。しかし、読んでみると、自民党支持者で安倍・菅政権に声援を贈ってきた私にも、「うーん、なるほどなあ」と思わせてしまう、正鵠を得た論理的な批判がなされている。安倍さんも菅さんも権力の座に酔いしれて裸の王様になってしまったのだなあと振り返って思う。

特に印象深かった言葉を読み終えた新書から少し紹介していきます。それこそ「誰が」ではなく、発言している内容そのものが、どのように評価されるのかどうかが重要なことだと考えています。したがって、あえて誰が発言した内容なのか、発言者の氏名を添えずに掲げさせていただきます。

■今の選挙制度でしたら、3割のコアな支持層をまとめていれば、議席の6割以上を占有できる。だったら、苦労して国民の過半数の支持を集めるよりも、支持層だけに「いい顔」をして、無党派層や反対者は無視したほうがむしろ政権基盤は盤石になる。そのことをこの9年間に彼らは学習したのです。

■アベノミクスは、官製相場によって円安株高にしただけで、結果として日本全体の産業の競争力を弱体化させてしまいました。何よりも、社会保障と財政と金融が独立して機能していたのがどれかが破綻したらすべてが破綻するという状況になりつつあります。今や、名目GDPに対する国と地方を合わせた借金の残高はGDPの250%になっています。しかし、いまだに党内ではアベノミクスの継承などと無責任なことを言う総裁選立候補者がいます。

■規制緩和や民営化など「新自由主義」を志向する中曽根康弘首相が登場したあとも、自民党はそのまま中曽根路線一色には染まりませんでした。保守本流かつハト派といわれる宮澤喜一さんや河野洋平さんが総裁を務めるなど、党の体制に「振り戻し」があった。中曽根さんなどはいわゆる傍流だったといえるのですが、徐々に昔の保守本流のほうに戻らなくなっていきます。経済政策でいえば、新自由主義で小さい政府志向になり、外交・防衛・教育政策では国家主義が強くなっていきました。

■かつて自民党は「権力は暴走する危険がある」ということを常に意識しながら権力を行使していたと思います。しかし、戦争を知らない世代が増え、自民党の政治家も変質してきたのだと思います。それは軍事面だけではなく、個人の権利、尊厳を虐げるような方向で権力が暴走することの怖さを知っている政治家が減ったともいえます。

■最終的に、官僚は政治家に従うべきです。官僚主導はあるべき形ではありません。国民主権である以上、国民に選ばれた政治家が責任を負い、権限を持つというのが、正しい民主主義でしょう。しかし同時に、官僚が専門性に基づいて自由に意見を言える環境は確保すべきです。

■本来、上に立つものの倫理観は「李下に冠を正さず」でなければなりません。しかし、安倍政権の大きな特徴のひとつは、疑われるからやめよう、恥ずかしいからやめようというように、従来は倫理観によって歯止めのきいていたことを、臆面もなくやってしまう点にありました。桜を見る会は、実は法律違反の疑いが非常に強いのですが、「法律に触れなければ何をしてもいい」という倫理観が、さらにエスカレートして、「法に触れないようにうまくやれ」、そして、「捕まらないように証拠を隠せ」ということを官僚にも強いるようになったしまったのです。

■アルゼンチンも戦前は、一人当たりGDPが世界10指に入るほどの富裕国でしたが、今はボロボロになっています。モデルとしてはこの例に近いのではないでしょうか。希望的観測に基づき、艱難辛苦を乗り越えて希望の明日を盲信することがどれほど危険なことなのかを、われわれは東京オリンピック後のコロナ感染大爆発という「失敗」で十二分に味わいました。安倍・菅政権が残した失敗を無駄にすることなく、「目覚め」のための反省材料とすること。まずはこれが一つです。

岸田総理はアベミクスを継承する一方で、保守本流かつハト派というご自身のカラーも打ち出していないため、立憲民主党と自民党との対立軸や総選挙戦の論点が明確化できたのではないでしょうか。このような点も大河原さんらにお伝えしていました。最後に、目を留めた現代ビジネスの記事『石破氏にあって安倍・菅氏に欠けていた、政治家として「決定的な要素」』の中の一文もご紹介します。

歴代の首相は、批判することがメディアの役割と割り切り、一定の距離を置いていたという。元朝日新聞の政治部記者、鮫島浩さんからこんな話をうかがった。「私が見てきた自民党政権の政治家たちというのは、メディアに対する許容力があった。良くも悪くも批判を受けて立ちましょうという感じでした。今の石破さんのような感じです。いろいろ批判されても無視することはなく、まず批判に耳を傾けていました」

一方で安倍氏は、自身を批判する勢力を敵とみなし、たとえば朝日新聞のことは国会で何度も名指しで取り上げて「ファクトチェックしてください」などと発言した。マス・メディアに対する不信感、左翼やリベラルなメディアに歴史を修正され、自虐史観が煽られてきたと思う人たちから、安倍氏の物言いは、なぜか一定の支持を得ていた。

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2021年10月 9日 (土)

災害に強いまちづくり

岸田内閣の支持率について、菅内閣の末期に比べて大幅に回復したという見方がある一方、新たな政権の発足当初の率としては極めて低かったとも見られています。『「まさか岸田政権の支持率がこんなに低いとは…」世論を甘くみていた自民党の大誤算』という見出しの記事も目にしています。

今回の新規記事のタイトルは「災害に強いまちづくり」です。そのため時事の話題は冒頭に触れるだけとしますが、新型コロナ対策を最重点に掲げながら『岸田新内閣 コロナ担当大臣は「全員交代」』は意外なことでした。もう一つ『連合会長に芳野氏選出 初の女性、「ガラスの天井破る」』という報道も目を引いていました。

連合の都道府県単位の組織として連合東京があり、都内のブロック地域協議会の一つとして連合三多摩があります。その連合三多摩は月曜の午後「2021政策・制度討論集会」を催しています。コロナ禍の中、今年もWebとの併用開催とし、全体で183名が参加しています。

毎年、この時期に開かれ、私自身は主催者側のプロジェクトの一員として関わってきています。これまで当ブログでは討論集会で得られた内容をもとに「子ども・子育て支援新制度について」「保育や介護現場の実情」「脱・雇用劣化社会」「子どもの貧困と社会的養護の現状」「子ども虐待のない社会をめざして」「子どもの権利を守るために」という記事を綴っていました。

三多摩の地で働き、三多摩の地で暮らす組合員の多い連合三多摩は、各自治体に向けた政策・制度要求の取り組みに力を注いでいます。今年も多岐にわたる要求書を全自治体に提出します。私どもの市長には討論集会当日の朝、地区協の議長らとともに提出していました。この取り組みの一環として討論集会を企画し、政策・制度要求に掲げている重点課題等について認識の共有化に努めています。

衆院選の投票日が10月31日に決まったという報道の広まった直後でしたので、主催者を代表した挨拶の中で議長は「働く者の声を届ける先は一本であって欲しい」という労働組合と政治との関係性に対する思いも添えられていました。さらに連合にとって政策・制度の取り組みは重要であり、連合三多摩が推薦する方々はその思いが一緒の候補者であることを訴えられていました。

プロジェクトの主査からは「多摩の未来に夢を」というスローガンを掲げた政策・制度要求の取り組みについて全体会の中で報告を受けています。全体会の後、参加者はそれぞれ第1分科会「コロナ禍における子どもの居場所づくり・地域との連携~子どもたちが健やかに生きていくには~」と第2分科会「災害に強いまちづくり~地域との連携の強化~」に分かれています。

私は第2分科会の司会を担当しました。講師は三鷹市の総務部危機管理担当部長に引き受けていただきました。同じ市に勤めているプロジェクトの主査から事前に講師の方の情報を伺っていました。趣味が登山で、そのことが庁内では有名であるという話を耳にしました。当日お会いし、ご挨拶した際に「なぜ、それほど有名なのか」がよく分かりました。

登頂された山をお尋ねするとキリンマンジャロ、マッターホルン、モンブランというお答えでした。エベレストは1か月以上休まなければ行けなかったため、まだ登頂されていないとのことです。第2分科会に参加された皆さんに私が講師の方を紹介した時、スケールの大きい登山が趣味であることを申し添えています。

講師の方の名刺には防災課長事務取扱、安全安心課長事務取扱、都市再生部理事兼職という肩書きが並んでいることを紹介しています。これまで海外で数々の登山を経験され、体力や胆力を培われている方が、たいへん幅広い分野で重責を担われていることについて住民の皆さんからすれば心強いのではないでしょうか、このような一言も添えさせていただきました。

分科会の冒頭、1959年の伊勢湾台風の後に災害対策基本法が制定され、阪神・淡路大震災から10年前の東日本大震災を経て、防災に対する様々な法整備が進んできたことを私から報告しています。大きな教訓として災害は避けられない、そのことを前提に普段からの備えが必要とされています。

「想定外だった」と悔やまないため、今、何をすべきなのか、連合三多摩は政策・制度の取り組みの中で毎年「防災」を重点課題としています。今年の分科会も「災害に強いまちづくり」をテーマにご講演いただきます。参加されている組合役員、自治体担当者、議員の皆さんが参考とすべき考え方や事例を一つでも多く持ち帰っていただければ幸いなことです。

このような前置きを述べた後、講師の方からお話を伺っています。途中10分ほどの休憩をはさみ、質疑応答も含めて予定した2時間以内に終わっています。まず講師の方から三鷹市における豪雨災害や東日本大震災の時の事例が紹介されました。風水害に対しては土砂災害警戒区域の有無や地盤の高低差によって被害の規模が異なるため、一面的な対応ができないことを補足されています。

避難所も地震の時と場所を変える必要が生じるため、ハザードマップも2通り用意することになります。今年7月に三鷹市地域防災計画が改定されています。リンク先には「地域防災計画は、自分の命を守り、そして周囲の人々を助けるための大切な計画です」とし、近年の災害発生状況や新型コロナウイルス感染症対策を踏まえて改定されていることが記されています。

  1. 災害は必ずやってくるという「防災の心・意識」を持ち、災害に立ち向かっていく。
  2. 災害に立ち向かう際には、市民の自助・地域の共助・市などの公助がそれぞれの役割を認識し、互いに連携協力のうえ、それぞれの力を最大限に発揮しなければならない。
  3. 日常生活の中に防災対策を組み込んでいくことで、息の長い防災対策を進めていく。
  4. 自助に成功しなければ共助に加わることができない。

上記は講師の方がパワポの画面に映された三鷹市の防災理念です。地域の「共助」の例として、市内に7つの自主防災組織を整えています。町会、自治会、NOP等防災活動団体とも連携し、「オヤジの会」では防災訓練として校庭で防災キャンプにも取り組んでいるとのことです。

新型コロナ対策から指定された避難所に集まらなくても可能であれば在宅で避難生活を送ることを推奨しています。そのため上記の組織は主に在宅避難者の避難生活を支援する役割が期待されています。公園等に炊き出しに必要な資機材や仮設トイレ等を備蓄し、災害時在宅生活支援施設を整え、周辺の町会や自治会等が運営を担えるように努めます。

三鷹市の施策として「強靱なまち」をめざし、都市計画制度等の活用による面的な防災性の向上、防災拠点機能のバックアップの確保やリスクの分散化などを進めています。地域防災計画の改定にあたり、これまでの「震災編」「風水害編」に加え、「富士山等噴火降灰対策編」と鉄道やガスの事故等を想定した「大規模事故対策編」が追加されたとのことです。

続いて、多様なニーズに対応した防災対策について説明を受けています。社会情勢や要配慮者のニーズを踏まえた備蓄として、マスクや消毒液等が感染症対策として欠かせなくなっています。高齢者、障害者、女性、乳幼児等のニーズに合わた食料や生活必需品を備えています。アレルギー対応品やイスラム教のハラールも配慮されているそうです。

要配慮者への支援例として、嚥下障害のある方や乳幼児等への調理に使用するハンドブレンダーを備え、筆談ボードや外国語表示シートも用意しています。新型コロナ対策として、手指の消毒、非接触型体温計を活用した検温を実施し、発熱者等は専用の滞在場所に案内するという受付の流れを説明いただきました。

講演の最後のほうで「発災後の災害対応~3つのフェーズ~」が紹介されました。「発災~3日間 命を守るフェーズ」「4日目から1週間程度 生活を守るフェーズ」「1週間後以降 日常生活を再開するフェーズ」とし、それぞれ「自助」「共助」「公助」について解説しています。

防災の基本は「自分の命は自分で守る」、キーワードは「日常」、日常と非日常を連続としてとらえながら、日常の備えと日頃からの関係で防災力を強化していくことの必要性を講師の方は提起し、締め括っていました。90分近くの講演内容でしたので、今回のブログ記事では興味深かった箇所の紹介に絞り、2名の方から示された質問等も取り上げていないことをご容赦ください。

分科会のまとめとして、司会の私からは次のような要旨について発言していました。福祉などの分野で「自助」「共助」「公助」の並びの中で「自助」や「共助」が強調されすぎると批判を受ける場合もあります。しかしながら防災対策において、待ったなしで命を守るためには、まず「自助」があり、次に隣近所等からの「共助」が頼りになります。

もちろん発災後の「公助」の役割も重要です。加えて、平時において備えや関係性を整え、点と点をつなぎ、線や面にしていくことも「公助」としての役割だろうと考えています。そのような意味で、本日お伺いした三鷹市におけるお話はたいへん参考になっています。私自身、自治体職員の立場から少しでも役立てていけるように努めていきます。

労使交渉だけでは解決できない問題に対し、労働組合の政治に関わる取り組みも重要です。全体会の挨拶で議長も触れていましたが、働く者の切実な声が届けられる衆院選の結果を得られるように頑張っていかなければなりません。原稿を用意していませんでしたので言い回しは違うかも知れませんが、以上のような言葉でまとめさせていただきました。

最後に、講師の方をはじめ、参加された皆さん、改めてありがとうございました。一昨年までであれば討論集会の後、講師の方と懇親をはかる機会がありました。コロナ禍が続く中、今年も現地解散だったため、キリマンジャロの詳しい話などを伺える「日常」が早く訪れることを願っています。

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2021年10月 3日 (日)

岸田新総裁と野党の立ち位置

新型コロナウイルス対策で19都道府県に発令されていた緊急事態宣言が9月末に解除されました。8県に適用していた蔓延防止重点措置も同じ日に解除されています。私自身やその周囲では、だからと言って何か大きく変わった訳ではありません。これまでも宣言の有無に関わらず必要な感染対策を続けているからです。

コロナ禍の組合予算還元策として組合結成75周年記念品を組合員全員に贈る際、同封する私からの感謝の手紙の中にも「新型コロナウイルス感染症が拡大し、制約された日常が続いています。ワクチン接種も進んでいますが、まだまだ必要な感染対策を緩めることはできません」と書き添えています。

さて、前回記事「コロナ禍での組合活動、2021年秋」は久しぶりにマイナーでローカルな話題を取り上げました。前々回記事が「自民党総裁選と野党の立ち位置」でしたが、再び政治の話題に戻ります。自民党総裁選は岸田文雄候補が1回目の投票結果も河野太郎候補の得票数を上回り、決戦投票を経て当選を果たしていました。

下馬評では国民的人気の高いと言われていた河野候補が1回目の投票でトップに立つと見られていました。結局、党員票も議員票も河野陣営にとって予想を大きく下回る結果だったようです。その理由の一つを論評していた日本大学の先崎彰容教授の『河野太郎氏の敗因は「言葉の軽さ」? 安倍元総理の著書と見比べてみると』が目に留まっていました。

河野候補の著書『日本を前に進める』は最近読み終えています。総理大臣に就任する可能性のあった方の著書ですので、興味深かった箇所には付箋を添えながら読み進めていました。このブログを通して詳しく紹介するかどうか分からなくなりましたが、「なるほど」と思える箇所も少なくありませんでした。

先崎教授は「この国をどうしたいのかというビジョンが見えてこない」と酷評する一方で、安倍元総理の著書『美しい国へ』を絶賛しています。私自身の評価は以前の記事「『美しい国へ』から感じたこと」の中で綴っていたとおりであり、先崎教授の対比の仕方は安倍元総理のほうに肩入れしすぎだろうと思っていました。

ちなみに今日の時点では安倍前総理と記すべきなのかも知れませんが、このまま元総理として書き進めていきます。『「3Aが今や人事を行っていますよ」 岸田新総裁の「甘利幹事長」抜擢は安倍・麻生両氏の思惑通りか』と伝えられているとおり自民党新執行部人事が決まり、新たな閣僚の顔ぶれも徐々に明らかになりつつあります。

1日、岸田新体制の自民党の新執行部が発足しました。幹事長に甘利明氏、副総裁に麻生太郎氏を起用するなど、岸田カラーが感じられない人事に党内から、まるで「安倍政権」と嘆きの声も上がっています。

麻生太郎財務大臣:「(Q.大臣の任期も再任がなければ9年弱で区切りを迎えるかと思います…)残念ながら、もう一回付き合ってもらわないといかんよな…。『最後の会見』にはならないんだ、悪いけど…」岸田文雄新総裁が、「副総裁」への起用を固めたと報道された麻生財務大臣。

着々と進む、岸田新総裁の党役員人事。岸田文雄新総裁:「幹事長には甘利明君。政務調査会長には高市早苗君」 午後には、新執行部が会見。総裁選を戦った高市早苗氏や、河野太郎氏らの役職も発表されました。

岸田文雄新総裁:「私はあくまでも、適材適所の観点に基づいて人を選ばせて頂いた」 しかし、この顔ぶれに党内からは…。自民党幹部:「『第4次安倍政権』じゃん。もたないよ、この政権」 自民党の若手議員:「『安倍さん、麻生さんに気を使った』って見え方がよくないね」

安倍前総理と近い麻生副総裁、甘利幹事長、高市政調会長という顔ぶれ。そして、岸田新総裁の独自色が見えないと嘆きの声も…。さらに、2016年に「政治とカネ」の問題で大臣を辞任した甘利氏に関しては…。

自民党幹部:「国会での説明責任を果たしていない。これで国会を乗り切れるだろうか」自民党の若手議員:「再来週には解散なんだよ。これから選挙なのに『政治とカネ』の問題を分かっていて、幹事長にするんだろうか」

1日の会見では、改めて自らの関与と責任を否定しました。甘利明新幹事長:「私はこの事件に関して、事情を全く知らされていないということ。だから、私は寝耳に水」

自民党新執行部の顔ぶれについて、立憲民主党の枝野幸男代表は。立憲民主党・枝野幸男代表:「あまり個別のことについては申し上げませんが、新総裁決定の時に、私はこの総裁選選出のプロセスを見て『自民党は変わらない・変えられない』と改めて示した総裁選挙だったと申し上げた。そのことが、さらに明確になった」【テレ朝news 2021年10月1日

傀儡政権じゃなかったの? 安倍前首相が「岸田新体制」にブンむくれのワケ』『岸田体制に潜む「安倍排除」の萌芽 本当に岸田氏は「安倍の傀儡」なのか?』という報道もありますので、必ずしも安倍元総理の意向がそのまま受け入れられている訳ではないようです。私自身、岸田新総裁がご自身の長所を「聞く力とチーム力」とし、「怒鳴ってばかりではチーム力を発揮できない」と述べていたことについて共感していました。

ただ森友事件の再調査の必要性について、当初「国民が納得するまで努力することが大事だ」と答えていながら「必要であれば国民に説明する」という消極的な姿勢にトーンダウンしています。党内力学が働いたのか、安倍元総理に対しての忖度だったのか分かりませんが、このような短期間での変化に失望していました。

岸田新総裁の地元は広島です。岸田さんに届かなかった地方幹部の心配 金権疑惑は説明しなくていいの?「古くさい国に元通り」しないため』という見出しの記事の中に掲げられているとおり河井克行・案里夫妻による2019年の参院選広島選挙区での大規模買収事件についての説明責任が強く求められているはずであり、今後の動きを注目しています。

今回の記事タイトルは「岸田新総裁と野党の立ち位置」としています。前々回「自民党総裁選と野党の立ち位置」に託した問題意識を改めて訴えようと考えていたからです。前々回記事の中で、野党側の発言が単に批判を目的にした言葉だと取られないようにして欲しいものと願い、下記のような問題意識を訴えていました。

コアな支持者向けであれば回りくどい説明は余計なことで、自民党をストレートに批判する言葉のほうが分かりやすく、喝采を浴びるのかも知れません。しかし、総選挙戦を勝ち抜くためには幅広い層からの共感や賛同の広がりが不可欠です。ぜひ、枝野代表らには立憲民主党を冷ややかに見ている方々や関心のない方々に対しても「なるほど」と納得感を得られるような言葉の発信力を磨いて欲しいものと願っています。

紹介したテレ朝の報道のとおり枝野代表は自民党総裁の選出のプロセスを見て「自民党は変わらない・変えられない」ことを改めて示したと批判しています。もちろん報道内容は発言の全文を伝えている訳ではありませんので「なぜ、そうなのか」という説明が、その前後に加えられている時も多いのだろうと思っています。

しかし、一部を切り取られることを大前提に発信する言葉には注意を払って欲しいものと考えています。そもそも政権交代以降、自民党は補選以外の国政選挙で勝ち続けています。政党支持率も他党より頭一つ二つも抜けています。自民党という政党を支持してきた国民が多数であることの証しであり、現在も相応の割合を占めていることについて認識しなければなりません。

つまり自民党をオールorナッシングで頭から否定していく言葉は、これまで自民党を支持してきた方々の判断も含めて批判するような構図につながる恐れがあります。「自民党という政党は問題があり、全面的に変わらなければならない。総裁選がその機会につながらなかった」という論理で枝野代表が発言していたことは充分理解しています。

しかしながら「今の自民党の何が問題なのか、このような点について変えなければならない」という具体的な事例とセットで批判しなければ、前述したような現状の中で立憲民主党に対する支持の広がりは期待できません。せめて「自民党は変わらない・変えられない」の前に「透明性の高い政治に向け」という一言だけでも添えるべきだろうと思っています。

自公政権「継続を望む」64%、無党派層は55%…読売世論調査』の中で、政府の新型コロナ対応は「評価しない」が全体の73%を占め、無党派層に限ると84%に達しています。ただ政府の新型コロナ対応に強い不満を感じながらも、野党には政権を任せられないという構図が伝えられています。

このような悩ましい現状であるからこそ「自民党のここが問題だ」という具体的な事例を掲げながら、より分かりやすく情報発信や問題提起していく姿勢が野党側に求められています。そのような意味で金銭授受疑惑の甘利明氏が自民幹事長就任 元検事・郷原弁護士は「このままだと示しがつない」という報道のとおり野党側に好機が訪れています。

自民党新執行部の会見で、記者から問題を問われた甘利幹事長は「事情を知らされていなかった」「根耳に水」と答えています。野党は早速追及チームを立ち上げる予定です。上記の新聞記事では郷原弁護士が甘利幹事長自身に次のような対応の必要性を求めていることなどを伝えています。

まずは調査したという第三者委の弁護士名、報告書の内容をつまびらかに公表するべきでしょう。このままだと示しがつかなくなる。今後、政治資金問題が指摘されても、何も説明せずに公の場から姿を消し、よく分からない第三者委の調査をもとに潔白だといえばいい――となりかねません。「幹事長もやっていますよ」と言われたら、どうするのでしょうか。

定められたルールは誰もが守る、もし守れなかった場合は責任を明確化する、このような当たり前なことを当たり前に対応していくことが信頼できる政治の実現に向けて欠かせないはずです。野党側の立ち位置として国民の素朴な疑問や疑念を背にし、ぜひ、甘利幹事長に対する追及が「自民党のここが問題だ」の一つとしてコアな支持者以外にも届く言葉で情報発信して欲しいものと願っています。

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